2021年4月25日

肌色休暇一日目~幕開け 14

 帯が浴衣からすっかり離れてしまうと、胸の前で合わさっていた両襟も当然のことながら左右へハラリと割れてしまいます。
 浴衣の下は肩先からくるぶしまであますところなく素肌ですから、当然のことながら浴衣の前が開いてしまう前に襟を掴み、露呈を阻みます。

「こら。あなたはそんなしをらしいことするような種類のオンナじゃないでしょう?」

 イジワルそうな薄い笑みを浮かべ、からかうようなお姉さまのお声。
 私をまっすぐ見つめつつ、ご自分の両手をご自身のおへそのあたりに集め、おもむろに左右へ大きくパッと開くような仕草。

「あなたよく言っているじゃない、一度でいいから裸コートのとき人混みでこうしてみたい、って」

 ご愉快そうにおっしゃるお姉さま。
 でも私、お姉さまにそんなこと、一度も告げたことないはずです。
 
 だけどつまり、それはお姉さまからのご命令。
 えっちなマンガとかでよくある局部見せたがりなヘンシツ者みたく、自ら前をバッと開いてハダカを視ていたただきなさい、というご指図。

 胸の前で浴衣の布地をかき抱くように掴んでいた両手が、諦めたみたいに緩みます。
 左右の指先がそれぞれ左右の衿先を掴みます。
 それからギュッと目をつむり、思い切って両腕をバッと左右へと広げました。
 今まさに滑空しようとしている飛膜を広げたモモンガさんみたいに。

 目を瞑っていてもまぶたにお陽様の強い光を感じます。
 ああんっ、まだ全然明るくておまけにお外なのに、出会ったばかりの見ず知らずの方々の前で私ったら、何て格好をしているの…
 絵に描いて額に飾ったような、まさに、the 露出狂…
 羞恥と被虐と背徳と快感がないまぜとなり、下半身の裂けめを痺れさせてきます。

「おおぅっ!…」
 
 ザバザバと水面が波立つような音と一緒に、どよめくお声が大きく聞こえてきて束の間の陶酔が破られ、恐る恐る目を開けるとお三かたが思いがけずもずいぶん近くまで来ていらっしゃいました。
 お湯の深さは、一番小さくてロリっぽいサラさまでも太ももの付け根辺り。
 お三かたともオールヌード丸出しのお姿で、the 露出狂ポーズを晒している私のカラダをシゲシゲと見つめてきます。

「すげえ、超パイパンっ!」
「その日焼け跡、何よ?どこで焼いたの?どんな水着着たらそんなふうにエロやらしく焼けるのよ?」
「尖った乳首がツンツンにイキリ勃ってて痛そう。下乳は意外に垂れ気味なんだ…」
「クリもでかっ!皮がすっかり剥けちゃって、こっちもビンビンに飛び出してる…」
「首の白いスジは、チョーカーとか首輪の日焼け跡なのかしら…」

 口々に私のハダカの感想を投げ合わられるお三かた。
 温泉の湯船は一段低くなっていますし私は岩場でヘンシツ者ポーズですので、裸のお三かたから股間を仰ぎ見られる態勢。
 その好奇に満ちて不躾な視線の圧、何もかもが視られ吟味されている…という被虐に、マゾの血脈が全身で波打ちます。

「あなたの性癖も、みなさんに愉しめていただけているみたいでよかったじゃない?」
「引かれちゃったらどうしようかと思っていたわ」

 岩場に優雅に腰掛けられたお姉さまも嬉しそうに微笑まれ、片手に持たれていたスマホの画面をチラッとご覧になられました。
 それからスクっとお立ちになると、まだthe 露出狂ポーズな私の背後に来られました。
 
 間髪入れず、剥ぎ取られるように強引に私の背中から離れていく浴衣。
 少し緩めてしまっていた指先から、いとも簡単に私の唯一の着衣はお姉さまの腕の中へ。
 お外で全裸!?と意識するや否や条件反射のように、胸と股間を庇うヴィーナスの誕生ポーズへと移る私。

「だからー、あなたの両手はそこではないでしょ?何今更ぶりっ子しているのかしら?」

 すかさず投げつけられるお姉さまの呆れたような叱責。
 優美な曲線を描くアゴを優雅に、でも私にしかわからないくらい微かにしゃくられるお姉さま。

 はい…ごめんなさい…
 おずおずと両足を休めの姿勢くらいまで開き、両手を重ね合わせ自分の後頭部へと持っていく私。
 
 マゾの服従ポーズで間近のお三かたと向き合います。
 隠そうと思えばたやすく隠せるのに、自ら両手を後頭部にあてがい裸身の何もかもをさらけ出した私の姿を、唖然としたお顔つきで凝視されるお三かた。

「あたしはこれからさっきの脱衣所に戻って、タオルやら何やら、露天風呂を楽しむ準備をしてくるから、あなたはその格好のまま回れ右して、背中の自己紹介もみなさんに見ていただきなさい」
「あなたがどうしようもないヘンタイ性癖なんだって理解してもらえれば、みなさんもあなたも気兼ねなく愉しめるでしょうし」

 おっしゃりながら岩場に落ちていたカッパ様こけしを拾い上げられ、湯船のお三かたのほうへ軽く放られました。
 ポチャンと飛沫を上げて湯船に落ちたカッパ様。
 木製だから沈まずに、お三かたの背後でプカプカ浮かんでいらっしゃいます。

「この子、それ大好きだから、みなさんで好き放題しちゃっていいですから」

 無慈悲なお言葉を残されたお姉さまは、私がさっきまで着ていた浴衣と帯を手早くおまとめになって小脇に挟み、ハンディビデオカメラだけ岩場の高い位置に置き去りにされ、その場を離れられます。
 
 服従ポーズをお三かたに向けたまま首だけ捻じ曲げた姿勢で、脱衣所のほうへと戻られるお姉さまのお背中を未練がましく追っていると、お姉さまが不意に立ち止まられ、こちらを振り返ってくださいました。
 私に向けてニッコリ微笑まれ、右手の指先で空中にクルリと大きな円を描かれ、再びプイッという感じで向き直られ、脱衣所のほうへと歩き始められます。

 そうでした…
 私はお三かたに背中をお向けしなければいけないのでした。
 ある意味、おっぱいや性器を見られるのより恥ずかしい、私の素肌に刻まれた自分のヘンタイ性癖の自己紹介…

 再び湯船のほうへと顔を向け直します。
 お三かたとも湯船の縁まで集まられ、興味津々に舐め回すような六つの瞳が私の裸体を見上げています。
 その視線たちから目をそむけて意を決し、ゆっくりとその場で180度ターン。
 一瞬の沈黙の後、キャハハハと甲高い嘲笑が弾けました。

「なにそれ!マゾですの、だってー!」
「ですのって何よ?ちょーウケるんですけどぉ」
「日焼け跡って、引くまで消えないじゃん。あの姐さん、マジ鬼畜」
「だろうとは思ったけど、そんな言葉を肌に焼きつけちゃうなんて、正真正銘のヘンタイじゃん」
「やっぱり首の白いのは首輪の痕なんだ。マゾだから首輪を普段からさせられてるのね…」

 容赦無い好奇の嘲りが私のお尻に浴びせられます。
 侮蔑的なお言葉責めが切なくて唇をギュッと噛んでしまうのに、ジンジンと火照ってしまう私の乳首とマゾマンコ。
 ひとしきりお三かたのかまびすしい哄笑がつづきました。

