2016年9月4日

オートクチュールのはずなのに 56

 ほのかさまからリンコさまへと手渡されたのは、さっきと同じようなCストリングの形状をしていました。
 ただ、内側に何やら怪しげな突起が付いていました。
 それもふたつも。

「今度のアイテムはね、ちょっとえげつないんだ。でも、小夜ちんみたいなマゾッ娘にこそお似合いだと思う」
「絵理奈さんと穴の距離が微妙に違うとか言って、アヤ姉が急遽、微調整したらしいよ」
 リンコさまがイタズラっぽく笑って、その突起部分を私の目の前に突き出しました。

 手前には、大きめのローターをふたつ重ねたような赤い突起。
 後方には、丸っこくくびれた円錐型の、まさしくアナルプラグ然とした形状の突起。
 それらが、弓なりに反り返ったレザー製らしき真っ赤なCストリングの裏側に取り付けられていました。

 見た途端に理解しました。
「これを・・・い、挿れるのですか?」
「そう。挟むだけのCストより、外れちゃう可能性が格段に低くなるってわけ」
 とても愉しそうなお顔のリンコさま。

「本場のサンバカーニバル衣装でも、激しい動きで落ちちゃわないように、同じような細工しているのが普通にあるんだ」
「この突起はあくまでもストッパーとしての役目で、決して気持ち良くなるためのものではないんだから、そこ、間違えないでよ?」

 からかうようにおっしゃったリンコさまが、そのCストリングを私の目前からサッと引っ込めてほのかさまに戻しました。

「て言っても、今から穿かせちゃうと小夜ちん、ステージ出るまでに絶対どんどんサカッちゃいそうだから、これは最後。先にアクセ類つけちゃおう」

 リンコさまの号令で、しほりさまに左手を取られ、ほのかさまは私の足元にひざまずかれました。
 突起付きCストリングと同じ素材、色合いのベルト式な手枷と足枷が、おふたりの手で手際よく私の両手足に装着されました。

「このアイテムのコンセプトは、ずばり、ボンデージスレイブ、囚われのセイドレイ、なんだけど、モデルが小夜ちんになったから、ずいぶんとエスカレートしちゃったみたい」
「絵理奈さんのままだったら、ここまで本格的にヘンタイ仕様じゃなかったんだけどね。恨むならチーフを恨みなさい」
 背後に回ってベルト状の赤い首輪を私の首に巻きつけながら、リンコさまが私の右耳にささやきました。

「バストも、絵理奈さんだったら普通のパスティース貼るだけだったんだけど、チーフがこんなもの持ち出してきて」
 リンコさまの手のひらに、私の乳輪ギリギリくらいの、真っ赤なハート型パスティースがふたつ乗っていました。

「これはね、貼り付けるんじゃなくて、ニップルを挟んで固定するの」
 リンコさまがひとつのパスティースを裏返すと、バストトップにフィットするように曲線を描いた内側に、見た瞬間に仕組みがわかる金具が付いていました。

「ホフマン式ピンチコックっていう、化学の実験とかで使う器具があるんだけれど、その応用。本来は、このバーのあいだにゴム菅を挟んで、気体や液体の流れをコントロールするための装置なんだってさ」

 2センチ四方くらいの正方形のスチール枠の一辺がネジ式で可動するようになっていて、その枠内に挟んだものを締め付け出来るような仕組み。
 つまりはイヤリングで耳たぶを挟むのと同じ仕組みが大げさになった感じです。

「あの子、こういうの大好きだから、きっと大悦びするはず、ってチーフが言ってたってさ」
 ひとつを手渡されました。
「ほら、自分で乳首に嵌めて、ネジで落ちないように締め付けなさい」
「あ、はい・・・」

 左おっぱいにあてがいました。
 熱を持った乳頭に金具がひんやり。
 枠の上部分を乳首の根本まで押し付けて、ハート型のお尻部分から覗いているネジを締めていきます。
 やがて下枠の部分が乳首の下まで到達し、そこからは乳首が締め上げられるばかり。

「ああんっ」
 いくら尖ってもずっとほったらかしにされていた私の乳首が、久々にかまってもらえた嬉しさでわななき、思わずはしたない声となって零れてしまいました。

「途中で落ちないように、ぎゅうっと締めること。チーフの話じゃ、洗濯バサミ大好きらしいじゃん」
「小夜さん、乳首大きめだから、挟み甲斐がありそうね」
「ほら、顔がエロくなってるよ。いやらしいことは考えないで、ポーカーフェイス、でしょ?」

