2023年4月23日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 14

 橋本さまと連れ立ってお店の外に出ると、お店脇の柱にもたれて五十嵐さまがスマホとにらめっこ。
 足元にはそれなりに大きなお買い物袋が置かれています。

「ああ、戻ったんだ。意外に時間かかっちゃったね。ひとまず車に急ごう」

 お買い物袋を拾い上げるとスタスタと来た道を急がれる五十嵐さま。
 私も黒いレジ袋を片手に後につづき、橋本さまもメガネを外してつづかれます。

 来たときより明らかに多くの人たちがすれ違いざまに私の首輪に目を留め、二度見してくるかたもいらっしゃいました。
 裾が割れてしまうのを黒いレジ袋で隠すようにして、急がれる五十嵐さまに小走りでついていきます。

 やがて広い駐車場へと入り、駐車されているお車の間を縫うように進み、橋本さまのお車へ。
 着いたときよりも駐車されているお車の数がグンと増えていました。
 ミニバンはフードコート側に近い一方通行順路際の一画に駐めてあります。

「もう一時半近いから、約束の集合時間まで二十分くらいしかないじゃない!」

 橋本さまは運転席へ、私たちはスライドドアから後部座席へ。
 お荷物をお車に乗せホッと一息も束の間、五十嵐さまの焦ったお声。

「ロケハンして車動かしている暇無さそうだから、ここから盗撮するしかなさそうね」

 助手席側の窓を指さされる五十嵐さま。
 そちら側の窓からは遮るもの無く駐車場順路のアスファルトが見え、その向こう側はショッピングモール裏側の壁。
 壁際は少しの芝生になっていて、建物と建物のあいだにモール表側へとつづく広めな通路が直角につづいています。

「本当はもっと人通りの多いところでやらせたいんだけどな。ハッシー、あの壁際のところに立たせたらズームはラクショー?」

 窓から見えるモール裏側の壁のほうをもう一度指さされ、橋本さまにお尋ねになられます。

「ああ、十メートル無いくらいだし、たぶんカントクさんが撮りたい部分のどアップだってラクショーだね」

 橋本さまが再びリュックからハンディビデオカメラを出され、カメラをそちらに向けつつ笑いながらお答えになられます。

「おっけー、じゃあ直子?ケータイだけ持ってうちの後ついてきて」

 五十嵐さまがお車のスライドドアを開けて車外へ。
 私もあわててポシェットからスマホを取り出し、ポシェットは外して後につづきます。

 駐車場内の一方通行順路である車道を渡り、建物のほうへとズンズン歩まれる五十嵐さま。
 やがて、とあるモール店舗の裏側壁際の芝生のところで立ち止まりました。

「そうね、この辺りでいいか。直子、ここに立って」

 芝生の上に駐車場に向けて立たされます。
 壁沿い一メートルくらいでショッピングモール表側へT字路状につづく通路があります。
 今も目の前を駐車場からモールへと急ぐカップルさまが足早に通り過ぎていかれました。

「ここに立ってちょっと待ってて。で、うちが直子に電話するから、その指示に従いなさい。あ、電話番号教えて」

 私が自分の電話番号をお伝えすると五十嵐さまはご自分のスマホに登録され、すぐにコールバック。

 …これが直子のマゾマン…

 と自分の恥ずかし過ぎる呼び出し音声が私のスマホを震わせて、慌てて応答。

「おっけー。それじゃあ待っててね」

 スタスタとお車にお戻りになられる五十嵐さま。

 お車と私との距離は、一方通行車線とバスレーンを隔ててプラスアルファですから7~8メートルといったところでしょうか。
 駐車場からモールへ向かう人、モールから駐車場へ戻る人が時々私の前を通り過ぎていかれます。
 お外は快晴ですが時折気持ちの良い風も吹き、それほどの不快な暑さは感じません。

 私がここで何をやらされるのか、だいたいの予想はついていました。
 それはとても恥ずかしい行為なのですが、不安を押し退けて余りあるドキドキとムラムラがからだにみなぎってきていました。

 お車のドアが閉じて少しすると知らない番号から、これが直子のマゾマン…、と着信。

「…もしもし…」

「これから指示を出すから、その通りにしなさい。ケータイは左手に持って通話ね」

 五十嵐さまのお声がスマホからハッキリ聞こえてきます。

「空いている右手でブラウスのボタンをもう一つ外しなさい」

 お車のほうを見遣ると助手席側の窓が全開となり、少し奥から橋本さまのレンズが私を狙っているのがわかります。
 
 ブラウスのボタンは三つまですでに外れていて、おっぱいの膨らみ始めまでが覗いている状態、四つめを外せば下乳の更に下までが無防備となってしまいます。
 それでも私に拒む資格も権利もありません。

「…はい……外しました…」

 四つめのボタンを外しても今のところ前立ては閉じたままで、さしたる変化はありません。

「直子は素直でいい子だねー。これからそこがいくらはだけても直したらだめだからね」

 五十嵐さまが猫撫で声でお褒めくださった後、ピシャリとご容赦無いご命令口調。

「じゃあ右手をスカートの右ポケットに突っ込んで」

 やっぱり…
 私はたぶんここでオナニーをさせられるのでしょう…
 こんな、不特定多数のみなさまが普通に行き交わられるショッピングモールの片隅で…

 それでも逆らうことは出来ず、ソロソロと右ポケットに右手を差し入れる私。

「何に触った?」

「…わ、私の…は、肌です…」

「どこの?」

「お、お腹の…」

 そのスカートのポケットには大きな穴が空いていて、と言うか、あるべきポケットの袋そのものが無く、差し込んだ手はそのまま裏地へ。
 その上ノーパンですから、手は下腹部の素肌に直接触れます。

「もっと手を下まで伸ばしなさい」

「は、はい…」

「今度は何に触れた?」

「…私の…性器、女性器に…」

「あれ、ずいぶんとお上品だこと。本当の直子はそんなキャラじゃないでしょう?」

「ご、ごめんなさい…直子の、む、剥き出しマ、マゾマンコ…です…」

 マゾマンコと自分で口にした途端に、そこの奥が盛大に潤んだのがわかりました。
 そしてちょうどそのとき、スマホで恥ずかしい会話をしつつポケットに手を突っ込んでいる私の前を、お若い男性おひとりと大学生風のカップルさまがたてつづけに通り過ぎていかれました。

