2016年11月13日

非日常の王国で 05

 おふたりのお背中がドアの向こうに消えたのを確認してから、自分のおっぱいに視線を落としました。
 乳首にガブッと噛み付いて銀色に輝くふたつの目玉クリップ。
 そのうち右のほうの持ち手をそっと指でつまみます。

「はうっぅぅ!」
 目尻に涙が滲みそうな激痛の後に訪れる疼痛をともなう甘い開放感。
 潰されていた皮膚がゆっくりと膨らんでいくのがわかります。
「あうっぅん!」
 2度めの激痛に身を捩らせると同時に、左右の手のひらでおっぱいをひとつづつ、ワシづかみで揉みしだいていました。

 リンコさまがデスクの上に残してくださったバスタオルで、とくにビショビショヌルヌルな股間を押さえつつ、社長室に戻りました。
 これからオフィス外の給湯室まで行ってお水を汲んできて、汚してしまった綾音部長さまのデスクや周辺の床をキレイに拭き掃除しなければいけません。
 バスタオルで軽く全身の汗を拭ってから、お外に出るとき私に唯一許された衣服、先ほど持ってきてくださった白衣をハンガーから外しました。

 手に取ってみると、クタッとした柔らかい生地で軽い感じ。
 そそくさと両腕を通しました。
 敏感になっている乳首や腫れたお尻を布地が滑り、ゾクゾク感じてしまいます。

 着丈は膝上で7分袖、ストンとしたAラインシルエットでちゃんとボタンが左前のレディース仕様。
 ボタンはおっぱいの谷間あたりから下腹くらいまでの4つ。

 ボタンをすべて留め終えると、我ながら妙に似合っている感じ。
 なんだか自分がインテリになって、何やら難しい分野の研究者にでもなったような錯覚を覚えちゃいます。

 ただし、よく見ると∨ゾーンが意外と空いていて、前屈みになったっら隙間からおっぱい全部が覗けちゃいそう。
 更に、柔らかい生地なので、少しでも胸を張ると、白衣上にバストトップの位置があからさまに明示されてしまいます。
 この格好で廊下に出るんだ・・・
 まさしく裸コートに臨むときと同じドキドキ感に全身が震えました。

 そっとオフィスのドアを開き、廊下を窺います。
 夕方5時前のオフィスビルはしんと静まり返り、人影はありません。
 リノリュームの床をカツカツと早足のヒールで蹴り、廊下の直線上右手にある給湯室へと急ぎました。

 給湯室に飛び込んでホッと一息。
 幸い誰にも会わず視られずに済みました。
 蛇口をひねってバケツにお水を汲みつつ、シンクの前の鏡を覗きます。
 白衣の胸元から覗く白い肌が少し汗ばんで、ほんのり上気しているのがわかります。

 せっかくお水を使えるのだから、ここでちゃんとからだを拭いていこうか。
 汗まみれ汁まみれになった後、乾いたバスタオルで拭いただけだったので、からだがベトベトしている気がしていました。
 この給湯室は我が社専用なので、知らない誰かが入ってくる心配はありません。

 そそくさと白衣を脱いで全裸になり、濡らしたタオルで全身を拭きました。
 ミサさまの鞭さばきで熱病のように疼くお尻に、冷たいタオルをあてがったときの気持ち良さと言ったら・・・
 思わず、あーーーっ、と深い溜め息を洩らしてしまったほど。

 この数ヶ月の勤務で見慣れた場所となった給湯室で全裸になったことで、入社する前にお姉さまに案内されて初めて訪れたオフィスでの面接のことを、唐突に思い出していました。
 
 あのときは土曜日でフロアが閑散としていたとは言え、バスタオル一枚で廊下を歩かされ、給湯室のすぐ隣のおトイレで全裸にされちゃったんだっけ。
 それで戻るときは、全裸で廊下に立たされ坊主みたいに放置され、お姉さまが放リ投げたショーツをワンちゃんみたく四つん這いで拾いに行かされて。
 そうそう、正確には全裸じゃなくて、首輪から繋がったチェーンで乳首にチャームをぶら下げ、ラビアクリップで粘膜を押し広げられ、クリットはテグスで絞られてるという破廉恥ドマゾな姿でした。
 あの日感じた、胸を締めつけるような恥辱感が鮮やかによみがえり、性懲りもなく股間が潤んできます。

 だめだめ。
 さっさとお片付けをしなくっちゃ。
 股間に伸びそうになる右手を諌めて再び白衣を着込み、片手にはお水をなみなみとたたえたバケツと雑巾、もう一方の手にはモップと数枚のタオルを持って、給湯室を出ました。

 出てすぐ、廊下の向こうに人影があるのに気づきました。
 淫らモードですっかり気が緩んでいたので、思わず、えっ!?と声をあげて立ちすくむほどびっくりしてしまいました。

 給湯室の脇にあるおトイレへ向かう、同じフロアの別会社の社員さんのようでした。
 白い半袖ワイシャツにストライプのネクタイ、髪をきっちりと七三に分けた30代くらいの男性がズンズンと私のほうに近づいてきました。

 私は、人影に気づいた瞬間にサッとうつむき、廊下の端を重いバケツのせいで幾分ヨタヨタという感じで歩を進めたので、その男性が私をみつけて、どんなリアクションをされたかはわかりません。
 でも、すれちがうときにちょっと会釈気味に頭を動かして窺った感じでは、困惑されているご様子でした。

 それはそうでしょう。
 お医者さまか研究員のような白衣を着た女性が、場違いなバケツとモップを持って廊下をトボトボ歩いているのですから。
 普通に考えてミスマッチ。
 すれ違った後も、振り返った男性からの怪訝そうな好奇の視線を背中に感じていました。

 それとももっと踏み込んで、この不自然に開いた胸元の谷間や、布を押し上げる突起まで気づかれちゃったのかも。
 白衣には合わない首輪型チョーカーまでしているし。
 そっちの方面に詳しい人なら、それだけで私がどんな女なのか、ピンときちゃったかもしれません。

 このフロアの廊下にときどきエロい女が出没する・・・なんて噂になっちゃったりして。
 心の中に得体の知れないどす黒い霧のようなものがモヤモヤと広がりました。
 すれ違った後も極力ゆっくりと歩き、いったん自分のオフィスのドアを通り越し、振り向いて廊下に男性の姿が無いのを確認してから、急いで後戻りしてオフィスのドアに飛び込みました。

 オフィスに戻ったら白衣は脱がなければなりません。
 全裸になって綾音部長さまのデスクを拭き始めます。

 廊下で他の会社の男性社員と出会ったことで、今自分がしている行為のアブノーマルさを今更ながらに思い知らされました。
 このオフィスの壁一枚向こうは普通の世界。
 健全な社会人のみなさまが健全に社会生活を営む公共の場所なのです。

 先ほどの男性がおトイレから戻るとき、まさか廊下沿いの壁の向こう側で、さっきすれ違った白衣の女が全裸になって床掃除をしているなんて、思いもしないでしょう。
 私がしていることは、それほど世間的に考えて異常、つまりヘンタイ的なことなんだ・・・
 被虐と恥辱と背徳に身悶えしながら、モップも使わず自ら四つん這いになり、精一杯の罪滅ぼしのつもりで一所懸命床の拭き掃除をしました。

