2015年6月7日

オートクチュールのはずなのに 06

「四つん這いになった?なったら好きなだけ、剥き出しマゾマンコを虐めていいわよ。実況は忘れずにね」
 運転席の背もたれの向こう側から聞こえてくるお姉さまの冷静なお声に促され、右手をそろそろと股間に伸ばしました。
 そのときでした。

「あの、お姉さま・・・」
「何?」
「ローターが止まってしまったのですけれど・・・」

 乳首でイった後も、ずっと私の中でブルブル震えつづけていたリモコンローター。
 少し弱くなっているような感じはしていましたが、私が股間に右手を伸ばしたタイミングを見計らっていたかのように、プツンという感じで完全に止まってしまいました。
 ああんっ、またお姉さまお得意の焦らしプレイ、と思っていたら、返ってきたお答えは違っていました。

「ああ、たぶん電池切れでしょう。ずっと最強にしていたから、力尽きちゃったのよ。挿れててもオナニーの邪魔でしょうから、抜いちゃいっていいわよ」
「あ、はい・・・」
「あら、直子ったら、さすが露出狂ね。窓に向けてそんなにお尻突き上げちゃって。本当に誰かに剥き出しマゾマンコ見て欲しくてしょうがないのね?」
 ルームミラーで私の格好を確認されたのでしょう、お姉さまのからかうようなお声。

「え?いえ、これは違うんですぅ、たまたまこっち向きに・・・」
 あわてて腰を落とそうとシートに這いつくばってみますが、お尻の高さはそんなに変わらないみたい。
「ふーん。その自慢のマゾマンコからローター抜くところを、窓からみんなに見せたいからじゃないの?」
「そ、そんなことありません」
「まあいいわ。早く抜いちゃいなさい」

 下半身へと伸ばした右手でワレメから飛び出しているはずのアンテナ部分を探り当て、じわじわと引っ張りました。
「あうぅ」
 ローターの楕円が内側から、名残惜しそうに膣口を抉じ開けてきます。
 そのもどかしい感触で、知らずにまた、お尻が突き上がってしまいます。
「んんんぅっ」
 ヌルンという感じで、ローターが抜けました。

「抜いたらしゃぶってキレイにして、助手席に置きなさい」
「はい・・・」
 自分の愛液がベッタリついたローターを口に含みます。
 少し生臭くしょっぱ苦い味が口腔に広がります。
 んっぐぅ、じゅぶじゅぶ・・・

「どう?今日のマゾマンコ汁のお味は?」
「ふぁぃ、ひょっろ、ひょっふぁいれふぅ」
「あたしは好きよ、直子のマゾマンコ汁」
 お姉さまからの嬉しいお言葉!

 助手席で丸まっている黒ショーツの上にローターを置くと、お姉さまが尋ねてきました。
「直子のマゾマンコ、今、どうなってる?」
「はい・・・ヌルヌルに濡れて、すごく熱くなっています」
「そんなにサカっているなら、あの卑猥なクリットもパンパンに腫れているはずよね?ちょっと軽く弾いただけでも、きっとすぐでしょう?今度はクリちゃんだけでイってごらんなさい」
「はい・・・」

「はぁぅんっ!」
 シートとからだのあいだに右腕を潜らせて、股間へと伸ばしました。
 右手中指の腹が、その腫れた肉芽に触れただけで、全身を電流がつらぬき、腰全体がビクンと跳ねました。
 ガクンと崩れたお尻を再び精一杯突き上げて、手探りで人差し指と中指のあいだに突起物を挟みます。
「あうぅぅっ・・・ぅぅぅーんぅぅぅ」
 指を擦り合わせるように、挟んだおマメをグリグリ虐めます。
「あっ、あっ、いぃっ、あーっ」
 下半身全体がグングン熱くなって、奥がキュンキュン啼いているのがわかります。
「気持ち良さそうな声だこと。でもほら、実況は?」

「あぅ、はい・・・い、今、ク、クリトリスを虐めてますぅ・・・指で挟んで、引っ張るみたいに、ぐりぐりぐりぃ、って」
「すごく硬い・・・あぅっ、どんどん熱くなってますぅ、あ、いやっ、痛いっ、けど、もっと、もっと、もっとぉぉ」
「指がヌルヌルですぅ、気持ちいい、ぃぃ、ぃぃ、いぃぃーっ!」
「あっ、もうすぐぅ、いやっ、んぎゅっ、あっ、あっ、あっ・・・」
「つ、爪で、かりかり、あ、いやっ!だめ、あ、いたぃ、だめっ、あっ、あっ、いぃぃいくいくぅ・・」
「あん、ぃぃぃ・・・もうだめ、イきます、イっちゃいます、あ、いくいくいくいくいくいくぅぅぅぅ!!!」

 天井に届きそうなほど思い切り突き上げた腰全体が硬直したまま、ヒクヒク痙攣しているのがわかりました。
「はぁはぁはぁはぁ・・・」
 そんな腰がゆっくりと下がり始め、シートに突っ伏す格好になりました。

「ずいぶんあっさりイっちゃったのね?気持ち良かった?」
「はぁ、はぁ、はぃぃ・・・」
「だけど今度は、中を掻き回したくて仕方なくなっているでしょう?」
「はぁ、はぁ、な、なんでわかるのですかぁ?」
「なんでって、あたしがもう何回、直子のオナニーにつきあっていると思う?乳首とクリでからだに火を点けて、最後に中を滅茶苦茶掻き回して、ふかーく何度もイキまくる、っていうパターンなのよね、たいがい」
「だから、今その状態で行為を中断させられることが、一番辛い、っていうこともね」

 お姉さまのおっしゃる通りでした。
 クリ虐めで果てた後も私の右手は股間を離れず、ずっとラビアをもてあそんでいました。
 指先を中へ潜り込ませたくて仕方ありませんでした。

「でも残念なことに、あと5分も走ると高速出口なのよ。思っていたよりずいぶんスイスイ進んじゃった」
「一応降りるときには、ちゃんと座ってシートベルトをしていて欲しいわけ。白バイが出口付近で待ち構えていたりすることもあるらしいから」
「だからひとまずおあずけ。座り直してベルトしてくれる?」
「はい・・・」
 未練たらしく股間に右手をあてがったまま、両足をシートから下ろしました。

 窓の外はずいぶん暗くなっていました。
 運転席の真後ろに座り直すと、半分鏡と化した窓に私の顔が映りました。
 一際目立つ赤い首輪。
 そうだ、これを着けていたんだ、って久しぶりに思い出しました。

「ワンピだけ羽織ってもいいわよ。でも、直子が裸のままがいい、って言うのなら、強制はしないけれど」
「いえ、まさかそんな・・・」
 高速を降りたら一般道。
 いくら窓ガラスにスモークが施されているといっても、都会の街中を裸のまま後部座席に座りつづける度胸なんてあるはずがありません。