 男性おふたりの目線は、明らかに私の首輪に来ていました。
 それに気づいた私の膣内がヒクヒクンと何度も痙攣してしまいます。

「じゃあ、そのマゾマンコに指を一本だけ挿れなさい」

 五十嵐さまの事務的な冷たいお声でのご命令。

「挿れた?」

「…はい…」

「どうなってる?」

「…は、はい…濡れて…す、すごく熱くなっています…」

「どうしたい?」

 それはもちろん、思うままココをまさぐって快楽を得たいのは当然なのですが、場所が場所です…
 何も言えないまま黙っていると、五十嵐さまが誘い水を撒いてこられます。

「こんな青空の下でイケたら気持ちいいだろうねぇ?ブラウスもスカートもちゃんと着ているし、こっそりやればわからないって」

「…で、でも…」

「大丈夫。こっから見ていても、ただ女の子がポッケに手を突っ込んでケータイで誰かと話しているだけにしか見えないし」

「…そ、そうでしょうか?…」

 お答えしながらも膣内に潜り込んだ私の指は、ソロリソロリと動き始めています。

「そうよ、こんなに人目のあるところで、まさかマンズリこいてるヘンタイ女がいるなんて誰も夢にも思わないよ」
「踏ん切りつかないなら命令ってことにしてあげよっか。命令だったら逆らえないんでしょ?」

 はじめからそのおつもりのクセに、ワザとお下品なお言葉遣いで恩着せがましくご提案くださる五十嵐さま。

「…は、はい…ご命令であれば…」

「じゃあ命令してあげる。ヘンタイ直子はそこでマンコ弄ってイキなさい。ちゃんとイクこと。クリで一回ナカで一回ね」

「…はい…わかりました…」

 ご命令であるなら、私に拒否権なんてありません。
 出来る限り周りの方々に勘付かれないよう、声を押し殺してイクしかありません。
 ポケットを素通りした手を股間に貼り付けます。

「顔は車のほうに向けて、うつむいてはだめ。会話しつづけながらヤりなさい」

 外陰部ごとマゾマンコを包むように手をあてると、手のひらにぶつかる硬い突起。
 中指はすでに膣内に侵入していますから、あとは全体を揉み擦るだけで楽にイケそうです。
 手首寄りの手のひらでクリットをギュウギュウ潰しつつ、膣内の中指で膣壁を捏ね繰り回します。

「ほら、駐車場のほうから家族連れがやって来るよ。直子のこと、気づいちゃうんじゃない?」

 からかうようにおっしゃる五十嵐さまのお言葉に視線を動かせば、向かって右奥からお若そうなご夫婦。
 左右から手を繋いだ真ん中に、5~6歳くらいの可愛い女の子がスキップではしゃいでいます。
 ビクンとして、右手の動きを止めてしまう私。

「ほら、手は止めない。視線もうつむかずにそっちに向けるの、笑顔を浮かべて」

 五十嵐さまのご命令で再び右手を緩慢にニギニギしつつ、虚ろな視線を家族連れさまに向けます。
 家族連れさまはまだ私には気づいていないらしく、お三かたとも満面の笑顔を浮かべて何やら話し合っておられます。

「今度はモール側から男の二人組。直子に気づいてくれないかなぁ。ほら、ちゃんと手は動かすのっ!」

 五十嵐さまが周囲の状況を実況中継してくださっています。
 私はそれでも徐々に昂ってきていて、遠ざかりつつある理性と引き換えに、視てほしい、という被虐羞恥願望がどんどん高まってきています。

 中指をいったん膣から抜き、クリットを重点的に責めることにします。
 親指と中指でクリットを摘み、強く弱く爪を立てます。
 クリットは茹でる前の大豆くらいに固くしこり、触れるたびに頭の中で電流が走ります。

「…あっ…んぅーーーっ…あぁぁぁー…ふぅぅぅ……」

 堪えきれずに小さな吐息を通話口に洩らしてしまう私。

「いいねいいね。いやらしい声はどんどん聞かせて。バレないようにがんばってね」

 からかうような五十嵐さまのお声。

「あ、また駐車場のほうから女性の三人連れ。今度は直子のだいぶ近くを通りそうよ」
「あの人たちを見ながらイキなさい。ていうか、あの人たちに視られながらイキなさい」

 瞑りがちだった両目を開いて前方を見ると、右前方十メートルくらいの位置に妙齢の女性が三名、今まさに一方通行順路を建物側へと渡ろうとされています。
 学生さまかOLさまなのか、三者三様の気合の入った薄着ファッションで、いかにもリゾートではっちゃけに来た、という感じです。

 車道を渡ったお三かたは芝生ギリギリを私に向かって歩いておられるので、私の目の前すぐを通り過ぎてモール表側へと曲がられるでしょう。
 楽しげに談笑されつつ私へと近づいてこられる彼女たちお三かたのうち、薄いサマーセーターのバストを一番盛り上げていらっしゃる童顔のおひとりが一際目を惹きます。

 スマホを耳にあてて通話している体を装いながら、彼女たちのほうに目を向けますが、会話に夢中なのか私に気づかれたご様子はありません。
 充分に昂りきっている私の性感は、クリットへの次の蹂躙でいともたやすく昇天へと導かれるでしょう。

「…ハァ…ンッ、ハァ、ハァ、ハァ…ンーーッ…」

 肉芽周辺に焦らすような愛撫を施しつつ、五十嵐さまのケータイに熱い吐息のささやきを届けつづける私。
 乳首やおっぱいもまさぐりたくてたまりません。

 彼女たちはもう私のすぐ傍らまで来られていました。
 お声高におしゃべりしつつ私の目前を通られるとき、サマーセーターの女性さまの目線がフッと私の首輪に注がれたような気がしました。

「ンゥゥゥーーーーーーーッ!!!」

 咄嗟に彼女たちに背中を向け、同時にクリットをギュッと押し潰しました。
 頭の中が真っ白になると同時に痺れるような快感が下半身から全身へと駆け巡りました。
 辛うじてしゃがみ込んでしまうことは我慢出来ましたが、突っ張った両脚ともヒクヒク震えています。