 リンコさまとミサさまは、その日からほぼ毎日、オフィスで私を恥ずかしい格好にして愉しまれました。
 たいていは午後、綾音部長さまがお出かけになって3人になったとき。

 ある日は、イベントのときに着たシースルーのスーツ上下で勤務。
 ある日は、本当に全裸に白衣だけで、初めてのお客様にお茶出しをしました。
 お茶をお出しするときはどうしても前屈みになってしまうので、∨ゾーンから生おっぱいが丸見えになっていたと思います。
 リンコさまのお客様としていらしたアジア地域の生地のバイヤーだという妙齢のお綺麗な外国人女性のかたは、困ったような呆れたようなお顔で、アリガトと微笑んでくださいました。

 綾音部長さまがずっとオフィスにいらっしゃるときは、メールで指令が来ました。
 その日のご命令は、素肌に短いブラウスだけ着て、下半身は丸出しで勤務。
 綾音さまがいらっしゃるのに、とドギマギしながらもご命令に従って社長室でパソコンに向かっていると、綾音さまから呼び出しがかかりました。

 どうしよう!と思い、その日穿いてきたジーンズに思わず手が伸びたのですが、ブルルっとケータイが震え、そのまま行きなさい、というメール。
 私の行動はすべてリンコさまとミサさまに監視カメラでお見通しなのでした。
 おずおずとそのままの格好で綾音さまの前へ出ました。

 私の姿を視た綾音さまは、一瞬ギョッとされたようでしたが、すぐにニヤッと唇の端をお上げになりました。
 それから、まるで変わったことなんか何ひとつ無いかのようになお顔で、業務の打ち合わせを始められました。

 はい、はい、と綾音さまのお言いつけのメモを取りつつ私は、このオフィスで私がこんな破廉恥な格好をしていることもスタッフのみなさまには普通のことになってしまったんだなー、と、ひどくみじめなような、でも嬉しいような、フクザツな気持ちになっていました。

 そんなこんなの日々が過ぎて迎えた金曜日。
 お姉さまが出張からお戻りになる日なので、朝からルンルン気分。
お姉さまが似合うとおっしゃってくださった、ボディコン気味な白いニットのミニワンピを着て出社しました。
 もちろん首にはお姉さまからのプレゼントの首輪型チョーカーを嵌めて。

 オフィスには綾音部長さまと開発部のおふたり。
 綾音さまには午後、ご来客のご予定があるので、今日はお出かけされないのでしょう。
 お姉さまは午後2時頃出社予定なので、今日はリンコさまもミサさまもちょっかいをかけてこないのではないかな、と勝手に予想していました。

 午前中、いつものルーティーンワークで郵便局や銀行を回り、頼まれごとのおつかいなども済ませた11時過ぎ。
 オフィス最寄りの地下鉄の入口付近で、誰かに後ろからポンと肩を叩かれました。

「直子さん?」
 振り返るとほのかさまが人懐っこく、ニコッと笑っていらっしゃいました。
「あ、ほのかさま。お疲れさまです。今お戻りですか?」
 そう言えば今日は、ほのかさまも出張からお戻りになる日でした。

「そうなの。名古屋で間宮部長と別れて、わたしだけ一足お先にね」
 大きめ無機質なトラベルキャリーカートとシュッとした濃紺のビジネススーツ姿のほのかさまは、いかにも仕事の出来る営業ウーマン、という感じでカッコいい。

「直子さんは銀行?」
「はい。今日はどこも空いていて早く終わったので、これからオフィスに戻ろうかと」
 ほのかさまとお顔を合わせるのはイベント開けの月曜日以来なので、なんだか気恥ずかしい感じです。

「そうなんだ?それならちょっとお茶していかない?わたし、昨日の夜から何も食べていないから、はしたないのだけれど、とってもお腹空いちゃっているの」
 ほのかさまが、お綺麗なお顔を情けなさそうに少し歪め、可愛らしくおっしゃいました。
「直子さんとは、イベントの後ほとんどお話出来なかったし、お昼までに戻れば大丈夫よね?今オフィスには、どなたがいるの?」
 私がお答えするとほのかさまはすぐ、ご自分の携帯電話を取り出してかけました。

「早乙女部長からお許しをいただいたわ。ちょこっとお茶して、それからふたりでオフィスに戻りましょう」
 ニッコリ笑いかけてくるほのかさま。
 そのままカートを引っ張って颯爽と歩き始めました。

 腰を落ち着けたのは、オフィスビルにほど近い、あちこちでよく見かけるチェーン店のカフェテラス。
「お昼前だからあんまり混んでいなくてよかった」
 差し向かいのテーブル席で、ツナを挟んだイングリッシュマフィンとサラダの乗ったプレートとミルクティを前にしたほのかさまがおっしゃいました。
 ガラス張りの明るい店内は、半分くらいの入り。
 ご年配な男性おひとり客と、ショッピングらしきヤングミセスのグループが目立ちます。

「直子さんは、今日もおべんとなのね?」
 アイスレモンティだけ前にした私を見て微笑むほのかさま。
 大きなカートを引っ張っていたので、カートを脇に置ける一番奥壁際の席に通されました。

 お食事のあいだは、ほのかさまがご出張中にお相手されたユニークなクライアントさまの話題。
 マフィンを優雅に頬張りつつ、面白おかしくお話してくださるほのかさまに、何度もクスクス笑わされました。
 やがてお上品にお口許をナプキンで拭ったほのかさまがお紅茶で一口喉を湿らせてから、じっと私を見つめてきました。

「イベントのときの直子さん、凄かった。びっくりしちゃった」
 周りに聞かれてはいけない種類のおしゃべりをするときみたいに、グッとお声を沈めておっしゃいました。
 そのお言葉を聞いた瞬間、私は、来たっ!と思いました。

 実は、ほのかさまにお茶のお誘いいただいたときから、ほのかさまとふたりきりになることについて、そこはかとない居心地の悪さをずっと感じていました。
 その原因は、イベントのときのほのかさまのご様子でした。

 他のスタッフのみなさまは、私が破廉恥な格好をしてはしたない振る舞いをするたびに、何て言うか、好色な好奇心を露わにして愉しんでくださっているように感じました。
 だけど、ほのかさまだけは始終、当惑されているような、動揺されているような、俗な言葉で言えば、ドン引きされているようなご様子に見えました。

 ひょっとしたらほのかさま、こういうヘンタイ性癖には、まったくご理解をお持ちにならないかたなのかもしれない。
 プレイとしての虐めではなく、人間として本気で嫌悪されてしまったらどうしよう・・・
 いくらマゾで人から虐げられるのが好きな性癖と言っても、私が大好きで尊敬しているほのかさまから生理的に嫌われてしまうのは悲しいことでした。

 おそらくほのかさまは、イベントのときの私の浅ましい振る舞いに対して、何かご意見があって私を誘ったんっだ・・・
 あなたみたいな不潔な人は大嫌い。
 もしくは、今からでも遅くはないから、真っ当な人間に戻りなさい。
 面と向かって、そう言われたらどうしよう・・・
 ニコニコとフレンドリーな今のご様子も却って不気味に不安感を煽り、胸が張り裂けそうにドキドキし始めました。

