手をつないだままお店を出て、ファッション関係のショップが並ぶ通路をゆっくりと歩いていきました。
お姉さまは空いたほうの手に、さっき私のために使ったバスタオルを入れたビニール袋と、同じくらいの大きさの別なビニール袋を持っていました。
日曜日なのでお買い物客もたくさん歩いていて、ときどき、その人たちを避けるために手が離れてしまいますが、またしっかりつなぎます。
でも、おそろいのサングラスした妙齢の女性がふたり、手をつないで歩いている、って世間的にはどうなのでしょう?
私は嬉しいけれど。
「お姉さまって、店長さんなのですね?」
さっきから聞きたくて、うずうずしてたことを切り出しました。
「うん。そう、今はね」
「すごいですね」
「あたし、この手の仕事、けっこう長いからね。それにスタッフにも恵まれているのよ」
「サトミさん、でしたっけ?」
「うん。サトミは、とくによくできた子よ」
ここで私は、ちょっとためらいがちな口調になります。
「あの・・・さっきみたいなことになったときって、サトミさん、どうされているのですか?」
「しっかり見張りしているわよ。さりげなくBGMの音量上げたり、うるさめの曲に変えたりなんかして・・・」
お姉さまは、くくっ、と小さく笑いました。
そんなことしていたんだ?
ぜんぜん、気がつかなかった・・・
ここで私は、またちょっと口ごもりました。
「あのう・・・。ああいうことって、私以外でもよくあるのですか?」
聞いてしまった・・・
答えを聞きたくない疑問を聞いてしまった・・・
お姉さまは、少し考えてから、
「よくある、ってわけじゃないけれど・・・いろんな子がいるし・・・サトミも最初はお客さんだったし・・・」
「・・・」
「あ。着いたわ」
気がつくと、ファッションビルの縦長なフロアを縦断して、関係者以外立入禁止、と大きく書かれている鉄の扉の前に来ていました。
「ちょっと待ってて」
お姉さまは、私の手を離すとワンピースのポケットから鍵の束を取り出し、手馴れた手つきで鍵穴に差込みました。
扉を引いて中へ入り、お姉さまが内側からの鍵をカチリとまわしました。
そして、なぜだか二人同時に、サングラスをはずしました。
その先は、エレベーターホールになっていました。
私はどこへ連れていかれるのだろう?
ふたりで手をつないだまま、エレベーターが来るのを待ちました。
ほどなくエレベーターが到着し、扉が開きます。
誰も乗っていません。
エレベーターの中に入ると、お姉さまは9階のボタンを押しました。
エレベーターが上昇を始めるのを待って、
「それで・・・」
と、私が口を開こうとした瞬間、お姉さまは持っていた荷物を床に落とし、乱暴に私を抱き寄せ、激しく唇を重ねてきました。
お姉さまの舌が私の口にねじ込まれて、私の舌や唇を激しく吸ってきました。
一瞬戸惑った私ですが、すぐに欲情してお姉さまの舌を激しく求めます。
私の両腕は、お姉さまのなめらかな背中と細いウエストをしっかり抱き寄せ、絡みついていました。
あごから、ふたりのよだれがしたたり落ちていきました。
でもそれもつかの間。
チーンッ!
