2015年10月12日

オートクチュールのはずなのに 23

 私が上がるべきテーブルの大きさは、広さも高さも一般的な事務机と同じくらい。
 テーブルの上にあったビニールトートとお姉さまのレインコートは、椅子の上に移動され、表面を飾る合板の木目模様の片隅に、真四角に折りたたんだ白いバスタオルだけが置いてありました。

「四つん這いでも寝そべっても、好きな格好でやっていいわよ」
 ビニールトートの中身を物色しながら、お姉さまがおっしゃいました。
「これとか、これも使えそうね」
 私のオナニー用お道具をチョイスされているようです。
「状況が状況だから縛ったりするヒマがないのが残念ね。ほら、早くテーブルの上にお乗りなさい!」
 首輪のリードをグイッと引っ張られ、テーブルの縁につんのめりました。

 テーブルに背を向けて立ち、後ろ手の両手をテーブルの表面につきました。
 ミュールから両足を浮かせると同時に、テーブルについた両腕を踏ん張って腰を持ち上げ、お尻をテーブル上に乗せました。
 
 それから、お尻を奥へ滑らせつつ両脚を折りたたみ、テーブル中央付近へと移動しました。
 からだの動きに合わせて、両乳首を噛んでいる洗濯バサミがフルフルと揺れます。
 テーブル上に上げた両脚は、期せずしてM字開脚の形となり、はしたなく割れた股間から恥ずかしいおツユが内腿をトロトロ零れました。

 いざテーブルの上に乗ってしまうと、そこは思っていたよりも狭くて高い感じ。
 少し暴れたら床に落っこちてしまいそうな恐怖感を覚えました。
 更に、蛍光灯が近くなったためでしょう、からだに当たる光が強くなって、からだの隅々までより鮮明に照らし出されている感じがします。
 後ろ手をついたM字開脚状態な私の真正面で、お姉さまがカメラのレンズを向けてきました。

「一段高く上がったおかげで、とても撮影しやすくなったわ。これなら明るいまま、余裕で全身を映せるもの」
 カメラのモニターを覗きこみながらおっしゃいます。
「もっと脚を開いて、マゾマンコをこっちへ突き出しなさい。そこを一番視て欲しいのでしょう?」
「は、はい・・・」

 私は素直に、両腿を150度くらいまでに開き、その中心部分をレンズに突き出すように向けました。
「うわーっ、凄い眺め。こんなところで素っ裸になっているだけでもオカシイのに、その上、そんな大股開き」
 股間にまっすぐ向けられたレンズに陵辱されているような気がして、からだがムズムズ疼きました。

「自分でマゾマンコ開いてみせてよ。奥の奥まで撮ってあげるから」
 カメラのレンズが私の顔に移っていました。
「はい・・・」
 テーブルについていた両手を離し、うつむきがちの前屈みになります。
「うつむかないのっ!顔はずっと、カメラを視ていることっ!」
 すかさずお姉さまから、叩きつけるような叱責。
「あ、はいっ!」

 顔はカメラに向けたまま、両手を性器の左右にそれぞれ添え、ラビアを左右に押し広げました。
「んーっ!」
「もっと開くでしょ?」
「んんーっ!」
「もっと!」

 ラビアに触れた指先に伝わる熱で、そこがどんなにか熱く火照っているのがわかります。
「ピンクの粘膜がウネウネうねってる。それに見るからにホカホカで湯気まで出ているみたい」
「あぁんっ!」
「いつ見ても大きなクリトリスだこと。テラテラに膨れて、今にも弾けそうじゃない」
「いやんっ!」
 お姉さまのイジワル声に反応して、粘膜がヒクヒクっと痙攣したのがわかりました。

「そのまま、こっち向いて笑ってみせなさい」
 ご命令に、マゾマンコを両手で押し開いたまま、お姉さまに媚びるような笑みを作りました。
「いい笑顔よ。ヘンタイ女そのものって感じで。直子、もしもあたしの会社クビになったら、ストリッパーになるといいわ」
 お姉さまの蔑みきった冷たいお言葉がマゾの官能をザラザラ撫で上げ、ゾクゾクが全身の鳥肌へと変換されました。

「あたしがいいと言うまで、そのままマゾマンコ開きっぱなしにしておきなさい」
 そうおっしゃると、お姉さまはいったんテーブルを離れ、私の背後に隠れました。
「いつ誰が来るかもわからないコインランドリーで、素っ裸になって自分のマゾマンコ開いて笑ってる女なんて、世界中探しても直子くらいしかいないわよね?」
 背後から、呆れ果てたようなお姉さまのお声。

 ひょっとしたらお姉さま、あらためてこのコインランドリーの内部を撮影されているのかしら?
 後からビデオを見るとき、その状況がよくわかるように。
 ラビアを押し開いて半笑いを浮かべたまま、そんなことを考えていたら、目の前にお姉さまが戻られました。

「ほら、これを使うといいわ」
 おっしゃるなり、突き出している私のマゾマンコに太いものがズブリと突き挿さりました。
 膣内を満たしていたおツユが、ジュブジュブ内腿へと溢れ出しました。
 一瞬置いて、膣内全体を震わせてくる激しい振動。
 同時に、パンパンに腫れ上がった肉芽を捻り潰される激痛。

「ぅあっ!うぁーぁぅーーーっ!!!」
 何をされたのか考える暇もなく、本能的な歓喜の悲鳴が私の喉奥からほとばしりました。
 頭の中が真っ白になって、からだがフワッと浮き上がりました。
 イッた、と頭で理解した後、すかさず今度は自分でその太いものを握り、猛烈に膣内を蹂躙し始めていました。
 お姉さまが私から離れた後も、肉芽の痛みは去りませんでした。

 両手で握り、滅茶苦茶に抜き挿ししているのは、私が持っている中で一番太い、銀色の円錐形バイブレーター。
 ヴーンという低い振動音が下半身全体に行き渡り、腰から下が自分のものではないような感覚。
 クリトリスを潰しているのは、木製の洗濯バサミ。
 激痛は疼痛に変わり、その周辺をジンジン痺れさせています。

「あんっ、あんっ、あんっ・・・」
 両手で持った銀色バイブレーターで、一心不乱に抜き挿しをくりかえす私。
 膣口が陸揚げされたお魚のお口のように、パクパク開け閉めをくりかえしています。
 滲み出るおツユは完全に白濁しています。

「いくら雨音が凄いからって、ヨガリ声はもうちょっとがまんしたほうがいいかもよ?入口が開けっ放しなのも忘れないでね。えっちな声を聞きつけて誰かが見に来ても、それは自業自得よ?」
 カメラを私に向けたまま、お姉さまの嘲笑含みなイジワル声。
 