「もしも検問していて、後ろに首輪だけ着けた全裸の女が座っていたら、おまわりさんもビックリするでしょうね。あたしのペットです、って紹介しようかしら。人間ではなくてメス犬なんです。だから裸なんです、って」
 愉快そうなお姉さまのお声。
 と同時に車内が急に騒がしくなりました。

「直子のいやらしい喘ぎ声と熱気で、車内がなんだかねっとり蒸し暑くなっちゃったから、換気よ」
 運転席側の横の窓が半分くらい開いて、エンジン音や風を切る音が騒々しく車内になだれ込んできました。
 今更ながら、天下の公道を走っていることを思い出します。
 それなのに、私のこの格好・・・
 あわてて助手席に手を伸ばしました。

「下着は着けずに、ワンピだけ素肌に直にね!」
 車内が騒々しくなったので、お姉さまのお声も怒鳴るみたいになっています。
 助手席から手に取ったネイビーブルーのワンピースは、ちょうど左胸の下くらいに色が濃くなった大きなシミがついていました。
 私の愛液でグッショリ濡れたショーツを上に置いていたせいでした。

 右袖に腕を通そうとしたとき、私の側の窓もゆっくり開き始めました。
「後ろの席も換気してあげる。淫靡な臭いがこもっちゃってるでしょ?風が気持ちいいわよ」
 私の顔が映っていた窓がどんどん下がっていき、夕暮れのお外の景色がクッキリ見えてきました。
 ちょうどすぐ横を白いワゴン車が並走しています。

「いやんっ」
 まだ右袖だけしか通していなかった私は、焦って左腕をバタバタさせています。
 窓は全開となり、まだぜんぜん隠しきれていない剥き出しおっぱいに、お外からの乱暴な風がまとわりついてきます。

 白いワゴン車に目を向けると、あちらも窓にスモークが施されていて中はよく見えません。
 でも、後部座席に人がいるような気配・・・
 窓に背中を向け、ようやく両袖が通りボタンを留め始めたとき、両方の窓がスーッと閉じられ、車内に静寂が戻りました。

「さっき直子が外にお尻向けてクリオナニーしていたときにね」
 お姉さまが急に思い出したみたく、お話し始めました。
 私はワンピの前開きボタンを全部留めてシートベルトをし、運転席の後ろに大人しく座って、左胸下の派手なシミを気にしていました。

「すっと横を並走してくる車がいたの。着かず離れずっていう感じで。あれは、気がついていたと思うわ、この車の窓からお尻が覗いているの」
「あたしがスピードを少し落とすと、そっちも落としていたし。助手席か後部座席の人が気づいて運転手に指示したのでしょうね」
「窓越しに見た感じでは、学生っぽい若そうな子たち。助手席は派手めな女の子だった。その子はしっかりこちらを見ていたわ、後部座席にも人がいるのはわかったけれど、性別まではわからなかった」

「よかったわね直子、見てもらえて」
 お姉さまから投げかけられたそのお言葉に、奥が性懲りも無くキュンと疼きました。
 やっぱり誰かに視られちゃっていたんだ・・・

「そ、そんな・・・それで、その車は?」
 今更ながらの強烈な羞恥に全身がカーッと火照って仕方ありません。
「右側は追い越し車線だからね、いつまでも90キロくらいで走っていられないの。後ろの車に煽られて、スピード上げて離れていったわ」
「直子が四つん這いになって、ローター抜いて、クリット虐め始めたくらいまでかな、並走していたのは。残念ながらイクところまでは見られていないわね」

 お姉さまが、見て欲しくてしょうがないのね、って私をからかったとき、実際に本当に隣の車から視られていたんだ・・・
 そう思い当たって、居ても立ってもいられないほどからだが疼いてしまいます。

「並走されているの気がついたとき、後ろの窓を開けたい衝動を抑えるのが大変だったわ。窓越しじゃなくてライブで見せてあげたいじゃない?」
 冗談ぽくおっしゃるお姉さま。
「だけど窓開けたら、直子が怖がってオナニーやめちゃうと思ったから、がまんしたの。せっかくやる気マンマンなのに中断させたら可哀相だものね」
「その車は、ずいぶん先に行ってから左車線に移ってたわ。今もこのトラックの前にいるかもね」

 視線をフロントグラスに遣ると、お姉さまの車の前には、ずいぶん大きな箱型のトラックが視界を塞いでいました。
 右隣の車線には、追い越していく車が次から次へと、びゅんびゅん走り去っていきました。
 不意にカチカチという音がして、お姉さまの車がゆるやかな左カーブの側道へと逸れました。

 ずいぶん久しぶりの赤信号で停車した信号待ち。
 お外はもうすっかり日が暮れていました。
 歩道橋や行き交う歩行者、途切れることの無い車の流れ、遠くで瞬くネオンサイン。
 現実に戻ってしまった気がしました。
 そして窓ガラスに映る、赤い首輪を着けた女。
 日常的な風景の中で、その姿だけ明らかに浮いていました。

「さあ、もうひとっ走りで恋しい我が家だわ。でもその前にもうひと仕事しなくちゃ」
 お姉さまの心なしかリラックスされているようなお声。
「ちょっと一軒、寄っていくけれど、そこに着くまで直子は、自由にそこでオナニーのつづき、していていいわよ。そのワンピなら裾をちょっとめくれば、剥き出しマゾマンコを直に弄れるでしょ?」
「あ、いえ、それは・・・」

 周囲をひっきりなしに人や車が行き交うこんな状況で、そんなことが出来るほどの大胆さは持ち合わせていません。
「周囲も暗くなったし、バレやしないって。あ、バレたほうがいいのなら、窓開けてあげよっか?」
 イジワルっぽく尋ねてくるお姉さまがニクタラシイ。
「いえ、そ、それより、どこへお寄りになるのですか?」
「いいところ」

 走っては止まりをくりかえしていたお姉さまの車は、やがて大きなビルの駐車場に侵入しました。
「あの、ここは?」
「買い物よ。今、うちの冷蔵庫空っぽだもの。備蓄ゼロ。食料無しでこれから二日間、どうやって暮らすの?」
「それに直子は全裸家政婦なのだから、お料理もしてくれるのでしょう?」
「はい。そのつもりですけれど・・・あの、私も一緒に、お買い物についていくのでしょうか?」
「あたりまえじゃない。家政婦なのだもの、メニュー考えて、食材選んでくれなきゃ」
 駐車スペースに車を停め、エンジンを切ったお姉さまがこちらを振り向きました。

「この格好で、ですか?」
「そう」
「首輪も着けたまま?」
「もちろん」
 背筋を何かもどかしい感覚が、ゾクゾクっと駆け上りました。

「直子はこのへんに、誰か知り合いいる?」
「えっと、ここは飯田橋の辺ですか?」
「そう」
「それなら、たぶんいない、と思いますが・・・」
「ならいいじゃない。完全アウェーなのだから、少しくらい目立ったって、その場限りの行きずりなのだし」

