2023年10月1日

彼女がくれた片想い 04

 翌日から彼女のことが気になって仕方なくなっていた。
 こんなにも誰かのことが気になるという状態は私にとって久し振りの感覚だった。
 講義中のトイレや体育授業のロッカーで彼女が見せた不可解な行動が、眠っていた私の好奇心という名の猫を起こしてしまったようだ。

 一見気弱そうな彼女の笑顔と、していることとのアンバランスさ。
 その本当の意味を知りたいと切望に近い感情を抱いていた。
 かといって唐突に馴れ馴れしく話しかけることなど到底出来ない性分なので、講義中は離れた後方の席に座り彼女の背中を注視していた。

 一年生のうちは必修科目が多いので、ほとんどの講義は彼女と同じ教室だったが、一部の選択科目では彼女と別れることになる。
 私の知らないところで彼女が何をしているのかまで気になってしまい、自分の講義はそっちのけで選択科目教室までこっそりついていき、彼女が教室に入るのを確認してから自分の講義に遅刻して入るということも何度かあった。

 そんな感じで一週間、もちろん学校が休みの土日は除いてだが、彼女に注目しつづけた。
 その結果、彼女は木曜日のみ午前中の授業だけで午後は丸々空いていることがわかった。
 これは彼女が友人たちとそのような事を話していたのも聞いたし、実際その週の木曜日に彼女は午前中の講義の後、学食で昼食も取らずに駅の方へと消えていった。

 木曜日の午後と言えば私が最初にトイレで彼女に遭遇した昼休み後の三限から四限にかかる時間帯である。
 その時間帯、私には四限に講義が一つあった。
 その日は課題のレポート提出期日だったため尾行を断念したのだが、講義を無駄にしてでも木曜の午後は要チェックと心に書き留めた。

 他の曜日には彼女に不審な行動はなく、一週間後にまた体育の授業を迎えた。
 彼女は相変わらず隠れるように隅のロッカーでこそこそと慌ただしく着替えをしていた。
 慌ただしくブラウスを脱ぎ、慌ただしくウエアをかぶり、相変わらず下着を脱いでからアンダースコートを穿いていた。

 ん?

 授業前の彼女の着替えを眺めながら、ほんの小さな違和感が私の五感のどこかにひっかかった。
 目で見たことなのか、音で聞いたことなのか、はたまた匂いなのか、それはわからない。
 ただ、素肌のどこかに一本のか細い抜け毛が貼り付いたような、家を出て五分も歩いた頃にそう言えばエアコンのスイッチをちゃんと切ったか思い出せない、といった類のもどかしい違和感に苛まれる。

 授業終わりの着替えでもう一度確認しよう。
 そう決めた。

 テニスの授業中、彼女は実質的には下着であるアンダースコートを盛大に露出しながら体育館を走り回っていた。
 私はそれをドキドキしながら横目で視ていた。
 そして授業は終わる。

 例によって更衣室の隅っこに壁向きで、私に背中を見せながら着替えをする彼女。
 かぶりのウエアから先に両腕を抜き、頭まで一気にたくし上げる。
 ここで露わとなった彼女の背中を見て、もどかしい違和感の正体があっさりわかった。
 やはり視覚であった。

 真っ白な彼女の背中、今日のブラのストラップも白。
 その白い肌に幾筋かの細いラインがうっすらピンク色に横切っていた。
 俗に言うミミズ腫れのような痛々しい感じではなく肌が白いがゆえに目立つ、といったうっすら加減なので上気しているようでもあり妙に艶めかしい。

 その背中も瞬くうちに白いブラウスで隠され、つづけて彼女のスコートが外される。
 すぐに薄青色花柄の膝丈フレアスカートに素足が包まれ、前屈みの状態で裾から両手が差し込まれてアンダースコートが降ろされる。

 彼女の着替えは今日もそこで終了した。
 今、彼女はウエア類を丁寧に畳んでいる。
 つまり今日もこの後はノーパンで過ごすということである。

 すっかり身支度を整え私の横を歩き去っていく彼女の背中を見つめながら私は、今まで経験したことの無いサディスティック寄りな性的高揚を感じていた。
 彼女の正体を暴いてやりたい、みたいな感情だ。

 学食、午後の講義と気づかれぬように彼女の挙動に注目しつつ講義そっちのけで彼女について考えていた。

 まず、彼女の背中を飾っていた幾筋かの横向きなピンク色の痕。
 私の頭に真っ先に浮かんだのは所謂SMプレイで行われる鞭打ち行為だった。
 もちろん私は実際にしたこともされたこともなかったが、ネットでその手の動画は積極的に漁り、いくつも見ていた。

 その他の可能性、たとえば虫に刺されたとか何かにかぶれたとか、あるいは痒くて自分で掻いた等では、あの程度のうっすら加減では終わらないだろうし、痕ももっと部分的になる筈だ。
 
 そして鞭打ちの結果だとすると、一本鞭での打擲痕ではあの程度で終わる筈が無いので、おそらくバラ鞭で付けられたものだろう。
 彼女の背中を横向きに染めていたピンクの筋群はネットで見た、四つん這いな裸の背中に振り下ろされたバラ鞭の打擲痕によく似ていた。

 この憶測で何よりも私を興奮させたのは、自分の背中を自分であんな風に痛めつけるという行為は不可能ということから、彼女とは別の人間の存在、すなわち彼女は誰か第三者の手によって鞭打たれのではないかということだった。
 そこから私の妄想がとめどなく広がり始めた。

 おそらく彼女は先週末に誰かとSM的なプレイをしたのだろう。
 では誰と?
 
