2016年9月11日

オートクチュールのはずなのに 57

 なんとかこらえて歩きつづけます。

 何?
 何今の・・・

 突起を膣壁が締め付けると同時に、マゾマンコ内にぴったりフィットしたシリコンがローターのようにプルプル振動する感覚がありました。
 膣壁をくまなくゆさぶる予想外の振動が瞬く間に快感となって全身へ広がり、一気に天国一歩手前まで昇り詰めてしまったのです。

 まさか、突起にリモコンが仕込まれていて、どこかで誰かが操作しているとか・・・
 極力何食わぬ顔に努めながらも、心の中では疑心が暗鬼を生んでいました。
 
 だとしたら、またいつ、震えが襲って来るかわからない・・・
 もう一度来て欲しいような、もう絶対に来て欲しくないような・・・

 口に咥えた乗馬鞭の柄をギュッと噛み締めながら、歩幅の狭さがもどかしい鎖に繋がれた両足を懸命に動かし、またいつくるかわからない振動にビクビクしつつも、なんとかランウェイの端までたどりつきました。

 さあ、あとは戻るだけ。
 リモコンローターを仕込まれて街中にいるときと同じドキドキに支配されていました。
 早く戻ろう・・・
 両足のかかとを滑らせてターンしたときでした。

 真っ暗だった会場内がパッと明るくなりました。
 会場のすべての灯りが点けられたみたいで、デパートの食品売り場みたく眩しいほどの明るさになりました。
 でもBGMだけ依然として、ホラー映画のようにおどろおどろしいまま。

「おおっ!」
 お顔が見えるようになったお客様がたも、軽くどよめいていらっしゃいます。
 
 ああん、いやん・・・
 突然、赤裸々となった視界に一テンポ遅れて羞じらいがぶり返し、思わずビクンとからだが震えました。
 その途端にまた、突起がプルプルッと震え、すぐ止まりました。

「んっ!」
 油断していた膣への刺激で顎が上がり、鞭を咥えた唇がたまらず開きそうになり、あわてて歯を食いしばりました。
 同時に下半身にも力を込めると、突起がさっきより激しく振動し始めました。

 だめ、もうだめ・・・
 油断すると震え出す意地悪な突起の振動に翻弄される私は、立ち尽くしたままあきらめかけ、その快感に身を委ね始めていました。
 でも、下半身に込めた力が抜けていくに従って振動は弱くなり、やがて止まりました。

 なんとか膝から崩れ落ちるのを我慢出来た私は、気がつくとまだ、ランウェイの突端。
 中腰、がに股の不格好でうなだれていました。
 赤い首輪から垂れ下がったリードの鎖が、前屈みになった空間にブラブラ揺れています。
 口元からよだれがポタポタと赤いカーペットに滴り落ちるのも見えました。

 あ、いけない!
 ショーモデルにあるまじき、こんな不細工なポーズ。
 あわてて直立モデルポーズに戻った私は、会場中のすべての視線に注目されていました。

 明るすぎるほど明るくなった会場、すべての人たちのお顔がはっきり見えました。
 すべての視線が好奇と侮蔑と嗜虐のいずれかを湛え、私の人となりを吟味するかのように、私のからだのどこかしらを凝視していました。
 さっきまでの暗闇にスポットライトでお客様のご様子がわからないということが、どんなにありがたいことだったのかを思い知りました。

 鞭を咥えて半開きの口元から滴るよだれは、僅かに乳首だけ隠したおっぱいの谷をしとどに濡らしていました。
 赤いレザーでVの字に隠されただけの股間の周辺も両膝の辺りまで、お漏らしでもしたかのように粘液で濡れそぼリ、照明の光にテラテラ光っていました。
 そしてもちろん、そんな私の浅ましい姿が正面の大スクリーンに、大きく映し出されていました。

 もう、こんなのいやっ!
 自虐が極まって、いっそこのままこの場に這いつくばってからだをまさぐり、オナニーを始めちゃいたい気分でした。
 乗馬鞭のグリップをマゾマンコに突っ込んで、アナルの突起をグリグリ掻き回して・・・
 
 それでも今は、ステージまで戻らなければなりません。
 ポーカーフェイスで颯爽と。
 イベントを台無しにすることは、そのまま愛するお姉さまとのお別れを意味していました。
 立派にショーのモデルを務め上げることが、お姉さまとのお約束でありご命令なのですから。

 気を取り直してステージのほうへと歩き出したとき、スタンディングキャット社の男性の誰かが、私に立派なカメラを向けているのが見えました。
 
 いやっ、こんな姿、撮らないで・・・記録に残さないで・・・
 思った途端に突起がブルっと膣壁を震わせました。
 たてつづけにシャッターが押されるのがわかりました。

 カシャッ!だめっ!ビクン!
 カシャッ!いやっ!ビクン!
 カシャッ!撮らないで!ビクン!
 そのたびに突起がブルっと小さく震えました。

 あっ!
 感じると同時に気づきました。
 この突起の振動って、マゾマンコが疼いてキュッと膣をすぼませるたびに起きている・・・
 たぶん、突起を締め付けることで振動する仕組みなんだ。

 その考えが正しいのか試してみたくて仕方なくなりました。
 だけど、私の我慢もそろそろ限界に近くなっていました。
 次に粘膜を大きな刺激が襲ったら、本当にその場で崩れ落ちてしまいそう。

 大事なイベントの、こんな大勢のお客様に視つめられている中で、そんなふしだらなイキ姿をお見せするわけにはいきません。
 でも逆に、そんな姿までみなさまにご披露しちゃうことを、お姉さまはお望みなのかも・・・

 ごちゃごちゃ考えながらステージへ向かって一歩一歩進みます。
 アンジェラさまが、艶然とした笑みを私に向けてきます。
 その横で小野寺さまは、唖然とされたお顔で私の顔を見つめています。
 純さまと桜子さまは、こちらにお顔を向けたまま何やらヒソヒソお話されています。
 シーナさまは、ニヤニヤ笑いを浮かべて嬉しそう。

 ステージまであと十数歩のところまで来たとき、お姉さまのお姿をみつけました。
 どこかでお会いしたことあった気もするお綺麗な女性と並んで座り、私をじっと視つめていました。
 
