「あっちの部屋でね、いいものみつけちゃったんだ。で、ピンて閃いちゃった」
洋間のドアを指さしたリンコさまが、含み笑いを浮かべて私をじっと見つめながらおっしゃいました。
「そのいいものって、ガウンとか、お洋服ではないのですよね?」
「もちろん。今持ってきてあげる」
タタタッと小走りに駈け出したリンコさまが洋間のドアの向こうへ消えました。
すぐに戻られたリンコさまは、両手で大きな板のようなものを持っていました。
「これね、イベント会場の飾り付けに使うトルソーとかを運ぶためにさ・・・」
おっしゃりながら、持ってきた一枚の板を慣れた手つきで広げると、ずいぶん大きめなダンボールの箱になりました。
「トルソーを一度に四体詰め込めたから、人ひとりくらいなら余裕で入れるはず」
6~70センチ四方くらいの底で、高さも同じくらいの頑丈そうなダンボール箱。
「玄関に台車があるから、アタシが押して会場まで運んであげるよ。中に入っちゃえば裸でもへっちゃらじゃん?」
「私が、この中に、入るのですか?」
「うん。アタシ、台車のハンドリング、上手いんだよ。学生の頃、宅配便のバイトしてたことあるから」
屈託ない笑顔でおっしゃるリンコさま。
「ほら、いけるかどうか、ちょっと入ってみて。そろそろ時間だからさ」
「裸のまんまで、ですよね?」
「仕方ないじゃん。着るものなんもないんだから」
「は、はい・・・」
リンコさまが押さえてくださっているダンボール箱の縁をまたぎ、恐る恐るな感じで箱の中に足を踏み入れました。
両足とも踏み入れると、突っ立った姿勢でおへそくらいまでが箱の中。
「それで、しゃがんでごらん」
お言いつけ通りにすると、ひょっこり頭だけが箱から覗く感じ。
「やっぱりペタッとお尻着けなきゃ、完全には入んないか・・・座り込んじゃってみて」
お言葉に促され後ろ手を着き、ダンボールの底に裸のお尻を着きました。
ダンボールがひんやり、おしりの熱を奪います。
足を崩して胡座をかくような格好になると、その分、箱の中がちょっと窮屈になりました。
リンコさまが蓋を閉めようと、折れたダンボールを被せてきました。
私が首をかしげるように折り曲げると、ダンボール内にからだが全部隠れました。
真っ暗な中に二箇所、おそらく箱の持ち手のために空けられたのであろう細長楕円形長さ10センチ位の穴があり、そこから薄っすらと光が差し込んできます。
「よかった。大丈夫そうじゃん。それじゃ急がなくちゃ。もうすぐ3時になるし」
蓋が開いて、リンコさまが手を差し入れてきました。
「えっ?出るのですか?」
「あったりまえじゃない。ナオコが入ったままの重い箱なんて、アタシが玄関まで運べるワケないでしょ」
リンコさまの手に縋って、箱から出ました。
「入り心地はどう?もし窮屈だったら、膝を抱えて丸まって寝転んじゃったほうがラクかもしれない」
おっしゃりながら、ウイッグとビューラー、サングラスを紙袋に詰め、さっき使った白いバスタオルを箱の底に敷いてくださいました。
それからご自分のバッグを肩に提げ、ぐるっと周りを見渡したリンコさま。
「忘れ物なし。はい、これ持ってついてきて」
紙袋を私に渡し、片手で空ダンボールをひきずり、玄関へ向かわれました。
「ほら、もたもたしないで。遅れちゃうよ?」
「あ、はいっ!」
紙袋片手に全裸のまま、リンコさまを追う私。
リンコさまは、玄関ドアを外開きに開け、ドアが閉じないようにストッパーをかけた後、玄関先に折りたたまれていた台車をギーガッチャンと組み立てて廊下に置きました。
その上に空のダンボール箱が置かれます。
私はと言えば、左腕でおっぱいを庇い、右手に持っている紙袋で股間を隠しつつ靴箱の陰から、そんな廊下の様子を見ていました。
だって、開け放たれた玄関の向こうは、紛れも無く公共の場ですから。
「ナオコの靴、これ?」
沓脱ぎにポツンと残されたベージュのパンプスを指さしてリンコさまが尋ねてきました。
「はい・・・」
「ヒールがあるから、履いて箱に入ると危なそうだね。いいわ、アタシが持ってってあげる」
おっしゃるなりパンプスを拾い上げ、ご自分のバッグに押し込みました。
それから、ダンボール箱の側面に黒くて長いゴムバンドをあてがい、台車の押し手のハンドル部分もろとも括りつけました。
「こうしておけば、台車が前のめりになっても箱が台車から落ちないでしょ?バイト時代に培った隠しワザ」
ずいぶん得意そうなお顔のリンコさま。
「今ジャスト3時。ほら早く廊下に出て、鍵閉めるから」
なんでもないことのようにおっしゃるリンコさまですが、お部屋を出てしまえばマンションの公共の廊下、そして私は全裸です。
どうか廊下に誰もいませんように・・・誰も通りませんように・・・お部屋からも出てきませんように・・・
祈る気持ちで玄関ドアを裸足でくぐり抜けました。
「はい、入って入って」
リンコさまがダンボールの縁を押さえながら急き立てます。
大きく脚を開いてダンボールをまたぎました。
「こんなところで真っ裸の女子を箱に詰めるなんて、かなり淫靡でハンザイぽいシチュだよね?」
とても嬉しそうなリンコさまのひそめたお声が頭上から降ってきます。
「出来れば後ろ手に縛ったり、M字開脚拘束とかしてると、もっと雰囲気なんだけどなー。猿轡とかさ」
「令嬢ラチユウカイカンキンコウソク、みたいな?もしくは悪の秘密組織の調教済みセイドレイの出荷、みたいな?」
ワクワク妄想全開なリンコさまのお声を裸の全身に浴びながら、ダンボール箱の中に座り込みました。
持っていた紙袋はお尻の横に置き、はしたなくお股開き気味の胡座。
今度はお尻の下にバスタオルが敷かれているので、さっきより少しだけ座り心地がいいみたい。
「おっけー?閉めるからね。それじゃあ、しゅっぱーつ!」
進行方向前後から蓋が下りてきて、箱の中が真っ暗になりました。
持ち手用の穴も進行方向の前後に有り、かしげた首の目線を少し上げると、お外の様子がチラチラッと見えました。
ガラガラと床を転がる4つのキャスターの振動が、台車の荷台とダンボール越しに私のからだをプルプルと震わせています。
進行方向に向いて立て膝気味の胡座ずわりな私。
前屈みになっているので、右おっぱいの先が右の太腿に押し付けられています。
絶え間なくつづいていた振動が止まりました。
前方の持ち手穴を覗くと、エレベーター前のよう。
いよいよ私、ダンボールに詰め込まれた、モノ、みたいな、こんなふしだらな状態でお外に出されちゃうんだ・・・
と、思う間もなくエレベーターが到着し、ガタガタっと中へ。
すぐに下降を始めてチーン。
台車が動き、マンション一階のエレベーターホール。
そこで台車が静止しました。
あれっ?と思っていると、突然、ダンボールハウスの天井が開きました。
いやんっ、開けちゃだめーっ!