 援助交際が出来るようなタイプには到底見えないから、ステディな恋人がいるのかもしれない。
 でも、それでは学内での彼女の不可解な行動の理由までは説明できない気もする。
 ここからは私の個人的な願望も入り混じってはいるのだが、内気そうな彼女が傍目に見てアブノーマルと言える行動を繰り返すような設定を私は知っている。

 脅迫。

 脅迫者に何かしらの弱味を握られ、抗いたい命令にも従うしか無い状態。
 それが彼女にはピッタリだと思えた。

 では、その脅迫者は誰か。
 自然に思い浮かぶのは、嫌らしい笑みを湛えた冴えない名無しの中年男性。
 ひょんなことから彼女の弱味を握り、その後は好き放題。
 呼び出しては彼女の身体を貪り、離れているときも破廉恥な命令を下して劣情を煽る。
 
 この設定は私が今まで見聞きしてきたエロい創作物の影響を多分に受け過ぎているようにも感じたが、彼女が醸し出している雰囲気にしっくりと馴染み、どんどん妄想は広がっていった。

 ノーパンなはずの彼女は、その後はおかしな素振りも見せず普通に夕方まで講義を受け、友人数人らとキャンパスを去っていった。
 一瞬、尾行することも考えたが、今日は頭に渦巻く妄想のせいで自分の部屋に一刻も早く帰りたかった。

 週末に脅迫者の薄汚いアパートの一室に呼び出された彼女。
 すぐに服を脱がされ、縛られたりもしたかもしれない。
 嫌がる彼女に一方的な性行為の後、四つん這いにされ鞭打たれる彼女。
 ひょっとするとアナルまでも涜されたかもしれない。
 学内のトイレでの自慰行為も体育後のノーパンも命令されてのことであり、スマホでの自撮りや送信を強要されている。

 自分の部屋に着くなり服を脱ぎ捨てた私は、妄想の中の彼女と同化し、卑劣な脅迫者に嬲られ陵辱されるという、私にしては被虐的な自慰行為に没入していった。

 その週の木曜日。
 彼女は友人たちと学食で昼食を取っていた。


2023年9月18日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 18

 愛しのお姉さまの、これは中指一本。
 根本までズッポリ挿入され、指先がクネクネ蠢いています。

「ほら、直子は右手は本に伸ばして、オマンコへのイタズラに耐えてる感じで」

 五十嵐さまのご指示に顔がいっそう悩ましく歪みます。
 お姉さまの指は丁寧に膣壁を撫ぜる螺旋運動。
 チュプチュプチュプチュプいやらしい音が鳴り響いています。

「ねえこれ、イカせちゃったほうがいいの?」

 お姉さまがのんびりと五十嵐さまにお尋ねになられます。
 私は必死に右手を上に伸ばしながら快感に耐えています。

「うーん、このシーンはそこそこいい感じに撮れたから、これでいいや」

 五十嵐さまの非情なお答えであっさり指は引き抜かれ、私は不完全燃焼。
 脚立の上で思わずしゃがみ込んでしまいます。

「そのままの姿で床に降りてきてなさい。裾もバストも直してはダメ」

 ご命令口調の五十嵐さまがスマホを構えられたままおっしゃいます。
 ひょっとすると動画も撮られているのかもしれません。
 私がご命令通りの姿で脚立を降り切ると、五十嵐さまが角田さまにお声掛け。

「ねえユカリン、余ってて売れそうもないSM雑誌とか4、5冊貸して欲しいんだけど。うんと古いやつとか」

 そのお言葉を聞かれ、角田さまが眉を少し曇らせます。

「あのね、大昔のSM本とかゲイカルチャーの雑誌とかって風俗資料としても貴重だから意外と良い値で売れたりするものなの。まあ、マニア限定だから探してる人も少ないけどさ」

 ぶつくさおっしゃいつつもその手の本のコーナーであろう大きな書架、この古書店で一番大きいかもしれません、に取りつかれ、物色くださっています。

「このへんなら、古いけどページ抜けとかあって一律百円のだから、汚されても構わないか」

 数冊の判型もバラバラな雑誌を五十嵐さまに手渡される角田さま。
 そのあいだ私はなぜだか服従ポーズになり、おふたりを眺めていました。
 もちろん裾はせり上がって下腹部丸出し、おっぱいも両方ともはだけたままの姿です。

「それじゃあ直子、そうだな、そのレジ前の広いところで座っちゃって。お尻を床に着けて大股開きのM字開脚で」

「えっ!?」

 思わず上げた私の戸惑いの声は、五十嵐さまの冷たい視線に睨まれて即却下。
 脚立を離れ、ご指定いただいた場所へと服従ポーズのまま、すごすごと移動します。

 来たときに角田さまが座っておられたレジカウンターの前は、そこだけ二メートル四方くらいポッカリと空間になっていて、その周囲にはまだ整理されていないらしい紐でくくられた古本の山。
 そこにしゃがみ込むと真正面が古書店の入口です。

 コンクリートのひんやりとした床に生尻を置き、ためらいがちにゆっくりと両脚を開いていきます。
 五十嵐さまは手にした雑誌類を適当に開いては、乱雑に私の周囲に置いています。
 いつしか私の周りは、縛られた裸の女性のグラビア写真だらけになっていました。