 そのお声が耳に届き、さっきから私の両耳に響いているザザーッという音は雨音なのだと、ここは誰もが出入り自由なコインランドリーなのだと、今更ながらに理解しました。
 入口のガラス戸が開け放したままだったことも。

 すべてわかった上で、それでも手を動かすのを止めることは出来ませんでした。
 一度イって敏感になり過ぎているからだは、どこもかしこもが性感帯と化していました。
 右手でバイブレーターを抜き挿ししつつ、左手は洗濯バサミに噛み付かれた三箇所をでたらめに虐め苛んでいました。

 声を押し殺す気遣いも、まったく失くしていました。
「あ、あんっ!だめ、だめぇ、イク、イクぅぅ!」
 お部屋中にやかましく充満する雨音に煽られ、それに負けないくらいの喘ぎ声を出したくてたまりません。

「いや、だめっ、あぁぁんっ、イッちゃう、イッちゃううぅぅぅ!」
 もう一度頭を真っ白にしたくて、より高く長く舞い上がりたくて、マゾマンコを執拗に陵辱し、洗濯バサミを捻りつづけました。

 たてつづけに数回、たぶん4、5回くらい昇りつめ、やっと手が止まりました。
 マゾマンコに半挿しになったバイブレーターは相変わらずヴーンと振動しています。
 荒い息に両肩が上下し、お尻をついたあたりのテーブルはヌルヌルのビチャビチャでした。
 下半身はまだウズウズ疼いて責め苦を欲しているようでしたが、もはや責める体力のほうが残っていないような状態。
 大開脚の体育座りみたいな格好で、ぐったりうなだれる私。

「たいしたイキっぷりね。何回くらいイッた?」
「はぁ、はぁ、あの、えっと、4回か、5回くらい・・・」
「ふーん。満足出来た?」
「えっと、はい・・・」
「本当に?」
 お姉さまがエスの瞳のまま、艶然と微笑まれました。

「だって、オナニー始めてからまだ5分も経っていないのよ?今日、直子はさんざん恥ずかしい体験をしてきたのだもの、その昂ぶりがたった5分のオナニーで鎮まっちゃうなんて、あたしには信じられないわ」
 お姉さまは、イジワルなお顔でそうおっしゃりながら、ご自分の背後にある洗濯機の上に、ハンディカメラを置きました。
 
 いくつかの洗濯バサミをあいだにかませて向きと高さを調整すると、こちらに向けた液晶モニターの中央に、テーブル上の私のはしたない姿がクッキリ映し出されるようになりました。
 首輪に鎖だけの汗まみれの全裸で、両脚を大股開きに投げ出したまま顔を歪め、肩で息をしている浅ましい私の姿。

「幸い雨も相変わらずで、まだここで遊んでいても大丈夫そうだし、今度はあたしが、この手でイカせてあげる」
 お姉さまが私のもとへ近づいてきました。
「そうね、あの時計が5時になるまで、あたしがそのバイブで直子のマゾマンコをかき回してあげるわよ。嬉しいでしょ?」
「は、はい・・・お姉さま・・・う、嬉しいです」

 カメラを置いた洗濯機の上の壁に掛けてある、よく学校にあるみたいな丸いアナログ時計。
 その針は、4時52分を指していました。
 ここに来たのが4時ちょっと過ぎでしたから、もう一時間近く、私は全裸でこのコインランドリーにいることになります。
 お外もかなり暗くなっていました。

「そのあいだ、あと何回イケるかしらね?もちろん5時になるまで、私はやめないから。直子が、もう許して、勘弁して、って言ってもイカせつづけるからね」
 ゾクッとするような冷たい微笑を投げかけてくるお姉さま。

「あたしが見た感じだと、直子は今、中イキのトランス状態に入っているみたいだから、面白いくらい何度もイケると思うわ」
 一歩私に近づいたお姉さまが、私の股間のバイブレターに右手を伸ばしてきました。
「あっ!お姉さまっ!」
 グイッと奥まで突かれて、瞬く間に頭の中が真っ白になりました。

 それからのことは、ほとんど憶えていません。
 どんどん気持ち良くなって頭の中が真っ白になり、もの凄い快感の中で気を失いかけると再び全身に快感が押し寄せてきて・・・
 それを何度も何度もくりかえした気がします。

 あとは、私を責める合間合間に、お姉さまがおっしゃったお言葉の断片。
「・・・うわー、こんなに奥まで咥え込んじゃって・・・」
「・・・こんなところで、またイッちゃうの?とんだヘンタイ女ね・・・」
「・・・全部出しちゃっていいのよ・・・」
「・・・ほら、今ここの前を車が通り過ぎた・・・」

 耳の中にザザーッという音がフェードインしてきて気がつくと、いつの間にか私のからだはテーブルから下り、椅子に座らされていました。
 洗濯バサミも全部外されています。
「んーっ、あっ!、あれ?お、お姉さま?」
 目を開いて自分の裸のからだを見、どこにいるのかを思い出し、次に探したのはお姉さまのお姿でした。

「気がついたのね。よかった。直子、結局、気を失っちゃったのよ」
 お姉さまは、水道のところで何か洗い物をされているようでした。

「5時になって、あたしがバイブを動かすのをやめた途端、ガクンて、動かなくなっちゃったの」
「一瞬焦ったけれど、直子がオナニーで気を失うの、以前にも見ていたからね。仕方ないからテーブルから下ろして、あたしはせっせと後片付け」
「ご、ごめんなさい!お手伝いします」
 壁の丸時計を見ると、5時15分になっていました。

 あわてて立ち上がろうとすると、腰が抜けたみたいにからだが重い感じ。
 全身に力が入らないのです。
 どうしても立ち上がれず、やむなく諦めました。

「いいのよ。もう終わるから。フェイスタオル一枚で、あのビシャビシャになったテーブルを拭き取るのは骨が折れたけれどね。バスタオルを一枚しか持ってこなかったのは、失敗だったわ」
 確かに、私のおツユでヌルヌルグジュグジュだったはずのテーブル上は、キレイに拭き取られ、ビニールトートとバスタオルが端っこのほうに置いてありました。
 
「それに今、直子のからだは普通の状態ではないと思うわ。あたしの読みが正しければ、ね?」
 水道から振り返り、謎な笑みを投げかけてくるお姉さま。
 
「何回くらいイッたか、憶えている?」
 振り向いたままのお姉さまに尋ねられ、力なく首を左右に振る私。
「直子、あたしに責められているあいだ中、ずーっと、イッちゃうイッちゃう、イクぅ、またイクぅ、しか言わなかったのよ?」
「見た感じ、たてつづけに十数回はイッていたわね。途中まで数えていたのだけれど、バカらしくなってやめちゃった」

