2022年10月10日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 09

 スカートにインしたブラウスの裾も抜いて完全に脱ぎ去り、上半身スッポンポン状態。
 お外にはスモークガラス越しに私の剥き出しな背中が見えているはずです。

「ふーん、確かに直子の乳首はいやらしいわ。こう、思わず手を伸ばして摘みたくなっちゃうのはわかる」

 私のおっぱいにお顔を寄せられ、至近距離からしげしげと見つめてこられる五十嵐さま。
 お話されるときの息が敏感乳首に吹きかかってきて、こそばゆい。

「乳輪も大きめだから、こっちの指用じゃガーゼに収まらないだろうな」

 普通の切り傷で指に巻き付けるくらいの絆創膏の箱と私の乳首を見比べていらっしゃいます。

「でも、乳輪がチラッと絆創膏からはみ出しちゃってるのも、それはそれで卑猥な趣があるんだけれども…バッテンに貼ったりして」

 車内におられるすべての方々の視線が私のおっぱいの先端に集中されています。

「だけどやっぱり安全策としは面積の広いこっちだな。それにこっちのほうが見るからに絆創膏然としていて、見てくれるギャラリーにもわかりやすいだろうし」

 もうひとつの箱のほうは、肘とか膝のケガに貼る、四角くて真ん中がガーゼのタイプ。
 と言うか、せっかく隠すのに、周りのみなさまに見ていただくことが前提となっていません?
 そんな私の戸惑いも知らず、箱を開けて中から数枚取り出される五十嵐さま。

「ちゃんと汗を拭き取っておかないと、すぐ剥がれちゃうからね」

 五十嵐さまがリュックから小さなハンドタオルも取り出され、私が丸出しにしているおっぱいに近づけてこられます。

「んっ!」

 ザラッとしたタオル地が尖り切った敏感乳首に触れた途端、ビクンと感じてしまいます。
 ハンドタオルを被せた五十嵐さまの右手が私の左おっぱいを優しく包み、その手を押し付けるように握ったり開いたり。

 絶対ワザとでしょうが、タオルに被せた人差し指と中指のあいだに私の乳首を挟まれ、キュッキュッとしごくように刺激してこられるんです。
 その心地良さに私の腰は思わずモジモジとくねり、屈めた両膝を切なく擦り合わせてしまいます。

「んふっ…んっふぅーんっ…」

 はしたない声は極力がまんしようと努力はしているのですが、口をつぐんでも鼻から洩れてしまう淫ら息。
 
 左おっぱいが存分に弄ばれた後、五十嵐さまのタオルが右おっぱいに移ります。
 こちら側はやや乱暴に、揉みしだくようにタオルが押し付けられ、尖った乳首を潰されます。

「んふぐぅっ…」

 絶妙な愛撫に思わず漏れ出てしまう歓喜の鼻息。
 タオルで覆われた乳首を爪先でコリコリ嬲られ、ゾクゾクっと背筋を駆け上がる快感。
 ローターを挿れられた股間から一筋のおツユがツツーっと内腿を滑り落ちたのがわかりました。

「こんなもんでいいか」

 タオルがおっぱいから離れて股間のムズムズだけが置き去りに。
 五十嵐さまってば、ご自分のおっぱいは控えめなのに、ぽってりおっぱいへの愛撫が的を射ていて手慣れた感じなのは、なぜなのかしら?
 
 そんな謎を秘められた五十嵐さまは、5、6センチ四方の四角い絆創膏シール部分のあて紙を剥がされ、私の左おっぱい乳頭へと近づけて来られます。
 何かが肌に貼り付く感覚、つづいて何かに乳首を覆われる感覚。

「んっ!」

「ちょっと、直子の乳首、超3D。おまけに凄く硬いから横向きに押さえ付けるみたいになっちゃうけどがまんしてね」

 五十嵐さまのお言葉通り、硬く飛び出した乳首がガーゼ部分に押し倒され、おっぱいのお肉にめり込む感じに。
 それでも懸命に起き上がろうとしているので、絆創膏中央にうっすら頂点が出来てしまっています。

 右おっぱいにも同じ仕打ちを施され虐げられた私の両乳首。
 見た目は肌と同色に近い肌色絆創膏のおかげで、シュールなのっぺらぼうおっぱいと化しました。

「これでよしっ、猥褻物が人の目に触れる心配はなくなった、と。シャツ着て上着羽織って」

 ご満足気におっしゃる五十嵐さま。

「終わった?じゃあ早く行こう。ワタシもうお腹ペコペコ」

 中村さまのお言葉に急かされて大慌てでブラウスを着直し、ボレロカーディガンを羽織り直します。
 リボンを結んでパイスラポシェットを提げ直すと同時に、どなたかに右手を引っぱられました。

 顔を上げると、手をつないでくださったのはお姉さま。
 そのままみなさまと一緒に車外へ。
 駐車場内からショッピングモールの表側へと出る通路をぞろぞろ歩くと、やがて目の前に開ける芝生の広場。

「やっぱり夏休みが終わるとぐんと人が減るわね。先週なんかこの辺り、ごった返してショップによっては入場制限までしていたのに」

 中村さまのお言葉に周りを見回すと、こちらのモールは有名なハイブランドばかり集まっているみたい。
 そして確かにおっしゃられた通り、行き交う人はまばらでのんびりした雰囲気です。
 私も今は、何か恥ずかしいものが見えてしまう心配が全く無くなったので超リラックス。

 目指すフードコートはVの字に連なるモール通路の、開いている上部分に位置するらしく、男性おふたりと女性四名の謎集団が人影まばらな芝生広場をぶらぶらと斜め横断していきます。
 太陽が真上で輝くお昼どき、暑いは暑いのですが、嫌な湿気がなく時折り心地良いそよ風も吹いてくださり、まさに高原の夏という感じ。

「天気いいからテラス席で食べると気持ち良さそうだね。熱いラーメンとかはさすがにカンベンだけど」

 五十嵐さまがどなたにおっしゃるでもない感じのお独り言。

「それにここって店内での撮影は軒並みNGらしいけど、テラスなら撮影出来そうだし」

 今度は、はっきりと私に笑みを向けられておっしゃいました。
 ドキンと跳ねる私の心臓。

 お食事中にも何かしらの辱めを考えられているみたい。
 思わずお姉さまの手をギュッと握りしめたのが合図となったかのように、お姉さまが前を行かれる男性おふたりにお声をかけられます。

「あなたたちはどうせ肉なんでしょ?直子の貪欲なヘンタイ性癖につき合ってくれるギャラとして今日はあたしが全員に奢るから、何でも好きなもの好きなだけ食べていいわよ」

 お姉さまがおっしゃったお言葉でみなさまがドッと沸き、口々に、さすがチーフ、あざーす、あざーす、とお礼を述べられます。
 ひと気少ない芝生広場でわいわい騒ぐ男女グループに、たまにすれ違う人たちから訝しげな視線が集まります。
 目前にグリーンやベージュのパラソルの海が見えてきて、その奥数十メートル先が飲食店の連なる建物みたい。

「やっぱ人少な。夏休み中の混雑が嘘みたい」

 五十嵐さまがおっしゃるように、お昼時のフードコートですからそれなりの数の人々が集まってはおられるのですが、敷地も広いのでちょっと寂しい賑わい。
 パラソルのテラス席にも、こちらにおひと組、遠くのあちらにもうおひと組という感じです。