「そこでオナニーしなさい。オカズは周りのエロ写真。直子好みっぽいのを見繕ってあげたつもりだから」

 こんなところで、みなさまが視ておられるその前で、という羞恥はもちろんありましたが、その前の脚立での不完全燃焼が一斉に小躍りする愉悦の声のほうが上回りました。
 私の一番傍にあった写真に目を遣ると、古民家風な和室の太い柱に縛り付けられ、片脚だけ大きく広げて吊るされた全裸女性の絶望で諦めきったお顔。
 私の大好物シチュエーションな絵面ですぐにあらぬ妄想が広がり、右手は押し拡げた股間へまっしぐら。

「んっ!」

 親指と人差し指で肉芽をつまみ、中指と薬指を膣内に潜り込ませればもう止まりません。
 さっきみたいな不完全燃焼はもう御免とばかりに、快楽絶頂へ全集中です。

「客のいない古本屋の床にエロ本ばら撒いてひたすらオナニーに耽る少女、っていうのも、うちの具現化したかった妄想のひとつなんだ」

 そんなことをおっしゃりながらスマホのレンズを私に向けてくる五十嵐さま。
 もちろんその背後には角田さま、中村さま、そしてお姉さまの六つの瞳も、驚愕や呆れ、軽蔑の色を湛えて私を見つめています。

 電車の中でお姉さまから言わされたはしたないセリフが、幾分アレンジされて思い浮かびます。
 …ああん、直子がマゾマンコをいやらしく弄ってに淫らにイキ果てるところを、みなさま存分にご覧ください…
 このかたたちの視線は安全だということがわかりきっていますので、ずいぶん大胆になっています。

 左手は服からはみでた両おっぱいの乳首を重点的に虐め、右手の指はクチュクチュピチャピチャ淫靡な音を立てて暴れまわっています。
 両脚は180度に近いくらい大きく開き、幾分のけぞり気味に無毛の女性器をみなさまに差し出すような格好で行為をつづけます。

 …ん、んふぅ、くっ、んーーーーっ!!いいぃぃぃっ!!!…んふーーーっ!!いいっ、いいっ、いいいっ、くぅーーーーっ!!!…
 声を押し殺して立てつづけに二度三度、絶頂を迎えました。

「うん、いい絵がたくさん撮れた。直子のスケベ顔はサイコーだわ」

 ハァハァ息を荒くしている私を横目に見つつ、そんなことをおっしゃりながら散らばった雑誌類をかたづけられる五十嵐さま。
 私の股間周辺はお漏らしでもしたようにビチャビチャでしたが、幸いシオを吹くまではイカなかったみたい。

「一息ついたら次は日常のお仕事編ね。そのえっちな服は脱いで、いったん全裸になっちゃって」

 床にモップをかけながら、さらっと大胆なご命令を下さられる五十嵐さま。
 再び角田さまにお声掛け。

「でユカリン、エプロン貸して。直子に裸エプロンさせるから」

 そのお声を聞いた角田さまは仏頂面。
 私は快感の余韻を感じつつよろよろと立ちあがります。

「えーーっ!?これ昨日下ろしたばっかりの新品で、気に入ってるから汚されたくないんですけどーっ!」

 それでもフッと気が付かれたように、つづけられました。

「あ、でも捨てようとしてた古いやつ、まだゴミ出ししてないからゴミ袋の中にあるわ。すごいヨレヨレだけど」

 そうおっしゃってカウンターの下をガサゴソされ、やがてクタッとした濃い緑色の布片がゴミ袋から引っ張り出されました。
 広げてみると確かにエプロン、ただしあちこちがほつれて前掛け部分には引き攣れたような穴も空いて全体的に確かにヨレヨレ。
 色もシミや擦れで濃い緑と薄い緑のまだら模様です。

「先代のバイトの人が使ってたお古をそのまま何も思わず使ってたのだけどね。ちょっと前にお腹んとこがビリッと破れちゃったから、さすがに変えようと思ってじいちゃんにお金もらって買ってきたんだ」

「でも直子ならこっちのほうが似合うよ。うらぶれて倖薄そうな感じで、昭和レトロっぽくて」

 角田さまと五十嵐さまの楽しげな会話。
 布地に鼻を少し近づけると埃っぽい匂いに混ざって、五十嵐さまがつけておられる柑橘系ぽいパフュームの香りがうっすらします。

「ほら、直子も早くそのエロ衣装脱いで、汗ばんだからだを拭ってから素肌にこのエプロンを着けなさい」

 すっかりご命令慣れされた五十嵐さまに促され、まるで衣服の役目をしていないニットを裾からまくり上げて瞬く間に全裸。
 お姉さまにニットを手渡し、代わりにバスタオルを受け取ろうとしたところで、このお店に入るときに聞いたことのあるチリンチリンという音色が聞こえた気がしました。

 間髪を置かず少し建て付けの悪い引き戸をガラガラッと開ける音。
 どなたかお客様がいらしたんだ、と思った瞬間、私は大パニック。
 お姉さまもそちらに気を取られ私に手渡そうとされていたバスタオルを引っ込めてしまわれたので、私は正真正銘の全裸のまま慌てて胸と股間を庇いビーナスの誕生ポーズ。

「あ、じいちゃん、おかえりー」

 ドキドキ最高潮な私の緊張感を嘲笑うような角田さまののんびりとしたお声。
 えっ?じいちゃん?
 うつむいていた顔をおずおずと上げ、みなさまが振り向いているお店の入口を見ると…

