お姉さまが私の尖り乳首をじっと見つめながら尋ねてきました。
気がつくとお姉さまの背後に、里美さまとしほりさまも仲良く肩を並べてお立ちになり、私をニヤニヤ見下ろしていました。
「あ、はい・・・外国のSMの動画や画像ではよく見かけて、見るからに痛そうだなー、とは思っていました。日本でも売っているのですか?」
普通の単純なクリップとは違い、冷たそうで重そうな銀色メカニカルでいかめしい外見が、いかにも西洋の拷問具という感じがしていました。
「あはは。やっぱり直子は可愛いね。そういうボケ方、あたし好きよ」
やよいママさまがご愉快そうに笑いました。
「直子はあんまりお裁縫とかしなさそうだものね。あれは元を正せば、和裁をする人ならおなじみのお裁縫道具だよ」
お姉さまも嬉しそうに笑っています。
「あのクリップはですね、かけはり、っていう、昔からある純和風なお裁縫道具なんです。和服の反物を縫ったり染色するときに布地をピンと張っておくために使うんです」
小野寺さまが解説してくださいます。
「布をピンと張ってキープするために、突起の金具が引っ張られるとより強く噛むように出来ていて、挟む部分にはギザギザの滑り止めゴムも付いています。普通のクリップみたいにバネの挟む力任せではなく、一度挟んだら外れないように工夫されているのですね」
「だから今のジャクリーンさんは、かなりの激痛に苛まれていると思いますよ。お盆の重さが増すたびに金具が引っ張られて、ニップルをより強く挟んで引っ張ってくるのですから」
「当然、昔のSMマニアな人たちも古くから責め具として活用していて、それに目を付けた欧米のボンデージグッズ業者が、かけはりを仕入れて鉄のチェーンを付けて拷問具ぽくアレンジしたSMグッズとして、ジャパニーズニップルクランプスなんて呼び名で普及しているようです」
小野寺さまったら、澄ましたお顔してえっちな雑学にもずいぶんお詳しいんだ。
「あたしも実家帰れば、いくつか年季の入ったやつがお裁縫箱にあるはずだわ。高校の頃、浴衣づくりに凝ったことあるから」
お姉さまが私をニヤリと一瞥しておっしゃいました。
シーナさまが、まるで他人事、みたいなシレッとしたお顔でつづけます。
「確かにあれ、かなり痛いみたいよ。いくら強く引っ張っても絶対外れないから。て言うより引っ張るほど強く挟まれるわけじゃない。うちの牝ブタも最初のうちは、あれを見せられると一瞬、絶望的な顔をしていたもの。今は、悦んで付けているけれどね」
「へー、いいなー、あたしも早く直子の絶望的な顔、見てみなくっちゃ」
からかうような笑顔で私の顔を覗き込んでくるお姉さま。
「あ、あのえっと、し、シーナさまのことをジャクリーンさまは、ドミナ、ってお呼びされていましたけれど、ドミナって、何なのですか?シーナさまのミドルネームか何か、とか?」
かけはり、というものがかなり痛そうなのでゾクゾクしてしまい、直子に付けてみよう、なんてならないうちに急いで話題を変えようと、ずっと気になっていたことを焦ってお尋ねしてみました。
「直子は、ミドルネーム、が好きねえ。何か思い入れでもあるの?」
やよいママさまが半笑いで、呆れたようにおっしゃいます。
「あ、いえ、別に・・・」
なんだか急に恥ずかしくなって、うつむく私。
「ドミナという言葉はですね、ミストレスと同じような意味のSM用語だと思えばいいですよ。ご主人様、女王様、みたいな意味の」
おやさしくて博識な小野寺さまが、理知的に解説してくださいます。
「英語で、支配、を意味するdominationという単語からきた、という説と、これも英語のdominatrix、女性支配者とか女主人という意味の単語からきたという説があるみたいですね。いずれにしましても、女性支配者を、ドミナ、と隷属する側が尊称するのは、昭和中期頃からの日本のSM小説では定番の表現のようです」
「わたくしとしましては、ドミナ、と称した場合、支配者の中でも女性に限定するところから、dominatrixが語源、という説を推したいところですね。ちなみにdomination、支配、の対義語は、submission、服従です」
