2022年9月25日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 07

「あ、それでこちらは某出版社で名塚毬藻先生のご担当を長らくつづけられて、今はフリー編集者の中村佳奈さん。夏のあいだずっと先生とここで過ごされている、言わばこのお屋敷の管理人のおひとり」

 お姉さまのご紹介に身を乗り出されたのが橋本さま。

「名塚先生って、あの、S氏の典雅な生活、の名塚先生ですよね?俺、中坊の頃から大ファンでシリーズ全部持ってます。先生、今いらっしゃるんですか?」

 少し早口お声高になられ、ずいぶんご興奮気味な橋本さま。
 名塚先生って男性向け?たぶんBL?も書かれているんだ、って私もちょっとびっくり。

「ごめんなさいね、名塚は今日は仕事でタカサキのほうまで出ているんです。でも、そんな以前からの作品を今でも読んでくださっている男性ファンがいると知ったら名塚もとても喜びますわ」

 なんだかお仕事っぽい口調になられている中村さま。

「ハッシーはね、こんなサイケなアロハ着てチャラいけれど美大の映像科出てるんだって。だから今日は直子の資料映像の撮影カメラマンもやってもらおうって」
「あ、橋本だからハッシーね。で、こちらのガタイのいいほうが彼のパートナーの本橋さん、モッチー」

 お姉さまのご紹介にペコリと頭を下げられる本橋さま。

「ちょい訂正。俺、美大出てはいない。中退。小難しい理屈ばかりの講義に途中で飽きて嫌になった…」

「あ、でもこいつ、今でもボディビル大会があるとあちこちから呼ばれるほど撮影の腕とセンスはいいんですよ。アングルのとり方とか躍動感の捉え方とか…」

 ご中退告白で少しやさぐれられた橋本さまを、すかさずフォローされる本橋さま。
 五十嵐さまがこれ以上無いくらい嬉しそうにご相好を崩されています。

 そんなご様子を曖昧な笑顔で眺められていた中村さまが、提げていたバッグからスポーツドリンクのペットボトルを二本出され、おふたりにそれぞれ手渡されます。

「ワタシたちはもう少し準備があって、ほら、女の支度は長いから。本当は中で待っていただくのが筋なのだけれど、名塚の滞在中には男性を屋敷の中に入れてはならない、っていうジンクスみたいな不文律みたいなのがあるの。だからあと5分くらい、本当に申し訳ないのだけれど、ここでお待ちいただいていい?」

 おふたりが頷かれるのを見極められてから、お言葉がつづきます。

「渡辺社長のお車は、そこを右に折れて突き当たって左、建物の裏手が駐車場になっていますから、適当に空いているところに入れておいてください」

 なぜだかずっとお仕事っぽくよそよそしい事務的口調な中村さまに促され、私たち4人はもう一度お屋敷の中へ。

「モッチー✕ハッシーいいじゃんっ!お揃いのバミューダパンツ穿いちゃって、見るからにラブラブだねえ」

 上機嫌な五十嵐さまは、ご自分の大きめリュックを覗き込まれ、持っていかれるもののチェックをされているご様子。
 お姉さまが私に近づいてこられ、私のポシェットをたすき掛けのパイスラ仕様にセッティング。

 またブラに布地が貼り付いちゃう、と思ったのですが、乾きも早い生地みたいで空調の効いた室内に戻ったせいか、着たときに感じた通常の透け具合に戻っていました。
 厨房にしばらくこもられてから出てこられた中村さまは、把手の付いた大きなクーラーボックスをぶら下げていらっしゃいます。

「夕方まで時間があるからさ。生鮮食料品は遅めに買って、この中に突っ込んどけばいいわ」

 そのお腰には緑のチュニックによく映えるお洒落可愛い橙色のウエストポーチが巻かれています。

「かなちゃん、ハッシーと話すとき妙によそよそしかったけれど、あの手の男、苦手なの?」

 お姉さまはいつものトートバッグ、たぶん私を虐めるおもちゃもたくさん入っている、を肩に提げられ、中村さまに笑顔でお問いかけ。

「うーん、出版社にいた頃、バイトの女子や作家志望で持ち込みに来る若い女の子にすぐに下品なセクハラまがいかます、ワタシより少し年上の既婚編集者がいてさ、そいつにルックスや雰囲気が似ていたんで、ちょっと身構えちゃった」

 苦笑いを浮かべられる中村さま。

「でも彼、ホモセクシャルなんでしょ?なら心配ないよね。好きだって言っていた先生の小説もちゃんとBLものだったし」

 ご自分に言い聞かせられるように中村さまがおっしゃいます。

「かなぴっぴ?うちらに害をなすかもっていう杞憂なら大丈夫。ハッシーはどう見てもゲイ、それも絶対ウケのほうだよ」

 五十嵐さまが自信満々におっしゃり、私たち声を揃えて、えーーっ!?