電子レンジのような間抜けな音がして、エレベーターは停止し、扉が開きました。
ふたりで顔を見合わせて、お互いのあごのよだれを手で拭いながら、
「うふふ」
って、照れ笑い。
お姉さまが荷物を拾い、またふたり、よだれまみれの手をつないでエレベーターの外に出ました。
そこは、会社のオフィスのような雰囲気の空間でした。
背の高いパーテーションで仕切られた小さなお部屋が、いくつもあるようです。
お姉さまと私は、奥へ奥へと歩いていきました。
「ここはね、このビルの事務所兼控え室みたいなところ。休憩のときとかに使うの」
「ちなみに、このフロアは女性オンリー。男性立入禁止なの」
「つまり、私はここで、つづきをやらせてもらえるのですか?」
少し照れながら聞きました。
「そういうこと」
でも、こんなパーテーションで仕切られただけだと、大きな声出したらフロア中に響いちゃう・・・
心配になってきました。
何回も曲がり角を曲がりました。
洗濯機が3つ並んでいるところや、水道の蛇口が五つ並んでいるところがありました。
「なんでもあるわよ。シャワーもあるんのだけれど、残念ながら日曜日は使えないの。ごめんね?」
「ううん」
そんなことをお話しているうちに、エレベーター側から正反対のフロア隅に着いたようです。
「あそこ」
お姉さまが指さしたほうを見ると、頑丈そうなガラスが何枚もはまっている重そうなドアのお部屋が見えました。
お姉さまがまた、ポケットから鍵束を出して、一つを鍵穴に差し込みました。
重い外開きのドアを引いて中へ入ると、お部屋の中には、何か見慣れない機械?装置?がたくさん並んでいました。
「ここはね、館内放送とかの素材を作るための録音スタジオ。今はほとんど使われていないのだけれどね」
「館内放送は、今はこの階の下の放送ブースでやっているし」
「前にこのビルに入っていたデパートが残していったものらしいわ」
私がピアノを習っていた頃、こういうふうな重い扉のお部屋に入ったことはありましたが、本格的な録音スタジオなんて見るのは初めてだったので、なんだかキョロキョロしちゃいました。
「で、あなたが楽しむのは、こっちの部屋」
ずらっと並んでいる機械?装置?の隙間にもう一枚の、これまた頑丈そうなドアがあります。
そのドアを開くと、十二帖ほどの広さの、何一つ置いていない薄暗い空間がありました。
「完全防音。ここで楽器演奏とかしていたのでしょうね」
床にはグレーの薄い絨毯が敷いてあって、ちょこっとカビ臭いかな?
壁が鏡張りならバレエスタジオっぽい雰囲気もあります。
さっきいた機械のあるお部屋に大きな窓ガラスがはまっていて、そこから、こっちのお部屋の様子を見ることが出来る、という仕組みになっているみたいです。
機械のお部屋に戻って、お姉さまと並んでソファーに腰掛けました。
「あの部屋なら、あなたがどんなに大きなヨガリ声を出したって、平気なはずよ?」
お姉さまがイジワルくおっしゃいます。
「だからあなたは、あの部屋で思う存分楽しんでね」
「えっ?お姉さまは?」
「あたしも一緒になってやっちゃったら、誰が見張り番するのよ?」
「ここの責任者もあたしのツレだから、だいじょうぶとは思うけれど、めんどくさい人にみつかっちゃうとめんどくさいことになっちゃうからね」
「だから、残念だけれど、じゃなくて、かわいそうだけれど、あたしは手伝えないの」
「あなた一人で、楽しみなさい。あたしはそんなあなたを視て、愉しむから」
「そんなに寂しそうな顔しないの。安心して、あなたのオナニー、録音したりしないから」
からかうように笑ったお姉さまはまた、私の唇に自分の唇を重ねてきました。
今度は、ソフトでやさしく蕩けるようなキスでした。
私は、思い切りお姉さまのからだを抱きしめてしまいます。
互いのお洋服越しに、お姉さまのおっぱいが私のおっぱいにあたります。
それは予想通り、ちょっと硬い感じのおっぱいでした。
私がお姉さまの胸元に手を差し込もうか、と迷っているところで、やさしくからだを離されました。
「さあ、それでは始めていただきましょう!」
お姉さまがおどけた感じでおっしゃいました。
「ねえ?何か道具いる?バイブとか?」
私は少し考えてから、
「ううん。いらないです。今日なら指だけでも何回でもイけそうだから・・・」
「本当にいやらしい子・・・」
お姉さまの目がまっすぐに私の顔を見つめてきます。
「あっ、でもあなた、愛液多いのよね?あんまり床を汚しちゃってもあれだから・・・ちょっと待ってて」
お姉さまが重い扉を押し開けて、機械のお部屋を出ていきました。
今日は、なんていう日なのだろう。
一人で残された私は考えます。
つい数時間前からの出来事が、まるで夢のようです。
そして、それはまだ終わりません。
今度は、素敵なお姉さまの目の前で、私の本気オナニーをご披露するのです。
そう言えばまだ、お姉さまのお名前、まだ聞いていなかったな・・・
*
*ランジェリーショップ 10へ
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