里美さまに手を引かれてお車から降りてきた女性は、黒いアイマスクをさせられ、首に細めの黒い首輪、足元の白いサンダル以外の衣類は身に着けていませんでした。
アイマスクでお顔の半分は隠れてしまっていますが見たところまだお若い感じで、襟足までのショートカットにスレンダーな体躯。
小ぶりながら形の良い乳房にスラリとしたお腹、両腿の付け根にはあまりお手入れをされていないように見受けられる密度の薄い陰毛が逆三角形に翳っています。
何よりもまったく陽焼けしていない全身の青白い素肌が、この数日、陽焼け肌を見慣れた目には妙に艶かしくて淫猥に感じます。
「あれ?あなたたちって、明日からの予定じゃなかったっけ?」
お姉さまが里美さまに訝しげにお声がけ。
「はい。その予定だったのですけれど、この子がわがままを言い出しちゃって…」
すっかり車を降りられたその彼女は、右手は里美さまに握られたまま、左手を股間に添えて隠しつつ、うつむかれています。
目隠しをされたままですから周りの状況などまったくわからず、その上からだは全裸なのですから、さぞかしご不安かつ恥ずかしいことでしょう。
「木曜日に顔合わせも兼ねてシーナさん主催の飲み会をやったんです」
私たちの目前、一メートルくらいの位置で裸の女性と手を繋いだ里美さまがご説明をつづけます。
五十嵐さまと角田さまに加えて、いつの間に戻られたのか中村さまも加わられ、おふたりをグルっと取り囲まれています。
「そのときに運転手の本宮さんも参加されていて、本宮さんが、前日にチーフたちをここまで迎えに行くんです、って言ったら、この子が、直子さまがいるんですよね?直子さまも一緒ですよね?って」
「ひと目でもいいからどうしても直子さまに会いたいから一緒に前日に連れて行ってくれ、って言い出して、シーナさんが、そこまで言うなら行けばいいわ、M女が途切れないから先方も退屈しないでしょう、って許可が下りて」
「面識ない子をひとりで行かせるわけにもいかないのでわたしが付き添いで来たんです」
「ふうん、この子って里美が新しく雇ったバイトの子よね?そこまで直子に憧れているんだ…」
お姉さまがその彼女の白い素肌を値踏みでもするように上から下まで眺めながら、嬉しそうにされています。
私は、新しいバイトの子なんだ、でも私のことを知っているんだ?と何も聞かされていなかったことに少しの憤りを感じつつも、その髪型や佇まいにそこはかとない既視感を感じていました。
「あ、かなちゃんは、里美は知っているよね?去年もあたしたちと来たし」
お姉さまが中村さまに尋ねられると、
「うん。あなたたちの中ではけっこうM女弄りのうまい、ノリのいい子だなと思ってた。こっちの裸のお嬢ちゃんは新顔よね」
そうお応えされた中村さまも、彼女の素肌を舐めるように見つめられています。
彼女の青白い素肌は全身がほんのり薄桃色に染まり、両乳首も精一杯背伸びするように尖り勃ち、この理不尽な状況にも彼女が性的興奮していることを如実に顕しています。
「目隠し取ってあげるから、ちゃんと教えた通りみなさんにご挨拶なさい。ほら、レイコの両手はそこじゃないでしょ?ちゃんと言い付け通りにしなさいっ!」
里美さまが繋いでいた手を離されると、すかさずその手をおっぱいの前に持っていって隠されようとされる彼女。
お尻へのビンタと共に、それをビシッと窘められる里美さま。
彼女の両手がおずおずとご自分の後頭部に上がっていかれ、両腋までも露わにしたマゾの服従ポーズ。
腋毛の処理も若干甘めです。
彼女の背後に回られた里美さまが彼女のアイマスクを外されようとしています。
その真正面に私、彼女のアイマスクがゆっくり外されます。
「あっ、直子さまっ!」
「あっ…」
ふたり同時に声を上げていました。
私の理由は思いがけなく、まさしく見覚えのあるお顔だったから。
「わ、わたしは倉島麗子というえっちに虐められることが大好きで、直子さまのような素敵なマゾヒストになってみなさまの慰み者になりたい女です…本日はお招きいただきましてありがとうございます…まだまだ至らない点も多々あるとは思いますが、みなさまのご指導ご調教のほど、よろしくお願いいたします…」