「直子さんは、あんなふうに恥ずかしい服装を人に見せたり、辛い命令に従ったりすることが嬉しくて、気持ちいいのよね?」
 相変わらずヒソヒソ人目を憚るように尋ねてくるほのかさま。
「は、はい・・・ご、ごめんなさい・・・」
 私には小さな声で、そう正直に答えるしかありません。

「ううん。直子さんが謝ることではないの。わたし、そういうの疎くてよく知らなかったからびっくりしてしまって」
 ほのかさまのお声が幾分普通に戻り、ティーカップに一口、唇をつけられました。

「そういうご趣味の人がいるらしい、っていうことはなんとなく知っていたのだけれど、まさか自分のこんな間近にいるとは思っていなくて・・・正直、直子さんがみんなの目の前でオシッコし始めちゃったときは、心臓が止まるかと思うくらい、ショッキングだったわ」
 その場面を思い出すかのように、形の良い顎を少し上げて天を仰ぐほのかさま。

「あの、ごめんなさい。あのとき、ほのかさまがあのペットボトルを・・・」
「あはは。そうだったわね。でもいいのよ。あのときわたし、ドキドキし過ぎちゃって、あれ以上直子さんの前に居られそうになかっただけだから」
 おやさしく微笑まれるほのかさま。

「あの後、まだ生温かいペットボトルの中身をおトイレに流しながら、世の中っていろんな人がいるんだなー、って、しみじみ思っちゃった」
 ほのかさまのイタズラっぽいお声。

「出張中二日間、間宮部長と一緒だったから聞いちゃったの。直子さんのこと、どう思われますか?って」
 ほのかさまが優雅にポットからティーカップへおかわりのお紅茶を注ぎながらつづけました。
「そしたら間宮部長、すごく嬉しそうにいろいろ教えてくださったの」

「チーフたちと学校で服飾部の頃、同学年に亜弓さんていう、直子さんと同じご趣味をお持ちの同級生がいらしたのですってね」
「それで、風でめくれやすい軽いスカートとか、濡れたら見事に透けちゃうブラウスとかを着せて街に出て、いろいろ虐めて遊んでいたって愉しそうにおっしゃっていたの」

「そのかたと同じ匂いがするから直子さんだって、傍から見ると辛そうだけれど、あれで内心は絶対悦んでいる、って断言されていたわ。マゾってそういうものだ、って」
「だから直子さんが虐められている、って気に病むことはないし、ほのかも直子が悦ぶようなことをどんどんしてあげればいいって」
「そんなふうに諭されて、わたしもずいぶん気がラクになって、どんどん好奇心が湧いてきちゃったの」

 私の頭の中では、ほのかさまと雅部長さまが瀟洒なホテルの一室で、お互い裸に近い格好でからだを寄せ合い、私のことを楽しげに話題にしている妄想が浮かんでいました。
 それはとても耽美で美しく、うっとりするほど理想的な百合ップルの光景でした。

「・・・なのよね?」
 すっかり妄想に耽っていた私の耳に、ほのかさまが私へ問いかけるようなお声がぼんやり聞こえました。
「えっ、あっ、ごめんなさい・・・ほのかさまに私のはしたない性癖を知られてしまった恥ずかしさで、少しボーッとしてしまいました」
 訳の分からない言い訳を口走る私。

「ううん。気にしなくていいのよ。それが本当の直子さんなのだったら、わたしも協力したいなって」
「だから、わたしも何か命令したら、直子さんは従ってくれるの?、って聞いておこうと思ったの」
 私の首のチョーカーをじっと見つめつつ、相変わらずたおやかに微笑んでいるほのかさま。

「あ、はい、もちろんです。チョーカーをした私は、スタッフのみなさま全員のせ、性的なドレイ、ですから・・・」
 自分で言葉にしながらゾクゾクっと被虐感が背筋を駆け上ります。
 調子に乗って、こんなことまで付け加えてしまいました。
「大好きなほのかさまが虐めてくださるのなら・・・マ、マゾな私にとって、こんなに嬉しいことはありません」
 私のショーツのクロッチ部分は、もうグショグショでした。

「間宮部長が面白いことをおっしゃっていたの」
 ほのかさまが今まで見たことの無かった艶っぽい表情でおっしゃいました。
「SMっていうと、一般的にはMの人が虐められて可哀想っていうイメージだけれど、実はMの人のほうが愉しんでいる、って」
「虐める側の人は、マゾな人が悦ぶように工夫して虐めなくちゃならないから、SMのSはサービスのSで、Mはサービスを受けて満足のMなのですって」

「わたし、誰かを喜ばせることって大好きだから、直子さんがそういうご趣味なら、これからはそれに沿うように喜ばせてあげよう、って思ったの。わたし、直子さんのこと、好きだから」
 あくまでも生真面目に、じっと私を見つめて語りかけてくださるほのかさま。
「あ、ありがとうございます・・・」
 
 その真剣なご様子に、リンコさまたちとは違うエスっぽい迫力を感じて、タジタジとしてしまう私。
 でも心の中では、ほのかさまも私の本当の姿を受け入れてくださった、という嬉しい気持ちでときめいてもいました。

「わたしに命令されるの、嬉しい?」
「はい・・・」
「何でもわたしの言う通りにしてくれる?」
「はい。何でもします」
「それが直子さんにとっても、嬉しいことなのよね?」
「はい。そうです」
「うふっ。わたしも嬉しい」
 ほのかさまの無邪気な笑顔。

「それなら今、ここで下着をこっそり脱いで、どれだけ嬉しく思っているのか、その証拠を見せてもらっていいかしら?」
 ほのかさまの形良い唇の端が、ちょっぴりイジワルそうにクイッと吊り上がりました。


非日常の王国で 06


2016年10月30日

非日常の王国で 04

 先頭に立って社長室のドアを出て行く、コスプレ姿のミサさま。
 リンコさまの手で促されるように背中をこずかれ、ミサさまの背中につづく全裸の私。
 背後で何かガサゴソする音の後、少し遅れてリンコさまの足音がつづきました。

 昨日、今日と梅雨の晴れ間、何枚もの大きなガラス窓から夏へと向かう眩いくらいの陽射しが射し込む明るいメインルーム。
 整然と並んだデスクの中でも一際大きい、綾音部長さまのデスクを乗馬鞭で指し示されるミサさま。
 余計なものは何ひとつ出ていない広々としたデスクの上に体育座りを命ぜられた私。
 恥辱のショーの始まりでした。

「まずはさ、ミサミサにナオコの剥き出しマゾマンコ、じっくり視てもらいなよ。アタシはイベントの日にイヤって言うくらい見せられたけど、ミサミサはずっと会場でブタカンだったからね」
 右手にハンディなビデオカメラを持たれたリンコさまが、レンズを私に向けながらおっしゃいました。

「えっ!?さ、撮影されるのですか?」
 思わず自分の膝を抱え込むように体育座りを縮こまらせて、顔だけ向けて抗議しました。

「ナオコのお姉さまとの取り決めだもん。ナオコでアソぶときは、後からチーフも愉しめるように、出来る限り記録しといて欲しいんだってさ」
 ニヤニヤ笑いながらレンズを私の顔に近づけてくるリンコさま。

「ほら、そんなに丸まってちゃ、ナオコの剥き出しマゾマンコ、見えないじゃない?脚を開きなさい」
 おっしゃりながら少し後ろへと移動されるリンコさま。
 代わってミサさまが私の正面に来られました。