「シオ吹いたのは?」
「あ、えっと・・・いいえ・・・」
「途中からピューピュー垂れ流し状態。あたし、からだひねって避けまくっていたんだから」
 苦笑いを向けてくるお姉さま。
 テーブル下のコンクリートの床が、打ち水をしたみたいに濡れているのは、きっとそのせいなのでしょう。

「雨も少し弱まってきたみたいだし、いつまでもこうしてはいられないから、バスタオルでからだを拭って、そろそろ帰る準備をしましょう。お腹も空いてきたし」
 お姉さまがおやさしげな笑顔で私に近づき、膝の上にそっと、バスタオルを置いてくださいました。

「あはっ、いやぁんっ!」
 バスタオルが太腿に触れた瞬間、自分でも思いがけない喘ぎ声が洩れてしまいました。
 事実、その瞬間、全身に電気みたいな快感が駆け巡ったのです。

「やっぱりね。直子はまだトランスから抜け切っていないの。今の直子は、どんなことされても全部快感になっちゃう、全身性器のトランスオーガズム状態なのよ」
 私の目前で嬉しそうに唇をほころばせるお姉さま。
「短時間で許容量を超える快感に責め立てられたおかげで、敏感になり過ぎた全身が外部からの刺激の何もかもを、性感、快楽として受け取ってしまう状態なわけ」

「たとえば・・・」
 お姉さまが私の膝からバスタオルを取り上げ開いてから、私の背中に掛けてくださいました。
「あふうぅっ!」
 タオル地が背中に触れた途端に全身を快感が駆け巡り、身悶えてしまいました。
 そのタオルでうなじを拭かれて、あうっ!鎖骨をなぞられ、あうっ!乳房を撫ぜられ、あうっ!お腹をさすられ、あうっ!・・・

「うふふ。可愛いわよ・・・」
 とどめに右耳にハスキーな囁きを熱い吐息と共に注ぎ込まれ、ビクンビクンと全身が痙攣し、呆気なくイってしまいました。

「時間が経つにつれて薄れていくはずだから、今はがんばって、自分でからだを拭きなさい」
 お姉さまが私から離れ、私はなんとか踏ん張って、ヨロヨロ立ち上がりました。
 絶頂感の余韻が、からだのあちこちにウズウズくすぶっています。
 バスタオルで恐る恐る、自分の胸元を押さえてみました。
 タオル地が素肌を撫ぜるたびにハアハア喘ぎ、ビクンビクン震えてクネクネ身悶えてしまいました。

 乳首や性器に触れなくても、肌を撫ぜ回すだけで下半身へと快感がつらぬき、小さく何度かイキました。
 と言うか、イッている状態がずーっとつづいているような感覚。
 こんなの、生まれて初めてのことでした。
 自分のからだに触れるのが怖くなり、拭うのもそこそこにバスタオルをテーブルに置いてボーっと突っ立っていると、お姉さまが近づいてきました。

 お姉さまは、もうとっくに停止していた乾燥機から私たちの衣服を取り出してきたようで、それらをテーブルの上に置きました。
「ほんのりだけれど、まだ温かいわよ」
 おっしゃりながら、ご自分のタンガリーシャツの袖に腕を通すお姉さま。
「直子はどうしようかしら?そんな状態でワンピ着ても、衣擦れだけでイっちゃいそうよね?」
 愉しそうにクスクス笑うお姉さま。

「雨もまだ降っているし、そんな状態の直子が転んだりして、また全身水浸しなんていうのも、めんどくさい話だわね。そう言えば、ビニール傘も壊しちゃったんだっけ」
「いっそ、裸のまま車に戻る?あたしの土地勘だと、ここから駐車場までは近いはず。たぶん歩いて5分くらい。ずっと路地だけ通って行けるはずよ」
「もう暗いし、こんな雨だし、意外と誰にも会わずに行けるかもよ。あ、でも裸だと雨に打たれてまた感じちゃって、直子がイっちゃうかも」

 どこまで冗談でおっしゃっているのかわからない、お姉さまのイジワル声。
 私も、疼きまくるからだをもてあまし気味に、それも面白いかも、なんて考えていたりいなかったり。

「なーんてね。さすがに全裸で街中歩くのは、発覚リスクがあり過ぎるから、こうしましょう」
 お姉さまがバッグから何かを取り出しました。
「雨宿りのとき話したレインコートよ。スケスケの。それを素肌に羽織って車まで行くの」
 目の前に無色透明ビニールのレインコートが広げられました。
「幸い外もかなり暗くなったから、ちょっと見じゃ中身が裸だなんてわからないわよ。雨も弱まったとは言え相変わらずだし、人通りも無いでしょう。たぶん大丈夫」

「ワンピに着替えるのは、車の中でゆっくりすればいいわ。池袋へ戻りがてら、どこかレストランで、全裸家政婦直子のお疲れ打ち上げディナーをしましょう」
 お姉さまがバスタオルと、乾きたての私のミニワンピースと下着類をさっさとビニールトートに仕舞い込み、左肩に提げます。
 その上から白濁半透明のポンチョ風レインコートを羽織りました。

「あら、リード付けたままだったわね。まあ、いいわ。それはレインコートの中に仕舞っておきなさい。引っ張って歩いてもいいけれど、誰かに見られたらハンザイ臭過ぎて通報されそうだから」
 笑いながらおっしゃるお姉さまに促され、スケスケレインコートに腕を通しました。
 素肌に当たるビニールの感触に、懲りもせずビクビクンと心地良い快感が全身を駆け巡ります。

 パチンと留める式のボタンを全部嵌め終えて、私のからだが透明ビニールに包まれました。
 コインランドリーの明るい蛍光灯の下では、レインコートの中身が全裸だということが一目瞭然です。

 それも、おっぱいの谷間のあいだに鈍い銀色の鎖を垂らした、見るからにマゾ丸出しの淫靡な全裸。
 透き通ったビニールの奥で卑猥に浮き出るボディライン。
 その白っぽい肌色のシルエットの中で、茶色がかった乳輪と乳首、そして銀色の鎖は、中身が裸であることを教える目印のように、一際目立っていました。

 私、これからこんな姿で、街中を5分くらい歩くんだ・・・
 近くで視られたら、明るいところで視られたら、おっぱいもお尻もマゾマンコも丸出しに等しい、こんな姿で・・・

 鎮まりかけていた性的高揚ががグングン昂ぶり、一歩からだを動かすだけでイッてしまいそうでした。


オートクチュールのはずなのに 24


2015年10月4日

オートクチュールのはずなのに 22

 全開のシャワーみたいな激しい雨。
 大きな雨粒がとめどなく、顔やはだけた胸をバチバチたたきつけてきました。
 
 走っても歩いてもどうせずぶ濡れなのにやっぱり走って、剥き出しのおっぱいをプルプル揺らしながら赤い庇を目指しました。
 一足先に到着していたお姉さまは、赤い庇の下でレインコートのボタンを外し始めていました。

