2017年8月13日

夏休み自由研究観察会 04

 スリークォーターカップのブラジャーは、フルカップの上1/4がカットされているので、おっぱいの膨らみ始め部分の肌は露出しています。
 ワイヤーで下から持ち上げて寄せる感じになるので、膨らみ始めの谷間がよりクッキリ強調されて浮かび上がることになります。

 ノースリーブを脱ぎ終えると、私が上半身に身に着けているのは、白のエナメルチョーカーと純白ブラジャーだけ。
 ブラを隠すように胸の前に両腕を交差させて恥ずかしがり屋ポーズの私。
 その腕からはみ出しているおっぱいの谷間が作るスジに、子供たちの瞳が釘付けでした。

 そこまで脱いで私はちょっとイタズラ心を起こし、そのままストンと椅子に腰掛けました。
 あれっ、ブラジャーは取らないの?とでも言いたげな、拍子抜け気味なお顔になられる子供たち。
 ブラジャーも脱いでください、って子供たちのお声でご命令されたい、と思ったのです。

 だけど、シンイチ先生のお口から、そのお言葉は聞けませんでした。

「そ、それでは聴診器を当てますから、その手をどけてください」
「あ、はい・・・」

 いささか戸惑い気味なシンイチ先生のご命令で、胸を隠していた両腕をゆっくりどかしました。
 ブラの白い布に隠された私のおっぱいの谷間に吸い寄せられる、目、目、目たち。
 いつもの習性で、どかした両手を後頭部に持っていきかけてしまい少し焦りましたが、途中でごまかして背中で組むことにしました。

 4人の中では一番ぽっちゃり気味なシンイチ先生の小さな手に握られた聴診器の金属部分が、恐る恐るな感じで私の肌に近づいてきます。
 最初は右おっぱいの下あたり。

「ひゃんっ」
 予想以上に冷たい金属の感触に、思わず淫らな声が出てしまいました。

 私の声にビクンと一瞬怯んだようなお顔になられたシンイチ先生でしたが、すぐに立ち直り、ブラの周りをさまようようにペタペタと無造作に、聴診器を押し付けてきました。
 この聴診器は本物ですから、私のドキドキ高鳴っている心音もシンイチくんに聞こえてしまっているんだなー、なんて思いながら、されるがままの私。

 シンイチ先生は、ひとしきりブラのカップ周りに聴診器を当て終えた後、次はどうしたらいいかわからない、という感じになってしまわれました。
 これは私から、ブラも取ったほうがいいですか?って聞かなくちゃダメかな?なんて思っていたら、凛子大先生のご指示が入りました。

「おーけー、そのへんでお医者さん交代しようか。次は誰?」
「はーい!オレオレっ!」
 やる気マンマンな坊ちゃん刈りのユタカくんがピンッと右手を挙げています。
「なんだ、ユタカか。じゃあアドバイスするのやめた。勝手にやんな」

 大先生の冷淡なお言葉もぜんぜん気にせず、シンイチ先生からひったくるように白衣とメガネを譲り受け、私の目の前に座ったユタカ先生。
 ふたつのお目々がすごく嬉しそうに笑っていて、確かに4人の中では彼が一番、スケベそうな雰囲気です。
 私は再びブラの上から両腕を交差させ、恥ずかしい、見ないで、のポーズ。

「今、シンちゃん先生から聞いたんですが、病気かどうかよくわからないみたいなので、もっとよくシンサツしたいと思います」
 お芝居がかったお声でカルテを見ながらおっしゃったユタカ先生。
 一呼吸置いて、こうつづけました。

「だから、そのブラジャーも取ってください」

 その刺激的なお言葉に一瞬凍りつく、後ろで見守るお三かた。
 その待ち侘びていたお言葉にジワッと濡れてしまう、どうしようもない私。

「はい・・・わかりました」
 私の従順な隷属で、子供たちのあいだにホッとした空気が流れました。

 ブラを外すとき背中を向けたほうがお淑やかかな、とも思いましたが、あんまり焦らしてばかりだともっと萎縮しちゃいそうなので、子供たちのほうを向いたまま取ることにしました。
 椅子に座ったまま、ブラのホックを外すために背中に回していた両手を上へと動かし始めると、ググッと身を乗り出してくる子供たち。
 
 それこそお皿のように見開いたつぶらな瞳たちが、私のバストだけを見つめてきます。
 一様にお口を真一文字につぐみ、ゴクリというツバを呑み込む音まで聞こえてきそう。

 ホックを外すと、生おっぱいがまだまともに見えないように片腕づつで隠しながら、肩紐を左右それぞれ外しました。
 両腕を交差しておっぱいを庇うような形になったとき、胸と腕のあいだに挟まっていたブラジャーを、凛子大先生が回収してくださいました。

 交差した腕と腕のあいだから、わざと右の乳首だけ少し覗くように動かすと、すべての視線がそこに吸い寄せられるように集まってきます。
 そのまましばらく、ユタカ先生と見つめ合います。

「・・・えっと、あの、シンサツが出来ないので、聴診器が当てられないので、その、その腕をどけてもらえますか?」
 先ほどの、ブラジャーも取ってください、のときみたいな余裕はもう無いようで、少しお声が震えていました。

「あ、はい・・・恥ずかしいですけれど、シンサツのためなら仕方ありませんね・・・」
 ゆっくりと両腕を左右に引いていき、手のひらで乳首を隠す手ブラ状態へ。
 そこで数秒、間を置いて、うつむいたまま思い切って一気に両手を背中に回しました。

「おおっ!」
 小さくあがるどよめき。
「おっぱいだ・・・」
「ミーコのおっぱい・・・」
「チクビ・・・」

 うつむいた視線の先で、私のおっぱいが隠すもの無く子供たちの視線に晒されていました。
 自分でも恥ずかしくなるくらい、子供たちに向けて硬く精一杯その乳首を尖らせて。

 もはや、私の上半身の素肌を覆い隠すものは、首のか細いエナメルチョーカーしかありません。
 私、今、小学生男子4人の前で、生おっぱいを丸出しにしているんだ・・・
 ねっとり絡みつくような視線が、そこに集まっているのを感じます。
 得も言われぬホロ苦甘酸っぱい快感が、マゾマンコを起点に全身を駆け巡ります。

「そ、それでは、シンサツします」
 思い切るようにおっしゃって、ユタカ先生の聴診器の先が剥き出しの左おっぱいに近づいてきます。

「あんっ!」
 乳首の少し下、乳輪の端に最初のひんやりが押し付けられ、またもや淫ら声。
「・・・やべえ、ちんちん勃ってきちゃった・・・」
 ユタカ先生の肩越しに見つめているシンイチくんが、独り言みたいにつぶやきました。

 ユタカ先生は、なぜだか絶対乳首には触れないようにしているみたいで、その周辺、乳輪をなぞるように聴診器を押し付けてきます。
 左を終えると今度は右へ。
 それがなんだかわざと焦らされているみたいで、もどかしくもすごく気持ちいい。

 普段オフィスのみなさまとするプレイであれば、私のマゾ性がみなさまに理解されていることに甘えて、早く乳首を虐めてください、なんておねだりしてしまうところでしょう。
 だけど、今日はそれを禁じられているので、されるがままに任すしかありません。
 
 自分の無力さが却って被虐を煽り、余計にマゾの血が滾ってしまう悪循環。
 自分ではどうにもコントロール出来ない状況、から来る、純粋な羞じらい、の感情も倍増して新鮮です。

 聴診器をギュウギュウ押し付けてくるユタカくんの小さな手を見ながら、今日の私は、この子たちにもてあそばれるだけでイカせてはもらえない、ただの女体観察用生身フィギュアなんだ、と内心ではマゾ性全開な私。
 出したい声を必死に我慢しつつ、乳首への刺激を待ち侘びていました。