「ちょっと!誰が背中向けていいって言った?肝心のイキ顔アヘ顔が撮れなかったじゃない!」

 通話中の五十嵐さまから猛烈なご抗議です。
 自分でもどうしてそうしたのかわからないのですが…
 やっぱりイク瞬間を見知らぬ方々にお視せすることに、抵抗感があったのでしょうか…
 
 快感の余韻がまだ渦巻く中、お車のほうに向き直ります。
 彼女たちお三かたはモール表側へつづく通路の方に曲がられたようで、もうお姿は見えません。

「悩ましげにシワ寄せて火照らせちゃって、いやらしい顔。イキ顔撮り損ねたのが尚更、残念この上ないね」

「…ご、ごめんなさい…」

 五十嵐さまからの未練たっぷりな恨み言に、ひたすら恐縮する私。

「でも一回イッたからもうイキやすいでしょ?今度はナカイキね。で、何が起きても車のほうを向いていること」
「あと、今回の命令違反にペナルティも必要だな。何がいいかな…」

 しばし沈黙するスマホ。
 私は快感の余韻がまだ治まらず、息をハァハァ吐いています。

「一番恥ずかしいのは絆創膏剥がさせることだけど、ブラウスがあの状態じゃ、完全に公然猥褻物だし…」

 五十嵐さまのそのお言葉に、何気無く自分の上半身を見下ろすと…

 辱めによる性的な興奮でじっとり汗ばんだ薄物ブラウスは満遍なく素肌に張り付き、白いはずの布地が肌色となってからだの線を浮き上がらせていました。
 その上、襟元から4つまでボタンの外れた前立ては大げさにはだけ、左右おっぱいが三分の二以上飛び出しています。
 もしも絆創膏を貼っていなかったら、両乳首ともお外にコンニチハしていました。

 直すことは禁じられていますから、そのままの状態でモジモジソワソワ。
 今の状態がそんなに破廉恥だと知ってしまったことで、羞恥がマゾ性を刺激して被虐感が増し、いっそうの性的興奮へと変化して、ラビアはヒクつきクリットが性懲りも無くぐんぐん腫れてきます。

「ま、いっか、生ぬるいけどボタン外しで許してあげる。ブラウスのをもう一個とスカートももう一個、外しなさい」

 スマホから五十嵐さまのお声が聞こえて来て我に返りました。

「はだけたブラウスはいったん直していいから、ボタンをそれぞれもうひとつ外してから、膣内イキしなさい」

「はい…ありがとうございます…」

 許してあげる、というお言葉に反応したお礼を述べてブラウスを直し、あらためてボタンを外します。
 
 その結果、ブラウスはスカートにインした下の部分までのボタンが全部外れて、すなわち上半身がいつ全開になってもおかしくはない無防備状態。
 下半身もボタンはふたつだけ、恥丘はおろか下腹のおへその下ぐらいまでが露わになりそうな心細い状態となってしまいました。

「外したら今度も、どんなにはだけてもブラウス直したらダメだからね。ちゃんと膣内だけでナカイキして、カメラに背中向けることも絶対禁止」

 五十嵐さまの無慈悲なお声がスマホのスピーカーを震わせます。

 こんな状態で私はこれから、自分のマゾマンコを自分の指で弄んだ挙げ句の果て、青空の下でイキ果てるんだ…

 前方からまた、数人の人影が近づいてこられています…


2023年4月9日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 13

 スカートのウエストのところのボタンを外し、下ろしながら右脚、左脚とサンダルを引っ掛けないように抜きます。
 これで下半身は剥き出しの丸出し。
 脱いだスカートは五十嵐さまの右手が伸ばされて没収されました。

「んんっ!」

 そのまま便座に腰を下ろすと同時に、股間から水流が勢い良くほとばしり出ます。
 本当にがまんギリギリでした。

「ほら、もっと脚開いて。指でラビアも広げて、オシッコが出てくる穴までうちにちゃんと視せなさい」

 五十嵐さまから、私の股間にお顔を近づけ見下ろしつつのご命令。

「…は、はい…」

 ほとばしる水流に触れないよう右手を上から伸ばし、チョキの形にした指を恥丘に添えて陰唇を押し広げます。
 潤んだ粘膜が直に空気に晒されているのがわかります。

「左手はブラウスの裾を持って、おへその上まで捲くり上げるの。女性器周辺が全部よーく見えるように」
「うつむかないで、視線はこっちよ」

 五十嵐さまのご容赦ない追い打ちのご命令で私の下腹部はおへそから下まで全部丸出しに。
 そこをじっと視つめられる五十嵐さまの視線通りの映像が、カメラで記録されているはずです。

 ジョボジョボと音をたててほとばしる水流は、なかなか止まりません。
 放出の快感と視姦されているという羞恥がないまぜとなり、下半身全体が熱く火照ってしまいます。

「直子、ずいぶんいやらしい顔になってる」

 全体像を撮るためでしょう、一歩下がって私を見下ろす形の五十嵐さまが、からかうみたいにおっしゃいます。
 永遠につづくかと思われた放尿もやがて勢いを失い、チョロチョロっと断続的に数回垂れて沈黙しました。

 それでもお許しがないので、裾をめくったまま陰唇を拡げている私。
 その姿をニヤニヤ数十秒見つめて、つまり録画した後、やっと五十嵐さまから次のご命令。

「終わったみたいね。じゃあマンコ周辺をビデでよく洗いなさい。スケベ汁で濡れた内腿まで念入りにね。こっから先はずっとノーパンで過ごすことになるから」

 ビデのスイッチを入れると数秒置いてから勢いよく飛び出た水流。
 押し拡げた膣穴にジャストミートなほとばしりに思わず、アんっ、と淫声が洩れてしまいます。
 腰を少しくねらせて内腿に垂れた愛液も拭ってもらいます。

 そんな様子をじーっと見つめてこられる眼鏡越しの熱い視線。
 それはすなわち、デジタルで永久的に記録されてしまう私の痴態ということなのです。

「そんなもんでいいか。じゃあ紙で軽く拭いてからブラウス下ろしていいよ。余計なとこは触らないでね」

 いたずらっぽく五十嵐さまがおっしゃり、私に赤いラップスカートを差し出してきます。
 いつの間にかボタンが全部外されて、一枚の細長い布片に戻っていました。

「本当はここで声を殺してのオナニーとかも撮影したいところだけど、時間も限られてるしハッシーも待たせちゃってるし」
「ここはこれくらいにして、次の辱めに移りましょう」