「ひどい降りになっちゃったわね。空一杯雨雲だし、当分やまなそう」
 脱いだレインコートの水気を払った後、ビニールトートからバスタオルを引っ張り出して渡してくださるお姉さま。

「だけどおかげで、面白い経験が出来そうよ。思った通り、誰もいないようだし」
 お姉さまが背後のガラス戸を、私にも促すみたいに振り返りました。
 バスタオルを濡れた肌に当てつつ、私も振り向きました。

 全面素通しガラス2枚の引き戸の向こう側には、煌々と電気が灯っていました。
 私の真後ろのガラス戸中央に横書きの赤い文字で、コインランドリー。
 その下には白い文字で営業時間のご案内が書かれていました。
 お姉さまがガラガラッと、その引き戸を開けました。

 八畳間くらいのスペース壁際に、洗濯機らしき物体が整然と並んでいます。
 空いたスペースにはデコラ張りの長方形テーブルが置かれ、折りたたみ椅子が二脚。
 テーブルの上には何も置いてなく、床はコンクリート、壁に手書きで、禁煙、の大きな張り紙。
 小じんまりと古くからやっていらしたような、渋めのコインランドリーでした。

「さあ、その濡れたワンピ脱いで、そこの乾燥機で乾かしてもらうといいわ。もちろん下着もね」
 さも当然のことのように、お姉さまがおっしゃいました。
 
 濡れた髪をバスタオルで丁寧に拭いながら室内を見渡していた私は、ギョッと固まります。
 思わず出かかった反問の言葉を何とか飲み込みつつ、お姉さまのほうを見ましたが、えっ!?ここでですか?という私の心からの叫びが、顔に書いてあったと思います。

「大丈夫よ。こんな土砂降りの中、わざわざ洗濯しようって外に出て来る人なんて、いるわけないでしょ?」
 私の顔を見てクスリと笑ったお姉さまが、愉しそうにおっしゃいました。
「少なくとも土砂降りがつづいているうちは大丈夫なはず。小降りになったら、わからないけれどね?」
 イタズラっぽくおっしゃってワザとらしく動かしたお姉さまの視線を追っていくと、一台の乾燥機。

 その乾燥機は、作動終了のランプが点灯していて、丸いガラス窓の奥には、女性ものらしき下着を含む衣類がいくつか横たわっていました。
 そのまま視線を横にずらしていくと、ここのコインランドリーは洗濯機三台、乾燥機三台という陣容。
 作動中の機械はひとつもなく、使用中ランプが点灯しているのは、その乾燥機一台だけでした。

「あとはまあ、さっきのあたしたちみたいに、そこの庇に雨宿りに来る人がいるかもしれないけれど、ここって最寄り駅からけっこう離れているから、可能性は低いはず」
「だから、さっさと脱いで乾燥機動かして、雨がやまないうちにさっさと立ち去ったほうが、あたしは得策だと思うけれどね」
 お姉さまのイジワル声が、本当に愉しそう。

「わ、わかりました・・・」
 お姉さまのおっしゃることが、もっともだと思いました。
 ここでグズグズしていたら、誰かがやって来るリスクが増すばかりです。
 びしょ濡れで素肌にべったり貼り付いているワンピースも気持ち悪いし。

 バスタオルをお姉さまにお返ししました。
 お姉さまは、そのバスタオルをテーブルの上に置くと、再び私を見つめてきます。
 テーブルの上には、ビニールトートとお姉さまが脱いだレインコートが無造作に置いてありました。

 ガラス戸に背を向けて、自分の胸元を見ました。
 おっぱいは左右とも完全にお外に出ていて、痛々しい先っちょがふたつ、宙を突いています。
 右手でその下に位置するボタンを外すと残りはひとつ。
 前屈みになって裾の下のほうに手を伸ばします。

 私、こんなところで今、裸になろうとしている・・・
 今日初めて訪れた街の、明るいコインランドリーの中で・・・
 大雨とは言え、いつ誰が来てもおかしくない公共の場所で・・・

 全身を被虐の血が駆け巡り、その血がどんどん下半身に集まってきて、疼いて疼いておかしくなっちゃいそう。
 でも表情はたぶんきっと、泣きそうな顔になっていると思います。
 テーブルの端にもたれたお姉さまが左側から、そんな私にカメラを向けていました。

 濡れそぼったワンピースを素肌から剥ぎ取るみたいに、両袖を抜きました。
 現われたのは、まるでカップレスブラのようにおっぱいを下から持ち上げている銀色、今や湿って黒ですが、のブラジャーと、何にも覆われていない下半身。
 脱いだワンピースを左腕に提げて両手を後ろに回し、お役目を果たしていないブラジャーを外しました。
 それから左足のミュールを脱ぎ、足首のショーツも外します。
 すべてを終えて、お姉さまのほうを向きました。

 今、私は、全裸。
 正確に言うと、首に巻かれたマゾのシルシである赤い首輪と両足の白いミュール以外、一糸纏わぬ、全裸。
 眩しいくらいの蛍光灯の光が、コインランドリーの狭い空間に情け容赦なく、生まれたままの私の姿を鮮明に浮き上がらせていました。
 その恥ずかし過ぎる光景はしっかりと、お姉さまのカメラで記録されていました。
 意識しなくても自然に両腕が、胸と股間を隠すように動いて、全身が縮こまっていました。

「あそこに水道があるから、ワンピは軽く絞っておくといいわ。直子のおツユだらけのパンティは手洗いしてからのほうがいいわね。ブラは湿っただけっぽいから、そのままでもよさそう」
 カメラを向けたまま、お姉さまが近づいてきました。

「すっごくエロいわよ、直子。こんなところに真っ裸の女の子がいるのって。それも赤い首輪なんかしちゃってるし」
「シュールとか言うより、やっぱりエロティックね。その恥ずかしがっているところがたまらない。思わず襲い掛かりたくなっちゃう」
 カメラを下ろして、お姉さまが私の目の前に立ちました。

 前を隠すように両手で素肌に押し付けていた衣類を、少し強引に引き剥がしてご自身の左手に持ち、右手で私の左手を引くお姉さま。
 洗濯機と乾燥機の隙間に設えられた、小さな受け皿が付いた水道の蛇口まで引っ張られました。
 
 衣類をその受け皿に置くと、私の手を離しました。
「ほら、早くやっちゃいなさい。もたもたしていると、雨、やんじゃうわよ?誰か来ちゃうわよ?」
 私の後方に退いたお姉さまが、再びカメラを向けてきました。