「ワタシたちは六人だから、こことそこのテーブルを使わせてもらおっか」

 芝生に近いグリーンのパラソル下のお席を指さされた中村さま。
 五十嵐さまとお姉さまがそのテーブルにリュックやバッグを置かれ、一メートルくらい離れたお隣のお席に本橋さまも提げていたバッグを置かれます。

「ハッシーもカメラ置いていいよ。一時休憩ね」

 五十嵐さまのお声で橋本さまが、お車にいるときからずっと私に向けられていたビデオカメラをやっと下ろされます。

「あー、腹減ったぁ。今朝は二日酔いヒドくて殆ど食えなかったんだよな…」

 橋本さまの情けないお声にみなさまがクスクス笑われています。

「直子はここで席取り荷物番ね。メニューはあたしが選んだものでいいでしょ?どうせ一文無しなんだし」

 お姉さまからからかうように尋ねられ、もちろん、はいっ、と即盲従。
 それからお姉さまは、ご自分のバッグからいつものビデオカメラをわざわざお出しになられてテーブルに置かれ、こうつづけられました。

「あ、それと、直子のスマホもテーブルの上に出しておきなさい」

「あ、はい…」

 私の前にある椅子を引いてくださるお姉さま。
 私がそこへ腰掛けてポシェットからスマホを取り出すのを横目に、みなさまぞろぞろとお店のほうへと歩き始められます。
 そのお背中をお見送りしてから、目前に視線を落としました。

 目の前には自分のスマホとお姉さまのビデオカメラ。
 その奥にみなさまのお荷物。

 スマホを出しておけというご指示は、ランチを頼みに行かれたお姉さまからやがてお電話が来る、と理解していいように思います。
 私のスマホの今の着信音は自分の恥ずかし過ぎる音声ですから、もしも着信が来たら、すぐに応答しなければなりません。

 今は幸い周りのテーブルも空席ばかりで、見知らぬ人に聞かれる心配もありませんが、いつ、近くに人が来られるかはわかりません。
 それにあの音声、ボリューム大きめだし周りは静かだしで、少し離れた所でも聞き取れちゃいそうだし。

 そう考えて、着信が来たらすぐ手に取れるようにと、スマホの真っ黒な画面とにらめっこを始めます。
 ときどき無音のスマホを手に取ると、自分の恥ずかし過ぎる待受画面が映っては消え、ついでに映る時計で時間がわかります。

 置き去りにされて3分くらい経った頃、緊張が少し緩み、周りを見渡す余裕が出てきます。
 ごくたまにですが、私のテーブルの傍を通り過ぎて行かれる方々もいました。
 仲睦まじそうなカップルさんや、女性同士または男性同士のおふたり連れ、ご中年のご夫婦のような方々。

 そんな方々がなぜだか一様に、じーっと私のほうを見ていくような気がしていました。
 通り過ぎてからも振り向いて見てくるかたとか、一度目線を切られても慌てて二度見されてくる人とか。
 なんでだろう、今はじっと視られるような恥ずかしい服装ではないのに、と当惑していたら、はたと気づきました。

 おそらく首輪です。
 自分では慣れすぎていて、していることも忘れ去っていた首輪。
 今の私のファッションでは明らかな異物である、くすんだ赤色の無骨なワンちゃん用首輪。

 私にとってはマゾのシルシとしていたって自然な姿なのですが、こんな健全な商業施設にマゾ女がそのシルシを着けて平然と座っていること自体、市井の人たちにとっては奇異に映っているんです。
 長らく眠り込んでいた理性という常識がやっと息を吹き返し、今、自分はとんでもなく恥ずかしい姿を世間様に晒しているんだ、という逃げ出したいほどの羞恥が一気に押し寄せてきました。

 もちろん首輪をしているからと言って、それをマゾという性癖にすぐ結び付けられる人は多くはないとも思います。
 でも変なファッションの変な女、とは誰しもが思われ、だからこそじろじろ視られているのは事実でしょう。
 知られたくないはずの不健全で後ろめたい性癖を、こんなに明るく健全な公然で平然と晒してしまっている自分…

 そうなんです…私、マゾなんです…どうぞご自由に貶めてください…
 
 やっと目覚めた理性がマゾ特有の自虐願望でみるみる隅に追いやられ、脳内の変なスイッチが入ってしまったとき、目前のスマホがブルッと震えて画面が明るくなります。

「あっ!」

 大慌てでスマホを手に取ると浮かび上がる自分のヘンタイ画像。
 着信音が鳴ったらすぐ応答しなきゃ、と周りをきょろきょろ見回す私。
 幸い近くに人影は見当たりません。

 スマホに視線を戻し、自分のくぱあ画像を数秒見つめますが、一向に着信音は鳴りません。
 代わりに別のところに反応が…

「んっ!」

 思わず声が出てしまうくらい、股間のローターが震え始めます。
 スマホの時刻表示では、置き去りにされて6分後くらい。
 最初は強烈だったローターの震えがだんだんと緩めになってきたなと思っていたら…

「これが直子の…」

 私のスマホがいきなり喋り出し、焦って応答ボタンをタップする私。

「もしもし?ハンバーグか牛ステーキ小さめ4切れか、あと小ぶりなチャーハンだと、どれがいい?」

 お姉さまからの突然&想定外のご質問にパニックとなる私。
 お電話の向こうでは、あの子、サカッちゃうと食欲出ないのよ、とどなたかにご説明されるお姉さまの小さいお声。

「あ、ではハンバーグでお願いします…」

 確かに今の私は食欲どころではないので、一番最初に告げられた選択肢をオウム返し的にお答えします。

「おーけー、ハンバーグね。その他に何か変わったことあった?」

 お電話の向こうにおられても、お姉さまがイタズラっぽい笑顔になられていらっしゃるのがわかるようなニュアンス。

「あ、あの、私の中のバイブ、あ、いえローターが震え始めているのですけれど…」

 恥ずかしい会話をしている自覚はあって、ヒソヒソ声になってしまいます。

「へー、こんなに距離があってもちゃんと動くんだ、やっぱりうちのミサは優秀ね」

 お姉さまがご感心されたお声をあげられ、数秒してからローターも完全に鎮まります。

「じゃあ直子?これからあたしの言う通りにしなさい」

 お声のニュアンスががらりと変わられ、冷たくご命令されるミストレスのご口調に。

「テーブルの上のあたしのビデオカメラの電源を入れて直子の顔がちゃんと映るようにモニターを見ながらセットしなさい。出来るわよね?今朝だって上手に自撮りしていたのだから。で、セット出来たらあたしにコールバック」

 それだけおっしゃってプチっと通話が切れました。
 そしてそれだけでお姉さまが何をなされたいのかを察してしまう私。

 更に今朝のジョセフィーヌさまとのお散歩映像をすでにお姉さまがご覧になっていた、という事実に、自ら率先して繰り広げたジョセフィーヌさまとの痴態の数々を思い出し、体温が二度くらいカーッと上がってしまいました。
 
