2024年3月30日

彼女がくれた片想い 09

 両手を背中に回しブラジャーのホックに触れる。
 今日の下着は、ブラは黒レースのハーフカップ、ショーツもブラと同じ黒レースのビキニタイプ。
 誰に見せるあてもないけれど下着にはけっこう凝るほうだ。

 ホックを外しバスト周りが緩んだとき、再び軽い電流が背筋を走った。
 ストラップを両肩から抜き、ブラジャーも小さくたたんで便器の上に。
 剥き出しになった乳首が外の空気に直に触れるだけでゾクゾクッと感じてしまう。
 その乳首は左右とも今まで覚えもないほど硬く大きく尖立していた。

 トイレの個室内で乳房丸出し。
 言いようのない疚しさ、後ろめたさ。
 視ている者など誰もいないのに思わず両腕でバストを庇ってしまう恥ずかしさ。

 でもここでは終われない。
 ここまで来たら最後まで体験しないと、毒を喰らわば皿まで、の心境だ。
 胸を庇っていた両手を外し、ショーツのゴムに指を掛ける。

 目を瞑って一気に膝までずり下ろした。
 覆うものを失った下腹部が外気に晒される感覚に恐る恐る目を開けてみる。

 最初に視界に飛び込んで来たのは自分の手入れをしていない濃いめの陰毛。
 そして両膝辺りにだらしなく引っかかっている黒い布片。
 こんなところで肌を晒して陰毛を見せている自分がとんでもなく猥雑な存在に思えてきて、その恥辱感に三度めの電流が背筋をヒリヒリと震わせた。

 しばし呆然と佇んでから、ゆっくりと足首まで下ろしたショーツを引き抜いた。
 ショーツのクロッチ部分は当然のようにジットリ濡れていた。
 自慰行為のたびに、自分は愛液の分泌が少ないのかも、と悩んでいた耳年増の自分にとっては珍しいことだった。
 これで一糸纏わぬ全裸、大学のトイレの個室の中で。

 気がつくと乳房と陰毛を隠そうとしている自分に苦笑いしてしまう。
 全身がカッカと火照っているのに鳥肌のような悪寒が泡立ち、性器の奥がジンジン痺れている。
 今まで生きてきたうちで最大の性的興奮状態だと思う。

 身体中が更なる刺激を欲しており、このまま自慰行為に移ることにあがらう術はなかった。
 おそらくちょっと性器を弄るだけで全身が蕩けるほどの濃厚なオーガズムに達してしまうことだろう。
 大きな喘ぎ声だけは発さないようにしなければ、と自分に言い聞かす。

 行為に取り掛かる前にもう一度大きく深呼吸。
 そのとき思いついた。
 記念写真を撮っておこう、と。

 もっと自分を惨めに辱めてみたいという欲求があったのかもしれない。
 生まれて初めての浅まし過ぎる変態行為を、そんなことをやってしまう、やってしまいつつある自分への戒めとして記録に残しておきたいと思った。
 もちろんその画像は誰にも見せることなく、帰宅したらスマホには残さず家のPCにすべて移し、パスワードもかけて厳重に管理するつもりだ。

 バッグからスマホを取り出しインカメラにして右腕を伸ばす。
 ズームアウトが出来ないので立ったままだとバストアップしか映らない。

 少し考えて、相撲の蹲踞の姿勢のようにしゃがみ込み、腕を思い切り伸ばすと顔から足までがかろうじて画面に収まる。
 でも下半身まで裸だということがよくわからない。

 試しに踵がお尻につくほど両膝を大きく開いて姿勢をより低くし、なおかつ上半身を縮こまるように丸めたら頭の天辺から爪先まで綺麗に縦長の画面に収まった。
 ただし、綺麗にというのはあくまで構図上の意味で、絵面的には頭を上から見えない力で押さえつけられた全裸の女が大股開きを強要されているといった趣だが。

 自分のヌード写真を自画撮りするのももちろん生まれて初めての経験だ。
 画面には上気しきっただらしない困惑顔で左右の乳房をそれぞれの腿に押し付けるような大股開きで身体を丸めた、見るからに助平そうな下卑た女が映っている。
 恥ずかしげもなく左右に広げた両膝の中心に黒々とした陰毛の茂み、その茂みの隙間にピンクの肉弁が濡れそぼって芽吹いているのまでが見えている。