「でもまあ、せっかく裸になったんだからさ、マゾですのちゃんも温泉、入んなよ。うちらと楽しもう」

 半笑いのお声ですが、お優しいお言葉を投げてくださったのは、最初にお声がけくださった金髪のカレンさまでしょう。
 そっと振り向くと案の定、さっきお姉さまが放られたカッパ様こけしを右手に握ったカレンさまがお湯の中で立ち上がられ、カッパ様をぶんぶん振っておられます。

 どうしよう…
 お姉さまが戻られるのを待ったほうがいいのかな…
 でもさっきお姉さま、この子を好きにしちゃっていい、ともおっしゃられていたけれど…

 少し迷ったのですが、お言葉に甘えさせていただくことにしました。
 一番の理由は私の股間。
 さっきからの羞恥辱責めで感じ過ぎてしまい、このまま服従ポーズでいるとだらしないマゾマンコから滴り落ちる恥ずかしいおツユまで目撃されてしまいそうだったからです。

「あ、はい…お心遣いありがとうございます。それでは失礼させていただきます…」

 丁寧にお答えしてポーズを解いて向き直り、湯船の縁までゆっくり歩を進めます。
 縁に立つとお三かたが少しだけ後退され、身を屈めた私は右足の先をちゃぷんとお湯に浸けてみます。
 
 熱すぎもせず温すぎもせず、人肌よりちょっと高いくらいの温度。
 両足をそろりと挿し入れ浴槽に立つと、お湯の深さは膝上、腿の真ん中少し上くらい。
 湯船の底は自然石のタイル状石畳になっていました。

 その場にしゃがみ込み肩まで浸かってみます。
 お湯は、ほんのり濁っていて少しポテっと重たい感じで、お肌に優しく絡む感じの滑らかな泉質。
 
 火照った全身がしっとり潤いの人肌に包まれ、うーんっ、気持ちいい…
 裸身もお湯に隠せてホッと一息ついたのも束の間、あっと言う間にお三かたに取り囲まれました。

 それからは、ご質問に次ぐご質問攻め。
 お姉さまとはどういう関係なの?から始まって、本当の仕事は何?それどこで焼いたの?剃毛?それとも永久脱毛?普段はどんな命令をされてるの?イジメじゃないの?今も感じちゃってるの?etc…etc…

 それらのご質問にすべて、正直にお答えしました。
 ご質問のあいだ中、お三かたのどなたかが私のからだに手を伸ばしてくることは無く、それはちょっと意外でした。

「ふーん。ですのちゃんは同性とでしか感じないレズでマゾで露出狂なのかー。けどそれって特殊性癖盛りすぎじゃない?もしオトコ好きだったら引く手あまたでモテモテだろうに…」

 金髪のカレンさまが感心されたようにおっしゃいます。

「アタシも男相手ならドスケベだけど、同性に見られたいってのは信じられないなー。だって、自分がサカって乱れてる姿を見ず知らずの同性に見られるなんて超恥ずくない?屈辱的っていうか…」
「ああ、女はそういうの見下してくる傾向ってあるよね。とくに自分より若かったり可愛かったりすると、嫉妬が絡んだマウンティングっていうか虚勢を張るための軽蔑っていうか。シモネタNGがカワイイと思ってる女ってまだまだ多いから」

 ロリなサラさまのご意見に賛同されるカレンさま。

「こないだのハコネでの宴会、ひどかったじゃない?うちらが何かやるたびに凄い目で睨まれて」
「あー思い出した。なんであんな女性交じりの場にアタシら呼ぶかな?中でも一番薹が立ってたお局様?の目がスゴかった」
「そうそう。他の女も野球拳とか見たくないならさっさと部屋に戻ればいいのに、なぜだかいるんだよね、最後まで」
「でもまあオトコ共も大半萎縮しちゃってある意味、仕事は超ラクだったよね。お酌だけしてりゃいいって感じで」
「場がシラケきってた。あの会社、あの後揉めたろうな。潰れてたりして」

 ご愉快そうな笑い声をあげられるカレンさまとサラさま。

「ですのちゃんのお姉さまって、ですのちゃんが他の女性とえっちなことをしても怒らないのよね?」

 話題を仕切り直すみたいに、ナイスボディなシヴォンヌさまがお口を挟まれてきました。
 そして私の呼び名はいつの間にか、ですのちゃん、で定着しちゃったみたい。

「あ、はい…怒らない、って言うか、私が他の女の人に虐められているのを見るのもお好きみたいです…」

 至近距離で向き合っているシヴォンヌさまの、お湯の波間から見え隠れしているハリウッド女優さんみたいなお胸の谷間にドギマギしながらお答えします。

「やっぱり。ですのちゃんのご主人様は寝取られ属性があるんだ。それじゃあですのちゃんも、いろいろやらされて大変でしょうね」
「…ネトラレ?ですか?」

「あれ?知らない?大好きな人が他の知らない人にヤラれちゃうのを見て悦ぶ特殊性癖。夫婦の旦那のほうが奥さんを他の男にヤラせて、それをこっそり覗き見したり。エスな人の調教の一環だったりもするらしいけれど」
「そんなの…知らなかったです」
「でも、あの姐さんは、そんな感じなんでしょ?そういうのをネトラレって呼ぶのよ」

 妖艶な笑顔のシヴォンヌさまにそう諭されて、確かに私のお姉さまはネトラレなのかな、って思いました。

「おっと、シヴォンヌ姐さんがノッてきたよ」
「アタシらん中じゃ姐さんが一番、エスエムとか詳しいもんね」
「姐さんはエムっぽくにもエスっぽくも変幻自在の百戦錬磨だから」

「じゃあ、ですのちゃんに何かマゾっぽいことしてもらおうよ」
「ですのちゃん見てると、たしかに何かこう、イジメたくなっちゃうの、わかる気がする」
「ドマゾって、痛いのとか屈辱的なのも好きなんじゃなかったっけ?」

 カレンさまとサラさまが俄然はしゃぎ始めます。
 私もお三かたからの虐められモードに突入したことを察知して、お湯の中でぐんぐんムラムラしてきています。

「それじゃあ、ですのちゃんにはとりあえず、オナニーショーでもしてもらおっか?ご主人様の置き土産のこけしもあることだし」

 シヴォンヌさまが艶っぽい半笑いのまなざしを私に向けたまま、他のおふたりにご提案されます。

「いいねいいねー」
「ですのちゃんのえっちなイキ顔見てみたーい」
「アタシ、他の女が男に姦らてるのは見たことあるけど、ひとりえっちでイクとこは見たことなーい」
「でもお湯の中でモゾモゾチャプチャプされてもうちらにはよく見えないし、なんかつまんなくね?」

 カレンさまサラさまの無慈悲なお言葉。

「あー、それもそうね。それじゃあ、あの真ん中の島に上がってやってもらおっか」

 シヴォンヌさまが我が意を得たり、みたいなご表情で温泉中央に設えられている東屋を指さされます。
 私はさっきの、シヴォンヌさまの妖しく翳る瞳を見て、ある程度の覚悟はしていました。
 シヴォンヌさまは絶対最初から、そこで私を晒し者にされるおつもりであったはずです。
 お姉さまが私に残酷なご命令を企まれているときと同じまなざしでしたから。

「いいねいいねー。あそこちょうど足湯っぽく腰掛けられるようになってるから、そこでバーっと大股開きで」
「ライブショー、最前かぶりつきだね」

 カレンさまサラさまがキャッキャとはしゃがれる中、お湯の中でシヴォンヌさまにサッと右手を掴まれました。
 初めてのボディタッチにビクンと震えた刹那、シヴォンヌさまがザバッと立ち上がられたので私も引っ張られて立ち上がらざるを得ません
 