 すごくご愉快そうにヒソヒソ声で告げる五十嵐さま。

「スカート着けていいよ。シャツはインで、あとスカートのボタンは上から3つまでね」

 そう促されて立ち上がり、剥き出しの下半身に赤い布片を巻きつけます。
 ご命令通りに、前開きのボタンをウエストから順に三つまで留めていきます。

 そうすると、ちょうど恥丘の上辺りにある四番目のボタン以降がノーガード。
 ちょっと大きな歩幅で歩いたり、正面から強めの風を浴びたら、いともたやすく割れてしまい無毛の恥部がさらけ出されてしまうことでしょう。

 そんな私の立ち姿を五十嵐さまが眼鏡越しにじーっと見つめられています。
 と思ったら、つかつかと近づいて来られ、私の両肩に両手を伸ばされました。

「もうこれもいらないわね」

 おっしゃると同時に両肩からボレロが剥がされ、くるくるっと丸めて五十嵐さまのバッグへ。
 代わりに私のポシェットを、今や正真正銘薄物ブラウス一枚となってしまった私の肩に、おっぱいスラッシュの形で掛けてくださいました。
 
 これで私は上下とも薄物一枚づつ、絆創膏で隠されたノーブラ、肝心なところのボタンを留めていない頼りないノーパン姿。
 こんな格好でまた人混みを歩くんだ…
 ポシェットのショルダーベルトを直そうとして何気無く首輪に触れたとき、諦めが呼ぶ開き直りのような興奮がゾクゾクっと背筋を駆け上りました。

「よしっと。それじゃあ出よっか」

 ご自分のお荷物を肩から提げ、おトイレの鍵に右手を掛けられた五十嵐さま。
 空いた左手で私の右手を握られます。
 扉を開けると同時にグイッと引っ張られ、個室を出た途端にあっさり手が離されました。

 そのままおひとりでスタスタと出口近くの洗面スペースに向かわれる五十嵐さま。
 トットットとつんのめるように個室を出て取り残された私。

 顔を上げると洗面スペース近くに順番待ちの行列が4、5名。
 学生さん風や奥様風でみなさまお若い感じ。
 ふたりだけの世界からいきなり公衆の面前、日常の空間に放り込まれ、そんなみなさまが一様に怪訝そうなお顔つきで私のほうを見ていました。

 それはそうでしょう。
 おトイレ個室から若い女性がふたり、連れ立って出てきたのですから。
 
 スウェット上下で黒縁メガネな五十嵐さまの後ろから現われたのは、上半身透け気味な薄物ブラウスのパイスラ仕様、首に赤い首輪を巻いて頬を上気せている、いかにも情事の後然とした私。
 五十嵐さまは平然と洗面スペースで手をお洗いになっていらっしゃいますが、私はその侮蔑まじりな好奇の視線でどんどん自虐的に興奮してきていました。

 今の私の格好は自分が望んだ姿…私は視られたがりの露出症…視られることで性的に高揚するヘンタイ…
 だから視ていただけることに感謝しなければいけないんだ…

 今日のアウトレットへのドライブ中から今まで、たてつづけの公衆の面前での辱めが許容を超えてしまったのか、今の私は露出マゾとしての自分に酔い痴れつつありました。
 もっと視てください…いやらしい姿を視て蔑んで、変態痴女って罵ってください…

 顔をまっすぐ上げ、比較的大きな歩幅のモデルウォークで、洗面スペースまでゆっくり歩きます。
 みなさまの視線が私に釘付けとなり、その視線が好奇から驚愕、呆気、軽蔑、冷笑とさまざまに変わっていくのがわかります。

 5月連休中のお姉さまとの露出ショッピングや6月のファッションショーでの出来事など、これまでに受けた恥辱のあれこれが脳裏にまざまざとよみがえっていました。
 ああん、いっそのこと乳首の絆創膏も取り去って、いやらしく尖った乳首も視ていただきたい…

「ほら、直子もさっさと手を洗って、先にいくよ」

 五十嵐さまにびっくりするほど通るお声でご叱責され、ビクッとした拍子で私に少し理性が戻ります。
 見ると五十嵐さまは内開きドアからおひとりで出る寸前。

「あ、はいっ、待ってください…」

 私も大慌てで手を洗い、濡れた手のまま大急ぎで五十嵐さまを追いかけました。

 お手洗いから出るとそこには人、人、人…
 午後になって明らかに人出が増えたようで、いかにもショッピングモールという風景。
 理性が少し戻った私は、やっぱり恥ずかしさでうつむきがちになってしまいます。

 合流を約束したカフェの前では橋本さまが所在無さげにスマホを弄られていました。

「お待たせー」

「ずいぶんと長いお籠りだねー。10分以上だったからイベント2つもクリアしちゃったぜ」

 橋本さまがからかうようにおっしゃってスマホの画面を見せてきます。

「悪い悪い、直子が調子に乗っちゃってさー。オナニーまで始めようとするのを無理やり引っ張ってきた」

 五十嵐さまも軽口で返されます。

「さあ、あとはさっさとおつかい済ませて、どこかでゆっくりと直子を晒し者にしましょう」

 五十嵐さまがご自分のバッグから紙片を取り出されます。

「直子は先生からの依頼品をゲットすること」

 歩きながら振り向かれ、私にその紙片と一万円札を一枚渡して来られました。

「で、撮影はハッシーね。うちは虫除けスプレーとか他に買うもので別行動するから」

 黒縁メガネを橋本さまに渡される五十嵐さま。
 黒縁メガネを早速かけられたヤサ男風な橋本さまのお顔は、失礼ですが一層いかがわしさが増している感じ。
 橋本さまはハンディビデオカメラをリュックにしまいこみ、両手をポケットに突っ込んで私を見つめています。

「買うところをしっかり撮影してね。直子はお店に入ったら探さずに、真っ先に店員さんに商品名を告げて売り場まで連れてってもらうこと」
「男性が側についていると、いかにも調教って感じになりそうじゃない?ハッシーは無言で終始ニヤニヤ笑って見てればいいよ」

 名塚先生から渡されたという紙片メモには、買うべきものが事細かに書かれていました。

 お浣腸薬はメーカーと商品名の後に、30g×10、40g×10
 避妊具もメーカーと商品名の後に、002 12×3
 ローションもメーカーと商品名の後に、360ml×2

