2010年12月23日

図書室で待ちぼうけ 12

「森下さんのからだ、なんだかすごく熱くなってる・・・えっちな写真見てコーフンしちゃったの?うふっ、カワイイな」
耳元で、低い声でささやかれました。
相原さんの右腕は、私の右二の腕の上を通ってバストを覆うように回され、手のひらがブラウスの上から、私の左おっぱいを包み込むようにやんわりと置かれました。
左腕は、私の左腋をくぐって、私のウエストのあたりを抱えるようにからみついています。
「森下さんの心臓がすごくドキドキしているのが、はっきりわかる・・・」
私の左おっぱいを包む右手に少し力が入って、揉みしだくように2、3度掴んできます。

私は、背中に押し付けられた相原さんの二つのふくらみのやわらかさを感じながら、どう反応していいのかわからず、黙って、されるがままになっていました。
「森下さんの髪の毛、サラサラでいい匂い・・・」
相原さんが私の後頭部に自分の顔をスリスリしながらつづけます。
「こうしていると、すごくいい気持ち・・・」

それは私も同じでした。
相原さんに背後から素肌を密着されて、抱きしめるように両腕をからめられて、どんどん、えっちな気分メーターのゲージが上がってきています。

「ねえ森下さん、このままゆっくり、立ち上がってみて」
相原さんは、少しだけ私を抱く腕の力を緩め、耳元に唇を寄せてささやいてきます。
私の耳にかかる吐息に艶っぽい湿度を感じて、ゾクゾクっと気持ちのいい波が全身に押し寄せてきます。
私は、言われた通りに、おずおずと椅子から腰を浮かせ始めます。
私の腰が伸びるにつれて、背後の相原さんも姿勢を起こしているようです。
私の膝の上にいたカエルさんのぬいぐるみが、ゆっくりと床の絨毯に滑り落ちていきました。

二人は完全に立ち上がり、相原さんは背後から、一層からだを押し付けてきました。
私のふくらはぎにまで、自分の脛をピッタリ密着させてきます。
少しふらつく私たち。
相原さんの生足と私の生足が、内へ外へとからまります。
しばらくそうして密着した後、少しだけからだが離されて、私のウエストを押さえていた相原さんの左腕がはずれました。
相原さんが私の右肩に自分の顎を乗せてきます。
右耳に吹きかけられた吐息にハっとして顔を右に向けると、相原さんの端正なお顔が、間1センチも無い至近距離にありました。
相原さんが唇の両端を少し上げて、ニって笑います。

そうしている間に、私の左手は相原さんの左手に掴まれて、背後に誘導されました。
私の左手の指先が相原さんの素肌に触れます。
位置関係から言って、私の左手が触れたのは、相原さんの両太腿の付け根付近のはずです。
私の全身がますます熱くなってきてしまいます。

「昨夜お風呂に入ったら、すこーしだけどまた生え始めていて、すこーしだけザラザラチクチクしてたの」
「それもそれでなんだかすごくえっちな感じだったんだけど、森下さんにはやっぱり、ツルツルな感触を味わってもらいたくて」
「だから昨夜もう一度、丁寧にキレイに剃り落としたの、森下さんのために」
「どう?さわった感じは?・・・」
相原さんは、私の肩に顎を乗せたまま、耳元に湿った熱い息を吹きかけてきます。

「・・・ツルツルで・・・スベスベで、気持ちいい・・・」
「ねえ、もっとその手を動かして。わたしのココ、たくさん撫ぜてみて」
私の左手を誘導していた自分の左手をはずして、再び左腕を私のウエストにからめ、からだを密着させてきました。
私のお尻のちょっと上あたりと、相原さんのツルツルな土手とに、私の左手が挟まれました。
私は、遠慮して閉じ気味だった左手の指に力を入れて開き、手のひらを相原さんの土手に密着させます。
中指の先がちょうど相原さんのアソコの割れ始めに届きました。
汗ばんだ感じに湿っています。
「あはんっ!」
相原さんが小さくため息を洩らします。
それと同時に、相原さんの右手が私の左おっぱいを強く掴みました。
「ああんっ!やんっ!」
私も思わず声をあげてしまいます。
「やんっ、だって。カワイイー、森下さん!」
相原さんは、頬ずりするように顔を私に寄せてきて、私の左おっぱいを掴んだ右手をゆっくりと動かし、やさしく揉み始めました。
「あ、相原さんっ・・・だっ、だめえぇ・・」
私は、肩を左右に振って身悶えしてしまいますが、相原さんの左腕がしっかりと私のウエストをホールドしていて、逃がしてくれません。
仕方がないので、私も左手のひらをサワサワと動かして、相原さんの無毛な土手をくすぐります。
左腕を少し下へ伸ばすと、中指が相原さんの亀裂までラクに届きました。
汗とはまったく違うヌルっとした液体の感触を中指に感じながら、私は、無意識のうちに相原さんの一番敏感なはずな突起部分を探していました。