「ああいうちょっとヒネた感じのやさ男って、ゲイの中では総じて受けになりがちなんだ。ハッシーは誘い受けだね。ベッドじゃ組み伏せられて悦んでるタイプ、つまるところエム」

「でもあのマッチョな彼のほうが物腰柔らかくて、受けっぽくない?」

 中村さまが異議を申し立てられますが、ふふんとお鼻で笑われる五十嵐さま。

「ううん、彼のほうはベッドじゃたぶんケダモノよ。ラグジャー着ていてあのガタイだもん、絶対脳筋だし、本能に忠実な攻めタイプ」

「ふーん、ホモセクシャルってそういうものなのかしら…」

 何やら生々しい会話が繰り広げられ、私はかなり引き気味。
 そうこうしているうちにみなさまのご準備が整ったようです。

 4人で再びお庭に出て、中村さまがしっかり施錠。
 玄関の壁に掛かったアンティークな振り子時計を見ると、時刻は午前11時を15分くらい過ぎた頃。
 本当に私は、人がたくさん集まっていらっしゃるらしいアウトレット?モール?に、こんな透けブラ姿で連れ出されることになってしまいました。

 見慣れぬ男性おふたりをご警戒されていたのか、少し遠巻きにウロウロされていたジョセフィーヌさまが、現われた私たちをみつけられ嬉しそうに駆け寄ってこられます。
 中村さまが持たれていたコンビニ袋をお見せになられつつ、ジョセフィーヌさまに何事かを語りかけられながら、芝生の小屋へと連れ戻されます。
 
 アプローチには門に向けて方向転換されたシルバーグレイのワゴン車のみ。
 お姉さまのお車は駐車場に入れられたのでしょう、消えていました。

 出てきた私たちに気づかれ、車外へと降りられる本橋さまと橋本さま。
 同時にワゴン車側面のスライドドアがススーっと開いたのですが、それを無視され五十嵐さまが橋本さまに駆け寄られます。

「はい、これビデオカメラ。充電バッチリで32ギガ積んである。頼んだわよ、撮影カントク、ハッシーさん?」

「あ、いや俺、自分の使い慣れたやつ持ってきたから。メモリーカードに録画するから終わったらすぐに渡せる」

 そうおっしゃって右手に嵌めたオレンジ色のハンディビデオカメラを私に向けてこられる橋本さま。
 思わずバストを庇ってしまう私。

「そっか、ならこのビデオはエミリーさんに託そう。撮影されている直子を撮影するのもメイキング映像みたいで面白そう」

 この三日間、私の痴態を記録しつづけてきたビデオカメラが本来の持ち主さまのお手に戻ります。

「おっけー、任せといて」

 お姉さまの朗らかなお声が合図だったかのように、本橋さまと橋本さまがそれぞれ運転席と助手席へ。
 スライドドアから覗く車内はずいぶん広く、座り心地の良さそうな立派な後部座席シートがフロントグラス向きに三列も並んでいます。

 運転席に本橋さま、助手席に橋本さまがお座りになられ、その後ろの席に私と五十嵐さま、その後ろに中村さまとお姉さま。
 それぞれのお荷物を足下に置き、大きなクーラーボックスを積んでもまだまだ余裕な広さ。

 それぞれがシートベルトを締め、スライドドアがススーっと閉じるとブルンッとエンジン音。
 一拍置いて流れてきたノリのいい音楽は、来るときにも聴いた覚えのあるレディ・ガガさまのヒット曲。
 車内にはエアコンがほどよく効いて、フローラル系の芳香剤っぽい香りが甘く漂っています。

「森下さん?大丈夫?臭くない?」

 ゆっくりと滑り出すお車のシートに背中を預けてひと息ついていた私に、唐突にお尋ねくださる本橋さま。

「えっ?あの、えっと、何が…ですか?」

「この車、いつも男ばかりの集団で使っているからさ、シートとかに男臭い体臭が染み込んでるんじゃないかと思って、掃除がてら消臭剤と芳香剤みんなでかけまくってきたんだ。タバコ吸うやつもいるし」

「あ、そうだったのですか…大丈夫です。ぜんぜん気になりません。それにあの、却ってお気を遣わせてしまって、ごめんなさい…」

 その細やかなお心遣いに恐縮してしまう私。
 私、スタンディングキャット社の方々から、本当に姫扱いされているのかもしれません。
 でも、そんなせっかくのご厚意をまぜ返すお声が、私の背後から聞こえてきました。

「あれ?あたしの車のほうは?」

 お姉さまのお声にすかさず応えられたのは橋本さま。

「はいはい、チーフの車は近くのスタンドで洗車ワックスと室内清掃オイル点検殺菌消毒までして、ガス満タンでお戻ししましたよっ」

 お姑さんがお嫁さんに口答えするみたいなニクタラシイご口調でのお答えに車内爆笑。
 和気藹々とした雰囲気で発車です。
 ジョセフィーヌさまのお散歩コースな広場へとつづく曲り角もお車だとすぐに通過。