「それに、これから行くスーパーは、輸入食材とかを扱っている、一般的にちょっとハイソって言われているお店で、普通のスーパーよりも客層がお上品なの。だから不躾にジロジロ見られたり、からかわれたりはしないと思うわ」
「たぶんみんな、怪訝そうな顔くらいはすると思うけれど、若い子のあいだで流行っているファッションなのかな、くらいにしか気にしないはずよ」
 無責任な楽観的推測をおっしゃるお姉さま。

「で、でも私、下着も着けていないですし・・・」
 やわらかなリネンのワンピースはボディコンシャスではなくゆったりめなので、ずっとというわけではありませんでしたが、おっぱいと布地が密着するたびに、そのネイビーブルーの布地にクッキリと乳首の形を浮き上がらさせ、ノーブラであることを主張してしまいます。

「ああ、そうだったわね。でも直子、そういうこと、一度やってみたかったのでしょう?」
「あ、あのえっと、それは・・・」
「だけどひとりでは出来ないから、ずっとがまんしていたって言ってたじゃない。今日は新しい扉を開くチャンスなのよ。せっかくあたしが一緒にいるのだから」
 お姉さまが真剣に、子供に諭すみたいにおっしゃいました。

「もしも不埒な輩が直子にちょっかい出してきたら、あたしがぶん殴って撃退してあげる。それは約束する。だから直子も勇気を出して、露出マゾとしての新しいステップに進むべきだと思う」
「今までだって、シーナさんや百合草女史と何回かそういうことしてきたのでしょう?それともあたしじゃ信頼出来ない?」

「いえっ!決してそんなことはないですっ!でも、スーパーみたいにたくさん人がいそうなところには、今までノーブラで出たこと無いから・・・」
「だからこそして欲しいのよ。あたしは直子のパートナーの中で、忘れられない一番になりたいと思っているの」
 お姉さまの真剣なまなざし、その瞳の中にはエスの炎が大きく燃え盛っているのがわかりました、に射すくめられ、私はコクリと頷く他はありませんでした。

 私の承諾に満足そうに微笑んだお姉さまの視線が、私の下半身に移りました。
「パンツはどうする?穿きたい?」
「はいっ、それはもちろん」
「ふーん。その黒いパンツって、けっこう目立っていたの、直子知らないでしょう?後部座席に乗ってきて座った途端、丸見えだったのよ」
「えーっ?」
「直子って、ミニスカ慣れしていないでしょう?だから足捌きとか隠し方がわかっていないのよね」

「たまほのは、たぶんそれにびっくりしていたの。そのワンピ、裾がちょっと上がると中身丸見えなんだもの。ルームミラーにもずーっと映ってた」
「たまほのがちょくちょく後ろを振り返っていたのも、きっとそれを確認するためだと思うわ。ヘアなのかパンツなのかわからなかったのじゃないかな?」

 ほのかさまが振り向くたびに、私の太腿をチラチラと見ていらっしゃったのは知っていたけれど、実はその奥まで目を凝らしていらっしゃったんだ・・・
 私のこと、どんな女だと思われたろう。
 今日何度目かもわからない、今更の羞恥に包まれました。

「ヘアが無い直子の場合、黒パンツなんか穿かないほうが、却って股間に注目がいかないような気もするのよね、肌色のまんまのほうが」
「これはあたしからの忠告だから、参考にしてね。それで直子に選ばせてあげる。パンツを穿くか穿かないか・・・」
 お姉さまがそこまでおっしゃってお言葉を区切り、イジワルそうにニッと笑いかけてきました。

「もしもパンツを穿きたいなら、ローターも挿れること。電池の予備はあるから。それでシャッフルをあたしが持ってショッピング」
「穿かないでいい、って言うなら、このまま車を降りるだけ。剥き出しマゾマンコ見せ放題。どっちがいい?」

 リモコンローター責めショッピングか、ノーパンノーブラショッピングか・・・
 どう考えてもリモコンローターのほうがリスクが大きい気がします。
 それでなくても、今までのドライブで私の中は、更なる刺激を欲してうねうね疼きっぱなしでした。
 そんなところに挿入されて、人がたくさん居るところで最強にされでもしたら、間違いなく思い切りはしたない声をあげてしまうことでしょう。
 ただノーパンなだけならば、自分が気をつけることで何とかなりそう。

「ノ、ノーパンで、いいです」
 ちっちゃな声でお姉さまに告げると、嬉しそうに微笑んだお姉さまは、何も答えず運転席のドアを勢い良く開きました。


オートクチュールのはずなのに 07


2015年5月24日

オートクチュールのはずなのに 05

 崩れる落ちるようにバックシートに倒れ込むと、自然と右手が胸元のボタンへ。
「あぁぁぅぅぅふぅぅ・・・」
 中を激しく震わせてくるローターの振動に急き立てられて、一刻も早くおっぱいをわしづかみたくてたまりません。
「んふぅぅぅ・・・」
 とりあえず座席に浅く腰掛けた体勢ではあるのですが、ボタンを外しながら上半身がくねくね身悶えてしまい、ズルズルと横座りで寝そべるような格好になってしまいます。

「こらこら。まだ寝そべっちゃ駄目。高速に入るまでは、ちゃんと座っていて」
 車を発進させたお姉さまのお叱り声と共に、ローターの振動が急に緩やかになりました。
 ああん、またおあずけ?お姉さまのイジワル、なんて思いましたが、上半身を直して窓の外に目を遣ると、すぐ横を他の車が並走していて、助手席の女性のお顔までハッキリと見えました。
 そう、ここは紛れも無く天下の往来。
 黒のショーツ全開で、だらしなく投げ出していた両脚を大慌てでピタッと閉じ、胸元を押さえて窓から顔を背けました。

「あたしの真後ろに座って、ちゃんとシートベルトもしていてね。来るとき、高速出口にパトカー止まっていたから念のため。高速の入口過ぎるまではね」
「あ、はい」
「高速に入っちゃったら、好きにしていいから。リアは横も後ろもスモーク貼ってあるし、これから暗くもなるし、まず大丈夫だと思うわ」
「わかりました」

「もうブラは取った?」
「あ、いえ、まだです」
「早く取っちゃいなさい」
 お姉さまに促され、すでにウエスト近くまでボタンを外していた胸元を開き、フロントホックを外しました。

「取ったら助手席に置いて」
「はい・・・はあぅっ!ぁふぅぅん」
 からだを助手席のほうに乗り出すと、右肩から斜めに掛けたシートベルトがはだけた右おっぱいを押し潰してきて、尖った乳首の側面をベルトのザラザラが直に擦りました。
「直子にかかったら、シートベルトも拘束具のひとつになっちゃうのね。呆れちゃう」
 お姉さまは、ルームミラーで後部座席の私の動向をチラチラ確認されているようです。