 しばらく熱心に聴診器を押し付けてくださったユタカ先生でしたが、結局乳首に触れること無く、この後どうすればいいかわからない状態、に陥りました。
 そこでまた、凛子大先生のご登場です。

「はい、じゃあまたお医者さん交代ね。次は誰?」
「はいっ!ボク!」

 私は、ユタカ先生のシンサツが終わると同時に、再び胸の前に両腕を交差して生おっぱいを隠しました。
 隠してしまうと、一様にがっかりしたようなご表情になる、とてもわかりやすい子供たち。

 自分へのマゾ扱いに慣れ過ぎて、一度出したら出しっ放しな状態が普通になっていたオフィスでのプレイでは忘れかけていた、羞じらいの感覚。
 恥ずかしい、見ないで、もう許して、と普通の女性らしく振る舞うことで、子供たちのリアクションも含めて、中学生の頃から私が妄想を描いて探していた、理想の被虐的な状況のひとつに、より近づいているような気がしていました。

 元気よく小さなお手てを挙げた、この場の最年少、3年生のマサヒデくん。
 この子だと、私のほうからリードしてあげないと、このまま何も進まないかも、なんて考えていたら、大先生からご指導が入りました。

「マサヒデ君か。よし、がんばりな。マサヒデ君はひとりだけ3年生だから、おおせんせいが特別にアドバイスしてあげる」
 ユタカくんのときとは打って変わって、フレンドリーな凛子大先生。

「女の人のおっぱいはね、こわーい病気になりかけていないか確かめるために、触診、ていうシンサツの仕方があるんだ」
「ショクシン?」
 ブカブカの白衣に袖を通しながら、あどけなくオウム返しされるマサヒデくん。

「ショクシンていうのはね、手で直接触ること・・・」
「えーっ!?手で触ってもいいのっ!?」
 凛子大先生のご説明に、シンイチくんとユタカくんがおふたり同時に同じセリフで、大きなお声でご反応されました。

「手でペタペタ触ってニギニギ揉んでみたりして、おっぱいの中にシコリ、えっと、ちょっと硬くなっているようなところが無いか、確かめるの」
 シンイチくんとユタカくんの大げさなリアクションは完全無視して、マサヒデくんだけにおやさしく語りかける大先生。

「揉んでもいいんだってー?」
「ああー失敗したー!思い切って手で触っちゃえばよかったー」
 すでにお医者さん役を終えてしまったおふたりが、後ろの席で大きなお声で悔しがっています。

「触っても揉んでもいいのよね?ミコトさん?」
 大先生からイタズラっぽく尋ねられ、おっぱいを庇う両腕を緩め、素早く乳首だけを手で隠す手ブラ状態になり、努めて羞じらいをにじませつつ、こうお答えしました。

「は、はい・・・とても恥ずかしいですけれど、シンサツのためなら、仕方ありませんから・・・」
 あーあ、と、逃したお魚を悔いるような、シンイチくんとユタカくんの盛大な溜息。

「わかった。ボク、ショクシン、やってみる」
「あ、でもマサヒデ君はさっきユタカがお医者さんだったとき、こっそりポテチを食べてたでしょう?」
「あ。うん・・・ちょっとお腹空いちゃって・・・」

「だったらちゃんともう一度、両手をキレイにしなくちゃダメ。さっき言ったでしょ?女の人のからだを触るときは清潔に、って」
「ほら、このウェットティッシュで手を拭きなさい。ポテチの油が残らないように丁寧にね」

 凛子大先生がマサヒデくんにボトルごと手渡されたウェットティッシュに、なぜだか群がる他のお三かた。
 全員真剣に両手を拭いているということは、全員、シンイチくんとユタカくんもまだ、私のおっぱいに触る気マンマンということなのでしょう。
 手ブラしている左手に、自分の心臓のドキドキ具合が大きく伝わってきます。

 そのお顔には明らかに大きくてずり落ちがちな黒縁メガネをかけたマサヒデ先生と、手ブラ姿で対面します。

「それでは、ショクシンをしますので、その手をどけて、ボクの手が届くところまで、おっぱいを突き出してください」
 精一杯のお芝居口調はカワイらしいのですが、おっしゃった内容はセクハラそのもの。

「あ、はい・・・」
 両手を尾てい骨のところで組み、丸椅子を少し前に出し、腰を引いて胸を張るようにして、マサヒデ先生のお鼻先に剥き出しの乳房を差し出す私。
 どうぞ、思う存分もてあそんでくださいませ、と心の中で懇願までしてしまいます。

 マサヒデ先生がおもむろに両手を伸ばし、そのままペタリと私の肌に密着させました。
 左右の手のひらで、私の左右の乳首を包むような形でした。

「あふぅん!」
 いきなりの待ち侘びていた頂上攻撃に、思わず喉の奥からはしたない声がほとばしり出ました。
 そんな声など気にも留めないマサヒデ先生の小さな手のひらが、おやさしくニギニギし始めました。

 小さな手のひらに擦れる勃起乳首。
 左右とも乳輪の外周くらいから頂点までをひとまとめにして手の内に握られ、熱心に揉みしだかれます。
 やがてマサヒデ先生の両手はおっぱい全体へと伸び、下乳、横乳、少し垂れ下がった裏側まで、気ままにモミモミしながらさまよいつづけます。

「あっ・・・」
「んふーぅ・・・」
「いぃっ・・・」
「はあっ・・・」
 堪らえようと思っても、どうしても洩れてしまう淫らなため息。

「痛いですか?」
 私の淫ら声が余程うるさくて、やっと気に留められたのでしょう、マサヒデ先生が心配そうに尋ねてくださいます。

「あっ、いえ、大丈夫です、痛くないです・・・つづけてください・・・」
 快感でどうしても眉間にシワが寄ってしまうのを気にしながらの作り笑い。

 私は今日この場に臨むにあたり、いやっ、とか、だめっ、やめてっ、許して、などの否定的に聞こえる嬌声は一切あげないことに決めていました。
 このくらいの年頃だと、その言葉の意味通りにとって、手を止めてしまいがちですから。
 それを私は、高校生のときのカズキくんとのことで学んでいました。

 かといって、もっと、とか、そこが気持ちいい、とか積極的におねだりしちゃうと、凛子センパイご指定の、清楚なお姉さん、からは程遠いメス犬ビッチとなってしまいます。
 
 したがって、触られた気持ち良さをそのまま声にする、意味を持たない感嘆詞しか口に出せなくなっていました。
 自分の望むことを言葉で誘導できないもどかしさを感じつつ、おっぱいのそこかしこを這い回るマサヒデ先生の小さなお手てに身を任せ、目をつぶってふんふん身悶えていました。

 そのお手てが不意に両方のおっぱいから離れました。
 ん?どうしたのかな?
 しばらく待っても戻ってこないようなので、目を開けてマサヒデ先生を見ました。
 マサヒデ先生は、椅子の上で上半身を少しひねり、横に立っていた凛子大先生を見上げていました。

「ねえ、おおせんせい?」
 マサヒデ先生が大先生に呼びかけます。

「ボク、ミコトお姉さんはやっぱり、ボクにさわられるのイヤなんじゃないかな、って思うんだ」
 真剣なお顔つきのマサヒデ先生と、キョトンとしたお顔の凛子大先生。

「えっ?どうして?」
「だってミコトお姉さん、ボクがおっぱいをさわっていると、とっても苦しそうなお顔になるでしょ?映画のミーコみたいに」
「映画のミーコ?」

「うん。ミーコが敵にさらわれて、ザウルスの中で縛られて、ディーの笛でいじめられていたときのお顔が、ボクがさわっているときのミコトお姉さんのお顔にそっくりなんだ」
「へー、ミーコって縛られて、笛でいじめられるんだ。どんなふうに?詳しく教えて」
 なんだか嬉しそうな凛子大先生。