 おそらく私がシャワーしているあいだにみなさまでご覧になられたのでしょう。
 嬉々として自撮りしたのは自分ですから、完全な自業自得ではあるのですが。

 気を取り直してビデオカメラの電源を入れ正面に置き、モニター画面を自分に向けます。
 自分の顔が画面中央に映るようレンズを向けるために距離を調節し、少し上向きにするために空になった自分のポシェットを外してビデオカメラ本体の下にかませて微調整。
 お姉さまのご指示通りになったところでコールバック。

「はい?」

「出来ました」

 すぐにお出になったお姉さまから、おーけー、のお返事。

「ビデオを録画にして、直子はその場から絶対動いちゃ駄目よ。両手は椅子の背もたれの後ろに」

 冷たいお声のご指示をいただき、通話は再度、唐突に切断されます。
 スマホをテーブルに置き、ご命令通り両手を背もたれの後ろで組んでセルフ磔状態に。

「んーっ!」

 数秒の沈黙後、股間に強烈な振動。
 思わずうつむいて両腿をギュッと擦り合わせてしまうほど。

 ついさっきまで、せっかく挿れたのに動かしてくださらないんだ、なんて無い物ねだりをしていた思いが、あっさり後悔に塗り替えられます。
 膣壁の粘膜を乱暴に震わせてくださる振動で、その後悔も瞬く間に悦びへと変わっていきます。
 ブゥウンという低い振動音さえ聞き取れるくらいの激しい震え。

「んーーーっ、んーーーっ!!」

 薄れている理性とは言え、こんな場所ではしたない淫ら声を洩らしてはいけないということはわかっています。
 必死に唇を噛み締めて、必死に悦楽の波に逆らいます。

 来るときの電車内でお姉さまが試されていた振動のパターン、規則正しい震え、強弱をつけたランダムな震え、膣中を掻き回すような乱暴な震え、膣奥に侵入してくるようなピストンに似た震え…
 そんな振動たちが電車のときよりも強めの振動をキープしたまま、ランダムな間隔で私のマゾマンコを蹂躙してくださっています。

 いやっ、だめっ、許してっ…
 そうつぶやかずにはいられないほど嬲られ放題な蹂躙の嵐。

 目の前にはビデオカメラのレンズ。
 私がこうして人知れず身悶え犯され乱れているライブな表情が、カメラ本体横の小さなモニターで確認出来、更にもれなくデジタルで記録されているのです。

 振動のパターンは、強弱をつけたランダムな震え、に落ち着いたみたい。
 ときに強く長く、かと思うと急に弱くという焦らし責め。
 押し潰されている両乳首が絆創膏の下でヒクヒク暴れています。
 股間はビシャビシャに潤み、スカートのお尻側まで染み出して椅子の座面をも汚しているのが布地の冷たさでわかります。
 
 両膝を固く閉じ合わせたまま、全身が細かく痙攣しています。
 快感の蓄積を感じつつ、小さく何度もイッています。
 ここは公共の場、避暑地の商業施設。
 なのに陵辱の振動を止めてくださらない、イジワルなお姉さまの手の内にあるコントローラー。

 目の前に置いた自分のスマホは、なぜだかずっと待受画面を映し出したまま。
 それが私に、ほら、おまえはつまりそういう女なんだよ、と思い知らしめてくださっているかのよう。

 絶え間なく迫りくる快感に何度もうつむいたり顔を上げたり。
 フードコートのテラス席に独り座って独り身悶え、ハッハッと熱い息を吐きつづけている首輪の女。
 モニターには、私の背後の芝生を歩いて行かれる人影が時折り映り込んではいましたが、もはや私に周りを気にする余裕なんてありません。
 
 ヴイィィン…ヴゥン…ヴイイィィィィーーッ…ブン…ヴゥン…

 股間から響く振動音が一段上がった気がします
 振動は、膣中を掻き回すような乱暴な震え、に変わったみたい。
 お姉さまは私をこの場でイカせてしまうことに決められたようです。

 膣壁を縦横無尽に揺すりたてて蹂躙しつづけてくる振動。
 どんどん増幅される快感の波に翻弄され、意識はもはやホワイトアウト寸前。
 
「んーッ、んぬーーーッ、んぐぅーーーーッ!!」
 
 抑えようにも抑えきれない喉奥から湧き上がる淫声。
 じっと見つめてくるレンズ横のモニターに、自分の泣き出しそうに切なげで、それなのにとても嬉しそうな、つまりは淫靡に歪んだアヘ顔が映っています。

「んっ、んっ、んーっ、ンッンッンッンッーっ…」
 
 もうがまんするのはやめて、すべてを受け入れてラクになっちゃおう…
 覚悟を決めたとき、テーブルのスマホがブルッと震え、またもや喋り始めます。

「これが直子のマゾマン…」

2022年10月2日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 08

 この場でブラウスを脱いでブラを外すか、脱がないままモゾモゾ外すか…
 そんなのどっちもおいそれと出来るわけありません。
 今だって少し離れた場所に白いお車が駐車され、大学生風のカップルさんが私たちのほうをチラチラ見遣りながら数メートル前を歩いて行かれたのですから。

「ほら、早くしないと、もっとひどい命令にアップグレードしちゃうよ?」

 とっても愉しげに残酷な笑みを浮かべられる五十嵐さま。
 仕方ありません…
 ブラウスのボタンを外して、脱いで、ブラを取って、またブラウスを着てボタンをして、という行程はあまりにも時間がかかって危険そうなので、着たまま外すことに決めます。

 両手を背中に回してブラウスの布の上からブラのホックを外しました。
 それからブラウスの前ボタンをもうふたつ外し、左半袖の中へ肘のほうから左腕を無理やりブラウスの中に押し込みます。
 この時点でブラウスの前立てはおへそ上まではだけているので、緩んだ薄青色のブラジャーのほとんどが外気に晒されています。

 ブラウス内に潜り込ませた左腕からブラの左肩紐を抜き、急いで左腕を左袖に通し直してブラウスのボタンも留め直しました。
 その後は左手を右半袖に潜り込ませ、右肩紐を引っ張って袖からブラを引き摺り出すだけ。
 その一部始終は、橋本さまが構えられたビデオカメラで記録されているはずです。

「へー、ずいぶん手慣れてるもんだ、すごいすごい。何度もやっていなくちゃ出来ない芸当だね」

 五十嵐さまからのお褒めのお言葉は良いのですが、良くないのはブラが去ってしまった私の格好です。
 炎天下の汗と私の冷や汗が重なり、それでなくても透けやすい生地がべったり肌に貼り付いて、ところどころだけ乳白色な肌色ビニール状態。
 おっぱいの形はもちろん、乳暈と、自分でも恥ずかしいくらい尖りきっている乳首の色と形まで丸わかりなんです。

 外したブラを握ったまま、思わず両手を交差してバストを隠してしまう私。
 五十嵐さまが前抱きにされたリュックからスマホを取り出され、どこかにお電話されています。

「P3のラルフの裏あたりで右のミラーに黄色いバンダナね。了解」

 通話を終えられた五十嵐さまが私に近づかれます。
 無造作に伸ばされた右手でブラがひったくられ、五十嵐さまのリュックの中へ。

「なに今更おっぱい隠しちゃってるの?誰が隠していいって言った?」

 胸の前で交差した私の右手首を握ってこられる五十嵐さま。
 離れる腕に弾かれた乳首がピクンと跳ねて布地を押し上げます。

「あっ、あの、で、でも…」

 木々と建物で隔てられた私の背面側のモールのほうから、キャハハハという数人の女性の甲高い笑い声。
 そこから私が見えているはずはないのに、私に向けての嘲笑に思えてしまいます。