 ミサさまの乗馬鞭の柄が、ピッタリ閉じた私の両膝小僧のあいだに割り込んできました。
「開け」
 ドスの効いたアルトなお声とともに、乗馬鞭の柄で両膝を左右に割られます。
「は、はい・・・ど、どうぞ、ご覧ください」
 観念して両足を左右に大きく開きました。

 私の股間の目の前に、ミサさまのお顔。
 ミュールを履いたままなのでヒールの高さの分、腰を前方へ突き出す形になってしまいます。
 両脚をMの字に広げた中心部分の裂け目がパックリ開き、粘膜が空気に触れたのがわかります。

 その部分をメガネ越しにじーっと覗き込んでくるミサさまのつぶらな瞳。
 その様子を横から撮影されているリンコさま。
 視線を少し上に上げると見慣れたオフィス、大きな窓に広がる青い空。

 私、こんな真っ昼間に、こんなところで、こんな格好・・・
 喩えようもない背徳感が甘美な快楽信号へと姿を変え、全身をつらぬきました。

「貴様、どうしてこんなに性器を濡らしているんだ?」
 ミサさまが冷たくお芝居っぽく、尋ねてきました。
 息が内腿にかかるほど、お顔を近づけて。

「は、恥ずかしいからです・・・」
「なぜ恥ずかしい?」
「そんなにお近くから、直子のマゾマンコをご覧いただいているので・・・」
「ふん。だが恥ずかしいのと、愛液を垂らすのはイコールではないだろう?愛液とは、気持ちのいいときに分泌されるものではなかったか?」
「はい・・・直子は、恥ずかしいのが、気持ちいいんです・・・そういう、へ、ヘンタイ女なんです・・・」

「だったらさ、もっと恥ずかしくなれば、もっと気持ち良くなれるんだよね?」
 リンコさまがカメラを構えたまま、会話に割り込んでこられました。
「は、はい・・・」
 レンズに顔を向けてお答えする私。

「なら自分の指で押し広げて、ミサミサにナオコのマゾマンコ、奥の奥まで視てもらったら?」
「えっ?あ、は、はい・・・」

 もはや全身が被虐の塊と化していました。
 今、リンコさまが記録されているテープを、お姉さまがご覧になるんだ。
 それならお姉さまにいっぱい愉しんでいただけるよう、心の底からみじめなマゾドレイに成り切らなくちゃ、と。

 うつむいて、両手を自分の股間にあてがいました。
「そういうときは、何かお決まりのセリフがなかったっけ?」
 リンコさまがからかうようにおっしゃいました。
「あ、はい・・・」
 
 リンコさまのお言葉で、今まで妄想の中で何度も口にしてきた定番のセリフがパッと頭に浮かび、スラッと唇からこぼれ出ました。
「ミサさま、リンコさま。どうぞ、どうしようもないヘンタイ直子の淫らな剥き出しマゾマンコを奥の奥まで、じっくり存分に、ご覧くださいませ・・・」

 両手の指先を裂け目の左右にあてがい、思い切り引っ張りました。
 濡れそぼる粘膜がより広範囲、ヒヤッと外気に晒されたのわかりました。

「意外と小じんまりしているんだな、貴様のマゾマンコ」
 ミサさまが顕微鏡を覗く化学者さんみたいなご様子で、メガネを私が自ら押し広げているマゾマンコに近づけています。

「中の襞がときどきヒクヒクうごめいている。奥はけっこう深そうだ」
「触らなくても熱を持っているのがわかる。ホカホカ湯気さえ見えそうだ」
「愛液が白濁しかかっているぞ。それになんとも牝クサイ臭気を発してる」

 今のミサさまにこそ、あの白衣を着ていただきたい、と思うほど、お医者さまのように冷静沈着なご感想。
 それでも決して、そこに触れてはきませんでした。

「この裂け目の先端でテラテラ光っている豆のようなものは何だ?」
「・・・クリトリス、です」
「ずいぶん腫れ上がっているな?興奮しているのか?」
「は、はい・・・ミサさまの手で虐めていただきたくて、仕方ありません・・・」
 おねだりするような口調になってしまいます。

「ふん。貴様のようなヘンタイ女には、この鞭一本で充分だ。私が直接、手を出すまでもないこと」
 乗馬鞭の先のベロで、クリトリスをチョンとつつかれました。
「あうっ!」
その部分から全身へと電流がほとばしり、思わず腰が浮き、後ろへのけぞりました。

「ははっ、ケツの穴までヒクヒクしてるぞ?この淫乱女がっ!」
 ミサさまの乗馬鞭が左の内腿にパシッ!
「あうぅっ!」

 もはや我慢の限界でした。
 鞭打たれてからだがビクンと跳ねた拍子に、右手の人差指と中指がズブリとマゾマンコの中に挿し込まれていました。

「はうんっ!」
 すぐに二本の指が中でくの字に折り曲がってラビアを擦り始めます。
 同時に親指を上へと伸し、腹で膨らんだ肉の芽を捏ね回し始めます。
 空いた左手はおっぱいへ。
「あーんっ、うふぅーーっぅぅ」

「あーあ。勝手にマンズリ始めちゃったよ。こうなるともう、止まらないだろうねえ」
 呆れたようなリンコさまのお声。
「本当に不治のドマゾ女だな。まさにサカッたメス豚だ。まだ真っ昼間で勤務中だって言うのに」
 冷ややかに蔑みきったミサさまのお声。

 おふたりの嘲りの中、それでも私の指は止まりませんでした。
 おふたりに裸になるようにご命令されてから今まで、溜まりに溜まった発情が、闇雲に出口を求めていました。
「あーーっ、いいっ、いいっー」
 自分の指の動きに合わせて、背中がピクピク波打ちます。

「あれー?ナオコちゃん?イクときは、どうするんだっけ?」
 リンコさまのちっちゃな子に向かって諭すようなお声に、カメラのレンズを上目で見つめました。

「ああん、リンコさまぁ、イッテも、イッテもいいですかぁ?」
「違うでしょ。今ナオコが許しを乞うのは、アタシじゃなくてミサミサでしょ?」
「あうっ、ごめんなさいぃ、ミサさまぁ、イッテ、イッテいいですかぁぁ・・・」

 私の真正面で腕組みして私を眺めているミサさまに向けて懇願したとき、私が乗っているデスクの一番端に置いてあった電話機が突然、電子音を発し始めました。
 三人の肩が同時にビクンと震え、フリーズする中、鳴り響きつづける呼び出し音。

 最初にフリーズが解けたのはリンコさま。
「ちょっとこれ、持っていて」
 私に向けたままのビデオカメラをミサさまに託すと、電話機に駆け寄りました。

「はい。お待たせしました、ダブルイーです・・・はい、あ、ワタクシは大沢です。はい、早乙女は生憎出かけておりまして・・・はい・・・」

 リンコさまが急に丁寧な業務口調でご対応されているのを聞いて、今更ながらに、普段なら今がお仕事時間中なこと、そんな時間に自分があるまじき格好であるまじき行為をしていることを思い知り、せつなさとみじめさがこみあげてきました。
 