「えーとね、ミーコの歌のエネルギーを奪うために、縛ったミーコに光線を浴びせるんだ。それを浴びたときのミーコのお顔と声が、さっきのミコトお姉さんとそっくりだった。うっ、うっ、って苦しそうで、ここにこんなにシワを寄せちゃって」
 ご自分の眉間を指差して、しかめ顔を作られるマサヒデ先生。

「ああ、あれかー。あれ、なんだかえっちっぽかったよな?」
「オレは悪役のエムネラがえっちに感じたな。服が」
「白いほうね。黒いほうのもえっちだったじゃん」
 後ろのお三かたが、つられて今日観た映画のお話をされているみたい。

 私にはちんぷんかんぷんなご説明でしたが、大先生はご理解されたよう。
 ニコッと笑って私の背後に回られ、男の子たちと向き合う形になられました。

「たぶん映画のミーコは、本当に苦しかったのでしょうけれど、大人になるとね、女の人は気持ちいいときにも、苦しいような顔になっちゃうときがあるのよ」
 
 シンサツの中断で再び両腕でおっぱいを隠している私の無防備な背中を、背骨に沿ってツツッと撫ぜる大先生。
「ひゃぅっ!」

「そうね、たとえばあんたたちが遊園地でジェットコースターに乗ったら、乗ってるあいだは怖いとか苦しいみたいな表情になるでしょ?でもスリルがあって実際はすっごく楽しくて喜んでるよね?つまりそういうこと」

 それから大先生の両手が私に覆いかぶさるように降りてきて、私が交差している両腕に割り込むように、ふたつのおっぱいをワシづかみにしてきました。
「あうっ!」
 そのまま乱暴に両方のおっぱいを同時に揉みしだいてくる大先生の両手。

「あっ、あぁーっ・・・」
「ほら、こんな顔と声のことでしょ?」
 うんうんと真剣に頷かれる男の子たち。

「どう?ミコトさん、イヤ?」
 おっぱいをモミモミしたま尋ねられます。

「あんっ、いいえ、イヤじゃないですぅ・・・」
「やめてほしい?」
「ううっ、いえ、あっ、やめなくていいですぅ・・・」
「気持ちいいの?」
「あぁん、はいぃぃ、すごくぅ・・・」

 唐突に腕を引っ込めた大先生が、念を押すみたいに子供たちに同意を求めました
「ね?」

「本当だ、女の子って気持ちがいいと、ジェットコースターに乗ったみたいになるんだっ!?」
 マサヒデ先生が、心底驚いた、みたいな興奮気味のお声をあげ、一同ザワザワ。

「ただしっ!」
 語気強くザワザワを鎮められた大先生。

「これはミコトさんみたいな大人の女の人に限った話よ。あんたたちのクラスメイトや上級生、中学生、高校生以上でも、女子は好きでもない男の人にからだを触られるのはイヤだし、大人になっても、見ず知らずの男に無理矢理触られるのは絶対イヤ」

「そういうことをするとチカンとかセイハンザイシャって呼ばれて、おまわりさんに捕まって牢屋に入れられちゃうの」
「ミコトお姉さんの場合は、アタシと友達で、アタシがユタカの親戚で、みんながユタカの友達だから、ミコトさんもみんなに触られてもイヤじゃなくて、気持ちいいになるわけ」

「だから、これからは、学校やお家で女子がイヤがるえっちなイタズラは一切しないこと。シンイチだっけ?さっき、ちんちん勃ってきちゃった、なんて言ってたでしょ?そういう生々しいことも女の人のいる前では言わないこと」

 良いことを言っているふうで、よく考えるとわけのわからない理屈ですが、真剣に聞き入っている子供たち。
 凛子大先生が私の横まで出てこられ、私と男の子たち両方に向けてニコっと微笑まれました。

「今アタシが言ったことを守るって、ここでアタシと約束してくれるんなら、約束出来る人だけ、ミコトさんのおっぱい、好きなだけショクシンしていいよ」
 イタズラっぽく言い放った大先生に、やる、やる、やる、と一斉の大歓声。

「ちゃんと約束は守るんだぞ?学校の女子がイヤがる迷惑をかけない。ユタカのママからあんたたちのことは、いつでも話聞けるんだからな?」
 釘を刺す大先生を尻目に、我先にとウェットティッシュのボトルに手を伸ばし、両手を再度拭っているのがカワイイと言えばカワイイ小学生軍団。

 私の右横にユタカくんとマサヒデくん、左横にシンイチくんとシンサツ初登場のミツルくん。
 観念したように背中で両手を組み、おっぱい丸出しでうなだれる私。
 それを正面から、おそらく伊達メガネのレンズで美咲センパイのパソコンへとライブ動画配信される凛子大先生。

「今3時15分だから、20分まで5分間な。ミコトさんの上半身ならどこ触ってもいいぞ。それじゃあショクシン、開始っ!」

 大先生の号令で、私の無防備剥き出しおっぱいに、8本の日焼けしたしなやかな手が一斉に襲い掛かってきました。


夏休み自由研究観察会 05

2017年8月11日

夏休み自由研究観察会 03

 気を紛らわせようとブックシェルフを物色して、適当に選んだ少年向けコミックスの適当に開いたページが、6年生女子のプールの更衣室を嬉々として覗くえっちな目つきのイタズラっ子たち、みたいなシーンだったりしてドッキリ。
 でも、そのマンガはギャグっぽくて絵柄も個性的で面白そうだったので、実はオカルトマンガらしいそれを、いつしか真剣に読み進めていました。

 カチャ、という小さな音で本から視線を上げると、リビングのドアがそーっと開き、男の子たちがこちらを窺うように、そーっと入って来られました。
 タオルで拭いただけらしいまだ生乾きの髪で、皆一様にさっぱりしたお顔になられた男の子たち。
 そちらに目を向けてニッコリ笑って会釈をし、シャワー気持ち良かった?と声をかけました。

「あ、はい・・・」
「・・・はい、とても・・・」

 モゴモゴと煮え切らないお返事をくださいつつ、お部屋には入ったものの、なぜだかこちらへは近づいてこない男の子たち。
 気恥ずかしいのか私の視線を避けるような、かと言ってこちらが気になって仕方ないといった風情で、ブックシェルフの前にひとかたまりなっています。

 全員色の違うサッカーユニフォームみたいな感じのざっくりした半袖ポロシャツ風を着て、下も色とりどりの、ゆったりめな膝までハーフパンツ。
 ふーん、これがイマドキの小学生男子の流行りのファッションなのかー。

 坊ちゃん刈り、五分刈り、ウルフっぽいツンツンヘア、もうひとり坊ちゃん刈り。
 身長140センチ前後の見事に日焼けした男の子4人が、こちらをチラチラ気にしつつ、ブックシェルフのマンガ本をそれぞれ取り出し、読み始めています。
 私も、それ以上かける言葉がみつからず、何だか気マズイ雰囲気で数分。

 やがて玄関でバタンと音がして、すぐさま、あっちー!のお声。
 パタパタと足音が近づき、バタンとドアが開きました。

「何なのこの暑さ。階段上り降りするだけで塩焼きになるかと思った」
 息せき切った凛子センパイのお声にお応えされる子供たちのお声も無く、まっすぐ冷蔵庫へと直行されたセンパイ。
 相変わらず私をチラチラ盗み見るばかりの小学生軍団。