 何か面白いオモチャをみつけた子供のような、次はどういたぶったら愉しいか企むような、ひややかなまなざし。
 私が一番良く知っている、嗜虐が極まったときにだけ見せていただけるドエスな視線。
 その視線とバッチリ目が合いました。

 その瞬間、お姉さまの唇が動きました。
 実際にお声に出してはいないのでしょうが、私には、その動きだけでお声が聞こえました。
 イッチャイナサイ・・・

 そのお言葉の意味を理解するなり、膣壁がキュウンと疼きました。
 同時に自分でも、漏れそうなオシッコを我慢するみたいに、、下半身にギュウッと力を込めました。

 ビビビビッ!
 今までにない振動が膣から狂おしく全身へとせり上がり、官能を震わせてきます。
「んぐぅぅ!・・・」

 眉間にシワが寄っているのがわかります。
 咥えた鞭の柄を噛み砕かんばかりに噛み締めていました。
 頭の中は真っ白。
 でも足だけは止めず、なんとか前へ前へと踏み出していました。

 イッチャイナサイ・・・
 イッチャイナサイ・・・
 イッチャイナサイ・・・
 
 お姉さまのご命令だけが脳内でエコーしていました。
 そのお言葉が嬉しくてたまりませんでした。

 行かなきゃ。
 お仕事をちゃんとやらなきゃ。
 たとえイッても、とにかくステージまで戻らなくちゃ。

 快感に震えながら、一歩一歩ステージへの階段を踏みしめました。
 もうとっくに自分で下半身に力を込めることはやめているのに、マゾマンコが勝手にビクンッビクンッとわななき、そのたびに弱い振動が起きています。
 左内腿には、見た目でわかるほど白濁した生々しいおツユが溢れ出て、左脚をトロトロ滑り落ちていました。

 ステージに戻り、客席と向き合う形で中央に立ちます。
 綾音部長さまの解説が入るので、すぐに楽屋にもどるな、というお言いつけです。
 リンコさまがタタタッと私の脇に駆けつけて並ばれました。

 試合中のドーム型野球場のように明るい会場内。
 大勢のお客様がたより数段高くなったステージ上で、半裸のマゾドレイそのものな姿を見せつけるみたいに立ち尽くす私。
 
 その姿は破廉恥で浅ましくて、みじめそのものなはずです。
 性的にノーマルな女性でしたら、たまらずに泣き伏してしまうことでしょう。
 だけど私は、そんな状況に強烈な羞恥を感じつつ、一方で愉悦に酔い痴れていました。
 
 全身を蝕む甘美な快感に今すぐにでも身を委ねたいのに、無理して無表情を装います。
 今だにヒクヒク蠢く下半身からビリビリと気持ち良い電流が放電しつづけていて、イッたのか、イキつづけているのか、それともまだイッていないのか、自分でもわからない状態でした。

 BGMのボリュームが下がり、綾音部長さまのお声が流れ始めました。

「只今ご覧頂いたアイテムの実物です。このような形状になっています」
 演壇の上に置いてあった、私が装着しているのと同じ形状のアイテムをお客様に向けてお見せになる綾音部長さま。

「パスティースは、この金具にニップルを挟み、ネジで締め付けることで固定されます」
 わざわざ内側の金具の仕組をお見せになりました。

「当然、若干の痛みを伴いますから、そういったことのお好きな、所謂マゾ傾向の強いかた向けと言えますね」
 ざわざわ広がるお客様がたの忍び笑い。
「ニップルに与える痛みはこのネジで自由に調節出来ますから、マゾ気質のご婦人なら、その度合いに合わせて、必ずや嬉しいご褒美となる装身具と思います」
 
「ボトムはこちらです」
 弓なりのCストリングから飛び出ているふたつの卑猥な突起を、わかりやすいようにみなさまに向けてお見せになる、ご親切な綾音さま。

「おわかりとは思いますが、こちらをヴァジャイナに、こちらはアヌスに挿入する二点留めです」
「挿入することによって、従来のCストリングで懸念される脱落の危険がなくなり、更にA感覚の開発にもなるという、こちらもセックスへの好奇心旺盛なマゾ気質の淑女に最適なアイテムとなっています」
 おっしゃってから綾音さまは、思わせ振りの大きな仕草でステージ真ん中に立つ私のほうへとお顔を向けてきました。

 綾音さまのお顔の動きに吸い寄せられるように、お客様がたの注目が私に集まります。
 視線が放つ好奇の度合いが一段と強くなった気がしました。

 お客様がたの誰もが、今あのモデルの両乳首はネジで締め付けられていて、性器と肛門には卑猥な形をした突起が埋め込まれているのね、と再認識されたことでしょう。
 私はと言えば、そんな好奇と侮蔑の視線の中、上と下の口からよだれをタラタラ垂らしながら、鞭を咥えて後ろ手に括られたまま、澄ました顔をしていなくてはならないのです。

「さらに、このアイテムには、みなさまに内緒にしていた画期的な機能も付属されているのです」
 綾音さまのお芝居じみた口調に、お客様がたの視線が演壇へと戻りました。
「薄々感づいていらしゃるかたもいらっしゃると思いますが、ショーのあいだ、モデルの夕張さんが時折からだをビクンビクンとされていましたよね?」
 そう言えば、みたいな感じにザワザワとざわつく会場。

「実はこのアイテムの手前のほうの突起、ヴァジャイナ挿入部の突起は、ヴァジャイナトレーニングにも適した内容となっているのです」
「ヴァジャイナトレーニングとは、恥骨から尾骶骨に走る筋肉を鍛えることにより、率直に言えばヴァジャイナの締りを良くして、性感を高めるためのトレーニングということです」
 ここでもう一度、綾音さまがCストリングの突起をお客様のほうへ掲げました。

「よくご覧ください、この突起は、締め付けることによって振動する仕組みになっています」
 綾音さまが右手で突起を握り締めました。

「見ただけではわかりづらいですね」
 突起を握っている綾音さまの手に、雅部長さまがご自分のマイクを近づけられました。
 ンーンーンーッ・・・
 ローターが振動するような音が小さく、マイクを通して会場のスピーカーから聞こえてきました。

「強く握るほど、振動も強くなります」
 綾音さまが強く握ったのでしょう、振動音の音程が上がり、ブーンという音がよりはっきり響き渡りました。

「このように、装着したままヴァジャイナの筋肉を動かして突起を締め付けることで、トレーニングと快感の両方を得ること出来るのです」
「女性にありがちな、くしゃみをしたときの尿漏れなども、この筋肉トレーニングで克服することが出来ます」
 へー、なるほど、みたいな感じの場内のさざめき。

 さざめきが鎮まるのを待って、綾音さまが再び、私のほうへお顔を向けてきました。
「ここで実際身に着けてくださっているモデルの夕張さんに、その機能を実演していただこうと思います」
 お客様がたの視線も一斉に私へ戻ってきました。
 えっ!?えーーーーっ!