「はあーんっ!」
私の中指の先がソコを強く押した瞬間、私の左胸を揉んでいた手の動きが止まり、相原さんのからだが後ろに大きくのけぞって、悩ましい啼き声をあげました。

「あーんっ・・・もうがまんできないぃ・・・」
相原さんが小さく言って私のからだを離し、私の両肩を軽く持って体勢を変えさせ、至近距離で向き合う格好になりました。
「森下さん、ひとりえっち、まだちゃんとしたことない、って言ってた、よね?」
うわずった色っぽい声で聞いてきます。
「う、うん・・・」
私は、若干の罪の意識を感じながらも、うなずきます。
「うふっ。これから、わたしがやりかた、教えてあげる」

相原さんが私の顔をじっと見つめます。
相原さんのワンピースは、両肩がだらしなく落ちて、かろうじて両肘のところで止まっています。
前がすっかりはだけてウエストから下の部分は盛大にねじれて、お尻のほうに回ってしまい、もはや服としての役目をまったく放棄しています。
薄暗がりの中で、全身が露になっている細身な相原さんの白い素肌は、ところどころが上気してるせいなのか、はたまた私に抱きついていて擦れたせいなのか、赤くまだらになっていて、すごくえっちな感じです。
呼吸を乱して上下している薄っすら汗ばんだ肌の艶かしい動き。
私は、相原さんの全身を上から下へ、舐めるように見入ってしまいました。

私の視線の動きを追うように見ていた相原さんは、ふいに顎を引いて、私の顔から視線を少し下に下げて、私の胸の谷間あたりを凝視してきました。

「あっ!」
私のブラウスもいつのまにか、上から三番目までボタンがはずされていました。
相原さんの仕業でしょう。
水色レースのブラジャーがほとんど見えてしまっています。
ブラジャーの形に沿って、しっとり汗ばんでいます。
私は、あわててブラウスの前をかき合わせた後、恥ずかしさにどきどきしながら、相原さんの顔を見つめました。
相原さんがニッコリ微笑みます。
私は、ボタンをはめ直さずに、このままの格好でいることにしました。

「わたしがいつもやっているように、やってみせてあげるから、森下さん、よーく見てて、ね?」
私がかすかにうなずくと、相原さんは私の右手を取って、大股でベッドのほうへ連れていきました。

さっき見ていたパソコンの置いてある机から、対角線上の反対の壁際に置いてあるベッドの上には、柔らかそうな羽毛らしきお布団を包む、薄いピンクでカワイらしいお花柄のベッドカバーがまっ平らに掛けてあって、まるでホテルのベッドメイクのよう。
枕元には、見るからにふかふかしてそうな大きな白い枕が置いてあります。
一人で寝るには、ちょっと広すぎるくらいの大きなお姫様ベッドです。

相原さんは、ワンピースの布を両腕から抜いて足元に落とし、完全に、一糸まとわぬ姿になりました。
それから大股でベッドの上に上がり、枕元にあった枕を壁際にどかして、細かい装飾が施されたロココ調の背もたれに背中をあずけ、両脚を揃えてまっすぐ前に投げ出して座ってから、私に手招きしました。
「森下さんは、ベッドの縁にでも腰掛けてて。あ、もちろん、上がって来ちゃってもいいけど」
私は、相原さんが投げ出している足先から50センチくらい離れたベッドの縁に、相原さんのほうを向いて、浅く横座りしました。
ベッドの羽毛は、フカフカです。
「もっと近くに来て、ね?足のすぐ横くらい」
言われて私は、少し枕側にお尻を移動します。
薄闇に浮かぶ相原さんの白い裸身がまぶしくて視線を落とすと、すぐ横に相原さんの白くてしなやかな両脛が投げ出されています。