 最初の一枚を撮ったとき、カシャッというシャッター音が異様に大きく響いたように感じた。
 大丈夫、今このトイレ内には私以外誰もいない、と自分に言い聞かせる。

 カシャッ、カシャッとたてつづけにシャッターを押していると、今度は他の誰かに撮影されているような気持ちになってきた。
 いやっ、視ないで、撮らないでっ、と心の中で懇願しつつ、尖った乳首を誇示したり性器を押し広げてみせたり、より扇情的なポーズを取っていた。
 シャッター音が私の心に第三者の存在を想像させている。

 異様な興奮の中で何枚も写真を撮ってからスマホの時計表示を見ると、三限目が終わるまでまだ30分くらいあった。
 これなら自慰行為も心いくまで愉しめそうだ。
 スマホにロックを掛けてからバッグにしまう。
 そして、このあいだこの個室で何故、彼女が独り言を口走りながら独り芝居をしていたのかの理由がわかったような気がした。

 言い訳が欲しいのだろう。
 自分の意志で自分の快楽の為に、あえて他人の動向が気になるような場所で変態的な行為を行なっている自分をごまかす為に。
 誰かに強要され嫌々やらされているというエクスキューズを求めて、想像上のご主人様的命令者に従うのだ。
 こんな場所でひとり裸になって自慰行為に耽るのは紛れもなくアブノーマルな行為なのだが、自分がそれほどの非常識な変態性癖者だとは認めたくない葛藤の表れなのかもしれない。

 そういう流れで私も妄想の脅迫者にご登場願うことにした。

 …まあ、なんてはしたない恰好だこと。こんな所で下着まで脱いで丸裸になっているなんて…

 お嬢様風味な口調なのは、さっきまで読んでいた小説に引っ張られたのであろう。
 脅迫者の顔として真っ先に浮かんだのはもちろん彼女である。

 …あなたが悪いのよ。こんな所でこんな破廉恥なことしているのに、ちゃんと鍵を掛けていないのだもの…

 どうやら私は今、この現場を彼女に似た誰かに踏み込まれたようだ。
 便座の前に立ち竦んだ私は右腕でバストを、左手で股間を隠し、想像上の彼女と対峙している。

 …証拠写真も撮ったし、もうあなたはわたくしに逆らえないわね。通っている学校のトイレで真っ裸になっている写真なんてバラ撒かれたくないでしょう?…

 想像上の彼女が愉しげにほくそ笑む。
 羞恥と屈辱を感じながら想像上の彼女を私は睨みつける。

 …誰が隠していいって言ったのかしら?おまえはそのいやらしい身体を隅々まで誰かに見せたくて、こんな所で裸になったのでしょう?両手は後ろに回しなさい…

 あなたからおまえ呼びとなり主従関係が決定した。
 口調にも高圧的なニュアンスが交じり始めたので、あまりお育ちの良ろしいお嬢様ではないようだ。

 庇っていた両手を外して背中に回し、後ろ手を組む。
 乳房も陰毛も剥き出しの全裸。
 両乳首は痛いほど尖り、性器も子宮の奥から疼いている。

 このときふと、自分の性器を覆っているモジャモジャとした陰毛がとても邪魔なもののように感じた。
 少なくともこんな状況に陥ったこの手の女にこんな陰毛はそぐわない気がする。

 ツルツルにしたら、どんな気分になるのだろう…
 いっそのこと私も、彼女のように剃り落としてしまおうか…

 …それでおまえは、こんな所で裸になって何がしたかったのかしら?正直に答えなさい…

 想像上の彼女が蔑みきった目で覗き込むように私を見てくる。

「…自慰…自慰行為…」

 実際に、その場でつぶやくように声に出していた。
 自分で始めた妄想上の焦らしプレイなのだが、もう我慢しきれなくなっていた。
 今すぐ乳房や性器を滅茶苦茶に弄りたくなっている。

 …自慰?ああ、オナニーのことね。こんな所で真っ裸で発情しているおまえにピッタリな情けない醜態ね。いいわ。ヤりなさい。わたくしがちゃんとおまえのいやらしい姿を視といてあげる。おまえが浅ましくイキ果てる恥ずかしい姿をじっくりと視せてもらいましょうか…