「露出狂のクセにデモもストもないの。えっちな格好をみんなに視てもらって恥ずかしい思いがしたいんでしょう?それで興奮しちゃう変態マゾ女なんでしょう?」

 こんな健全な公共施設の屋外で、変態マゾ女、なんて面と向かって決めつけられたら、それだけでドキンと心臓が口から飛び出しそう。
 同時に両腿の付け根もヒクヒクンと盛大に疼いてしまいます。

「ほら、汗でいい感じの透け具合になってるし、そのいやらしいおっぱいをみんなにしっかり視てもらわなくちゃ」

 おっしゃりながら五十嵐さまに掴まれた手首がゆっくりと私の背中側に回されます。
 されるがままに左手も胸から剥がされ、お尻の上くらいで両手がひとまとめに。
 うつむく私の目前に恥ずかし過ぎる透け乳首がふたつ。

「でも、とか言って嫌がるわりに、全然抵抗はしてこないんだね。直子ってほんとマゾ」

 からかうようにおっしゃった五十嵐さまが後ろ手となった私の手首に何か硬い物を押し付けてこられます。
 あっ!と思う間もなくカチンカチンッと軽めな音が二回。
 そこまでされるとは思っていなかった、想定外の後ろ手錠。

「これでよしっと。さ、みんなのところに戻ろっか。ハッシー?周りの雰囲気込みでじっくり撮ってね」

 五十嵐さまに軽く背中を押され、閑散とした駐車場の端っこから、普通に人とお車が行き交うもう片側のモール沿いのほうへ。
 後ろ手錠されてしまったので、透け透けのおっぱいを隠すことは一切出来ません。
 橋本さまが近づかれたり遠ざかれたり、前へ横へ後ろへとポジショニングされつつ撮影してくださっています。

 施された手錠はその軽さや感触から、お姉さまやシーナさまが私に使われるスチール製の本物仕様ではなく、お子様向けけいさつごっこ用なプラスティック玩具みたい。
 私も以前、同様のものを百円ショップで購入したことがあるので知っているのですが、この手のオモチャは安全対策として鍵を使わなくても手錠本体に外せるボタンが付いている場合がほとんど。
 今されている手錠も、見えないながら表面を指でなぞると、それらしきボタンがちゃんとあるのが確認出来ました。

 それでも私は自分からこの手錠を外すことはしません。
 お姉さまがご懇意にされているかたからのご命令は絶対服従、というレズ便器体質がからだに刷り込まれているのもあるのですが、何よりも自分が、今のこんなご無体な境遇に興奮してしまっているからです。

 五十嵐さまは前抱きリュックのまま薄い笑みを浮かべられたお顔をまっすぐ前に向けられ、私の左横を同じ歩調で歩かれています。
 撮影されている橋本さまが私にレンズを向けての後ずさりな感じになってしまうので、どうしても歩くペースはゆっくりになってしまいます。

 私はと言えば、とても正面に顔を上げることは出来ずうつむきがち、それでもときどき視線だけ動かして周りを窺わずにはいられません。
 お姉さまなら、そんなにモジモジしていると却って悪目立ちするわよ、とすかさずご叱責されることでしょう。
 うつむいた視野には否応なく自分の透け乳首が入り、そこから目を逸らすと青空と駐車場。

 場内を進むごとに、駐車されているお車と周りを行き交う人の数が増えてきます。
 これから進む方向にある空きスペースにお車が駐められ、ドアが開いて男女が出てこられたり、若い女性のおふたり連れと一メートルも隔てていない距離で擦れ違ったり。
 私たちから5、6メートル離れた駐車スペースで棒立ちになられ、明らかに私たちをじーっと見つめている男性おふたり組を視界の端にみつけたとき、視られている、という実感が股間の粘膜を震わせながらせり上がってきました。

 視られて当然です。
 こんなに目立つ首輪を嵌めて、衣服の用を成していないブラウスの下の生おっぱいを見せびらかすように晒している変態女が、ランチタイムの健全なショッピングモールの駐車場を撮影されながら歩いているのですから。

 罪悪感と恐怖感を盾として崩落を食い止めている理性と呼ばれるストッパーが、恥辱願望という性的興奮でみるみる緩んできます。
 こんな恥ずかしい姿、お願い視ないで…という懇願が、どうぞじっくり視て蔑んでください…という被虐の快楽へと飲み込まれそう。

 自分の生活圏ではない一期一会の見知らぬ土地であるという開放感も、大胆さへとそそのかされる呼び水になっているみたい。
 視られている、という実感をより強烈に体感したくなり、歩きながらうつむいている顎を徐々に上げていく私。

 知らぬ間にずいぶん歩いたみたい。
 広い駐車場でも、ひときわ密集してお車が駐車されているほうへと近づいているので、そちら側のショッピングモールへと出るのに便利な場所なのでしょう。
 当然のこと人々の姿も増え、前から後ろから、さまざまな人に追い越されたり擦れ違ったり。

 顔は前に向けたまま、そんな方々と極力目を合わせないよう無表情を繕って、でも浴びせられる視線は充分意識して歩きつづける私。
 時代劇で見たことのある、市中引廻し、みたいな猥雑な見世物になっている気分で心臓はドキドキ冷や汗タラタラ、なのに下半身はキュンキュン感じてしまっているのです。

「やっとみつけた。あそこだね」

 五十嵐さまが突然立ち止まられ、目前を指さされます。
 いろんなお車が前後左右に整然とズラッと並んだ一画に、確かに見覚えのあるシルバーグレイのワゴン車。
 いいえ、さっきのドライブ中の会話で本橋さまがおっしゃっていたお話によると、こういうお車を今はミニバンと呼ぶのだそう。
 そして五十嵐さまがお電話でおっしゃていた通り、確かにミラーのところに黄色いバンダナが巻かれて垂れ下がっています。

 戻ってこられた五十嵐さまや私のはしたない姿をお車のほうでもみつけられたのでしょう、ドアが開いてお姉さま、中村さま、本橋さまもお外に降りてこられました。
 居並ぶお車たちのあいだを縫うように進み、お姉さまたちと合流します。

「そんな姿であそこから歩いてきたの!?」

 私の姿を見られた中村さま、ご驚愕の第一声。

「バンダナ付けてくれて助かったよ。似たような車ばっかりで、もうみんなに一生会えないかと思った」

 中村さまのご驚愕を、大げさなご冗談でスルーされる五十嵐さま。

「バスト丸出しじゃない?透けているっていうレベルじゃないわよ?」

 なおも呆れ果てられている中村さまとご愉快そうに苦笑いのお姉さま。
 唖然としたお顔で私の上半身を見つめられている本橋さま。
 
 みなさまに取り囲まれ、更に周りも背の高いお車ばかりで自分の姿が隠されて、ちょっとホッとしている私。
 そんな私から五十嵐さまがおもちゃの手錠を外してくださいました。
 両手は自由になったのに、あらためておっぱいを隠そうともしないのは、お姉さまが私を見て微笑んでくださっているから。
 