 左手でおっぱいを押さえつつ右手でネジを回す私を、リンコさまとしほりさまが口々にからかってきます。
 二枚の細い金属板に上下から挟まれ絞られた乳首のもたらす疼痛が、ジーンと全身を駆けまわります。

「そっちもちゃっちゃと着けちゃって」
「あ、はい・・・」
 同じ要領で右乳首にもハートをかぶせました。

 両乳首がもたらす疼痛がYの字状に下半身へと流れこみ、性器から全身へとジワジワ疼きが広がっていきます。
 これまでに蓄積されてきた、恥ずかしい姿をみなさまに視姦されるという精神的な快楽に、乳首責めという肉体的刺激まで加わったことで、発情のレベルが一気に上がってしまったようでした。
 もっと虐めて、もっと痛い思いをさせて、という欲求だけがどんどん膨らんでいました。

「落ちないようにちゃんと着けた?ちょっとそこでおっぱい揺らしてみてよ」
 リンコさまのイジワルなご命令。
「はい・・・」

 完全に言いなりマゾモードな私は素直にその場で、ラジオ体操の腰をひねる運動のように、上半身を左右に大きく振りました。
 剥き出しのおっぱいがでたらめにブルンブルン揺れると、鎮まりかけていた両乳首からの疼痛が息を吹き返しました。
「あぁ、うぅ」
 思わず洩れたいやらしいため息に向けられた、蔑むようなリンコさまの冷ややかな笑み。

「おっけー。あとはチェーンを繋げるだけだから、Cスト穿かせちゃいましょう」
 テーブルに放置されていた突起付きのCストリングをリンコさまが手に取られました。
「そんなにグショグショなら、ローションなんか塗らなくてもすんなり入っちゃうよね?はい。自分で着けて」
 Cストリングを手渡されました。

 みなさまが興味津々なまなざしで見守る中、手前の突起部分をマゾマンコにあてがいます。
 縦長の楕円を二つ重ねた、いびつな逆雪だるまさんのような形の突起部分は、シリコンみたく柔らかい素材なので、蜜に溢れた膣内に難なくズボッと潜り込みました。

「あうぅっ」
 マゾマンコ全体が今か今かと待ち望んでいた異物挿入の瞬間に、粘膜一同の歓喜のざわめきが実際の声となって洩れてしまいます。
 異物の侵入に溢れ出たおツユが、みるみるCストリングの裏側をヌルヌルに汚しました。

「そろそろ紹介映像が終わります。早めにスタンバってください。引き伸ばせて、最大あと3分です」
 里美さまの事務的なお声が聞こえました。

「ほら、早くアナルも嵌めて。リハのとき絵理奈さん、いちいち喘いだりしないで、ひとりで淡々とこなしてたよ?」
「あ、はい・・・」

 左手で股間を押さえ、右手を背後からお尻に持って行き、溢れたおツユをお尻の穴になすりつけます。
 私、みなさまの視ている前でこれから、お尻の穴に異物を挿入しようとしている・・・
 そう考えると恥ずかし過ぎて、あてがった先端を押し込むことに躊躇してしまいます。

「ううん、もう任せてらんない。アタシが挿れてあげるから。お尻突き出しなさい」
 リンコさまが焦れたようにおっしゃり、私の背中をいきなり押さえつけてきました。

「あうっ」
 お尻をリンコさまに向けて突き出した格好で、前屈みになる私。
「ほら、自分で穴、広げてなさい」
 ドエスそのものなリンコさまのご命令口調。
「は、はいぃ」
 両手をお尻の割れスジにあてがい、みなさまの目の前で自らお尻の穴を押し広げる私。

「あ、あの、わたし、このペットボトルをおトイレで処理してきちゃいます。すぐに戻ってきますので」
 あまりにみじめな私の姿にいたたまれなくなったのか、さっき私がしたオシッコボトルを紙袋に入れたほのかさまが、逃げるように楽屋のドアからお外へ飛び出していかれました。

「たまほのには、ちょっと刺激が強すぎたみたいね」
 傍らのしほりさまへ向けたのでしょう、リンコさまのバツの悪そうなつぶやきが聞こえました。
 と思う間もなく、お尻の穴にひんやりとした感触。