 追い討ちをかけるように、ミサさまのカメラのレンズが私のマゾマンコから離れ、今の状況をご説明でもするかのように、オフィス内をグルっと一周舐めた後に、私の顔へと戻りました。
 お電話に応対されるリンコさまのすぐ横で、大股開きのマゾマンコに右手を突っ込んでいる私の姿が記録されたはず。
 お姉さまはこの映像をご覧になって、どういうふうに思われるだろう・・・

「はい、携帯電話なら捕まると思います・・・はい・・・よろしくお願いいたします・・・」
 リンコさまが受話器を置き、私の前に戻ってこられました。

「いいところで邪魔が入っちゃったね、って言っても勤務中なんだから仕方ないか。ナオコ、イッた?」
「あ、いえ。お電話にびっくりしてしまって・・・」
 お電話中ずっと息を殺していたのですが、指はマゾマンコに潜り込ませたままでした。
 粘膜がつづきをおねだりするように、ときどきヒクヒク痙攣するのがわかりました。

「電話がくるたびにナオコがおあずけけ食らうのも面白いけど、アタシらもそろそろ仕事に戻らなくちゃいけないし、手っ取り早くイッちゃってもらおうかな」
 リンコさまが足元に置いていたショッパーから何か取り出しました。

「ほら、これ使いな」
 デスクの上に置かれたのは、先程見せられたイボイボの付いたバイブレーターでした。
「ナオコはこれのレビューも書かなきゃいけないんだから、しっかり感触を味わいながらイキなさい」
 見るからに膣壁をいたぶりそうなその凶々しい形状に、再び首筋がゾゾッ。

「それと、これも使うといい」
 ミサさまの手でデスク上に投げ出されたのは、金属製の小ぶりな事務用目玉クリップ2つ。
「マゾって奴は、苦痛も快楽なのだろう?これで貴様のあさましく勃起した乳首を虐めてもらうがいい」
 ミサさまが今にも舌なめずりしそうなほど嗜虐的なお顔でおっしゃいました。

 目玉クリップを手に取ってみると、かなりバネが強いタイプ。
 これで乳首を挟んで、あの凶々しいバイブを突っ込んで・・・
 考えただけで、イク寸前にまで昂りが蘇るよう。

「まず乳首にクリップを噛ませて、それからバイブを挿入しろ。その後バイブを咥え込んだまま四つん這いになって、ケツを私に向けろ。私が貴様に更なる苦痛を与えてやるから」

 ミサさまのはだけた白い胸元が、うっすら汗で光っていました。
 私も汗びっしょりですが、リンコさまを見れば空調は心地よく効いているはず。
 ミサさまも、私の恥辱にまみれた姿をご覧になって、興奮されているんだ・・・
 屈辱的な状況なのに、なんだか嬉しくなってしまいます。

 目玉クリップを手に取って先端を押し広げ、まずは右の乳首に。
「あうっ!」
 思った以上の挟む強さに思わず眉根が寄ってしまいます。

 激痛の後のジーンとした疼痛がからだを駆け巡る中で左乳首にも。
「あうぅぅっ!」
 痛みの源が2箇所となり、おっぱい全体がジンジンと痺れるような鈍痛の渦に包まれます。
「うわーエロい顔」
 リンコさまのレンズが歪みきった私の顔に近づきました。

 それからイボイボのバイブを手に取り、ゆっくりとMの字の中心へ。
 ミサさまのメガネ越しのまなざしと、リンコさまのレンズ越しの視線が、微動だにせず膣穴に集中しています。
 垂れるほど濡れそぼっていますから、膣壁をザラザラいたぶりながらもズルヅルっと侵入していきました。

「あーーーっ!」
 そのおぞましい感覚に思わず大きく淫ら声をあげる私。
 それにずいぶん奥まで届いている。
 こんなの二、三回ピストンしただけで、すぐイッちゃいそう。

 今すぐに動かしたい欲望を振り切って、お言いつけ通り四つん這いになるべく、からだをひねります。
 左手でバイブを押さえたまま右手をつき、からだを右に回転させて両膝をデスクに。
 お尻をおふたりに突き出した格好でバイブを右手に持ち替え、左腕の上に頭を乗せました。
 重力で垂れ下がったおっぱいの先の目玉クリップふたつが、デスクスレスレにプラプラ揺れています。

「うん。いい格好だ。貴様のケツの穴まで丸見えだぞ。ほら、バイブを動かせ」
 ミサさまの乗馬鞭のベロが左の尻タブをぺろんと舐めました。
「あ、は、はい・・・」
 右手で持ったバイブの根本をゆっくり前後に動かし始めます。

「あっ、あっ、あ、いぃ、いぃ、いぃーっ」
 膣の中をザリザリ暴れる細かなイボイボたち。
 グチュグチュという卑猥な音とともに、右手はみるみる愛液まみれ。
「あっ、いいっ、きもちいいっ!あんっ、あっ、あーっ」
 右手のピストンの速度がどんどん上がってしまいます。

「こんな人前で、あさましい格好で自慰行為を見せつけて、貴様にはそれが、そんなに気持ちいいのか?」
 ミサさまが乗馬鞭のベロで私のお尻をスルスル撫でながら尋ねてきます。
「はいぃ。ごめんなさい・・・私は、直子は、こういうのに感じてしまうヘンタイなんですぅぅ」
 私を左横から撮影されているリンコさまに顔を向け、喘ぎ喘ぎにお答えします。

「ふん。とんだヘンタイ社員だな。こうされるともっと嬉しいんだろ?」
 パシッ!
 左の尻タブに小気味良い音の一撃。
「あうっ!!!」
 その鮮烈な刺激にお尻がクイッと跳ね上がった瞬間、頭が真っ白になってイッていました。

 それでも動きを止めない私の右手。
 おまけにイッた瞬間に右手がバイブの根本の何かのスイッチを押してしまったらしく、膣内でブインブイン暴れ始めました。
「あーーっ、いやーーっ、もっと、もっとーーーっ、ミサさまーーっ」
 頭で考える前に唇が懇願していました。

「何をもっとなんだ?」
「お尻にもっと、もっと、鞭をくださいーーっ、ぶってくださいーーーーっ」
 本能からの欲求でした。
 お尻を叩かれることで痛みと快感が重なり合って、上限だと思われたエクスタシーが、より濃密な高みへと導かれるように感じていました。

 ピシッ!バチッ!ピシャッ!
 ヒュンという身の毛もよだつ前奏を伴って奏でられる打擲音。
 その刺激がもたらす苦痛と膣内のバイブによる圧倒的な快感とのほろ苦くも甘美なハーモニー。

「もっとぉ、もっとぉ、もっとぉーっ!!!」
「ミサさま、リンコさま、イッてもいいですか?ィきます、ィきますぅ、イッちゃいますぅ・・・」
 私のからだは、乗馬鞭という指揮棒に従って奏でられる楽器のように、何度も何度もオーガズムという歓喜の旋律を歌い上げました。

「やれやれ、やっとお目覚めのようね」
 気がつくと私は、ベトベトに濡れそぽった台の上に突っ伏していました。
 ぼんやりとした視界に見えるリンコさまとミサさまのお姿。

 そうだ、ここはオフィスで、私はオフィスでオナニーショーをしていたんだ。
 ガバッと起き上がると、お尻がヒリヒリ。
 お尻の上には濡らしたタオルが掛けられていました。