箱の中に突如差し込んできた眩しい光に、思わず顔を背けてうつむきました。
「大丈夫よ、周りに誰も居ないから。ちょっと一応、記念撮影しとこうと思ってさ」
そのお声に恐る恐る顔を上げると、箱の方に携帯電話を突き出したリンコさまが笑っていました。
「ほら、ちゃんと顔上げて。おっぱいも見えるように腕どけなさい」
たてつづけにカシャッカシャッという撮影を告げる電子音が鳴り響き、天井が閉じられました。
「さあ、急がなくちゃ」
独り言のようなリンコさまのお声を合図に、再び台車が動き始めました。
ガラガラ音がしばらくつづいた後、急に辺りのざわめきが大きくなりました。
マンションのエントランスドアを抜け、とうとうお外に出たようです。
「うひゃー。まだポツポツ降ってるんだ」
濡れた車道を走り抜けるシャーッという自動車のタイヤ音とエンジン音。
人々が通り過ぎる足音とさざめき。
ダンボール箱を打ち付けるポツポツという雨音。
そんな街の喧騒の中、かすかにリンコさまの独り言が聞こえました。
マンションからオフィスビルへ入るには、舗道を一度一番端の交差点まで行って渡り、そこから少し戻る感じに進むことになります。
オフィスに通うようになってからは毎日のように行き来してきた、歩き慣れた道。
沿道に大きめな24時間営業のスーパーマーケットがあるので、交通量、歩行者共に終日かなり多いことも知っています。
そんな私にとって極めて日常的な空間を、今はダンボール詰めの全裸で運ばれています。
先ほど出発前にリンコさまがおっしゃった一言を思い出しました。
・・・悪の秘密組織の調教済みセイドレイの出荷・・・
今の私って、まさしくそんな感じに思えました。
オフィスに着くなりお姉さまのご命令で丸裸にされ、綾音部長さまにからだの隅々まで観察され・・・
裸コートで離れたマンションの一室に連れ去られ、お姉さまからお浣腸を施され・・・
他のスタッフ全員の前でも全裸を隠すことは許されず、無毛のマゾマンコまでしっかり目撃され・・・
初対面のしほりさまに全身隅々もてあそばれ、会社の先輩のリンコさまに何度もイキ顔をご披露し・・・
今こうしてモノのようにダンボール詰めで運ばれて・・・
この後は、何人もの見知らぬ方々の前で、エクスポーズ=露出というテーマのお洋服姿を視ていただく・・・
今日これまでの一連の流れを思い出してみるだけで、自分の中のマゾの血が沸々と滾ってくるのがわかりました。
そして、今日を境に、自分の人生が確実にガラッと変わってしまうであろうことへの不安と期待。
もう私は、昨日までには戻れないんだ・・・
頭の中では、小学校のときに習ったドナドナというお歌のメランコリックなメロディがくり返されていました。
ダンボール箱の中で揺られながら、いつの間にか左手が左足首を、右手が右足首を掴み、自主的にM字開脚姿勢となっていました。
少し背中を滑らせて、お尻を宙空に持ち上げて突き出すようにのけぞります。
あの持ち手の穴から、私の広げたマゾマンコが、チラッとお外に覗いちゃったりしないかな・・・
自分を辱めたくて仕方なくなっていました。
狭い箱の中が、嗅ぎ慣れた自分の淫らな臭いで充満しているのがわかりました。
スロープを下ったり上ったり。
ガタガタ揺れる箱の中ですっかり被虐に浸っていると、いつの間にか喧騒が遠のいていました。
どうやらオフィスビル内に入ったみたい。
「やれやれ。この界隈のバリアフリーはあんまり優しくないね。エレベーターに辿り着くまでかなり遠回りだもん」
不意なお声とともに再び天井がパカっと開き、リンコさまが覗き込んできました。
「あっ!いやんっ」
「って、ナオコ、すごい格好してるじゃん。こっちに向けてオマンコパックリ拡げちゃって」
「あっ、いえ、こ、これは・・・」
慌ててふんぞり返った姿勢を正そうとすると、リンコさまに止められました。
「だめっ!そのまま足首掴んでなさい。こんな激エロい格好、ナオコの愛するお姉さまにお見せしなくてどうするの?撮影しとかなきゃ」
素早く携帯電話を構えてカシャカシャっと連写されました。
「で、まあ、それはそれとして、ごめん。失敗しちゃった」
リンコさまが携帯電話を仕舞いながら、いつにない早口でおっしゃいました。
「アタシ、ずっと興奮してたから気づかなかったけど、今急に、すっごくオシッコしたいのよ。部屋出る前にしておこうと思ってたのに」
「雨に濡れて冷えちゃったのか、交差点の辺りから、すっごくしたくなっちゃって。トイレ見えたら、もう我慢できなくなっちゃった」
「大丈夫。ここは業者用の荷物エレベーター前だから、一般客は使わないから。ほんの1、2分だから、待ってて」
切羽詰まった感じでそう言い残し、ササッと消えたリンコさま。
ダンボール箱の蓋を閉めるのも忘れて、私は放置されてしまいました。
ちょっ?ちょっと、リンコさま・・・
焦って蓋を閉めようと頭上に手を伸ばしかけ、あらためて、辺りがすごくシンとしていることに気づきました。
本当に周りに誰もいないみたい。
だったらちょっと冒険して、状況を把握しておくべきかも。
恐る恐る箱から頭を出してみると、そこはオフィスビルの一番端っこ、確かに経験上、人通りは少ない場所ではありました。
吹き抜けの広いバスターミナル沿いで、イベント会場付近に直通しているエレベーターホールのある長い通路の片隅。
確か、ドアを越えた奥にお客様用エレベーターがあって、ここは駐車場からの出入り業者納品用エレベーター。
そのエレベータードアの前に、私の入ったダンボール箱を載せた台車がポツン。
女子トイレは確か通路並びで、ここのすぐ横にあったはず。
状況はつかめたものの全裸でこんなところにひとり放置され、不安であることに変わりはありません。
いつ、どこかの業者さんがエレベーターの方に来てもおかしくありませんし。
ここは大人しく、箱に篭ってリンコさまを待つしかないようです。
再び箱の中に潜り込み、手を上に伸ばして蓋を閉じようとしました。
よくあるダンボール箱のように、前後二枚を閉じてから左右二枚。
ただ、前後二枚を引っ張って閉じると、左右の二枚に手を伸ばすことが出来ません。
仕方がないので、前後の二枚をグイッと内側まで引き込み、空いた空間から手を伸ばして左右の二枚も引き寄せます。
うまくいった!