「んぐぅっ」
「力抜いてないと苦しいよ?」

 ヌルっとした感触が徐々にお尻の穴に埋まっていく感触。
 前に埋まっている突起との相乗効果で、下腹部の粘膜全体が心地よく圧迫されてきます。
「あぁうぅぅ」
 押し殺そうとしてもこらえきれない悦びの喘ぎ。

「おーけー。ずいぶんすんなり入っちゃった。普段から使い込んでるんだねえ」
 リンコさまのからかいが、的を射過ぎていて恥ずかし過ぎます。
 
 ゆっくりとからだを起こしました。
 体内に潜り込んだ異物がからだの動きに合わせて粘膜を擦るのがわかります。
 二穴蹂躙。
 えっちなビデオのタイトルか何かで見たことのある、そんな卑猥な言葉が頭をよぎりました。

「んぐっ、うぅぅ」
「ほら、スケベな声出してないで、ドアまで行くよ」
 リンコさまに促され、ステージへと出るドア前まで歩きました。

 脚を交互に動かすと、埋め込まれたふたつの異物が膣壁と腸壁を満遍なく圧迫するようにフィットして、思ったより歩きづらくはありません。
 だけど、これからこの状態で、たくさんのお客様がたの前を100歩以上は、歩かなければいけないのです。
 ポーカーフェイスをつらぬいて絶対に気持ち良くはならない、という自信はまったく持てませんでした。

「それで、最後の仕上げね。言っとくけど発案者は、愛しのお姉さまだから」
 リンコさまがからかうようにおっしゃり、両腕を後ろに回され、両手首の拘束具を後ろ手にガチャリと繋がれました。
 首輪にもおへそくらいまでの太くて重いステンレスチェーンをリードのように垂らされます。
 両足首の拘束具も、ちょうど一歩分くらいの長さにチェーンで繋がれました。

「うわー。すっごく似合ってる。さすがに小夜さんのこと知り尽くしたお姉さまのコーディネートね。エロさ満開」
 しほりさまが私の姿を上から下までしげしげと視つめて、おっしゃいました。
 それからふと思い出したように、リップを塗り直してくださいました。

「スタンバイ、お願いします」
 里美さまのお声で、しほりさまがステージへ向かうドアを開きました。

「マゾっ娘コーデの最後の仕上げは、ステージ袖でね」
 リンコさまが後ろ手に何か隠し持った格好で、私をステージ袖の暗がりへ押し出しました。
 思わず右足をグイと踏み出すと両足幅を繋いだ鎖がピンと張り、グラリとよろけてしまいました。
 背後のリンコさまに支えられ、転ばないで済みました。

「普通の歩幅よりチェーンが短かめになっているから、歩幅調整してゆっくり歩いて。その分、お客様にじっくり視てもらえるはず」
「ステージに戻ったらまた、楽屋に戻らず居残って。アヤ姉たちの解説が入るから」
 リンコさまがおっしゃりながら私の正面に回り込みました。

「いろいろ候補はあったみたいよ。普通のボールギャグとかノーズフックとかね」
 後ろ手に隠し持っていたものを見せてくださるリンコさま。
 お姉さまが私のために手に入れてくださった、あのブランドもの乗馬鞭でした。

「これを咥えて、ランウェイを歩くの。ここがちょうど真ん中でバランス取れるから」
 リンコさまが乗馬鞭の柄の真ん中あたりを人差し指に乗せて、やじろべえみたいにユラユラさせています。

「火の点いた太いローソクを咥えさせて蝋をダラダラ肌に垂らしながら、っていう案もあったらしいけれど、万が一ウイッグに燃え移ったり、絨毯に落としたりしたら危ないしね。消防法にもひっかかりそうだし」
「いろいろ悩んで、これを咥えさせるのが一番アナタらしいって、考えたみたいよ、アナタの愛しいお姉さまは」
 からかうな笑顔がすぐに引っ込み、真顔に戻ったリンコさま。

「口開けて」
 恐る恐る開けた口に乗馬鞭の柄が押し込まれました。

「一度咥えたら、ランウェイ往復して帰ってくるまで、絶対落としちゃだめよ」
 そこまでおっしゃって意味ありげにお言葉を切ったリンコさまが、ゾクッとするほど冷ややかな笑みを一瞬浮かべられ、こうつづけました。
「たとえどんなことが起こっても、ね」