 パナマ帽をかぶられた少し痩せ気味な長身の男性のお隣に、杖を突かれたふくよかな感じの女性。
 男性の口ひげは真っ白で、女性のひっつめにした御髪も見事な銀髪、かなりお年を召しておられるよう。
 おふたりとも呆気にとられたご表情で私を見つめておられました。

「お邪魔していまーす」

 ご挨拶を口にされた五十嵐さまもご存知ということは、このかたがこのお店のご主人様なのでしょう、つられるように中村さまとお姉さまもお辞儀をされています。

「ああ、ショーコちゃんも来てたのか、いらっしゃい。まあそれはそれとして、なんでわしの店にまっ裸の女の子がいるんだい?」

 呆気から立ち直られたご主人様らしきかたが、怪訝五割好奇五割みたいな複雑そうなご表情で、それでもお優しく角田さまに尋ねられます。

「この子はショーコの知り合いで見せる子ちゃんだから大丈夫。ショーコのリクエストでちょっとした撮影会してた最中なんだ」

 ご主人様らしきかたにわかったようなわからないようなご説明をされた角田さまが、今度は私たちのほうを見遣ります。

「みんなにも一応紹介しておくね。このじいちゃんがこの古書店の店主。ぼくの親戚、母方の祖父の弟で斎藤常吉じいちゃん。みんなからはツネさんて呼ばれてる」
 
 そのお言葉を引き取るように店主さまがパナマ帽を取られ、深くお辞儀されました。
 パナマ帽の下は見事な禿頭でした。

「こんな田舎の古本屋にみなさんよくいらっしゃいました。どうぞゆっくり見ていってください」

 そうおっしゃいつつお顔を上げた店主さまの目は、胸と股間をガードした私の素肌に釘付けです。
 ねっとりとした視線が私の素肌に絡みついてきます。

「それで、この子だけが裸なのには何か理由があるのかい?犬の首輪まで着けて。まさかよってたかってのイジメとかじゃあないだろうな?」

 店主さまが角田さまに尋ねられると、五十嵐さまが代わってお答えになられました。

「ううん、裸も首輪も全部この子が自発的にやってることで誓ってイジメなんかじゃありません。この子、人に恥ずかしい姿を視られるのが大好物な特殊性癖、従順なマゾヒストなんです。今だって恥ずかしそうにおっぱい隠してますけど、本当は視てもらいたくってしかたないんですよ、ね?」

 最後の、ね?は、私に向けてのものでした。
 だからといってすぐ腕を外すわけにもいきませんが。

「ほう、わしももう八十過ぎだからあっちのほうは、今はただ小便だけの道具かな、なんじゃが、助平なことは相変わらず大好きでな。こんな別嬪さんの裸を間近で拝めるのは眼福だわな」

 店主さまの視線が好奇と好色100パーセントに変わり、無遠慮に私を見つめてきます。

「ほら、直子も、ちゃんと斎藤さまにお見せしてご挨拶なさい」

 沈黙を保っていたお姉さまから不意にお声をかけられ、お姉さまのお綺麗な顎がクイッと上にシャクられました。
 服従ポーズの合図です。
 
 従うしかありません。
 おずおずと両手を後頭部に持っていくと、開放された部分に痛いくらいの視線が集まります。
 完全に見世物状態です。

「あらまあ、綺麗なおっぱい」

 それまで無言でニコニコされていた店主さまの傍らの杖の老婦人さまが初めてお言葉を発せられました。

「うむ、良い乳だ。大きさも形も申し分ない」

 店主さまもご感想を述べられ、ついでにという感じで老婦人さまをご紹介されます。

「この人はわしの雀友で瑞江さん。わしよりふたつ年上じゃ。若い頃からバーのママを長いことやってた行かず後家でな、麻雀のあいだもシモネタばっかり言ってる、わしに輪をかけた助平女じゃ」

「あら、初対面の人もいるのに、そんな本当のこと言っちゃいやですよう」

 仲睦まじく笑い合う店主さまと瑞江さま。
 そんなおふたりの目がますます不躾に私の裸身を撫ぜ回します。

「それに綺麗なパイパン。太股が濡れちゃってるのはわたしたちに視られているからかしら。感じやすいのねえ」

 瑞江さまがからかうみたいにお優しくおしゃいます。
 確かに休めの姿勢で軽く開いた両脚の付け根から、粘り気のある液体が内腿を伝って滑り落ちるのが自分でもわかっていました。
 それでも服従ポーズを崩すことは出来ません。

「ねえ、ちょっと触ってみてもいい?こんな綺麗なおっぱい見せつけられたら、その柔らかさも確かめたくなっちゃった」

 あくまでもお優し気な笑顔はキープしつつ、すっかり悪戯っ子のお顔になられた瑞江さまが、この座の中心と見定めたのであろうお姉さまに向けてお願いされました。

「もちろんです。ほら、直子からも触っていただけるようにちゃんとお願いなさい」

 満面の笑みなお姉さまから促されたら、逆らうことは出来ません。

「は、はい…ど、どうぞ直子のからだを、心ゆくまで、ご自由にお触りください…」

 自分で言った言葉に感じすぎてまた一筋、粘液が内腿を滑り落ちます。
 その様子を総勢六名の瞳にしっかり目撃されています。

「あら、お許しが出ちゃったわ。ほら、ツネちゃんもご相伴に預かりなさい」

 瑞江さまが嬉しそうにおっしゃり、つづけて左右のおっぱいにそれぞれ違う感触の刺激が襲いました。
 右のおっぱいには節くれだってシワシワな店主さまの右手。
 左のおっぱいには少しふくよかで、だけど少しシワっぽい瑞江さまの右手。