「でも人って意外と他人のこと気にしていないもんなんだね。これだけ凄い格好した女子がすぐ近くを歩いているのに、他所向いてたりスマホに夢中だったり」

 五十嵐さまがあらためてしげしげと私の透けおっぱいを見つめてこられます。
 その後ろから橋本さまも変わらず撮影をつづけておられます。

「もちろんガン見してきたり、痴女?なんてつぶやく声も聞こえたけど、ほとんど男で、うちがそっちに目線向けると慌てて視線逸らすの」
「ひと組だけ中年の夫婦っぽい男女が、一瞥してしかめっ面になって、あ、これはひょっとするとヤバいかな、と思った。あのときが一番焦ったな」
「でもまあ、こんな首輪もしてるし業界風のハッシーも付いているしで、そういう撮影なんだろうって有耶無耶に納得した人たちがほとんどなんじゃないかな」

 五十嵐さまのお言葉で、やっぱりそんなに大勢に視られていたんだ、とゾクゾクがぶり返す私。
 ビクンと震えて視線を上げると、その先にお姉さま。
 薄い笑顔の冷たい目でじっと私を見つめられてから、おっしゃいます。

「でも、ランチタイムのフードコートにその格好はいろいろマズイと思うな。この子は良くてもあたしたちの立場的に」

「うん、うちもそれはそう思う。一応羽織るものも用意してるから、それを着せようかなって」

 五十嵐さまが素直にご同意され、リュック内をもぞもぞされ始めます。

「フードコート行くなら、もう少し車を近いところまで移動させましょうか?見たところ、まだ空きはいっぱいあるし」

 気不味い話題を無理矢理はぐらかされるような本橋さまのご提案で、もう一度みなさまミニバンに乗ることに。
 橋本さまが構えていたカメラを下ろそうとされたとき、お姉さまから待ったがかかります。

「いい機会だからその前にカメラの前で、直子がどういう女なのかはっきりさせておきましょう。直子、スカートをまくりあげなさい」

 お姉さまの冷たいご命令口調。

「は、はい…」

 お姉さまがみなさまに何をお見せになりたいのかは、わかりきっています。
 橋本さまを中心に、みなさまが私の正面に並ばれます。
 私はおずおずと両手をスカートの裾に添え、ゆっくりとめくり上げていきます。

「うわー、グショグショじゃない」
「パンツの色まで変わっちゃって、土手に貼り付いちゃってる」
「腿にも垂れてない?クロッチに雫浮いてるし」
「露出狂って恥ずかしさだけでここまでなっちゃうんだ」

 いたたまれないご感想は、中村さまと五十嵐さまから。
 本橋さまはただただ唖然、お姉さまだけが艶然と微笑まれていらっしゃいます。

「イガちゃんはまだ、直子のパンツまで脱がす気は無いんでしょ?」

「ああ、うん。もっと人目の多い日常的な場所で脱がさせたほうが、露出症的には嬉しいのかな、と」

 お姉さまのご質問に率直に答えられる五十嵐さま。

「正解。見ての通り直子のスケベさは底無しだから、ちゃんと緩急つけておかないと好き勝手に暴走しちゃって、あたしたちまで危ない目に遭うことになるかもしれないの。とくにこういう公然猥褻スレスレ事例だと」

 お姉さまがビデオカメラのお邪魔にならないように一歩前に出られ、私を嗜虐的な瞳で見据えられます。

「直子、今、何がしたい?」

「えっ、あの、何って…」

「オナニーしたいでしょう?早くイキたいのでしょう?」

「えっ、あ、は、はい…」

「でもこんなところでそんなことしちゃったら、どんなことになるかもわかるわよね?」

「はい…」

 唇の両端を微かに上げられたお姉さまがつづけられます。

「聞き分けがよくて助かるわ。ご褒美を上げましょう」

 もう一度唇の両端を上げられたお姉さまの右手が、すっかり私の背中側まで回っていたパイスラポシェットを開けられ、何か取り出されます。
 もちろん私に手渡されたのは例のリモコンローターのローター部分。

「ほら、これを許して上げるから、みなさんの前で、自分で挿れなさい」

「はい…」

 もはや私にはお姉さましか見えていません。
 ゾクゾク感じながら再度自らスカートをまくり上げ、いそいそとショーツを太腿中間まで摺り下げます。

 か細い糸を何本も引いて股間から離れた布片。
 外気に晒された無毛の膣口にローターを押し当て、ズブリと右手で押し込みます。

「んっ!!」

 刺激を渇望していた粘膜がヒクッとざわめき、小さくイッてしまいます。
 そのままの格好で縋るようにお姉さまを見つめる私。
 膣口からはリモコン受信用の柔らかいアンテナがピンと飛び出しています。
 それ以上の刺激が欲しくて堪りません。

「ほら、さっさとパンツ上げなさい。これからみんなでランチなのだから」

 お姉さまの突き放すようなおひと言で、渋々ショーツを股間に戻します。
 はしたない声を抑える準備は出来ていたのに…
 やっぱり一番イジワルなのはお姉さまです。

「ド淫乱でド変態の百合主従で露出狂なドマゾ女…うちが蓄えた知識だけじゃ追いつかなそう…」

 五十嵐さまがお独り言のようにつぶやかれたお言葉で、私とお姉さまだけだった世界が呆気なく崩れ去ります。

「さあ、これで当面は穏やかに過ごせるはず。ランチにしましょう」

 お姉さまの号令で、みなさま我に返られたみたいにお車に乗り込まれます。
 本橋さまがブルンとエンジンをおかけになられ、静かに流れ出すバラード曲、確かジョージ・マイケルさん、に乗ってお車が走り始めます。

 五十嵐さまが羽織らせる用にご用意されていたというお洋服は、薄いニットのクタっとした半袖カーディガンでした。
 淡いピンク色の無地で、丈がバスト下くらいまでしか無いのでボレロカーディガンと呼んだほうがよいかも。
 前ボタンも付いてなく、ブラジャーのセンター位置くらいをリボンで結ぶタイプ。

 羽織ってみると軽くて着心地良く、前リボンを結べばおっぱいもすっぽりキレイに隠れます。
 なんだかブラウスの上から緩いブラジャーを着けたみたい。

 ただ、ブラウスもカーディガンも生地が薄いので、バストトップは露骨に響き、位置も形も丸わかりな感じ。
 それにリボンが解けたら生地が容易に左右に割れ、透けおっぱいは丸出しに逆戻りとなります。

「うーん、やっぱり乳首が露骨だわよね」

 中村さまに、見せて、とお願いされ、お車のスライドドア脇まで出て、膝を屈めた姿勢で胸を突き出しています。

「直子が戻ってきたとき何よりも驚いたのが、その格好よりも左右の乳首の存在感だったのよ」
「痛そうに尖りながら膨らんでいて、うわー卑猥だーこれはどう見ても猥褻物だー、って思ったの」