「まず、自分の頭の中をえっちなことでいっぱいにするの」
相原さんは、私の顔をじっと見ながら、微笑を含んだ表情で低く言いました。
「わたしは、今日は、森下さんとわたしでえっちなことをしているのを想像する。ちょうど森下さん、そこにいるし」
そんなことを言いながらイタズラっぽくニコっと笑います。

それから、相原さんは両目を軽くつぶり、少し顎を上に上げて、何かを夢想するような表情になりました。
私は、相原さんの視線から解放されて、相原さんの胸と下半身を交互にしげしげと、思う存分見比べます。
相原さんの乳首は、ピンク色で、小さめで、今はツンと上を向いて背伸びしています。
両脚は、まだぴったりと閉じたままです。
毛がまったくない土手は、本当に小学生のようでカワイイのに、なぜだかかえっていやらしい感じがしてきます。
この両脚も、やがて大きく開かれるはずです。
そしたら・・・
私はうつむいて、自分のからだに視線をやりました。

私の乳首も、相原さんのお部屋に入ってから、ずーーっとブラの下で尖りっぱなしです。
もちろん、ショーツの中も、後から後から湧き出てきていて、クロッチ部分はヌルヌルになって布の色も変わっているはずです。
相原さんに見られたら、感じていることが一発でバレバレでしょう。
何て言い訳すればいいのかな・・・

「あんっ!」
「うーふーんっ」
「ん、んーんっ・・・」
目を伏せて、そんなことを考えていたら、相原さんの小さな喘ぎ声が聞こえてきました。
私は、あわてて視線を相原さんの全身に戻します。
相原さんは、いつのまにか両手を自分の胸のところにあてがって、まさぐり始めていました。
右手の指先で自分の右の乳首をつまんで軽くひっぱっています。
左手は左の乳房をゆっくり、揉みしだいています。
両脚が内股になって、右膝が左膝の上に乗っています。

「ああんっ!そう、そう・・・森下さん、もっと、もっと強く・・・」
目をつぶったまま悩ましい顔をしている相原さんの歪んだ唇から、そんな言葉が洩れてきて、私の心臓が激しくドキンと高鳴りました。


図書室で待ちぼうけ 13

2010年12月19日

図書室で待ちぼうけ 11

相原さんのお部屋は、玄関から二つ目のドアのところでした。
相原さんがドアを開けると、最初は中が薄暗くてよく見えませんでした。
カーテンが閉じているせいでしょう。
パチンという音とともにあかりが灯り、お部屋の奥にある、可愛らしい淡いピンク色の大きめなロココ調ベッドが目に飛び込んできました。

相原さんのお部屋は、10帖くらいの洋間で、壁紙がクリーム色、カーテンはフリフリがたくさん付いたレース、絨毯は明るいグリーンっていう、何て言うか、ファンシーで可愛らしい感じでした。
お部屋のあちこちに、大小とりどりなカエルさんのぬいぐるみやお人形が飾ってあります。

「へえー。なんだか意外・・・」
「えっ?何が?」
「えーっと、私、相原さんってクールな感じのイメージを持ってたから、もっとこう、お部屋も渋い感じなのかなあ、って思ってた」
「クールって、ただ単に無口だったってことだけでしょう?わたし、可愛らしいものやカラフルなの、大好きなの」
「それに、中三女子の部屋が渋い感じっていうのも、それはそれで問題ない?」
相原さんは可笑しそうに笑いながら、CDコンポをリモコンで操作しています。
それもそうかな・・・
やがて、モーツアルトのピアノ曲が壁の四隅に吊ってある小さなスピーカーから低く流れてきました。

「カエルさんが好きなの?」
「うん。すごく小っちゃい頃に初めて買ってもらったぬいぐるみがカエルだったんで、それの刷り込みかな?カワイイのがあるとスグ買っちゃう」
「でもカワイイの限定、ね。リアルな形なやつはパス。あと色は、絶対ミドリ系。それ以外はパス」
「私が今、一番気に入ってるのは、この子」
タオル地みたいなちょっとザラザラした感じのキミドリ色の布で出来た、全長30センチくらいでとぼけた顔のクッタリした感じのカエルさんのぬいぐるみを、私に手渡してくれます。