と思って引き寄せていた手を離すと、前後左右4枚ともフワッと浮いて、蓋の真ん中に隙間が出来てしまいます。
きっと運んでいるときは、リンコさまのバッグか何かを重しに置いて蓋を押さえていてくださったのでしょう。
蓋が中央に作る隙間は5センチ四方くらい。
真上から見下ろせば、目を凝らさなくても、中に見える私の肌色に気づいちゃうはず。
かと言って、隙間を指で引っ掛けて引き寄せたら、却ってその指のほうが注目を惹いちゃいそうだし。
考えあぐねていたら、ふと自分の左手に触れるものがありました。
そうだ、リンコさまがウイッグとかを入れてくださったこの紙袋で穴を塞いでしまえば、中は見えなくなる。
ううん、この紙袋をお外に出して、蓋に載せて重し代わりにするほうがいいかも。
思いついたら即実行と蓋を開けかけたとき、上のほうでガタンと物音が聞こえました。
つづいてウィーンってモーターが回るような音。
エレベーターが動いている?
誰かが傍らに来て呼んだのかしら?
でもさっきからずっと、周囲で不審な物音はしなかったし。
だったら、きっと誰かがエレベーターで何階からか、降りてくるんだ。
私は、左手に持った紙袋を天井の穴を塞ぐようにかざし、箱の中に光が入り込まないようにしてジッと息を殺していました。
やがてすぐ近くでガタンと物音がし、モーター音が止まりました。
ポーンという電子音の後、ザザーッと扉が開く音。
「おおっと!どこのどいつだ、こんなところに荷物置きっぱなしにしたやつ!」
ガラガラなご中年ぽい男性のお怒り声が聞こえたと思ったら、台車がグインと動いてガタンッ!
前の右角が壁に当たったようです。
台車の持ち手のところでも、押すか蹴飛ばすか何かされたのでしょう。
うわ、どうしよう!?
どこの荷物だこれ?ってダンボール開けられちゃったら・・・
お相手は、怖そうな男性っぽいし・・・
一気にパニクりそうになったとき、聞き覚えのある大きなお声がフェードインして聞こえてきました。
「ごめんなさーいっ!おじゃまでしたよねー。今どかしまーすっ!ちょっと、おトイレに寄っていたものでー」
リンコさまのお声がすぐ近くに聞こえるようになって、ダンボール天井の穴が何か重いもので塞がれました。
「ああ、お姉ちゃんのか。だめだよ、扉の真ん前に置きっぱなしにしちゃ。エレベーター使う人が迷惑だろーが」
「はい。ごめんなさい。ご迷惑おかけしましたー」
台車が1メートルくらい、ゆっくりと動いた感じがしました。
たぶん、男性から遠ざけたのでしょう。
「やむをえず置いとくなら隅っこの方にな。ここはみんなが使うんだから。気をつけなよ」
最後はずいぶんお優しげなお声に変わって、ガラガラと台車を押すような音が遠ざかって行きました。
入れ違いにエレベーターへ乗り込みます。
「ああびっくりした。あの宅配便のおじさん、箱開けようとしてんだもん。危機一髪だったー」
エレベーターの中で、リンコさまが心底ホッとされたようなお声でおっしゃいました。
「えっ?そうだったのですか?」
「うん。箱に右手を伸ばしているところが見えたから、大慌てで叫びながら帰ってきたんだから」
ふぅー、と大きくため息をつかれるリンコさま。
「あれでもし、あのおじさんに箱開けられちゃってたら、どうなってたんだろうんね?ナオコもアタシも。あんまり品のいい人じゃなさそーだったし」
ポツンとおっしゃったリンコさまのお言葉に、私も今更ながら嫌な汗が背中をツツーッ!
もう一度リンコさまがハァーッと大きなため息をつかれたとき、ポーンと電子音が鳴り、どうやら目的階に着いたようでした。
エレベーターを出ると、さっきまでのあれこれが嘘だったみたいに再びシーンと静まり返った中、なんだか眠そうなストリングスBGMが低く聞こえてきました。
「もうこの時間は、どの会場もそれぞれイベントやら会議やらの真っ最中だからね。フロアには人っ子一人いないみたい」
台車のキャスターの音もお外の道路みたくガタガタせず、ススーっと進んでいます。
「おっけー、着いた。出て」
えっ?だって会場のドアを開けたようなご様子も全然無かったし、ここってまだフロアの廊下なのでは?
私の心を知ってか知らずか、天井があっさりパッカリ割れて全開になりました。
「大丈夫だって。ここは楽屋へつづくドアの前の廊下。誰もいないから」
箱の蓋が開いても立ち上がってこない私を安心させるように、箱の中にリンコさまの右手が差し出されました。
その手に縋り、恐る恐るゆっくり、立ち上がり始めます。
周囲の雰囲気は紛うこと無く、昨日下見に訪れたイベント会場フロアそのものでした。
「会場、長細かったでしょう?お客様が出入りする入口ドアはあっち」
今進んできたのであろう廊下の先を指さされるリンコさま。
「そんで、このドアはステージ側、関係者以外立入禁止の楽屋へ通じるドア」
目の前のドアを指さされました。
「ここからはナオコじゃなくて、我が社のイベント成功のカギを握るスーパーエロティックモデル、夕張小夜なんだからね」
台車の横に私のパンプスを、きちんと揃えて置いてくださりました。
リンコさまが押さえてくださるダンボールの縁をまたいで、ひとまず裸足でリノリュームの床に降り立ち、それから身を屈め、ベージュのパンプスを履きました。
全裸に、なぜだかパンプスだけの私。
それもこんな昼下がりの瀟洒なオフィスビルの廊下で・・・
性懲りもなくぶり返してくる被虐の滾りにクラッとしつつ立ち上がると、更にびっくり。
会場を仕切る壁沿いに通る廊下のもう一方の側は、ビルの外壁。
そしてそこに並ぶ、大きな窓。
窓からはお外のお空が見え、雨模様曇りがちなガラス窓には、私の全裸姿がクッキリ鮮やかに、映っていました。
公共の場所でのありえなくもあられもない自分の姿を客観的かつ強制的に見せつけられ、羞じらいが全身にドッと押し寄せてきました。
そこにスッとウイッグを被せられました。
さも当然のようにガラスを鏡代わりに、そこに映った私の裸身をじっと視ながらウイッグを整えてくださるリンコさま。
「さあ、これでいいわ。小夜さん、楽屋に入りましょう」
前髪パッツン、ストレートセミロングのウイッグとベージュのパンプス以外、何も身に着けていない私の手を引いて、リンコさまがゆっくりと、イベント会場楽屋へのドアをお開けになりました。
*
*オートクチュールのはずなのに 51へ
*
直子のブログへお越しいただきまして、ありがとうございます。ここには、私が今までに体験してきた性的なあれこれを、私が私自身の思い出のために、つたない文章で書きとめておいたノートから載せていくつもりです。
2016年6月26日
2016年6月19日
オートクチュールのはずなのに 49
あまりの気持ち良さに、背中が弓なりにのけぞりました。
同時に左乳首への刺激が緩みます。
ああん、もっと・・・
カシャン!