「そうそう、忘れていた。直子、あたしがあげた首輪は持ってきたわよね?」
「あ、はい。メールでご指定いただいたものは、全部持ってきましたけれど・・・」
「じゃあ、その首輪を着けて。リードはまだ付けなくていいから、首輪だけ」
「今、ここで、ですか?」
「そうよ。あたしは直子を連休中、家政婦、つまり使用人として雇ったのだもの。だから首輪は、雇い主に対して絶対服従な使用人としての、証、みたいなもの。それを着けたら直子は、あたしのしもべになるの」
 お姉さま、私を虐める気満々だ・・・
 すっごく嬉しくなって、自分のバッグをガサゴソします。

 でも、首輪を着けている最中、一気に不安になってきました。
 首輪を着けたまま、お外に出たことは、もちろん今まで一度もありませんでした。
 こんなアクセサリーを身に着けて出歩く女の子なんて、そうそうお目にかかれません。
 強いて言えば、ゴスロリ趣味の子とか、パンクとかヘビメタのバンドをやっている子、あとはコスプレの一環、そのくらいかな。
 今日の私の服装は、それのどれにも当てはまらないですから、首輪を着けたら違和感ありまくりでしょう。

 そして首輪という器具は、ある種の趣味嗜好を持つ人たちにとって共通の、とある性的イメージを象徴しています。
 それは、さっきお姉さまがおっしゃった通り、服従の証としての拘束具。
 ご主人様と奴隷、飼い主とペット、サディストとマゾヒスト。
 いずれの場合でも、後者が着けるべき装飾品として広く認知されているアイテムでした。

 数年前、白昼のデパートのティーラウンジで、シーナさまからワンちゃんの首輪そっくりなチョーカーを渡され、ここで着けなさい、とご命令されたとき。
 着けるそばからみるみる私の顔が、はしたないドマゾ顔に変わっていった、と呆れたシーナさまは、以降、人前での装着禁止を言い渡しました。
 そして事実、私はそれを着けたその場で、ショーツをたくさん濡らしていました。

 私にとって、人前で首輪を着ける、ということは、そういうことなのです。
 首輪を着けてお外を出歩くということは、私はマゾです、と、周りのみなさまに宣伝しながら歩いているようなもの。
 お姉さまのご命令で、これからその恥辱を味わうことになるんだ・・・
 ドキドキする不安感と、未知の被虐へのワクワク感を半々に感じつつ、赤い首輪を着け終えました。

「着けた?着けたらちょっと身を乗り出してみて。このミラーによく映るように」
 お姉さまが前を向いたままおっしゃいました。
「はい」
 上半身をミラーのほうへ寄せると、再びシートベルトが私のおっぱいを押し潰してきます。
「あふぅん・・・こ、これで、見えますか?」
「うわっ。首輪したら一段とサカっちゃったわね。いやらしい顔。どエムそのものじゃない」
 シーナさまと同じ感想をおっしゃるお姉さま。
 助手席にはまだ、私が外した黒いブラジャーが、所在なげにポツンと置いてありました。

「最初はね、車に乗せたらすぐに首輪させて、高速を使わずに下走ってゆっくり帰ろうと思っていたの」
 まっすぐ前を向いて運転しつつ、ミラー越しに私をチラチラ窺がいながら、お姉さまが教えてくださいました。

「助手席に乗せて、下半身だけ丸出しにさせて、直子のイキ顔を信号待ちの歩行者や対向車、あと、それこそ前の車のミラー越しとか、街中のみんなに愉しんでもらおうかな、って」
「おっぱい出しているわけじゃないから、ちょっと見じゃ気づかれないじゃない?窓から覗き込みでもしない限り、下半身は見えないだろうし」
「でも、ぜんぜん気づかれないのも面白くないって考えて思いついたの。首輪をしていれば、目を惹くでしょ?おや、なんだかあの子、おかしいぞ、って」
「それで、みんなの視線を惹きつけつつ、思う存分直子にオナってもらって、淫ら顔を飯田橋まで晒し者にしたかったのだけれど、たまほのを拾っちゃったから、作戦変更になっちゃった」

「拉致監禁、ていうキーワードから、裸で手足縛って目隠しに猿轡でトランクに放り込む、っていうのも考えたわ。本物の誘拐犯みたいにね」
「もちろん、ローターのスイッチは最強で入れっぱなし。直子は、窮屈なトランクでからだ丸めたまま身動き出来ず、情け容赦無く震えつづける快感に悶え苦しむの」
「でも、そうすると運転中はあたしひとりになっちゃうから、直子をイジれなくて、思うよりはつまんなさそうなのよね。それに、万が一検問とかひっかかってトランク開けなくちゃいけなくなったりしたら、えらく面倒くさいことになりそうだし」

 今のふたつのご提案を、自分の身で実行することを想像してみます。
 助手席での下半身裸オナニーと、トランクに全裸緊縛監禁。
 どちらも背筋がゾクッとするくらいスリリングで、怖いけれどぜひともやってみたいと思いました。
 いつか機会があるかな?
 それと同時に、ひとりでは絶対出来ない、そういうアソビを私のために考えてくださる、お姉さまと出逢えて本当に良かったと、心の底から思いました。

「ま、いずれにしてもこれからの3日間、直子はその首輪を着けて過ごすこと。それが全裸家政婦に許された唯一の制服よ。寝るときは外していいわ。それ以外は外しちゃだめ。首輪以外の衣服は、あたしの許可無しでは一切着せないから、そのつもりでね」
「・・・はい」
「そろそろ高速入口だわ。ベルト直して、一応ちゃんとしていて」
「はい」

 開けすぎた胸元のボタンを留め直しながら考えました。
 そう言えばお姉さまは、お休み中はほとんど、ひきこもり状態っておっしゃっていたっけ。
 ということは、外出しないでずっとお部屋の中でふたりきり、ということになるわけで、それならば首輪を着けつづけることなんて、まったくプレッシャーにはならなそう。
 なんだかそれも残念な気も少ししたのですが、ずいぶんホッとしたのは事実でした。

「ほら、高速に入ったわよ?好きにしていいのよ?」
 考えごとでボーっとしている私を煽るように、お姉さまの投げつけるようなお声が響きました。
「あ、はいっ!」
 ビクンと我に返って窓の外を見ると、薄暗くなり始めたお空と、びゅんびゅん飛び去っていく何本もの外灯が見えました。
 お姉さまは左寄りの車線を走っているので、窓のすぐ横を後ろから追いついてきた他の車が、瞬く間に追い越していきます。
 
 私、こんなところで今から、オナニーしようとしているんだ・・・
 後ろめたい罪悪感と背徳感は、それをしなくてはいけない、という被虐感へと姿を変え、蔑まれたいというマゾの恥辱願望が、どんどん昂ぶってきます。

「だけどさ、後部座席でコソコソグチュグチュやられても、何しているのか見えないあたしには退屈なだけだから、こうしない?」
 お姉さまのよく通るお声が、運転席の背もたれの向こうから聞こえてきました。
 流れていたモーツアルトのボリュームが少し下がっています。