小野寺さまは、横文字部分の単語を完璧にネイティヴな発音でお話しされていました。
「へー、小野寺さんて、そういう下ネタもやけにお詳しいのね。もっとカタブツさんかと思ってた。でもまあ、インテリにはムッツリが多い、って言うし」
シーナさまがニヤニヤ笑いで茶化しにかかります。
「あ、いえ、わたくしもアンジェラと長くおつきあいしていますから、知識だけは増えていきますもので・・・でも、先ほどのジャクリーンさんとのショーは、わたくしも、あのお綺麗なお尻に思い切り鞭を振るってみたい、なんて興奮してしまいました」
照れ笑いをお浮かべになり、目の前のオンザロックをグイッと飲み干された小野寺さま。
小野寺さまのように品があって理知的なかたのSっ気って、凄く怖そう・・・
「アレが勝手に呼び始めたのよ、ドミナって。わたしも語源までは知らないけれど、ミストレスと同じような意味だってことは知っていたから、好きにさせたの」
シーナさまがニンジンのスティックをポリポリ齧りつつおっしゃいます。
「ずっとご主人様とかシーナさま、って呼んでいたのが、数年前くらいにミストレスになって、いつだったか北欧から帰ってきたら、これからはドミナとお呼びさせていただきます、って宣言されたのよ。飛行機で読んだ本の中にそういう場面があって、わたしにピッタリだと思ったんだって」
「あの牝ブタ、スケベなことには貪欲だから、そういう小説とかビデオとか山ほど集めているの。わたしも、アレを牝ブタだの売女だのおばさんだの好きに呼んでいるからさ、勝手にすれば、ってほっといたの」
まんざらでも無さそうな、おやさしい目になられたシーナさま。
そこにジャクリーンさまが、空になった銀盆を乳首に吊り下げたまま、お戻りになられました。
ジャクリーンさまの柔らかそうなおっぱい、左右の下乳のお肉に、事務用の標準的な目玉クリップがひとつづつ、新たに噛み付いてぶら下がっていました。
「ほら、プラッター外してあげるから、こっち来なさい」
シーナさまがジャクリーンさまを手招きされます。
「ちゃんと言いつけ通り、手は使わずに回ってきたのでしょうね?」
目の前にひざまづかれたジャクリーンさまの、腰のベルトをぞんざいに外しつつ、シーナさまが詰問されます。
「はい、ドミナ。どんなに重くなっても手では支えずに、みなさまの空いたグラスをカウンターまで運ばせていただきました。トレイに乗り切ら無さそうになると、アキコさまが助けてくださいました」
アキコさま、というのは、ミイコさまから、アキちゃん、と呼ばれていた、もうひとりのメイド服姿の女性、おそらくお店のスタッフさんのことでしょう。
「お客様がたが面白がって、オマンコをさすったりお尻を叩いたりお酒をご馳走してくださったり、いろいろ虐めてくださいました、このクリップはエンドウさまがくださいました」
やっぱり乳首が痛いのでしょう、眉間にシワを寄せて少し辛そうに色っぽいお顔のジャクリーンさまがシーナさまを見つめ、神妙にご報告されています。
「ふーん。それじゃあ後でエンドウさんにご奉仕しなくちゃね」
シーナさまが無造作に目玉クリップを外し、より痛そうに歪むジャクリーンさまのお顔。
「こんなに乳首をビロンビロンに伸ばしちゃって、みっともなくお乳が垂れ下がっちゃって、本当にだらしないおっぱいよね」
銀盆が外れたチェーンを再び中央で繋ぐシーナさま。
ジャクリーンさまのふたつの乳首を起点に半円形を描く鎖が、胸元からお腹にかけて重そうにユラユラ揺れています。
「直子がおまえの乳首クリップに、ずいぶん興味津々みたいなのよ。もっと近くで見せてやりなさい」
シーナさまに促され、ジャクリーンさまが膝歩きで、私の目の前へと進み出られました。
間近で拝見するジャクリーンさまの豊満な生おっぱいは、地肌の青白さを際立たせる小麦色の日焼けとのコントラストとも相俟って妖艶の一言。