ほんの数ヶ月前、セルフボンデージのレクチャーで倉島さまはお客様、私は緊縛モデルのM女として出会い、そのときはクールな見た目ながら熱心で頭の良さそうなかただな、くらいにしか思わなかった、私と同い年の大学三年生の女性。
その倉島麗子さまが、マゾの服従ポーズで恥ずかしそうに頬を染めています。
「へー、あなた、直子に憧れているんだ?ただのドマゾな直子の何にそんなに惹かれるの?」
五十嵐さまが混ぜっ返すようなニヤニヤ笑いでお尋ねになります。
「そうですね…ご自分の欲望に真摯で貪欲なところ、です。あと、やられていること、やらされていることはとんでもないのに、直子さまがやられると可愛らしくてチャーミングに見えるところ…ですかね」
私の瞳をまっすぐ見つめて頬を赤らめながら、私のほうが気恥ずかしくなるようなお言葉をくださった倉島さま。
そして唐突に、私がまだノーズクリップを着けっ放しな豚っ鼻であったことを思い出しました。
うわっ、恥ずかしい…でも突然外すのもヘンだし、お許しももらっていないし…
急激に赤面しつつうろたえていると、みなさまが会話されているあいだにお車を駐車場に移動されていた本宮さまが、徒歩で静かに戻っていらっしゃいました。
つかつかとお姉さまの前まで来られて、お辞儀をひとつ。
「これはひとつご提案なのですが、今日ここまで走ってきた感じで、高速は上りも下りもかなり渋滞していました。上下ともどこかで事故があったようで」
本宮さまがお姉さまに、お仕事のご報告のように事務的にご説明を始められます。
「今日は土曜日ですし天気もいいことに加えて事故処理ですから、夕方過ぎまでこんな感じがつづくと思われますので、たとえば4時頃にここを出たとしても、ご自宅に着くのは9時近くになるかと」
「逆に夜の8時9時に出発すれば2時間くらいで東京に着くと思います。だから差支えなければ出発を夜まで伸ばされたほうがよろしいかと」
「もちろん渡辺さまに何かご予定があって何時までに帰りたいというご要望があれば善処はいたしますが…」
本宮さまのご提案を黙って聞かれていたお姉さまが笑顔でご返答。
「別に帰ってからの予定なんて無いし明日は日曜だし、あたしは帰れれば夜中でも夜明けでも何時でもいいわよ。本宮さんにお任せ」
お姉さまのお言葉を引き継がれたのは中村さま。
「だったらこの子、倉島さんだっけ、に直子の仕事の引き継ぎも出来るじゃん。ジョセの散歩。倉島さんも少しのあいだだけど憧れの直子と過ごせるし」
こうして私たちの数時間の滞在延長が決まりました。
「運転手さんが来てくれたから、これで心置きなくお酒が飲めるわ」
お姉さまの嬉しそうなお言葉。
「新しく来たM女志願の子も可愛らしいし、うちらももう一泊させてもらおっか?」
「いいんじゃない。明日は日曜だし」
五十嵐さまと角田さまもお顔を見合わせて嬉しそう。
「寺っちに新しいお客様がみえたことを知らせきゃ。夕飯の用意も想定外だし」
中村さまは思案顔で玄関口に向かわれます。
「直子は軽くシャワーしてから広間に来なさい。倉島さんも汗ばんでるみたいだから直子と一緒に行くといいわ。直子、倉島さんにここでの心構えとか、軽くレクチャーしてあげなさい。あんまり長湯はしないように。そうね、15分くらい見当で広間に戻ること」
お姉さまにそれだけ言い渡され、お姉さまは里美さまとご一緒に玄関口に消えていきます。
「…こ、こんにちは…」
「こんにちは…」
数か月ぶりの再会に、ふたりぎこちなくご挨拶。
ふたりとも首輪とサンダルだけの全裸で、おまけに私は鼻の穴を上に引っ張られた豚っ鼻。
「こんな顔でごめんなさいね。ついさっきまで辱めをいただいていたから…」
「いえいえ、とてもチャーミングですごく似合っています」
リアクションに困るお応えをくださる倉島さま。
「えっと、バスルームはこっちにあるの…」
会話がつづかなくて、無言のまま木立に立ち入っていく全裸の女性ふたり。
私が先に立ち倉島さまが少し遅れ気味になったとき、倉島さまから含み笑い交じりのようなお声がかかりました。
「直子さま、お尻にも尻尾付けてもらっているんですね?」
「えっ?」
あわててお尻に手を遣ると、柔らかくて短い紐のようなものが。
焦って紐部分を引っ張るとスポンと抜けたのは小さめ細めのアナルプラグ。