 中村さまがお隣のお姉さまに向けて力説されます。
 橋本さまが助手席から半身を乗り出され、そんなご様子まで撮影されています。

「だからあの卑猥な勃起乳首は、なるべく不特定多数の公衆の面前には出さないほうがいいと思うのよね」

 捉えようによっては、ずいぶん失礼なご意見ではあります。
 私の乳首って、そんなに卑猥なんだ…

「んなこと言ったって、じゃあどうすんの?またブラ着け直す?なんかそれって調教プレイの流れとしてマヌケ過ぎじゃん」

 中村さまのお話を黙って聞いていらっしゃった五十嵐さまが、ご不満げにご抗議のお声。
 今していることって五十嵐さまの中では、調教プレイ、っていう位置付けなんだ、と妙に納得してしまう私。
 でもすぐに何か新しいアイデアが閃かれたらしい五十嵐さまが、お声のトーンを上げてつづけられます。

「ならこうしない?絆創膏貼るの。グラドルとか着エロでよくある絆創膏ヌード。乳首とワレメだけ絆創膏で隠すやつ。あれなら全裸とはまた違った独特のエロさがあるし、服にも響かなくなるはず」
「うちの予備のニップレスもあるけど、それより断然、絆創膏のほうがエロいよね。見せたいけど見せたくない、ここさえ隠せば裸じゃない的屈折した乙女心」

 みなさまのお返事も待たられずに五十嵐さまが再び、ご自分のリュックの中を漁り始められます。

「あったあった。じゃあ直子、上半身全部脱いで」

 お車はすでにフードコートに近い場所まで移動したようで、今は駐車の状態。
 今度はさっきよりモールの店舗脇通路に近い場所に駐められたらしく、お外から漏れ聞こえる喧騒もさっきより賑やかな気がします。
 スモーク加工が施されたお車の窓をそっと覗くと、平日朝10時過ぎの東池袋駅周辺くらいの人通り。

 そんな中で私は、スライドドアの大きな窓を背中にして、ブラウスのボタンを外し始めました。

2022年9月25日

肌色休暇三日目~避暑地の言いなり人形 07

「あ、それでこちらは某出版社で名塚毬藻先生のご担当を長らくつづけられて、今はフリー編集者の中村佳奈さん。夏のあいだずっと先生とここで過ごされている、言わばこのお屋敷の管理人のおひとり」

 お姉さまのご紹介に身を乗り出されたのが橋本さま。

「名塚先生って、あの、S氏の典雅な生活、の名塚先生ですよね?俺、中坊の頃から大ファンでシリーズ全部持ってます。先生、今いらっしゃるんですか?」

 少し早口お声高になられ、ずいぶんご興奮気味な橋本さま。
 名塚先生って男性向け?たぶんBL?も書かれているんだ、って私もちょっとびっくり。

「ごめんなさいね、名塚は今日は仕事でタカサキのほうまで出ているんです。でも、そんな以前からの作品を今でも読んでくださっている男性ファンがいると知ったら名塚もとても喜びますわ」

 なんだかお仕事っぽい口調になられている中村さま。

「ハッシーはね、こんなサイケなアロハ着てチャラいけれど美大の映像科出てるんだって。だから今日は直子の資料映像の撮影カメラマンもやってもらおうって」
「あ、橋本だからハッシーね。で、こちらのガタイのいいほうが彼のパートナーの本橋さん、モッチー」

 お姉さまのご紹介にペコリと頭を下げられる本橋さま。

「ちょい訂正。俺、美大出てはいない。中退。小難しい理屈ばかりの講義に途中で飽きて嫌になった…」

「あ、でもこいつ、今でもボディビル大会があるとあちこちから呼ばれるほど撮影の腕とセンスはいいんですよ。アングルのとり方とか躍動感の捉え方とか…」

 ご中退告白で少しやさぐれられた橋本さまを、すかさずフォローされる本橋さま。
 五十嵐さまがこれ以上無いくらい嬉しそうにご相好を崩されています。

 そんなご様子を曖昧な笑顔で眺められていた中村さまが、提げていたバッグからスポーツドリンクのペットボトルを二本出され、おふたりにそれぞれ手渡されます。

「ワタシたちはもう少し準備があって、ほら、女の支度は長いから。本当は中で待っていただくのが筋なのだけれど、名塚の滞在中には男性を屋敷の中に入れてはならない、っていうジンクスみたいな不文律みたいなのがあるの。だからあと5分くらい、本当に申し訳ないのだけれど、ここでお待ちいただいていい?」

 おふたりが頷かれるのを見極められてから、お言葉がつづきます。

「渡辺社長のお車は、そこを右に折れて突き当たって左、建物の裏手が駐車場になっていますから、適当に空いているところに入れておいてください」

 なぜだかずっとお仕事っぽくよそよそしい事務的口調な中村さまに促され、私たち4人はもう一度お屋敷の中へ。

「モッチー✕ハッシーいいじゃんっ!お揃いのバミューダパンツ穿いちゃって、見るからにラブラブだねえ」

 上機嫌な五十嵐さまは、ご自分の大きめリュックを覗き込まれ、持っていかれるもののチェックをされているご様子。
 お姉さまが私に近づいてこられ、私のポシェットをたすき掛けのパイスラ仕様にセッティング。

 またブラに布地が貼り付いちゃう、と思ったのですが、乾きも早い生地みたいで空調の効いた室内に戻ったせいか、着たときに感じた通常の透け具合に戻っていました。
 厨房にしばらくこもられてから出てこられた中村さまは、把手の付いた大きなクーラーボックスをぶら下げていらっしゃいます。

「夕方まで時間があるからさ。生鮮食料品は遅めに買って、この中に突っ込んどけばいいわ」

 そのお腰には緑のチュニックによく映えるお洒落可愛い橙色のウエストポーチが巻かれています。

「かなちゃん、ハッシーと話すとき妙によそよそしかったけれど、あの手の男、苦手なの?」

 お姉さまはいつものトートバッグ、たぶん私を虐めるおもちゃもたくさん入っている、を肩に提げられ、中村さまに笑顔でお問いかけ。

「うーん、出版社にいた頃、バイトの女子や作家志望で持ち込みに来る若い女の子にすぐに下品なセクハラまがいかます、ワタシより少し年上の既婚編集者がいてさ、そいつにルックスや雰囲気が似ていたんで、ちょっと身構えちゃった」

 苦笑いを浮かべられる中村さま。

「でも彼、ホモセクシャルなんでしょ?なら心配ないよね。好きだって言っていた先生の小説もちゃんとBLものだったし」

 ご自分に言い聞かせられるように中村さまがおっしゃいます。

「かなぴっぴ?うちらに害をなすかもっていう杞憂なら大丈夫。ハッシーはどう見てもゲイ、それも絶対ウケのほうだよ」

 五十嵐さまが自信満々におっしゃり、私たち声を揃えて、えーーっ!?