 お車はずーっと木立の道、未舗装の林道のような道を進んでいきます。
 時折ガタガタはしますが乗り心地はいい感じ。
 なだらかな円周カーブがつづいているので、お山をグルっと周りながら下っているのでしょう。

 風景は見渡す限り延々つづく木立で、その奥はいずれも草木の生い茂る森林です。
 人家や建物っぽいものは何一つ見えず、もちろん信号機もすれ違うお車もひとつもありません。

 お車が走り始めてからしばらくは、お隣に座られた五十嵐さまから、いつ私に恥ずかしいご命令が下されるのか、とビクビクしていたのですが、今のところそんな気配もありません。

 と言うか五十嵐さま、本橋さま橋本さまへの取材に夢中なご様子で、本当に女性の裸を見ても興奮しないのかとか、初見で会ってホモとノンケの区別はつくのかとか、サウナや銭湯の男湯で好みのからだに出会ったらマークするのかとか、いささか下世話なご質問を矢継ぎ早に投げかけられています。

 そんなご質問にひとつひとつ律儀にご丁寧に、ときにユーモアを交えてお答えになられる橋本さまと本橋さま。
 ちなみに、女性の裸で興奮しないのか、というご質問に橋本さまは、綺麗な裸だったら、ああ綺麗だなーと美的芸術的な感心はするけれど性的な興奮は無い、綺麗じゃなかったら不快感しか無い、というお答えでした。

 お姉さまは後ろのお席で、私の知らないお仕事関係のかたのお話で中村さまと盛り上がられているご様子。
 どちらの会話にも混ざれない私だけ暇を持て余し気味に、車窓を流れる森林の景色を漫然と眺めていました。

 そんな感じで20分くらい走った頃、延々つづいていた森林が突然途切れ、草ばかり生い茂る平地に出ました。
 緩いカーブがつづくその道の左右は、以前は何かの畑だったのだろうなと思わせるそれほど広くはない草地となっていて、私の窓の側に凄く久しぶりに見る人の手が入った建物らしきものが迫ってきています。

 通り過ぎるときに目を凝らすと、そこだけ少し人為的に草を刈り取られたっぽい空き地の奥に、お寺か神社かなと思わせる木造二階建ての大きめな建物。
 
 なにぶんお車があっという間に通り過ぎてしまったので、その建物が何なのかまではわかりませんでしたが、もう長いあいだ使われていない=どなたも住まわれてはいない、ということは、見た感じの古さや荒れ具合でわかります。
 せっかくの建物なのに他のどなたも気に留められなかったようで話題にはならず、通り過ぎるとすぐにまた鬱蒼とした森へと入り、木立の林道へと戻りました。

 その林道を更に5分くらい走った後、お屋敷から走り始めて初めてのブレーキ。
 えっ?どしたの?と前を見ると、道の両脇から踏切の遮断機みたいな黄色い棒が行く手を塞いでいました。

 本橋さまが窓を開けられ、傍らの機械にカードみたいのをかざすと棒がスルスルっと左右に割れます。
 お車が通過してから振り向くと、棒がすぐに元に戻って再び通せんぼ。

 なるほど。
 これでみなさまが、ここは私有地だから、とおっしゃる意味が初めて理解出来た気がしました。
 でも、あんな遮断器、その気になればたやすく突破出来ちゃうような気もしますが…

「ほい、カード返しますわ」

 橋本さまが背もたれ越しにカードを私に差し出されてきます。
 受け取ると、表面に少し前に流行った動物を擬人化したアニメの美少女キャラ百合カップルの絵柄シールが貼られたクレジットカード大のプラスティックのカード。
 私も振り返り、斜め後ろのお姉さまに差し出します。

「それはエミリー、持っていていいよ。どうせ来年も来るでしょう?」

 お姉さまは中村さまに渡されようとされたのでしょう、中村さまのそんなお声が聞こえてきました。
 お車はいつの間にかまた木立を抜けて田園風景の中を一直線、やがてT字路に突き当り、舗装された普通の二車線道路が現われます。

「国道だー、やっと外界に降りられたーっ」

 五十嵐さまのずいぶんはしゃいだお声。

「今日は空いていそうだし、ここまで来たらもう20分も走らずに着けるはずです」

 運転席の本橋さまからのご説明。

「今日って金曜日でしょ?やっぱ混んでるんじゃない?先週の金曜日なんて駐車場どこも一杯だったよ」

「いや、でももうガキンチョの夏休みは終わってるから、少なくとも家族連れはもういないでしょ。いるのは暇な大学生と外国人観光客くらいじゃない?」

「でも週末だから、夕方から夜にはカップルとか増えそうね。モール目当ての客目当てで駅周辺にホテルも増えたし」

 口々にいろんなことをおっしゃるみなさま。
 車窓の田園風景にも民家やお店のお姿が混ざり、すれ違うお車も増え、歩道を歩かれる人のお姿もちらほらお見かけして私も、今までいたお屋敷周辺は明らかに別世界だったんだ、と実感しています。