 どれも女性が買うには恥ずかしいものばかり。
 その上、この組合わせでこの量を買うなんて、この人は一体どんな生活をしているんだろう、って絶対思われそう。

 紙片メモを確認して一万円札と一緒にポシェットに押し込んだ後、こう思うことにします。

 これは私へのお仕置きなんだ…
 恥ずかしい姿で恥ずかしい買い物をして、みなさまに私がどんな女なのかわかっていただいて、蔑んでいただくための…
 だって私は本当にそういう女なのだもの…
 
 ドラッグストアは、アウトレットにいくつかある出口のひとつ近くの一画にありました。
 私たちが駐めた駐車場とはまた違う駐車場の側なので人の出入りも激しく、行き来が一際激しい一帯。
 そんな中を私はメガネをかけた橋本さまと横並びで進み、やがてガラス張りのドラッグストアへ。

「じゃあ、うちは自分の仕事済ませちゃうから。直子はくれぐれも言われた通りに、ね」

 五十嵐さまがお店の奥に消えていき、入口自動ドア付近に取り残された私と橋本さま。
 お店はあまり広くなく都心部の大きめなコンビニくらいの感じで、数名のお客様かたが右往左往されています。
 橋本さまは何もおっしゃらず、ニヤニヤ笑いで私の顔や全身を眺めていらっしゃいます。

 ご命令を守るべくスタッフさまはと見回すと、お会計であろうお薬処方のカウンターにご中年のおばさまがおひとりと、お品出しをされているっぽい若めな男性がおひとり。
 出来れば男性にはご相談したくないし、女性、それもご年配のスタッフさまのほうがいいなと思っていたら、お薬処方のおばさまにお客様が付いてしまいました。

 仕方ないので男性に聞くしかないか、とお買い物カゴを取って奥へ進んでいくと、棚に隠れて見えなかったところにもうひとり、女性のスタッフさま。
 こちらもお若い感じですが、男性より女性のほうがずいぶん気分的にラクです。

「あ、あの、恐れ入ります…」

 おずおずとお声をかけると、芳香剤をお品出ししていたその女性のお背中がビクンと震え、あ、はい…というお声とともにこちらを向いてくださいます。
 二十代半ばか少し上くらいの落ち着いた感じの美人さんでした。

「あ、あの、お、お通じのお薬はどこにありますか?」

 やっぱりお浣腸という言葉は口に出せず、口ごもりながら早口で尋ねてしまう私。

「えっ、お習字…ですか?」

 怪訝そうな女性の視線が私の顔から首輪へと移動し、胸元を凝視した後下半身へ移り、それからまた首輪へと戻ります。
 それからじっと曖昧な笑顔で私を見つめる女性。
 明らかに引いていました。

「あ、いえ、あの、お浣腸です。お浣腸のお薬はどこにありますか?」

 沈黙に耐えられず、思わず恥ずかしい商品名を早口で口走る私。
 こんな至近距離ならば透け気味なブラウスの下には何も着けてなく、乳首に絆創膏が貼ってあることまでわかってしまったことでしょう。

「ああ、それなら突き当たって右側のあちらの棚になります」

 女性スタッフさまがお店の奥、突き当りを指さされ、その指を少し右側へと振りました。
 そのお声はいたってお優しげでしたが、私を見る視線に苦笑のような冷笑のような、呆れているニュアンスが感じられました。

「あ、ありがとうございます…」

 小声でつぶやき逃げるようにスタッフ女性さまから離れる私。
 その傍らを橋本さまがニヤニヤ笑いのままついてこれらます。
 突き当りを曲がるときそっと背後を窺うと、女性スタッフさまはまだ私のほうを見ていました。

 お浣腸薬はすぐみつかりました。
 私にとっては見慣れたパッケージ。
 30g入10個の青い箱と40g入10個の薄紫の箱をお買い物カゴに入れます。

 近くに避妊具も置いてあれば、スタッフさまにお尋ねしなくても買えるなと思ったのですが、残念ながらお浣腸薬周辺には消化器系のお薬ばかり。
 ということで、こちらもスタッフさまにお尋ねしなければいけないことに。

 当然のことながら私は今まで自分で避妊具の類を購入したことがありませんでした。
 お姉さまやシーナさまとの遊びの際に、オモチャにそういうものをかぶせて使われたことは何度もあるのですが、主に使われる用途が用途ですからあまりよく研究観察する気にもなれず、どんな箱でどんなふうに売っているのかも知らないままでした。

 あの女性スタッフさんには、すっかり呆れられてしまったようなので出来れば他のスタッフさまに、と思うのですが、このお店のスタッフさまは、お薬処方のおばさまと男性と女性スタッフさまの計3名だけみたい。
 やっぱり男性よりは、ということで再び女性スタッフさまのもとへ。
 女性スタッフさまはまだ、芳香剤の棚のところで何やら作業をされていました。

「あ、あのぅ、もうひとつお聞きしたいのですが…」

 消え入りそうな声を投げかけつつ近づく途中で、女性スタッフさまがお顔を上げられ私を見ます。
 橋本さまを引き連れて戻ってきた私のお買い物カゴの中には大量のお浣腸薬。

 女性スタッフさまは、カゴと私の首輪と、傍らの橋本さまを交互に眺め、今度はなぜだかご愉快そうに、ニコッ、と微笑まれます。

「はい、なんでしょう?」

 あからさまな作り笑いには、あなたたち、そういう妖しい関係なのね、という見透かすような冷やかすような雰囲気が感じ取れました。

「あの、ひ、避妊具の売り場は…」

 思い切っての早口でお尋ね。

「避妊具?あ、コンドームで宜しかったでしょうか?」

 女性スタッフさまってば、イタズラっぽくからかうみたいにおっしゃいます。

「あ、は、はい…」

「それでしたら今度は突き当たって左。処方カウンター脇の棚にございます」

「あ、ありがとうございます…」

 もはや遠慮無しに私のからだを見つめてくださる女性スタッフさまの視線。
 絆創膏を貼られた乳頭付近とボタンの外れた恥丘付近を布越しにじっくりと舐めるように視られ、最後に首輪と顔を凝視。
 それからフッと目を逸らされ、フフンと蔑むように笑われました。