「それじゃあまず、森下さんにネットを見せてあげる。こっち来て」
お部屋の片隅にある、レトロな感じな木製の勉強机の上に置いてあるノートパソコンを開きながら、相原さんが手招きします。
立ったままパソコンを少し操作した後、キャスターの付いた背もたれのない丸椅子みたいのを引っぱってきて、私をパソコンの前に座らせました。
「あっ、軍曹さんだっ!」
机の上に置いてあった、お腹に黄色い星のマークを付けた深夜アニメのキャラクターのお人形をみつけて、私は思わず声を上げてしまいます。
「森下さんもあのアニメ、見てるんだ。面白いよね、あれ。わたしもあのアニメに限れば、ミドリ系じゃないカエルも許す。黄色いのがけっこう好き」
相原さんが嬉しそうに笑います。

「このマウスのクルクルするとこを回すと画面が下に下がるから。上げたいときは逆向きに。あと、ページを読み終わって次に行くときは、次へ、をクリック。戻るときは、戻る、をクリックして。一番最初の目次を見たいときは、ここをクリック」
私の背後から覆いかぶさるようにからだを押し付けて、私の右手にマウスを握らせて、その上から自分の右手をかぶせて、操作方法を丁寧に教えてくれました。
私のブラウスの背中に、布一枚だけ隔てた相原さんのやわらかい胸の膨らみを感じます。

「このホームページ、かなりえっちなのが多いから、森下さん、びっくりしちゃうかも」
「ちょっとしばらく、それ読んでいて。その間にわたし、リビング片付けてきちゃうから」
相原さんは、私の背中からからだを離し、ドアを開け放したままお部屋を出て行きました。
私は、クッタリしたカエルさんのぬいぐるみを自分の膝の上に座らせて、そのホームページに書かれている文章を読み始めました。

そのページは、女の人が自分でえっちなことをしたときのことを、そのページの主である男の人にメールか何かで報告する、という趣向のようで、すべて一人称の告白調な文章でした。

最初に読んだのは、女子高生の女の子が通学のバスで、一番後ろに座って、スカートのポケットに手を入れてこっそりオナニーしてみた、というものでした。
それに対して、そのページの主の男性が、次はノーパンで乗ってポケットにも穴を開けといて直接さわりなさい、なんて命令しています。

その次に読んだのは、子供もいる人妻の人が両方の乳首を糸できつく縛ってからノーブラに薄いTシャツを着て、ミニスカートを穿いて、ご近所のあまりお客さんが来ない八百屋さんの下品なおじさまに見せつけに行く、っていうのでした。
この告白は長くて、その人妻さんも、やめようやめようと思ってもやっぱり見てもらいたくて、そのうち八百屋のおじさまも人妻さんが露出好きのヘンタイだってわかってきて、ノーパンにさせたり、他のお客さんのいるところでアソコを弄られたり、もっとひどい命令をされるようになる、というものでした。

えっちな言葉やいやらしい言葉、下品な言葉が次から次にたくさん出てきて、文章もうまいから情景も浮かんできて、私は思わず引き込まれてしまい、どきどきしながら真剣に読んでしまいました。
ただ、おじさまの下半身の描写になったとき、急に我に返って、あわてて、戻る、をクリックしていました。

いったん目次に戻って、女の子同士っぽいのを探しました。
女子高生がいじめにあって、プール授業のあと下着を隠されてノーパンノーブラで授業を受けた後、屋上に呼び出されて裸にさせられて、数人の女の子にさんざんイかされてから、その子たちの奴隷になることを誓わされた、っていうのがありました。
このお話も長くて、その女の子はその後、夏休みの合宿でノーパンでテニスをやらされたり、文化祭でワザと肩紐が切れやすく細工された衣装をノーブラで着せられて、みんなの前で劇を演らせたりもしていました。

私は、どきどきしながらも夢中になって読んでいたので、いつの間にか相原さんが背後にいることに気がつきませんでした。

「どう?面白い?」
急に頭の後から囁くように声をかけられて、私は激しくドキンとなり、前屈みになっていたからだをのけぞるように起こしました。
その拍子に私の背中に相原さんのからだが密着しました。
私は、後ろを振り向いて見なくてもわかりました。
相原さんは、前開きのワンピースのボタンを全部はずしています。
布越しではない、相原さんの素肌のやわらかい感触と生々しい体温が私の着ているブラウス越しの背中に感じられます。