 水道の前に立ちました。
 最初に、たっぷり雨を含んだワンピースを軽く絞り、広げてからあらためて水道水で軽く水洗い。
 それから入念に絞りました。

 次にショーツ。
 手に持ったときから全体がヌルヌルしていました。
 水を流しながら手洗いしていると、だんだんとヌルヌルが消えていきます。
 お出かけ中に、こんなに汚していたんだ・・・
 今更ながらの恥ずかしさに全身がカーッ。
 ブラジャーも軽く水にくぐらせて、軽く絞りました。

「ずいぶんご丁寧なお仕事ぶりだこと。さすが、全裸家政婦を自認するだけのことはあるわね」
 お姉さまのお芝居っぽいからかい声が背後から聞こえてきました。
 
 お姉さま、今の私は家政婦ではありません。
 だって今洗ったのは、自分で汚した自分のお洋服なのですから。
 ただのヘンタイ女の全裸お洗濯です。
 こんな場所で全裸になっていることで自分のマゾ性がどんどん膨張し、より強烈な辱めをからだが欲しているのがわかりました。

「洗濯機も乾燥機もかなり年季が入った古い型みたいね。この手だと、どのくらい回せばいいのかしら?」
 独り言みたくおっしゃって、機械に貼られた取り扱い説明文を読むお姉さま。
「まあ、ブツは少ないし、20分も回せば乾くでしょう」
 お姉さまがランプの点灯している乾燥機のすぐ横の一台に手をかけ、扉を開けました。
 私も絞り終えた衣類を持って、そちらへ移動しました。

 お姉さまに開けていただいた乾燥機の中に、衣類を入れます。
 ワンピースとブラジャーとショーツ。
 大きな円形ドラムの中に小さな布片が三つだけ。
 なんだか間の抜けた光景に見えました。

「これっぽっちだと、ちょっともったいないような気にならない?」
 お姉さまも私と同じことを思われたみたいです。
 少し考えるようなそぶりをされた後、おもむろに着ていたタンガリーシャツのボタンを外し始めました。

「このシャツも少し湿っちゃったし、汗もかいたからさ、この際一緒に乾かしちゃおう。直子、これも水洗いお願い」
 お姉さまから手渡されたタンガリーシャツは、確かに全体に薄っすら湿っていました。
 お姉さまの体温で薄っすら生温かく、お姉さまの香りが薄っすらしていました。

 そして何よりも驚いたこと。
 それは、シャツを脱いだお姉さまがノーブラだったことでした。
 黒無地の半袖ボートネックでピッタリフィットなTシャツ。
 そのバスト部分先端が左右ともクッキリと浮き上がっていました。

「あたしもあんまり外出でノーブラはしないのだけれどね。今日は直子に影響されちゃったみたい。たまにはいいかなと思ってさ」
 私の視線の先に気づかれたお姉さまは、少し照れたみたいにお顔をほころばせ、そうおっしゃいました。

「だけどあたしはノーブラでも、直子みたいに無駄に恥ずかしがったりはしないわよ。それもひとつのファッションと思っているから、照れずに堂々と出来るの」
「直子みたいに、すぐにいやらしい妄想が広がらないからね」
 言い訳っぽくつづけるお姉さまが、なんだか可愛らしい。
 すっごく嬉しい気持ちで水道まで行き、タンガリーシャツを丁寧に手洗いしました。

 乾燥機の中の布片が四つになりました。
 お姉さまが扉を閉め、コインを投入。
 タイマーは30分を示していました。
 
 ということは、私は泣いても笑っても、この場にあと最低30分間は、全裸のままいなければならないわけです。
 そのあいだ私に出来ることと言えば、このまま雨が激しく降りつづけることを祈ることぐらいしかありません。

 乾燥機を離れたお姉さまは、いったんテーブルのほうへ戻り、折りたたみ椅子をひとつ、入口のガラス戸のまん前に置きました。
「ずっとさっきから気になっていたのよ、直子のその濡れた髪。ほら、こっち来て座って」
 なるべくお外から見えないよう、ガラス戸前を避けて隅っこへ隅っこへと逃げていた私を、容赦なく呼びつけるお声。
「肌にあちこち貼りついてエレガントじゃないから、あたしが軽くセットしてあげる」

 ご命令に逆らえるはずもなく、とぼとぼ置かれた椅子のほうへ。
 椅子は、さっき入ってきたガラス戸に向けて置いてありました。
 そこへ座ると、ガラス戸に書かれたコインランドリーというカタカナが鏡文字になって目前にありました。
 ガラス戸の向こうが相変わらず、滝のように降り注ぐ大雨なことだけが、唯一の心の拠りどころ。
 狭い室内に響くザザァーッというこもったような騒音が、いつまでもつづくことを願うばかりです。

「なかなかスリリングでしょ?もしも誰かがここに入ってこようとそのガラス戸を開けたら、最初に目に入るのが直子の裸なの」
「まあ、入ってくることは無いと思うけれど。誰かが道を通ったら、ガラス越しに見えるのかな?この雨じゃガラスも曇って見えないかな?」
 
 お姉さまが背後に立ち、私の濡れた髪をバスタオルで拭いながら、世間話でもするように語りかけてきました。
 なんだかヘアサロンのオネーサンみたい。

「一番来そうなのは、あの乾燥機に残っている洗濯物の持ち主よね。女性みたいだけれど」
 お姉さまが私の髪を指で梳き始めました。

「女性なら、なんとかごまかせるかもしれないわよね。突然の雨でびしょ濡れになっちゃったんですぅ、って」
「だけど、オトコだったら、いろいろややこしくなりそう」
 そこでクスッと笑うお姉さまのご様子は、まったくの他人事のよう。

「でもまあ、あんまり大事になってもアレだから、もしも誰か来る気配があったら、そこのバスタオルをからだに巻くことだけ、許してあげる」
 お姉さまが私の後ろ髪をいくつかに分けているのがわかります。
 どうやら軽く結ってくださるみたい。

「もっとも、巻いていいか決めるのはあたしだけれどね。こんなところでバスタオル一枚っていうのも、考えようによってはかえってエロいかも」
「若い男の子だったら、かなりコーフンしちゃうでしょうね?襲い掛かってきたら、どうする?」
 からかい声のお姉さまですが、両手はテキパキと動いていました。

「はい出来た。ヘアゴム無いから応急処置だけれど。立って、こっち向いてみて」
 お声に促され、うつむきがちに立ち上がりました。
 椅子の赤いビニールレザーに、直径2センチくらいの水溜りが出来ていて、股間とのあいだに短い糸が引きました。
 思わずそれから顔をそむけると、顔の左右に毛先が揺れました。
 どうやらツインに分けて、それぞれを緩く編んでくださったようでした。