 その途端、カーッと体中の血液がさんざめき、逃げるようにお店の奥へ。
 火照った頬が被虐に震え、間違いなく性的な快感を感じていました。

 避妊具はどれも綺麗な箱に入れられて売られていました。
 その中からご指定のメーカーの0.02と書かれた箱を12個入りというのも確認して3箱、カゴにいれます。

 幸い避妊具コーナーの横がローションコーナーでしたので、ローションもメーカーを確認しつつ360mlを2本カゴへ。
 これでミッション完了です。
 あとはお会計を済ませるだけ。

 カゴの中には大きなお浣腸薬の箱2つと避妊具が3ダース、それにローションの太いボトルが2本。
 こんな組み合わせのお買い物って、まさしくヘンタイ以外の何者でもない気がします。
 でも一刻も早くこの場から立ち去りたい一心で、お会計の場であろうお薬処方のカウンターへ急ぎました。

 カウンター前にはおふたり、先客さまがいらっしゃいました。
 お会計中のおひとりは処方箋を出してお薬を見繕っていらっしゃる最中らしく、カウンターのおばさまがカウンター内で忙しくしていらっしゃいます。

 私の前のお客様はお買い物カゴに芳香剤やシャンプーなどをまばらに詰めて並んでらっしゃる、少しご年配のご婦人。
 その次が私なのですが、そうこうしているうちに私の後ろにもお客様が付きました。

 歯ブラシ2本と歯磨き粉を手に持たれた学生風のお若い女性なのですが、そのかたがどうも私のカゴの中身に気づいてしまったようでした。
 列から少しずれて私の顔を見ようとしているのが気配でわかります。
 
 橋本さまは列から少し離れたところで、おそらく行列全体を撮ろうと思われているのでしょう、相変わらずのニヤニヤ笑いで眺めていらっしゃいます。
 私はひたすらうつむいて自分の番が早く来るのを待つしかありません。

 ようやく私の番となり、カウンターにお買い物カゴを置きました。
 そのときのレジのおばさまの驚いたようなお顔。
 
 カゴの中身を見て、私を見て、首輪に気づいて、上半身を見て…
 驚いて、呆れて、曖昧な笑顔が冷笑に変わって、見透かしたようなお顔に変わり…黒いビニール袋に商品を入れつつの、おばさまの心の動きが手に取るようにわかりました。
 
 商品を受け取った私は、文字通り逃げるようにお店を後にしました。
 商品の合計額が一万円払っても小銭しか返ってこないくらいの金額だったのにも驚きつつ…


2022年11月6日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 12

 五十嵐さまのお言葉に甘えて、元の席の椅子にスカートごと座ってしまう私。
 生尻で直に座るより座面を汚さないであろうという判断です。

「理不尽な命令に嫌がるようなフリはするクセに、結局受け入れちゃうところがいいよね。それもけっこう嬉しげ愉しげに」

 同じ目線の高さとなった五十嵐さまが身を乗り出されるようにされ、話しかけてくださいます。

「うちもけっこう幼い頃から屋外露出には興味あったんだ。最初に触れたエロものがそういうシチュだったから。近所の畑に捨ててあったエロ本。小四だったかな…」

「もちろん男性向けの雑誌で今思えばえぐい内容の調教物だったんだけどね。外で恥ずかしい格好させられている女の子たちの切なげな表情が、なんて言うか、凄く儚げで綺麗だと思ったんだ…」

「外で裸にされて見知らぬ人たちににジロジロ視られたらどんな気持ちになるんだろう、って思うけど、でも、自分でやる勇気なんてないから、漫画描いて発散してんだよね、昔から絵を描くのが好きだったから…」

 お言葉を選ぶように途切れ途切れに、照れ臭そうにおっしゃる五十嵐さま。

「だから今日は直子と、って言うか、直子で遊べてすっごく愉しい。うちが頭ん中であれこれ思い描いていた妄想が現実に目の前で起こるんだもん。感謝してる」

 あらためてお礼を告げられると私のほうこそ照れ臭いのですが、逆にそれだけ露出に思い入れがあるとすれば、これから私は何をさせられちゃうのか、少し怖い気もしてきます。
 五十嵐さまがつづけて何かおっしゃろうとしたとき、橋本さまが悠然と戻っていらっしゃいました。

「お待ちどうさん」

 戻られた橋本さまはまず、テーブルに置かれたご自分のビデオカメラを大事そうにお手に取られ、その代わりにたたまれたメガネ状の物体をテーブルに置かれます。

「へー、これがスパイカメラなの…」

 横細な四角いレンズの黒縁素通しメガネ。
 つるのところが少し太い感じですが、メガネレンズの幅に合わせた感じでデザイン的にはマッチしています。

 五十嵐さまは物珍しげにお手に取られてしげしげとご覧になっておられますが、私は既に経験者。
 リンコさまのお部屋で行なわれた夏休み女体観察会で、同じようなメガネをかけられたお子さまたちにさんざん撮影されました。

「カメラのレンズはどこにあるの?」

「フレームの眉間のところ」

「ああ、ちょこっと凹んでる。でもぱっと見じゃわかんないね」

「充電フルだから回しっぱなしでも一時間くらいは保つはず。使いたいときは言って」

 五十嵐さまがメガネ型カメラをテーブルに戻されて、橋本さまがそれをご自分のウエストポーチに仕舞われます。

「そんじゃあカントク?ご指示を。我々はカントクの仰せのままの下僕ですから」

 橋本さまがお芝居っぽく茶化すようにおっしゃいます。

「うーん、迷ってるんだよね。買い物もしなきゃいけないし、撮影場所も探さなきゃなんないし…」

 座ったまま頬杖をつかれ、本当にお悩みなご様子の五十嵐さま。

「ドラッグストアって、どこにあるの?」

 橋本さまが五十嵐さまにお尋ね。

「うーんと、ここからだとちょっと距離あるかな?通りから車で入ってきたあの入口の辺り」
「頼まれた買い物もけっこう嵩張りそうだから、買うのは最後でいいかな、とも思ってるんだけど…」

 それきりまた黙り込んでしまわれる五十嵐さま。
 やがてお顔を上げられて橋本さまにお尋ねになります。

「ハッシーのそのカメラって、ううんメガネじゃないほう、ってズーム、どれくらい?」

「光学で50倍」

「それって10メートルくらい離れてても表情までくっきり写るの?」

「そのくらいの距離なら余裕でラクショーだね」

「うちが考えてるのは、そこそこ人通りのある場所に直子をひとり放置して、うちらが遠くから隠し撮りみたいに撮影するプランなんだけど、どこで撮ればいいのか、場所が浮かばないんだよね」