 嘲笑と共に許しを貰いいよいよというとき、トイレの出入口ドアが無遠慮に開けられたような物音がした。


2024年3月23日

彼女がくれた片想い 08

 彼女に話しかけたのは失敗だった。
 あれ以来彼女は、私を見かけると曖昧な笑顔で会釈してくるようになったのだ。
 それまでモブ扱いだった私が、彼女の中で顔と、おそらく名前まで知る一個人として認識されてしまった。

 普通にコミュ力のある者ならば、それをきっかけに会話して友達とは言えずとも知り合いくらいにはなり、すぐには無理だろうが成り行き次第でもっと核心を突いた話、たとえば、体育の後ノーパンになるのは何故か?とか、講義中のトイレに籠って何をしているのか?とか聞き出すことも出来ただろう。

 その答えによっては、淫靡な秘密を共有する性的友好関係になったり、逆に悪用して私が脅迫者になる世界線もあったかもしれない。
 しかしながらコミュ障をこじらせている私にはそういった普通の対応が出来ず、会釈をくれる彼女からわざと目を逸らすような塩対応をくり返していた。

 それでも彼女が気になる私は、その週の木曜日、二限目の終わった教室を出る彼女の背中を追っていた。
 今日は彼女、どうするのだろう?
 午前中で帰宅するのか、それとも学食で昼食を摂った後、例のトイレに籠もるのか。
 今日の彼女の服装はガーリーな花柄で長めのワンピースなので、もはやすでにノーパンでトイレの線が濃厚かと勝手にワクワクしていた。

 大部分の学生が一階の学食ホールへ向かうのであろうかまびすしい集団の中、彼女の背中を見失わないよう数メートルの間隔を保ち階段を降りる。
 やがて一階の長い廊下へ。
 途中にある正面玄関前の広めなスペースにはけっこうな人溜まりが出来ている。
 後の講義がなくて下校する者や校外で昼食を摂る者などが集っているのであろう。

 数メートル先を歩いていた彼女も、その一群のほうへと方向を変えた。
 一緒にいた数名の友人たちが見送るように対峙して、にこやかに何事か言いつつ手を振り合っている。
 どうやら今日の彼女は学食で昼食は摂らずに学外へ出るらしい。

 そんな様子をゆっくり歩きながら横目で眺めて尾行決定と思っていたら、彼女が近くを通る私に気がついたらしく小さな笑顔で会釈を送ってきた。
 彼女の仕草に彼女の友人たちも振り返り、私のほうを見ている。

 私はそれに気づかないフリをした。
 そんなフリをした以上立ち止まる事も出来ず、そのまま学食方向へ歩き去るを得ない。
 どんどん広がる彼女との距離。
 やれやれ、今日も尾行は出来ないか、と落胆した。

 学食ホールのいつものぼっち飯指定席で美味しいドライカレーをもそもそ頬張りながら、サボりがちだった今日の四限目の講義にも出なくちゃいけないし、と自分を納得させる。
 食後にお茶を一杯飲んでから席を立ち、読書をするために三階のいつもの空き教室へと向かった。

 まだ休み時間中なので三階と言えどもかなりざわついていた。
 早々と次の講義の教室へと入る者、廊下で立ち話に花を咲かせるグループ、トイレへの入口ドアも引っ切り無しに開け閉めされている。
 そんな中、私はいつもの空き教室ドア際席にひっそりと身を沈め、文庫本を開いた。

 ネットで手に入れて昨日から読み始めた羞恥責めをテーマにした官能小説的ラノベ。
 彼女の一連の行動に触発され、それっぽい単語を検索して買ってみた聞いたこともない著者の作品だ。

 知性も品性も感じられない直接的な描写の羅列にいささかげんなりもしたが、読み進めるうちに、そのあからさまに下劣な嗜虐描写の数々に性的な高揚感も感じていた。
 責める側も責められる側も女性の百合と言うかレズビアンメインの小説で、ヒロインが理不尽な辱めを受け羞恥に染まる描写に彼女の姿を何度も重ねていた。