 ナイスボデイな全裸女性に手を引かれ、刑場に連行されるみたいに湯船中央の東屋のほうへ。
 私たちの後からサラさまカレンさまがつづかれ、全裸女性4名での湯中の行進を、ずいぶん傾いてもまだまだ明るい夕陽が煌々と照らしてくださっています。

「さあ、ですのちゃんはこの上にお上がりなさい」

 シヴォンヌさまの声音はあくまでおやさしげでしたが、有無を言わせぬ威厳と言うか高貴さと言うか、人にご命令され慣れているような感じのカリスマ的オーラを感じました。
 
 目の前にある小島には、ちゃんと湯船から陸地まで上がれる石の階段もあり、ふたりぐらい並んで腰掛けられる石のベンチが湯船を見渡す位置に三脚、そして島の中央部分は、更に一段上がっていて陽射しを遮る木製の屋根を設えた東屋になっています。
 
 湯船の中からお三かたが見上げる中、私はシヴォンヌさまのご命令に従い、ひとり島へと上がりました。
 温泉から出た一糸まとわぬ素肌を微かに吹いている風が優しく撫ぜてくださいます。

「そのベンチに座って、まず最初は、ですのちゃんが普段ヤッてるみたいにからだをまさぐって、気分を盛り上げてみて」
「いい感じになってきたら、このこけしを渡してあげる」

 カレンさまから手渡されたのでしょう、カッパさまこけしを片手にシヴォンヌさまからのディレクション。
 湯船の縁に両肘をついた横並びのお三かたがベンチに腰掛けた私を見上げています。

「は、はい…」

 すっかり覚悟を決めた私は、恥ずかしさ半分、辱めていただける嬉しさ半分のマゾモードで両脚を大きく開きました。
 両足はベンチの上に置き、自ら進んでのM字開脚。
 
 左手を右おっぱいに当てると、ビクンと電流。
 乳首が今にもポロリと零れ落ちそうなほど大きく硬く背伸びしています。

 右手をそっと股間に滑らせると同時に、あふんっ。
 手のひらがもろに、充血して腫れ上がった肉芽を擦ったからです。

「うわ、自分からあんなに思いっ切り股広げちゃって、パイパンだからケツの穴まで何もかももろ見えじゃん」
「オマンコの中がビチャビチャにテカってない?」
「呆れた、もう感じちゃってるんだ。本当に視られるのが好きなんだね」
「あ、早くも指の出し挿れし始めちゃった。へー、中指と薬指使うんだ…」

 みなさまからのにぎやかな実況中継が聞こえてくるのですが、私の両手は怯むこと無く自分の性感帯を陵辱しつづけています。
 これまでのあれこれで疼ききっていた私のからだにやっと訪れた快楽のチャンスに、恥も外聞も消し飛んでいます。

 おっぱいを揉みしだき、乳首をつまみ、ひねり潰し、ひっぱり。
 右手のひらでクリットを擦りつつ、膣口に埋めた二本の指でジュブジュブ膣壁を捏ね回します。
 それでもお外にいる、という意識はあるみたいで、目と唇を真一文字に結んで歯を食いしばり、淫らな声は極力我慢しています。

 甘美な刺激は的確に蕩けるような昂りへと変換され、その蓄積がめくるめく頂きへと徐々に昇り詰めていきます。
 ああんっ、そろそろっ、あとちょっと、もう少しぃ…
 
 お三かたは固唾を呑んで見守っていらっしゃるのか、実況中継のお声も聞こえなくなっています。
 視られている、という被虐を実感したくて、そっと顔を上げて瞑っていた瞼を開きます。
 視界の先に唖然という面持ちのみなさまのお顔。

 ああんっ、視て…こんなお外で、みなさまの目の前で、マゾな直子が浅ましくイッてしまうふしだらな姿を、どうぞ存分に視てやってください…んっ!…

 ふと視線を上げると、お三かたの後方数メートルの位置にお姉さまのお姿が見えました。
 濃いめなブルーグレイの湯浴み着をお召しになり、ビデオカメラのレンズをまっすぐ私に向けられたお姉さまのお姿が。
 それに気づいた瞬間、強烈な快感の波が下腹部から全身へと駆け巡り、頭の中が真っ白になりました。

「イッたね…」
「うん…間違いなくイッてる…」
「早くね?始めてからまだ5分も経ってないっしょ?」
「ぐったりハアハアしてるのに、からだのあちこちがヒクヒク痙攣してる…やだっ、ケツの穴まで…」

 そんなお声がどこか遠くのほうから聞こえた気がしました。

2020年10月11日

肌色休暇一日目~幕開け 13

 「女将さん、直子のからだ、凄い勢いでガン見してたね」

 おふたりをお見送り出してお部屋の中へと戻りつつ、お姉さまが嬉しそうにおっしゃいました。

「あの調子なら、館内で多少はっちゃけても、大目に見てくれそうじゃない?」
「たとえば廊下を四つん這いリードでメス犬プレイとか、庭でヌード撮影とか、ね?」
「ま、とりあえず散歩がてら、女将さんご自慢の野外露天風呂まで行ってみましょうか」
「タオル類は現地に用意してあるから手ぶらでいい、って言っていたわね」

 お姉さまが座卓の上に置きっ放しだった鍵入りの透明リストバンドを右手首に嵌められました。

「あとは小銭と部屋のカードキーか…直子のポシェット、借りるわよ」

 私のポシェットの中身が全部出され、代わりにお姉さまのスマホと小銭入れ、カードキーだけを入れてお姉さまが斜め掛けに提げられます。
 お淑やかな青色浴衣に白いハート型のポップなポシェット。
 一見ミスマッチなコーデなのに、お姉さまが提げるといっそうエレガントになるから不思議です。

 貴重品類はセーフボックスに入れ、座卓の上にはまだ充電中な私のスマホとリモコンローター本体だけが置き去り。
 カッパさまこけしは、私が締めている帯の結び目付近に無造作に挿され、私と行動を共にすることに。
 最後にお姉さまがハンディビデオカメラを剥き出してお持ちになられて準備完了。

「それじゃあ行きましょう」

 玄関にご用意いただいたお草履をそれぞれ履き、お部屋を出ます。
 玄関扉はカードキーなので、オートロックなのでしょう。

 よく磨き込まれて木目が綺麗な板張りのお廊下。
 灯籠を模した照明器具が淡く照らす中、お姉さまが先をお行きになりなり、時折私にレンズを向けてきます。

「ほどよくレトロで風情があって、いい旅館よね、ここ」

 ビデオカメラを下ろされたお姉さまが私と並び、やがて十字路。
 野外露天風呂、と記されたプレートの矢印が示す方向、一階へと下りる階段とは逆方向、つまり建物の奥へと向かうべく左へ折れます。

 すぐに右側の壁沿いに扉が見えたので、こちらも客間となっているのでしょう。
 高い天井には組木細工の模様が施され、相変わらず低く流れている艶っぽいジャズピアノの調べ。
 その静謐な雰囲気になぜだか官能がくすぐられ、秘めた願望をお姉さまに告げたくなりました。

「お姉さま?私、あのお部屋で…」

 先を行かれるお姉さまのお背中にそこまで言いかけたとき、クルッと振り向かれ、しっ、と唇に人差し指。
 右側の客間の扉を過ぎて少し進まれたところで立ち止まられ、板張りの壁にお顔の側面を寄せられています。
 どうやら聞き耳を立てていらっしゃるご様子。
 私も一緒に耳を澄ますと…