「ほら、あんたたち?今日はマンガ読みに来たんじゃないんでしょ?アイス買ってきたから、こっちのテーブルに全員集合」
 そのお言葉に男の子たち全員の肩がビクンと反応し、それぞれ読んでいたマンガを棚に戻して、ようやくこちらに近づいてきました。

 子供たちにダイニングテーブルを譲り、私たちは壁掛けディスプレイ前のカウチソファへ移動。
 カップアイスと炭酸ジュースでささやかな宴会が始まりました。

「映画は面白かったの?」
「うーん、まあまあかな」
「ライダーよりレンジャーのほうが派手で面白かったよね」
「えーっ?オレはライダーのアクションのほうがカッコよかった」
「ライダーのほうはストーリーがよくわかんなかった」
 
 先ほどとは打って変わって、凛子センパイのお問いかけには快活に反応される小学生軍団。

「お昼は何食べたの?」
「バーガー屋行くつもりだったんだけど、どこもいっぱいでさ」
「仕方ないからデパートの屋上行ってホットドッグ食った」
「ぼくスパゲティ」
「オレ、ピザ食べた」
「でもぜんぜん足りないよね」

「そっか、じゃあお菓子でも食え」
 センパイがさっき買ってきたスナック類のお菓子をテーブルに並べました。
「わーっ!」
 
 とっくにアイスを食べ終えていた小学生軍団が、先を競って手を伸ばします。
 ポテチもえびせんも、当然手掴みです。

「ねえ、リンねーちゃん?」
 坊ちゃん刈りの男の子が、えびせんをムシャムシャ頬張りながらセンパイに尋ねます。
 普通にリンねーちゃん、って呼びかけるということは、この子が甥っ子のユタカくんかしら。

「ん?」
「ねーちゃんのお友達、こっちのお姉さんの名前、教えてよ」
「えー!?おまえら、まだ自己紹介もしてなかったの?あれだけ時間あげたのに。ずっとマンガ読んで固まって、ウジウジしてたんだ?人見知りってガラでもねーだろーに」
 呆れたようにおっしゃるセンパイに、だってー、とバツの悪そうな小学生軍団。

「しょーがねーなー。じゃーまずおまえらからな。ユタカとミツル君は知ってるけど、そっちのふたりは、アタシ知らないよ」
 テーブルに並んで座っている五分刈りの子と、4人の中でひとりだけ小さめな、ユタカくんではないもうひとりの坊ちゃん刈りの子を、センパイが指さしました。

「あ、こいつはシンちゃんていって、サトーシンイチ。その隣が弟のマサヒデで3年生」
 ユタカくんと思われる坊ちゃん刈りくんが、滑舌良くご説明を始めました。

「ミツルがシンちゃんに今日のことうっかりしゃべっちゃったんだ。ユタカの親戚のオバサンの知り合いが、今度の日曜にヌードを見せてくれるらしい、って」
「こらっ!オバサン呼ぶな、っていつも言ってるだろっ!?」
 凛子センパイの本気の叱責。

「だって両親の兄弟姉妹の親戚はオジサン、オバサンて呼ぶって学校で習ったもーん」
 からかうようにニクタラシク笑うユタカくん。
「おまえ、そんなこと言うんなら、今スグ帰れ。約束は無しだ」
 小学生と同じ土俵に降りて口喧嘩されるセンパイ。

「ごめんなさいリンねーちゃん。もう二度とオバサンなんて呼びませんから、それだけは許してくださーい」
 あくまでもニクタラシイ演技で、続柄上の叔母様を挑発される甥っ子さん。

 それからワイワイガヤガヤとっちらかったご説明を整理すると、こういうことでした。

 坊ちゃん刈りユタカくんと、ツンツンヘアのナカムラミツルくんはご近所さんで同じクラスの同級生。
 シンちゃんは、ユタカくんとミツルくんが通っているスイミングスクールで一緒になって友達になった同じ小学校だけどクラスが違う4年生。

 シンちゃんがどうしても一緒に行きたいと言うので、ユタカくんとミツルくんが欲しがっていたカードゲームの超レアカードをそれぞれに譲渡することで手を打って、今日一緒に来た。
 シンちゃんの家はお母様がご入院中で、お父様は日曜日もお仕事でいつも帰りが遅く、弟だけ家に残しておくわけにもいかないので、小3のマサヒデくんも一緒に連れてきた。

 今日は遅くても夜の10時までに、リンねーちゃんの車で送ってもらって家に帰るということを、センパイのお義姉さまから各家庭に知らせてある。
 今日ここで何をしたかは、帰ったら親にも他の友だちにも誰にも言ってはいけない、ただリンねーちゃんの家で楽しくゲームをした、ということにしておく。
 もし少しでも誰かに話したら、話したヤツとは絶交だし一生許さない。
 これは男と男の約束だから、絶対守るから、リンねーちゃんのお友達も安心して欲しい。

 とのことでした。

「ふーん。あんたたちも、それなりにずいぶん大げさな覚悟で来てるんだ。ナカムラミツル君にサトーシンイチ君とマサヒデ君ね。よし、覚えた」
 凛子センパイが、おひとりづつじっとお顔を見つめながらおっしゃいました。

「じゃあ、今度はこっちの番ね。アタシは大沢凛子。ユタカのパパの妹で、続柄的には確かに叔母に当たるんだけど、アタシをオバサンって呼んだヤツは、レッドカードで即退場。まあ、ユタカみたいにリンねーちゃんとか、リンコお姉さんって呼んでくれたらいいよ」
 ユタカくんが何か言いたそうなお顔になって、すかさずセンパイに睨まれ、あわてて口を押さえました。

「普段はアパレル、つってもわかんないか、服飾、ってこれも難しいな、洋服関係、ファッション関係の仕事してる・・・」
「それって、ファッションデザイナー?」
 一番幼いマサヒデくんがお声をあげました。
「まあ、そんなところかな・・・」

 すげえ!カッコいい!と賞賛を浴びるセンパイ。
 ユタカくんもなんだか嬉しそう。

「で、この子がアタシと同じ会社に勤めている後輩で・・・」
 みなさまの目が私とセンパイの唇を交互に見つめています。

「ミコトさん。通称ミーコちゃん」
 そのお名前が発せられた途端、小学生軍団大騒ぎ。
 嘘っ!?マジっ!?本物っ!?やべえ!やべえよっ!・・・

「なーんちゃってね。でも似てるでしょ?」
 凛子センパイがイタズラっぽく笑うと、途端にトーンダウン。
 なーんだ、そりゃそうだよね、でも似てる、ボクはこっちのお姉さんの顔のほうが好き・・・

「リンねーちゃんも映画、観たの?」
 ユタカくんが驚いたお顔で尋ねます。

「ううん。仕事が忙しくてまだだけど、アタシがニチアサ好きなのは知ってるでしょ?」
「ちょっと雑誌やネットで情報集めれば、劇場版のヒロインの衣装なんてすぐわかるから、ちょちょいと作ってみたんだ」
 再び、すげえ、カッコいい、と小学生軍団から尊敬の眼差しを集めるセンパイ。

 どうやら私は、今日ユタカくんたちが観てきた映画に出ていた、ミコトさん、という役名の人のコスプレをさせられたみたいです。
 それなら私の呼び名も今日はずっと、ミコトさん、でいいかな。

「それで、・・・」
 もったいぶるように不自然な間を取った凛子センパイが、お芝居がかったおもねるような口調でつづけました。

「このお姉さんならね、頼めばいつでも、ハダカ見せてくれるんだよ」

 ここで、このお話の冒頭の場面に戻るわけです。

 男の子たちは一瞬たじろいだようなご様子でしたが、4人でお互いお顔を見合わせたかと思うと、みるみるうちに瞳が爛々と輝き始めました。

「ユタカたちは今日、このお姉さんと何をするためにここに来たんだっけ?」
「お医者さんごっこー!」
 センパイの問い掛けに一斉のお答。

「そうでしょ?マンガなんか読んでるヒマは無いはずよ。さっさと始めるから準備を手伝いなさい。まずテーブルの上を片付けて」
「はーいっ!」
 一斉に浮足立つ小学生軍団。