「ごめんね。ちょっとやりすぎちゃったかな?」
 ミサさまがきまり悪そうなお顔で私の顔を覗き込んできました。
「そんなことないよ。ナオコが、もっともっと、っておねだりしてたんだから」
 リンコさまが相変わらずビデオカメラを構えたままおっしゃいました。

「ナオコはね、ミサミサに鞭で叩かれながら何度も何度もイッて、そのうちにパタッと動かなくなっちゃったんだ」
「ヤバイ、と思ったけれど肩やお腹はビクンビクン上下していたし、息もハアハアしていたから、しばらく様子を見ていたら、今復活したってわけ。3、4分くらいかな、ナオコの意識トンでたの」

「一部始終は全部、このビデオで撮ったから、ナオコのお姉さまに後で見せてもらうといいよ。それにしても凄かったね、ミサミサ?」
「うん。ボクの直子を見る目が180度変わった。聞いていた以上のドマゾぶりだったから、これからもいろいろ愉しめそうで、嬉しい」
 素に戻られたミサさまが、やっとカメラを降ろされたリンコさまをじっと見つめながらおっしゃいました。

 なんだかおふたり、やけにピトッと寄り添われている気がします。
 ひょっとすると私の痴態にアテられて、おふたりもムラムラされてきちゃったのかな?
 そんなことをふと思い、同時にお姉さまのお顔が頭に浮かびました。
 そう言えばお姉さまとの最初の出逢いでも、オナニーショーをご披露して、最後に気絶しちゃったんだっけ・・・

「それにしてもひどい有様だこと、床もアヤ姉のデスクも」
 リンコさまに促されてデスクを見ると、辺り一面ビチャビチャのベトベト。
 周辺の床にまで水溜りが出来ていました。

「なんで床にまで・・・」
 思わず口走った疑問にリンコさまが笑いながら応えてくださいました。
「あれ?シオ吹いたの憶えてないの?アタシら横にいたから直撃は免れたけど」

「アタシらは仕事に戻るから。ナオコが自分で汚したんだから、自分で後始末なさい」
「とくにアヤ姉のデスクは、念入りに拭いておかないと。あの人鼻もいいからね。ヘンな臭い残しておくと後から何言われても知らないよ」
「モップやバケツは給湯室ね。オフィス外に出るときは白衣のみ。オフィスに戻ったら当然脱いで全裸」
「アタシらは今日も遅くまで残るから、退社するとき内線ちょうだい。それまではずっと全裸厳守。監視カメラがあることを忘れないでね」
 リンコさまにキビキビと指図され、私はヨロヨロとデスクから降りました。

「ナオコのからだもベトベトだね。水汲んできて、よく拭いてから帰りなさい。クリップは外さなくていいの?」
 リンコさまのお言葉で自分の胸を見ると、ふたつのクリップがまだしっかり噛み付いていました。
 これを外すとき、すっごく痛いだろうな・・・
「あ、大丈夫です。後で外しますから」
 なぜだかおふたりにその姿を見せたくない気がして、そう答えてしまいました。

「ふーん。本当に痛いの、好きなんだねえ。ま、いいけどさ。あともうひとつ忠告しておく」
 リンコさまがイジワルそうに笑って私の下半身を指さしました。
「今夜のシャワーはぬるめにしたほうがいいよ。ナオコのお尻、まんべんなく真っ赤っ赤に腫れ上がってるから」
 そのお言葉を聞いた途端に、お尻全体がジンジンヒリヒリと熱く疼いてきました。
 
 おふたりでお顔を見合わせ愉快そうに笑い合い、肩寄せ合って仲良くデザインルームへと消えていくリンコさまとミサさま。
 時刻はそろそろ午後の4時半になろうとしていました。


非日常の王国で 05


2016年10月23日

非日常の王国で 03

「あ、私出ます」
 マゾの服従ポーズを解き、今度はフルヌードでデスクに駆け寄りました。
 丸出しのおっぱいがプルプル揺れました。

「お待たせいたしました。ダブルイーです、お電話ありがとうございます・・・あ、しほりさま。先日はお疲れさまでした・・・」
 受話器から聞こえてきたお声は、谷口しほりさま。
 イベントのとき、ヘアとメイクを担当してくださった女性です。

「あ、はい。少々お待ちください」
 お電話をいったん保留にして、おふたりのほうへ向き直りました。
「リンコさまにお電話です。しほりさまからです」
「あいよ。しほりん、何の用だろ?」
 リンコさまがツカツカと近づいて来られ、受話器をお渡ししました。

「ごきげんよう。先日はお疲れー・・・うん、うん・・・へー・・・」
 おしゃべりを始められたリンコさまに場所をお譲りし、ミサさまの前に戻ります。
 ミサさまが無言でじっと見つめてこられるので、間がもたない私は、対峙したまま自然と服従ポーズを取ってしまいます。

「へー、そっか、良かったじゃない。うん・・・不幸中の幸いってやつだね・・・」
 リンコさまの元気良いお声を背中に聞きながら、ミサさまの舐めるような視線を全身に浴びていました。
「そうだよ・・・うん・・・今ちょうどね、ナオコを裸にして、アソんでたとこなんだ・・・うん、ミサミサとふたりでさ・・・」

 リンコさまのお口から私の名前が聞こえギクッとした瞬間、ミサさまの乗馬鞭の先が私へと伸びてきて、おへそから下腹部までをベロでスルッと撫でられました。
「ひゃぁんっ!」
 不意を突かれて背筋をゾクゾクっと快感が駆け上がるとともに、淫らな声が洩れてしまいました。

「聞こえた?・・・あはは・・・相変わらずドマゾ全開でしょう?・・・うん、社長室で真っ裸。例のポーズでミサミサにイタズラされてる・・・」
 リンコさまが愉しそうにしほりさまにご報告されているあいだ、ミサさまの乗馬鞭の先は私のおっぱいへと移動し、柔らかいベロで固く尖った乳首を小刻みにプルプル、揺らすように愛撫されていました。

「んっ、むっ、んあっ、うっ、うっ・・・」
 くすぐるみたいに小刻みに震える乗馬鞭のベロが与えてくださる快感に、えっちな声を我慢しようと唇を噛み締めているのに、どうしても喉の奥が唸って息が洩れ、はしたない音声となってしまいます。
 ミサさまは乗馬鞭を動かしながら、薄い笑みを浮かべ、無言で私の顔を見つめています。

「大丈夫よ。チーフからもアヤ姉からもお墨付きもらったし。ナオコはここでは、そういう扱い、ってことに、社内的に決まったの・・・あはは、愉しみでしょ?・・・」
 ミサさまのベロは、私の両腿のあいだに移動していました。

 ベロでマゾマンコを覆うように押し付けられ、ベットリ濡れて滑りの良くなったベロが私の股間をいたぶり始めます。
 お尻の割れ目に、恥丘に、下腹部に、私の愛液を肌になすりつけるように乗馬鞭のベロが肌を這い回ります。
 鞭の柄をマゾマンコの裂け目に食い込ませるみたく、ギュウギュウ押し付けられます。
「あっ、あんっ、あうっ・・・」

 裂け目に食い込んだまま擦るように前後に動く乗馬鞭の柄が、腫れ上がったクリトリスをでたらめに潰してきます。
 踏ん張った両脚がプルプル震え始めました。
「あっ、いやっ、だめっ、あ、あっ、あーっ・・・」