「わたくしが観ていましたところ、夕張さんはウォークの最中にコツを掴まれたようで、かなり性感も高まっていらっしゃるご様子とお見受けしました、きっと上手く実演してくださることでしょう」
 綾音さまの口調にイジワルさが混ざり始めていました。

「ただし、夕張さんはご覧の通りのクールビューティですから、あまりあからさまにエロティークな反応にはならないかもしれませんけれど」
 会場内にクスクスという忍び笑いと大きな拍手が沸きました。

「それでは夕張さん、お願いします。アヌスをキュッとすぼめるように力を入れてヴァジャイナ全体でコレを締め付けてください」
 
 お客様がたにCストリングの突起を指し示しながら促されました。
 お顔がイタズラっぽく愉快そうに微笑んでいました。
 綾音さままで、私がイク姿をみなさまにご披露することをご所望のようです。

 リンコさまが、お持ちになっていたマイクを私の股間に近づけてきました。
 振動の音を拾おうというのでしょう。
 リンコさまもワクワクなご様子。

 私は、客席にお姉さまのお顔を探しました。
 お姉さまは前から五番めのお席で、薄く微笑みながら私を視つめていらっしゃいました。

 目が合いました。
 お姉さまが一度小さく頷かれ、それからクイッと顎を上にしゃくられました。
 イッチャイナサイ・・・
 覚悟を決めました。

 お姉さま・・・
 お姉さまをまっすぐ見つめながら、マゾマンコに埋め込まれた突起に意識を集中し、下半身に力を入れます。
 お姉さま、私、みなさまの前で、イキます。
 
 弱く身震いを始めた突起が、生き物のように膣の奥へ奥へと、その先端で突いてきます。
 それでもひるまず、もっと奥へと誘いこむように膣壁に力を込めます。
「んぅっ!」
 振動が強くなりました。

 ブーーー-ンッ・・・
 リンコさまのマイクが振動音を拾って、会場に低く流れ始めます。
 私は自ら腰をヒクヒクと淫らに前後に揺らし、突起を締め付けつづけました。

 ブーン、ンンン、ブーン、ンンン・・・
 私が締め付けるリズム通りに、振動も弱くなったり強くなったり。
 それが・・・とても・・・気持ち・・・いいいぃぃ・・・
 鞭の柄を噛み締めながら、喘ぎたがる声を押し殺します。

 今までに着せられたアイテムがもたらした羞恥と被虐と恥辱で、ヘンタイドマゾな私の性的欲求はパンパンに膨れ上がっていました。
 その積み重ねの上にこんなに強烈な肉体的刺激が加わったら、もはや、快楽に抵抗する術など微塵もありませんでした。
 からだが溶けてなくなっちゃいそうなほどの快感の渦が、もうすぐそこまで来ていました。
 
 会場内の照明がフェードアウトするように徐々に暗くなっていきました。
 お姉さまのお顔が、だんだんと闇に溶けていきました。

「ぅあぁぁいぃぃぅあぁぁ、あっ、あっ、いぃぃぃっくぅぅ・・・」
 暗闇の中で私は、自分のからだを駆け巡る快感だけに埋没し、やがて果てました。
 
 会場が真っ暗になる前に二度、リンコさまのマイクが拾ったガタンという大きな音が、ローター音に混じって場内に鳴り響きました。

 一度目の音は、私が咥えていた乗馬鞭が床に落ちた音。
 二度目の音は、とうとうこらえきれずに崩れ落ちた私の両膝が床に激突した音でした。
 
 真っ暗になったステージ上で、盛大な拍手の音だけが聞こえていました。


オートクチュールのはずなのに 58


2016年9月4日

オートクチュールのはずなのに 56

 ほのかさまからリンコさまへと手渡されたのは、さっきと同じようなCストリングの形状をしていました。
 ただ、内側に何やら怪しげな突起が付いていました。
 それもふたつも。

「今度のアイテムはね、ちょっとえげつないんだ。でも、小夜ちんみたいなマゾッ娘にこそお似合いだと思う」
「絵理奈さんと穴の距離が微妙に違うとか言って、アヤ姉が急遽、微調整したらしいよ」
 リンコさまがイタズラっぽく笑って、その突起部分を私の目の前に突き出しました。

 手前には、大きめのローターをふたつ重ねたような赤い突起。
 後方には、丸っこくくびれた円錐型の、まさしくアナルプラグ然とした形状の突起。
 それらが、弓なりに反り返ったレザー製らしき真っ赤なCストリングの裏側に取り付けられていました。

 見た途端に理解しました。
「これを・・・い、挿れるのですか?」
「そう。挟むだけのCストより、外れちゃう可能性が格段に低くなるってわけ」
 とても愉しそうなお顔のリンコさま。

「本場のサンバカーニバル衣装でも、激しい動きで落ちちゃわないように、同じような細工しているのが普通にあるんだ」
「この突起はあくまでもストッパーとしての役目で、決して気持ち良くなるためのものではないんだから、そこ、間違えないでよ?」

 からかうようにおっしゃったリンコさまが、そのCストリングを私の目前からサッと引っ込めてほのかさまに戻しました。

「て言っても、今から穿かせちゃうと小夜ちん、ステージ出るまでに絶対どんどんサカッちゃいそうだから、これは最後。先にアクセ類つけちゃおう」

 リンコさまの号令で、しほりさまに左手を取られ、ほのかさまは私の足元にひざまずかれました。
 突起付きCストリングと同じ素材、色合いのベルト式な手枷と足枷が、おふたりの手で手際よく私の両手足に装着されました。

「このアイテムのコンセプトは、ずばり、ボンデージスレイブ、囚われのセイドレイ、なんだけど、モデルが小夜ちんになったから、ずいぶんとエスカレートしちゃったみたい」
「絵理奈さんのままだったら、ここまで本格的にヘンタイ仕様じゃなかったんだけどね。恨むならチーフを恨みなさい」
 背後に回ってベルト状の赤い首輪を私の首に巻きつけながら、リンコさまが私の右耳にささやきました。