「ああいうちょっとヒネた感じのやさ男って、ゲイの中では総じて受けになりがちなんだ。ハッシーは誘い受けだね。ベッドじゃ組み伏せられて悦んでるタイプ、つまるところエム」

「でもあのマッチョな彼のほうが物腰柔らかくて、受けっぽくない?」

 中村さまが異議を申し立てられますが、ふふんとお鼻で笑われる五十嵐さま。

「ううん、彼のほうはベッドじゃたぶんケダモノよ。ラグジャー着ていてあのガタイだもん、絶対脳筋だし、本能に忠実な攻めタイプ」

「ふーん、ホモセクシャルってそういうものなのかしら…」

 何やら生々しい会話が繰り広げられ、私はかなり引き気味。
 そうこうしているうちにみなさまのご準備が整ったようです。

 4人で再びお庭に出て、中村さまがしっかり施錠。
 玄関の壁に掛かったアンティークな振り子時計を見ると、時刻は午前11時を15分くらい過ぎた頃。
 本当に私は、人がたくさん集まっていらっしゃるらしいアウトレット?モール?に、こんな透けブラ姿で連れ出されることになってしまいました。

 見慣れぬ男性おふたりをご警戒されていたのか、少し遠巻きにウロウロされていたジョセフィーヌさまが、現われた私たちをみつけられ嬉しそうに駆け寄ってこられます。
 中村さまが持たれていたコンビニ袋をお見せになられつつ、ジョセフィーヌさまに何事かを語りかけられながら、芝生の小屋へと連れ戻されます。
 
 アプローチには門に向けて方向転換されたシルバーグレイのワゴン車のみ。
 お姉さまのお車は駐車場に入れられたのでしょう、消えていました。

 出てきた私たちに気づかれ、車外へと降りられる本橋さまと橋本さま。
 同時にワゴン車側面のスライドドアがススーっと開いたのですが、それを無視され五十嵐さまが橋本さまに駆け寄られます。

「はい、これビデオカメラ。充電バッチリで32ギガ積んである。頼んだわよ、撮影カントク、ハッシーさん?」

「あ、いや俺、自分の使い慣れたやつ持ってきたから。メモリーカードに録画するから終わったらすぐに渡せる」

 そうおっしゃって右手に嵌めたオレンジ色のハンディビデオカメラを私に向けてこられる橋本さま。
 思わずバストを庇ってしまう私。

「そっか、ならこのビデオはエミリーさんに託そう。撮影されている直子を撮影するのもメイキング映像みたいで面白そう」

 この三日間、私の痴態を記録しつづけてきたビデオカメラが本来の持ち主さまのお手に戻ります。

「おっけー、任せといて」

 お姉さまの朗らかなお声が合図だったかのように、本橋さまと橋本さまがそれぞれ運転席と助手席へ。
 スライドドアから覗く車内はずいぶん広く、座り心地の良さそうな立派な後部座席シートがフロントグラス向きに三列も並んでいます。

 運転席に本橋さま、助手席に橋本さまがお座りになられ、その後ろの席に私と五十嵐さま、その後ろに中村さまとお姉さま。
 それぞれのお荷物を足下に置き、大きなクーラーボックスを積んでもまだまだ余裕な広さ。

 それぞれがシートベルトを締め、スライドドアがススーっと閉じるとブルンッとエンジン音。
 一拍置いて流れてきたノリのいい音楽は、来るときにも聴いた覚えのあるレディ・ガガさまのヒット曲。
 車内にはエアコンがほどよく効いて、フローラル系の芳香剤っぽい香りが甘く漂っています。

「森下さん?大丈夫?臭くない?」

 ゆっくりと滑り出すお車のシートに背中を預けてひと息ついていた私に、唐突にお尋ねくださる本橋さま。

「えっ?あの、えっと、何が…ですか?」

「この車、いつも男ばかりの集団で使っているからさ、シートとかに男臭い体臭が染み込んでるんじゃないかと思って、掃除がてら消臭剤と芳香剤みんなでかけまくってきたんだ。タバコ吸うやつもいるし」

「あ、そうだったのですか…大丈夫です。ぜんぜん気になりません。それにあの、却ってお気を遣わせてしまって、ごめんなさい…」

 その細やかなお心遣いに恐縮してしまう私。
 私、スタンディングキャット社の方々から、本当に姫扱いされているのかもしれません。
 でも、そんなせっかくのご厚意をまぜ返すお声が、私の背後から聞こえてきました。

「あれ?あたしの車のほうは?」

 お姉さまのお声にすかさず応えられたのは橋本さま。

「はいはい、チーフの車は近くのスタンドで洗車ワックスと室内清掃オイル点検殺菌消毒までして、ガス満タンでお戻ししましたよっ」

 お姑さんがお嫁さんに口答えするみたいなニクタラシイご口調でのお答えに車内爆笑。
 和気藹々とした雰囲気で発車です。
 ジョセフィーヌさまのお散歩コースな広場へとつづく曲り角もお車だとすぐに通過。

 お車はずーっと木立の道、未舗装の林道のような道を進んでいきます。
 時折ガタガタはしますが乗り心地はいい感じ。
 なだらかな円周カーブがつづいているので、お山をグルっと周りながら下っているのでしょう。

 風景は見渡す限り延々つづく木立で、その奥はいずれも草木の生い茂る森林です。
 人家や建物っぽいものは何一つ見えず、もちろん信号機もすれ違うお車もひとつもありません。

 お車が走り始めてからしばらくは、お隣に座られた五十嵐さまから、いつ私に恥ずかしいご命令が下されるのか、とビクビクしていたのですが、今のところそんな気配もありません。

 と言うか五十嵐さま、本橋さま橋本さまへの取材に夢中なご様子で、本当に女性の裸を見ても興奮しないのかとか、初見で会ってホモとノンケの区別はつくのかとか、サウナや銭湯の男湯で好みのからだに出会ったらマークするのかとか、いささか下世話なご質問を矢継ぎ早に投げかけられています。

 そんなご質問にひとつひとつ律儀にご丁寧に、ときにユーモアを交えてお答えになられる橋本さまと本橋さま。
 ちなみに、女性の裸で興奮しないのか、というご質問に橋本さまは、綺麗な裸だったら、ああ綺麗だなーと美的芸術的な感心はするけれど性的な興奮は無い、綺麗じゃなかったら不快感しか無い、というお答えでした。

 お姉さまは後ろのお席で、私の知らないお仕事関係のかたのお話で中村さまと盛り上がられているご様子。
 どちらの会話にも混ざれない私だけ暇を持て余し気味に、車窓を流れる森林の景色を漫然と眺めていました。

 そんな感じで20分くらい走った頃、延々つづいていた森林が突然途切れ、草ばかり生い茂る平地に出ました。
 緩いカーブがつづくその道の左右は、以前は何かの畑だったのだろうなと思わせるそれほど広くはない草地となっていて、私の窓の側に凄く久しぶりに見る人の手が入った建物らしきものが迫ってきています。

 通り過ぎるときに目を凝らすと、そこだけ少し人為的に草を刈り取られたっぽい空き地の奥に、お寺か神社かなと思わせる木造二階建ての大きめな建物。
 
 なにぶんお車があっという間に通り過ぎてしまったので、その建物が何なのかまではわかりませんでしたが、もう長いあいだ使われていない=どなたも住まわれてはいない、ということは、見た感じの古さや荒れ具合でわかります。
 せっかくの建物なのに他のどなたも気に留められなかったようで話題にはならず、通り過ぎるとすぐにまた鬱蒼とした森へと入り、木立の林道へと戻りました。

 その林道を更に5分くらい走った後、お屋敷から走り始めて初めてのブレーキ。
 えっ?どしたの?と前を見ると、道の両脇から踏切の遮断機みたいな黄色い棒が行く手を塞いでいました。