「…んんぅ、はぁぅ、んぅぅーんっ、はぁぁんっ…」

 せつなそうな女性のくぐもった息遣いが漏れ聞こえてきました。
 んっ、んっ、と男性の踏ん張るような低い唸り声とピタンピタンと肌と肌がぶつかるような音も。

「真っ最中みたいね」

 ご愉快そうなヒソヒソ声を私の耳元で囁くお姉さま。
 つまりこれって、今このお部屋の中で男女がイタしている生ライブ音、っていうこと?
 思考がフリーズし、カーッと全身が熱くなりました。

「…あっ、あんっ…くっぅ、いいっ、そ、そうよっ、ひぃぃんっ…」

 30秒くらいその場に佇んでから、お姉さまがスッと歩き始めました。
 いろいろ混乱して固まっていた私もあわてて後を追います。

 お廊下は行き止まりとなり、突端の扉上のプレートに矢印と共に、野外露天風呂。
 お姉さまがガチャリと内開きのドアを開けると、その先は屋外でした。

 立派な木枠の渡り廊下が、まだ奥へとつづいています。
 周りには、ポツンポツンと大きな岩肌、その合間をお廊下を覆うように草木が生い茂っていますが、お廊下はさほど汚れていないので日常的にお手入れされているのでしょう。
 二階から出たので5、6歩行くと一段降りる式の階段状となった木々のトンネル渡り廊下。
 10メートルくらい先までまっすぐつづいています。

「あの感じだとバックスタイルで奮闘中ってところかしらね。こんな時間からお盛んなこと」
「まあ、互いに合意の上のお愉しみなんだろうし、余計なお世話だけどさ」

 お姉さまが私にビデオカメラのレンズを向けつつおっしゃいました。
 さっき聞いた生々しい物音を思い出します。
 確かにありふれた男女の営みなのでしょうが、胸の奥がチリチリ騒ぐ私には、その光景をあまり想像したくないものでもありました。
 頭の中に浮かんできそうな絵面を振り払いたくて、無意識のうちに二度三度と首を振る私。

「そう言えば直子さっき、何か言いかけていたわね、何?」

 私の動揺にお気づかれたのでしょう、ビデオカメラを下ろして私の顔を覗き込み、話題を変えてくださるお姉さま。
 そのお優しさにホッと安堵し、何を言おうとしていたのかド忘れてしまう私。
 あれ、何だっけ?えっと…あ、そうだった…

「あの、私、今日泊まるお部屋の昔の日本のお座敷っぽい雰囲気が妙にツボに入ってしまって、以前にそういう写真やビデオを見たことがあったので…」
「それで、あのお部屋で、お姉さまに荒縄で、思いっ切り恥ずかしい格好で柱とかに縛り付けられてみたいな、なんて…」

 お姉さまに、というところをとくに強調して告白しました。

「呆れた。廊下歩きながらそんなこと考えていたんだ?アナタの頭の中って、えっちなことしか入っていないの?」

 心底呆れた、というご表情で眉間にシワを寄せられるお姉さま。
 でもすぐにシワは消えて、真面目なお顔に戻られます。

「でもごめん。それはちょっと無理。あたし、ここにロープとか拘束具とか直子の好物、持ってきていないんだ」

 そっけなくおっしゃったお姉さまが私の反応を探るみたいに束の間私を見つめた後、一転して今までで一番イタズラっ子のお顔に豹変されました。

「でも明日、別荘に着いたらそんなことを言ったの後悔するくらい、あれこれヤられちゃうはずだから、愉しみにしていなさい」
「言ってみれば、今日のふたりだけの温泉バカンスはアペリティフ、前菜なの。明日からがメインディッシュだと思って、今日は成り行き任せでまったり過ごしましょう」

 ご愉快さとイジワルさを一緒くたにされたお顔で、お姉さまがビデオカメラのレンズを向けてこられました。
 ヤられちゃう、とおっしゃったということは、別荘ではどなたか別のかたもいらっしゃる、ということなのでしょう。
 お姉さまとふたりきりでいられるのは、今日だけなのかな?
  少しの落胆と少しの期待。

 そうこうしているうちに渡り廊下が地面に接し、木々が途切れて少し開けた場所に出ました。
 正面にはキャンプ場のバンガローみたいな建物があり、脱衣所、というプレートが掛かっています。
 
 その右側には矢印の付いた立て看板に、野外露天風呂、という表記。
 おそらくそこまで連れて行ってくださるのでしょう、草木の刈り取られた地面にスノコ状の板が敷かれ、もう少し低いほうへとつづいています。

「着いたみたいね。いいじゃない、見渡す限り360度自然の岩と草木で、まだ現物は見えないけれど、これぞ露天風呂のあるべき姿、ってロケーション」

 お姉さまがご満足そうにおっしゃいました。

「でも一応入る前に、先に来ている人がいないかチェックしておきましょう。混浴だって言っていたし、先にオトコが入っていたりしたらいろいろメンドクサそーだから」

 お姉さまがお迷いの無いお足取りで脱衣所の脇を通り越され、露天風呂へつづくのであろうスノコの上を進まれます。
 もちろん私も後ろにつづきます。

 緩やかな下り坂が終わると、岩肌と樹木が目隠しフェンス状に囲んでいる場所に出ました。
 ジョボジョボという永続的な水音も聞こえてきます。
 ワクワクしながらフェンスの内側へ入ってみると…

 想像していたより広くて立派。
 大きな岩盤をいびつな楕円形にくり抜いたかのような、広大な楕円ドーナツ状の湯溜まりが目の前に広がっていました。

 広さは小中学校によくある25メートルプールくらい?
 湯溜まりの真ん中が岩場の大きめな島になっていて、木造の東屋が設えてあります。
 温泉の周りを木々が囲っているとは言え、湯溜まりの真上は青空なので、午後4時を回っていくらか和らいだ残暑の陽射しが湯溜まりの水面に燦々と降り注ぎキラキラ光っています。

 お姉さまと一緒に湯溜まりのすぐ縁まで進んでみます。
 水面はやや白く濁った感じで独特の匂いも強く、見るからに何かしらの効能がありそうな感じ。
 思わずお姉さまとお顔を見合わせ、お互いにニッコリ微笑み合いました。

「誰もいないし、入ってみようか」

 お姉さまがおっしゃると同時に、対面の東屋の陰からポチャンという水音が聞こえ、すぐに白い人影が現われました。
 
 東屋のある島の脇の湯船にまっすぐに立たれた人物。
 その曲線的なフォルムで女性だとわかります。
 お湯の深さは膝上、腿の半分くらいまでらしく、そのかたの両腿の付け根に小さく翳っている黒い茂みが、白濁したお湯とのコントラストで絶妙に目立っています。

 お姉さまとふたり、唖然として見つめる中、そのかたにつづいて東屋の陰からもうおひとかた、いえ、もうおひとりも加わり総勢お三かたの女性が湯船の中から、こちらを見つめてきました。
 やがて最初に現われた女性が右手を高々とお上げになり、左右にヒラヒラと腕を振り始めます。

「おーいっ!」

 こちらを呼ばれるお声とともに、大きめのおっぱいがユサユサ揺れています。

「なんか、呼んでるね」

 さすがのお姉さまも戸惑い気味に、私と見つめ合います。
 私たちがその場から動かないことに業を煮やしたのか、お三かたが横一列に並ばれ湯船の中をバシャバシャと、こちらへ近づいていらっしゃいました。