「シンサツシツを作るよ。この椅子が患者さん用ね。それでこっちがお医者さん用。向かい合うようにあそこに置いて」

 背もたれも肘掛も無いバーのカウンターチェアのような丸椅子が患者さん用。
 みなさまが座っていたダイニングテーブル用の普通の椅子がお医者さん用。
 入口ドア上の監視カメラで、患者さんとお医者さんが真横から映るような位置にセッティングされました。
 ということは、患者さんが正面方向から映るような位置にも隠しカメラがあるのでしょうか。

「残りの椅子三つは、看護士っていうか助手の見学用、お医者さんのそばに置いて。あと、このワゴントレイをお医者さんのそばに」
 テキパキとご指示なさる凛子センパイ。

「ワゴンの一番上のトレイに、これの中身を並べておきなさい。あんたたちのためにわざわざネット通販で買って用意してあげたんだから、感謝しなさいよね」
 恩着せがましくおっしゃりつつ、子供たちに紙袋を差し出されるセンパイ。

「わー、何?なにー?」
 我先にと紙袋の中を覗き込む子供たち。

「今でもちゃんと、玩具のお医者さんごっこセットって売ってるんだよね。アタシの頃に比べるとずいぶんデフォルメされて全体に可愛らしくなってるけど」
 センパイが私に、同意を求めるように語りかけてきます。
 
 うわー、すげー、と興奮気味な小学生軍団のお声。
 私の腰の高さくらいなキャスター付きワゴンの一番上、タオルが敷かれたトレイ上に、子供たちの手で次々とお道具が置かれていきます。

 プラスティック製のチープでカラフルな注射器、打診器、危なくないはさみ、カルテとペン、お薬の袋・・・
 懐かしいごっこ用オモチャの数々。

 ただ、その中に混じって、どう見ても本物、と思われる医療用具もありました。
 聴診器、ピンセット、ペンライト、小型の電動マッサージ機、アンテナペン、デジタル体温計・・・

 これらは、里美さまのネットショップの、大人のお医者さんごっこ特集、にも載っていたアイテムでした。
 どうやら里美さまから調達されたみたい。
 さすがに、クスコ氏式膣鏡やコラン氏式舌鉗子とかガラスのお浣腸器など、マニアックな器具は自粛したようですが。

 でも他にも、スースーする塗り薬とガーゼとか鳥の羽の刷毛やらバターナイフとか、私を乱れさせる気満々のラインナップ。
 書道筆とかリコーダーなんて、何のシンサツに使わせる気なのでしょう。
 プラスティック製のオモチャの注射器も、いかにも先っちょをお尻の穴に挿し込みたくなるような形をしています。

 更に更に、ワゴンの2番目のトレイ上を見たとき、凛子センパイの本心がわからなくなりました。
 そこにすでに乗っていたのは、ハンディサイズのビデオカメラ、ありきたりなプラスティック製の紐付き洗濯バサミ5、6個、30センチの木製定規、太さも長さもそれ用にしか見えない民芸こけし、例えば膣内のような狭いところまで侵入可能なファイバースコープカメラケーブル。
 
 私にマゾっぽく振舞うなとおっしゃりながらも、子供たちに私のマゾ性をご披露する気満々なお品揃えに思えました。
 私の衣装や隠しカメラのセッティングも含めてあまりにも準備万端。
 実は今日のこのお医者さんごっこを一番愉しみにしていたのは、凛子センパイなのかもしれません。
 
 凛子センパイがいそいそと、カウチソファの背もたれを倒して平らにされました。
「ここが患者さん用ベッドね。お尻に注射するときは、ここに移動。じゃあ、誰が最初にお医者さんやるか、順番決めちゃいなさい」
 私がお尻に注射を打たれることは、もはや決定事項のようです。

 子供たち4人が興奮気味にじゃんけんを繰り返しているとき、センパイが私に近づいてきました、
 片手には男物っぽい真っ白なワイシャツ、もう片方の手には、ツルの部分が妙に太い黒縁のメガネを持たれていました。

「この伊達メガネ、ミサミサ魔改造で無線で飛ばせるカメラレンズ内蔵してるから、ガキンチョの好奇心旺盛な目線がそのまま、ミサミサのところで録画されるんだ」
 大きなお声でじゃんけんぽんを繰り返す男の子たちを尻目に、ヒソヒソ声で教えてくださいました。

「本当に、いいんですか?」
 いよいよそのときが差し迫り、ずっとモヤモヤ感じていた背徳的な罪悪感が思わず言葉になり、小さな声で凛子センパイに尋ねていました。

「お医者さん役の順番が決まったら、みんなもう一度綺麗に手を洗ってきな。女の子の肌を触るときは、いつも清潔にしなくちゃダメだよ」
 凛子センパイの号令で一斉にキッチンへと雪崩れ込む子供たち。
 それを見てから私に向き直りました。

「何?子供の教育上とかそういうこと?」
 小声でお答えくださいつつ少し怪訝そうなお顔になって、私の右耳に唇を寄せてこられる凛子センパイ。

「女のハダカが見たいっていうガキンチョたちがいて、見せたいっていうヘンタイ女がいる、ってだけのシンプルな話でしょ。需要と供給があって双方がシアワセになれる、いい経験じゃない。愉しめばいいのよ」

 普段私を虐めるときのようなSっ気が滲み出たゾクッとする低めなお声で、センパイが耳打ちしてくださいました。
 そのお言葉で私も覚悟を決めました。

 お医者さん役のトップバッターは、五分刈りヘアのサトーシンイチくんに決まったようです。
「お医者さん役の人は、この白衣とメガネを着けてね」
 凛子センパイがシンイチくんにワイシャツと隠しレンズつきメガネを手渡します。
 いそいそと着込むシンイチくん。

「ちゃんと照れずに、お医者さんに成りきってシンサツするのよ?そのトレイの上の道具はどれ使ってもいいから」
 上から目線で子供たちにご指示を出される凛子センパイ。

「ユタカくんのお姉さんてエラそうで、病院で言うと、おおせんせい、みたいだね」
 一番歳下のマサヒデくんの無邪気なご感想。

「マサヒデ君だっけ、キミよく、おおせんせい、なんて難しい言葉知ってるねえ?」
 センパイがニコニコしながらマサヒデくんに語りかけます。

「うん、ボクとシンイチにーちゃんは、お母さんのお見舞いでよく病院へ行くから、お医者さんのことは詳しいんだ。お母さんを診てくれているのは、おおせんせいっていう、そこの病院で一番エラいおじーちゃん先生だから、ボクたちも安心なんだ」
 すごく得意気にご説明されるマサヒデくん。

「ふーん。そういうことならアタシは、この大沢病院の大先生の役をやるから、みんなおおせんせいの言うことはよく聞くこと。わかった?」
「はーいっ!」
 クロゼットから出してきたもう一枚の白ワイシャツをロングTシャツの上に羽織った凛子大先生に、小学生軍団の元気良いお返事。

「それではシンちゃん先生、シンサツを始めてください。患者さんは、池袋の会社に勤める21歳のOLさん、アメノミコトさんです。ミコトさんはこちらへ座ってください」
 凛子大先生に促され、丸椅子に浅く腰掛けました。

