椅子の背もたれに背中を押し付け、動かせないからだを小刻みに捩りつつ、果てたと思ったらまたすぐ昇りつめる、をくりかえします
クネクネと身悶えるたびに、汗とよだれを吸った縄地が、濡れた素肌をヌルヌルと擦っています。
どれだけイッても、二穴一豆責めのバイブレーターたちは動きを止めてくれません。
「あっ、あーっ!いやっ、またっ、あっ、あんっ、あーーっ!!」
「マゾ子のいやらしいヨガリ声、ちょっとうるさくないですか?」
私のお尻をバチンバチン叩きながら、ヨーコさまが里美さまに尋ねました。
「そう?わたしはとくに気にならないけれど・・・」
ビデオカメラのレンズを私の股間に向けたまま、里美さまのお答え。
「こういう調教プレイだと、真っ先にボールギャグとかかませて言葉を奪っちゃうじゃないですか?とくに海外のボンデージものなんか」
ヨーコさまが幾分不服そうにお言葉をつづけました。
「そういうのも支配欲ていうか隷属感が出ていいな、とも思うんですよね。でもテーブルの上に口枷とかマスクの類が見当たらなかったから・・・」
「ああ、声がうるさくないか?って聞いたのはそういう意味だったんだ」
里美さまが構えたレンズをスーッと私の顔のほうへと上けつつ、おっしゃいました。
「それはね、マゾ子のお姉さまのご要望でもあるの、今日の様子を記録して後で見せるように言われているから」
「彼女はね、ボールギャグとか目隠しとかドレイの顔を弄るプレイは好みじゃないのよ。前頭マスクなんてもってのほか」
「普段取り澄ましている顔が、責められることによってどのくらい浅ましいスケベ顔になるのかを視て愉しむ、根っからの顔フェチなのよ」
「それに言葉で辱めて会話しながら弄ぶタイプでもあるから、めったに口は塞がないらしいわ。このマゾ子はそういうお姉さまに躾けられているの」
あなたたちのことは何でも知っているのよ、とでもおっしゃりたげな、はっきり私に向けての里美さまのお言葉。
「そうなんですか・・・アタシは、そういう、ドレイをモノ扱いする、みたいなシチュも好物なんすけどね」
ちょっぴり未練がましくおっしゃったヨーコさまが、気を取り直すようにつづけました。
「ただ、ボールギャグ云々以前に、マゾ子の喘ぎ声が大き過ぎてご近所、お隣とか上の部屋まで聞こえちゃわないか、っていう心配もあるんですが・・」
「ああ、その点は心配いらないわ」
里美さまが間髪を入れずにお応えされました。
「ここはね、以前喫茶店だったのよ。夜営業でカラオケ入れていた時期もあったらしくて、防音はしっかりしているの」
「でなきゃわたしも、こんなに自由にマゾ子を喘ぎっ放しにはさせとかないわ。たちまちご近所から苦情が出ちゃう・・・」
そこまでおっしゃって何かを思いついたらしく、考えを整理するような少しの間の後に、再び里美さまのお声が聞こえてきました。
「あなた、面白いことに気づかせてくれたわね。マゾ子のいやらしい声を黙らせる遊びを思いついちゃった。ボールギャグなんか使わなくても」
お言葉の後にニヤリと唇を歪ませたお顔までが見えるような、里美さまの嗜虐的なお声。
「わたしがマゾ子と最初に出会ったのは、とあるファッションビルに入ったランジェリーショップだったのよ」
里美さまがビデオカメラを私から逸らしたのは、おそらく録画を中断されたのでしょう。
「マゾ子と今のお姉さまが一緒にフィッティングルームに入って、ランジェのフィッティングにかまけて何やらイカガワシイ行為を愉しんだのね、他のお客様がひっきりなしに出入りする営業中に」
「わたしはそのときお店のレジにいて、確か一時間以上もふたりで篭ってた。ふたりが出てきた後、フィッティングルームの中に何とも言えないメスクサい、いやらしい臭いが充満していたわ」
里美さまが私の顔を覗き込み、ニッと笑いました。
「それがマゾ子とお姉さまの幕開けだったのよ。後から聞いたら、薄っぺらな板で囲まれた狭いフィッティングルームの中で、マゾ子だけ全裸になってマンコ弄られてたみたい」
「売り場との境界も薄っぺらなカーテン一枚よ?その中で真っ裸。試しにお姉さまがカーテン閉めずに売り場に出て放置してみたら、マゾ子、ガタガタ震えながらも健気に表に裸晒したままお姉さまのお帰りを待っていたんだって。その頃から露出狂のドマゾだったのね」
ヨーコさまに私の声を咎められたときから、私はなるべく悦びの声を我慢するように努めていました。
もちろんそのあいだも下半身の三点責めバイブレーターは容赦なく私の秘部を蹂躙しつづけていました。
その上、私の恥ずかし過ぎる過去を喜々としてみなさまにご披露しちゃう里美さま。
物理的刺激に精神的恥辱が加わってオーガズムのインターバルが短かくなり、イッちゃだめ、と思うのにイッちゃうイキっぱ状態。
それでもなんとか唇を噛み締めて声を押し殺し
「んーーー、んぐうぅ、んっ!!!、はぁはぁはぁ・・・」
のくりかえし。
