2022年6月2日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 19

 ご陽気にはしゃがれるみなさまの中にひとり全裸で放り込まれてしまった私は、どうしても目線がうつむきがち。
 車座中央に置いてあるおつまみの乗った大きなお皿をボーッと眺め、使い捨ての紙のやつみたい…なんて、どうでもいいことを考えながらモジモジしていました。

「全員揃ったことだし、もう一度乾杯しましょうか」

 寺田さまが私に、大きめで半透明なプラスティックのコップに注がれた飲み物を差し出してくださりながらみなさまにお声がけ。
 渡してくださった飲み物は、飲み口側が泡で包まれ、コップが黄金色に染まっているのでビールだと思われます。

「我らが名塚先生のレズビアンハーレム、官能の楽園へようこそ!存分に愉しんでいってね。カンパーイッ!」

 寺田さまの音頭で、それぞれのコップを高く掲げられるみなさま。
 お姉さまと寺田さまと中村さまのコップは葡萄色に染まっているので、おそらく赤かロゼのワイン、名塚先生と五十嵐さまのは無色だから、白ワイン?日本酒?焼酎?

「明日、明後日のあと二日間、よろしくお願いいたします」

 お姉さまが名塚先生に頭をお下げになっているのを見て、私もあわてて同じ動作。
 お姉さまの動きの気配に少し遅れてそっと頭を上げると、名塚先生がたおやかな笑顔でうなずき返してくださいました。
 お風呂上がりで喉が乾いていたこともあり、いただいた飲み物をゴクっと喉に流し込みます。

「あれ?このビール、あまい…」

 驚いた拍子に思わず声に出てしまいました。

「ビールをジンジャーエールで割っているのよ、シャンディガフって名前でイギリス由来の歴としたカクテル」

 寺田さまが教えてくださいました。
 口当たりが良いのでゴクゴク飲めてしまいます。

「おっ、直子もイケるクチなんだ。コップ貸して、あかわり作ってあげる」

 中村さまが手を伸ばしてくださったので、空になったコップをお渡ししました。

「ほら、もうこんなの取っちゃいなさい」

 左隣のお姉さまが私の頭のタオルを外してくださり、まだしっとり気味な私の髪を、開いた右手の指四本で優しく梳いてくださいます。
 甘えるように首を左側へと傾ける私。
 そうしているあいだに中村さまがおかわりを渡してくださいました。

「ほらショーコちゃん、直子も落ち着いてきたようだから、あれ、やってもらえば?」

 こちらの様子をニヤニヤ眺めていらっしゃった寺田さまから、五十嵐さまにお声がかかりました。

「あ、そうだった。せっかく地下室からえっちらおっちら持ってきたのに、危うく忘れちゃうところだった」

 スクっと立ち上がられた五十嵐さまが入口近くの壁際に立て掛けてあったご自分の身長よりも少し低いくらいな長方形の大きなガラス板?を軽々とお持ちになり、近くの襖に立て掛け直してから元の位置まで戻られました。

「さっきお食事しながらみんなで色々話したの。イガちゃんさ、直子に人間テーブルして欲しいんだって」

 左隣のお姉さまが教えてくださいます。

 …人間テーブル?

「外国の写真だったかビデオだったかで見たことあって衝撃的だったんだって。それで今度の作品にそういうエピソードを出したいから、実際にそういう場に臨んだらどんなふうに思うのか実体験してみたいんだってさ」

 中村さまからの補足説明。

 そう言えば五十嵐さまは、同人でえっちな漫画を描かれていらっしゃる、ってどなたかから聞かされた覚えが…
 私にこの格好でテーブルになれ、ということでしょうか…
 全身の温度がグンと上がった気がしたのは、お酒のせいだけではないみたい。

「それはフォルニフィニアって呼ばれるフェティシズムの一種ね。人間のからだをモノ扱いしたりされたりすることで生まれる支配と被支配、征服と隷属の関係性の具現化。とくにエロティックな裸の女性をテーブルや椅子、燭台や照明器具みたいな家具として拘束放置する行為がフォルニフィニアと呼ばれているの」