 それぞれがおっぱいを揉みしだいたり乳首を摘んでみたり、自由奔放に蹂躙してきます。
 私は後頭部に両手を押し当てて悦びの声を必死に押し殺したままされるがまま。

「おお、さすがに若い子の肌はなめらかで柔らかいのう。こんな瑞々しい女の素肌に触れるのはン十年ぶりじゃ」

 店主さまが感極まったようにおっしゃいます。
 私も成人男性に生おっぱいを触られるのは生まれて初めてのことでした。

 瑞江さまはもっと大胆でした。
 しばらく左おっぱいを虐めていた瑞江さまの右手はやがて持ち場を離れ、ずっと下って無毛の下腹部をスリスリさすってきました。
 その手が股下まで潜り込み、飛び出た肉芽が指の間に挟まれ、肉壷がやんわり抉じ開けられます。

「んーっ!」

 とうとう堪えきれず歓喜の淫声を洩らしてしまう私。
 それ以上のことをして欲しくて、自然に両足の幅が開いてしまいます。
 でも瑞江さまの手はそれ以上に進む事はなく、いつしか両方の手とも私のからだを離れていました。

「ツネさんも戻ってきたことだし、これでユカリンもお役御免ってことよね。さっさと残りの撮影済ませて、うちらも家路につくとしましょうか」

 タイミングを計っていたみたいな五十嵐さまの鶴の一声で、場の雰囲気が変わりました。

「それじゃあ、わしらはここでその撮影会とやらを見物させてもらうとしようか」

 店主さまと瑞江さまがレジカウンター脇のベンチに仲良く腰掛けられました。
 私にやっとバスタオルが手渡され、汗や粘液を軽く拭った後、撮影が再開されます。

 五十嵐さまのご指示で、レジカウンターでお店番をしているところ、お姉さまをお客様に見立てて接客をしているところ、お店のお外でホウキを持って掃き掃除をしているところを、それぞれ裸エプロンと全裸で2パターン、立てつづけに撮影されました。

 お店のお外に全裸で出るのは少し怖かったのですが、幸か不幸かお外にはまったく人影がなく、相変わらずギラギラ照りつけてくる晩夏の日差しに少し拍子抜け。
 五十嵐さまのテキパキとしたご指示で撮影は滞りなく終わり、古書店をお暇することになりました。

 帰り際、まだ私が読んだことのない名塚先生の百合薔薇学園作品の古書を三冊、お姉さまが買ってくださいました。
 お姉さまも古いSMの写真集か何かを何冊か買われたみたい。

 近くに来たらまた寄ってくださいな、という店主さまのお言葉を背に受けつつ、五十嵐さまのお車に乗り込みます。
 私は角田さまのお古のくすんだエプロンだけ身に着けています。
 生尻にはバスタオルを敷き、中村さまとお姉さまに挟まれての後部座席。

「意外に長居しちゃったね。この感じだと5時半前にお屋敷に着けるか微妙だな」

 ハンドルを握りながら五十嵐さまがお独り言っぽくおっしゃいます。
 助手席の角田さまは、物珍しそうに車窓を眺めています。

「5時半ってジョセのことだったら大丈夫よ。あの子、5時半頃になって家に誰もいなかったらひとりで勝手に散歩に出かけちゃうから。たぶん家の敷地内でうんちをしたくないんだろうね」

 中村さまが気怠げにお答えになられ、小さな欠伸をひとつ。

「それにしても今日は濃ゆい一日だったわ。日光に当たりすぎて眠たくなっちゃった。少し仮眠するから着いたら起こしてね」

 そうおっしゃるなり両目を瞑られる中村さま。
 左隣を見るとお姉さまも両目を瞑られ安眠モード。
 せっかく私が恥ずかしい裸エプロンなのにイタズラしてこられないおふたかた。

「あー、寝ちゃうのはずるいよ。ユカは起きて話し相手になってよね。うちだってこう見えてちょっとは疲れてるんだから。居眠り運転で死にたくないでしょ」

「あー、はいはい」

「直子も眠かったら仮眠していいよ。まだまだ夜は長いから体力温存しといたほうがいい」

 五十嵐さまの一見お優しい、でも不穏な含みのあるようなお言葉に、いえ、私は大丈夫です、と答えたものの、両隣のお二人がスヤスヤ寝息を立てているのを聞いて眠気が伝染したのでしょう。
 
 行くときに通った、道の両脇から踏切の遮断機みたいな黄色い棒が行く手を塞いでいるところで、五十嵐さまがカードをかざしていたことまではぼんやり覚えているのですが、やがて睡魔に呑み込まれたようでした。

2023年8月13日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 17

 その衣服は薄っぺらくて伸縮性のあるニットで作られていました。
 座席に座ったまま広げてみると、見るからに布地部分が少ない感じ。

 細いホルターネックで着丈も短め、バスト部分と背中部分が大胆に大きく開いています。
 そして着る前からわかるくらい私にはちょっと小さめっぽい。

「着てみよっか」

 お姉さまに促されて走行中の車内に全裸で立ち上がります。
 ホルターネックですから頭からかぶって身に着けます。
 さっき雨でズブ濡れになった首輪もすっかり乾いています。
 伸縮性ある生地が素肌に吸い付くようにバスト、ウエスト ヒップと覆っていくのですが…