「な、なんて言うか・・・す、すごい・・・ね・・・・」
文章を読んでいるときから、私のからだはポカポカと火照っていましたが、今の感触で、より一層カーっと熱くなってきました。
知らず知らずに、膝に置いたカエルさんのぬいぐるみの首のところを、両手でギューっと力を入れて締めていました。

「そうでしょう?えっちな気分になってきた?それじゃあ次は画像、ね?」
相原さんがまた私の背中に覆いかぶさってきて私の右手を掴み、一つのフォルダーをクリックしてから、左のほうにマウスを動かしました。
「スライドショー、スタートっ!」

パソコンの画面いっぱいに裸の女性の写真が映し出されます。
紙芝居みたいに10秒くらいで次の写真に切り替わります。

何人ものキレイな女の人が、いたるところで裸になっていました。
駅のホームで、コンビニで、学校で、電話ボックスで、駐車場で、遊園地で・・・
映画館で、、海水浴場で、バーガーショップで、神社で、公園で、電車の中で・・・
バスの中で、タクシーの中で、ファミレスで、屋上で、ゲームセンターで・・・
写真の中には、目のところをモザイクみたいのでぼかしているのが何枚かありました。
あと、アソコのところをぼかしてないのが何枚もありました。
自分の指で開いていて、ピンクな中味まで鮮明に見えちゃってるのも。
こういうのって、いいの?・・・かな?

相原さんは、私が画像を見ている間中、背中越しにからだをピッタリ密着させていました。
相原さんの心臓の鼓動を私の背中で感じています。
私は、本当に実際にこんなことをやっている女性がこんなにたくさんいるんだ、って唖然としながらも画面から目が離せませんでした。
恥ずかしそうにしている人のほうが多いけれど、中にはニッコリ笑ってピースサインをしている人もいました。
私も相原さんが言っていたように、恥ずかしがっている写真のほうがえっちぽく感じました。

10分くらい、そうしていて、ふいに相原さんのからだが背中から離れました。
あれっ?と思っていると、画像が終わって元のパソコンの画面に戻りました。
と同時に、お部屋の電気がスーっと暗くなり、豆球一つくらいの薄暗がりになりました。
パソコンのモニターの付近だけ、やたらと明るく照らし出されています。
お部屋のドアを閉じるパタンという音がしました。

私は振り向いて、相原さんの姿を探します。
薄暗がりにぼんやりと、オレンジ色のワンピースの前を完全に開いて、その隙間から白い裸身を露にした相原さんが見えました。
相原さんはゆっくりと私のほうへ近づいてきて、また私の背中に素肌を密着させながら両腕を伸ばし、ノートパソコンのモニターをパタリと倒して閉じました。
それで本当の薄暗闇になりました。

スピーカーからは小さく、トルコ行進曲が流れ始めました。
相原さんは、伸ばした両腕をそのまま私の胸の前で交差して、私を背後からギュッと抱きしめてきました。


図書室で待ちぼうけ 12

2010年12月18日

図書室で待ちぼうけ 10

土曜日の午前中。
私は、相原さんのお家へ行くのに何を着ていこうか、迷っていました。
相原さんは、火曜日の別れ際に、ジーンズではなくてスカートを穿いてきて、って指定してきました。
その言葉の裏には、二人でえっちなことをしようね、っていう意味が隠されているような気がします。

私にも、ある程度の覚悟は出来ていました。
相原さんのツルツルのアソコをさわらせてもらって、相原さんも私のからだをさわってくる・・・
私も裸にされちゃうのでしょうか?
いずれにせよ、くっつきあったりもつれあったりしちゃいそうです。
あまりヒラヒラしてるお洋服を着ていくと、しわくちゃになっちゃいそう。

いろいろ考えた末、薄めなデニムの膝丈フレアスカートに、ふんわりしたコットンの七分袖、前開きブラウスを合わせることにしました。
下着は、上下おそろいで水色のレース。
足元は、素足に裸足で低めのプラットフォームサンダル。
新しいお友達のお家に遊びに行く、と母に伝えたら用意してくれた、クッキーの詰合せが入った紙袋を持って、お気に入りの赤いショルダーポーチを肩からななめにかけて、お家を出ました。
6月にしては、カラリと晴れあがった青空が気持ちいい、過ごしやすそうなお天気です。
相原さんのショーツは、丁寧に手洗いしてから注意深くアイロンをかけて、きれいにたたんでポーチに入れてあります。