足元で聞こえた音に上体を戻すと、ドレス姿のリンコさまは、いつの間にか椅子のほうへと戻られ、今まさに腰掛けようとされているところでした。
私と目が合うとニコッと微笑み、黙って私の足元を指さされました。
まつげビューラーが床に落ちていました。
「使っていいよ」
リンコさまのお言葉に弾かれたように上体を屈め、ビューラーを右手で拾い上げます。
からだを起こしたときにはすでに、持ち手の2つの穴に親指と中指を潜り込ませていました。
迷うことなくビューラーのシリコンゴム部分を今度は右乳首にあてがい、指に力を込めました。
「はうっ、んんんんんーーーーっ!」
再びあの痛みの快感が戻ってきました。
今度は背中がのけぞっても、自分で押し当てているビューラーは乳首から外れることなく、噛みつかれたまんまです。
「あっ、あっ、あっ・・・」
噛みつかせたままビューラーを引っ張ったり捻ったり。
濃い桜色に染まった乳暈がゴムのように伸びたり縮んだり。
そのあいだに左手は当然のように下腹部へと伸び、中指と薬指が折れ曲がって膣内へ。
手首の手前、掌の盛り上がった部分で膨らみきったおマメをギュウギュウ潰しながら擦っていました。
「あんっ、あっ、あっ、あーっ」
「んーーっ、あっ、あっ・・・」
「んーっっ、んんーーっ、あんっ、ああんっ、んんーっ!」
期せずして始まっちゃったオナニーは、もう無我夢中。
バスルームでお姉さまからイカせていただいて以来今まで、必死に抑え込んできた欲情が暴発しちゃったみたい。
ギュッと目をつぶった瞼の裏側で、全身の細胞が快感だけを追い求めていました。
股間に貼り付いた左手が、そこだけまるで別の生き物のように、せわしない複雑な動きをくりかえします。
浅ましくがに股気味に折れた膝がガクガク震え、みるみるうちにグングン高まっていきました。
「あああ、いぃっ、いいっ、いぃぃぃ・・・」
「あっ、いぃ、いく、いくぅぅ・・・」
からだ中を快感が駆け巡り、その快楽に前のめりになって酔い痴れていると・・・
「あれ?もうイッちゃうの?イクときは、どうするんだっけ?」
唐突にやけにハッキリとしたお声が、鼓膜を揺らしました。
そうでした。
目の前にリンコさまがいらっしゃるのでした。
とにかくイキたい一心で、完全に自分だけの世界に没入していた私は、リンコさまの存在さえ、すっかり忘れ去っていたのでした。
私ったら、なんの羞じらいもなく、いつのまにかリンコさまの目の前で、オナニーを始めちゃっていたんだ・・・
つぶっていた目を薄く開けると、目の前にリンコさまの愉しげな笑顔。
遅まきながらの羞恥が全身に広がり、それは快感の炎を更に燃え立せる油となりました。
もちろんそうしているあいだも私の両手は欲望に忠実に休むことなく、自分のからだを瀬戸際へと追い立てていました。
「あぅ、イ、イッていいですか?リ、リンコさまぁ、ぁんっ」
リンコさまをじっと見つめてお願いしました。
リンコさまに視られている、ということを意識した途端、快感の質がグンと研ぎ澄まされました。
リンコさまの視線が釘付けとなった私の左手は、その注目に精一杯応えるべく、マゾマンコの内側を抉るように激しく陵辱しています。
手のひらはクリトリスを、摩擦熱で火が点いてしまいそうなほど乱暴に上下しています。
視てください、リンコさま・・・私のどうしようもなくふしだらな本当の姿・・・
もはや待ったなしのところまで来ていました。
「ああん、お願いですぅ、いぃっ、イッていいですかぁ、リンコさまぁぁ・・・」
両膝がガクガク震え、もう立っていられないかも・・・
「いいよ、最初だしね。そのまま、イッチマイナー」
最後の部分だけなぜだか外国人のカタコト日本語みたいな発音で、ご冗談ぽくおっしゃったリンコさま。
そのお言葉を聞いた途端、からだがフワッと浮き上がるような感覚とともに、頭の中が真っ白になりました。
「ああっ、視て、視ててくださいぃリンコさまぁ、イキます、直子、イキますぅぅぅ・・・」
「あぁぁいぃぃぃーーーっ、イクっ、イクっ、イっクぅぅぅーーっ!!!」
マゾマンコをリンコさまのほうへと見せつけるみたいに突き出して、大きく後ろへのけぞったまま快感に打ち震えました。
ヒクつく腰をなんとか支えようと、両足が大きく開いていました。
膝をついてはダメ、というご命令が頭の片隅に残っていたようで、砕けたがる膝を踏ん張りつつ、オーガズムの余韻に酔い痴れていました。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「これで一回ね。気持ち良かった?」
リンコさま、呆れたようなお顔をされている・・・
「アタシが見ていようが、おかまいなしなんだ?」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「恥ずかしくないの?」
「はぁ、はぁ、恥ずかしい・・・です・・・」
「それでもイッちゃうんだ?」
「「はぁ、はぁ、ごめんなさい・・・」
「まだまだイケるよね?ナオコのオマンコ、ポカンて大きく口開けちゃって、ぜんぜん物足りなさそうだもん」
私は、がに股の両膝に両手を置いた中腰の前屈み姿勢で、快感の余韻に息を荒くしていました。
座っていらっしゃるリンコさまの視点からだと、腰は引いているものの、私の無防備な股間は丸見えなのでしょう。
そして、リンコさまも私を、ナオコ、と呼び捨てにし始めたことにも気づきました。
「はぁ、はぁ、はいぃ・・・」
「本番前にエロい気持ち、全部発散させとかなくちゃ、ね?」
からかうようにおっしゃったリンコさまの瞳に宿った妖しいゆらめきに、私のマゾ性がビンビン反応しています。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・はいぃ」
「それじゃあ今度はさ、アタシの顔をずっと見ながらやってみてよ。うつむいたり目をつぶっちゃダメ、ってことで」
唇の端に薄い笑みを浮かべたリンコさまは、ゾクゾクするほどお綺麗でした。
そんなふうにして私は、リンコさまの目の前で何度も、イキつづけました。