そのたわわに熟しきったふたつの果実のそれぞれの頂点に、禍々しい形の金属の嘴が大きめな乳首の根本を食いちぎらんばかりに、しっかりと噛み付いています。
その先の重そうな鎖に乳房全体が引っ張られ、房の付け根付近には数本のシワが走るほど。
思わず生ツバをゴクリと呑み込んでしまうほどの淫靡さ、いやらしさ、痛々しさ。
「どう?なんだったら今こいつから外して、直子のを挟んであげよっか?」
シーナさまがからかうみたいに聞いてきます。
「あ、いえっ!・・・」
首を左右にフルフル振りながら、とっさに自分のおっぱいを庇おうとしますが、後ろ手錠では庇うも何もありません。
首の動きに合わせて無駄にブルブルと左右に揺れる私のおっぱい。
「まあまあ、この後すぐにショーなんだからさ、そういう面白そうなことはステージの上で、みんなでゆっくり見物しようよ」
やよいママさまがイタズラっぽい笑顔で、助け舟を出してくださいました。
と言っても、せっかくならみなさまの前で晒し者にしよう、という意味にも取れますから、私にとってあまり助けにはなっていないのですが。
「それじゃあそろそろ始めましょうか?」
「そうね」
ミイコさまの呼びかけにやよいママさまが応えられました。
「シーナちゃんとエミリーはわたしの後に着いてステージに上ってね。あ、ジャクリーンとナオちゃんは裸足になって」
ミイコさまに促され、うつむいて足だけでスニーカーを脱ごうとしていると、背後から里美さまがお声をかけてくださいます。
「靴、ひとりで脱げる?」
「あ、はい、なんとか大丈夫そうです・・・」
かかとをスリ合わせて脱いだスニーカーを、里美さまが拾い上げてくださいました。
ジャクリーンさまはミュールを履かれていたので脱ぐのは楽だったみたい。
ジャクリーンさまの両足首を繋いでいたチェーンもいつの間にか外されていました。
「では、ステージに上がりましょう」
ミイコさまの号令でお姉さまとシーナさまが立ち上がられます。
それぞれの右手にはそれぞれのペットの首輪に繋がるリードチェーン。
場内が暗くなる等の演出は無く、フロア、ステージ共に昼間みたいに明るいままです。
まず、片手に乗馬鞭を持たれたミイコさまと、手ぶらのやよいママさまが並んでステージ上へ。
ここで、気づかれたお客様がたから盛大な拍手。
つづいてシーナさまにリードを引かれ、後ろ手錠にされたジャクリーンさまがしずしずとステージ上に。
少し遅れてお姉さまにリードを引かれた私も、おずおずと舞台上へ。
私、ボディハーネスだけの裸で後ろ手錠のまま、みなさまが注目されている明るいステージに上るんだ・・・
階段2段分くらいの段差を跨ぐとき、マゾマンコの奥がキュゥンと疼きました。
「それではみなさま、お待たせしました!これより百合草会夏の感謝祭、第二部のイベントショーを始めたいと思いますっ!」
マイクを通したミイコさまのお声が場内に響き、ステージ前に詰めかけたお客様がたから、やんやの拍手。
ステージの一番下手に、片手にマイク、もう片方に乗馬鞭を握られたミイコさま。
そのお隣にジャクリーンさまの首輪リードを持たれたシーナさま。
そのまたお隣、ステージのほぼ中央付近に、黒いレザーの首輪と両手足首にリング付きのベルトを巻かれ、両乳首のかけはりチェーンはまだそのまんま、他はオールヌードなジャクリーンさま。
ジャクリーンさまと並んでのステージほぼ中央は、赤い首輪と手足首ベルト、肝心な場所は何ひとつ隠せないくすんだ赤いボディハーネスで裸身を飾った私。
その横には、私の首輪のリードを持たれたお姉さま。
お姉さまのお隣、一番上手端に、これまたマイクを持たれたやよいママさま、という布陣です。
舞台下のお客様がたも含めて数十名いる女性の中で、ジャクリーンさまと私だけが異質でした。
おっぱいも女性器も剥き出しにして、後ろ手錠の為に自ら隠すことは出来ず、為す術も無く自分の秘部を衆目に晒していました。
もちろん、品定めでもするかのような容赦の無い好奇の視線が、中央のふたりに浴びせ掛けられています。
親子ほども歳の離れたふたりの女性の裸体が、同性たちの眼前でまさに見世物となっていました。