 そんな窓を見ていてふと気づいた、スモーク加工された暗めのガラスに薄っすらと映り込む今の自分の姿。
 赤い首輪を嵌めて青いブラが透けている薄物一枚な私の上半身。

 すっかり別世界に馴染み切っていたので、自分がワンちゃんの首輪を嵌めていることをすっかり忘れていました。
 首輪…マゾ女のシルシ…
 途端に背筋を快感のような悪寒のような、心地良いような悪いようなさざめきがゾゾゾーっと駆け上ります。

「直子的にはギャラリー多いほうが嬉しいんだろうけど、そもそもあのモールって撮影おっけーだったっけ?」

 中村さまから今更ながらの根本的な疑問のご提示。

「うーん、知らないけれど動画投稿サイトであのモールの食レポとかお店ガイドやレビューとかよく見るし、大丈夫なんじゃない?」

 五十嵐さまからのいたって楽天的なお答え。

「でもまあ有名企業の運営だから、あんまり目立たないほうがいいことだけは確かだよね。あたしらは動画をネットに上げる気は更々無いけれど」

 ご慎重なご意見はお姉さまから。

「目立たないようにって言ったって、アブノーマルな首輪嵌めてスケスケ衣装のこんな女の子被写体にしていたら、人目につかないわけないとは思うな」

 中村さまの至極常識的なご意見。

「まあそのへんはハッシーモッチーのボディガード勢に頑張ってもらいましょう」

 あくまで楽天的な五十嵐さま。

「あ、でも先週来てたM女も、ここでけっこうキワドイ撮影したって寺っちが言ってたっけ。ワタシは用事で参加出来なかったのだけれど」

 傍証を思い出された中村さま。

「ヤバいゲリラ撮影したいなら変にコソコソせず、許可ちゃんと取ってまーす、って感じであっけらかんとカメラ向けていれば、見てるほうも、あ、何かのロケだな、って感じで意外とスムースに無駄なトラブル無く撮れるもんだよ」

 橋本さまの、おそらくご経験則からきているのであろうお言葉で、その議論は終りとなりましたが、逆に私のドキドキは最高潮。
 これからどんな辱めが待ち受けるのか、両腿の付け根が潤みっ放しで股間のクロッチがべったり貼り付いているのがわかります。

 お車は舗装された道路を快調に進み、行き交う他のお車や歩道を歩かれる方々のお姿もどんどん増え、日常世界に舞い戻ってしまったことをあらためて思い知ります。
 平日のランチタイムが終わった午後二時過ぎ頃の池袋繁華街くらいに人波とお車が増えてきた頃、進む先の路上に赤い棒を持たれた警備員さまらしき制服を着られた複数の男性のお姿が。

 その警備員さまが振られる赤い棒に導かれ、お車は広大な駐車場へ。
 とうとう着いてしまいました。
 意味も無くブルッと身震いしてしまう私。

 出入口近くこそ色とりどりのお車が整然と駐車されていますが、もっと奥の広大な駐車スペースにはまばらにポツンポツンという感じ。
 お近くに空きスペースをみつけられ駐車態勢に入られようとする橋本さまに、五十嵐さまから待ったがかかります。

「もちろん車は出入口近くに駐めるとして、直子とうちはあの警備員から死角になりそうな遠くで降ろしてくれない?もちろんモッチーもカメラマンとして着いてきて」

 五十嵐カントクさまのご指示が下され、いよいよ私の辱め映像撮影が始まるようです。
 駐車態勢から方向を変えられた橋本さまは、そのままゆっくりと広大な駐車場の出入口から見て一番端っこ、芝生と建物の背面で隔てられた駐車まばらなスペースまでお車を移動されます。

「そうね、この辺でいいわ。戻って車を駐車しておいて。悪いけれどみんなはちょっと待っていてくれる?外が暑かったら車の中で」

 五十嵐さまに促され、お車を降りる私とビデオカメラ片手な本橋さま。
 本橋さまはいつの間にか、これもペイズリー柄の真っ赤なバンダナを頭に海賊巻きにされています。

 お車が私たちを離れ、相変わらず快晴なお空の下、五十嵐さまと私が芝生の手前で対峙し、その横から本橋さまのレンズが私たちを狙っています。
 遠くにはひっきりなしに行き交う人たちのお姿が見え、背中側からはショッピングを楽しまれているのであろう賑やかな人々の喧騒が聞こえてきます。