 まず背中は見事にガラ空き。
 お尻の割れスジが始まってすぐ辺りから、やっと狭い布地がお尻と下腹部を覆ってくださいます。

 両肩は剥き出し、首の下を少し隠してから胸部分には大きな穴がおへそ辺りまで空いていて横乳と谷間が大胆に丸見え。
 両方の乳頭付近を隠してくれる布地はそれぞれ幅5センチくらいで、おっぱいを押し潰すように密着していますから当然、乳首部分丸わかり。
 着丈は膝上25センチ位のマイクロミニ状態で、ちょっと背伸びしただけで両腿の付け根ギリギリです。

「うわっ、エロい…」
「薄いニットがピタピタで乳首がすごい目立ってる」
「露出が多くておまけにボデイコンだからハダカよりもいやらしい」
「これはドーテーじゃなくてもサカるわ」
 
 みなさま口々にからかうようなご感想。
 私も服は着ているのに、なんだか凄く恥ずかしい。
 本当にこんな格好でお外に出るのでしょうか…

「ナビだともうすぐのはずなんだけどな」

 運転席で橋本さまがつぶやかれます。
 お車は、対面二台がやっとすれ違えるような細い道を進んでいます。

 まわりはたまに民家で、あとは何かの畑なのか空き地なのか、草木の生い茂った田舎道。
 民家の出現頻度が少し増えてきたかな、と思った頃、お車がスピードを緩めました。

「…この辺だと思うんだけど…」

 橋本さまがお車をお停めになったのは、進行方向側に大きな引き戸のお店屋さんぽい建物、道路の向かい側が広めな空き地になっている場所です。

「ピンポーン、正解。車は向かいの空き地に止めればいいから」

 五十嵐さまがおっしゃり、お車が右側へと曲がって空き地に突っ込みます。
 空き地にはすでに二台のお車が駐められていました。

「うちらの荷物をそっちの青い車に移しちゃって」

 お車が停められるなり勢いよくスライドドアを開けられた五十嵐さまが、お外に飛び出されます。
 他のみなさまもンーっと背伸びをしつつゾロゾロつづかれます。

「それがイガっちの車?」

「うん。五人乗るとちょっと狭苦しいかもしれないけど」

 中村さまのご質問に答えられる五十嵐さま。
 スライドドアのすぐ横に、このお車より一回りくらい小さくてワゴン型の青いお車が駐めてありました。
 青いお車のハッチバックを開けられる五十嵐さま。

「ほら、直子もさっさと外に出なさい」

 おひとりだけまだお車に残られていたお姉さまから、ご命令口調で促されます。
 でも…この格好で…とマゾには許されない口答えをしたくもなりますが、どっちにしろお外に出されるのはわかりきっていますから素直に従います。

 それに、これまで強烈な体験つづきで羞恥心が薄れてきてしまったのか、こんな格好でお外に出るという屈辱もなぜだか愉しく感じてきていました。
 このかたたちと一緒にいる限り、どこでどんな格好になっても大丈夫、という信頼というか甘えが生まれていたのだと思います。

 さっきまでの豪雨が嘘のような午後三時前晩夏の晴天。
 お荷物を五十嵐さまのお車へと移されるみなさまのご様子を、まだまだキツイ陽射しの中でボーッと眺めます。

「田舎の古本屋ってちょっとワクワクしない?掘り出しもんありそうでさ。まだ時間少し余裕あるし、オレらもちょっと覗いていこう」

 橋本さまのご提案で本橋さまもお車を降りられ、みなさま連れ立ってお向かいの古本屋さんへ。
 お外に本とかは積んでなく、大きなガラスの引き戸に店名が白い文字で大書されています。

「ヤッホー、お迎えにきたよ」

 お元気よいご挨拶と共に五十嵐さまがガラガラっと引き戸を開けると、戸の端に取り付けられた風鈴みたいな呼び鈴がチリンチリンと鳴りました。
 五十嵐さま、中村さま、橋本さま、本橋さま、お姉さま、そして最後に私とゾロゾロ店内に入ります。

 床はコンクリートで内装もグレー系という見るからに年季の入った古本屋さんという感じ。
 引き戸の大きさに比べて店内は意外に奥行きがあり、背の高い書架が壁際に整然と立ち並び、中央のスペースにも通路を作るように書架が並んでいます。
 ほどよく効いたエアコンの風に乗って、あの古本屋さん特有の少しカビ臭いような独特の香りが漂っています。

「いらっしゃーい」

 店内の正面奥に木製のカウンターみたいな机があり、正面を向いて座られていたお店番らしいお若い女性がお優しくおっしゃってくださいました。
 真っ直ぐな黒髪をお姫様カットにされ、涼し気な目元が印象的な美人さん。

「一応紹介しておくね。こちら角田由香ちゃん、通称ユカリン。うちの中学からのツレで同人仲間」

 五十嵐さまが差し出された右腕をこんどはこちらに向けられます。

「かなっちとは何度か会ってるか。そんでこっちがお客様。東京で服飾のお仕事をされている渡辺エミリーお姉さまとその噂のマゾペットな森下直子ちゃん。んでこっちの男性ふたりは真正ビーエルカップル、ハッシーとモッチー。あ、いや正確に言うとモッチー×ハッシーだな」

 今度は私たちが紹介され、同時に私がお店番の女性、角田さまの真正面にお姉さまの手で無理矢理押し出されました。

「うわっ、すごい服…」

 驚かれているみたいな割には抑揚のない低いお声で角田さまがつぶやかれます。
 でもその視線は私の顔からおっぱい、下腹部を過ぎて足の先まで、すべての部位を吟味でもするように何遍も往復しています。
 その舐めるような視線にマゾ性が刺激され、いつの間にか両手を後頭部に回してしまう私。