 本橋さまが窓を開けられ、傍らの機械にカードみたいのをかざすと棒がスルスルっと左右に割れます。
 お車が通過してから振り向くと、棒がすぐに元に戻って再び通せんぼ。

 なるほど。
 これでみなさまが、ここは私有地だから、とおっしゃる意味が初めて理解出来た気がしました。
 でも、あんな遮断器、その気になればたやすく突破出来ちゃうような気もしますが…

「ほい、カード返しますわ」

 橋本さまが背もたれ越しにカードを私に差し出されてきます。
 受け取ると、表面に少し前に流行った動物を擬人化したアニメの美少女キャラ百合カップルの絵柄シールが貼られたクレジットカード大のプラスティックのカード。
 私も振り返り、斜め後ろのお姉さまに差し出します。

「それはエミリー、持っていていいよ。どうせ来年も来るでしょう?」

 お姉さまは中村さまに渡されようとされたのでしょう、中村さまのそんなお声が聞こえてきました。
 お車はいつの間にかまた木立を抜けて田園風景の中を一直線、やがてT字路に突き当り、舗装された普通の二車線道路が現われます。

「国道だー、やっと外界に降りられたーっ」

 五十嵐さまのずいぶんはしゃいだお声。

「今日は空いていそうだし、ここまで来たらもう20分も走らずに着けるはずです」

 運転席の本橋さまからのご説明。

「今日って金曜日でしょ?やっぱ混んでるんじゃない?先週の金曜日なんて駐車場どこも一杯だったよ」

「いや、でももうガキンチョの夏休みは終わってるから、少なくとも家族連れはもういないでしょ。いるのは暇な大学生と外国人観光客くらいじゃない?」

「でも週末だから、夕方から夜にはカップルとか増えそうね。モール目当ての客目当てで駅周辺にホテルも増えたし」

 口々にいろんなことをおっしゃるみなさま。
 車窓の田園風景にも民家やお店のお姿が混ざり、すれ違うお車も増え、歩道を歩かれる人のお姿もちらほらお見かけして私も、今までいたお屋敷周辺は明らかに別世界だったんだ、と実感しています。

 そんな窓を見ていてふと気づいた、スモーク加工された暗めのガラスに薄っすらと映り込む今の自分の姿。
 赤い首輪を嵌めて青いブラが透けている薄物一枚な私の上半身。

 すっかり別世界に馴染み切っていたので、自分がワンちゃんの首輪を嵌めていることをすっかり忘れていました。
 首輪…マゾ女のシルシ…
 途端に背筋を快感のような悪寒のような、心地良いような悪いようなさざめきがゾゾゾーっと駆け上ります。

「直子的にはギャラリー多いほうが嬉しいんだろうけど、そもそもあのモールって撮影おっけーだったっけ?」

 中村さまから今更ながらの根本的な疑問のご提示。

「うーん、知らないけれど動画投稿サイトであのモールの食レポとかお店ガイドやレビューとかよく見るし、大丈夫なんじゃない?」

 五十嵐さまからのいたって楽天的なお答え。

「でもまあ有名企業の運営だから、あんまり目立たないほうがいいことだけは確かだよね。あたしらは動画をネットに上げる気は更々無いけれど」

 ご慎重なご意見はお姉さまから。

「目立たないようにって言ったって、アブノーマルな首輪嵌めてスケスケ衣装のこんな女の子被写体にしていたら、人目につかないわけないとは思うな」

 中村さまの至極常識的なご意見。

「まあそのへんはハッシーモッチーのボディガード勢に頑張ってもらいましょう」

 あくまで楽天的な五十嵐さま。

「あ、でも先週来てたM女も、ここでけっこうキワドイ撮影したって寺っちが言ってたっけ。ワタシは用事で参加出来なかったのだけれど」

 傍証を思い出された中村さま。

「ヤバいゲリラ撮影したいなら変にコソコソせず、許可ちゃんと取ってまーす、って感じであっけらかんとカメラ向けていれば、見てるほうも、あ、何かのロケだな、って感じで意外とスムースに無駄なトラブル無く撮れるもんだよ」

 橋本さまの、おそらくご経験則からきているのであろうお言葉で、その議論は終りとなりましたが、逆に私のドキドキは最高潮。
 これからどんな辱めが待ち受けるのか、両腿の付け根が潤みっ放しで股間のクロッチがべったり貼り付いているのがわかります。

 お車は舗装された道路を快調に進み、行き交う他のお車や歩道を歩かれる方々のお姿もどんどん増え、日常世界に舞い戻ってしまったことをあらためて思い知ります。
 平日のランチタイムが終わった午後二時過ぎ頃の池袋繁華街くらいに人波とお車が増えてきた頃、進む先の路上に赤い棒を持たれた警備員さまらしき制服を着られた複数の男性のお姿が。

 その警備員さまが振られる赤い棒に導かれ、お車は広大な駐車場へ。
 とうとう着いてしまいました。
 意味も無くブルッと身震いしてしまう私。

 出入口近くこそ色とりどりのお車が整然と駐車されていますが、もっと奥の広大な駐車スペースにはまばらにポツンポツンという感じ。
 お近くに空きスペースをみつけられ駐車態勢に入られようとする橋本さまに、五十嵐さまから待ったがかかります。

「もちろん車は出入口近くに駐めるとして、直子とうちはあの警備員から死角になりそうな遠くで降ろしてくれない?もちろんモッチーもカメラマンとして着いてきて」

 五十嵐カントクさまのご指示が下され、いよいよ私の辱め映像撮影が始まるようです。
 駐車態勢から方向を変えられた橋本さまは、そのままゆっくりと広大な駐車場の出入口から見て一番端っこ、芝生と建物の背面で隔てられた駐車まばらなスペースまでお車を移動されます。

「そうね、この辺でいいわ。戻って車を駐車しておいて。悪いけれどみんなはちょっと待っていてくれる?外が暑かったら車の中で」

 五十嵐さまに促され、お車を降りる私とビデオカメラ片手な本橋さま。
 本橋さまはいつの間にか、これもペイズリー柄の真っ赤なバンダナを頭に海賊巻きにされています。

 お車が私たちを離れ、相変わらず快晴なお空の下、五十嵐さまと私が芝生の手前で対峙し、その横から本橋さまのレンズが私たちを狙っています。
 遠くにはひっきりなしに行き交う人たちのお姿が見え、背中側からはショッピングを楽しまれているのであろう賑やかな人々の喧騒が聞こえてきます。

「さて直子ちゃん、これからお望み通り、あなたの露出癖が充分満足出来るくらいに、おまえを公衆の面前で辱めてあげる。ふふっ、嬉しいでしょう?」

 ずいぶんお芝居がかった、でも充分嗜虐的なお顔になられた五十嵐さま。
 あの、いえ、私、それほど望んでもいないんですけれど…
 
 反発心からか心ではそう思うのですが、反比例するみたいに肉体でざわめく性的興奮。
 聞こえ来る人々の喧騒が頭の中でわんわん鳴り響いています。

「まずはこの場で、そのブラジャーを外しなさい」
 
 最初から悪魔のような五十嵐さまのご命令。

「シャツを脱いでからでも、着たまま両手を中に入れてのモゾモゾでも、どっちでもいいよ。要はさっさと脱いでブラをうちに渡しなさいっ!」

 心の底から蔑み切ったような五十嵐さまのお声が、怯える私に投げつけられました。