 五十嵐さまが、ひとり放置、なんて何やら不穏なことをおっしゃって、私の背筋がゾクッと震えます。
 五十嵐さまのお話が途切れて少しの沈黙の後、橋本さまがいつになく真面目なお顔でご自分のお考えを述べ始められました。

「なるほど。それだと姫をどこに置くかじゃなくて、俺らがどこから撮影するかを考えたほうが早いよね」
「たとえばこの場で、姫を10メートル先に立たせてここからカメラで狙っても、隠し撮りにはならないわな。姫にカメラ向けているのが周りから丸見えなわけだし」

「かと言ってどこかのお店の中からとかは建物内撮影禁止でNG、となると俺らの車から狙うしか無いんじゃない?つまりは駐車場周辺」

 理路整然とお話を進められる橋本さま。

「駐車場内なら車は動かせるし、移動しちゃってもチーフたちとの合流はケータイでどうにでも連絡つくし」
「となると、まずは買い物済ませて、嵩張る荷物はいったん車に置いて、それから駐車場周辺でロケーションするのが最適解なんじゃないかね」

 淡々とお話される橋本さまを、爛々としたまなざしで見つめられる五十嵐さま。

「何ハッシー?美大中退のクセに理系脳だったの?」

 嬉しそうに幾分ご無礼なことを口走られる五十嵐さま。

「それ採用。それで全部うまくいきそう。ハッシー段取りの天才。そうと決まればレッツでゴー!」

 勢い良く立ち上がられる五十嵐さま。

「ほら、直子も」

 五十嵐さまに軽く左肩を叩かれ、私もビクッとしつつ立ち上がります。
 すると五十嵐さまの右手が私の胸元へと伸ばされ、ボレロカーディガンの結び目リボンがスルスルっと解かれます。

「あっ、いやんっ!」

 ハラリと左右に割れた短いカーディガンの布地の下に、私のスケスケおっぱい。
 ブラウスの布地は乾いていて透け具合もそれほど露骨ではないのですが、膨らみ始めから下乳まで、その全貌が白くて薄い布地越しに薄っすら浮かび上がっています。
 思わず胸元を両手で庇う私。

「大丈夫よ、乳首は絆創膏で隠したのっぺらおっぱいだもん。目線を惹くアクセントになるような色味や突起が無いから見た人も、なんだベージュの肌着か、くらいにしか思わないって」

 他人事ですから、思い切り楽観的なご意見を述べられる五十嵐さま。
 私の左手首が五十嵐さまの右手で掴まれ、胸元から強引に引き剥がされます。

「いい?これからドラッグストアまで歩いていくけど、直子はおっぱいを一切隠してはダメ。そうね、後ろ手に組むくらいの感じで付いてきなさい」
「もしも命令に背いたら、もっとひどいことになるから。その絆創膏剥がしてブラウスまで脱がせたり…」

 心底愉しそうにご命令くださる五十嵐さま。
 そのご無体なご命令に、私の心も着々とドマゾモードへと移行しています。
 橋本さまのハンディカメラがいつの間にか少し離れた位置から、私を被写体にして撮影を再開されています。

「それじゃあ移動しよっか」

 五十嵐さまが私のスマホをポシェットに収められ、パイスラ仕様に掛けてくださいます。
 ブラウスの布地がポシェットのストラップで押さえ付けられ、私のおっぱいの谷間が割られて膨らみが殊更強調されてしまいます。
 橋本さまは私たちの前へ横へと撮影アングルを工夫されつつ歩調を合わされています。

 フードコートの建物を背にし、芝生の広場をもう一方の建物側へと進む私たち。
 やがてモールの通路へと入ると、擦れ違う人たちがグンと増えてきました。

 お洒落な雑貨を扱われているお店が立ち並ぶ、広い通路を行き交う老若男女。
 派手な服装の男性が構えるビデオカメラに誘導されるようにゆっくり歩く女性ふたり連れに、幾人かの人が好奇の視線を投げかけてきます。

 完全に左右に割れてしまい役立たずのボレロカーディガン。
 乳首は隠されているとは言え、気分的にはおっぱい丸出しで歩いているも同然なのですが、そんなの何も気にしていない、というフリを必死に装い、モデル的無表情で歩を進める私。

 そしてこのとき私にはもうひとつ、差し迫った懸案事項が浮上していました。
 お姉さまがくださったカシスオレンジのせいではないのでしょうが、急に尿意が高まってきてしまっていたのです。

 でも下手に、おトイレに行かせてください、なって頼んでしまうと、より一層ご無体なご命令、例えば物陰に連れて行かれて、ここでしちゃいなさい、みたいな事態にもなってしまいそうなのでガマンしていました。
 
 だけどガマンし切れなくて歩きながらお漏らししてしまっても結果は同じ…いえ、もっと悲惨なことになるかも…
 どうしようか、と内心悶え苦しんでいます。

 モール通路を進んで道路からのお車の出入口近くまで辿り着くと、ショッピングモール全体の出入口のひとつでもあるようで、前にも増して行き交う人が増えてきました。
 そんな一画にある東京でも有名なカフェチェーン店の前まで来たとき、五十嵐さまが私を振り返りおっしゃいました。

「ちょっとトイレ行ってくるけど、直子も行く?」

 えっ?これは奇跡?想いが通じたの?