「さて直子ちゃん、これからお望み通り、あなたの露出癖が充分満足出来るくらいに、おまえを公衆の面前で辱めてあげる。ふふっ、嬉しいでしょう?」

 ずいぶんお芝居がかった、でも充分嗜虐的なお顔になられた五十嵐さま。
 あの、いえ、私、それほど望んでもいないんですけれど…
 
 反発心からか心ではそう思うのですが、反比例するみたいに肉体でざわめく性的興奮。
 聞こえ来る人々の喧騒が頭の中でわんわん鳴り響いています。

「まずはこの場で、そのブラジャーを外しなさい」
 
 最初から悪魔のような五十嵐さまのご命令。

「シャツを脱いでからでも、着たまま両手を中に入れてのモゾモゾでも、どっちでもいいよ。要はさっさと脱いでブラをうちに渡しなさいっ!」

 心の底から蔑み切ったような五十嵐さまのお声が、怯える私に投げつけられました。

2022年9月19日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 06

「メイクはこんなもんでいいでしょ。次はイガちゃんにコーデしてもらいなさい」

 お姉さまのご指示で五十嵐さまのもとへ。
 テーブルの上に色とりどりのお洋服類が乱雑に置かれています。

「ほい、じゃあまずこの下着を着けて」

 五十嵐さまから手渡されたのは、シルクっぽい手触りの薄手なブラとショーツ。
 光沢のある薄い青色で、ブラはハーフカップ、ショーツはローライズ気味のビキニタイプ。

「あれ?ノーブラノーパンで連れ回すんじゃないんだ?」

 ご自身でのメイクを終えられ一段と艶やかなお顔となられた中村さまが、からかうみたいに五十嵐さまへご質問。

「あたりまえじゃない。露出調教のキモって、まわりにたくさん人がいるところでだんだん薄着になって、なんで自分はこんなありえない場所で、ありえないくらい恥ずかしい格好をしているんだろう、っていう背徳的な興奮を愉しむものだもん」
「最初から大サービス全部おっぴろげーじゃ、ファーストインパクトだけですぐ行き詰まっちゃうし、運が悪けりゃ公然猥褻、即通報。ね?直子?」

 ね?と同意を求められても私は、これからされることへの不安7と期待3のドキドキでおっしゃっているお言葉の意味を考えることが出来ず、上目遣いに五十嵐さまを見つめるばかり。

「ふーん、そんなもんなのかー。生憎アタシにはそういう特殊でアンモラルな性癖、ないからなー」

 相変わらず茶化されるみたいにご愉快そうな中村さま。

「はいはい、シャツはこれね」

 中村さまの軽口をスルーでいなされて、クタッとした白い布片を私に渡してくださる五十嵐さま。
 布片を広げてみるとシフォン?の半袖ブラウス。
 一昨日駅に着いたときに、前結びTシャツの上に羽織るのを許されたシャツブラウスによく似た質感。

 襟ぐりと袖口にレースが施してあってふうわり可愛いらしいのですが、生地全体が頼りなさげに薄っぺらい気が…
 前ボタンを全部外してから袖を通すと案の定、薄いスカーフのような真っ白い生地が光を通し、ブラの青色がスケスケ。
 
 はっきりと言うほどではないにしても、薄っすらというほど奥床しくもなく。
 生地はしんなり軽やかで夏向きの良い素材なのでしょうけれど、汗をかいたらすぐにべったり肌に貼り付いちゃいそう。

「で、下はこれ」

 差し出されたのは真っ赤な布地。
 広げてみると台形シルエットのショートスカート、フロントに銀色の大きめなボタンが六つ並んでいます。

 ウエスト部分のボタンをひとつ外して両脚を通すと、丈は膝上10センチくらい。
 ウエストも私にピッタリでベルトをしなくても大丈夫な感じ。
 ただし、普段こんな派手に真っ赤なスカートは穿かないので、なんだか気恥ずかしい。

「シャツはスカートにインしちゃったほうが可愛いいね。うん、そうそう。あと胸元はもうひとつ空けちゃって」

 五十嵐さまのご指示通りにすると、シャツの薄い布地がますますバストに吸い付き、ブラジャーの青色が白地の下にますます浮かび上がってしまいます。
 胸元のボタンは三つ目まで外れ、おっぱいの膨らみ始めまで素肌が覗いています。

「直子って、こういうブリっ子ぽいのもよく似合うんだよね。地下アイドルグループの一番右端、歌はいまいちだけどダンスのキレはダントツ、みたいな」

 お姉さまからの褒めらているんだか、茶化しているだけなのかご不明なご感想。
 私は、明らかに透けているブラが気になって仕方ありません。
 こんな格好で本当に人前に出るのでしょうか…

「あのお姉さま?…このシャツ、ブラが完全に透けちゃっているのですけれど…」

 堪えきれずお姉さまに向かってすがるように直訴してしまう私。
 お手持ちのタブレットに視線を落とされていたお姉さまがお顔を上げられ私を見遣り、ニッと笑いかけておっしゃいます。