立ち止まってしげしげと見ると、紐状のところはピンクに近い肌色の柔らかいゴム製でクルンと丸まっています。
つまり豚さんの尻尾。
さっきの達磨縛りのとき、どなたかがイタズラ心で挿入されたのでしょう。
確かにあのときは全身性感帯でしたが、事後でもそれが挿入されているのがわからないくらい、私のお尻の穴って拡がっちゃっているんだ…
その尻尾を隠すように左手に握り、地味にショックでしばらく無言で歩きます。
「あの、里美さまのところでバイトされているのですよね?いつから始められたのですか?」
無言に耐え切れなくなって、私のほうから当たり障りのない会話を始めてみます。
「えっと、お盆開けた頃からですね。毎日じゃなくて週二、三回くらいです。配送のお手伝いとか在庫品の確認整理とか」
「お店に新しい麻縄をひとりで取りに行ったときに、私が大学で被服学科を専攻しているって言ったら、だったらうちの店でバイトしてたら就職先もすんなり決まるかもよ、って愛川さまに誘われて」
いくぶん陽の翳った夕方間近ながら晴天の芝生を並んで進む全裸なふたり。
「暇なときには下着姿や裸で自縛の練習とか、新しいえっちなオモチャのモニターとかもやらされています。でも、直子さまにもう一度会えるかもしれない、っていうのがバイトをしている一番の理由です」
倉島さまがまたまたリアクションに困るようなお言葉をおっしゃったとき、例の全面ガラス張りシースルーバスルームの前までたどり着いていました。
ふうん、やっぱり里美さまはもう倉島さまと、ヤるべきことはヤッているんだ…
「なんなんですかこれっ!丸見えじゃないですかっ!」
呆れたように大きなお声を出された倉島さま。
「この別荘のあるじさまのご趣味だそうです。ここでM女を虐めて、それをみなさまで眺めたり」
苦笑交じりに説明する私。
こんな屋外バスルームを初めて見せられたら、そういうご反応になるのはあたりまえです。
ガラスのドアを開けて中に入り、ふたりまず首輪を外します。
私はこれでやっとノーズフックからも解放されました。
倉島さまが、私のそこだけ真白く残る首輪の陽焼け跡を眩しそうに見つめています。
タオル類はひとり分しか用意されていないので、それを持ってふたりで浴室に入ります。
最初のシャワーは倉島さまに譲り、私はそのあいだに髪が濡れないよう上にまとめています。
少しうるさく感じるシャワー音の向こうから倉島さまのお声が聞こえてきます。
「あのう、この別荘のあるじさまって、どんなかたなんですか?怖いけれど偉い女性のかた、とは聞いているんですけれど…」
里美さまってば、お姉さまと同じご説明をされているんだ、と思います。
教えて差し上げても良いけれど、それではちょっとつまらないかな?でも同人小説を書かれている倉島さまなら先生のこともご存じで、感激されるかもしれないし…
少しのあいだ考えてから、やっぱり教えて差し上げることにします。
「倉島さんは、百合薔薇学園サーガ、っていう小説シリーズ、ご存じ?」
「あ、はい。名塚毬藻先生ですよね。わたし、あの中の、かなり昔のお話ですけど古本で読んだ鬼百合と姫小百合っていうお話が大好きで…」
ああ、やっぱり、と私も嬉しくなります。
「その名塚先生がここのあるじさまです。ふだんは品があっておやさしいかたなのですけれど、執筆中はお人が変わられるので覚悟されていたほうが良いかもしれません」
あるじさまの本気ビンタの痛みを思い出しながら、ぼやかした感じでアドバイス。
シャワーを交代して、私はシャワー、倉島さまはソープでからだ洗い。
「あのう、直子さま?」
全身を泡だらけにされた倉島さまがおずおずと語りかけてきます。
はい?と久しぶりのシャワーを気持ち良く浴びつつ応える私。
「直子さまはわたしの憧れなのですから、わたしに丁寧語は不要です。なんなら上からの命令口調でもいいですし、名前も、倉島とか麗子とか呼び捨てにしてください」
今まで言われたことのない懇願に困惑する私。
「そんなこと言われても…同い年みたいだし、私のほうこそ、直子さま、なんてなんだかこそばゆくて…」
「いいえ、これは譲れません。直子さまはわたしのアイドルなんですから」
「だったら私は、麗子さん、って呼ぶね。それで出来るだけ普通に会話するから、それで許して」