 読書に没頭しているとチャイムが鳴り三限の講義開始。
 さっきまでの喧騒が嘘のように辺りが静まり返る。
 
 文庫本の章立てもちょうど一段落したところで、うつむいていた顔を上げ何気に送った視線の先にトイレ入口のドア。
 そのときふと思った。
 ああいうところで全裸になったらどういう気持ちになるのだろう、と。
 小説の中でも、ヒロインが街のアパレルショップのカーテン一枚の試着室で全裸になることを命じられる場面があったからかもしれない。

 少し迷ったが意を決して文庫本をバッグにしまい、バッグを提げてトイレの入口ドアの前に立った。
 ドアをそっと開くと五つある個室のドアはすべて開いており、しんと静まり返っている。
 彼女が使っていた入口から一番遠い五つ目の個室のドアへ吸い込まれるように入り込みカタンと鍵を掛けた。

 本当にやる気なの?と私の中の良識が呆れたように問い質すが、未知への好奇心が呼ぶ得体のしれない性的高まりがその声をかき消した。
 蓋の閉じた便座の上にバッグを置いて、一度大きく深呼吸。

 今日の私の服装は濃いグレイの長袖無地ブラウスに黒のスリムジーンズ、そして真っ白なスニーカー。
 彼女を尾行することも考えてあまり目立たないようなコーデにしていた。
 六月に入り少し蒸し始めているので、このくらいの服装がちょうど良い。

 まずはブラウスのボタンを外していく。
 トイレの個室でまず上半身を脱ごうとしているという事実がなんだかヘンな感じだ。
 ブラウスから両腕を抜いたら軽くたたんで便座の上に置く。

 次にジーンズを脱ぐためにスニーカーを脱いだ。
 靴下が汚れるのも嫌なので靴下も脱いだ。
 裸足でトイレのタイル張りの床に立つ。

 ジーンズのボタンを外しジッパーを下げ、少し屈みながら足元までずり下げる。
 左右の膝をそれぞれ曲げてジーンズを足首から抜き去り、こちらも軽くたたんで便座に置いた。

 これで私はブラジャーとショーツだけの下着姿。
 そう思った途端にゾワッとした電流が背筋を駆け抜けた。
 ありえない場所でありえない格好になっている自分。

 誰もが自由に出入り出来る女子大のトイレ。
 個室内はプライベートな場所だけれど、着替えを除けば下着姿になる必然性なんてまったく無い。
 日常的な場所での非日常的行為。
 誰かに命じられたり脅されたりもしていない、勧んで自ら行なうインモラルな秘め事。

 つまり背徳感。

 その浅ましい行為に凄まじいほどの性的興奮を覚えている私。
 この段階でこうだったら、下着まで脱ぎ去ったら自分はどうなってしまうのだろう…
 怯む気持ちが一瞬頭をかすめたが、すでにショーツに少量の愛液を滲ませている私に、ここでとどまる選択肢はなかった。


2024年3月17日

肌色休暇四日目~類に呼ばれた友 01

 翌朝、尿意を感じて起きると枕元のデジタルはまだ朝の6時40分。
 おトイレに行こうと起き上がると、お隣でご就寝したはずのお姉さまのスペースはもぬけの殻。

 あれ?お姉さまもおトイレなのかな?
 寝惚け頭で訝しみつつおトイレ前まで行っても鍵はかかっていません。

 ここでようやく不安を感じ始め、小用を足しながら、なぜお姉さまがいないのか、について考えます。
 どんどん不安が膨らんできて、済ませるや否やおふんどしも締め直さずそのままにおトイレを飛び出しました。

 まずは広い寝室をグルっと見回します。
 するとすぐに発見。
 リビングへ通じるドア脇のソファーに置かれたレポート用紙大の置き手紙。
 急いで駆け寄り目を通しました。

 My Dear NAOKO
 昨夜の片付けの手伝いをしてきます。
 シャワーを済ませて7時40分迄にホールに来ること。
 もちろん全裸で。首輪も忘れずに。

 昨夜の片付け、ということは私もお手伝いしに行ったほうがよいのでしょうか…
 でも、シャワーを済ませて、と書かれてもいるので、シャワーを浴びるのはおーけーみたい。
 それならば出来るだけ手早く済ませてからお手伝いに加わるのが得策と判断しました。