「いいのよ直子は見せる子ちゃんだから。こうして恥ずかしい格好を誰かに視られるのが何よりも興奮する淫乱ドマゾ」

 五十嵐さまの恥ずかしすぎるご説明。
 でも、こんなお綺麗なかたにクールな瞳でマジマジと真剣に見つめられていると、それだけでゾクゾク感じてしまっているのは事実でした。

「ふーん、そう。でショーコ、あんたこの人タイプでしょう?おっぱい目当てのおっぱい星人が」

 角田さまが詰るようなからかうような微妙なニュアンスで五十嵐さまに尋ねられます。

「タイプっていやいやいや、だって直子はエミリーお姉さまのものだし、うちは
便乗してアソバせてもらってるだけだから…」

 焦ったような早口でご弁明される五十嵐さまが可愛らしい。
 それに角田さまだって、エプロン越しのおムネはかなりご立派そうです。

「ふーん。ま、いいけど。あとボク、ここ上がれるの三時半だから、あと40分くらいあるんだけれど、どうする?まったりするならその棚の脇にベンチがあるし、外に飲み物の自販機もある」
「まあ、じーさんが戻って来たら上がれるから、も少し早くなるかもしれないけど」

 角田さまが立ち上がられました。
 背はあまりお高くなく私より少し低いくらい。
 ただ、お顔が小さく出るところは出てくびれるところはくびれ、おまけに股下がスレンダーに長いというナイスプロポーションのボクっ子ということで、会社のミサさまに雰囲気が似ている気がしました。

「あーそれは無問題でむしろちょうどいいの。なぜならここでうちの永年の夢だった、古本屋での露出恥辱写真を直子モデルにして撮りまくるから。そんでそれを参考に新作マンガを描き上げるんだ」

 五十嵐さまが嬉しそうに不穏なことをおっしゃいます。

「へー、ショーコにそんなしょーもない夢があったんだ」

 角田さまが抑揚のないお声でおっしゃってからは、五十嵐さまの独演会。

「ほら、さっき直子にも言ったけど、うちが性癖拗らせちゃった発端て、小坊の頃に畑で拾ったエロ本だったんだ」
「で、刺激的な写真や文章と一緒にマンガも載っててさ。今となってはタイトルも作者もわからないえっちマンガ。それが強烈に印象に残っちゃってるんだ」

「んでそのストーリーが、えっちに興味津々の女子高生が町外れのばーさんが店番している小さな古本屋で、えっちな小説を万引しようとするんだ」
「当然バレて学校や親に報告しない代わりに、その店で一ヶ月間バイトさせられることになるんだ。その代わりその小説はもらえて、野外露出モノっぽいタイトルが描いてあった」

「で放課後せっせとバイトに勤しむことになるんだけど、レジ周りにいつもSMぽいエロ本がこれみよがしに置かれてるんだ。町外れの古本屋ってエロ本充実しがちじゃん。もちろんばーさんの指し金」
「そんで店は暇だからその子も読んで、当然影響されて店番しながらレジカウンターに隠れてパンツだけ脱いでみたり、ブラ外してみたり」
「めったにお客さんが来ないのをいいことに裸エプロンで店番していたある日、みるからにスケベそうな中年男がやって来て、っていうところでその話は終わってた」

「なんか妄想広がりまくっちゃってさ。子供の頃は、そのバイトの子の行動がわからなくて、なんで自分から恥ずかしい姿になりたがるんだろうとか」
「ばーさんが催眠術とかかけたのかななんて思ってたけど、年齢重ねるとわかってくるんだな、破滅願望的なスリルってやつ」

「で、うちのヰタ・セクスアリス原体験とも言えるそんなストーリーにうちなりの解釈で決着を付けたいと思ったのが今回のマンガの構想。で、そんなときに都合よく現われてくれたのが直子だったんだ」

 五十嵐さまは早口で一気にお話されました。
 聞いていたのは角田さま、お姉さまと私の三人。
 他の方々はそれぞれご興味のある書架へと散らばりご本を物色されていました。

「へー、でもそんな永年の夢があったんならボクに言ってくれれば、バイト中にいくらでも、ここでエロい格好してあげたのに」

 角田さまが五十嵐さまを真っ直ぐに見つめつつおっしゃいます。

「う、うん…それも何度かは考えて何度か相談もしようと思ったのだけど…」

 急に歯切れが悪くなられる五十嵐さま。

「でも、でもそれは絶対嫌なの…駄目なの…だって、だって…」

 そこでお顔を上げられ、角田さまを真っ直ぐに見つめ返される五十嵐さま。

「だってそんなことしたらユカの裸を誰かに視られちゃう恐れがあるっていうことでしょ?不意の客とか店主のおじいさんとかに!それは絶対嫌なの!ユカの綺麗な裸はうちだけのものなの!」

 投げつけるようにおっしゃった五十嵐さま。
 なるほどおふたりはラブラブです。
 でも逆に言うと私の裸はどなたに視られようが構わない、ってこと?