最後のほうは、イク間隔がどんどん短かくなり、触ったらすぐ達しちゃうような状態。
だから、自分でも何回イッたのか、わからないくらいでした。
自分の手で膣口を大きく押し広げ、指三本を奥深くまで侵入させて掻き回しました。
目線はずっとリンコさまを見つめ、イッていいか、何度もお許しを乞いました。
ときにはあっさり許され、ときには無慈悲なまでに焦らされ・・・
焦らされた代償は、私のマゾマンコからシオとなり、リンコさまの目前までほとばしりました。
そのときリンコさまが、まさしくネコさんのように敏捷に、椅子を立って避けられるのを見ることが出来ました。
途中、リンコさまがケータイのカメラを私に向けたことにも気づきましたが、私に拒絶する権利なんてありません。
リンコさまのケータイの中に、私の浅ましい姿が記録される・・・
リンコさまがその気になれば、私の恥ずかしい姿を誰にでも容易に見せることが出来るんだ・・・
そんな考えが私のマゾ性をいっそう激しく煽り立てました。
リンコさまから時間切れを告げられたとき、私はしゃがみ込み、快感の余韻に全身でハアハア息をしていました。
「残念だけど、そろそろ出かける準備をしなくちゃの時間。どう?ちょっとは落ち着いた?」
近づいてきたリンコさまにウイッグをスポッと外され、肩にバスタオルを掛けられました。
「汗びっしょりだから、それで拭くといいわ。あ、でもゴシゴシ擦っちゃダメ。肌をポンポンって叩く感じでね」
いただいたタオルに、まずは顔を埋めて汗やよだれを拭き取りました。
タオルがフワッとしていて気持ちいい。
さすがにプロのモデルさん仕様のウォータープルーフ。
タオルから顔を離すと、白地のタオルにメイクがまったく色移りしていませんでした。
それからヨロヨロと立ち上がり、お言いつけの通りにからだをタオルでポンポン叩きました。
そんな私をじっとご覧になっていたリンコさまが立ち上がり、近づいてこられました。
「やっぱし拭っただけじゃ、まだからだがベトベトしてそうね。バスルームに行きましょう」
リンコさまに促され、バスルームへと移動しました。
つい数時間前にお姉さまと裸で愛し合い、更にお浣腸までしていただいたバスルームは、全体がまだほんのり湿っていました。
「ナオコはそのバスタブの前辺りに立って、アタシの言う通りにするのよ?」
おっしゃりながらリンコさまは、シャワーヘッドを何やら弄っていらっしゃいます。
「シャワーのままだと雫が飛び散って、アタシまで濡れちゃいそうだからさ」
「よし、っと。じゃあナオコ?」
私から2メートルくらい離れた場所でニヤッと笑ったリンコさまが、お芝居っぽいわざとらしさでご自身の顎をグイッと手前にしゃくられました。
ああ、やっぱり・・・
薄々勘付いていた私は、ゆっくりと両手を挙げ、マゾの服従ポーズを取ります。
それを見て、なんとも嬉しそうなリンコさまの笑顔。
「汚物は消毒だ~ひゃっはー」
愉しそうなお声とともに間髪を入れず、勢いのある一筋の水流が私のからだめがけて飛んできました。
「あうっ、冷たいーっ」
水流は真水で、当たった場所の皮膚が少しへこむほど水圧がありました。
一直線の水流が、私の両腋の下を狙い、おっぱい、おへそを撃ち抜いて今は恥丘に襲いかかっています。
「ほら、後ろ向きなさい」
ご命令に、おずおず背中を向けました。
たちまち背中がびしょ濡れとなります。
最初は冷たいと思ったお水も、火照ったからだにはちょうどいい気持ち良さに感じていました。
「そのまま前屈みになって、お尻をこっちへ突き出しなさい。マンコの中まで洗ってあげるから」
お尻の割れスジに水圧を感じながら、すっかり板についてきたリンコさまのご命令口調通りの姿勢になりました。
「もうちょっと脚を広げて」
そのお声に両足を左右へ滑らせると、水流が一直線に、私の膣付近に当たるようになりました。
激しい水圧で抉じ開けるように、膣内まで水が侵入してくる感じです。
「んんーっ」
その気持ち良さに、思わず淫らな声が洩れてしまいました。
「またえっちな声出しちゃって。もうすぐにイベントが始まるんだから、切り替えてよね?」
お口では咎めるように、そんなことをおっしゃるリンコさまですが、その水流は執拗に、私が突き出している下半身のふたつの穴をせわしなく交互に狙っていました。
「あうっ、は、はいぃ・・・ご、ごめんなさいぃ・・・」
口では謝っているものの、水圧に包皮をめくりあげられ完全に露出したクリトリスへの乱暴な刺激がたまりません。
ああん、もっとぉ・・・
「ま、こんなもんか」
肌を嬲る水流と、やかましく響いていた水音が唐突に途絶えました。
目をつぶって徐々に昂りつつあった私は、なんだかがっかり。
「ほら、早くこっちへおいで。拭いてあげるから」
シャワーヘッドを所定の場所へと戻されたリンコさまが、白いバスタオルを広げておっしゃいました。
脱衣所で再びマゾの服従ポーズにされ、全開となった私の全身を、リンコさまが持たれたバスタオルでポンポン水気を拭ってくださいました。
タオル越しの手のひらで私のおっぱいをふんわり包み込み、やんわりとタオル地を押し付けてくるリンコさま。
タオル越しとはいえ、リンコさまの体温が素肌に伝わってきます。
お腹、下腹、太腿、背中、お尻・・・
リンコさまの至近距離でのバスタオルの愛撫に、うっとり、されるがままの私。
「おーけー。これでよしっと。なんとか間に合いそう。ナオコ、服着て」
リンコさまのバスタオルがからだから離れ、手を引かてれて再びリビングへ。
「早く着て。ちょっと早いけれどもう会場へ出かけちゃいましょう。あ、下着は着けなくていいよ」
「えっと、あの・・・」
「だから、ここに来るときに着てきた服、どこに置いたの?」
「えっと、それは・・・」
あわててお部屋中を見渡しましたが、それらしいものは見当たりません。
トルソーもみんな裸ん坊。
綾音部長さまにお借りしたレインコートは、お部屋に入る前の廊下で脱いでお姉さまにお渡しして・・・
お姉さまは、お部屋に入ってからすぐにご自分もお洋服を脱いで、そのあとすぐ始めちゃったから・・・
あのコートを、お姉さまはどこに置かれたのだろう?