「今日はどうしました?どこか痛いところがありますか?」
 五分刈りヘアの丸顔に黒縁伊達メガネをかけ、ブカブカの白ワイシャツを羽織ったシンイチ先生が、首に掛けた本物の聴診器を物珍しげにもてあそびながら尋ねてきました。

「あ、はい・・・よろしくお願いします・・・あの、今朝からこのへんと、このへんがジンジンと痛くて・・・」
 半分本気半分演技なモジモジ具合でからだをくねらせつつ、自分のおっぱいの辺りと下腹部を押さえる私。

 シンイチ先生の背後に並んだ椅子には、他のお三かたが身を乗り出すようにして、私を見つめています。
 その後ろに、いつの間にか先生と同じような伊達メガネをかけた凛子大先生が仁王立ちで腕組みをして、ニヤニヤ私を見つめてきます。

「わかりました。ではちょっと診てみますので、服を脱いでもらえますか?」
 少し上ずったような、シンイチ先生のお声。
 聴診器の肌に当てる部分をしきりに指先で弄っています。

「はい・・・わかりました・・・」
 お答えして立ち上がり、まずジャケットのボタンを外し両腕を抜きました。
 脱いだ上着は、これまたいつの間にか傍に来ていた凛子大先生の手が回収してくださいます。

 ジャケットの下は白のタンクトップ風ノースリーブ。
 剥き出しの両肩と胸の谷間寸前までえぐれた胸元。
 子供たち全員が中腰に立ち上がりググッと前のめりになってくるのがわかります。

「上着の下も映画と同じだ・・・」
 どなたかがつぶやくお声が聞こえました。

 隠しジッパーに指をかけ、ジジジっと下ろすごとに子供たちの前のめり具合が激しくなり・・・
 ハラリと割れた白い布地の隙間から、私のおっぱいの谷間と白いブラジャーの布地が見え始めました。


夏休み自由研究観察会 04


2017年8月6日

夏休み自由研究観察会 02

「当日は、ミサさま、あ、いえ、美咲センパイも凛子センパイのお家に来られるのですか?」
 自分のスケベなおツユと若干のおシオで汚してしまった床を全裸で雑巾がけしながら、ふと気になって、開発ルームに戻られようとされていたミサさまのお背中にお尋ねしました。

「ボクはガキンチョ苦手だからパス。その日は一日部屋に篭って、パソコンとにらめっこしているつもり」
 立ち止まって振り向かれたミサさまが、小さな笑みを浮かべておっしゃいました。

「撮り溜めた直子のビデオの編集もしなくちゃだし。こないだの絵理奈のパーティで撮った映像も手つかずだから。チーフに、早く見せて、って、せっつかれてるんだ」
 サラっと怖いことをおっしゃるミサさま。
 その後に、ニッと謎のような微笑を付け加えられ、社長室から出て行かれました。

 そして当日。
 朝から太陽ギンギラギンな思いっきりの猛暑日でした。

 待ち合わせは、オフィスのあるビル群の麓にあるホテル入口付近に午後一時。
 もっとも暑い盛りと言ってもいい時間帯でしたが、夏休み中の日曜日でもあるので周辺は大賑わい。
 陽射しの当たらない柱の陰に立ち、キャペリンハットの広いツバ越しに、通りを行き交う人たちの中から凛子センパイのお姿を探します。

 その日の私の服装は、ギャザー少なめ大人しめな白の前開きシャツブラウスと、淡いグレーの膝丈チュールスカート。
 凛子センパイが、教育実習で小学校に来た女子大生先生、とおっしゃっていたので、そのイメージでコーディネートしてみました。

 足元は、暑いのでソックス無しの素足に少しヒール高めなリボンミュール。
 首には細めな白のエナメルチョーカー、頭に白のキャペリンハット、お財布や鍵を入れた肩掛けポシェットと、全体に夏らしく白っぽくまとめてみました。

 下着類はお約束通り、金曜日に凛子センパイが手渡してくださいました。
 白無地の3/4カップブラと綿100ノーマルショーツのセット。
 学生の頃、それも中学生の頃によく身に着けていたような記憶のある、いたってありふれて健全な女子用下着たち。

 身に着けたとき、こんなにしっかり胸周りと腰周りを下着で覆ったのって何年ぶりだろう?なんて、懐かしい着心地に感動してしまいました。
 ただし、さすがは凛子センパイ、ショーツのクロッチの二重補強してある布部分は、見事に剥がされ薄くなっていましたが。

 そんな姿でキョロキョロ周りを見渡していると1時きっかり、目の前の通りにちっちゃめな四角いピンク色の車が停まりました。
 ドアが開いて降り立った、鮮やかなグリーン地に外国の有名なアニメキャラのお顔を大きくあしらったビッグTシャツ姿の凛子さま。
 舗道のほうを見渡すようにしているのを見て、あわてて駆け寄りました。

「おお、いたいた。今日はあっちーねえ。さ、乗って乗って」
「凛子さ、あ、いえ、センパイって、お車、持ってらしたのですね?」
「うん。チーフみたいに凄いのじゃなくて、軽だけどね」
 助手席のドアを開けてくださり、乗り込みます。

「待ち合わせはホテルの前っておっしゃられたので、てっきりタクシーで行かれるおつもりなんだな、って思い込んでいました。それか地下鉄か」
「コスプレ趣味ってさ、意外と大きな荷物運ぶこと多いんよ。布の買い出しとかコスプレ会場とかにさ。だから無理して二年前に買っちゃった」
 スーッと滑り出したお車は、ビルをグルっと一周りして大きな通りに出ました。

「それにしても直子、気合入ってるじゃん。高原のお嬢様帽子までかぶっちゃって。すごく似合ってる」
「あ、いえ、センパイが、清楚風お淑やか、っておっしゃったので、考えてそれなりに・・・」
「うん、どっからどう見ても充分清楚な良家のご令嬢よ。それ見たらユタカのヤツ、大喜びしちゃいそう」
 お車はすぐに大通りを外れ、住宅街の細い道に入りました。

「だからくれぐれも、ヘンタイマゾな素振りは見せないでよね。アタシ、自分の甥っ子を思春期前からそんなものに目覚めさせたくないから」
「今日の直子は、煩悩に迷う子羊たちを正しい道へと導く女神様の役回り。ガキンチョのイタズラで溜まったムラムラは明日、アタシたちがオフィスでぜーんぶ、解消してあげるから」
 からかうようにおっしゃる凛子センパイ運転のお車は、細い路地をくねくねと器用に曲がりながら進んでいきます。

 車内には低く、ここ数年の深夜アニメのオープニングやエンディングテーマ曲がランダムに流れつづけています。
 ときどき一緒に小さく口ずさむ凛子センパイ。
 照りつける陽射しが嘘のような、エアコンのよく効いた快適な車内。

「それにしても、最近は小学4年生くらいで、お友達同士で電車に乗って繁華街に映画を観に行ったりするのですね?4年生って10歳か9歳くらいですよね?」
 私が凛子センパイのお話を聞いて、素朴に驚いたことを口にしてみました。

「ユタカんちから池袋まで急行に乗れば10分ちょっとくらいだしね。それに今、電車に乗って塾通いなんて私学受験志望なら小3くらいからザラらしいよ」
 リラックスしきったご様子でハンドルを握られている凛子センパイ。

「まあ、学校的には保護者同伴なしで学区外に遊びに出るのは禁止なんだろうけど、夏休みに親戚の家に子供たちだけで遊びに行く、なんてのはよくあることじゃん」
「あと、ユタカは男の子だから。義姉さんも、ユーコちゃんにはまだ、女子だけでの遠出は許してないってさ」

