自分がマゾな性癖を持っていることに気づいた頃からずっと憧れていて、独り暮らしになったらぜひとも一度やってみたい、と思っていたことがありました。
素肌にコートを一枚だけ着用してのお出かけ。
屋外露出の定番、羞恥プレイの王道とも言える、俗に言う、裸コート、というやつです。
それっぽいことなら、すでに何度か経験していました。
やよい先生と一緒に薄いワンピース一枚だけでお出かけしたり、駅のおトイレで下着だけ脱いで知らない町をノーパンでお散歩したり。
裸コートも行為的には同じようなものですし、裸コート以上に恥ずかしい姿での屋外露出もいろいろ体験済みでした。
でも、それらを体験してもなお、野外露出ものビデオや写真で女性の裸コート姿を目にするたびに、いつか私もやってみたい、と思いつづけていました。
裸コートをするまでの過程には、2つのケースがあるように思います。
ひとつめのケースは、誰かのご命令。
ご主人さまやパートナー、あるいは脅迫者とかから、こういう格好をしてお外に出なさい、とご命令されての裸コート。
えっちなビデオとかでは、こちらのシチュエーションが多いですよね。
私も、裸コートではありませんでしたが、やよい先生とシーナさまから、似たようなご命令をいただいたことがありました。
もうひとつは、自発的な裸コート。
誰かにご命令されたのでもなく自分の意志で、全裸にコートだけを着て、ひとりでお散歩に出かける、という自虐的な行為。
私がやろうとしているのは、こちらのほうです。
外見上は、まったく普通なコート姿。
だけど、そのコートの下には何も着ていなくて、コートの前を開いたらあっという間に街中で全裸。
そのことを知っているのは自分だけで、それに気がついて欲しいような、欲しくないような。
もしも何かの拍子でバレちゃったら、言い訳も逃げ場所もまったく無い、自分自身のヘンタイさゆえの自業自得。
それはまさに、私みたいな性癖にはうってつけの、秘め事っぽい背徳感あふれる魅力的なひとり遊び。
加えて、一番ポピュラーな屋外露出遊びなのだから、一度はやってみなきゃ、っていう羞恥願望マゾとしての義務感、みたいなものもありました。
実際、裸コートを実行することを決めて、いろいろ妄想をふくらませていくうちに、裸コートが単純に屋外羞恥プレイとして、私みたいなノーブラ外出さえも躊躇しちゃうレベルの臆病マゾにとって、理想的な要素を揃えていることに気がつきました。
裸コートは、その行為の異常さに比べて、発覚するリスクはとても小さく、安全性の高いヘンタイ行為なんです。
コートの生地はおしなべて厚めですから、ノーパンノーブラワンピースのときみたいに乳首が布地に浮いちゃう心配をする必要がありません。
ボタンをきっちり留めれば、裾が風に大きくひるがえることもないし、万が一雨とかで濡れても透けちゃう心配も皆無。
普通に歩いているだけなら、周囲からは絶対に、そんなことをしているなんてわからないはず。
街中でこっそりいやらしい格好をしたい、という自分のヘンタイ欲求を満たしながらも、周りにバレちゃう可能性は限りなく低い。
そんなハードルの低さが、臆病過ぎる私のマゾ性好奇心を、大いにくすぐりました。
見せたがりのヘンタイマゾのクセして、バレちゃう心配が少ないからやりたい、なんて、なんだか矛盾していない?って思われるかもしれませんね。
でも、今までにも何度か書いたことですが、私の露出羞恥願望は、性来の臆病さに加えて幼い日のトラウマゆえに、ややこしくひねくれているんです。
誰でもいいから裸を見せたい、恥ずかしい姿を視て欲しい、みたいな単純なものではないのです。
ややこしくしている最大の要因は、たとえば露出行為をするとしたら、それを視てもらう相手として、私の場合、男性の目は一切欲していないことでした。
男性には視られたくないのです。
もし、私のあられもない姿を偶然視た男性が劣情を催し、何かしてきたら・・・
それを考えると、どんなに激しいムラムラも、冷たいお水を浴びせ掛けられたようにへなへなと萎んでしまいます。
男性からの好色を帯びた注目は、想像するだけでも、私にとって恐怖以外のなにものでもありませんでした。
もちろん、誰かに恥ずかしい姿を視てもらいたい、という願望は大いにあります。
ただし私の場合、そのお相手は同性限定。
だけど実際、街に出れば老若男女さまざまな無数の目があります。
その中から男性だけシャットアウトするなんて到底不可能。
だから、裸コートでよくある展開、道行く人たちの前でバッとコートの前を開き、見知らぬ人たちに恥ずかしい格好を晒しちゃう、みたいなことは絶対出来ないし、やるつもりもありませんでした。
たとえば、もしも傍らにパートナーがいるなら、もう少し大胆になれるでしょう。
私の野外露出初体験だったやよい先生との遊びのときは、やよい先生やユマさんが傍にいつもいてくれたので、その安心感から人目もはばからず、ずいぶん過激なことも出来ました。
夏にシーナさまとデパートを連れまわされたときも、いろんな人に恥ずかしい姿を視られてすっごくコーフンしちゃいました。