 どなたも一糸まとわぬスッポンポン。
 全員髪の毛はヘアバンドなどで上にまとめられ、三者三様のおっぱいをプルンプルン揺らしながら。
 真ん中のかたが一番背が低くて、左端のかたが一番背が高い。

 あれよという間に私たちの前に全裸の女性が三名、並ばれました。
 お近くで見ると、ご年齢も私たちとはそう変わらなそう。

「おたくら、さっき送迎バスでここに来たお客さんだよね?」

 最初にお姿を現わされた一番右側の女性がお声をかけてきました。
 お三かたの中では一番派手っぽく、髪を一番明るめな金髪に染められています。
 それなのに下のヘアーは漆黒なのが凄くアンバランス。

「うん、そうだけど…」
 
 お姉さまがお答えされたお声は、幾分ご警戒気味。

「おたくらってさ、エーブイギョーカイの人でしょ?」

 金髪の女性が消えかかった眉毛を上下させ、ご興味津々なお顔でつづけられました。
 私にこのご質問が向けられるのは本日二回目です。

「えっ!?違いますよ。あたしたちは東京から遊びに来たただのしがないOLです」

 お姉さまがそっけなく言い返すと、真ん中の一番背が小さな女性が初めてお口を開かれました。

「えーっ、だってそっちのカノジョ、凄い大胆にエロい格好してたじゃん。おっぱいはみ出そうなトップスに土手丸出しのボトムス、おまけに犬の首輪まで着けちゃってて」

 真ん中の女性は、髪は濃いめの茶系、全体的に小柄で瞳だけが大きく胸の膨らみも控えめ、ヘアーも薄め、お声も多少舌足らずで、小悪魔ロリータぽい雰囲気。
 とんがらかした唇に、容姿に反したお気の強さが感じられます。
 お三かたの好奇丸出しな視線が集中的に私へと注がれました。

「あー、それね。あれはこの子の趣味なの。あたしたちはそういう関係で、今日はこの温泉宿でえっちなアソビでも愉しもう、って思っているのよ」

 お姉さまはお三かたのご様子にご警戒をすっかり解かれたようで、打ち解けた口調になっています。
 私はと言えば、三名の全裸女性から相変わらずジロジロ注がれる視線に、浴衣を着ているのにドッキドキ。
 
 考えてみれば、私だけ裸で周りは着衣、という経験は何度もありましたが、その逆は初めてかも。
 あまりジーッと視るのも失礼だろうし、でもお三かたともお綺麗な裸なのでじっくり視ていたいし…
 
「なーんだ、アタシ絶対AV女優とマネージャーが先乗りで来て、撮影隊が後から合流して今夜にも撮影するんだろうって、ワクワクしてたのに…」
「だよね?さすが、きり乃さんの宿、って思ってた。うまくすれば今夜のエイギョウに結びつくかな、くらい期待してたんだ…」

 ロリータさんと金髪のかたがワイワイと内輪話をお始めになります。
 そのあいだも一番左端の女性、一番背が高く黒髪でおっぱいも一番大きくボンキュッボンな美人さん、は、お一言も発さずニコニコ笑顔で私たちを見つめられていました。

「大胆て言うなら、あなたたちだってずいぶん大胆じゃない?」

 お姉さまがお三かたに、イタズラっぽくお問いかけになります。
 ロリータさんと金髪さんのおしゃべりがピタッとやみました。

「ここって混浴なのでしょう?なのにあなたたちったら、タオル一枚も持たずに、こんな明るいうちから優雅にマッパで湯治アンド日光浴。もしスケベなおやじ軍団でも入ってきたら…」

「あ、それは大丈夫なんだなー」

 お姉さまのお言葉が終わる前に、金髪さんが遮ります。

「今日は団体のドタキャンがあったせいで、逗留してるのはうちら以外、昨日から連泊の女子会OL4人組とカップル二組だけなんだ」
「カップルの一組は大学生ぽい初々しい感じで、もう一組はどう見てもオンナのほうがかなり年上のワケ有りそうな組み合わせ」

「両方ともどう見ても、ヤリに来た、って感じだったから、今頃ふたりだけの世界にズッポリよ。無粋な邪魔が入りそうな露天風呂になんて顔出すワケない」
「つまりオトコはふたりっきゃいないってこと。それも両方ウブそうな若いヤツだから、入ってきたとしてもどうとでもなるし。ま、来ないだろーけど」

 ロリータさんと金髪さんが口々にご説明してくださいました。
 私はさっきのお廊下で聞いた物音を思い出します。

「へー、ずいぶん内部事情にお詳しいのね。あなたたちも連泊なの?」

 お姉さまのお尋ねに、初めて黒髪の女性がお口を開かれます。

「て言うかワタシたちは厳密に言うと宿泊客ではないの。今夜の宴会に呼ばれたコンパニオンなの。でも今朝方別のホテルからこっちへ移動中に、予定客のキャンセルを告げられて」
「明日もこの近くの別の旅館に呼ばれているって言ったら、そういうことなら今夜はここに泊まっていきなさい、って、女将さんが格安でお部屋を提供してくれたの」

 黒髪の女性のお声は落ち着いていて、他のおふたりよりも少しお年上みたい。

「へー、コンパニオンて宴会に呼ばれてお酌とかする人のことでしょ?ああ、それでさっきエイギョーがどうとか言っていたんだ」

 お姉さまのお言葉に金髪さんがお答えになります。

「うちらの場合はピンパニ、ピンクコンパニオンだけどね」
 
 そのお答えに俄然お身を乗り出されるお姉さま。
 好奇心満々なお顔でご質問攻め。

「それってお色気全開のコンパニオンのことでしょ?ねえねえ、具体的にどんなことするの?」
「うーんまあ、基本的にはセクシーな衣装でお酌して回ったり、あと野球拳とかツイスターゲームとか」
「乳揉まれたり、おサワリくらいは仕方ないかな、って感じ」

「全部脱いじゃったりするの?」
「ケースバイケースだけど、その場のノリだよね」
「うちなんかワザと後出しして負けて、先に脱いじゃうよ。明るい部屋でじじいのキタネー全裸なんぞ見たくもねーし、酔っぱらいじじいに下手に先に半勃ちチンコなんか出させたら、ヌケだのヤラせろだの、その後のフォローが超メンドクサそーじゃん」

「じゃあやっぱりその先も、ヌイたりヤっちゃったりもあるんだ?」
「表向きにはもちろんNGだけどね。ただ、旅館によってはわざわざ別室用意してるところもあったりはする。アタシはもちろん断わるけど」

「でも客がお金持ちだったら、チップもはずんでくれるんじゃない?」
「昔は凄かったみたいだけど最近は不景気でそうでもないのよ。どっちにせようちらのチームはウリはしないな」
「シヴォンヌ姉さんは前に特別料金で女体盛り、してたよね?」

 そんなふうにいささか品位に欠ける会話がしばらくつづきました。
 お三かたは思い思いに湯船におからだを沈められ、私たちは陸地の平らな岩に腰を落ち着けています。

「へー、あなたたちってチームなんだ?」
「そう。事務所から組めって言われて、たいていこの3人で営業してる。うちがカレンで、こっちの小柄なのがサラ、ナイスバディなのがシヴォンヌ姉さん」
「あっ、それって…」

 金髪さんのご紹介に思い当たる節があり、思わず声が出てしまいました。

「あ、カノジョわかるんだ?事務所が勝手につけた源氏名なんだけど、なんでも昔の外国のガールズグループのメンバーの名前らしい」
「これでもマシになったのよ。チーム組まされた当初なんて、うちがスー子でサラはラン子、姉さんがミキ子だったんだから」