 咥えさせられた乗馬鞭の柄は、思ったよりも弾力があり、左右の糸切り歯がやんわり食い込んでいる感じ。
 顔の左側にベロ部分、右側にグリップ部分。
 鞭自体は軽いので、落とす心配は無さそう。
 でも、口が半開きのままになるから・・・

「よだれなら、どんどん垂らしていいってさ。上の口も、もちろん下の口からもね」
 私の心を見透かしたようなリンコさまのお声が終わるか終わらないかのタイミングで、場内のBGMが変わりました。

 ホラー映画のサントラ盤みたいな、物悲しくも重厚な曲。
 一瞬にしておどろどろしい雰囲気に変わりました。
 場内の灯りも一斉に消え、真っ暗。
 やがてピンスポットがステージ上の、私が出るべき位置だけを丸く照らし出しました。

「お待たせいたいました。それではどうぞじっくりと、ご覧になってください」
 雅部長さまのお芝居がかった綺麗なお声が響き渡り、つづいて盛大な拍手。
 その中を私は、ゆっくりと光の輪の中へと歩を進めました。

「おおおぉぉ」
 光の中に入った途端、会場全体が大きくどよめきました。

 からだの首と名のつく箇所すべてに赤いレザーの拘束具を着けられた、パスティースにCストリングだけの裸体が浮かび上がったのでしょう。
 両手は後ろ手に繋がれ、両足も囚人のようにチェーンで繋がれ、首元からもペットのように鎖を垂らし、自分を痛めつけるための乗馬鞭を自分で咥えた哀れなマゾ女。
 
 スポットライトが私を焦らすかのように、とてもゆっくりとランウェイに導いてくれます。
 ライトから外れるわけにはいかないので、その動きに合わせてゆっくり歩かなければなりません。
 こんな恰好なのに、努めて無表情に。

 首から垂れたチェーンが揺れて横乳を愛撫します。
 足首を繋いだチェーンがジャラジャラと音を立てます。
 鞭を咥えた唇からはよだれが垂れ始め、首筋からおっぱいへと滑り落ちています。

 ランウェイに降りると、ライトの動きはますます遅くなりました。
 一歩進んでは立ち止まるような、周辺のお客様がたに存分に見せつけるようなペースになりました。

 このアイテムの破廉恥な仕組みは当然、私の登場前に綾音さまが、お客様がたにご説明されているでしょう。
 つまり、ここにいるみなさまは全員、今私がどんな状態なのかをご存知なのです。

 パスティースの裏で私のふたつの乳首がネジでギュッと締め付けられていることも。
 Cストリングの裏で私のふたつの穴が卑猥な突起に蹂躙されていることも。

 パスティースのハート型のお尻からは、締め付けるためのネジが2センチくらい覗いていました。
 Cストリングと肌の隙間からは、溢れ出た粘性のおツユがトロトロと内腿をつたっていました。
 
 今私は、自分の性的に敏感な箇所すべてを陵辱されながら歩いている姿を、そうと知っているみなさまにご披露しているのです。
 それは、自分が普段人知れずしているオナニー姿をみなさまに晒しているのとほとんど同じことだと気づき、その恥辱に性懲りもなく更に昂ります。

 リンコさまは、Cストリングの突起を、あくまでもストッパーとしての役目で、決して気持ち良くなるためのものではない、とおっしゃいましたが、それは嘘でした。
 
 きっとそういうふうに設計された形状なのでしょう、
 歩いているうちにマゾマンコに埋められたほうの突起がどんどん奥へと侵入してきて、脚を動かすたびにより奥へ奥へと突かれる感覚がしていました。

 あっ、あっ、んっ・・・これ、気持ちいい・・・
 表情に出さないように努めながらも、どうしても股間の快感に眉間が寄ってしまいそうになってしまいます。

 お客様がたはシンと静まり返り、誰もがスポットライトの中の私の姿を食い入るように凝視しているのがわかりました。
 すすり泣くような物悲しいストリングスのBGMだけが場内に鳴り響いています。
 まるでヨーロッパ中世の古びたお城かどこかに拉致されて、生け贄とか奴隷とか、余興の慰みの見世物にされている気分でした。
 私の中の被虐メーターが振り切れそう。
 
 ランウェイを半分くらいまで進んだところで、今までになく深い所を突かれ、たまらずキュンと膣壁が突起を強く締め付けたのがわかりました。

「ぁんんっ・・・」
 同時に頭の中に真っ白な火花が散り、腰から砕け落ちそうになりました。


オートクチュールのはずなのに 57


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