「うん。近いうちに連絡するから。じゃあね、またねー、ごきげんようっ」
 リンコさまが受話器を置いた途端、ミサさまの乗馬鞭の動きが止まりました。
 スッと引かれた乗馬鞭を私の前に差し出すミサさま。
 グリップ以外、満遍なく濡れてテラテラ光っていました。

「だめじゃんナオコ、人が電話中に勝手にイこうとして。ミサミサも抜け駆けはずるいよ」
 リンコさまがニヤニヤ笑いながら、ソファーの前に戻って来られました。

「だいたいミサミサが、ボクもナオコのオナニー見たい、って言い出したのが今日の発端じゃん?計画通り今日はオナニーさせてイカせようよ」
「うん。ごめん。直子があまりにもエロいから、ボクも我を忘れた」
 素直に謝られたミサさまは、私のおツユで汚れた乗馬鞭を、私がさっき脱ぎ去ったピンクのショーツで丁寧に拭い始めました。

「まあ、こうやって寸止めで焦らしつづけるほど、どんどん乱れてヘンタイ度も増して面白いから、それもアリなんだけどね」
 快感の余韻が薄れていくのをもどかしく思っている今の私を、まさに見透かしたようなリンコさまのお言葉。

 私、これからおふたりの前でオナニーさせられるんだ・・・
 ソファーに転がったえっちなお道具にチラッと目を遣って、ゾクゾクっと震えがきました。

「今の電話はさ、絵理奈さんね、今週末にも退院出来そうなんだって。術後も順調で傷跡もほとんど残らなくて済むから、お仕事にも支障は無いって」
 本当に良かった、という感じで柔らかな表情のリンコさま。

「感謝している、って代役されたモデルさんに伝えてくれって言ってたってさ。それとしほりんが、約束忘れないでね、って」
 リンコさまが服従ポーズの私を真正面から眺めつつ、おっしゃいました。

「あ、はい。絵理奈さま、お元気になられてよかったです・・・」
 夥しい粘液の水溜りを足元にみつけ、羞恥に染まりながらもなんとか、そうお答えしました。

 リンコさまは、私とミサさまを交互に見て、それからふと時計に目を遣りました。
 時間は午後の3時ちょっと前。
 こんな平日の昼下がりに私ひとりだけ、なぜオフィスで全裸になっているのでしょう?
 背徳感がザワザワっと、背筋を駆け上がっていきました。

「さあ、電話で予定外に時間くっちゃたし、ナオコも疼いちゃって早くオナニーしたいだろうから、今日持ってきたプレゼントに関して、ちゃっちゃと説明しちゃうね」
 リンコさまが、とりあえず話題を切り替えよう、みたいな感じで、少し早口でおっしゃいました。
 
「半分は業務連絡みたいなもので、これからのナオコのオフィスライフにも大いに関わる大切なことばかりだから、ちゃんと聞いて」
 無理に作ったようなわざとらしく真面目なお顔のリンコさま。

「あ、はい・・・」
 でも、きっとひどく恥辱的なことばかりなのだろうなと予想してしまうドエムな私。

「まずは。これね」
 リンコさまがソファーからつまみ上げて差し出してきたのは、見覚えのあるブラジャーとショーツ。

 それらはイベント当日、私が自宅から身に着けてきて、お姉さまのご命令によりオフィスで自ら脱ぎ捨てて以来、ずっと行方不明となっていた下着類でした。
 イベント後に戻された荷物の中にも、スーツやブラウスはちゃんと入っていたのですが、パンストと下着類だけ無く、きっと私がずいぶん汚しちゃっていたから捨てられたかな、と思っていました。

「ナオコって、春先にチーフがマケリサでランジェリーショップに出てたときに、服を脱がずに外せる下着が欲しい、って相談したんでしょ?」
「アタシ、それ聞いて驚いちゃった。そういう発想がさ、思いつかないもん。シャイな露出願望マゾじゃなきゃ。目からウロコだったよ」
「そういう発想、大事だと思うから、敬意を表して改造してあげたんだ。今後うちのブランドでも作って売り出すことになったし」

 手渡された下着を広げてみました。
 ブラジャーは左右のストラップとカップをそれぞれつなぐ部分が、ショーツは左右の脇部分が、小さなホックで取り外し出来る式に改造されていました。

「それなら、ちょっと服の中に手を潜り込ませてモゾモゾするだけで、簡単に外すことが出来るでしょう?ボトムがパンツでも、わざわざ脱がないでショーツだけウエストから出せるし」
「いつでも好きなときにノーブラノーパンに早変わり。これ、意外と当たりそうな気がするんだ。世の中にシャイなヘンタイって多いから」
「あと、ナオコ用の特別サービスも付けといたんだ。ショーツのクロッチ」

 リンコさまの意味ありげな視線に促され、ショーツを裏返して見ました。
 クロッチ部分に当たるところが小さく二重になっていて、上部分だけ空いたポケット状になっていました。

「そこにローターを入れて穿くと、ローターがちょうどナオコのクリットの上に来るはず。振動直撃。嬉しいでしょ?」
 からかうように私の顔を覗き込んでくるリンコさま。

 私が今までしたことのあるローター遊びは、膣の中に入れてのお散歩とかばかりでした。
 それだってかなり辛かったのに、こんなクリトリスにピッタリ密着する形で振動を受けたら・・・
 おそらく震えだした瞬間に堪えきれず、しゃがみ込んでしまうことでしょう。

「エロい顔になってるねえ。試してみたいんでしょ?でもだめ。下着は帰るときに身に着けなさい。今日は退社までマッパのまま」
 リンコさまがイジワルクおっしゃいました。

「それで、今日脱いだナオコの下着はアタシらがまた、改造してあげる。それをくりかえして、ナオコの手持ちの下着全部、えっちに改造してあげるから」
 私の手から改造済みブラとショーツを取り上げたリンコさまは、壁にハンガーで掛けた私のリネンのジャケットのポケットにそれらを押し込みました。

「次は、ナオコにやってもらう新しい仕事のこと。うちのネットショップ、アダルティなラブトイズを本格的に扱い始めたのは知ってるよね」
「はい・・・」

 イベント前のある日のミーティングで綾音部長さまから、そんなお話がありました。
 このオフィスビルからも近い地下鉄の駅近くのお部屋を借りて、そこを通販部門のオフィス兼倉庫にすること。
 そこをネットショップの拠点として、里美さまが責任者として赴任されること。
 ゆくゆくはアンテナショップとして路面店での営業も視野に入れていること。
 などを聞かされていました。

「それでナオコにはね、ラブトイズのモニターをしてもらうことになったんだ。モニターってわかる?」
「あ、はい。なんとなく・・・」
「簡単に言うと、使い心地の感想とか、ここが良かったとかを言葉にしたレビューを書いて欲しいんだ。それをショップの商品ページに添えるから」

「ナオコなら、すでにいろんなオモチャの経験ありそうだからって、社内満場一致で決定したんだ。ナオコがいないあいだに」
「うちはレズビアン、もしくはバイ女性限定のショップだから、そういう視点で、ナオコが使った印象を書けばいいだけ。最初はこの3点」