 カレンさんのご説明に他のおふたりが苦笑されています。

「そっちのカノジョなんかエロ可愛いから、パニオンやれば一発で人気者になれるだろーね。うちの事務所、紹介しよっか?」

 カレンさんがからかうみたいにお湯の中から私を指さしてきました。
 ビクンと震えた私の肩に右手が置かれ、お姉さまが代わりにお答えくださいます。

「確かにこの子はエロいし、頭の中はいつもスケベなことで一杯なのだけれど、そのお話には乗れないの」
「なぜならこの子は男性嫌悪症で、女性からの辱めにしか性的興奮を覚えないどうしようもないヘンタイ娘だから」

 一斉に、あらま、というお三かたのお顔。
 お姉さまに促され、ふたりで岩から立ち上がりました。
 お姉さまの右手が私のウエストの帯に掛かります。

「今日ご一緒したのも何かのご縁でしょうから、みなさんのお暇潰しに、ここでちょっと虐めていただきなさい」

 お言葉と一緒に私の浴衣の帯がスルスルっと解けていきます。
 帯に挟んであったカッパさまこけしがスルスルッと滑り落ち、岩盤の地面に当たってコツンと小気味良い音を響かせました。

* 

2020年9月27日

肌色休暇一日目~幕開け 12

  一度イッたくらいじゃカッパさまは許してくださいませんでした。
 イッているのがわかっているのに、お姉さまに操られたカッパさまは、私のマゾマンコへの出挿りを止めてはくださいませんでした。
 たてつづけに二度、三度、結局合計4回もイカされてしまいました。

 はしたない声を抑えるのも困難になっていたので、最後のほうは手ぬぐいで猿轡をされ、それを噛み締めながらてイキ果てました。
 その時間、旅荘のお庭にいたかたなら間違いなく、私のあられもない喘ぎ声を耳にされたはずです。

「可愛かったわよ。呼吸が落ち着いたら、お部屋に戻りましょう」

 浴槽の縁に腕と顎を乗せ、息だけをハアハア荒げぐったりしている私の上半身を、お姉さまが背後からお優しく抱いてくださっています。
 まだドキドキ跳ねている私の胸を、お姉さまの両腕がやんわり包んでくださっています。
 背中に当たっているお姉さまの硬くなったニップルが心地よく、いつまでもこうしていたい気持ち。

 しばらくそうしているうちにドキドキも鎮まってきて、お姉さまに促されて浴槽を出ました。
 幾分弱まったかな、くらいの残暑の陽差しの中、紛れもない屋外で全裸のふたり。
 お姉さまが先にサクサクと全身の水滴をバスタオルで拭われ、それから私のからだも拭いてくださいました。

 バスタオルのザラついた感触が肌を擦るたび、ゾクゾクッと官能がぶり返します。
 やだっ、たてつづけのオーガズムで、最近よく陥るイキ癖の状態になっちゃったみたい…

「なに肌に触られるたびにビクンビクン感じているの?ひょっとしてもう、どMモードに入っちゃった?」

 お姉さまは私のイキ癖状態を、どMモードとお呼びになります。

「は、はい…なんだかメチャクチャにして欲しい気分です…」

 今の気持ちを正直に告げ、媚びるようにお姉さまを見てしまいます。

「まだ着いたばっかりじゃない?早過ぎ。それに、あたしとふたりきりでメチャクチャにされても、直子には刺激が足りないのではなくて?直子は、辱められる姿を誰かに視られてこそ乱れるヘンタイさんなのだから」

 お部屋への引き戸が開けられ、私の肩を抱いて室内へと押し込まれるお姉さま。
 お部屋に入ると引き戸をピシャリと閉められ、スタスタと冷蔵庫のほうへと向かわれました。

「ほら、これでも飲んで少し落ち着きなさい。まだ陽があるうちに、お庭や館内も散策してみたいじゃない?」

 冷蔵庫から取り出されたスポーツドリンクを手渡してくださいました。
 キャップを捻ってゴクゴクっと一口。
 
 ふーっ。
 冷たい液体が喉からお腹へと染み渡り、性的ではない心地良さ。
 少しだけ理性が戻り、あらためて室内を見回します。

 座卓の上では、私とお姉さまのスマホ、それにハンディビデオカメラが仲良く並んで充電中。
 電車のあいだ中、私の中に埋まっていたローターも、フェイスタオルの上に無造作に置かれています。
 その横に、私を存分に悦ばせてくださったカッパさまがお仲間入りして甲羅干し。
 箪笥のそばでは、お姉さまが全裸のままで、ご自分のバッグ内を物色中。

 考えてみると、ベッドルームならともかく日中の普通の室内でふたりとも全裸、という状況も、あまり記憶にありません。
 こちらへ突き出されている形の良いお尻を眺めながら、温泉旅行に来ている、というありがたみを実感します。

 お隣の、おそらく寝室なのであろう畳のお部屋との襖が開け放たれ、太い木の立派な柱が一本剥き出しとなっています。
 途端に以前見たことのある純日本風な緊縛写真を思い出し、あの柱にあられもない姿で縛リ付けらてみれたい、と思ってしまいます。
 縄を掛ける梁もあるし、後ろ手縛りで片足だけ大きく吊り上げられて…

 目を瞑ってそんな妄想にふけってから目を開けたら、お姉さまはいつの間にか下着姿。
 それも上はスポーツブラみたいな形、下は男性用のボクサーショーツみたいないでたち。
 薄いベージュの布地でお姉さまの宝物が隠されしまいました。

「お姉さま?それって…」
「うん。温泉なら浴衣、と思って持ってきたのよ、和装用の下着。わかっていると思うけれど、直子の分は無いわよ」

 お姉さまがニヤニヤ笑いで近づいてこられました。

「本来着物とか浴衣って素肌の上に下着無しで直に着るものだしね。裸コート大好き人間の直子が浴衣の下に下着なんてありえないでしょ?」
「ちなみに直子が今日着ていた服一式、ワンピも下着も前結びシャツもデニムパンツも、今、洗濯してくれているから明日の朝まで返ってこないわ」

「えっ?いつの間に?」
「キサラギさんを呼んだのよ、直子を露天風呂に締め出した後に。チップ渡すの忘れちゃったから」
「袖の下って、着いた途端に渡しておかないと意味ないじゃない?」
「呼ぶ口実でランドリーサービスを頼んだの。直子がサカって汚したショーツとパンツは渡す前に洗面で軽く水洗いしておいたから安心なさい」

「だから、この宿に宿泊中、直子が着てもいい服はその浴衣一枚だけ。もしくは全裸ね」
「あたしが着終えたら直子に着付けしてあげるから、ちょっとそのまま待っていなさい」

 お姉さまがご自分で選ばれた紫色寄りの青い浴衣の入ったビニール袋を破り、取り出されます。
 その脇には私の水色浴衣のビニール袋。

 そそくさと袖を通されたお姉さまは、慣れたお手つきで前を合わせられ、手際よくウエストに帯を巻きつけます。
 温泉浴衣ですから幅広のちゃんとした帯ではなく、細い一本帯。
 それでも器用に巻きつけた帯に帯の端を何度かくぐらせ、ウエストの左前に羽を開いたトンボさんが上を向いてぶら下がるみたいな、綺麗な帯締め姿になられました。

「どう?」

 浴衣を着終えられ、ちょっとお胸を反らして気取られたポーズをお取りになるお姉さま。
 スレンダーなおからだのラインに沿って真っ直ぐに伸びる浴衣の生地。
 適度に開いた襟元、ほどよく覗く細い足首。
 落ち着いた青色もよくお似合いで、全体的にスラッとシャープで粋な浴衣美人さま。