約束の時間の5分前にコンビニ前に着きました。
まだ相原さんは、来ていないみたい・・・
と思ったら、通りの反対側で信号待ちをしている相原さんをみつけました。
黒いセル縁のメガネをかけています。
あれ?相原さんって目が悪かったのかな?
なんて考えてると信号が変わり、相原さんが小走りに近づいてきます。
「お待たせー」
「ううん。私も今来たばっかり」
「あっ、ちゃんとスカート穿いてきてくれたんだ。そのブラウスと合ってる。森下さん、すっごくカワイイ」

相原さんは、浅いラウンドネックでなめらかそうなニットの、鮮やかなオレンジ色のワンピースを着ています。
半袖で、胸元から膝のちょっと上くらいの裾まで、10個くらいのボタンで留める前開きのワンピースです。
ウエストを同じ色の紐で縛っていて、腰から下はゆったりしていますが、上半身は、ややフィット気味。
胸元にだけ白くボーダーのラインが幾筋か入ったデザインなので、相原さんのたおやかなバストのふくらみが白いラインの凹凸で強調されています。

「相原さんて、目、悪かったの?」
私は、相原さんの胸のあたりにチラチラ視線を走らせながら、聞きます。
「ううん。これは度が入っていないファッショングラス」
そう答えてから、私の耳に顔を近づけてきました。
「わたし今、これの下は素肌なの。身に着けてるのはこのワンピ一枚だけ。ちょっと恥ずかしいから、ちょっと変装」
「このボタン、全部はずしたら即、オールヌード」
照れてるみたいに笑っています。
「こんな恰好で外に出るの初めて。すごくドキドキしてる」
そう言われて私は、どうしてもまた相原さんの胸のあたりに視線が戻ってしまいます。
「でもだいじょうぶ。私の家、ほんとすぐそこだから。さ、行こ」
相原さんが私の背中を軽く押して、さっき相原さんが渡ってきた横断歩道をまた戻りました。

相原さんのお家は、本当にすぐそばでした。
横断歩道を渡って、10メートルも歩かないところに建っている大きなマンション。
バレエ教室に行くとき、駅のホームからいつも見えている、駅前の高級マンションでした。
エントランスをカードキーで通過して、エレベーターに二人で乗り込みます。
相原さんがメガネをはずしました。
襟元のボタンを一つはずして、そこにメガネのつるをひっかけます。
相原さんの白い胸元が少し覗きます。
「あの監視カメラさえなければ、ここでもう脱いじゃって森下さんに見せちゃうのになあ」
エレべーターの天井に付いている防犯カメラを指さして、相原さんが冗談めかしてそんなことを言って、私を見て笑っています。
相原さんのお家は8階でした。

「誰もいないから、遠慮しないで。さ、どうぞ」
「おじゃましまーす」
玄関口で一応大きな声で言ってから、サンダルを脱ぎます。

玄関を入ると廊下がつづいています。
相原さんの先導でいくつかのドアを通り過ぎます。
うっすらとローズ系のいい香りがただよっています。
一番奥のベランダに面したところが広いリビングになっていました。
「広いお家ねえ。相原さんて、ご家族大勢いらっしゃるの?」
「ううん。うちはボシカテイ。母親とわたしだけ」
「えっ?あっ、ご、ごめんなさい」
「別にいいよ。気にしないで。ちょっとそこに座って待ってて」
リビングの中央にある柔らかそうなソファーを指さして、相原さんはダイニングのほうに消えました。

私は、ソファーに浅く腰掛けて、広いリビングを見回しました。
あまり物が置いてなくて、スッキリした感じの落ち着いた雰囲気です。
天井にある照明が豪華。
枠に複雑な模様が施してあって、金色にキラキラ輝いています。
窓が広く大きくとってあって、ここは8階ですから、少し開いたカーテンの向こうに見渡すばかりの青空が覗いています。
壁には何枚か、賞状のようなものが飾ってありました。