 いきなりのアカデミックな解説は名塚先生。
 コップの中の透明な液体をクイッと飲み干され、つづけられます。

「欧米だとBDSMの一分野としてアート的な見地で語られたりもしているし、日本だと、乱歩の人間椅子は性倒錯ものとして有名だし芸術として評価もされているわよね。あ、でもほら、あれ、裸の女性にお刺身乗せて愉しむ、女体盛り?は、脂ぎった男性目線で悪趣味なだけだと思うけれど」

 名塚先生のコップに寺田さまが注ぎ直された瓶を拝見すると、どうやら飲まれているのは日本酒のよう。
 そのコップを再びクイッと傾けられ、名塚先生が尚もつづけられます。

「わたくしも、たまにここでM女を家具にしているのよ。お尻を上向きに柱に縛り付けて花器にして性器とアヌスにお花生けたり、縁側にうずくまらせてオットマンにしたりね」

 ひと月ちょっと前、やよいママさまのお店に伺ったとき、シーナさまのテーブルのお足下に裸でうずくまられていたジャクリーンさまを思い出します。
 名塚先生もいくらかお酔いになられておられるのでしょう、ご執筆中の憑依状態とはまた違う、品を残されながらもサディズム全開のえげつないお話をスラスラ口にされています。

「それならアタシらもアートにしなきゃね。とりあえず真ん中を片付けて空けて、テーブルの設置場所にしましょう」

 寺田さまのひと声で車座中央のお酒の瓶類やおつまみのお皿が脇に退けられました。

「畳に直は可哀想だから毛布を敷いて上げる。せっかくお風呂でキレイにしたんだし、ショーコちゃんの資料としての写真映えも良くなるだろうしね」

 例の桐箪笥に取りつかれた寺田さまが、真ん中くらいの抽斗から真っ赤な毛布を引きずり出されました。
 お座敷の広い場所でいったん広げられたそれが二つ折り、三つ折りされ、車座中央に敷かれます。
 畳一枚が三分の二くらい隠れるスペースです。

「四つん這いかな?それとも、まさかの仰向け?」

「うちが見たのは四つん這いだったけど…」

 中村さまと五十嵐さまの会話。

「あ、でも仰向けってスゴそうじゃない?いかにもセキララって感じになりそう」

 茶化すようにおっしゃったのは寺田さま。

「そうね。それでやってみましょう。直子?その毛布の上に仰向けで横になりなさい」

 すごく久しぶりにお聞きした気がする、お姉さまのご命令口調。

「は、はい…」

 その冷ややかな声音にゾクゾク感じながらお座布団から立ち上がった私。
 座っているみなさまから全裸を見上げられつつ、赤い毛布の真ん中辺りにお尻をつけ、そのまま背中を倒して寝そべりました。
 もちろん両脚はぴったりと閉じて真っ直ぐに伸ばし、両手も両脇につけた一直線状態。

 周りのみなさまが中腰になられたので、今度はみなさまから裸身を見下される形。
 なんだか生贄とか人体実験の被験者になった気分です。

「ほら、そんなふうにお行儀良く寝そべっていても、テーブルには成れないでしょう?」

 お姉さまの詰るようなご叱責。

「あら社長、そもそもお行儀の良い女の子は、こんなふうにみんなの前に素っ裸で寝そべったりは、しないものではなくて?」

 寺田さまがニクタラシイお芝居声でまぜっかえされます。

「両手のひらをたいらにして、両腕を高く上げるの。脚もね。足の裏も上向きでたいらになるように上げるのよ」

 苦笑いを浮かべられたお姉さまがしゃがみ込まれ、私の顔を覗き込んでいらっしゃいます。

「は、はい…」

 両手を高く差し伸べるのは簡単です、寝たまま虚空に両腕を突き上げればいいだけですし、肘を曲げれば高さだっていかようにも調節可能。
 問題は両脚でした。

 両脚をびったり閉じたままでも高く突き上げることは出来ますが、それでは腕に比べて高く上がり過ぎてしまうのです。
 高さを減らすためには膝を曲げなければなりませんし、膝を曲げようとすると自然と股も開きます。
 その上、足の裏を上向きにしなければならないのです。