 センパイのお話に相槌を打ちながら、私が初めてひとりで電車に乗ったのは、中一になってからのバレエ教室通いだったなー、なんて懐かしく思い出していました。

「それにさ、夫婦的にも休日に子供がどこか行ってくれると好都合なのよ。今日はユーコちゃんも近所の友達とお泊まり会らしいし」
「子供が大きくなっちゃうと、メイクラヴのチャンスがグンと減っちゃうらしいからねー」

「今日は久しぶりに夫婦水入らずでドライブでもして、昔よく行っていたラブホで恋人気分に浸るの、なんて義姉さんウキウキで言ってた。コスプレえっちでもする気なんじゃないかな」
「ひょっとしたらユタカに歳の離れた弟か妹がデキちゃったりしてね」
 なかなか生々しいお話を、サラッとされる凛子センパイ。

 お車は大小のお店が立ち並ぶ商店街に入っていました。
 路地をひとつ曲がり、小さな空き地みたいな一画に進入、サクッと綺麗に駐車されました。

「はい、着いたよ」
「えっ!?もうですか?」
 走り出してからまだ10分も経っていません。

「あれ?直子、アタシんちがどこか知らなかったっけ?」
「あ、はい。部室に泊まり込んでいらっしゃることが多いから、たぶんご自宅はずいぶん遠いのだろうと、勝手に思い込んでいました」
「あはは、仕事が立て込んでるときは、いくら近くても、そんな通勤時間さえもったいなく思えちゃうんだよね」

「ここは、どの辺りなのですか?」
「JRで言うと池袋のひとつ隣、北口改札を出て徒歩三、四分、ってところかな」
 ご愉快そうにお答えくださる凛子センパイ。

「オフィスからでも20分も歩けば帰れる距離だけど、仕事モードのときはオフィスと部室のほうが居心地いいんだよね。いつもミサミサと一緒だし」
 一瞬、照れたようなお顔になりました。

「ここからちょこっと歩くよ。うちのマンション、駐車場無いから。ここを月極で借りてるんだ」
 お車のドアを開けた途端、容赦の無い陽射しと猛暑がムワッと襲いかかってきました。

 路地を出るとまた商店街。
 飲食店が多いようですが、日曜日のせいか、まだランチタイムなのに閉まっているお店が目立ちます。
 少し歩くと左側にコンビニエンスストア。
 スタスタとご入店される凛子センパイ。

 ペットボトルのジュースや袋のお菓子、アイスなどを適当にお買いになって店外へ。
 そのままコンビニの敷地内を裏手のほうへと向かわれます。

「えっ?」
「ここがアタシんち。このコンビニの上、4階建ての3階301号室」
 コンビニの裏側に建物全体のエントランスらしきゲートがあり、郵便受けが6つ並んでいました。
 そこから屋外階段が建物の側面を上へ上へとジグザグに伸びています。

「4階建てだからかエレベーター付いてないんだよね。悪いけど3階まで自力で上がって」
 凛子センパイのお背中を追って階段を昇っていきます。
 ロングTシャツの裾からデニムのショートパンツが覗き、その下のスラッとしたお御足が陽射しにキラキラ汗ばんでいます。

 3階までたどり着くと、胸高のフェンスに覆われた外廊下。
 廊下を3、4歩歩いた左側に、301 OOSAWAと記されたネームプレートを貼り付けたドアがありました。
 カードキーらしく、センパイがカードをかざすとカチャンとかすかな音。

「到着ー。入って入って」
 内開きドアの中で手招きされる凛子センパイに促され、おじゃましまーす。

 エアコンを点けっ放しにしておいてくださったようで、入るなりひんやり生き返りました。
 沓脱ぎの先に短かい廊下があって、その正面に開けっ放しのドア。
 そのドアの向こうには、意外に奥行きのあるリビングダイニングが広がっていました。

「いやあ、うちに誰か招くのなんて久しぶりだからさ、散らかし放題だったから昨日は片付けでてんやわんやだよ。適当にその辺に座って汗拭いてて」
 ウエットティッシュのボトルと冷たいお紅茶の缶を手渡してくださり、ご自分は買ってきた飲み物やアイスをテキパキと冷蔵庫に仕舞われる凛子センパイ。

「うち、エロマンガやエロゲーとか着エロ写真集とか普通にあちこち転がってるからさ、そういうのひとまとめにして寝室に突っ込んだり」

 確かに壁一面のブックシェルフには、凄い数のコミック本やゲームソフト、CD、DVDなどが整然と並んでいるのですが、ところどころ不自然に隙間が空いて、ぬいぐるみや箱入りのフィギュアがその隙間を埋めています。
 お部屋の片隅に、お仕事道具である小型のミシンやトルソーの類がひとまとめに集められているのも、今のお部屋の状態がイレギュラーであることを物語っているようです。

「ユタカたちがこの部屋に来ると、帰りたがらないんだよね。ゲームだマンガだ、って何時間だって遊んでいたいって」
 大きな壁掛け型ディスプレイの周りには、さまざまなゲームハードがラックに収められ、その横のラックには、ゲームショップ?と勘違いしちゃいそうなほどのゲームソフトの数々。
 そういうのがお好きな子供たちにとってここは、まさに夢の国みたいなものなのでしょう。

 そんなお部屋を見て私は、中学からのお友達、しーちゃんのお部屋を思い出していました。
 彼女のお部屋にも、凄い数のマンガがあって・・・

 その後のしーちゃんとの個人的なおつきあいで起こったビタースイートなあれこれまで急に思い出し、なんだか感傷的になってきました。
 私、あれからずいぶん遠いところまできちゃったかな・・・
 いけないいけない、と軽く首を振ったら、さっき、ふと目に入って気になっていたことを思い出しました。

「そう言えばさっき、1階の入口のところの郵便受けで、センパイのお隣の郵便受けの名札がローマ字でKOMORIって書いてあったような気がしたんですけれど・・・」

「さすが秘書課の直子、目ざといねえ」
 お片付けが一段落したらしいセンパイが、缶コーラとポテチの袋を片手に、私が座っていたダイニングテーブルの向かいの席に、どっこいしょっとお尻を落ち着けました。

「ミサミサもここに住んでるよ。もちろん別々にね。ミサミサが先に住んでて、空き部屋出たからってアタシが越してきた。かれこれ三年前かな」
 お箸でポテチをつまみつつ、私にも割り箸を差し出してくださるセンパイ。

「直子、お昼は?」
「あ、お家で食べてきました。バナナとヨーグルト」
「ポテチは?」
「あ、いただきます」
 手が油で汚れるからとスナック菓子をお箸でいただく人がいる、というのは聞いてはいましたが、自分もすることになるとは思いませんでした。

「だから昨日はミサミサもてんてこ舞い。出たり入ったりドッタンバッタン大騒ぎ」
 おっしゃりながら意味ありげに天井のほうを見遣る凛子センパイ。
 つられて視線を遣ると・・・

「あーっ!?」
 オフィスの社長室で見慣れている手のひらサイズの球体が、入口ドアの上のところに取り付けてありました。

「うふふ、気がついた?今日の、夏休み!子供のための女体観察会、はね、ミサミサんちにも無線LANでライブ配信されて、ばっちりデジタル録画されることになってるの」
 センパイが、ドッキリを仕掛けて大成功した子供さんのような、無邪気な笑顔でおっしゃいました。

「あそこの他にもこの部屋にあと3箇所、合計4箇所に監視カメラ仕込んだそうだから、お医者さんごっこは、そのレンズに映る位置でやってもらうことになるね」
 センパイのお言葉で、私が今日ここに、何をしにきたかを今更ながらに思い出します。

「今頃ミサミサも自分の部屋でカメラチェックに余念が無いはずよ。あの子、真夏はハーフ裸族だから、素肌にスク水でも着て直子の姿を見つめてるはず」
「ほら、カメラに向かって手振って。録画、よろしくお願いしまーす、って」
 からかうようにおっしゃるセンパイのお言葉に従い、まあるいレンズに向けて手を振って一礼しました。