「それくらいなら気にすることないわ。透け感コーデはここ数年定着しているし、今年の夏はへそ出しや肌見せも流行っているじゃない」

 にべ無く却下されるお姉さま。

「あ、そのスカート、ポケットに小銭とか入れないでね。左右ともざっくり穴空きだから」

 五十嵐さまがいたずらっぽくおっしゃって、私をじっと見つめてきます。

「どうしてだかわかる?」

 見るからにえっちなお顔で私の顔を覗き込まれる五十嵐さま。

「えっ?あっ、ぃいえ…」

 自分の衣服にもそういう細工を施したことがあるので、思い当たるフシが充分にあるのですが、ここは敢えて知らんぷり。

「直子みたいなスケベな変態ちゃんがいつでもどこでも、ポッケに手を突っ込みさえすればバレずに直でクリちゃんに触れちゃう街角アクメ仕様、って、そんなのAVとかエロ漫画でしか見たこと無いんだけどもね」

 とても嬉しそうに教えてくださった五十嵐さま。
 つまりこれで、私は公然の場でクリ弄りを命ぜられるのが確定したということです。
 それにこのスカートの前ボタン仕様にも不穏な意図を感じています。

「だったら直子の私物はポシェットに入れてぶら下げさせればいいわね」

 五十嵐さまにお応えされつつ、お姉さまが私のポシェットに私のスマホを入れられます。
 これでパイスラも確定。
 ついで、という感じで、一昨日から私を何度も悦ばせてくださったリモコンローターのローター部分だけを放り込まれたのも見逃しません。

「直子はこれでよしとして、うちもお出かけ仕様に着替えようっと」

 その場で何の躊躇もされず、スルスルっとTシャツをお脱ぎになられる五十嵐さま。
 やっぱりノーブラで白い素肌に控えめな膨らみ、淡いピンク色の頂点だけが艶かしく目立っています。

 ふたつの頂点に幅広めなニップレスを貼り付けられた五十嵐さまが、無造作にグレイのスウェット生地らしき半袖パーカーを素肌に羽織られます。
 更にジーンズ地のショートパンツも勢いよく下ろされ、下着は何の変哲も無い白無地フルバックショーツ。
 その上に同じスウェット地の膝丈ボトムを合わせられます。

「ちょ、ちょっと、イガっちの基準だとそれでお出かけ仕様になるの?あたしのジョーシキだと、それってただの部屋着なんだけど」

 心底ご愉快そうにツッコまれるお姉さまを、唇の前でチッチッチと人差し指を振られてお芝居っぽくいなされる五十嵐さま。

「ふふん、うちはジモッティだからね、モールに行くぐらいでいちいちオシャレとかしないのだよ。それに今日はカントクだし」

 得意満面な笑顔を見せられた五十嵐さまが、その笑顔でお姉さまと中村さまをじーっと見つめられました。

「エミリー姉さんは直子のマネージャーみたいなものだから、そのままオシャレッティでいいけど、かなぴっぴのそのキャミ、ちょっとえっち過ぎない?主役にケンカ売ってる的な。かなぴっぴは今回、うちのAD的な役割なんだし」

 中村さまを挑発されるように見つめられる五十嵐さま。
 その視線をまっすぐに受け止められた中村さまの唇が苦笑の形に綻びました。

「ワタシだってこの格好で外に出かけるつもりは無いわよ。ヘンに目立つと後々めんどくさいし、毎年来るところだからね」

 テーブル上の衣類を物色され、やがて決められたのか、キャミワンピの裾を一気にまくり上げられます。
 上下黒で布小さめな三角ブラにTバック、その他は何も身に着けていらっしゃらない中村さまの艶やかな肢体に息を呑む私。

 形良く上向きなバスト、シュッとくびれたウエスト、そのくびれからなだらかにつづく引き締まったヒップ。
 そこから更につづくスレンダーなおみ足が黒いレギンスに包まれ、上半身は鮮やかなグリーンのざっくり半袖チュニックで隠されます。
 先ほど仕上げられたメイクとも相俟って、妖艶な美女ADさまの出来上がり。

「これなら文句無いでしょ?で、お迎えは何時だっけ?」

 最初のは五十嵐さまへ、後のはお姉さまへのお尋ね。

「もうそろそろと思うけれど…」

 お姉さまのお答えが終わらないうちに中村さまの絶叫が響き渡りました。

「あーっ!洗濯物取り込むの忘れてたぁーっ!」

「そう言えばさっきネットニュース見てたら、午後からゲリラ豪雨あるかも、って」

 お姉さまのお言葉にみなさま大慌てで散りました。
 中村さまは厨房の中に一度引っ込まれ、すぐに大きなランドリーバッグを肩に提げて戻られます。
 五十嵐さまはテーブル上に残った衣類をひとまとめにしてスーツケースに戻した後、ホール奥のお廊下のほうへと走られます。