「ス、ステキです、お姉さま!ステキ過ぎます」

 思わず上ずった声でのお返事になってしまいます。

「ありがと。直子にも着せてあげるから、こっちへいらっしゃい」

 水色浴衣のビニール袋をお手に取り、座卓から離れて引き戸前の広めなスペースに移動されるお姉さま。
 全裸の私も喜んでお姉さまの御許へ。
 ビニール袋を破って浴衣を取り出され広げられたお姉さまのお顔が束の間、おや?という具合に曇りました。

「あたしに背中向けて立っていて」

 ご指示通りに露天風呂のほうへ顔を向けて立ちます。
 ほどなく両肩にパサッと布地が掛かり前合わせが胸を覆ったので、そそくさと両腕を袖に通します。

「ああ、やっぱり…」

 お独り言のようなお姉さまのお声。
 私も羽織った瞬間に気がつきました。

 私が羽織っている水色浴衣、裾が余って床面まで落ちてしまっているんです。
 つまり丈が長過ぎる。
 お姉さまの浴衣姿を見て、同じサイズだったら私が着たらくるぶしまですっぽり隠れちゃうかな、なんて思ってはいたのですが、それどころではない余りよう。

「これじゃあ、おひきずりさんになっちゃうわね。明らかにサイズ違い。取り替えてもらわなくちゃダメね」

 後ろ襟が背後から引っ張られ、スルスルっと私のからだから去っていく水色浴衣。
 あっという間に全裸に逆戻り。
 お姉さまのほうへ振り向くと、水色浴衣の裏地側を丹念に調べられています。

「ほらやっぱり、TLって書いてある。キサラギさんに言って取り替えてもらいましょう」

 水色浴衣を素早く軽くたたんで座卓のビニールの上に置き、館内電話の受話器をお取りになるお姉さま。
 あの、えっとお姉さま?ということは私、キサラギさまを全裸のままお迎えしなくちゃ、ですか?
 しばらく鳴りを潜めていたマゾ性がキュンキュン戦慄き始めました。

「すぐ来てくれるって。よかったじゃない?キサラギさんにハダカ視てもらえて」

 受話器を置いたお姉さまがニヤニヤ笑いで近づいてこられます。
 ぶつかるほどの距離まで対面して、お姉さまの右手のひらが私の両腿の付け根を覆いました。
 声を出す暇もなく薬指だけが直角に立てられ、粘膜穴にズブリと差し込まれました。

「はぅんっ!」
「またこんなに濡らしちゃって。マゾマンコもずいぶん熱くなっているわよ?」

「キサラギさんが来る、って聞いただけで、こんなに興奮しちゃっているの?本当、浮気者なんだから」
「どうする?服従ポーズでお迎えする?それとも待受画像のポーズがいいかしら」
「でも直子は恥ずかしがりたいのよね?なんなら精一杯隠していてもいいわよ。それで直子が興奮出来るのなら」

 イジワルなお顔で膣穴をクチュクチュ虐めながらの、お姉さまからのお言葉責め。
 後頭部に両手を当てて、アウアウ喘ぐ私。
 そのとき、コンコン、と玄関扉をノックする音。
 
 お姉さまの右手がスッと下腹部から離れたとき、お姉さまの薬指と私の膣穴のあいだにか細い糸がススーっと引き、プツンと切れました。
 その指をご自分のお口でジュルルっと舐め取ったお姉さまが、はーいっ、どうぞぉ、と大きなお声でお応えされました。

「このたびはお手数をお掛けしてしまい、申し訳御座いません」

 平身低頭なご風情のキサラギさまが風呂敷包みを抱えて座卓前へ。
 あれ?背後にもうおひとかたいらっしゃる…

「ごめんなさいね。お見せする浴衣を選ぶとき、係の者がそのお色だけサイズを取り違えてしまったようですの」
「ここ最近は、ありがたいことに外国人のお客様も増えてまいりまして、背の高い女性の外国人様用に丈の長いサイズを導入してから、まだ日が浅いものでして…」

 キサラギさまにつづいてお部屋へ入ってこられたのは、レモンイエローの付け下げがエレガントな女将さまでした。
 女将さまはキサラギさまの斜め後ろにスッとお立ちになり、まっすぐに私を見つめています。

 私は玄関が開く音を聞いた瞬間に、ヴィーナスの誕生ポーズを取っていました。
 すなわち、右腕でバストを庇い、左手で股間を隠す羞じらいのポーズ。
 お部屋に人が訪れてくるのがわかっていたのに全裸で待っていたのですから、今更羞じらいも何もないのですが。

「あらあら、直子さまは裸のまんまでしたのね。本当にごめんなさいねぇ」

 女将さまが薄い笑みを浮かべたお顔で私におっしゃいます。
 その視線が舐めるように、私の頭の天辺から爪先までを幾度か往復しました。
 股間を押さえている左手のひらの指先近辺が、ヌルっと潤みました。

「いいんですよ。バスでもご説明したように、この子はそういう子ですから」

 お姉さまがご愉快そうにフォローにならないフォロー。

「やはりトールサイズでした。Mサイズの保管ラックに何かの拍子でトールサイズが紛れ込んでしまったようです。申し訳ございません」
「わかりました。二度とこんな間違いが起こらないように、戻ったらすぐ、保管庫内の全色全サイズを点検し直してください」

 キサラギさまと女将さまの緊張をはらまれた遣り取りの後、キサラギさまがご持参された風呂敷包みを解かれました。
 中には同じ水色の浴衣が入ったビニール袋。

「念の為、MサイズとSサイズをお持ちしました」

 キサラギさまが座卓の上に並べられ、女将さまが私とお姉さまを交互に見遣ります。

「渡辺さま、のお姉さまがお召しになられているのは、Mサイズですよね?」
「あ、はい。たぶん…」

 女将さまに尋ねられ、お姉さまが自信なさげなお答え。
 キサラギさまがスタスタっとお姉さまへ歩み寄られます。

「失礼いたします。少し身を屈めていただいて、襟足をお見せいただけますか?」

 キサラギさまにおっしゃられ、お姉さまが少し前屈みになられて後ろ髪を上げて手で押さえ、お綺麗なうなじをキサラギさまに差し出します。
 お姉さまの後ろ襟に手を差し入れ、お姉さまの横からつま先立ちで襟足を覗き込まれるキサラギさま。
 やがて、Mサイズでした、というキサラギさまのお声が聞こえました。

「ごめんなさいね。浴衣の衣紋にサイズ表記が見えてしまうのは無粋ですから、タグの裏側に小さく書いてありますの。お召しになられていなければ、掛衿の裏にもあるのですけれど」
「それにしても、お姉さまの着こなしはお見事ですわ。どなたかに習われたのですか?」

 女将さまが嬉しそうにお姉さまへお尋ねになります。

「あ、いえ、あたしも一応アパレル関係を仕事にしていますので、和装も一通りのことは学校や独学で」
「ああ、服飾関係っておっしゃっていましたっけ。それにしても、帯はお綺麗な元禄結びですし、衣紋抜きもちゃんとお作りになられていて、さすがですわ」

「お褒めいただいてありがとうございます。この子の浴衣も、少しくらいの余りだったら、おはしょり作ればいけるかな、とも思ったのですが」
「いえいえ、浴衣帯でこの余分な長さでおはしょり作るのは、わたくしどもにも無理です。ご迷惑をお掛けしてしまって、本当に申し訳ございません」