 膝を曲げて高度を下げるたびに私の両腿の付け根がどんどん開いていきます。
 それにつられて腰は浮き、足の裏を意識するたびに両膝のあいだもどんどん広がっていきました。

「うわ、これは恥ずかしいねー」
「ひっくり返ったカエルって感じだね。何もかも全部おっぴろげー、で」
「何がスゴいって、この子今、自分からこのポーズになったんだよね」
「全面降伏、どうにでもして、って感じ」
「ほら、早くテーブル乗せてみよう」

 ご容赦の無い嘲りのお声が上から降り注ぎ、私の全身に羞恥の火照りが駆け巡ります。
 名塚先生以外のみなさまがお立ち上がりになられ、五十嵐さまが運んでこられたガラス板?を私の上にかぶせてきます。

 まず左手、すぐに右手。
 想像していたよりもずいぶんと軽い…あ、硬度のある透明なアクリル板なんだ…
 つづいて左足、右足。

「うーん、足のほうがちょっと高くてナナメってるよ」

 五十嵐さまのお声がしたと思ったら、足側の板がグイッと下に押されました。

「ああんっ!」

 押されると同時に私の両膝が更にグイッと割られ、股関節も更に開いてしまいます。

「あれ?なんか今、テーブルが啼かなかった?」

 寺田さまのクスクス笑い混じりなお芝居声。
 五十嵐さまは、あちこちアングルを変えられて、私の姿をカシャカシャ写真に撮っているみたい。

「まさかー、テーブルが啼くわけないじゃない。そんなことより、コップを戻してテーブルの具合を試してみませんこと?」

 中村さまもお芝居声でお応えになり、私が支えるアクリル板の上に、おつまみの大皿とみなさまの飲みかけのコップが戻されます。
 重そうな酒瓶類やアイスペールは戻されなかったのは、みなさまのお優しさなのでしょうか。

 コップ類が置かれても重さはさして変わりませんでしたが、みなさまがそれぞれのお座布団にお座り直され、至近距離から透明越しに見下される立場となり、被虐感がグンと増します。

「このテーブル、なんだか微妙にグラグラ揺れてる気がするわね」
「ワタシの目の前に、ねっとり濡れそぼった卑猥な穴があるんですけど」
「アタシのとこでは、眉根にシワ寄せて辛そうに火照った顔がアタシを恨めしげに見上げてるわよ」
「あら、テーブルの下のこのふたつのポッチは何かしら?すごく弄って欲しそうにそそり立っているけれど」

 みなさまお芝居口調で口々に私をいたぶるようなご感想を述べられています。
 そのあいだも五十嵐さまは、私の無様な痴態撮影に大忙し。

「はうんっ!」

 横向きな私の裸身を見下ろす位置に座られたお姉さまが、不意にアクリル板の下に手を伸ばされ、私の硬く尖立した右乳首を指先でピンッと弾かれました。
 途端に全身にビリビリっと電流が駆け抜け、テーブルが大きくグラリと揺れてしまいます。

「あっ!ヤバいっ!」

 あわててそれぞれのコップに手を伸ばされるみなさま。
 テーブルのアクリル板からあやうく滑り落ちそうになったおつまみの大皿は、名塚先生が間一髪で持ち上げられ、中身を周囲にぶちまけてしまうことを阻止してくださいました。

「なんだか危なっかしいテーブルね。とんだ不良品だわ」

 相変わらずのお芝居口調でおっしゃった中村さまが、マドラーの持ち手で私の濡れそぼった肉襞を楕円に沿うようにススーッと撫ぜました。

「あぁんっ!」

 今度は何も乗っていないアクリル板だけが大げさにガクンと跳ねました。

「まあ、こんな格好で支えつづけるのって空気椅子みたいなもので、ある意味拷問だから、数分で手も足もガクガク痙攣しちゃうわよ。そこにイタズラなんかされたら、ひとたまりもないでしょうね」