 あらためて洗面所に入り、まずは歯磨きと洗顔。
 それからもう一度おトイレに入って大きいほうを排泄。
 髪を濡らさないようにシャワーキャップを着けて浴室へ。
 全身に気持ち良い水圧を感じていると、昨夜のことが思い出されます。

 結局あの後、お尻花火をもう二回、やらされました。
 花火が六本あって二本づつですから計三回というわけです。

 二回目からはお尻をいやらしく揺らすことも命じられ、私は花火を挿したお尻を精一杯突き上げて上下左右にグラインドさせました。
 もちろんそうしながらも内側から伸ばした右手で肉芽を苛めることはやめず、たてつづけにイッていました。
 みなさま、わあキレイ、なんてはしゃぎつつキャハハと大笑いされていました。

 お尻花火の後、五十嵐さまはそのままテーブルに私を寝かせてのローソクプレイをやらせたがったのですが、中村さまの強いご反対のため却下。
 なんでも以前、あるM女さまにローソクプレイをシた後、そのM女さまが肌に付いた蝋をよく落とさずにシャワーを浴びたため排水溝を詰まらせて、修理に来られた業者のかたへのご説明で、とても恥ずかしい思いをされたそうで、後片付けが面倒臭いから、とにべ無くお断りされていました。

 結局、他に良い案もないので、そこでオナニーショーでもしていなさい、ということになり、もっと明るく照らし出されるようにとスポットライトが私の近くに配置し直されました。
 空になったなで肩のワインボトルが手渡されたのは、それをマゾマンコに突っ込めという意味でしょう。

 そして、見物の方々を飽きさせないように自分が今何をシているのかいやらしい言葉でご説明しつつ喘ぎ声も大きく張り上げて身悶えながらイキなさい、という五十嵐さまからのご命令。

 クリットイキで充分火の点いていた私のからだは、より深い膣中イキの快楽を貪欲に切望していたので、表向きは恥じ入りながらもそのご提案をワクワクで受け入れました。
 テーブルに仰向けに寝転んで両膝を立て、その中心に容赦無く空きワインボトルを呑み口のほうから突き立てます。
 ボトルを掴んだ右手はすぐに抜き挿しを始め、左手は大きく膨らんだ右乳首を捻り潰します。

 …あん、奥まで深く突き挿さっています…ひんやりしていて気持ちいいですぅ…直子はワインボトルさまに犯されて悦ぶヘンタイ女なんですぅ…
 …あぁん、奥まで届いてるぅ、イッちゃうぅん、みなさまぁイッてもよろしいですかぁ、ああん、イクぅ、イッちゃうぅぅ…

 ご命令通り自分の浅ましい行為を自分の口で説明しながらクネクネ身を捩らせてアンアン喘ぎます。
 目の前にはわざわざ椅子を移動されてこられた寺田さまと中村さま、私のマゾマンコ側には五十嵐さまと角田さまがそれぞれご親密に身を寄せ合われ、クスクスニヤニヤと薄笑いを浮かべて私の痴態を凝視されています。
 愛しのお姉さまだけはなぜだかお背中を見せて、大きなテーブルのほうを向かれて何かされていました。

 それでも、私の恥じ入るべき姿が好奇の目で視られている、という状況に私の被虐はヒートアップ、ボトルを乱暴に出し挿れしつつグングン昂ぶっていきました。

 …あぁん、またイキますぅぅ、イッちゃいますぅぅぅ…みなさまぁぁぁ、イッてもよろしいで、ぁんっ!よろしいでしょうかぁぁ!!あぁんイクっ!!キちゃうぅぅぅ!!!…

 失神寸前の深く激しい絶頂感の中、意識を手放してはいけないとハァハァ荒い吐息とともにギュッと瞑っていた両目をなんとか開きます。
 始めはボンヤリとしていた視界が徐々につまびらかになってくると、すぐには信じられない光景がそこにありました。

 寺田さまと中村さまが椅子から立ち上がられ、ひしと抱き合いながら熱い口づけを交わしておられます。
 おふたりとも浴衣の前がはだけ気味で、元からサイズ違いの浴衣をお召しな寺田さまに至ってはすっかり帯は解け両襟が割れ、たわわな果実がおふたつともお外に飛び出ていました。