 女将さまとお姉さまの、私にはチンプンカンプンな和装談義が終わり、再びみなさまの視線が私に集まります。

「お姉さまでこの着丈でしたら、直子さまにはSサイズのほうが可愛らしいでしょう。キサラギ、着付けして差し上げなさい」
「かしこまりました」

 女将さまのご指示でキサラギさまがビニール袋をお開けになり、水色浴衣をお広げになります。
 それを小脇に抱え私の背後へ回られるキサラギさま。
 私のすぐ目の前には、お姉さまと女将さまが並ばれて、私の裸身をじっと見つめています。

 純和風な木と畳のお座敷で、粋な和装のお綺麗な女性お三かたに囲まれた全裸の私。
 またもや以前見たSM緊縛写真の一コマが脳裏によみがえります。

「それではお嬢さま、着付けをさせていただきますので、両腕をだらんと左右に下げてお立ちください」

 いきなり、お嬢さま、と呼ばれて面食らったのも束の間、おっしゃられた内容はお言葉責めそのもの、自ら手をどけて、目の前の方々に何もかもをお見せなさい、という私へのご命令。
 ヴィーナスの誕生を禁じられてしまいました。
 目前のおふたかた、とくに女将さまのほうがググっとお顔を突き出されるようにお身を乗り出されてこられます。

 今の私は、普通の全裸ではありません。
 ふたつの乳首と股間の割れスジを、否が応にも視線を惹きつけたいみたいに日焼けさせられた全裸。
 広めの乳輪と尖りきった乳首、無毛の恥丘と割れスジ、腫れ上がった肉芽に嫌でも目がいってしまう、それらの部分だけをピンポイントに青白く焼け残した日焼け跡。
 
 首周りの首輪状の日焼け跡も含めて、この全裸では、どんな言い訳も出来ないのです。
 私が視られたがりのマゾ女であるという事実に対して。
 
 それらを遂に、私のヘンタイ性癖をご存知ではない第三者さまにお披露目しなくてはなりません。
 それもこんなにお綺麗でエレガントな若女将さま、きり乃さまの至近距離ご面前で。

 まずゆっくりと左腕を、両乳房から外します。
 女将さまのお口が、あらまあ、の形に動かれ、痛いほどの視線が精一杯背伸びする両乳首に注がれます。

 それから今度は、マゾマンコを覆っていた右手をそっと外しました。
 覆っているあいだ中、下腹部でどんどん高まる熱気を手のひらに感じていました。
 指先が離れたとき、糸が幾筋か引いた気がします。

 私は、お言いつけ通り両腕を左右にだらんと垂らし、生まれたままの姿で女将さまの前に立っています。
 女将さまの視線は吸い寄せられるように私の股間へと移り、じっと視つめられた後、傍らのお姉さまに何やらコソコソ耳打ちされています。
 ハイジニーナ、という単語が聞こえた気がします。
 
 破顔一笑、ご愉快そうな笑顔のお姉さま。
 私は恥ずかしくってたまりません。

 なのにキサラギさまは、なかなか浴衣を羽織らせてはくださいません。
 絶対ワザとです。
 私の肩越しから女将さまをご覧になり、女将さまがご満足されるまで、私の裸を晒し者にされるおつもりなのでしょう。

 実際には10数秒くらいだったでしょうか。
 私が両腕を垂らしてから、私には永遠にも感じられる恥辱の時間が過ぎた後、唐突に両肩に布の感触がありました。

 それからは あれよあれよ。
 キサラギさまにご操縦されて、右を向いたり左を向いたり、両腕を上げたりグルっと回ったり。
 あっという間にお姉さまと同じくらい綺麗に、浴衣を着せられていました。

 お姉さまは、と見ると、女将さまと何やらくだけたご様子でご談笑中。
 おふたりがときどき私のほうをチラ見されるのは、たぶん私の性癖について、お姉さまが面白おかしくご説明されているのでしょう。

「お姉さまとお揃いに、帯は元禄結びにしておきました。もし解いたら、いつでも呼んでくださいましね。もちろん、お姉さまに頼まれてもかまいませんが」

 キサラギさまがお優しくおっしゃってくださり、スタスタと座卓のほうへ戻られ、間違ったほうの水色浴衣をお綺麗な正座姿でたたみ始めます。

「あら、終わったのね。いいじゃない。やっぱりSサイズで正解ね。丈もぴったり、可愛らしいこと」

 女将さまが嬉しそうなお顔で私に近づいてこられます。
 今度の浴衣の丈はくるぶしの上、脛も少し見えちゃうくらい短いので、少し子供っぽいかな、とも思うのですが。

「やだ、直子ったら、浴衣着ても乳首の位置、ちゃんと丸わかりじゃない。本当に元気のいいド淫乱乳首だこと」

 お姉さまに呆れられたお顔でご指摘され、自分の胸元に目を落とすと…
 確かに左右のその位置に、水色の布地を突き破らんばかりに、尖りきった乳首が自己主張していました。
 瞬く間に全身がカーッと羞恥色に染まります。

「まあまあ、色っぽくっていいじゃない?直子ちゃんも和服は素肌に着たいタイプなのよのね?わたくしもそうなの」

 女将さまが助け舟?を出してくださいます。
 さま、から、ちゃん付けに呼び方が変わったのは、打ち解けてくださった、と理解して良いのでしょうか。
 女将さまもキサラギさまも、到着した当初とはずいぶんご対応がくだけられた気がします。

「わたくしも和装のときは下着類は一切、身に着けないの。今だってそうよ。襦袢は着ているけれどね。そのほうが身が引き締まるの」
 
 女将さまがお胸を張るように、シナを作られたポーズを取られます。
 もちろん女将さまのニップルの位置はわかりません。

「そうそう直子ちゃん、早速差し上げたこけしも使ってくださったのね?どうだった?」

 女将さまの視線が座卓の上のローターのお隣のカッパさまを見遣り、ご興味津々なお顔で再び私に戻ります。

「あ、いえ、あの、えっと、あ、ありがとうございますっ」

 何てお答えしていいかわからず、しどろもどろな私。

「そう。あれよりも一回り太いのもあるのよ。お使いになられたい?」
「あ、いえ、あの、あれで結構です。あ、いえ、あれが、あれでちょうどいいです…」
「そう。お役に立てたようで、良かったわ」

 ひょっとしたら女将さまって、すごくえっちなかたなのかもしれません。

「とにかくこのたびは、余計なお手間をお取らせしてしまいまして、本当に申し訳ございませんでした。この後もどうぞ、ごゆっくりお寛ぎくださいませ」

 責任者のお顔に戻られた女将さまがキサラギさまともども深々とお辞儀され、お戻りのご準備。

「そう言えばおふたり、裏の野外露天風呂にはもうお入りになられました?」

 玄関口までおふたりをお見送りに出て、女将さまがこちらを振り返ってのお一言。
 お姉さまとふたり、フルフル首を左右に振ります。

「ぜひお入りになってくださいませ。手前味噌になりますが周りの景色が見事で広くて、本当に気持ち良いんですのよ。まだ4時過ぎですし、暗くなるまで間もありますし」
「まったりとお肌に絡みつくような泉質で、直子ちゃんのお気に召すこと間違いないの」
「他にお客様がいらっしゃなければビデオ撮影されても結構ですのよ。直子ちゃんのお綺麗過ぎるパイパンに、晩夏の緑がとても良く映えると思いますし、きっとあのこけしも悦びます」

 恥ずかし過ぎるご助言を残され、女将さまとキサラギさまがお部屋を出ていかれました。