「バストも、絵理奈さんだったら普通のパスティース貼るだけだったんだけど、チーフがこんなもの持ち出してきて」
 リンコさまの手のひらに、私の乳輪ギリギリくらいの、真っ赤なハート型パスティースがふたつ乗っていました。

「これはね、貼り付けるんじゃなくて、ニップルを挟んで固定するの」
 リンコさまがひとつのパスティースを裏返すと、バストトップにフィットするように曲線を描いた内側に、見た瞬間に仕組みがわかる金具が付いていました。

「ホフマン式ピンチコックっていう、化学の実験とかで使う器具があるんだけれど、その応用。本来は、このバーのあいだにゴム菅を挟んで、気体や液体の流れをコントロールするための装置なんだってさ」

 2センチ四方くらいの正方形のスチール枠の一辺がネジ式で可動するようになっていて、その枠内に挟んだものを締め付け出来るような仕組み。
 つまりはイヤリングで耳たぶを挟むのと同じ仕組みが大げさになった感じです。

「あの子、こういうの大好きだから、きっと大悦びするはず、ってチーフが言ってたってさ」
 ひとつを手渡されました。
「ほら、自分で乳首に嵌めて、ネジで落ちないように締め付けなさい」
「あ、はい・・・」

 左おっぱいにあてがいました。
 熱を持った乳頭に金具がひんやり。
 枠の上部分を乳首の根本まで押し付けて、ハート型のお尻部分から覗いているネジを締めていきます。
 やがて下枠の部分が乳首の下まで到達し、そこからは乳首が締め上げられるばかり。

「ああんっ」
 いくら尖ってもずっとほったらかしにされていた私の乳首が、久々にかまってもらえた嬉しさでわななき、思わずはしたない声となって零れてしまいました。

「途中で落ちないように、ぎゅうっと締めること。チーフの話じゃ、洗濯バサミ大好きらしいじゃん」
「小夜さん、乳首大きめだから、挟み甲斐がありそうね」
「ほら、顔がエロくなってるよ。いやらしいことは考えないで、ポーカーフェイス、でしょ?」

 左手でおっぱいを押さえつつ右手でネジを回す私を、リンコさまとしほりさまが口々にからかってきます。
 二枚の細い金属板に上下から挟まれ絞られた乳首のもたらす疼痛が、ジーンと全身を駆けまわります。

「そっちもちゃっちゃと着けちゃって」
「あ、はい・・・」
 同じ要領で右乳首にもハートをかぶせました。

 両乳首がもたらす疼痛がYの字状に下半身へと流れこみ、性器から全身へとジワジワ疼きが広がっていきます。
 これまでに蓄積されてきた、恥ずかしい姿をみなさまに視姦されるという精神的な快楽に、乳首責めという肉体的刺激まで加わったことで、発情のレベルが一気に上がってしまったようでした。
 もっと虐めて、もっと痛い思いをさせて、という欲求だけがどんどん膨らんでいました。

「落ちないようにちゃんと着けた?ちょっとそこでおっぱい揺らしてみてよ」
 リンコさまのイジワルなご命令。
「はい・・・」

 完全に言いなりマゾモードな私は素直にその場で、ラジオ体操の腰をひねる運動のように、上半身を左右に大きく振りました。
 剥き出しのおっぱいがでたらめにブルンブルン揺れると、鎮まりかけていた両乳首からの疼痛が息を吹き返しました。
「あぁ、うぅ」
 思わず洩れたいやらしいため息に向けられた、蔑むようなリンコさまの冷ややかな笑み。

「おっけー。あとはチェーンを繋げるだけだから、Cスト穿かせちゃいましょう」
 テーブルに放置されていた突起付きのCストリングをリンコさまが手に取られました。
「そんなにグショグショなら、ローションなんか塗らなくてもすんなり入っちゃうよね?はい。自分で着けて」
 Cストリングを手渡されました。

 みなさまが興味津々なまなざしで見守る中、手前の突起部分をマゾマンコにあてがいます。
 縦長の楕円を二つ重ねた、いびつな逆雪だるまさんのような形の突起部分は、シリコンみたく柔らかい素材なので、蜜に溢れた膣内に難なくズボッと潜り込みました。

「あうぅっ」
 マゾマンコ全体が今か今かと待ち望んでいた異物挿入の瞬間に、粘膜一同の歓喜のざわめきが実際の声となって洩れてしまいます。
 異物の侵入に溢れ出たおツユが、みるみるCストリングの裏側をヌルヌルに汚しました。

「そろそろ紹介映像が終わります。早めにスタンバってください。引き伸ばせて、最大あと3分です」
 里美さまの事務的なお声が聞こえました。

「ほら、早くアナルも嵌めて。リハのとき絵理奈さん、いちいち喘いだりしないで、ひとりで淡々とこなしてたよ?」
「あ、はい・・・」

 左手で股間を押さえ、右手を背後からお尻に持って行き、溢れたおツユをお尻の穴になすりつけます。
 私、みなさまの視ている前でこれから、お尻の穴に異物を挿入しようとしている・・・
 そう考えると恥ずかし過ぎて、あてがった先端を押し込むことに躊躇してしまいます。

「ううん、もう任せてらんない。アタシが挿れてあげるから。お尻突き出しなさい」
 リンコさまが焦れたようにおっしゃり、私の背中をいきなり押さえつけてきました。

「あうっ」
 お尻をリンコさまに向けて突き出した格好で、前屈みになる私。
「ほら、自分で穴、広げてなさい」
 ドエスそのものなリンコさまのご命令口調。
「は、はいぃ」
 両手をお尻の割れスジにあてがい、みなさまの目の前で自らお尻の穴を押し広げる私。

「あ、あの、わたし、このペットボトルをおトイレで処理してきちゃいます。すぐに戻ってきますので」
 あまりにみじめな私の姿にいたたまれなくなったのか、さっき私がしたオシッコボトルを紙袋に入れたほのかさまが、逃げるように楽屋のドアからお外へ飛び出していかれました。