「あの、あのですね・・・」
リンコさまに手短かに、オフィスからここまで来たときのことをご説明しました。
ご説明しながら、悪い予感が胸に渦巻いてきました。
「ふーん。オフィスでチーフとアヤ姉の前で丸裸にされて、そのままアヤ姉に借りたレインコート一枚で、ここまで来たんだ?」
「はい」
「裸コートっていうやつよね?ヘンタイさんがよくやる。ショッピングモール歩いて興奮した?」
「あ、えっと・・・はい・・・」
「だよね。ナオコは露出願望マゾッ娘だもんね」
すっごく愉しそうなリンコさまのイジワル口調。
「そのコートなら、アヤ姉がさっき持って帰ったよ」
リンコさまが素っ気なく、なんでもないことのようにおっしゃいました。
「さっきみんなが会場へ向かったとき、アヤ姉、左手にそれ提げてたもん。渋目のグリーンのやつでしょ?」
「そう・・・です・・・」
「さすがアヤ姉は、いいモノ揃えてるなー、って感心したから、覚えてる」
ということは・・・
「ということは、今ここにナオコの着るべき服は無い、っていうことになるよね?」
「・・・はい」
「どうする?」
「あの・・・どうするって言われましても・・・」
「その素っ裸のまんま、会場まで行くしかないか。もう入り時間迫ってるし」
からかうように私を見つめてくるリンコさま。
全裸のままお部屋を出て、全裸のままマンションのエレベーターに乗り、全裸のまま通りに出て、全裸のまま交差点を渡り、全裸のままオフィスビルに入り・・・
瞬時にそんな恥ずかし過ぎる情景が、鮮やかな走馬灯のように脳裏を駆け巡りました。
そんなこと・・・出来る訳ありません。
「なーんてね」
リンコさまの戯けたお声に顔を上げると、相変わらず超愉しそうな笑顔。
「それってぜひともやらせてみたいけれど、普通に考えて、見た誰かにすぐ通報されちゃうよね?公然ワイセツで。そうなったらイベントもろともアウトだし」
「たぶん羽織るものくらい、何かあるでしょ」
「あの、そう言えばお姉さまが、お風呂上がりにバスローブを着ていらっしゃいました。白くてピカピカした」
私も必死に考えて思い出しました。
バスローブを羽織っただけで公共の場に出るのもかなり恥ずかしいことですが、全裸よりは何百倍もマシです。
「なるほどね。私物だろうけど、チーフがそれ、そのままここに置いてってくれたらいいけど」
おっしゃるや否や、お姉さまがお着替えに利用されていた和室の中へ入られました。
しばらくして手ぶらで出てこられたリンコさまは、すぐに洋間のほうへ。
ものの数分で、やっぱり手ぶらで出てこられました。
「いいニュースと悪いニュースがあるの。まず悪いほうね」
お芝居がかった口調でそうおっしゃったリンコさまは、私の返事も待たずに嬉しそうにつづけました。
「残念ながら今この部屋内には、服のようなものは一切無かった。イベント準備期間中は、けっこうみんなの私物でごちゃごちゃいていたんだけどね。パジャマとかジャージとか」
「イベント前日にチーフがここに泊まるの、みんな聞いていたから、その前に急いで片付けたんだろうね。ナオコの言ってたバスローブもチーフが持っていったみたい」
えーっ!
「あのあの、リンコさまは、お着替えとか、お持ちじゃないのですか?そのバッグの中に」
絶望的な気持ちになりながら、お部屋の隅にぽつんと置かれたリンコさまのであろうバッグを指さして、すがるようにお尋ねしました。
「うん。残念ながらねー。今日はこのドレスで家から来ちゃったし。入っているの、スカーフくらいかな」
相変わらずお芝居っぽく、わざとらしいくらい、さも残念そうにリンコさまがおっしゃいました。
「そ、それなら、会場の誰かにお電話して、大急ぎで綾音さまのレインコートを持ってきてもらうしかないです。リンコさま、ケータイ今お持ちですよね?」
「そんな泣き出しそうな声出さなくても大丈夫よ。アタシ、いいニュースもある、って言ったじゃない?」
心の底から愉しそうなお顔のリンコさまは、間違いなく私をいたぶることに快感を感じられているようでした。
「アタシ、閃いちゃったんだ。ナオコが裸を晒さずに外へ出て会場まで行ける方法」
ニコッと微笑んだリンコさまの冷たいお顔は、ゾクッと肩が震えるくらいサディスティックでした。
*
*オートクチュールのはずなのに 50へ
*
同時に左乳首への刺激が緩みます。
ああん、もっと・・・
カシャン!
足元で聞こえた音に上体を戻すと、ドレス姿のリンコさまは、いつの間にか椅子のほうへと戻られ、今まさに腰掛けようとされているところでした。
私と目が合うとニコッと微笑み、黙って私の足元を指さされました。
まつげビューラーが床に落ちていました。
「使っていいよ」
リンコさまのお言葉に弾かれたように上体を屈め、ビューラーを右手で拾い上げます。
からだを起こしたときにはすでに、持ち手の2つの穴に親指と中指を潜り込ませていました。
迷うことなくビューラーのシリコンゴム部分を今度は右乳首にあてがい、指に力を込めました。
「はうっ、んんんんんーーーーっ!」
再びあの痛みの快感が戻ってきました。
今度は背中がのけぞっても、自分で押し当てているビューラーは乳首から外れることなく、噛みつかれたまんまです。
「あっ、あっ、あっ・・・」
噛みつかせたままビューラーを引っ張ったり捻ったり。
濃い桜色に染まった乳暈がゴムのように伸びたり縮んだり。
そのあいだに左手は当然のように下腹部へと伸び、中指と薬指が折れ曲がって膣内へ。
手首の手前、掌の盛り上がった部分で膨らみきったおマメをギュウギュウ潰しながら擦っていました。
「あんっ、あっ、あっ、あーっ」
「んーーっ、あっ、あっ・・・」
「んーっっ、んんーーっ、あんっ、ああんっ、んんーっ!」
期せずして始まっちゃったオナニーは、もう無我夢中。
バスルームでお姉さまからイカせていただいて以来今まで、必死に抑え込んできた欲情が暴発しちゃったみたい。
ギュッと目をつぶった瞼の裏側で、全身の細胞が快感だけを追い求めていました。
股間に貼り付いた左手が、そこだけまるで別の生き物のように、せわしない複雑な動きをくりかえします。
浅ましくがに股気味に折れた膝がガクガク震え、みるみるうちにグングン高まっていきました。
「あああ、いぃっ、いいっ、いぃぃぃ・・・」
「あっ、いぃ、いく、いくぅぅ・・・」
からだ中を快感が駆け巡り、その快楽に前のめりになって酔い痴れていると・・・
「あれ?もうイッちゃうの?イクときは、どうするんだっけ?」
唐突にやけにハッキリとしたお声が、鼓膜を揺らしました。
そうでした。
目の前にリンコさまがいらっしゃるのでした。
とにかくイキたい一心で、完全に自分だけの世界に没入していた私は、リンコさまの存在さえ、すっかり忘れ去っていたのでした。
私ったら、なんの羞じらいもなく、いつのまにかリンコさまの目の前で、オナニーを始めちゃっていたんだ・・・
つぶっていた目を薄く開けると、目の前にリンコさまの愉しげな笑顔。