 リビングルームの向こう端は、ベランダに出るために大きく取られたカーテン全開の素通しガラス窓。
 ベランダ越しに射し込む盛夏の眩し過ぎるくらいの陽射し。
 
 そんな昼下がりの明るいお部屋で、私はこれから見知らぬ小学生たちを前にして、ひとり裸身を晒すんだ・・・
 そしてその模様はすべて録画され、お姉さまに、いいえ、多分オフィスのみなさま全員に鑑賞されちゃうんだ・・・
 抑え込んでいるマゾ性が、ムクムクと鎌首をもたげてきてしまいます。

「そ、そう言えば、お部屋の壁の木枠のところとかドアの上とかに、やたらとパイプみたいな鉄?の棒がカーテンレールみたいに取り付けてありますけれど、あれは何の為なのですか?」
 これ以上マゾ的なことを考えていると、折角の健全下着を早々と汚してしまいそうなので、気を逸らすために、お部屋中を見渡したとき気がついたことお尋ねしました。

「ああ、あれはハンガーレール。急ぎの仕事とか急な仕事のときは、ここで作業することもあるんだ。それで複数アイテムを同時進行するのに仮縫い途中の私物アイテムとか一々クロゼット開けて吊るすのめんどいじゃない?たたむとシワになっちゃうし」
「それで、やりかけ仕事を手っ取り早く吊るすために、そこいら中に取り付けていたらこうなっちゃった」

「こないだのイベント前なんて、ちょうど間近のコスプレイベントとも重なっちゃって、公私のやりかけ衣装で窓が見えないくらいだったよ」
「今も夏イベ用やりかけ衣装がけっこうあるんだけど、今日はそれも全部、寝室に押し込んじゃった」
 自嘲気味にお答えくださる凛子センパイ。

 私の場合、同じような鉄パイプ類が自分の家の洗濯物干し用サンルーム、通称お仕置き部屋にあって、自分を虐めるときに片足を高く上げたままの拘束を固定したり、股縄渡りの両端の固定のお道具として使っているので、どうしても、そういうイメージで淫靡なほうに想像してしまうのです。
 でも今日は、マゾ要素禁止、ですから、おそらくそういう使い方はしないはず。
 それがホッとするような、残念なような・・・

 そんないやらしいことを私が考えているのを知ってか知らずか、凛子センパイが唐突におっしゃいました。
「やっぱりアタシが用意した衣装に着替えて貰おうかな。まだ時間大丈夫そうだし」

 ご自身の腕時計を見た後、傍らのショッパーをガサゴソし始めたセンパイ。
「映画が一時ちょっと過ぎに終わって、昼ごはん食べてからこっちに向かうって言ってたから、ここに着くのは多分2時過ぎくらい」
「まだ20分くらいあるし、サクっと着替えちゃってくれる?」
 テーブルの上に、真っ白なファンシーぽい衣装が広げられました。

「今日の直子の私服も充分清楚でいいんだけど、こっちを着たほうがガキンチョたちの反応が面白そうなんだよね」
「大急ぎて作ったわりには雰囲気出てるはず。直子も図ったように白いチョーカー着けてきてくれたし」
「ほら、着替えなさい。もちろんカメラの前で」

 センパイに顎で促され、立ち上がってドア前のカメラに映りそうな場所に立ちました。
 ブラウスのボタンを外し、スカートのホックを外し、あっという間に健全純白ブラジャーアンドショーツ姿。

「直子のそういう真っ当な下着姿って、かなりレアだよね。熟女のセーラー服姿と一緒で、一周回って屈折した卑猥さみたいのがあって、却ってエロくない?」
 カメラの向こうの美咲センパイに語りかけているような、凛子センパイの冷やかし交じりなご感想。
 私も、妙な恥ずかしさを感じているのは事実で、ショーツの突端がシミちゃいそう。

 渡された衣装はいずれも純白で、シフォンぽいというかチュールっぽいというか、薄い布地を何枚も縫い重ねて作ったようなフワフワな質感でした。

 インナーは、キャミソールっぽいノースリーブで、胸元もブラが完全に隠れるくらい浅く、透け感も無いお上品なタンクトップ風、隠れジッパーの前開き。
 ボトムはレースフリルモコモコな膝上ミニスカート。
 そこに二、三折まくった袖口にだけ淡いピンクの入ったブレザー風のフリルフリフリジャケットを合わせ、最後に純白フィッシュネットのニーハイストッキング。
 全体的には、どこかのブリっ子アイドルさんのライヴステージ衣装、といったいでたちになりました。

「むちゃくちゃ可愛いじゃん、ガチ似合ってる。その格好でソーセンキョ出れば、ラクショーでセンター穫れるレベル」
 巷で話題の大所帯某アイドルグループの名前を挙げて、煽ててくださる凛子センパイ。

 ピンポーン!
 そのときチャイムが鳴りました。

「あ、来たみたい。直子は、さっきの椅子に澄まして座ってて」
 スタスタと玄関に急ぐ凛子センパイ。
 ふと見回すと、私が脱いだお洋服一式は、帽子も含めてすべて、何処ともなく跡形もなく消え失せていました。

 バタンとドアが開く音ともに、お子様たち特有の甲高いお声がワイワイ聞こえてきました。

「あっちーっ!」
「うわっ、すずしーっ!」
「おじゃましまーっす!」
「おじゃまされまーっす!」

「あんたたち、汗ビッショビショじゃない!?ってあれ、ふたりじゃないのっ?えっ?4人も来たの?」
「ああ、ミツルがシンちゃんに今日のこと教えちゃってさ。それでシンちゃんがどうしても来たいって言って、仕方ないからマサヒデも連れてきた」
 
 ガヤガヤ賑やかにリビングへと入ってこられた小学生軍団。
 私も座ったままそちらに顔を向け、ニッコリ笑って、こんにちはー、と声をかけました。

 途端にピタッと静まりかえる室内。
 4人が4人共、私のほうをまじまじと見つめ、やがてコソコソと仲間内で耳打ちし始めました。

「・・・ミーコじゃない?」
「だよね・・・」
「まさか・・・」
「・・・でもそっくり」
「・・・本物?」
 そんなヒソヒソ声が聞こえてきます。

「ほらほらあんたたち、そんな汗ビッショでエアコンあたったら風邪引いちゃうよ?タオル貸してあげるから、お風呂場で上半身だけでも水シャワーしてきな。ユタカ、案内してあげて。うちのシャワーの使い方、わかるよね?」
 クロゼットからバスタオルを何枚か出しながら、凛子センパイが母親のような口調で指示されます。

「うんっ!」
 おのおのタオルを受け取った小学生軍団、ドタドタと入ってきたドアへと引き返し、私の視界から消えました。

「4人も来るなんて聞いてないわよ、まったく。早くも計画が狂っちゃったじゃない。やれやれ、これだからガキンチョは・・・」
 私の対面の椅子に座り込んで、心底うんざりしたお顔をお見せになる凛子センパイ。

「ジュースやお菓子が足りなくなりそうだから、ひとっ走り下のコンビニで調達してくるわ」
 不意に立ち上がられたセンパイが玄関に向かいながらおっしゃいました。

「どうせヤツラは15分くらいお風呂場から出てこないと思うから、そこでマンガでも読んでて」
「あ、はい。行ってらっしゃい・・・」

 唐突に男子小学生4人しかいないお部屋にポツンとひとり取り残され、これからすることの不道徳さにあらためて思い至った私は、急激にドキドキし始めていました。


夏休み自由研究観察会 03