「うわー。こういう髪型にすると、直子って幼くなるのね?」
 本当に驚いたお顔で、私の顔をまじまじと見つめてきました。
「そ、そうなのですか?」
 ガラス戸にぼんやり映っていた自分の顔を見た限りでは、そんなに変わったようには見えなかったのですが。
「うん。雨でメイクも落ちちゃったから、ほとんどスッピンなせいもあるのかしら。なんだか頼りなげで、でもどこか生意気そうで、すごく虐めたくなる顔」

 なおもじっと見つめてくるお姉さまの目力に負けて目をそらすと、視線は自然とお姉さまのTシャツ胸元で目立つ突起に貼りついてしまいます。
 お姉さまもずっと私といて、ずっと感じていらっしゃるんだ・・・
 なんとも言えない甘酸っぱいものがこみ上げました。

「生意気顔の原因はそのアイラインね。こんな雨でも落ちないなんて、大したウォータープルーフぶりだこと」
「そのアイラインも落としたら、もっと幼く見えるのでしょうね。それもそれでそそるものはあるけれど」
 お姉さまの口調が早口気味になっていて、それはなんだか興奮されているようにも思えました。
 興奮というのはもちろん、性的に、と言うか、エス的に。

「締め切っているせいか、この部屋ネットリ蒸しちゃってちょっと不快。換気しましょう」
 おっしゃるや否や、ツカツカとガラス戸に歩み寄り、ガラガラっと50センチほど開けてしまいました。
 
 途端に盛大にボリュームが上がる雨音。
 室内よりも少しひんやりとした空気と、ザザザーッという嵐そのものな雨音が、狭いコインランドリーの中を満たしました。

「この調子なら、まだまだ邪魔は入らなそうだから、思い切ってもっと冒険しちゃいましょうか」
 雨音の騒音に負けないよう、大きめになったお姉さまのお声。
 開けた戸はそのままに、テーブルのほうへと戻っていかれました。

「直子、こっちに来なさい」
 開けたままの引き戸がすごく気になるのですが、呼ばれたからには仕方ありません。
 お姉さまは、テーブルの上のビニールトートの中をガサゴソされています。
「これ、着けて」
 差し出されたのは、首輪に繋ぐ鎖のリードでした。

「は、はい・・・」
 差し出されたリードの金具を、首輪のリングに嵌めました。
 重い鎖が垂れ下がり、胸元からお腹にかけての素肌にぴったり触れます。
 そのひんやりとした金属の感触に、背筋がゾクゾクッと震えました。

「ねえ?こういう激しい雨の音って、心を昂ぶらせる何かがあると思わない?」
 リードを着けた私を至近距離で、まっすぐ見つめてくるお姉さま。
「えっと、それは・・・」
「あたしはそうなの。台風の日とか、なぜだかワクワクしちゃうタイプ。雨の音とか風の音とかに」
 お姉さまは、私の返事なんてハナから聞く気はないようでした。
 私を見つめてくるそのふたつの瞳に、エスの炎がメラメラ燃え盛っているのがわかりました。

「そこ開けて、降りしきる雨の音を直に聞いたら、あたしもう、どうにも我慢出来なくなっちゃった」
 お姉さまの右手がリードの途中を掴み、グイッと引っ張られました。
「あうっ!」
 顔が首ごと、お姉さまのお顔にぶつかりそうなほど、引き寄せられました。

「あたし今、直子をめちゃくちゃマゾ扱いしたくて仕方ないの。虐めたくて虐めたくて」
「はうっ!」
 いつの間に手にされていたのか、木製の洗濯バサミで尖った右乳首を素早く噛まれました。
「ああんっ!」
 つづけざまに左も。

「直子、イっていいわよ。今日はずーっとイキたかったのでしょう?あたしが許すわ。ここで思う存分、イキなさい」
 ここ、とおっしゃったとき、右手の人差し指がテーブルの上をコツコツと叩きました。
「えっ?」
「だからここよ。このテーブルの上でオナニーしなさい」
 
 お姉さまのお顔が少しだけ離れ、その唇の端が少しだけクイッと上がりました。
 おそらく微笑まれたのだと思います。

「出来るわよね?」
 テーブルの上でオナニー?でもその最中に雨がやんじゃって誰か来たら・・・
 そんな思いが頭の中をグルグル駆け巡り、お返事出来ないでいると、またグイッとリードが引っ張られました。
 今度は実際に、私とお姉さまのお顔がぶつかりました。
 唇同士で。

 間髪を入れず、お姉さまの熱い舌先が私の腔中にねじ込まれました。
「んぐぅぅ」
 どちらの喉から出た音なのか、なんとも卑猥な吐息が聞こえ、その後、ヌチュヌチュピチャピチャという音に変わりました。
 その他に聞こえるのは、ただ単調でうるさいお外の雨音だけ。

 お姉さまの両手が私の背中に回り、お姉さまのTシャツ越しのおっぱいが私の洗濯バサミ付きおっぱいを押し潰します。
 噛み付いた洗濯バサミが暴れ、捻られ、食い込み、乳首がちぎれそうなほどの痛みが走りました。
「ぬぅぐぅぅぅ・・・」
 塞がれた唇からくぐもって漏れた小さな悲鳴。
 お姉さまが唇を離されたとき、私は小さくイっていました。

 バスタオルでご自分の唇を優雅に拭ったお姉さま。
 その唇が動きました。

「やりなさい」
「はい、お姉さま」
 私は、きちんとイキたくて仕方なくなっていました。


オートクチュールのはずなのに 23


2015年9月27日

オートクチュールのはずなのに 21

 横断歩道を渡り切ると、舗道を行く人影はずいぶん減りました。
 ビニール傘がパタパタとリズミカルに音をたてるくらいの雨が降る中を、お姉さまに寄り添って歩きます。
 ときどき思い出したように、車が車道を走り抜けていきます。

「やっぱり予想通り、閑散としているわね?平日だったらこの辺りも、サラリーマンとOLがひっきりなしなのに」
 お姉さまが私のほうを向いておっしゃいました。
「ここはどの辺りなのですか?」
「方向的には、来るときに乗った地下鉄の駅へ戻っている感じね。ちなみにこの右側の広くて大きな建物は最高裁判所」

「えーっ!?そうだったのですか?」
「今日は休日だからそうでもないけれど、普段はもっとものものしいわよ。入口ごとにケイカンだらけみたいな感じで」
 灰色の建物に横目を遣ると、ちょうど入口のところで、ひとりのオマワリサンが傘もささずに仁王立ちしているのが見え、ビクンとからだが震えました。