遅まきながらの羞恥が全身に広がり、それは快感の炎を更に燃え立せる油となりました。
もちろんそうしているあいだも私の両手は欲望に忠実に休むことなく、自分のからだを瀬戸際へと追い立てていました。
「あぅ、イ、イッていいですか?リ、リンコさまぁ、ぁんっ」
リンコさまをじっと見つめてお願いしました。
リンコさまに視られている、ということを意識した途端、快感の質がグンと研ぎ澄まされました。
リンコさまの視線が釘付けとなった私の左手は、その注目に精一杯応えるべく、マゾマンコの内側を抉るように激しく陵辱しています。
手のひらはクリトリスを、摩擦熱で火が点いてしまいそうなほど乱暴に上下しています。
視てください、リンコさま・・・私のどうしようもなくふしだらな本当の姿・・・
もはや待ったなしのところまで来ていました。
「ああん、お願いですぅ、いぃっ、イッていいですかぁ、リンコさまぁぁ・・・」
両膝がガクガク震え、もう立っていられないかも・・・
「いいよ、最初だしね。そのまま、イッチマイナー」
最後の部分だけなぜだか外国人のカタコト日本語みたいな発音で、ご冗談ぽくおっしゃったリンコさま。
そのお言葉を聞いた途端、からだがフワッと浮き上がるような感覚とともに、頭の中が真っ白になりました。
「ああっ、視て、視ててくださいぃリンコさまぁ、イキます、直子、イキますぅぅぅ・・・」
「あぁぁいぃぃぃーーーっ、イクっ、イクっ、イっクぅぅぅーーっ!!!」
マゾマンコをリンコさまのほうへと見せつけるみたいに突き出して、大きく後ろへのけぞったまま快感に打ち震えました。
ヒクつく腰をなんとか支えようと、両足が大きく開いていました。
膝をついてはダメ、というご命令が頭の片隅に残っていたようで、砕けたがる膝を踏ん張りつつ、オーガズムの余韻に酔い痴れていました。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「これで一回ね。気持ち良かった?」
リンコさま、呆れたようなお顔をされている・・・
「アタシが見ていようが、おかまいなしなんだ?」
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
「恥ずかしくないの?」
「はぁ、はぁ、恥ずかしい・・・です・・・」
「それでもイッちゃうんだ?」
「「はぁ、はぁ、ごめんなさい・・・」
「まだまだイケるよね?ナオコのオマンコ、ポカンて大きく口開けちゃって、ぜんぜん物足りなさそうだもん」
私は、がに股の両膝に両手を置いた中腰の前屈み姿勢で、快感の余韻に息を荒くしていました。
座っていらっしゃるリンコさまの視点からだと、腰は引いているものの、私の無防備な股間は丸見えなのでしょう。
そして、リンコさまも私を、ナオコ、と呼び捨てにし始めたことにも気づきました。
「はぁ、はぁ、はいぃ・・・」
「本番前にエロい気持ち、全部発散させとかなくちゃ、ね?」
からかうようにおっしゃったリンコさまの瞳に宿った妖しいゆらめきに、私のマゾ性がビンビン反応しています。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・はいぃ」
「それじゃあ今度はさ、アタシの顔をずっと見ながらやってみてよ。うつむいたり目をつぶっちゃダメ、ってことで」
唇の端に薄い笑みを浮かべたリンコさまは、ゾクゾクするほどお綺麗でした。
そんなふうにして私は、リンコさまの目の前で何度も、イキつづけました。
最後のほうは、イク間隔がどんどん短かくなり、触ったらすぐ達しちゃうような状態。
だから、自分でも何回イッたのか、わからないくらいでした。
自分の手で膣口を大きく押し広げ、指三本を奥深くまで侵入させて掻き回しました。
目線はずっとリンコさまを見つめ、イッていいか、何度もお許しを乞いました。
ときにはあっさり許され、ときには無慈悲なまでに焦らされ・・・
焦らされた代償は、私のマゾマンコからシオとなり、リンコさまの目前までほとばしりました。
そのときリンコさまが、まさしくネコさんのように敏捷に、椅子を立って避けられるのを見ることが出来ました。
途中、リンコさまがケータイのカメラを私に向けたことにも気づきましたが、私に拒絶する権利なんてありません。
リンコさまのケータイの中に、私の浅ましい姿が記録される・・・
リンコさまがその気になれば、私の恥ずかしい姿を誰にでも容易に見せることが出来るんだ・・・
そんな考えが私のマゾ性をいっそう激しく煽り立てました。
リンコさまから時間切れを告げられたとき、私はしゃがみ込み、快感の余韻に全身でハアハア息をしていました。
「残念だけど、そろそろ出かける準備をしなくちゃの時間。どう?ちょっとは落ち着いた?」
近づいてきたリンコさまにウイッグをスポッと外され、肩にバスタオルを掛けられました。
「汗びっしょりだから、それで拭くといいわ。あ、でもゴシゴシ擦っちゃダメ。肌をポンポンって叩く感じでね」
いただいたタオルに、まずは顔を埋めて汗やよだれを拭き取りました。
タオルがフワッとしていて気持ちいい。
さすがにプロのモデルさん仕様のウォータープルーフ。
タオルから顔を離すと、白地のタオルにメイクがまったく色移りしていませんでした。
それからヨロヨロと立ち上がり、お言いつけの通りにからだをタオルでポンポン叩きました。
そんな私をじっとご覧になっていたリンコさまが立ち上がり、近づいてこられました。
「やっぱし拭っただけじゃ、まだからだがベトベトしてそうね。バスルームに行きましょう」
リンコさまに促され、バスルームへと移動しました。
つい数時間前にお姉さまと裸で愛し合い、更にお浣腸までしていただいたバスルームは、全体がまだほんのり湿っていました。
「ナオコはそのバスタブの前辺りに立って、アタシの言う通りにするのよ?」
おっしゃりながらリンコさまは、シャワーヘッドを何やら弄っていらっしゃいます。
「シャワーのままだと雫が飛び散って、アタシまで濡れちゃいそうだからさ」
「よし、っと。じゃあナオコ?」
私から2メートルくらい離れた場所でニヤッと笑ったリンコさまが、お芝居っぽいわざとらしさでご自身の顎をグイッと手前にしゃくられました。
ああ、やっぱり・・・
薄々勘付いていた私は、ゆっくりと両手を挙げ、マゾの服従ポーズを取ります。
それを見て、なんとも嬉しそうなリンコさまの笑顔。
「汚物は消毒だ~ひゃっはー」
愉しそうなお声とともに間髪を入れず、勢いのある一筋の水流が私のからだめがけて飛んできました。
「あうっ、冷たいーっ」
水流は真水で、当たった場所の皮膚が少しへこむほど水圧がありました。
一直線の水流が、私の両腋の下を狙い、おっぱい、おへそを撃ち抜いて今は恥丘に襲いかかっています。
「ほら、後ろ向きなさい」
ご命令に、おずおず背中を向けました。
たちまち背中がびしょ濡れとなります。
最初は冷たいと思ったお水も、火照ったからだにはちょうどいい気持ち良さに感じていました。