「は、はいっ!」

 思わず大きな声でつんのめるようにご返事。

「あ、んっじゃあ俺も」

 橋本さまもご便乗されます。

「で、ハッシーさ、スパイカメラっていうの貸して」

 やっぱり一筋縄ではいかれない五十嵐さま。

「ああ、そういうことね。ほい」

 何を察されたのか、あっさりとメガネ型カメラをお渡しになる橋本さま。

「それ、実際の自分の目線よりも下気味に撮影されるから、対面で撮るなら若干顎を上げ気味にしてたほうがいいよ」

 何度か使われていないとわからないはずの適切なのであろうアドバイスまでくださいます。

「録画オンにしたから、行っといで。またこの店の前で合流な」

 五十嵐さまがメガネをかけられ、私を見つめてきます。
 黒縁メガネ姿の五十嵐さまは、知力がグンとアップした感じで、なんて言うか、お召し物が上下スウェットなので、体育の授業を抜け出してきた名門高校生徒会副会長という感じ。
 サイドに流された髪の毛でメガネの太めなつるも隠れ、不自然さはありません。

 カフェを素通りして少し行くと男女隣り合わせのお手洗いがありました。
 ドア前に並ぶ行列もなく、橋本さまと別れて女子トイレに入ります。

 中にはおふたりほどの先客さま。
 ご中年であろう派手めなお召し物のご婦人とノースリワンピの女子大生風なかた。
 私たちが後ろに並ぶなり、おふたりが振り向かれ、しばらくじっと、主に私が視られます。

 それはそうでしょう。
 アクセサリーと呼ぶにはいささか大げさな首輪を着けて、下着を着けているのかわからない薄物でバストを透けさせている女が、生徒会副会長風黒縁メガネ女子に従うように入ってきたのですから。
 個室は全部で六つ、全て扉が閉じています。

 女子大生風のかたはすぐに前を向かれてそれきりでしたが、ご婦人のほうは私が気になるらしくお顔をしきりに動かされてチラチラと目線を送ってこられます。
 私は素知らぬふうを装って無表情に努めているのですが、内心、何か言われたらどうしよう、とドキドキです。

 そうしているあいだに一番手前の個室のドアが開き、真っ赤なワンピースのご婦人が出てこられました。
 そのかたは私たちを一瞥もされず、急いでるふうに洗面スペースへと直行されました。

 これでご中年のご婦人がその個室へと消えられ、入れ代わるようにおふたり連れらしき女性、おひとりはロックバンドのロゴ入Tシャツ、もうおひとりはボーダー柄のタンクトップというお若いであろう方々、が私たちの後ろに並ばれます。

 後ろからなら首輪も髪で隠れているし、ボレロガーディガンで背中も上のほうが隠れるしで、ブラウスが透けていてもヘンタイぽいところはないな、と一安心。
 でも安心したら、そのぶんだけ尿意が高まった感じ。
 
 私の前に立たれている五十嵐さまは、おからだを半分私のほうに向けられ、無言で私の顔をじっと視られたり、ときたま舐めるように全身を眺めたり、その合間におトイレ内全体をぐるっと見渡されたり。
 でもこれってつまり、五十嵐さまは今、女子トイレ内を盗撮されている、っていうことだよね、なんて思ってみたり。

 すると今度は一番奥の個室、少し遅れてそのお隣の個室の扉がたてつづけに開きました。
 出てこられたのはいずれもスラッとした妙齢の女性。
 擦れ違うときにそのおふたりからは、同じように訝しげな視線を、主に首輪の辺りに投げつけられました。

 ノースリワンピの女性がひと足早く一番奥の個室に入られました。

「一緒に入ろっか」

 えっ!?
 問いかけられたお言葉の意味を咀嚼できないうちに、五十嵐さまの左手に私の右手を掴まれます。

「あの、えっと…」

 戸惑いマックスのまま引っ張られるように、奥から二番目の扉前まで連行される私。
 個室に入るときに列のほうを見遣ると、Tシャツとタンクトップのおふたりが、信じられない、とでもおっしゃりたげな唖然としたお顔をされていました。

 個室の内部はけっこう狭く、ドアに向いた便器の前のスペースは一メートル四方くらい。
 お先に入られた五十嵐さまが便器の蓋を開けられます。

「失礼して先にやらせてもらうね」

 おっしゃりながらこちらを向かれたまま、スウェットパンツのゴムにお手をかけられます。

「え?あの、ちょっと…」

 うろたえながら後退り、個室のドアにべったりと背中を預ける私。

「何ビビってるの?オシッコするだけだよ。女同士だし、見たかったら見てていいから」

 五十嵐さまってば、お着替えになるときも無造作に裸になられていたし、そういうところは意外と無頓着なご性格のよう。
 ドギマギしている私のほうがおかしいのかもしれません。

 お立ちになられたまま少し上体を前傾された五十嵐さまが、スウェットのハーフパンツを膝下まで勢い良く下ろされます。
 ショーツごと下ろされたのでしょう、薄め少なめの陰毛に覆われた下腹部が眼中に飛び込んできて心臓がドキン。
 五十嵐さまの下腹部はマシュマロみたいに色白で、そこに小さく翳る漆黒の逆三角形が鮮烈です。

 便座に腰掛けられた五十嵐さまは、薄い笑みを浮かべて私をじーっと見つめられています。
 その不自然さで、あのメガネで撮影されている、ということを思い出しました。

 五十嵐さまのオシッコ姿には興味あるけれど、そんなことに興味津々な私の腑抜けた顔が後で他のみなさまにも見られてしまう…

「ご、ごめんなさいっ」

 なぜだかお詫びの言葉を口走りつつ五十嵐さまに背を向ける私。
 私が好きな種類の性的な恥ずかしさとは別物の、照れ臭いような居心地悪い恥ずかしさがこみあげてきたからです。

 個室のドアを見つめている私に音が聞こえてきます。
 ジョロジョロという音はおそらく放尿されている音。
 それが静まりンーッという機械音の後のシューッと言う音はたぶんビデを使われた音。
 
 その後にガサゴソとトイペを使われる音がして、一番大げさなザバーっという音は排出物が流された音。
 少しの衣擦れの音の後、背後から左肩を叩かれます。

「はい、お待たせ。タッチ交代」

 五十嵐さまが壁際へ避けられるようにお立ちになられ、私に便座に座るようご誘導されます。
 私の尿意もかなり差し迫っていましたから、すんなり便座の前までは行きました。

 でも…
 ここで私と五十嵐さまの立場の違いにはっきり気づきました。
 五十嵐さまに見られる、ということはすなわち、私の放尿姿が撮影され保存される、ということなのです。
 
「ノーパンだったよね。スカートは脱いで下半身丸出しになりなさい」
「それで両脚は大きく広げて自分の指でラビアも開いて、うちの顔をじっと見つめながらオシッコしなさい」

 五十嵐さまの扇情的に歪んだ微笑みで、私への辱めを心の底から愉しまれていらっしゃることがわかります。
 五十嵐さまだけではなく決壊寸前の尿意にも追い込まれている私には、ご命令通りに従って恥ずかしい放尿姿をご披露するしかありません…