「ここを過ぎれば、もう公的な建物もないから、オマワリサンにビクつくこともなくなるわ」
 オマワリサンを見て、お姉さまにからだをいっそうスリ寄せた私をなだめるような、お姉さまのおやさしいお声。
「それにしても本当に人がいないのね。こんな感じなら、直子をここで裸にしちゃってもいいくらい」
 周りを見回すようにしてから、私の顔を覗き込んでくるお姉さま。
 剥き出しの奥がキュンと疼きました。

 街並は、低めのビルが立ち並ぶ、よくあるビジネス街っぽくなっていました。
 時折、お弁当屋さんやレストランぽい建物が混じり始めてはいるのですが、みんなシャッターが下りてお休みみたい。
 通り全体が静まり返り、聞こえてくるのは雨の音ばかり。
 この通りに入ってから見かけた人影は3人だけ。
 どなたも傘を低くさしてうつむきがち、私たちを一顧だにしませんでした。

「でもやっぱり、こんな街中で直子を丸裸にするのは、あたしにとってもちょっとハードル高いから、その代わりゲームをしましょう」
 お姉さまが前方を向いたままおっしゃいました。
「そうね・・・あたしたちの傍らをタクシーが通り過ぎたり、すれ違うたびに、直子のワンピのボタンをひとつ外す、っていうのはどう?」

 どう?とおっしゃられても、私には拒否権が一切ないわけですし。
 前方10メートルくらいにタクシーが一台こちら向きに、ライトをピカピカさせて停車していました。
 お姉さまったら、あのタクシーを見て思いついたに違いありません。
 あのタクシーが走り出すか、私たちがあそこまでたどり着いたとき、私はワンピのボタンをひとつ外すことになるわけです。
 私がコクンとうなずくのが合図だったかのように、停車していたタクシーがこちらへ向かって走り出しました。

「最初は胸元のボタンね。次からは直子の好きなところを外していいわ」
 タクシーが私たちの横を通り過ぎるとお姉さまが立ち止まり、私はご命令通り、胸元上から三つ目のボタンを外しました。
 胸元の圧迫感が消え、胸の谷間が乳輪まで、大胆に露出しました。

「うふふ。おっぱい出たわね。まあ、これからは、なるべく人も車もいなそうな路地を歩いてあげるから、安心して」
 再び歩き始めたお姉さまが愉しげにおっしゃいました。
「この辺から左のほうへずっと歩いていくと、大きめな公園があるはずなの。草木がこんもり茂って小高い山みたいになった自然公園」
「そこで直子にオールヌードになってもらうのが、あたしの当初の計画だったの。でも、この雨だから人が全然いなそうなのよね」

「視てくれる人が全然いないのもつまらないわよね?だから、そのときはボーナスステージ。あたしがたっぷり直子のからだをイタズラしてあげる。持ってきたオモチャで、イかせてあげるわ」
「直子は、都心の公園で丸裸になって、緑の自然の中でイっちゃうわけ。もちろん声だけはがまんすることになるけれど」
「どう?愉しみでしょ?」

 お姉さまがおっしゃったことを、頭の中で妄想してみます。
 雨の降りしきる森みたいな場所で、真っ裸になってお姉さまにイクまで辱められる自分・・・
 からだがはしたなく火照ってきました。
 車道を左のほうへ渡ろうとして立ち止まった私たちの目の前を、黒塗りのタクシーが通過していきました。

「意識して見ると、タクシーって意外と走っているものね。あ、また来た」
 道路渡るまでに2台のタクシーと遭遇し、私はボタンをふたつ外さなければいけないことになりました。
 
 一番影響が少なそうなおへそから股間のあいだのふたつを外しました。
 残るボタンは4つ。
 公園に着くまで、裾の一番下、実質的には下から2番目と、胸元4番目のボタンだけは死守したいところです。

 道路を渡り左に折れる路地に入ると、通りは見事に閑散としていました。
 車一台だけ通れそうな通りには、人っ子一人なく、ただ雨が地面を打つ音だけが響いています。

 その雨が、かなり強くなってきていました。
 さっきまでパラパラだったのが、今はザーザーッという感じ。
 おまけに風も出てきて、私たちが進む方向には向かい風となっていました。

 お姉さまが傘を前向きに傾け、風に逆らうように進みますが、傘をすり抜けた風が私のワンピースをはためかせ、Vゾーンを押し開きます。
 あれよあれよという間に、左右の乳首ともお外に飛び出していました。
 裾も完全に左右に割れっぱなしで、肌色が丸出し。
 ああん、いやんっ!
 胸元や裾を直すことは禁じられているので、そのまま歩くしかありません。

「本格的に降ってきちゃったわね。これじゃちょっと、傘一本じゃキツイ感じ」
「あの庇の下で、とりあえず雨宿りしましょう。あたし、カッパ着るから」
 お休みのお店屋さんらしきシャッター前の軒下を指さすお姉さま。
 私たちが庇の下にたどり着くのを待っていたかのように、雨はいっそう激しく、ザンザン降りになりました。

「せっかく直子が、とんがり乳首とマゾマンコ剥き出しの、こんなにいやらしい格好をして雨宿りしているのに、この雨と風じゃ誰も外に出てこなそう」
 傘を閉じたお姉さまが恨めしげにお空を見上げました。
 私の胸元は、おっぱいが乳首もろとも完全に露出しているので、通りに背を向けて立ちました。

「バッグ貸してくれる?」
「あ、はい」
 雨が強くなってからは左腕で庇うように提げていたので、バッグはビニールの表面以外、そんなに濡れていませんでした。

 バッグの中から半透明の白い包みを取り出すお姉さま。
 どうやらそれがお姉さまのレインコートのようです。

「直子用にも透明のビニールのコートをもってきたのだけれど・・・」
 そこまでおっしゃり、瞳を閉じて少し考えるような仕草をされるお姉さま。
 それからお顔を上げ、ふたつの瞳にたっぷりのイジワルな光をたたえて、こうつづけました。

「もしも直子もレインコートを着たいのなら、そのワンピは脱いで、素肌に直に着てもらうことにするわ」
「それか、今の格好のまま、傘さして歩くか。好きなほうを選ばせてあげる」

 折りたたまれたご自分のレインコートを広げながら、お姉さまがイタズラっぽく笑いかけてきました。
 軒先から出っ張っているビニールらしき庇を、雨粒がザザザザッとやかましく打ちつける音の中で、私はしばし考え込みました。

「お姉さま?質問、いいですか?」
「どうぞ」
「そのレインコートって、完全に透明なのですか?」
「そうよ。このビニール傘と同じようなもの。丈はそのワンピより若干長いと思う」
「これから行く公園ていうのは、遠いのですか?」
「うーん、10分も歩けば着くのではないかしら。でももう少し小降りになってくれないと、行く気しないわね」