 ご愉快そうに微笑まれた名塚先生、少し周囲をキョロキョロされた後、つづけられます。

「仰向けでテーブルにするのなら、肘と膝を縄で括っちゃって動けないように固定するのが安全ね。ほら、こんな具合に」

 名塚先生が傍らに散らばっていた書籍のうちの一冊をパラパラっとめくられ、広げたページをみなさまにお見せになられています。

「こんな感じに拘束しちゃえば、おっぱいや性器をちょっとくらいイタズラしても、プルプル震えて身悶えるくらいの芋虫みたいな反応しか出来ないから、安心して使えるでしょう?」
「ただし棒枷まで使ってここまでカッチリ拘束されちゃうとM女は辛いでしょうね。それこそ腹筋くらいしか動かせないもの」

 シラッと恐ろしことをおっしゃる名塚先生。
 みなさまも、なるほどねー、というご反応をされた後、私にもその写真を見せてくださいます。

 赤いボールギャグを噛まされた首輪全裸の金髪白人美人さんが、両腕両脚を左右それぞれ肘折と膝折に束ねた四本の支柱として縛り上げられ、棒枷で大股開きに固定された両膝とお顔の両側に突き出した両肘で大きなガラス板?を支えておられるお写真でした。
 
 ガラス板?の上には、大きなガラスの灰皿とブランデーの瓶、アイスペール、そして乗馬鞭が重そうに置かれ、その人間テーブルの直ぐ側に置かれた高級そうなソファーにセクシーなボンデージスーツ姿の黒人美人さんが優雅にブランデーグラスを傾けられていました。

 今の私よりも数倍無様に人間テーブル化されてしまった金髪美人さんのお姿にもゾクッと震えたのですが、間髪を入れずに該当書籍の該当写真ページを指し示される名塚先生の博識ぶりと言うかリファレンスの迅速さは、このかたの頭の中って、こういう知識とデータで溢れかえっておられるんだ、と別の意味でゾクゾクっと身震いしてしまいました。

「だから初心者なら、四つん這いでさせたほうが、お酒こぼされたりナッツばらまかれたりみたいな後々の手間がかからなくてよ」

 優雅におっしゃいつつ、ふわーっと可愛らしく欠伸をされた名塚先生。

「今日は久しぶりに長い時間お陽さまに当たったせいか、お酒がほどよく効いて、いい感じに眠くなっちゃった。明日は早いことだし、わたくしはこのへんでお先にやすませていただくわ。あとはよしなに、ね」

 名塚先生がンーーッと伸びをされたのが合図だったかのように寺田さまがスクっと立ち上がられ、別の間へつづく襖をスーッと開けられました。
 おふたりが襖の向こう側へお消えになると、今度は中村さまが立ち上がられ、私が支えていたアクリル板を外してくださいました。

「そういうことだから、ほら直子、今度は四つん這い」

 中村さまが、さも当然のようにおっしゃると、お姉さまがお応えになります。

「そうね。なんか中途半端にこれで終わっちゃうのもオチがつかないし。イガちゃんの参考資料のためにも四つん這いもやっておかなくちゃ」

「でも、先生がお隣でおやすみになるのなら、いつまでもここで騒ぐのは不味いんじゃない?」

 至極真っ当なご意見を述べられる五十嵐さま。

「それもそうね。ならササッと直子の四つん這いテーブルも写真に撮って、今夜はお開きということにしましょうか。ほら直子、さっさと四つん這いにおなりなさい」

 お姉さまに急き立てられ、アクリル板が消えてもずっと恥ずかし過ぎる格好をキープしつづけていた私はあわてて身を翻し、両手両膝を毛布について四つん這いになります。
 そこで襖が開き、寺田さまが戻っていらっしゃいました。

「お、今度は四つん這いね。こっちだとちょっと高めなテーブルになるんだ」

 寺田さまが嬉しそうに元の位置にお座りになられます。

「うん、そうなんだけれど、先生がお隣でおやすみになられているのに、あたしたちがまだ騒いでいるのもどうかな、と思って…」

 お姉さまがヒソヒソお声のご相談。

「先生がこんな時間におやすみになるのも珍しいのだけれど、本当に眠そうだったし、それだけ今日のあれやこれやが愉しくて充実満足されたのだと思う。お布団敷いたらコテンと目を閉じちゃったし」