「あのときマゾ子は必死に声を我慢していたはずよ。あのとき出来たのだから、それを今もやればいいだけでしょ?」
イジワルくおっしゃった里美さまが再びビデオカメラを構えられました。
「あっ、今気がついたのだけれど、タイマーボックス、とっくに解除になっていたみたい。もう6時をずいぶん過ぎちゃってる」
確かにお部屋内がけっこう翳ってきていましたし、里美さまのビデオカメラにもいつからかライトが灯っていました。
「そういうことだから、最後にヨガリ声を押し殺したまま、マゾ子に盛大にイッてもらいましょう」
「ぁぅっ!」
里美さまが片手のカメラを私に向けたまま、もう片方の手で器用に私の右乳首にさっきの舌鉗子を挟みました。
「どなたか手の空いている人、わたしが合図したらそこの窓を開けてくれる?」
私の左乳首にも舌鉗子を噛ませた後、私の顔の右横にある窓を指差す里美さま。
お向かいのビルの窓に明かりが灯っているのが見えました。
その向こうにはいくつかの人影もあるような。
えっ、あの窓を開けちゃうの・・・
今にもその窓が開いて、ひょっこり誰かお顔を出しそうな気になってきます。
そこから覗かれたら私の姿は何もかも丸見え・・・
ああん、そんな・・・
不安な心とは裏腹に、からだがグングン昂ってビクンビクン!!!
「あの窓を開けたら、あなたのヨガリ声が表の通りに筒抜けになるのは、わかるわよね?」
里美さまがレンズを向けたまま尋ねました。
「んんーーーっ!!!はぁ、はぁ、はいぃ・・・」
小さく喘いででうなずく私。
ちょうどイったタイミングなので息も絶え絶えです。
「今も必死に声を我慢しているみたいだけれど、もしもいやらしく大きな喘ぎ声出したら、通りからこのビルが注目されちゃうわよね?」
大きく肩で息をしながらうなずく私。
「えっちな声って耳を引くから、誰かがこの部屋に踏み込んできたり、向かいのビルの窓が開いちゃうかもしれない」
「それでヘンな噂がたって、わたしのショップがこのビルから追い出されたりしたら、あなたのお姉さまはとても悲しむわよね?」
「んっ、んーーっ、は、はいぃぃ」
性懲りもなくまたまた高まっていく私。
「だったらあなたがどうすべきか、わかるわね?」
そうおっしゃって、タイマーボックスから手錠の鍵を取り出された里美さま。
「我慢なさい。何をされてもいやらしい声を出さず、ひたすら我慢しながら昇りつめなさい。あのランジェリーショップのときみたいに」
水飲み鳥のお人形見たく、ひたすら頭をコクコク前後させてうなずく私。
「窓を開けたら、あなたの手にこの鍵を握らせてあげるから、自力で手錠を外しなさい。手錠が外れたら今日のお役目終了よ。外せなかったり鍵を落としてしまったら、別のお仕置きを考えるから」
イジワルっぽくおっしゃって、私から少し離れました。
「さあ、あなたたちもラストスパートで遠慮せずに思い切り虐めちゃって。マゾ子が声を我慢出来ないくらいに」
「はーい!」
嬉しそうなお声があがり、メグさまが早々と窓辺に駆け寄りました。
「おーけー。それじゃあ窓開けて。全開ね」
里美さまのお声にザザーッというサッシを開ける音がつづき、街の雑踏がお部屋を満たします。
6時過ぎと言えばオフィス街の退社時刻。
このビルは地下鉄駅にほど近い通りに面していますから、聞こえてくる人々のおしゃべりや靴音、車のエンジン音やクラクションなど日常的な喧騒と、今の自分の破廉恥過ぎる状況とのギャップが、羞恥心や背徳心を大いに掻き立ててきます。
「はい、これが手錠の鍵ね」
椅子の背もたれ越しに括られた右手に、小さな金属片が握らされました。
「マゾ子が脱出するまでに何回イカせられるかチャレンジー、はじまりー」
「んんーーーっ!」
里美さまの号令とともに私のからだに群がる何本もの手。
ラテックスの感触に乳房を揉みしだかれ、お尻を撫ぜられ。
今までよりもずいぶん積極的に動き回るお三かたの愛撫で、みるみる昇りつめていく敏感過ぎる肉体。
右手の鍵を握り締めたまま、しばらくは声を我慢することに必死でした。
どなたかの手が膣のバイブを捏ね上げ、どなたかの手がアヌスのバイブを抜き挿し、どなたかの手が乳首の舌鉗子を引っ張り。
「んぐっ、ん、むぅ、ぬぅ、んんぅぅ、んっっ、んっ、ぐぅぅっ!!!」
いくら口を真一文字につぐんでも喉の奥から歓喜のわななきが洩れてしまいます。
「んぬぅぅーーーっ!!!」
早くも今日何度目なのかもはやわからない、ラストスパートでの最初のオーガズム。
それから右手の鍵を闇雲に左手首の手錠の側面に擦りつけ始めました。
どこかに鍵穴があって、そこに嵌りさえすれば手錠が外れるはず・・・
だけど鍵の先端は虚しくスチールの上を滑るばかり。
そうしているうちに高まりがあっさりピークに達します。
「んんーーっ、ぁ、ぅ、ぅぅぅ、んぁ、んあぁっーーーーー!!!」
どなたかの指でクリトリスを思い切り引っ張られ、思わず大きな声が。
その拍子に右手から鍵がポロッ!