相原さんが銀色のトレイを両手で持って、戻ってきました。
「はーい。今日はいらっしゃいませえ。とりあえずケーキ、食べよう、ね」
イチゴの乗った美味しそうなミルフィーユと紅茶が入ったカップをテーブルに置いて、私の向かい側のソファーに座りました。
「ありがとう。美味しそう」
「それでは、いっただきまーす」

「わたしが小学校二年のとき、両親が離婚したの」
相原さんがフォークで慎重にケーキを削り取りながら話し始めました。
「原因が父親の浮気だったから、慰謝料やわたしの養育費でずいぶんお金もらえたみたい。父親の実家もお金持ちみたいだったし」
「わたしにとっては、普通に優しくていい父親だったんだけど、ね」
「それで、うちの母親はなんでだか知らないけど突然、占いの勉強を始めたの。通信教育で」
「そのうち、デパートの催事場とかの仕事が入るようになって、それなりに人気も出たみたい」
「その間も何人かの男とつきあってたはず。ちゃんと聞いたことないけど、ときどき家に知らないおじさんが何人か遊びに来てた」

「で、わたしが小学校六年になりたての頃、あるパーティで母親が、とある政治家と知り合ったらしいの」
「母親に口止めされてるから、森下さんにも名前は教えてあげられないんだけど、このあたりでは有名な人。年齢はけっこういってる」
「それからうちの母親は、その人専属の占い師になったの。表向きは秘書って肩書きだけど、実際は愛人」
「それまで東京に住んでたのだけれど、その政治家の地元に近いこの町に引越しすることになった。中学進学と同時に」
「それ、私と同じだ」
「森下さんも中学校からこの町なの?」
「うん。最初はクラスの誰も知らないから、不安で仕方なかった」
「それ、すっごくわかる」

「その政治家のコネで、うちの母親、最近はテレビにも出てるみたい」
「ほんと?すごーいっ!」
相原さんが教えてくれた相原さんのお母さまの芸名は、テレビをほとんど見ない私には、聞いたことあるような・・・って感じでしたが、すごいことは事実です。
「相原さんのお母さまがそんなにスゴイ人だなんて、私全然知らなかった」
「それはそうよ。わたし、こんなこと今まで誰にも話したことないもの。今初めてしゃべった。あと、うちの母親は別に全然すごくないし」
相原さんは、私の顔を見つめてニコっと笑いました。

「来週の土曜日に、その政治家の後援会のパーティがあるの。沿線の大きな街で。有名なタレントとか歌手とかも集まるらしい」
「わたしも連れて行くって母親は言ってるんだけど、気が進まなくて・・・」
「えーーっ?なんで?芸能人と一緒のパーティでしょ?そんなチャンス、めったにないじゃない?」
「そうなんだけどさ・・・なんだか、そういう人たちって無駄にギラギラしてそうで、苦手って言うか・・・」
「きれいなドレスとか、着せてもらえるんでしょ?いいなあ。憧れちゃう。絶対行ったほうがいいよ」
「ふーん。森下さんて意外とミーハーなんだ、ね」
相原さんがまた、ニっと微笑みました。

「ねえ、相原さん?」
「なーに?」
「余計なお世話だとは思うんだけど、相原さんはお母さまのこと、あんまり好きじゃないの?」
「・・・なんでそう思うの?」
「ずっとお母さまのこと、母親、って他人事みたいに呼んでるし、お母さまのお話してても冷めてるって言うか・・・」
「うーんと・・・ある意味正解かな。うちは、お互いに干渉しない、って言うか、無関心なの。お互いに対して」
「母親は、家に帰ってこないこともよくあるし。そういうときは、食事も掃除も洗濯もわたし一人でやってる」
「でも、母親のこと嫌ってるわけじゃない。わたしも一人でいるの好きだし。母親と二人でいるときは、それなりに普通の親子っぽいと思う」
「それに、うちの母親は、一人の女としてエライと思う。ちゃんとわたしを女手一つで、占い師なんていう水商売でここまで育ててくれたんだから。そこは尊敬している」

少しの沈黙。
二人ともケーキを食べ終わり、紅茶も飲み干していました。
「さ、一息ついたし、そろそろわたしの部屋へ行こう、ね?」
相原さんが立ち上り、ワンピースの胸元のボタンをもう一つ、はずしました。


図書室で待ちぼうけ 11