「正直言って、さすがのあたしもけっこう疲れていて、運転しながら眠くなりそうなのね。だから、あたしの眠気を吹き飛ばすくらい、派手にやって欲しいのよ」
「これから直子は、自分のしていることをあたしに全部、言葉で説明しなくちゃいけない、っていうルールにしましょう。つまり、セルフ実況中継」
「ルームミラーに見入ることもできないあたしが、たやすく想像出来るくらい、こと細かに説明するのよ?それと、あたしの質問には正直に答えて、命令には絶対服従すること。いい?」
「は、はい・・・」
「おっけー、じゃあ始めて」
 そのお声と共に、ローターの振動が最強に跳ね上がりました。

「あぁふぅぅぅ・・・」
「早速いやらしい声。直子はこれから、何をしようとしているの?」
「あん、はいぃオナニーです」
「こんな走っている車の中で、オナニーしちゃうんだ?それってヘンタイじゃない?」
「あぁん、はい、直子はヘンタイなんですぅ」
 振動が高まったローターに私のからだも、みるみるうちに回転数が上がっていました

「なんかカサカサ音がしているけれど。今何しているの?」
「はい、ワンピースのボタンを外しています」
「ほら、だからそういうのはちゃんとわかるように実況しなきゃだめでしょう?」
「あ、はい。ごめんなさい。今、おへそのところまでボタンを外しました。襟元がはだけて、おっぱいが見えていますぅ」

「隣を車がびゅんびゅん通り過ぎるところで、おっぱい出しちゃっているんだ?恥ずかしくないの?」
「あぅぅ、恥ずかしいです。今、ボタンを全部外しました。ショーツまで全部見えちゃってますぅ」
「それなら、シートベルトしたままワンピースを脱ぎなさい」
「はい・・・あうぅ、あああんっ・・・脱ぎましたぁ。乳首がベルトに弾かれて気持ちいいですぅ・・・」

「乳首はどうなってる?」
「両方ともコリコリですぅ、んんん、ああん、硬いぃ、それに熱いですぅ」
「今、パンツ一丁ってことね?脱いだワンピも助手席に置きなさい」
「はいぃぃ、ああん、またベルトさまが、乳首を虐めてきますぅ、うぅぅぅ・・・」
「じゃあまず、おっぱい揉んで、おっぱいと乳首だけでイキなさい。直子ならイケるでしょ?ロータも入っているし。シートベルトに虐めてもらいなさい。ちゃんと実況するのよ」
「わかりましたぁ、やってみますぅ」

「ぁあん、えっと今、左手は左のおっぱいを掴んで、あうっ、むにゅむにゅ揉んで、右手はシートベルトの縁で右乳首をカリカリ虐めています。あうっ!いたぁいぃ」
「ベルトさまのギザギザがすごく気持ちいいですぅ、表面もザラザラしててぇ、ぁあん、もっと、もっと、ぁああんっ!」
「ベルトごと右おっぱいを掴んで揉んでいます。ああん、気持ちいいぃぃ」
「んふ、んふ、んふうぅぅ・・・おっぱいがジンジン熱いですぅ、ぁぁぁ、ローター気持ちいぃぃっ」
「あっ、あっ、あぁ・・・なんだかアソコの奥が、どくどく波打っているみたいです、もうすぐイケそうぅ・・・」

「はぁふぅ、乳首が伸びるぅ、いたぁい、でもきもちいいぃぃぃ、いっ、いっ、いぃぃぃl」
「乳首に爪立てて引っ張ってまぁすぅ・・・ううぅぅぅ、もっとぉ、つよくぅぅ・・・」
「本当は、お姉さまに噛んで欲しいんですぅ・・・直子のいやらしく尖った硬い乳首、噛み切るくらいに・・・ああん、いたぃ、いやあ、いたぁいぃ、ちぎれそぉー!でも、もっと、もっとぉぉぉ」
「あ、あ、あ、お姉さまぁ、ごめんなさいぃ、イっちゃいますぅぅ、あ、あ、あ、あ、あぁ、イキますイキますぅぅぅ・・・!!!」

「はぁ、はぁ、はぁ・・・・」

「本当に、おっぱいだけでイっちゃったみたいね。たいしたものだわ。でも、ずいぶん溜まっているみたいだから、まだまだイケるでしょ?ねえ、パンツはどうなっている?」
「はぁ、はあ、はぁ・・・パ、パンツは、あ、いえ、ショーツはもうグッショリですぅ、あぁん、冷たいぃ」
 股間に手を遣ることを許されて、あてがったら、愛液がベットリ。
 滴り落ちたおツユで、茶色いシートが黒ずむほどシミになっていました。

「ごめんなさいお姉さまぁ、シートを汚してしまいましたぁ」
「いいわよそんなの。気にしなくて。なんなら潮だって吹いちゃっていいから。車内が直子臭くなるなら大歓迎」
「ああん、お姉さま、私、ショーツも脱ぎたいです。脱いでもいいですかぁ?」
 窓の外がずいぶん暗くなったこともあり、私もずいぶん大胆になっていました。
 おっぱい虐めで味わった、ほぼひと月ぶりのオーガズムに、理性のタガの2、3本は、とっくに外れていました。

「なあに?ここでスッポンポンになっちゃうんだ?さすが全裸家政婦を自認するだけあるわね。いいわよ。脱いじゃいなさい」
「あ、でも、紐を解かないで、ずり落としなさい。そのほうが後々ラクだから」
「はぁい。ありがとうございますぅ」

 元々ローライズなのがシートに擦れ、一本の細い紐のようになっていたショーツを、座った姿勢で一気に足首までずり下げました。
 股間のワレメとクロッチとのあいだに、何本もの透明な糸が引いては切れました。
 クロッチ部分は、プールから上がったときみたいにグッショグショ。
 ショーツを足先から抜くときに、履いていたミュールも一緒に脱いじゃいました。
 これで私は、赤い首輪以外、一糸纏わぬ全裸です。
 脱いだショーツはご命令される前に、助手席に献上しました。

 走行中の車の中で全裸になっているという事実に、私のマゾ性が歓喜していました。
 もしもお姉さまが、高速降りてもそのままでいいわね、なんておっしゃったら、私は、お姉さまのお部屋にたどり着くまでずっと、全裸でいなければなりません。
 高速を降りたら、歩行者も行き交う一般道。
 その道中も、駐車場からお姉さまのお部屋までも、首輪のみ全裸のままかもしれません。
 そう考えただけで、マゾの被虐心が下半身を激しく疼かせます。
 もちろんそんなこと、絶対に出来ないのですが、心のどこかで、そんな非情なご命令さえ、待ち望んでいました。

「それじゃあ今度は、下半身でイってもらおうかな。早く弄りたくて仕方ないのでしょう?」
「はいぃ」
「何だっけ?直子のその、普通は生えているべきヘアさえわざわざ抜き去っちゃった、いつもよだれを垂らしている淫乱な箇所の名前は?」
「あの、えっと、性器です・・・女性器・・・」
「ずいぶんお上品なこと。でも直子のは、そんなお上品なものではないでしょう?今だってよだれダラダラのくせに」
「あぁんっ、ごめんなさい。オ、オマンコです・・・直子のよだれダラダラ、淫乱オマンコですぅ」
 