「今夜は、おなじみのジャクリーンに加えて、ニューフェイスのマゾペットを迎え、対戦形式でショーを進めたいと思っています」
ミイコさまのお言葉にヒューヒューと愉しそうにざわつくお客様がた。
「ご紹介しましょう。みなさまよくご存知のエミリーの部下にして、絶対服従なマゾペットセクレタリー、社会人一年生ながら経験豊富なオールラウンダーヘンタイ娘、森下直子ちゃんでーすっ!」
えーっ!?ミイコさまったら、モロに私の本名をバラしちゃった・・・
一瞬目の前が真っ暗になりました。
拍手と共に私の素肌、乳首やワレメに、より激しい好奇の視線が突き刺さってくるのがビンビンわかります。
「このナオちゃんはまだ若いんだけどね、高校生の頃、初めてのご主人様が、当時まだお店開く前のやよいママで、エミリーの前にはシーナちゃんのスレイブもしていたっていう、ヘンタイマゾペットのエリートコースを歩んできているのよ」
ミイコさまがご冗談ぽくおっしゃると、おおーっ、とどよめくお客様がた。
「そう。あたしが指で、この子のヴァージン、いただいちゃったの。初エネマもね」
やよいママさまがマイクを使って可笑しそうにおっしゃると、すかさずシーナさまがミイコさまのマイクに近づきます。
「それで、この子のマン毛をマゾ女らしく永久脱毛させたのが、わ・た・し」
シーナさまのお道化た仕草にイェーイと盛り上がるお客様がた。
お姉さまのお顔をそっと盗み見ると、呆れたような面白がっているような、フクザツな半笑いを浮かべていらっしゃいました。
そっか、今このステージの上には、私の人生歴代お三人の女王様が上がっていらっしゃるんだ・・・
それでこれから、やよいママさまのパートナー、ミイコさまの司会で、シーナさまのパートナー、ジャクリーンさまと、見知らぬみなさまの見守る中で、辱めを受けるんだ・・・
バレエを始めた幼気な中学生の頃には、毛ほどの想像も出来なかった破廉恥でヘンタイなシチェーション。
ずいぶん遠くまで来ちゃったな、という感慨と共に、今までにお三人からされた様々な陵辱や辱めが脈絡なく次から次へと脳裏によみがえり、ほろ苦くも甘酸っぱい懐かしさの入り混じった羞恥と被虐感が全身を駆け巡りました。
そんな感傷的な背徳感を吹き飛ばし、紛れも無く直面しているアブノーマルな現実へと引き戻したのは、ミイコさまのお声。
「では今夜のショーを始める前に、大事な儀式をしておきましょう。これをしておかないと、みなさんが愉しめませんものね?」
ミイコさまがイタズラっぽくお客様がたに問いかけると、一層ガヤガヤヒューヒューざわつくギャラリーのみなさま。
「これからショーを進めるにあたり、ミストレスおふたりがお持ちのマゾペット調教権をいったん、わたしたちに預けていただきます。つまり、ジャクリーンと直子を、わたしたちが好きにしていい、という絶対服従の権利です。わたしたち、というのは、ここにいるバー百合草スタッフと百合草会会員のお客様がた全員、という意味です」
ミイコさまのお芝居がかったお声が響き、フロアが束の間、シーンと静まり返りました。
「まずミストレスであるおふたかた、よろしいですか?」
「もちろん」
「はい」
ミイコさまの問い掛けに、さも当然のようにうなずかれたシーナさまとお姉さま。
「次にスレイブたち。ミストレスが承諾した以上拒否権は無いのだけれど、一応聞くわ。絶対服従、いいわね?」
「はい、喜んでっ!」
「・・・はい・・・」
喜々としてお答えになるジャクリーンさまと、うなだれ気味の私。
同時にフロアのほうだけ照明が薄暗くなり、ミイコさまの重々しいお芝居声とも相俟って、雰囲気が一気に禍々しくなりました。
「契約完了。これで今夜この二匹のマゾペットは、イベントお開きまで今ここにお集まりのみなさん全員の共有スレイブとなりました。とは言っても、ショーのあいだは手を出したくなっても我慢してね。これだけの人数が勝手に動いちゃうと収拾つかなくなっちゃうから」
ニッコリとお客様がたに語り掛けるミイコさま。