 更に中村さまがその寺田さまの豊満な右おっぱいを左手でむんずと鷲掴みされ、更に更にわしわし揉みしだきもされています。
 恍惚のご表情でお顔を歪められる寺田さま。
 密やかに洩れるふたつの淫声。
 中村さまも寺田さまの左手で下半身を責められているようです。

 何か視てはいけないものを視てしまった気がして視線を逸らすと、そちらには五十嵐さまと角田さま。
 こちらのおふたりも浴衣を盛大にはだけられてくんずほぐれつの真っ最中。
 
 露わとなった五十嵐さまの控えめな胸部に角田さまの長い舌が執拗に這い回っています。
 夜目の中で影を作るほどいきり勃っている五十嵐さまの乳首。
 こちらも恍惚のご表情で弓なりにのけぞられる五十嵐さま。
 断続的に音量の変わる悩ましい吐息。

 思いもよらぬ方々の痴態を唐突に見せつけられて最初は戸惑っていた私でしたが、これは私の浅ましいオナニー姿に誘発されて発情なさっているのでは、と思いついた途端になんだか嬉しくなってきました。
 緩慢になっていた私の右手の動きに活気がよみがえります。

 私が淫らになればなるほど寺田さまや五十嵐さまたちにも気持ち良くなっていただける…
 そう考えただけで得も言われぬ淫靡な高揚感に支配され、自分を虐める両手に拍車がかかり無我夢中の境地に。

 いつの間にか手放してしまっていた意識が戻り、そっと両眼を開けるとそこにはどなたもいらっしゃいませんでした。
 ライト類はまだ灯っているものの聞こえるのは晩夏に気の早い控え目な虫の音、そして仰向けな目の前に広がる満点の星空。
 えっ!?放置されちゃった?と思った瞬間…

「あっ、起きたんだ?意外に早かったね。それじゃあ部屋に戻りましょう」

 聞こえてきたのは愛しのお姉さまのお声。
 お優しげなお顔で互いの唇が触れ合わんばかりに覗き込まれました。

 スポットライトやカンテラを全部消すと本当に怖いくらい真っ暗となり、お空の月や星たちが一層きらびやかに瞬きます。
 お姉さまに手を引かれ裏口からお部屋に戻ると、時刻はまだ夜の10時前。

 ほろ酔いのお姉さまは上機嫌で、それからふたりでお風呂に入り、お互いのからだを洗いっこしてから裸のまんまベッドに倒れ込んで抱き合い、パジャマ代わりのロングTシャツを着てからもしばらくイチャイチャしていたのですが、いつの間にか眠りに就いていました。
 もちろんそのあいだ中、お互いのからだをまさぐり合い貪り合い、お姉さまを何度もイカせて差し上げたのは言うまでもありません。

 気持ち良いシャワーを浴びながら昨夜のあれこれを反芻してバスルームを出ると、時刻はもう7時15分に。
 急がなきゃ、と大急ぎで首輪を嵌め、軽くファンデと髪を梳かしてから全裸のままお部屋を飛び出します。

 大広間に降りるといつもの楕円形テーブル席に中村さまがポツンとおひとり座って、スマホをいじっておられました。
 たっぷりした白いワイシャツをルーズに羽織られた色っぽいお姿。
 頭上のシャンデリアが煌々と輝き、ヨハンシュトラウスさまのワルツ曲が低く流れています。
 これは、美しく青きドナウ、だったかな…

「あ、直子、おはよー。今日はどうしたの?ずいぶん早いじゃない」

 私に気づいてくださった中村さまがお声をかけてくださいました。

「あ、おはようございます。あの、昨夜のお片付けがあるとお姉さまから知らされて、早めに出てきたのですが…」

 中村さまのお声を聞いた途端、昨夜の終わり際の光景を思い出してしまい、なぜだかドギマギしてしまう私。

「ああ、もうとっくに終わったよ。食べ残しや生ゴミを昨夜エミリーがまとめておいてくれたから、テーブル類やカンテラを片付けるだけだったしね」

 中村さまのお声につられるように、厨房へ通じるドアを開けて寺田さまとお姉さまもお姿をお見せになります。
 中村さまは真っ赤なタンクトップにジーンズ、お姉さまは黒のスウェット上下といういでたちです。