「ほら、あたしたちも手伝わないと」

 お姉さまに手を引かれ、私たちは正面玄関へ。
 扉を開けるとお外はドピーカンの残暑晴れ。
 サンダルをつっかけて芝生へと急ぎます。

 そう言えば、こんなにちゃんと下着まで着けてお洋服を着たのはいつぶりだろう?
 木立を抜けながら考えたら、たぶん出発のとき、お姉さまのお車に乗り込んだとき以来?
 からだに纏わり付く布地の感触に違和感を感じてしまっている自分に少し呆れてしまう私。

 五十嵐さまは芝生のほうの出入口から、大きなランドリーバスケットを携えてご登場。
 ちょうど例のシースルーバスルームのすぐ裏手に当たり、そんなところに出入口があるなんて知りませんでした。
 でもまあ知ったところで、私には使わせていただけないのでしょうけれど…
 
 そよ風にひらひら揺れているお洗濯物たちは、どれも完全に乾いているようでした。
 広大なシーツ類を私たちが取り込んで雑にたたむと五十嵐さまがランドリーバスケットに投げ込まれ、中村さまは下着類のほうを手際良くバッグに取り込まれます。

 急に全員わらわら現われた私たちに気づかれたジョセフィーヌさまが、喜び勇んだご様子で駆け寄ってこられ、中村さまと私とのあいだを行ったり来たりじゃれつかれます。
 まばゆいばかりのお陽さまが真上近くまで昇り、緑の芝生に陽光が燦々と降り注いでいます。

 空調の効いた室内からいきなりの炎天下ですから、全身に汗がじわりと滲み出ます。
 そして気づいてしまいました。

 今着ているこの白いブラウス。
 濡れると嘘みたいに透けるんです。

 大きなシーツを持ち運べるくらいにたたんでランドリーバッグへ。
 それだけの作業で私の首筋から胸元くらいまで汗じんわり。
 濡れたブラウスの布地が私の素肌に貼り付き、その部分がまるで透明ビニールみたいに肌色とブラの青色に透けていました。

 布地を肌から離せばいくらかマシにはなるのですが、濡れた布地はすぐに肌にくっつきたがります。
 全部の取り込みを終える頃には、私のバストアップは満遍なくブラウスが貼り付いて青色ブラジャー丸見え状態。

 これ、もしもノーブラで着せられていたら…
 やっぱりお姉さまにお願いして、せめて上に何か羽織るものくらいお許しいただこう…
 そう決めてお姉さまのお姿を探そうとしたとき、木立の向こうでお車のエンジン音が。

「あ、来たみたいね。タイミングいいじゃない」

 私から離れた支柱から紐を外されていたお姉さまが、お近くにおられた五十嵐さまに話しかけられ、五十嵐さまに紐を預けられて玄関口のほうへと駆け出されました。
 離れて見守っていた私は五十嵐さまと目が合い、五十嵐さまが近づいてこられます。

「へー、そのシャツ、汗で濡れるといい感じに透けるねー。本番が愉しみ…」

 お独り言にしては大きめなのは、ワザと私に聞こえるようにおっしゃったのでしょう。
 そのお一言で私は、お姉さまに助けを乞うタイミングを失います。
 そこにブッ、ブッと短いクラクションの音。

「ほら、直子もお出迎えしなくちゃ。今日の運転手と撮影カントクだってさ」

 今度は五十嵐さまに手を引かれ、正面玄関側へと連れ出されます。
 アプローチにお車が二台。
 玄関に近いところにお姉さまの愛車、その後ろにシルバーグレイで大きめのバン?ワゴン車?

 その傍らでお姉さまとお話されている男性おふたり。
 本橋さまと橋本さま。
 そう言えば昨日、ここまで送っていただいて去り際に、明日お姉さまのお車を戻しにこられる、とおっしゃっていたのを思い出しました。

「あっ、直子が来た。ほら、こっち来てご挨拶なさい」

 お姉さまに呼ばれ近づきます。
 本橋さまは相変わらずのラグビージャージ姿ですが、昨日のとは色が違って今日は黒と山吹色の横縞模様。
 橋本さまもTシャツにアロハはお変わりありませんが、今日のアロハは赤やピンクの極彩色で目眩ましみたいなペイズリー柄。
 ボトムは昨日と同じ、おふたりお揃いの濃茶のバミューダパンツ。

「イガちゃんの取材ツアーに無理言ってつきあってもらうことにしたのよ。ほら、いろいろアブナイことすることになるから、女性だけより周りにゴツい男性もいたほうが何かと心強いでしょ」