 こんなになっても私は、その言葉を誰かに向けて口にするとき、恥ずかしくてたまりません。
 一方で、その恥ずかしさに興奮しちゃう、別な私もいるのですけれど。

「よくそんなお下品な名称を大きな声で口に出来るものね。だけど、直子のだったら、それでもまだ上品過ぎるわ。オなんか付けちゃって生意気よ。そもそも御って、丁寧語や尊敬語の接頭辞だもの」
「あたしが直子にピッタリのお下品な名前を付けてあげる。うーんとそうね・・・」
 お姉さまがしばし長考。
 私はそのあいだ、股間のローターの振動に意識を集中していました。

「よし決めた!直子のソコはね、今日から、剥き出しマゾマンコ、に決定ね。あたしに聞かれたら、いつもそう答えること。わかった?」
「あ、はいっ!」
「言ってごらんなさい、直子の剥き出しマゾマンコ!」
「あぁん、直子の、剥き出し、マゾマンコ・・・」

 一言一句、実際に声に出すごとに、ゾクゾクッと背筋が震え、私のソコの呼び名にはピッタリな感じがしました。
 淫乱で、貪欲で、救いの無い私の万年発情女性器。
 パイパンにしたのは、へアで隠さずじっくり視ていただきたいためだし、はしたないクリトリスはすぐ剥き出しになっちゃうし、ピッタリすぎ。
 頭の中で、その呼び名を反芻するだけでイっちゃいそう。

「ああん、お姉さま、ありがとうございます。直子は自分の性器を、これからずっと、直子の剥き出しマゾマンコって呼ぶことを誓います」
「あら?気に入っちゃったの?そんなの恥ずかしくて言えませーん、みたいなリアクションを期待していたのに」
「いえ、お姉さまがおっしゃる通り、直子のは、どうしようもないマゾマンコですから。今だって弄りたくて仕方ないんです。お姉さま、直子の剥き出しマゾマンコ、弄ってもいいですか?」
 理性が薄れた私は、お下品な言葉、恥ずかしい科白をワザと自虐的に口にする快感に酔っていました。

「仕方ないわね。そうなっちゃった直子は行き着くところまで行くしかないものね。今半分くらいまで来たから、高速はあと残り20分位かな?何回イケるか、がんばりなさい」
「そうだ!せっかく首輪しているのだから、シートベルト外して、シートに四つん這いになっちゃいなさいよ。全裸のお尻突き上げて、メス犬みたいにイキなさい」
「わかりました。きっとシートを汚してしまいますけれど・・・」
「だから、それはいいから。さっさとメス犬になりなさい」
「はい」

 シートベルトをはずし、後部座席に両膝を乗せ、四つん這いになりました。
 顔を助手席のほうに向けたので、今まで私の頭が見えていた窓から、今度は剥き出しのお尻が覗いていると思います。
 そのすぐ横を他の車が追い越して行っているはず。
 喩えようの無い甘美な恥辱感が、全身を覆いました。


オートクチュールのはずなのに 06


2015年5月17日

オートクチュールのはずなのに 04

 少し早く着いてしまったので、ビルの周辺をプラプラ。
 休日なので子供連れさんが多く、中高生らしき子たちのはしゃぐ声も目立ちます。
 アソコにローターを挿れている、という事実だけでムラムラ度MAXな私は、ワンピースの短い裾を気にしつつも努めてお澄まし顔で、沿道に並ぶアニメショップのワゴンを眺めたりしていました。

 お約束10分前から、待ち合わせ場所で待機。
 ホテルエントランスの柱に寄りかかって行き交う車を見張っていると、ホテルの利用客らしきアジア系の人たちの団体が何組か目の前を通り過ぎていきました。

 ガヤガヤとかまびすしい聞き慣れない言葉と共に、いくつもの視線が自分に注がれているのを感じます。
 日本人のそれと比べて、遠慮が無く不躾な、お野菜を品定めするような視線を、とくに私の剥き出しの太腿に感じます。
 あんなに短かいの着ちゃって、やっぱり日本人はふしだらだ、なんて思われちゃったかな。
 あの人たちが私のバッグやショーツの中身のことを知ったら、どんなお顔になるだろう、なんて、恥辱願望は募るばかり。

 そうこうしているうちに、見覚えのある青っぽい車を視界の右端に発見しました。
 いよいよです。
 お姉さまにお会いしたらまず、これから3日間、どうぞよろしくお願いいたします、とご挨拶して、リモコンローターのコントローラー、私とお姉さまは、それの形状が小型のイヤホン式音楽プレイヤーにそっくりだったので、シャッフル、と呼んでいました、をお渡しするつもりでした。

 すぐに動かしてくれるかな?
 でもきっと、なんだかんだで焦らされちゃって、なかなかスイッチを入れてもらえないのだろうな・・・
 なんてワクワクしている間に、その車が道の左端に寄って、ゆっくりとこちらへ近づいてきました。

 あれ?
 車が近づくにつれて、すでに助手席に誰かが乗っているのがわかりました。
 舗道側の窓を開けて、左手を小さく振りながら近づいてきます。
 ほのかさまでした。

「なんだかずいぶんお久しぶりな感じね?直子さん、お休み楽しんでいる?」
 お姉さまに促されて乗り込んだ後部座席に落ち着いたとき、ほのかさまが嬉しそうにお声をかけてくださいました。
「ちょっと早く着いたんでオフィス寄ったら、たまほのがこれから羽田行くって言うから、ついでだから送ることにしたのよ」
 お姉さまが前を向いたまま、教えてくださいます。

「空港バスで行くつもりだったのだけれど、チーフがタイミング良くいらっしゃったから助かりました。今夜は札幌でゆっくり泊まって、明日早朝、会場の設営からお手伝いです」
「雅と合流するのだったわね?」
「はい。元町のナハトさん主催のイベントです」
「ああ、あそこの社長さん、お話がくどいのよね、このあいだも・・・」
 運転席側で、お姉さまとほのかさまが楽しそうに談笑されています。

 お姉さまの車に乗り込んだときから、ふたりきりの辱めの時間が始まるはず、と期待していた私には肩透かしでしたが、お仕事ならば仕方ありません。
 気持ちを切り替えて、東京に来て初めての、空港へのドライブを楽しむことにしました。
 車内には、モーツアルトのピアノ曲が流れていました。