「あたしもここでバーベキュー参加するのもう三度目だからね。終わり間際にしっちゃかめっちゃかになるのは知ってたから。去年うちの会社で来たときは、うちの社員一同だけドン引きしていたし」

 お姉さまが呆れたようにおっしゃると、寺田さまが後を引き継がれます。

「ああ、あのときは大人数だったから広場でやったのよね。昨夜みたいにライト照らしてM女ふたりに調教ショーやらせて。百合草ママのお店のお客さんたちもいたから、いたるところでアオカン三昧だったっけ」

 毎年ここでそんな愉しそうなことをされているんだ、と羨ましく思っていると、寺田さまがつづけます。

「でも、去年も昨晩もエミリーが生ゴミを片付けておいてくれて助かったよ。一晩放置しちゃうと野生動物やカラスが食い散らかしたり虫が湧いたりして大変だったろうから」

 お姉さまは私がオナニーショーをやっているとき、どうやらおひとりでせっせと宴会の後片付けに精を出されていたみたいです。
 さすがお姉さま。

「ジョセの散歩までまだ時間あるから、直子もしばらくまったりするといいわ。今、お茶淹れてあげるから。二日酔い気味でしょ?」

 寺田さまがおやさしくお声がけくださいます。
 不思議なことにそんなに二日酔いでもないのだけれど…
 寺田さまが厨房へと引っ込まれ、つづいてお姉さまも。
 中村さまも再びスマホに没頭されたので、手持ち無沙汰の私は座らずにフラフラと大広間の散策へ。

 それにしても立派な大広間。
 思えばここへ来てからこの大広間をじっくり観察するのは初めてなような。
 そう言えば今日は東京へ帰る日だっけ、と思い出し少し感傷的な気分になりつつ、白黒市松模様のフロアをゆっくり歩いて、壁の絵画や見事な彫刻に目を遣ります。

 五十嵐さまと角田さまはどうされたのかな、ひょっとしてまだ眠ってらっしゃるのかな?なんて考えていたら、広間に設えてあるグランドピアノの前にたどり着いていました。
 
 鍵盤の蓋は開きっぱなしで譜面台の上にも数枚の楽譜が置きっぱなし。
 その、ところどころに手書き文字でメモが書かれたスコアシートのコピーには、確かな見覚えがありました。

「あれ?この譜面…」

 私が思わず独り言を洩らしたところへ、寺田さまが湯呑に淹れた熱いお茶をわざわざ私のもとまで持ってきてくださいました。

「はい、煎茶のいいやつ淹れてあげたから。いくらかスッキリするはずよ」

 寺田さまから手渡され、フーフーしながら一口啜ります。
 いい香りとやわらかな口当たりで美味しい。
 エアコンが適度に効いていますから熱いお茶でも美味しくいただけます。

「五十嵐さまと角田さまはまだご就寝されているのですか?」

「彼女たちは片付け手伝ってから、ちょっとその辺ひと回りしてくるって散歩に出かけたの。昨夜ずいぶん燃え上がったみたいだから、まだふたりだけで余韻に浸りたいんじゃないの」

 からかうようにイタズラっぽくおっしゃって、私の顔を覗き込むような仕草をされる寺田さま。
 なぜだかドギマギしてしまう私。
 
「あの、それでこの楽譜なんですけれど、どなたの…」

 お茶を半分くらいまで飲んで一息ついてから気を取り直し、目前に現われた不可思議な疑問について寺田さまにお聞きしてみようと思いました。

「ああ、それは先週来ていたM女さんのものね。忘れてっちゃったんだ。東京に戻ったら返してあげなきゃ」

 あっけらかんとおっしゃった寺田さまがつづけられます。

「アタシらはM女さんとだけ認識してて本名は知らないんだけど、音楽の世界ではそこそこ知られたお名前の人らしいわよ。今どきの若い人向け音楽の裏方さんなんだって。アタシはそういうのぜんぜん疎いのだけれど」
「マダムレイって呼ばれてる三十路半ばくらいのマダムのツレのM女さんで、たぶん百合草ママのお店のお客さんじゃないかな」