 寺田さまが手酌でご自分のコップに白ワインを注ぎ足されます。
 ちなみに時刻は夜の10時半ちょっと過ぎです。

「でもまあ、明日が早いのはアタシも同じだしエミリーたちだってふたりだけでイチャイチャもしたいだろうし、今夜はこのへんでお開きにしようか。ショーコちゃん、直子にテーブルかぶせて」

 寺田さまからお声がけされ、五十嵐さまが四つん這いな私の背中に再びアクリル板を乗せてこられました。
 そのあいだに寺田さまが名塚先生の机上から何やら片手大のものを手にされます。

「ここでまたお酒のコップとか乗せてもつまんないし、せっかく人間テーブルがあるのだから最後のひと勝負をしましょう」

 寺田さまのお手の中に一組のトランプ。
 それをご器用にパラパラっとお切りになりながらおっしゃいます。

「最後の一発勝負。勝った人はレズ便器直子のからだを思う存分好きに出来る!」

 お得意気におっしゃったのですが、途端にブーイングの嵐。

「それって今の状態と同じじゃん」
「ぜんぜんご褒美じゃないしー」
「それってエミリーに恨まれそうでやだー」
「もっとスリリングなのがいいー」

 みなさま大人のかたですから、お隣でやすまれておられる名塚先生にご遠慮されてか、見た目かなり酔われていても大きなお声はなく、高校生の修学旅行の消灯後みたいなテンションで盛り上がられています。

「わかった、それじゃあこうしましょう。ご褒美ではなくて罰ゲーム。ビリの人は直子がして欲しいこと、性的なこと限定ね、を、この勝負の後ひとつ叶えてあげること。その代わり直子はゲーム中何をされても絶対テーブルを崩さないこと」
「もしも直子が堪え切れずにまたテーブルをぶちまけてしまったら、今夜は庭のジョセフィーヌの犬小屋で仲睦まじく一晩過ごす、ってことでどう?」

 私以外の満場一致で決まり、一発勝負のゲームは七並べ。
 名塚先生がおられた位置に寺田さま、私のお尻の位置に五十嵐さま、寺田さまの向かいにお姉さま、私の顔の位置に中村さまという布陣。
 もちろん五十嵐さまはゲームが始まるまで、私の四つん這いテーブル姿を様々なアングルでカシャカシャ写真に収められています。

「アタシ、七並べは得意なの。性格悪いから」
「うちの真ん前がお尻の穴だよ。でもこんなに酷いことされているのにドマゾのマンコってグジュグジュダラダラに濡れちゃうんだね、肛門も時々ヒクヒクしてるし」
「ほら、直子はあまり飲んでいないでしょ?ストロー刺してあげるから、お酒も愉しみな」
「さっきは飛び出てたポッチが今度はぶら下がってる。本当、弄りたくなる形と大きさなのよね」

 みなさまコップ片手に口々にお好きなことをおっしゃいつつゲームのあいだ中、意味も無く私の乳首がつままれ、マゾマンコと肛門を弄くられ、パスを強いられるたびに八つ当たりでお尻や乳房やほっぺたをピシャっとはたかれ…
 それでもテーブルに並べられているカードを極力乱さないよう、名塚先生のご安眠のお邪魔をしないよう、身悶えと淫声を必死に堪え、目尻に涙を溜めて懸命に耐え忍ぶ私。

 私の体感時計では永遠にも感じる時間でしたが、実際は10分に満たないくらいだったと思います。
 着順は、寺田さま、五十嵐さま、中村さま。
 ビリはまさかのお姉さま。
 
 後で寺田さまがこっそり教えてくださったのですが、あのトランプには、お姉さま以外のお三かたはご存知なイカサマの仕掛けがあって、初めて来られたお客様をえっちな勝負に嵌めて愉しむのによく使われているそう。
 つまり、お姉さまは負けるべくして負けたわけで、あの勝負は私のために、みなさまからの歓迎の意味を込めた接待七並べだったのだそうです。


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