「これからスレイブたちに、恥ずかしいゲームをいくつかさせます。もちろん勝負ですから勝ち負けが決まります。トータルで勝ったほうにはご褒美、負けたほうにはお仕置きが待っています」
ここでちょっと間を置き、ニヤッと笑ったミイコさま。
「でもまあ筋金入りのマゾ女たちですから、お仕置きがご褒美なのかもしれないですけれど・・・」
クスクスアハハと嘲るように笑うお客様がた。
「そのお仕置きタイムには、みなさん全員、自由に参加して責めてくださって結構です。もちろんスレイブが死なない程度の常識は守ってくれないと困りますが」
ミイコさまってば、サラッと恐ろしいことを・・・
「あと、さっきもお願いしたけれど、個人的な写真とか動画の撮影や録音はNGね。そちらの彼女が撮影しているビデオは、後日お店で上映会を企画するから」
「その他はショーのあいだも、ムラムラしてきたらオナるのもよし、パートナーとコトに及ぶとか、脱ぎたくなったらどんどん脱いじゃって結構です。レッツ、オージー!」
ミイコさまの煽りにイェーイッ!とノリ良く応えられるお客様がた。
下手側のボックス席から小野寺さまのレンズが、私たちをジーッと記録しています。
「それじゃあまず、みなさんに失礼が無いようにスレイブたちのからだを清めてくるから、しばしご歓談ね。そのあいだにアキちゃん、ステージ上の準備を」
シーナさまとお姉さまから渡されたリードの持ち手を右手で一緒くたに握ったミイコさまが、ちょっとキョロキョロ思案顔。
「誰かわたしのアシスタントがふたりぐらい欲しいのだけれど・・・」
お独り言のようにつぶやかれたミイコさまに、ステージを下りようとされていたお姉さまがご反応されました。
「それだったらうちの里美としほりさんが適任よ。しほりさんは本業がヘアメイクだからこういう現場にも慣れているし、里美もエログッズの扱いには長けているから」
そのお言葉が終わらないうちにおふたりがミイコさまの傍らに駆けつけていらっしゃいました。
まるで示し合わせていたかのよう・・・
いいえ、多分事前に打ち合わせていて、最初からそういう段取りだったのでしょう。
それが証拠におふたりとも、片手に見慣れない大きめなバッグをおのおの下げていらっしゃいます。
おふたりの私物のバッグとは違う、おそらくミイコさまたちがご用意された、これからショーで使うお道具か何か。
どうやら今夜のこのイベントは、やよいママさまやお姉さまたちが事前に入念に打ち合わせされた上でのもので、これからの展開をまったく知らされていないのは、私とお客様がただけなのかもしれません。
でも、見知っているおふたりがご一緒くださるのは、私にとって心強いことでした。
ミイコさまが握るリードに引かれ、裸のマゾペットたち、ジャクリーンさまと私がステージ上手から、おトイレへの矢印サインが示す狭い通路へと誘導されます。
場内のBGMは、軽快なソウルミュージックに変わっていて、フロアでは幾人かが軽くおからだを揺すり始めていらっしゃいます。
私の目前にはジャクリーンさまの剥き出しのお背中、背後にはニヤニヤ笑いの里美さまとしほりさま。
「ドキドキしている?」
からかうようなお声で里美さま。
「何をされるかわからなくって、ドM心がジンジン疼いちゃってるんでしょう?」
愉しそうなしほりさまからのお問い掛け。
「は、はい・・・」
眼前のジャクリーンさまのお尻からまだ覗いているブタさんの尻尾型アナルストッパーを見つめて、おそらく共感性羞恥というのでしょう、いたたまれない羞じらいを感じている私。
通路の一番奥に女性トイレを示す赤いアイコンが見え、そこで何かえっちな衣装にでも着替えるのかな?なんて思っていたら行進がストップ。
ミイコさまがそのドア手前の、何も書かれていないもうひとつの真っ白なドアのノブにお手を掛け、ガチャっと手前に引かれました。
*
*三人のミストレス 21へ
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