「たまほのには、ちょっと刺激が強すぎたみたいね」
 傍らのしほりさまへ向けたのでしょう、リンコさまのバツの悪そうなつぶやきが聞こえました。
 と思う間もなく、お尻の穴にひんやりとした感触。

「んぐぅっ」
「力抜いてないと苦しいよ?」

 ヌルっとした感触が徐々にお尻の穴に埋まっていく感触。
 前に埋まっている突起との相乗効果で、下腹部の粘膜全体が心地よく圧迫されてきます。
「あぁうぅぅ」
 押し殺そうとしてもこらえきれない悦びの喘ぎ。

「おーけー。ずいぶんすんなり入っちゃった。普段から使い込んでるんだねえ」
 リンコさまのからかいが、的を射過ぎていて恥ずかし過ぎます。
 
 ゆっくりとからだを起こしました。
 体内に潜り込んだ異物がからだの動きに合わせて粘膜を擦るのがわかります。
 二穴蹂躙。
 えっちなビデオのタイトルか何かで見たことのある、そんな卑猥な言葉が頭をよぎりました。

「んぐっ、うぅぅ」
「ほら、スケベな声出してないで、ドアまで行くよ」
 リンコさまに促され、ステージへと出るドア前まで歩きました。

 脚を交互に動かすと、埋め込まれたふたつの異物が膣壁と腸壁を満遍なく圧迫するようにフィットして、思ったより歩きづらくはありません。
 だけど、これからこの状態で、たくさんのお客様がたの前を100歩以上は、歩かなければいけないのです。
 ポーカーフェイスをつらぬいて絶対に気持ち良くはならない、という自信はまったく持てませんでした。

「それで、最後の仕上げね。言っとくけど発案者は、愛しのお姉さまだから」
 リンコさまがからかうようにおっしゃり、両腕を後ろに回され、両手首の拘束具を後ろ手にガチャリと繋がれました。
 首輪にもおへそくらいまでの太くて重いステンレスチェーンをリードのように垂らされます。
 両足首の拘束具も、ちょうど一歩分くらいの長さにチェーンで繋がれました。

「うわー。すっごく似合ってる。さすがに小夜さんのこと知り尽くしたお姉さまのコーディネートね。エロさ満開」
 しほりさまが私の姿を上から下までしげしげと視つめて、おっしゃいました。
 それからふと思い出したように、リップを塗り直してくださいました。

「スタンバイ、お願いします」
 里美さまのお声で、しほりさまがステージへ向かうドアを開きました。

「マゾっ娘コーデの最後の仕上げは、ステージ袖でね」
 リンコさまが後ろ手に何か隠し持った格好で、私をステージ袖の暗がりへ押し出しました。
 思わず右足をグイと踏み出すと両足幅を繋いだ鎖がピンと張り、グラリとよろけてしまいました。
 背後のリンコさまに支えられ、転ばないで済みました。

「普通の歩幅よりチェーンが短かめになっているから、歩幅調整してゆっくり歩いて。その分、お客様にじっくり視てもらえるはず」
「ステージに戻ったらまた、楽屋に戻らず居残って。アヤ姉たちの解説が入るから」
 リンコさまがおっしゃりながら私の正面に回り込みました。

「いろいろ候補はあったみたいよ。普通のボールギャグとかノーズフックとかね」
 後ろ手に隠し持っていたものを見せてくださるリンコさま。
 お姉さまが私のために手に入れてくださった、あのブランドもの乗馬鞭でした。

「これを咥えて、ランウェイを歩くの。ここがちょうど真ん中でバランス取れるから」
 リンコさまが乗馬鞭の柄の真ん中あたりを人差し指に乗せて、やじろべえみたいにユラユラさせています。

「火の点いた太いローソクを咥えさせて蝋をダラダラ肌に垂らしながら、っていう案もあったらしいけれど、万が一ウイッグに燃え移ったり、絨毯に落としたりしたら危ないしね。消防法にもひっかかりそうだし」
「いろいろ悩んで、これを咥えさせるのが一番アナタらしいって、考えたみたいよ、アナタの愛しいお姉さまは」
 からかうな笑顔がすぐに引っ込み、真顔に戻ったリンコさま。

「口開けて」
 恐る恐る開けた口に乗馬鞭の柄が押し込まれました。

「一度咥えたら、ランウェイ往復して帰ってくるまで、絶対落としちゃだめよ」
 そこまでおっしゃって意味ありげにお言葉を切ったリンコさまが、ゾクッとするほど冷ややかな笑みを一瞬浮かべられ、こうつづけました。
「たとえどんなことが起こっても、ね」

 咥えさせられた乗馬鞭の柄は、思ったよりも弾力があり、左右の糸切り歯がやんわり食い込んでいる感じ。
 顔の左側にベロ部分、右側にグリップ部分。
 鞭自体は軽いので、落とす心配は無さそう。
 でも、口が半開きのままになるから・・・

「よだれなら、どんどん垂らしていいってさ。上の口も、もちろん下の口からもね」
 私の心を見透かしたようなリンコさまのお声が終わるか終わらないかのタイミングで、場内のBGMが変わりました。

 ホラー映画のサントラ盤みたいな、物悲しくも重厚な曲。
 一瞬にしておどろどろしい雰囲気に変わりました。
 場内の灯りも一斉に消え、真っ暗。
 やがてピンスポットがステージ上の、私が出るべき位置だけを丸く照らし出しました。

「お待たせいたいました。それではどうぞじっくりと、ご覧になってください」
 雅部長さまのお芝居がかった綺麗なお声が響き渡り、つづいて盛大な拍手。
 その中を私は、ゆっくりと光の輪の中へと歩を進めました。

「おおおぉぉ」
 光の中に入った途端、会場全体が大きくどよめきました。

 からだの首と名のつく箇所すべてに赤いレザーの拘束具を着けられた、パスティースにCストリングだけの裸体が浮かび上がったのでしょう。
 両手は後ろ手に繋がれ、両足も囚人のようにチェーンで繋がれ、首元からもペットのように鎖を垂らし、自分を痛めつけるための乗馬鞭を自分で咥えた哀れなマゾ女。
 
 スポットライトが私を焦らすかのように、とてもゆっくりとランウェイに導いてくれます。
 ライトから外れるわけにはいかないので、その動きに合わせてゆっくり歩かなければなりません。
 こんな恰好なのに、努めて無表情に。