 お姉さまに促され、胸元に貼り付いているブラウス布地をさりげなく剥がしてから、よろしくお願いいたします、とお辞儀してご挨拶。

「いやいや、チーフにはいつもお世話になっていますし、今日はちょうどぼくらが買い出し当番だったから予定的にも問題無いんです」

 マッチョ体型の本橋さまがにこやかな笑顔でおっしゃいます。

「それに、森下さんは、あのイベント以来すっかり弊社のアイドルになっているんです。大胆なのに儚げで、絶対に汚してはいけない存在、みたいな。あ、もちろんそこに男女間の性的な意味は一切ないですよ」

 最後の部分だけ慌てたように強調される本橋さま。

「だから今日も、くれぐれも粗相のないように、って言われてきてるんです」
 
 あの急遽モデルをさせられたファッションショーイベントのとき、スタンディングキャット社の方々もたくさんお手伝いに来てくださいました。
 あのときはメイクやウイッグで別人のモデルになりすましたはずだったのですが、その後も両社の交流で社員同士お顔を合わせていたりしていましたので、あのモデルが私だったということは、すっかりバレていました。

「ちょっとモッチーの脚、見てやってくださいよ」

 それまでニヤニヤと本橋さまのお話を聞いておられたアロハ姿の橋本さまが、お話に割り込まれてきます。

「あーっ!」

 私とお姉さまで綺麗なユニゾン。
 確か昨日はモジャモジャだったスネ毛が今日はツルツルのスベスベ。

「昨日の夜の宴会で、チーフたちを迎えに行ったときの話になったんですよ」

 思い出し笑いを堪えきれない、という感じの橋本さま。

「で、俺らが旅館に着いて車から降りて、チーフたちが出迎えてくれたじゃないですか。あのとき、おまえの脚を見て姫が、あ、俺ら身内では森下さんのこと姫って呼んでるんで、姫が怯えてたぞ、と」
「姫が男性のモジャモジャした体毛や体臭が苦手なことは、チーフや玉置さんから聞いてみんな知っているんで。で、明日もお供を頼まれたのにそいつはケシカラン、ってことになって」

 もはや半分笑いながらお話をつづけられる橋本さま。
 私、橋本さまたちから姫なんて呼ばれてたんだ…と、なんともこばゆい気分。

「で、俺ら八人で旅行に来てるんだけど、七人がかりで嫌がるモッチー押さえつけてズボン脱がせて、脱毛テープでスネ毛をバリバリっと…」

 そこまでおっしゃられて、もはやお話できないくらいに吹き出された橋本さま。

「本当ひどいやつらでしょ。でも最近の脱毛テープって意外に痛くないんだね。専用のローションとかもあってスーッとして。スベスベも案外悪くない」

 マッチョな本橋さまが満更でもないお顔でおっしゃいます。
 私あのとき、そんな顔しちゃっていたのかな、と申し訳ない気持ちも湧きますが、お姉さまはただただ呆れられているご表情。
 そこに五十嵐さまが興味津々なお顔で割り込まれてきます。

「あなたたちって、本物のゲイカップルなんだ!?」

 率直と言うかいささか不躾なご質問。
 眉間にちょびっとシワを寄せられたお姉さまが割って入られ、ご紹介が始まります。

「ごめんなさいね。こちらは、この別荘の住人のお友達の五十嵐ショーコさん。あたしも昨日初めてお会いしたばかり。同人で漫画を描かれていて、その取材の一環として今日の直子の大冒険を企画した首謀者でありディレクター。イガちゃんて呼んであげて」

 つづけて五十嵐さまに向けて、

「こちらは、あたしたちの会社とパートナーシップを結んでいるスタンディングキャット社の社員さんで、マッチョなこちらが本橋さん、チャラ男風なこちらが橋本さん」

 チャラ男はひどくね?と本橋さまに小声で訴えられる橋本さま。

「スタンディングキャット社、あたしたちはタチネコ社って呼んでいるんだけど、ていうのは、あたしたちがレズビアン向けのアパレルを扱っているように、タチネコはダンショクカの人たちに向けての商材を専門に扱ってる会社。目指す方向が同じかつ特殊だから生地の相談とか何かと話が早くて、仲良くさせていただいているの」

 そこでいったんお言葉を切られ、いたずらっぽく微笑んだお姉さま。
 
「それでイガちゃんのさっきの質問だけど、答えはイエス。昨日ここに着く前にランチタイム休憩を森の中で別行動で取ったのだけれど、あたしらから離れた場所でここぞとばかりにくんずほぐれつヤッてたみたい」

 本橋さまが照れたようなお顔をされ、五十嵐さまの瞳が爛々と輝いてお独り言みたいにつぶやかれます。

「今日は夢みたい。エロ可愛い真性マゾ娘の野外羞恥露出と本物三次元BLのイチャイチャをこの目で生ライブで堪能できるんだ…」

 感極まって祈るようにお空を見上げる五十嵐さまの瞳からお星様がキラキラ本当に零れてきそう。
 そこへ、お洗濯物のお片付けを終えられたのでしょう中村さまが、片手に小さなバッグを提げられ、私たちへと近づいてこられました。