「それにしても驚いちゃった。直子さんてオフのときには、そういう服も着るのね?」
 お姉さまとの会話が一区切りしたらしいほのかさまが、振り返って私に話しかけてきました。
「えっ?あ、これは・・・」
 モジモジとワンピの裾をひっぱる私。
「カワイイじゃない?いつもの長めなスカートやジーンズ姿に慣れていたから、遠目で一瞬誰だかわからなかった。女の子全開、ピチピチ溌剌って感じね」
「いえ、あの、えっと、今日は暖かいし、たまにはこういうのもいいかなー、って・・・」
「うん。すごくいい。そんな姿を見せられちゃうと、やっぱりわたしは直子さんよりセンパイなんだなーって、つくづく思い知らされちゃう」
 冗談ぽくおっしゃる今日のほのかさまは、なんだかずいぶんテンション高めです。

「さっきチーフからお聞きしたのだけれど、チーフのお家のお掃除をお手伝いしに行くのでしょう?」
「あ、はい・・・」
「偉いのね」
「あ、いえ、どうせお休み中は、することなくてヒマですし・・・」
「休み前にあたしが、帰るの久しぶりで、最近ぜんぜん掃除していない、って言ったら、森下さんが押しかけ家政婦に立候補してくれたのよ。だからお言葉に甘えちゃおうかなー、ってね」
 運転しながら、お話に割り込んでくるお姉さま。

「帰ったらあたしは、ベッドに倒れこんで死んだように眠り込んで、ちょっとやそっとの物音じゃ起きないからね。そのあいだ森下さんがあれこれしてくれる、って言うから。もちろんご褒美も出すつもりよ。豪華なディナーとか、ね」
「へー。なんだか楽しそうですね?わたしも参加したかったかも」
「あら、たまほのには雅が待っているじゃない?美味しいものいっぱい食べてくるんでしょ?」
「そうですね。この時期の北海道だとアスパラと、やっぱり捕れたてのズワイガニかなあ」
「うわー。なんだか接待費の清算が心配になってくるわね」
「大丈夫ですよ。みやびさまによると、向こうでは一切ナハトさん持ちらしいですから」
「それを聞いて一安心。まあ、しっかりやってきてちょうだい」
 お姉さまとほのかさまの楽しそうなおしゃべり。

「そうそう森下さん?頼んだアレ、入れてきてくれた?」
 信号待ちで止まったとき、お姉さまがからだをねじって私のほうを向き、突然尋ねてきました。
「えっ?あの、えっと・・・」
 一瞬意味がわからず、でもすぐに思い当たって、急速にドキドキしてきます。

「ほら、休み中にメールでお願いしておいたじゃない?アレよ」
 お姉さまのお顔がイタズラっぽく蕩けています。
 間違いありません。
 お姉さまがお尋ねになっているアレは、私のアソコに埋まっている、アレ。
 でもこんな、ほのかさまもいらっしゃるときに聞いてくるなんて・・・
「あ、はい・・・挿れてきました・・・」
 正直にお答えした途端に、アソコの奥がヒクヒク蠢きました。

「そう、よかった。それでシャッフルは?」
「あ、はい。これです・・・」
 車に乗り込む前からずっと、左手に握り締めていたローターのコントローラーをおずおずと差し出すと、お姉さまはそのピンク色の小箱と私の顔を見比べるみたく交互に見てから意味ありげにニッて微笑み、さっと手に取ると同時に前へ向き直りました。
「ありがとう」
 ちょうど信号が変わって、スイーッと発進。

「アレって何ですか?」
 当然、今度はほのかさまが怪訝そうに、誰にとも無く尋ねてきます。
「うん。実は森下さんって、趣味が広くってね・・・」
 そう答えるお姉さま。
 お姉さまってば、ほのかさまに、いったい何を告げるおつもり・・・
 埋まっているローターを締め付けるみたく、中がキュンと疼きました。

「あたしが持っていないクラシックバレエのCDをたくさん持っているのよ。だから音楽プレイヤーに入れておいてくれるように頼んでいたの。それを今引き取ったわけ」
 しれっと大嘘をつくお姉さま。
 いえ、CDがたくさんあるのは事実ですけれど。
 ホッと小さくため息をつく私。

「ああ、それでシャッフルですか。わたしもあまり詳しくはないけれど、そういうの聞くのは大好きなんです。お部屋で小さく流していると、何て言うか、落ち着きますよね?」
「オフィスでもクラシック流しているでしょう?あれも最近マンネリだからね。もっとバリエーションを増やしたかったのよ。でもあれだってCD百枚分以上は入っているのよ」
「そうなのですか。直子さんはそれよりもっとお持ちなわけですね。わたしも頼んじゃおうかな?」
 お姉さまのお車は、いつの間にか高速道路に入っていて、快調に進んでいました。

「ねえ直子さん?バレエの曲っていうと、何が有名だったっけ?」
 ほのかさまがお顔をひねり、私のほうを向いて尋ねてきました。
「えっと、そうですね・・・」
 チャイコフスキーの、ってつづけようとしたとき、股間に小さく震動が伝わってきました。
「んっ!」
 思わず上半身がビクンと跳ねてしまい、ほのかさまも、んっ?というお顔をされました。

「首都高って道路の継ぎ目がガタガタして、相変わらず走り心地悪いわよね。早く何とかして欲しいものだわ」
 お姉さまが助け舟のつもりか、のんきなお声でそんなことをおっしゃいました。
「そうですか?わたしの車に比べたら静かなものですよ?さすが高級車はちがうなー、って思っていたところです」
 ほのかさまがそうお答えしてすぐに、お姉さまがおっしゃった道路の継ぎ目をタイヤが乗り越えたのか、車がガタンと今までに無く盛大に揺れて、おふたりで、あはは、って大笑いされていました。

「それで、何が有名なのだっけ?」
 車が揺れたことでいったん前に向き直っていたほのかさまが、再び後部座席を向いてきました。
 私の股間のローターは、ずっと弱く震えつづけています。
 でも、最初の衝撃が去った後は、だんだん震えにも慣れてきて、お話を出来ないほどではありません。
 なるべく意識をそちらへ向けないように、平気なフリでお答えします。

「チャイコフスキーのくるみ割り人形とか、白鳥の湖、眠れる森の美女。プロコフィエフのロミオとジュリエット。メンデルスゾーンの真夏の夜の夢。あとミンクスのドン・キホーテとか・・・」
「へー。いくつかタイトルを聞いたことあるのもあるし、面白そう。お休みが明けたら、そういうCD、貸してくださる?ちょっとづつでいいから」
「はい。もちろんです。音楽だけではなくてバレエにもご興味があれば、DVDもお貸し出来ます」
「わー。それは楽しみ」
「でも、オフィスでバレエ音楽がかかるたびに、森下さんが突然踊り始めちゃったりしたら、経営者としては困りものよね」
 突然会話に横入りしてきたお姉さまのご冗談に、ほのかさまが笑いながら前に向き直りました。

 それと同時に、股間の震えが強くなりました。
 経験上の目盛りで言うと、最弱、弱、中、強、最強のうち、最弱から一気に中まで上がった感じです。
 私がひとりで焦らしオナニーをするときは、この、中、の感じで挿れたまま放置しつつ、ロープや洗濯バサミ、ルレットやローソクで、からだのあちこちを虐めるのがお気に入りでした。