 首から垂れたチェーンが揺れて横乳を愛撫します。
 足首を繋いだチェーンがジャラジャラと音を立てます。
 鞭を咥えた唇からはよだれが垂れ始め、首筋からおっぱいへと滑り落ちています。

 ランウェイに降りると、ライトの動きはますます遅くなりました。
 一歩進んでは立ち止まるような、周辺のお客様がたに存分に見せつけるようなペースになりました。

 このアイテムの破廉恥な仕組みは当然、私の登場前に綾音さまが、お客様がたにご説明されているでしょう。
 つまり、ここにいるみなさまは全員、今私がどんな状態なのかをご存知なのです。

 パスティースの裏で私のふたつの乳首がネジでギュッと締め付けられていることも。
 Cストリングの裏で私のふたつの穴が卑猥な突起に蹂躙されていることも。

 パスティースのハート型のお尻からは、締め付けるためのネジが2センチくらい覗いていました。
 Cストリングと肌の隙間からは、溢れ出た粘性のおツユがトロトロと内腿をつたっていました。
 
 今私は、自分の性的に敏感な箇所すべてを陵辱されながら歩いている姿を、そうと知っているみなさまにご披露しているのです。
 それは、自分が普段人知れずしているオナニー姿をみなさまに晒しているのとほとんど同じことだと気づき、その恥辱に性懲りもなく更に昂ります。

 リンコさまは、Cストリングの突起を、あくまでもストッパーとしての役目で、決して気持ち良くなるためのものではない、とおっしゃいましたが、それは嘘でした。
 
 きっとそういうふうに設計された形状なのでしょう、
 歩いているうちにマゾマンコに埋められたほうの突起がどんどん奥へと侵入してきて、脚を動かすたびにより奥へ奥へと突かれる感覚がしていました。

 あっ、あっ、んっ・・・これ、気持ちいい・・・
 表情に出さないように努めながらも、どうしても股間の快感に眉間が寄ってしまいそうになってしまいます。

 お客様がたはシンと静まり返り、誰もがスポットライトの中の私の姿を食い入るように凝視しているのがわかりました。
 すすり泣くような物悲しいストリングスのBGMだけが場内に鳴り響いています。
 まるでヨーロッパ中世の古びたお城かどこかに拉致されて、生け贄とか奴隷とか、余興の慰みの見世物にされている気分でした。
 私の中の被虐メーターが振り切れそう。
 
 ランウェイを半分くらいまで進んだところで、今までになく深い所を突かれ、たまらずキュンと膣壁が突起を強く締め付けたのがわかりました。

「ぁんんっ・・・」
 同時に頭の中に真っ白な火花が散り、腰から砕け落ちそうになりました。


オートクチュールのはずなのに 57


2016年8月21日

オートクチュールのはずなのに 55

 それ以降のアイテムはどれも、ほとんど裸、としか言いようのないものばかりでした。
 バストトップと股間をいかにギリギリに隠すか、みたいなコンセプトのものばかり。

 幅3センチにも満たない赤いリボンを胸囲を測るように巻きつけ、同じ幅のリボンがおっぱいの谷間から一直線に下へ伸び、股間を覆って背中側へと通る、正面から見ると、乳首を結んだ線と股間への細いラインがTの字の形にしか肌を隠さない水着。
 
 首に巻いたチョーカーから垂れ下がったチェーンが乳首と股間だけを、小さなハマグリの貝殻みたいなアクセで隠してくれるビキニ。

 Cストリングと呼ばれる、両脚を通すパンツ状の紐も布も無い、ただ股間にパカっと嵌めるだけのC字型カチューシャみたいなボトムスを穿かされたときは、乳首のほうは、小さなハート型のパスティースをペタンと貼り付けただけでした。

 アイテムお着替えの合間に、リンコさまが教えてくださいました。

「こっちに戻ってからの開演前のミーティングでね、当初の予定からの演出変更がけっこうあったんだ」
「どうせなら絵理奈さんじゃ出来なかった、ぶっ飛んだこともしちゃおう、ってさ」

「モデルが絵理奈さんだったら基本、ニプレスと前貼りでずーっと通すつもりだったんだよね。彼女はプロで、イメビとかもけっこう売れているほうだからさ」
「プロのモデルにとって、そういう部分って、ある意味、売り物なわけじゃない?見えた見えないの世界で。まあ、今回は名前出さない予定だったけれど」
「イメビでもまだバストトップ解禁していないランクだからさ、軽々しく見せちゃうと、価値が下がっちゃう、みたいな、オトナの事情もあるし」

「でも小夜ちんがモデルになったことだし、不幸中の幸いを最大限活用して、ここは思いっきりはっちゃけちゃおうって、絵理奈さんだったらNGだった試作アイテムとか、急遽オフィス戻って持ち出してきたり」
「一番ノリノリだったのがチーフ。こういうの、ナオコ悦びそう、とか言っちゃって、アヤ姉とワイワイ盛り上がってた」

 チェーンにハマグリのビキニでステージに出るとき、オモチャの手錠を後ろ手に嵌めることにしたのも、お姉さまのアイデアなのだそうです。
 首に嵌められたチョーカーがベルト式のワンちゃんの首輪っぽいデザインなことも相俟って、私的に一気に、マゾドレイ、な被虐モードに入りました。

 ある意味とても私らしい、こんなマゾ丸出しな姿までお客様がたにお視せすることで、お姉さまもイベントを愉しまれているんだ・・・
 このイベントでは、たとえ私がどんなにアブノーマルな姿を晒しても、お客様がたも含めて誰ひとり、咎めるような人はいない、ということを、これまでの出番で実感していました。
 
 だから直子も遠慮なんかせずに、人知れず隠し持ってきた性癖を、残らずここでさらけ出して開放しちゃいなさい。
 お姉さまに、そう言われているような気がしました。
 そう考えると、お姉さまが私を本当に理解してくださっているんだな、って思えて、キュンキュン萌えちゃいました。
 
 後ろ手に拘束されていても、ランウェイでは胸を張って颯爽と歩かなければなりません。
 ほとんど裸な晒し者姿の私を、食い入るように、その歩み通りに追いかけてくるみなさまの値踏みするような視線。
 なんだかマゾドレイの競り市に出品されちゃった気分。