「そこに行くまでに、また信号待ちとかありますか?」
「どうだったっけかな?わからないけれど、たぶんありそうね」
「途中で雨がやんでも、そのままなのですよね?」
「そうね。公園でヌードになった後なら、着替えさせてあげてもいいかな」
 お姉さまは、バッグから取り出した白いバスタオルで、濡れたバッグの表面を拭きながら答えてくださいました。

 真剣に悩みました。
 全裸に透明レインコートっていうのも、すっごくやってみたい気にはなっていました。
 確か、やよい先生との初野外露出のときも、ユマさんと一緒に大雨の中で透明レインコートを着ていたっけ・・・
 束の間、懐かしくも恥ずかしい思い出がよみがえりました。

 だけど、いくら大雨で人が通らないと言っても、ここは天下の往来で、時間もまだ午後の4時過ぎ。
 これから10分間歩くあいだ、誰にも会わないという保証はどこにもありません。
 曇っているとはいえ充分明るいですから、透明ビニールの下が全裸であれば、視線を向けさえすれば一目瞭然で、その肌色の意味を知られてしまうことでしょう。
 途中に信号待ちがあって、隣に誰か並ばれでもしたら・・・

「やっぱり、今のまま、このワンピースにしておきます・・・」
「そう。わかったわ。それなら、まだゲームもつづいている、ということでいいわね?こっちを向きなさい」
 
 ご命令に振り返ると、お姉さまがハンディカメラをこちらに向けていました。
 見知らぬお店の軒先でおっぱいを丸出しにしている私のふしだらな姿が、映像記録として残されました。
 そして目の前の通りを、黄色いタクシーが二台つづけてゆっくりと横切っていきました。

 今やみぞおちと土手の上しかボタンが留まっていない、私の頼りないミニワンピース。
 もう金輪際、一台のタクシーも目前に現われないで、と祈る他はありません。
 雨宿りを始めたときより、雨も風も格段に強くなっていました。

「直子が傘さすなら、バッグは濡れないように、あたしが持ったほうがよさそうね」
 左肩にビニールトートを提げて、その上からレインコートを羽織るお姉さま。
 白濁した半透明のレインコートはポンチョっぽい形で、フードをすっぽりかぶったお姉さまは、妙にスラッとしたテルテル坊主さんみたいでした。

「ゲリラ豪雨なのかしらね?ぜんぜんやむ気配が無いのだけれど」
 私にカメラを向けたまま、退屈そうなお姉さまのお声。
 大雨で誰も通らないとは言っても、昼間の街角におっぱい剥き出しで突っ立っているという状況は、あまりにもスリリング。
 充血した乳首を風が撫ぜるたびに、背筋がムズムズ感じていました。

「ここでただボーっと、雨がやむのを待っているのも、芸が無いわね」
 お姉さまがいったんカメラを下ろし、私のおっぱいを舐めるように見つめてきました。
「そうだ!直子、傘さして道路の向こう端まで行って、ゆっくりこっちに歩いてきてよ。それを撮影するから」
「篠突く雨の中、おっぱい丸出しで歩いてくる赤い首輪の女の子、なんて、なんだかアートっぽくない?」
 ご自分のご提案に、満足そうにうなずくお姉さま。
 再びカメラを私に向けてきました。

「わかりました。お姉さまがそうおっしゃるのなら」
 立てかけてあったビニール傘を手に取り、お外のほうへ一歩踏み出しました。

 庇の先端まで行って通りを見渡します。
 数メートル先も霞むほどの勢いで、雨粒の群れが地面を打ちつけていました。
 人も車も通る気配はまったくありません。
 街全体がされるがまま、ひたすらこの雨が通り過ぎるのを待っているような雰囲気でした。
 これなら大丈夫。
 傘を広げました。

 庇から一歩出た途端、頭上から盛大な騒音が響いてきました。
 見た目より風も強いようで、襟ぐりが孕み、ワンピースが素肌から浮き上がります。
 剥き出しの乳首を乱暴に愛撫する風と雨。
 湿度が高いためか、さほど寒くは感じないのが救いでした。
 ゆっくりと道の端まで歩き、回れ右をしました。

 今度は、軒先で構えているお姉さまのカメラレンズに向かって、ゆっくりと近づいていきました。
 さっきとは逆に左からとなった風が、胸元を容赦なくいたぶります。
 裾も大きく風を孕み、下腹部あたりまで露出しています。
 今、そんな自分の姿が記録されているんだ・・・
 下半身がジンジン痺れるように疼きました。

 そのときでした。
 突風が渦巻くようにヒューと鳴き、持っていた傘が飛ばされそうになって手にギュッと力を入れた刹那、あっという間にオチョコになっていました。
 ここぞとばかりに全身に襲い掛かる雨粒たち。
 一瞬にしてズブ濡れ。
 壊れた傘のビニールがハタハタとはためき、私は大慌てで軒先に駆け戻りました。

「あらあら、とんだ災難だったわね、全身ズブ濡れじゃない?」
 至近距離でカメラを向けつづけるお姉さま。
 素肌にぺったり、ワンピースの布地が貼りついたおっぱいや下半身を撮っているようです。

「すっごくエロいわよ。ワンピが肌に密着しちゃって、からだのライン、クッキリ丸わかり」
「でも直子、ここでズブ濡れになったのって、ある意味ラッキーだったのかもよ?」
 ようやくカメラを下ろしたお姉さまが、謎なことをおっしゃいました。

「通りにカメラ向けてズームを弄っていたらね、近くに面白いものがあるのを発見しちゃったの」
「こんな雨なら、たぶん誰も来ないから、ゆっくり出来ると思うわ、いろいろと」
 お姉さまはカメラをポンチョのポケットにしまい、フードを深くかぶり直しました。

「あそこの赤い庇のところね。あそこまで一気に走るわよ」
 さされた指の先十数メートルのところに、雨に煙って確かに赤い庇が見えました。

「その傘はたぶんもう使い物にはならないでしょうけれど、ここに置いていったらご迷惑だから、持ってきなさい」
「直子は、もうそれだけびしょ濡れなのだから、そのままでも平気よね?思う存分濡れちゃいなさい」
「あの、えっと・・・」
「安心なさい。すぐにサッパリ、気持ち良くなれるから。行くわよ?」

 私のほうを向いていたお姉さまがお外に向き直り、間髪を入れず軽やかに大雨の中へ飛び出していきました。
「あ、お姉さまっ!待ってください!」
 私もあわてて、壊れた傘を片手にお姉さまの背中を追いかけました。


オートクチュールのはずなのに 22