「わっ!ここって名塚先生の本、大昔のからほとんど揃ってるじゃん!」

 そのとき、橋本さまの突拍子もない大きなお声が店内に響きました。

「これ読んだことない、あ、これも、これも。しかも東京で買うよりぜんぜん安いし。いやあ寄って良かった。ここは楽園でしょ」

 橋本さまの弾んだお声が店内に響きます。
 ひと仕切り大騒ぎした後、橋本さまがご本を5、6冊抱えてレジにやって来ました。

「これ、お願いしまーす」

 満面な笑みの橋本さま。
 本橋さまも古いスポーツ雑誌みたいのを数冊お買い上げ。

「それじゃあぼくたちは時間もヤバいし、このへんで失礼します。いろいろごちそうさまでした。楽しかったです」

 本橋さまがかしこまった感じで深々とお辞儀をされました。
 その横で橋本さまがお姉さまに右手を差し出されます。

「ほい、これが撮影したSDカードとUSBメモリ。バックアップは一切取ってないから失くさないように」
「編集終わったらオレらにも一応観せて欲しいな、姫の避暑地露出紀行、なんてね」

 そんな感じで、楽しかった、気をつけて、また東京で、よい旅を、みたいなご挨拶が飛び交う中、本橋さまと橋本さまがお店を出ていかれました。

 おふたりが去って店内を包む束の間の静寂。
 その静寂を破られたのはお姉さまでした。

「イガっちのえっちマンガにかける情熱はよくわかったわ。思う存分直子を好きに使って」

 冷たいお声で宣言され、私の撮影会が始まりました。

「せっかくそんなエロい服着ているんだから、まず手始めにその脚立に乗って、棚の高いところの本を取っているフリをしてもらおうかな」

 のっけから五十嵐さまの無慈悲なリクエスト。
 ノーパンで膝上25センチのボディコンマイクロミニですから、そんな格好したら膣もお尻の穴も真下から丸見えです。

「あ、あの、で、でも今、このお店って営業中ですよね…そんな最中にもしも他のお客様がいらしてしまったら…」

 軽く却下されるであろうことはわかっているのに、でも、だって、を言わずにはいられない臆病者な私。

「あ、その点は大丈夫。この店、本当に客来ないから」

 お答えくださったのは角田さまでした。

「今日だって午前中に通販の受注見て荷造りして、一時に宅配便が取りに来て、それ以外誰も来てないから。ボクはずっと新作のプロット練ったりゲーム三昧。そんな毎日」
「逆にそんな場にもしも客が来たら超ラッキなーことなんだから、じっくり視てもらえばいいんじゃない?見せる子ちゃんなんでしょ?」

 最後のほうはちょっと小バカにした感じで私におっしゃった角田さま。
 ああん、やっぱりミサさまに似て角田さまもイジワルそう。
 アソコの奥がヒクッと潤んでしまいます。

「そういうことだからさっさと登って」

 全集ものらしき棚の前に折りたたみ式階段風の脚立を置かれ、私を促す五十嵐さま。
 すべてを諦めて一段、二段と登っていく私。

「ふふ、肛門まで丸見えだね、直子」
「もう濡れてるんだ。脚が交差するたびにオマンコの中が光ってる」
「キレイなパイパン。お尻のほうまでヘアが一本もない」

 いつの間にか中村さままでお集まりになり、女性お三かたが剥き出しな私の臀部を見上げられています。
 その周りをスマホを構えられた五十嵐さまがアングルを変えてさまざまな角度からシャッターをお切りになられています。

「その一番上の黒い本に手を伸ばして」

 五十嵐さまのリクエスト。
 その黒いご本は脚立を三段登りきって手を伸ばして届くか届かないかという位置なので、爪先立ちになり、からだを思い切り伸ばしてやっと右手がかかりました。

 パッツンパッツンのボディコン風ニットでからだを思い切り伸ばせば、みるみる裾がせり上がりお尻は丸出しに。
 おまけに右手も精一杯伸ばしたので、それでなくてもキワドかったおっぱいを覆う部分も盛大にずれて右乳首がコンニチハ。

「おお、右乳首が出たね。いい感じよ。直しちゃダメ。今度は左側の青い本に左手を伸ばして、左乳首も出しちゃおう」

 からかうようにおっしゃる五十嵐さま。
 言いなりになるしかない私。

 脚立のてっぺんでずり上がったまま戻らない裾からお尻全体を丸出しにし、たわんだ胸元から左右おっぱいの乳首までを放り出した私に、更なる無慈悲なリクエストが襲います。

「本を取ろうとしている直子のオマンコに指を突っ込みたいんだけど、エミリーお姉さま、やってくれる?」

「えっ、あたしでいいの?どうせなら今日初めての角田さんとかのほうが面白くない?」

 お姉さまがそうご提案されたのですが、角田さまは、いや、いい、とお言葉少なに拒絶。

「じゃあかなちゃん」

「いやいや、直子はエミリーのものだもん。飼い主がやったほうが波風立たないのでは…」

 苦笑いでやんわり拒絶される中村さま。

 おふたりに拒絶されてけっこうショックです。
 きっと私のあまりの恥知らずぶりに呆れられているのでしょうけれど。

「あらら、ふたりに拒否られちゃった。直子の淫乱マゾマンコなんかに指挿れたくないってさ」
 
 私の心を読まれたかのように追い打ちをかけられるお姉さまのお言葉。

「やれやれ、それじゃああたしがやるか。何指?人指し指?薬指?何本?一本?二本?三本?フィストはさすがにまだ無理よ」

 お道化たようにおっしゃるお姉さま。

「いやいや、そんなにハードコアな作品にする気は無いから。いつもヤッてるようにヤッてください」

 五十嵐さまが苦笑いでお答えされます。
 間髪を入れずにズブリと膣内に異物が挿入されました。

「あんっ!」