 天然モノらしい小さなハマグリの貝殻の裏に、背伸びしきった乳首が擦れます。
 大きめのハマグリに軽く覆われただけの股間の奥がジンジン疼きました。
 ただ、それと同時に不穏な兆候を下半身に感じ始めていました。

 最初は、興奮し過ぎて、感じ過ぎちゃっているせいだろうな、って思いました。
 ひとりでオナニーしているときも、たまにそういう感覚に陥るときがあったからです。
 そういうときはたいてい、最終的にはシオを吹いちゃうのでした。

 でも今は、何かを挿れたり、直接刺激とかは一切していないのだけれど・・・
 そこでやっと気づきました。
 これは、尿意。

 考えてみると午前中にお姉さまからお浣腸をされて以来、ずっと排泄行為はしていませんでした。
 ショーが始まってからは、浴びせられるライトの暑さやからだの火照りに任せてスポーツドリンクをゴクゴク飲み干していました。
 当然の結果でした。
 まだ我慢しきれないほどではなかったのですが、楽屋に戻ったとき、リンコさまにご相談してみました。

「あの、おトイレに行かせてもらえますか?」
「えっ?」
 私の貝殻ビキニを脱がせながら、リンコさまが驚いたお声をあげられました。

「大きいほう?小さいほう?」
「あ、えっと、オシッコです」
「したくなっちゃったの?」
「はい・・・」
「我慢出来ないくらい?切羽詰まってる?」
「あ、いえ、まだ、それほどではないですけれど・・・」

 全裸になった私の下腹部を、じっと見つめてくるリンコさま。
 その視線を私の顔に戻した後、唇の両端だけクイッと上げたイジワルそうな笑みを作って、こうつづけました。

「とりあえず次のアイテムは、すぐに着替えて出なきゃならない段取りだから我慢して。その次なら、少し着替え時間に余裕があるから、何か方法、考えておく」
 おっしゃりながら私のからだをタオルで拭ってくださるリンコさま。
 気のせいか下腹部の膀胱の辺りをギュウギュウ押してくるように感じました。

 乳首の上にハート型のパスティースが貼られ、股にCストリングが嵌められました。
「小夜ちん、こういうの初めてでしょ?アイバックっていうんだ」

 両腿の付け根に挟んだだけ、な構造は、ちょっとしたことですぐ外れちゃいそうでとても頼りない感じですが、お尻側に回った細長いワイヤーぽい部分に弾力があり、お尻の割れスジに沿って食い込むように締め付けてくれるので、意外に落ちないみたい。

「ドレスとかでパンティラインを出したくないとき用に考案された、っていう触れ込みなんだけどさ、どう見たってエロ目的だよね、こんなの」
 これからその、こんなの、を身に着けて人前に出る私を目の前にして、他人事のようにおっしゃるリンコさま。

「まあ、アタシがいろいろ改良して、そのへんの市販品よりずっと着け心地良く、外れにくくしてあるからさ。安心してお客様にじっくり見せておいで」

 乳首にはシール、股間にはカチューシャ方式で嵌めただけのCストリングという全裸と大差ない姿でランウェイを往復し、楽屋に戻りました。
 お客様がたからの射るような好奇の視線シャワーにゾクゾク感じつつ、尿意も一段階上がっていました。

「おつかれー。こっち来て」
 戻るなり、リンコさまに手を引かれ、お部屋の中央に連れて行かれました。
 床に今まで私に使用したのであろう、少しヨレたバスタオルが何枚か敷いてありました。

「次のアイテムがラス前だから、あともうひと踏ん張り」
 しほりさまがお声をかけてくださいます。
「次のアイテムはちょっと仕込みに時間かるんだけれど、オシッコどうする?」
 リンコさまが尋ねてきました。

「あ、はい。やっぱりしちゃったほうがいい感じみたいです」
 我慢するのは好きだし得意なのですが、万が一我慢しきれなかったら、お姉さまのイベントを台無しにしてしまいます。
 それに、自分でもはっきりとわかるほどに尿意が高まっていました。

「そっか。でもこのフロアにあるトイレは、ここからかなり離れているから、悠長にトイレに行ってる余裕がタイムスケージュル的にも無さそうなんだ。悪いけれど」
「かと言って無理やり我慢させて、ショーの途中で小をお漏らしさっれちゃったりしたら、目も当てられないからさ、ここでしちゃって」
 しょうもないダジャレ混じりでイジワルに笑いながら、リンコさまがサラッとおっしゃいました。

「え?こ、ここで、ですか?」
「うん。これに」
 差し出されたのは、2リットルの空のペットボトル。
 私がゴクゴク飲んでいたスポーツドリンクの空き容器でした。

「グラビアやイメビの野外ロケとかでもよくあるよ。モデルが急にしたくなっちゃうこと」
 しほりさまが会話に加わってきました。
「近場にトイレ無いことザラだから、いつも携帯トイレをいくつか持ち歩くことにしているんだけれど、今日は生憎持ってなくて。ごめんね」
 もしもしほりさまが携帯トイレをお持ちでも、ここですることに変わりはないようです。

「で、でも、みなさま、いらっしゃるんですよね?」
 てっきりガウンでも着せられて、早く帰ってらっしゃい、とおトイレに送り出されると思っていた私は、ドギマギしすぎて、尿意がどんどん荒ぶるばかり。
 ここで、みなさまに見守られる中で、オシッコしなくちゃならないの?

「仕方ないじゃない。今は大事な仕事中なんだよ?アタシらは、スケジュール通りに一分一秒を争って、次のアイテムを着せなくちゃならないのっ」
 焦れたようにリンコさまがおっしゃいました。

「なんだか拍子抜け。小夜ちんなら、悦んでするだろうって思ったのに」
 リンコさまが真面目なお顔で私を見つめてきました。

「どうしてもここでしたくないって言うのなら、トイレに行ってきてもいいよ、ただし、その格好のまま、ひとりでね」
「このフロアのトイレは、エレベーターロビーの真ん前。今は時間的に他の会場が入れ替えの頃だから、他の催事で来たサラリーマンのお客様とか、たくさんいると思うけどね」
「それで、きっちり3分以内に戻ってきて。それが出来ないなら、ここでしなさい」
 今までにないほど冷たく突き放した、リンコさまのエス度満点な視線。