 リンコさまに促されデスクのほうへ移動して、デスク上に並べられたえっち用オモチャ。
「こっちのふたつはバイブレーター。充電でも電池でも使えるうちのオリジナル」

 どちらも丸っこくて少し反り曲がったソーセージのような形状で、女子ウケの良さそうな可愛らしくポップな色をしています。
 でも、こういった類のオモチャを使った経験のある者なら、一見して頬が赤らんでしまうほど、外見が刺激的でもありました。

 明るいグリーンのほうのは、ゴーヤの表面のようなトゲトゲと言うかイボイボと言うかがびっしり根本まで施されていました。
 触ってみるとシリコンでぷよぷよ柔らかいのですが、これを挿れて、膣壁を擦られる感触を想像しただけで、首筋の裏がゾゾッとわなないてきちゃいます。

 もうひとつのパステルブルーのほうは、長めで先端がやや曲がっている形状で、いかにも奥まで届きそうな感じ。
 おまけに表面がゆったり波打つ感じに凹凸があって、いかにも膣内でピッタリとフィットしそうな感触。
 
「どっちも振動するだけじゃなくて、根本のスイッチでうねったり、上下にピストン運動とかもする仕様なんだ」
 こんなので奥まで突かれたら、間違いなく私はシオを吹いてしまうことでしょう。
 手でさすっているだけでも、なんだかマゾマンコが感じてきちゃう。
 思わずツバをゴクリと飲み込みました。

 あともうひとつは、リモコンローターみたい。
 見慣れた卵型のローターと、コントローラーらしき箱。

「このローターはね、電波モードが選べて、ノーマルならこのコントローラーで動かすのだけれど・・・」
 リンコさまがおっしゃりながら箱を取りスイッチを押すと、デスクに置いたタオルの上でローターがヴーンと唸り始めました。
 すぐにスイッチを切られるリンコさま。

「こっちのハプニングモードにすると、街中に溢れているあらゆる電波に反応しちゃうんだ」
「だから、これを装着して街に出たら、不意に震えだしちゃうことがままあるってわけ」
「たとえば自動ドアのセンサー電波とか、街中のワイファイ電波、近くにいる人の携帯電話の送信、着信電波にも反応するし、もちろん誰かが近くでリモコンローター遊びをしていたら、その電波にも」

「違う電波を受信するたびにオンとオフをくりかえして、震え方も変わるから、一度震えだしたら取り出して電池を外すまで、自分ではコントロール不能になっちゃう」
「街の中でそこら中の見知らぬ人からマゾマンコを陵辱されているみたいで、ナオコみたいなドエムにはたまらないでしょう?」
 リンコさまがまた、からかうようなお顔で私の顔を覗き込んできました。

「この3つのアイテムを使用してみた感想レビューを、200字以内で今週中に書き上げて、メールで里美さんに提出すること。あとの指示は里美さんに従って」
「ゆくゆくは、新アイテムの開発の仕事にも人柱として参加することになるから、今からえっちなアイデア、たくさん考えておくように、って、これはナオコのお姉さまからの伝言ね」
「もちろんこれは仕事だから、勤務中に試すのもおーけー。バイブもローターも。つまりナオコは今後、勤務中に堂々と仕事としてオナニーが出来る身分になったってわけ。嬉しいでしょ?」

 リンコさまがニッと笑って、ソファーのほうへと戻られます。
 私も後を追いました。

「それで最後に、これね」
 リンコさまのお言葉でミサさまが、ソファーの上に散らばっていた機械やコードなどを手際よく分け始めました。

「今日からこの部屋は、アタシたち開発ルームの管理下に入るの。これはウエッブカメラで、この室内の様子はナオコがいるときに限って、すべて開発室のモニターに映し出される仕組み。つまり監視カメラ」
「これはチーフも了承済み。チーフには、この部屋に取り付けたカメラをすべて無効にする操作方法を伝えてあるから、チーフのプライバシーは守られるけれど、ナオコには、この部屋でのプライバシーは、今日から無い」

 リンコさまがご説明してくださっているあいだ、ミサさまがテキパキとカメラを設置していました。
 デスク前のパソコンモニターの上に一台、お部屋の対角線上に窓際天井近くに一台、壁際天井近くに一台、そしてデスクを真横から映す形で一台。

「昨夜配線は済ましちゃったから、カメラ繋げるだけだし、すぐ終わるよ」
 リンコさまがショッパーの紙袋を丁寧にたたみながらおっしゃいました。
 ミサ様が最後にパソコンモニター上のカメラから伸びたコードをパソコンのUSBに繋いで、ニコッと嬉しそうに笑いました。

「ちょっとあっちのモニター確認してくる」
 ミサさまがタッタッタとドアを出て開発ルームに向かわられたよう。
 すぐに戻って来られました。
「おっけー。バッチリ」
 ニコニコ顔のミサさま。

「これでアタシらが開発ルームで作業しているときでも、ここでナオコが何をしているか、いつでも監視出来るようになったってわけ」
「アタシらが忙しくてこんなふうにアソんであげられないときでも、気が向いたらメールや電話で命令してあげるから、ちゃんと言いつけを守ること」
「は、はい・・・」
 
 つまり、おふたりが対面で虐められない状態のときでも、全裸になりなさい、って電話やメールで一言ご命令されたら、私はひとり、いそいそとお洋服を脱がなくちゃいけない、ってこと?
 それで、カメラで監視されているから、ご命令に背いて脱いだフリして嘘をつくことも、絶対に出来ない・・・
 
 私、なんてみじめな境遇になってしまったのだろう・・・
 まさしくオフィスの慰み者状態。
 私の被虐メーターが振り切れて、頭がクラクラするくらいの恥辱感が全身を火照らせました。
 
「それで、ナオコが好きそうな服、見繕って持ってきたから。このクロゼットに掛けておく」

 ひとつだけまだ膨らんでいたショッパーから次々とお洋服を取り出し、謎のクロゼットにせっせとしまい込むミサさまとリンコさま。
 どんなお洋服なのかはわかりませんが、きっとキワドイものばかりなのでしょう。

「アタシらに、今日はこれを着て過ごしなさい、って言われたら、必ず着替えること。ごまかそうとしても監視カメラでちゃんと見てるからね」
「それで、来客のとき、上に羽織っていいのは今のところ、その白衣だけ」
 イジワルくおっしゃるリンコさまに、黙ってうなずくしかない私。

「さあ、これで準備は整った、っと。ドマゾ女ナオコのオフィスセイドレイ生活のはじまりはじまりー」
 リンコさまが茶化すみたいなお芝居声で、高らかに宣言されました。
「記念すべき初日のフィナーレに、ミサミサリクエストのオナニーショーをじっくりと見せてもらいましょうか」

「せっかくだから、こんな狭い金庫部屋じゃなくて、広々としたメインルームでやってもらおうかな?アヤ姉のデスクの上なんかステージぽいじゃん、どう?」
 リンコさまがイタズラっぽくミサさまにお顔を向けました。

「いいアイデア。明るくてじっくり視れるし、鞭も振るいやすそうだ」
 
 ミサさまの表情からあどけなさが消え、お声が低くなり、乗馬鞭が宙空をヒュンと切り裂きました。
 リンコさまおっしゃるところの、多汗症のドSで男嫌いな裏生徒会副会長、というコスプレキャラが、ミサさまに再び憑依したようでした。


非日常の王国で 04