同い年のM女志願な女の子にもマゾっぽく許しを乞うてしまう私。
そんな感じに少しだけ打ち解けたふたりは、背中の流しっこなど軽いボディタッチはあったものの、濃ゆいまさぐり合いなどはしないままシャワーを終えました。
そのあいだに、倉島さまはこの滞在中にあるじさまによって陰毛を剃られ、パイパンを維持するためにエステの施術を受ける計画があることが聞き出せました。
浴室を出て、いざからだを拭こうと思ったとき、バスタオルも一枚しかないことに気がつきます。
バスタオルもまず倉島さまに譲って、倉島さまがおからだを拭く姿をボーっと眺めていたとき、違和感に気づきました。
最初に出会ったとき、宙を衝くように尖り切っていた両乳首が今はひっそり。
それどころか、恥ずかしがるように奥まで引っ込み凹んでいるんです。
「あ、これですか…」
目を丸くして見つめる私の視線に気づかれたのでしょう、倉島さまがバスタオルを私に手渡しながら恥ずかしそうにお言葉をつづけます。
「わたし、陥没乳首なんです。刺激されるとムックリ起き上がるのですが、普段はこの通り引っ込み思案なまま…」
初めて見た気がします。
あ、でもしーちゃんもそんな感じだったかもしれない…
興味津々で倉島さまのおムネを凝視しつつ首輪を嵌めると、倉島さまもつられて首輪を嵌め直します。
そのとき少し、イタズラ心が湧きました。
「ねえ、麗子さんのおっぱい、少し触ってみてもいい?」
「あ、はいっ!どうぞご自由に。直子さまに触っていただけるのでしたら光栄です…」
パッと頬を紅潮させられる倉島さま。
両乳首も心なしかヒクッとご反応された気がします。
向かい合って両手を倉島さまの両乳房にゆっくり近づけていきます。
皮膚の感覚がぶつかり、ちょっと固めながら手のひらにちょうどいいサイズの滑らかな脂肪の感触。
そのまま両手をゆっくりニギニギすると、みるみる洞窟から乳首がせり上がってきました。
ムックリと勃ち上がった乳首をすかさず逃さず指のあいだに捕まえて、ギュッと挟むと、あんっ!またギュッと挟めば、あんっ!
目の前の倉島さまが眉根にシワを寄せて切ないお声を上げています。
その悶え顔が可愛くてしばらくのあいだ、あんあんあんあん喘がせていたのですが、ふと、早く戻ってくるよう言い渡されたことを思い出します。
パッと両手を離し、洗面台に放置してあったノーズフックと豚さんの尻尾を掴みます。
「バスタオルは麗子さんが巻いていいから。急いでみなさまのところへ戻りましょう」
「ああん、そんなのずるいです。わたし濡れちゃいました。最後までシてくださいぃ」
倉島さまが甘えたお声でおねだり。
「早く戻ってこいっていうご命令でしょう、バスタオル巻いて、早く行きましょう」
後ろ髪を引かれる思いで魅力的な誘惑を断ち切ります。
「あれ、バスローブとかは用意されていないのですか?」
「ここではM女は基本全裸なの。麗子さんは来たばかりで慣れていないから、まずバスタオルを巻いて様子を見ましょう。大広間でどうなるかはわからないけれど」
きっとみなさまの目前に出るや否やどなたか、たぶん里美さまに没収されてジロジロじっくり、全身くまなく視られしまうとは思いますが。
胸から下を真っ白いバスタオルで隠した倉島さまの手を引いて、バスルームを出る私は首輪とサンダルだけの全裸。
さっきよりもまた少し翳った芝生を早足で進み木立を抜けて正面玄関へ。
扉に鍵は掛かってなく、重々しい外開きの扉を開けた途端にハッと息を呑まれる倉島さま。
初めて足を踏み入れた人ならどなただってそうなるでしょう。
壮麗な沓脱を超えてお洒落な室内履きに履き替え、もう一枚の観音開きを超えて大広間に着いても、倉島さまは唖然とするばかり。
豪華な大広間の一画に、いささか不似合いな庶民的な服装をされたみなさまがたむろっておられます。
ほとんどのかたはTシャツかスウェット姿、一番フォーマルぽいブラウス姿なのは運転手の本宮さまだけ。
みなさまが囲まれるテーブルには色とりどりの飲み物とおつまみが並び、どうやらアルコールが始まっているようです。
もちろん本宮さまだけは飲まれていないのでしょうが。
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