「実際、そのピアノで何曲か弾いてくださったの。全裸に乳首クリップと錘ぶら下げて、ボールギャグ噛まされてヨダレぽたぽた垂らしながら」
「えっちだったわよー。豊満なバストがゆらゆら揺れて、そのたびにクリップも痛そうに揺れて」
「演奏の善し悪しってよくわからないけど、確かに凄くお上手だったし、なにより凄く色っぽかった」

「どんな曲を弾かれたのですか?」

「うーん、アタシ、クラシックそんなに詳しくないから、知ってた曲は、亡き王女のためのパヴァーヌ、だっけ?ラヴェルの綺麗なやつ。実際凄く綺麗だった。弾いてるのはおっぱいユラユラ、ヨダレだらだらなM女のクセにね」
「あと印象に残っているのは、なんだか軽やかな曲で、あっ、そう、テレビのお料理番組で聞いたようなメロディの曲」

 その曲の楽譜が目の前のピアノの譜面台に乗っています。
 ストラヴィンスキーさまのペトリューシュカ。

「こんな感じの曲ですか?」

 ピアノに向かい、立ったまま鍵盤に指を置きます。
 あんな難曲、もちろん弾きこなすことは出来ませんが、両手でざっと冒頭のテーマのメロディをなぞるくらいのことは出来ます。
 たぶんそのM女さまであろうかたに、途中まではレッスンしていただいた曲ですから。

 この旅行中も名塚先生絡みで何度かそのお名前を思い出していました。
 中学生の頃にその大胆な水着姿に衝撃を受けた母とお知り合いの美しい女性。
 高校生のある時期には文字通り身も心もご一緒し、私に名塚先生の官能小説を教えくださったそのかたのお綺麗なお顔といやらしいおからだがまざまざと脳裏によみがえります。

 大貫ゆうこ先生。
 マダムレイさまというかたは、その当時からゆうこ先生のパートナーだった立花レイカさまのことでしょう。 
 
 まだつづいていたんだ…
 そしてゆうこ先生は今でもマゾヒストでレズビアンなんだ…
 なんだか凄く嬉しい気持ちに満たされます。

「そうそうそれそれ。タカタンタカタカタッタッターン!」

 嬉しそうな寺田さまのお声。
 私も今でも意外と指が覚えていて、つっかえずに八小節ほど音符が追えました。

「そのM女さまってたぶん、私が高校生の頃に個人レッスンしてくださっていたピアノの先生だと思います」

「あれー?あたしその話、たぶん聞かされていないよ?」

 私が告白すると同時にいつの間にか私の背後まで来られていたお姉さまが訝しげなお声をあげられました。

「あらあら、エミリーがなんだか不満そうね。青かった頃の直子の秘められた思い出なのかな?」

 寺田さまが愉しそうに混ぜ返されます。
 あれ?私、お姉さまにゆうこ先生とのことは告げていなかったかな?
 お姉さまのリアクションを見て私も動揺しています。
 そこに助け舟を出してくださったのは中村さま。

「まあまあ、その話は後でふたりでゆっくり追求してもらうとして、ジョセの散歩時間が迫っているから準備しなきゃ」

「あら、もうそんな時間?じゃあ直子、こっちに来なさい」

 少し怒ってるようなご様子を見せつつ、お姉さまが私を楕円テーブルのほうへと引っ張ります。
 ぞろぞろと後へつづかれる寺田さまと中村さま。

「直子、今朝のお通じはどうだった?大きいほう」

 楕円テーブルの前に対峙してのお姉さまからのご質問。

「どう?とおっしゃいますと…」

「だから出したのか?って聞いてるの」

「あ、はい。出ました…少しゆるめでしたけれど…けっこうたくさん…」

 ゆるめだったのはお酒のせいだと思います。

「ゆるめね。それだと200ってとこかしら」

 お姉さまが背後の中村さまを振り向かれます。
 その中村さまの右手には、いつの間にご用意されたのかガラス製のシリンジ、つまりお浣腸器。
 あの大きさだと100ミリリットルのやつ。

「このシリンジで二発ってとこね」

 お姉さまの手にシリンジが渡り、傍らのボウルから何やら液体を吸い込まれるお姉さま。
 満タンになったシリンジを私に見せてニヤリと笑われたお姉さまがおっしゃいました。

「直子、そのテーブルに上半身だけ突っ伏して、お尻をこちらに差し出しなさい」