 前を向いたほのかさまは、幸い今度はお姉さまと、お仕事関係のお取引先さまのお噂に夢中なご様子。
 私は後部座席でうつむいて、両膝をぴったり合わせたまま、股間への刺激に必死に耐えていました。
 とろとろとろとろ、弱火で炙られるように、官能が下半身に蓄積されていきます。

 こんな走行中の車の中で、会社の先輩であり私のヘンタイな性癖のことなんて露とも知らないはずのほのかさまの前で、あられもない姿を晒すわけにはいきません。
 でも、股間を震わす快感に意識を向けないようにしようとすればするほど、却ってそんな状況の被虐感が私のマゾ性を活性化させ、どんどん恥辱的妄想が膨らんでしまいます。
 
 イキたい・・・イっちゃいたい・・・
 今すぐワンピースに両手を突っ込んで、尖った乳首を捻り潰し、腫れ上がった肉芽に爪を立てれば、私は呆気なく自分の淫らではしたないイキ顔を、ほのかさまにご披露する事態となってしまうことでしょう。
 そんなの絶対ダメ・・・でもイキたい・・・

「さあ、高速降りたからそろそろよ。空いていてよかった。連休中のこの時間帯って案外スムースなのよね」
 お姉さまのお言葉が合図だったように、股間の震えがピタリと止まりました。
 えっ?
 ほのかさまの眼前で、がまんし切れずとうとう痴態を晒してしまい、侮蔑の視線を浴びせられる淫靡な妄想に耽っていた私は、拍子抜けして顔を上げました。

 窓の外には、道路とコンクリートと無機質な建物、そしてところどころの緑が織り成す、人工的で殺風景な景色が延々と広がっていました。
 未来都市的と言うか、廃墟っぽいと言うか、とにかく非日常的で不思議な空間。
 こんなところに、全裸でひとり放り出されちゃったら、私、どうなっちゃうだろう・・・
 結局、焦らされておあずけでした。
 もどかしいまま徐々に昂ぶりが引いていくのが、更にもどかしい感じ。
 早くお姉さまとふたりきりになりたい、と心の底から思ったとき、車が止まりました。

「ありがとうございました。助かりました」
 車を降りて空港入口まで、ほのかさまをお見送り。
「気をつけていってらっしゃい。雅にもよろしくね。休み明け、成果を期待しているわよ」
「はい。チーフも、そして直子さんも、お休みをゆっくり楽しんでください。あ、いえ、これは、わたしたちは仕事っていう皮肉とかじゃなくて」
 ほのかさまがイタズラっぽく可愛らしく、ペロッと舌先を出されました。

「あら?直子さんてもしかして、乗り物苦手?なんだかお顔が熱っぽそうよ?とろんとしてる」
「えっ?あ、いえ、そんなことは・・・」
 私の下半身に蓄積された、発散されなかった快感の余韻は、まだまだ引ききってはいませんでした。
「本当だ。頬が火照って、汗ばんでいるわね。でも車酔いって、普通は蒼くならない?冷や汗とか」
 お姉さまもお芝居っぽくおっしゃって、わざとらしく心配そうなお顔。

「あの、いえ、これは、ちょっと車の中が暑かったのにウトウトしちゃったから、のぼせちゃったのかも・・・」
 わけのわからない言い訳をする私。
「そう?そんなに暑いとは思わなかったのだけれど。後部座席のほうが暑いのかしら?でも、車酔いでないのだったら、よかった」
 ほのかさまの無邪気な笑顔と、お姉さまの愉快そうな笑顔。

「それでは、いってまいります。ごきげんよう」
 白の麦わら風つば広帽子に真っ白なフリル半袖ワンピで真っ赤なカートを引きながら、ときどき振り向いて小さく手を振りつつ空港の奥へ消えていくほのかさまは、どこからどう見ても、これから高原へとバカンスに旅立つ深窓のご令嬢のお姿でした。

「さあ、あたしたちは我が家へ帰りましょう」
 お姉さまがやっと、私を正面から見つめてくださいました。

「あのぅ・・・」
「ん?何?」
 車まで戻る道すがら、どうしてもがまん出来ずにお尋ねしてしまいました。

「ほのかさまに、あんなことおっしゃって、良かったのですか?今日のお泊りのこと」
「えっ?だって本当のことだもの。ヘンに隠すより教えておいたほうがいいのよ。たまほのは、ちゃんと言葉の通りに受け取っているはずよ。家政婦だって、全裸のことまでは言わなかったでしょ?」
「そ、それに、シャッフルのことや、あんなイタズラまで・・・」
「直子もうまくごまかしたじゃない。どうだった?スリルあったでしょう?」
「はい。それはそうですけれど・・・」
 でもまだなんとなく、ほのかさまに本当の私を知られるのは、イヤと言うか、怖い気がしていました。

「それに、なんとなくだけれど、たまほのは、あたしと直子の関係を直感的にわかっているような気もするのよ。彼女、勘が鋭いから。だから彼女にバレたとしても、そんなに大騒ぎにはならないような気もしているの」
 お姉さまが運転席のドアを開けました。
 
「それに彼女は今日、舞い上がっていたから、あんまり他人事には関心が向かないとも思ったし」
「それは、間宮部長さまとのことですか?」
 そう言えばさっきほのかさま、間宮部長さまのことを、みやびさま、ってお呼びしていたっけ。
「うん。さあ、他人の話はこれでおしまい。これからはあたしたちの休日を存分に楽しみましょう」

 そして不意に、お姉さまが左手でワンピの裾をめくり、同時に右手のひらを私の股間にペたっとあてがいました。
「あっ!いやんっ!」
「うわっ。ビチャビチャじゃない?それにものすごく熱い」
 すぐに離した右手のひらをペロッと舐め、お姉さまが車に乗り込みました。
 私も助手席の側へ向かいます。

「のんのん。直子の今日の席はそこじゃないの。後部座席に乗りなさい」
「えっ!?なぜですか?」
「なぜって、直子が教えてくれたんじゃない。助手席だと、前の車のルームミラーが気になるって」
「えっと・・・」
「後部座席なら寝そべっちゃえば、おっぱい出そうが真っ裸になろうが、覗き込まれない限り、周りからは見えないってこと」
 ブルンとエンジンがかかります。

「高速道路なら覗き込んでくる歩行者もいないし、ここから飯田橋までだと少し迂回することになるから、さっきより長い時間、直子は愉しめるはずよ。約束通り、ずっとオナニーしていないのでしょ?」
「は、はい」
「だったらそのムラムラを、まずは車の中で発散しちゃいなさい。後ろに乗ったらまずブラジャーをはずすこと。いいわね?」
「はい・・・ああんっ!」

 いきなり股間のローターが最強で震え始めました。
「ああぁ・・・うぅぅ・・」
 反射的にしゃがみ込んだ私は、快感に耐えながらよろよろなんとか立ち上がり、後部座席のドアノブに手を掛けました。


オートクチュールのはずなのに 05