でもそれが出来たのは、やよい先生やユマさん、シーナさまが周囲にいつも注意を払って、私のややこしい性癖にいろいろ気を遣ってくださったから。
ひとり遊びでは、まったく状況が違います。
なので、誰かに見せちゃう、という積極的な露出行為は、ひとり遊びのときにはやらない、と完全に割り切っていました。
まったく人影の無いのを確認してチラッくらいがせいぜい。
もっぱら、人知れずこっそり恥ずかしい格好や行為をすること、に徹していました。
それだけでも充分満足出来ました。
そんなメンドクサイ性癖を持つ私にとって、これからやろうとしている裸コートの安全性、は、とても頼もしく感じたのでした。
そんなあれこれで、裸コートを実行することは決めたのですが、裸コートは季節を選びます。
私が東京に来て、最初に裸コートに想いをめぐらせたのは、5月の始めでした。
確かやよい先生のお家にお泊りで遊びに伺うちょっと前だったと思います。
当然、コートの季節はとっくに終わっていましたし、次のコートのシーズンまでもずいぶんありました。
それから、ひと月に一回くらい不意に思い出しては、いろいろ妄想しながらコートの季節の到来を心待ちにしていました。
実行するのは秋。
でも私は、秋用のコートは持っていませんでした。
ウールのあったかコートが2着、カシミアも1着ありましたが、これらはどうみても秋口には早すぎます。
春用のコートは色がピンクのと水色なので、これも秋にはちょっと。
高校のときのスクールコートは秋に着てもおかしくない感じでしたが、襟に校章が付いてるし。
あとはハーフコートやショートコート。
必然的に、コートも新調する事にしました。
ショップに秋物が出回り始めた9月上旬。
私の裸コート計画が具体的に動き始めました。
まずはコートの調達から。
いろいろなコートの写真をネットで集め、どんなコートがいいか決めました。
目立ちたくはないので、基本的にシンプルなどこにでもあるようなシルエットのコート。
膝が隠れるくらいの長さでざっくりした感じ。
形としては、ステンカラーかトレンチ。
色は秋らしくシックな感じだけれど、出来れば春にも着れそうなの。
そんなふうに決めて、学校帰りにいろいろとお店を回りました。
9月の終わり頃。
秋分は過ぎたけれど、お空にはまだ夏の名残がしぶとく居座っていて、コートを着るような雰囲気は微塵も無い秋晴れの日に、理想的なコートにめぐり会えました。
場所は、高層ビルのふもとのファッションビル。
学校の帰りにたまに寄って何度かお買い物もし、店員さんとも顔なじみになっているショップでした。
明るめながらくすんだようなオリーブグリーン色のそのコートは、ステンカラーでストンとしたシルエット。
シンプルなデザインだけれど、ポケットがふんわり可愛くてフェミニン。
試しに着てみると、丈も理想通り。
膝小僧がちょうど隠れるくらいの長さで、いい感じです。
「あら、今日はコートを探してるの?」
顔なじみの店員のお姉さんが声をかけてきました。
「そのコートいいでしょ?あたしもお仕事別にして、一着買っちゃおうかなって思ってたんだ」
なんて調子のいいことを言ってきます。
「色もシックだし、秋っぽいよね。それにライナーも付いているから真冬でも着れるし」
ニコニコしながら盛んに勧めてくれます。
私は、このお姉さん、私がこのコート着て恥ずかしい遊びをしようといているなんて、夢にも思っていないんだろうなあ、なんてはしたないことを思いながら、お姉さんの勧めるままにそのコートを買いました。
一目見たときから、買うことは決めていたのですけどね。
けっこう有名なブランド品だったので、お値段もそこそこしたのですが、すっごく嬉しい気持ちでいっぱいでした。
お家に帰ると早速、お洋服をすべて脱ぎ捨てて、素肌にコートを羽織りました。
前ボタンは全部で5つ。
前の布が二重になっていてボタンが隠れちゃうフライフロントなので、ボタンとボタンの間から肌が覗けちゃう心配もまったくありません。
一番上の喉元まで閉めちゃうと暑苦しい感じなので、一番上のボタンだけはずします。
鎖骨がわずかに覗く感じ。
胸元の布が浮いても僅かなので中は覗けないし、尖っている乳首もぜんぜんわかりません。
鏡に映った自分のコート姿には、どこから見たって、この下が全裸だと思わせるような手掛かりはありませんでした。
これで準備はバッチリです。
そうだ、裸コートをしたら、この姿でさっきのお姉さんのところへお買い物に行ってみようかな・・・
裸コートで繁華街を歩き、たくさんの人たちが行き来するファッションビルで、何食わぬ顔をしてお買い物している自分。
そんな姿を想像するだけで、心臓がワクワクドキドキ高鳴ってきます。
早くもっと涼しくなればいいのにな・・・
コートを着ても不自然ではないくらいの気候になる日は、もうすぐでした。
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*コートを脱いで昼食を 02へ
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