「あっ、マゾ子、鍵落としちゃったみたいですよ?」
どなたかのお声が聞こえて初めて、私もしてしまったことの重大さに気がつきました。
「はぁ、はぁ・・・はぁぅうーーんっ!」
我慢しようとしても、喉の奥から嗚咽のような嘆息が漏れてしまいます。
「あーあ。これは窓開けておくとヤバそうね。この子もう、理性ゼロのケダモノぽい」
里美さまの呆れきったお声が聞こえました。
「マゾ子はもう解放される術を自分から放棄しちゃったのだから、とことんイッて壊れてもらうしかないでしょうね」
心底蔑んだお声とともに窓が閉じられ、街の喧騒がピタッと聞こえなくなりました。
「ほら、もう声我慢しなくていいよ。マゾ子のして欲しいこと、なんでも言ってごらん?」
里美さまが私の顎を乱暴に掴んで真正面から見据え、頬を軽くパチンとぶたれました。
「あん、はいぃ、もっと、もっとください、もっと直子をめちゃくちゃにしてくださぃぃ・・・」
鍵を落としてしまったのを知った途端、すっごく悲しい気持ちになっていました。
涙がポロポロと落ちるのに、からだは疼いて疼いて仕方なく、更なる刺激と陵辱を求めていました。
「ごめんなさいぃ、もっと、もっとしてくださいぃ、やめないでぇ、いじめてくださいぃぃ・・・」
唇が勝手に動いていました。
して欲しいことがスラスラと口をついていました。
ぶってください、つねってください、開いてください、噛んでください、突っ込んでください・・・
それからはよく覚えていません。
里美さまには、何度かビンタをされ、そのたびに激しいくちづけをくださった気がします。
すべてのバイブが抜かれた後、そこからはみなさまの指であらゆるところを陵辱されたと思います。
どなたかに鞭を振るわれ、ひどいお言葉をたくさん投げつけられ、みなさまに謝りながら何度も潮を撒き散らしたはずです。
「いい、そこそこ、もっと、奥まで、いやーっ、ああ、イッちゃう、イッちゃうぅぅぅ!!!」
喉がカラカラに涸れるほど喘ぎまくり、イキまくりました。
*
*非日常の王国で 15へ
*
鍵を落としてしまうことは予測できました。
返信削除失敗したのは自己責任なのですから、
自ら責められることを望んだようなもの…
それでも壊されるぐらいに責められたい、という
直子さんの徹底したマゾ心が素直に表現されていて、
とても素敵です。
私なら、多分、「鼻フック」を使って強制的に顔を上げさせたまま
その美しいマゾ顔をよく眺められるようにして、
辱めてあげるでしょうね(笑)。
鵺(ぬえ)さま
返信削除コメントありがとうございます。
今回の14話がいつもより短かめになったのは、この14話を「王国」最終話にするつもりでお話を書いていたのですが、書いているうちにどんどん長くなってしまい、一回の更新分にはあまりに長過ぎる文章量になりそうだったので、一話分として区切りの良いところを探した結果です。
書き終えているつづき部分には、確かにノーズフックが出てきます。
気が合いましたね(笑
直子
なるほど、続きが楽しみです。
返信削除気が合ったのは、嬉しいですね。
ま、私も男嫌いで、そこも一致しますが(笑)。
ただ、真面目な話、SMはSEXと比較すれば、
男女の垣根を越えても可能という感じがします。
私の場合、同性とのSEXは絶対に無理ですが、
美少年を調教するSMなら有りかな、と思えるので。
基本的にSEXには興味なく、リアルで挿入も行いませんから。
凌辱の意味も含めて…口で奉仕はさせますけどね(笑)。
余計な話題で失礼しました。
鵺(ぬえ)さま
返信削除コメントありがとうございます。
私の場合は、やっぱり信頼関係のあるパートナー、私の場合はお姉さまですが、が傍らにいてくださらないと、えっちなアソビも見知らぬかたとのSMプレイも怖くて出来ません。
逆に言うと、いてくださるからこそ大胆になれるのでしょうね。
直子