「そのまま前屈みになって、お尻をこっちへ突き出しなさい。マンコの中まで洗ってあげるから」
お尻の割れスジに水圧を感じながら、すっかり板についてきたリンコさまのご命令口調通りの姿勢になりました。
「もうちょっと脚を広げて」
そのお声に両足を左右へ滑らせると、水流が一直線に、私の膣付近に当たるようになりました。
激しい水圧で抉じ開けるように、膣内まで水が侵入してくる感じです。
「んんーっ」
その気持ち良さに、思わず淫らな声が洩れてしまいました。
「またえっちな声出しちゃって。もうすぐにイベントが始まるんだから、切り替えてよね?」
お口では咎めるように、そんなことをおっしゃるリンコさまですが、その水流は執拗に、私が突き出している下半身のふたつの穴をせわしなく交互に狙っていました。
「あうっ、は、はいぃ・・・ご、ごめんなさいぃ・・・」
口では謝っているものの、水圧に包皮をめくりあげられ完全に露出したクリトリスへの乱暴な刺激がたまりません。
ああん、もっとぉ・・・
「ま、こんなもんか」
肌を嬲る水流と、やかましく響いていた水音が唐突に途絶えました。
目をつぶって徐々に昂りつつあった私は、なんだかがっかり。
「ほら、早くこっちへおいで。拭いてあげるから」
シャワーヘッドを所定の場所へと戻されたリンコさまが、白いバスタオルを広げておっしゃいました。
脱衣所で再びマゾの服従ポーズにされ、全開となった私の全身を、リンコさまが持たれたバスタオルでポンポン水気を拭ってくださいました。
タオル越しの手のひらで私のおっぱいをふんわり包み込み、やんわりとタオル地を押し付けてくるリンコさま。
タオル越しとはいえ、リンコさまの体温が素肌に伝わってきます。
お腹、下腹、太腿、背中、お尻・・・
リンコさまの至近距離でのバスタオルの愛撫に、うっとり、されるがままの私。
「おーけー。これでよしっと。なんとか間に合いそう。ナオコ、服着て」
リンコさまのバスタオルがからだから離れ、手を引かてれて再びリビングへ。
「早く着て。ちょっと早いけれどもう会場へ出かけちゃいましょう。あ、下着は着けなくていいよ」
「えっと、あの・・・」
「だから、ここに来るときに着てきた服、どこに置いたの?」
「えっと、それは・・・」
あわててお部屋中を見渡しましたが、それらしいものは見当たりません。
トルソーもみんな裸ん坊。
綾音部長さまにお借りしたレインコートは、お部屋に入る前の廊下で脱いでお姉さまにお渡しして・・・
お姉さまは、お部屋に入ってからすぐにご自分もお洋服を脱いで、そのあとすぐ始めちゃったから・・・
あのコートを、お姉さまはどこに置かれたのだろう?
「あの、あのですね・・・」
リンコさまに手短かに、オフィスからここまで来たときのことをご説明しました。
ご説明しながら、悪い予感が胸に渦巻いてきました。
「ふーん。オフィスでチーフとアヤ姉の前で丸裸にされて、そのままアヤ姉に借りたレインコート一枚で、ここまで来たんだ?」
「はい」
「裸コートっていうやつよね?ヘンタイさんがよくやる。ショッピングモール歩いて興奮した?」
「あ、えっと・・・はい・・・」
「だよね。ナオコは露出願望マゾッ娘だもんね」
すっごく愉しそうなリンコさまのイジワル口調。
「そのコートなら、アヤ姉がさっき持って帰ったよ」
リンコさまが素っ気なく、なんでもないことのようにおっしゃいました。
「さっきみんなが会場へ向かったとき、アヤ姉、左手にそれ提げてたもん。渋目のグリーンのやつでしょ?」
「そう・・・です・・・」
「さすがアヤ姉は、いいモノ揃えてるなー、って感心したから、覚えてる」
ということは・・・
「ということは、今ここにナオコの着るべき服は無い、っていうことになるよね?」
「・・・はい」
「どうする?」
「あの・・・どうするって言われましても・・・」
「その素っ裸のまんま、会場まで行くしかないか。もう入り時間迫ってるし」
からかうように私を見つめてくるリンコさま。
全裸のままお部屋を出て、全裸のままマンションのエレベーターに乗り、全裸のまま通りに出て、全裸のまま交差点を渡り、全裸のままオフィスビルに入り・・・
瞬時にそんな恥ずかし過ぎる情景が、鮮やかな走馬灯のように脳裏を駆け巡りました。
そんなこと・・・出来る訳ありません。
「なーんてね」
リンコさまの戯けたお声に顔を上げると、相変わらず超愉しそうな笑顔。
「それってぜひともやらせてみたいけれど、普通に考えて、見た誰かにすぐ通報されちゃうよね?公然ワイセツで。そうなったらイベントもろともアウトだし」
「たぶん羽織るものくらい、何かあるでしょ」
「あの、そう言えばお姉さまが、お風呂上がりにバスローブを着ていらっしゃいました。白くてピカピカした」
私も必死に考えて思い出しました。
バスローブを羽織っただけで公共の場に出るのもかなり恥ずかしいことですが、全裸よりは何百倍もマシです。
「なるほどね。私物だろうけど、チーフがそれ、そのままここに置いてってくれたらいいけど」
おっしゃるや否や、お姉さまがお着替えに利用されていた和室の中へ入られました。
しばらくして手ぶらで出てこられたリンコさまは、すぐに洋間のほうへ。
ものの数分で、やっぱり手ぶらで出てこられました。
「いいニュースと悪いニュースがあるの。まず悪いほうね」
お芝居がかった口調でそうおっしゃったリンコさまは、私の返事も待たずに嬉しそうにつづけました。
「残念ながら今この部屋内には、服のようなものは一切無かった。イベント準備期間中は、けっこうみんなの私物でごちゃごちゃいていたんだけどね。パジャマとかジャージとか」
「イベント前日にチーフがここに泊まるの、みんな聞いていたから、その前に急いで片付けたんだろうね。ナオコの言ってたバスローブもチーフが持っていったみたい」
えーっ!
「あのあの、リンコさまは、お着替えとか、お持ちじゃないのですか?そのバッグの中に」
絶望的な気持ちになりながら、お部屋の隅にぽつんと置かれたリンコさまのであろうバッグを指さして、すがるようにお尋ねしました。
「うん。残念ながらねー。今日はこのドレスで家から来ちゃったし。入っているの、スカーフくらいかな」
相変わらずお芝居っぽく、わざとらしいくらい、さも残念そうにリンコさまがおっしゃいました。
「そ、それなら、会場の誰かにお電話して、大急ぎで綾音さまのレインコートを持ってきてもらうしかないです。リンコさま、ケータイ今お持ちですよね?」
「そんな泣き出しそうな声出さなくても大丈夫よ。アタシ、いいニュースもある、って言ったじゃない?」
心の底から愉しそうなお顔のリンコさまは、間違いなく私をいたぶることに快感を感じられているようでした。
「アタシ、閃いちゃったんだ。ナオコが裸を晒さずに外へ出て会場まで行ける方法」
ニコッと微笑んだリンコさまの冷たいお顔は、ゾクッと肩が震えるくらいサディスティックでした。
*
*オートクチュールのはずなのに 50へ
*