「あなた、マゾなんでしょう?それともチーフ、呼ぼうか?」
 最後に私の目を射るようにじっと視て、吐き捨てるようにおっしゃいました。

「は、はい・・・わかりました・・・こ、ここで、します・・・」
 マゾマンコの奥から脳天まで、隷属、という名の気持ち良い電流がズキュンとつらぬきました。
 これは、ご命令なんだ・・・
 私は、今日モデルをすると決めたときから、お姉さまの会社のスタッフのみなさま全員の慰み者、マゾドレイになったのだから・・・

「ならさっさとしちゃってよ。それじゃなくても時間押してるんだからっ」
 リンコさまのエスな口調とともに、おっぱいのパスティースが乱暴にベリっと剥がされ、Cストリングスもスポッと外されました。

 全裸にされて敷かれたバスタオルの縁に立ちます。
 中腰になってマゾマンコの割れ始め付近にペットボトルの飲み口の縁を右手であてがいました。

 私の正面にリンコさまとしほりさま、右側にほのかさま、背後に里美さま。
 ほのかさまだけは、ちょっと離れたところで怯えたような瞳で、それでも視線はしっかり私のからだに向いていました。

「一応タオルは敷いたけど、なるべくこぼさないでよ。しっかり狙って」
「はい・・・」
 会社のみなさまに、全裸でオシッコするところを視られている・・・
 ドキドキがひどすぎて、なかなか出てきません。

「自分でラビア広げて、尿道により近づけたほうがいいんじゃないの?」
 リンコさまの蔑んだお声。
「いっそ飲み口を中に突っ込んじゃえば?」
 しほりさまのからかうようなお声。
「そのボトルの飲み口は、ウエットティッシュでちゃんと拭っておいたので、清潔だと思います」
 ほのかさまのひどく真面目なお声。

「は、はい・・・」
 すべてのお声がご命令でした。

 左手をマゾマンコに添え、自分で陰唇をグイッと開きました。
 一瞬で左手の指先がヌルヌルになるほど濡れそぼっていました。
 飲み口をそっと粘膜に近づけます。
 粘膜に直接プラスティックの感触がしたとき、添えた左手の手のひらが、腫れ上がったクリットに触れました。
「あぅ!」

「感じてる場合じゃないでしょ?ほんと、いやらしい子」
 呆れたようなリンコさまのお声と同時に、ペットボトルの底から音がし始めました。

 ジョボ・・・
 ジョボジョボ・・・
 ジョボジョボジョボーーーッ!

 一度出始めると堰を切ったように、勢い良くほとばしる不浄な液体。
 右手で持ったペットボトルがみるみる重くなり、生温かくなってきました。
 ジョボジョボジョボーーーーーッ。
 逃げ出したくなるほど恥ずかしい水音がお部屋一杯に響き渡りました。

 視てる・・・
 視られてる・・・
 明るい蛍光灯の下まっ裸になった私が、オシッコしている姿を・・・
 リンコさまが、しほりさまが、ほのかさまが、里美さまが。

「現在、夕張さん、オシッコ中です。その後、着替えですので、予定より3分前後つないでおいてください。あとで巻きますので」

 背後から美里さまのお声が聞こえてきました。
 そんなこと、わざわざご報告されなくてもいいのに・・・
 交信のお相手は、お姉さまでしょうか、ミサさまでしょうか?
 美里さまのインカム越しに、私の派手な放尿音も聞こえちゃったでしょうか・・・

 永遠につづくように思われた激しい水音もやがてチョロチョロ、せせらぎ程度になっていました。
 ポチャン。
 最後に水面を震わせた波紋を合図に、そっとペットボトルをマゾマンコから離します。
 ツツーっと糸を引くペットボトルの飲み口はヌルヌル。

「済んだ?」
 真正面から一瞬も目をそらさず私の放尿姿を視つめていたリンコさまが、お顔を上げて尋ねてき
ました。

「はい」
「スッキリした?」
「・・・はい」

 ペットボトルの三分の一くらいが、薄黄色の液体で満たされていました。
 たった今、私の体内から排出されたオシッコ。
 その体温くらいに生温かくなったペットボトルを両手で持った全裸の私を、全員が無言で見つめていました。
 たった今、私のマゾマンコから離された、丸くぽっかり空いた飲み口から、独特の不浄な臭いが辺りに漂ってきます。

「けっこうクサイね。早くふたしちゃいなさい」
 リンコさまったら、わざわざおっしゃらなくても・・・

「は、はいっ」
 今更ながらの強烈な恥ずかしさをごまかすみたいに、ほのかさまから渡されたペットボトルのキャップをギュウギュウ締めました。
「スーパーモデル、夕張小夜様のしぼりたて聖水瓶詰めね」
 しほりさまのからかい口調に、いたたまれない程の羞恥で今すぐどこかへ逃げ出したい気持ち。

 ほのかさまがウエットティッシュを差し出してくださっています。
「これで後始末するといいわよ。ソコ」
 私の股間にチラッと目を遣っておっしゃってから、すぐにお顔ごと視線を逸らされました。
「・・・ありがとうございます」
 自分の股間に押し当てた途端、ベトベトになるウェットティッシュ。

「それにしても、あんな姿勢でそんな細い飲み口に、よく一滴もこぼさずに出来たものよね。ひょっとして家でも日常的にやっている熟練者だったりして」
 しほりさまが感心したように尋ねてきました。
「い、いえ、初めてです。ペットボトルにオシッコなんて、今までしたことないです」
 大急ぎで否定する私。
 だって本当のことですもの。

「ふーん。やっぱわたしの、突っ込んじゃえ、っていうアドバイスが良かったのかな」
 自画自賛されるしほりさま。
「でもこれで、マゾプレイのレパートリーが増えたんじゃない?あえてナオコって呼ぶけれど、ナオコのオフィス放尿ショー、なんてね」
 すっかり言葉責めモードに入っているしほりさまのご冗談にも即座に、オフィスでおトイレに行かせてもらえない私が、みなさまの前でペットボトルにオシッコする姿をご披露している妄想を浮かべてしまう、どうしようもない私。

「はいはい。時間押してるよ。次はプレイ編のメインアイテム、そしてオーラスのエンディングアイテム。最後まで気を抜かないで、キメにいくよ」
 
 リンコさまがパンパンと拍手しておっしゃったそのお言葉で、私のオシッコ姿ご披露タイムで緩んでいた場の空気が、再びピリッと張り詰めました。


オートクチュールのはずなのに 56