2022年6月2日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 19

 ご陽気にはしゃがれるみなさまの中にひとり全裸で放り込まれてしまった私は、どうしても目線がうつむきがち。
 車座中央に置いてあるおつまみの乗った大きなお皿をボーッと眺め、使い捨ての紙のやつみたい…なんて、どうでもいいことを考えながらモジモジしていました。

「全員揃ったことだし、もう一度乾杯しましょうか」

 寺田さまが私に、大きめで半透明なプラスティックのコップに注がれた飲み物を差し出してくださりながらみなさまにお声がけ。
 渡してくださった飲み物は、飲み口側が泡で包まれ、コップが黄金色に染まっているのでビールだと思われます。

「我らが名塚先生のレズビアンハーレム、官能の楽園へようこそ!存分に愉しんでいってね。カンパーイッ!」

 寺田さまの音頭で、それぞれのコップを高く掲げられるみなさま。
 お姉さまと寺田さまと中村さまのコップは葡萄色に染まっているので、おそらく赤かロゼのワイン、名塚先生と五十嵐さまのは無色だから、白ワイン?日本酒?焼酎?

「明日、明後日のあと二日間、よろしくお願いいたします」

 お姉さまが名塚先生に頭をお下げになっているのを見て、私もあわてて同じ動作。
 お姉さまの動きの気配に少し遅れてそっと頭を上げると、名塚先生がたおやかな笑顔でうなずき返してくださいました。
 お風呂上がりで喉が乾いていたこともあり、いただいた飲み物をゴクっと喉に流し込みます。

「あれ?このビール、あまい…」

 驚いた拍子に思わず声に出てしまいました。

「ビールをジンジャーエールで割っているのよ、シャンディガフって名前でイギリス由来の歴としたカクテル」

 寺田さまが教えてくださいました。
 口当たりが良いのでゴクゴク飲めてしまいます。

「おっ、直子もイケるクチなんだ。コップ貸して、あかわり作ってあげる」

 中村さまが手を伸ばしてくださったので、空になったコップをお渡ししました。

「ほら、もうこんなの取っちゃいなさい」

 左隣のお姉さまが私の頭のタオルを外してくださり、まだしっとり気味な私の髪を、開いた右手の指四本で優しく梳いてくださいます。
 甘えるように首を左側へと傾ける私。
 そうしているあいだに中村さまがおかわりを渡してくださいました。

「ほらショーコちゃん、直子も落ち着いてきたようだから、あれ、やってもらえば?」

 こちらの様子をニヤニヤ眺めていらっしゃった寺田さまから、五十嵐さまにお声がかかりました。

「あ、そうだった。せっかく地下室からえっちらおっちら持ってきたのに、危うく忘れちゃうところだった」

 スクっと立ち上がられた五十嵐さまが入口近くの壁際に立て掛けてあったご自分の身長よりも少し低いくらいな長方形の大きなガラス板?を軽々とお持ちになり、近くの襖に立て掛け直してから元の位置まで戻られました。

「さっきお食事しながらみんなで色々話したの。イガちゃんさ、直子に人間テーブルして欲しいんだって」

 左隣のお姉さまが教えてくださいます。

 …人間テーブル?

「外国の写真だったかビデオだったかで見たことあって衝撃的だったんだって。それで今度の作品にそういうエピソードを出したいから、実際にそういう場に臨んだらどんなふうに思うのか実体験してみたいんだってさ」

 中村さまからの補足説明。

 そう言えば五十嵐さまは、同人でえっちな漫画を描かれていらっしゃる、ってどなたかから聞かされた覚えが…
 私にこの格好でテーブルになれ、ということでしょうか…
 全身の温度がグンと上がった気がしたのは、お酒のせいだけではないみたい。

「それはフォルニフィニアって呼ばれるフェティシズムの一種ね。人間のからだをモノ扱いしたりされたりすることで生まれる支配と被支配、征服と隷属の関係性の具現化。とくにエロティックな裸の女性をテーブルや椅子、燭台や照明器具みたいな家具として拘束放置する行為がフォルニフィニアと呼ばれているの」

 いきなりのアカデミックな解説は名塚先生。
 コップの中の透明な液体をクイッと飲み干され、つづけられます。

「欧米だとBDSMの一分野としてアート的な見地で語られたりもしているし、日本だと、乱歩の人間椅子は性倒錯ものとして有名だし芸術として評価もされているわよね。あ、でもほら、あれ、裸の女性にお刺身乗せて愉しむ、女体盛り?は、脂ぎった男性目線で悪趣味なだけだと思うけれど」

 名塚先生のコップに寺田さまが注ぎ直された瓶を拝見すると、どうやら飲まれているのは日本酒のよう。
 そのコップを再びクイッと傾けられ、名塚先生が尚もつづけられます。

「わたくしも、たまにここでM女を家具にしているのよ。お尻を上向きに柱に縛り付けて花器にして性器とアヌスにお花生けたり、縁側にうずくまらせてオットマンにしたりね」

 ひと月ちょっと前、やよいママさまのお店に伺ったとき、シーナさまのテーブルのお足下に裸でうずくまられていたジャクリーンさまを思い出します。
 名塚先生もいくらかお酔いになられておられるのでしょう、ご執筆中の憑依状態とはまた違う、品を残されながらもサディズム全開のえげつないお話をスラスラ口にされています。

「それならアタシらもアートにしなきゃね。とりあえず真ん中を片付けて空けて、テーブルの設置場所にしましょう」

 寺田さまのひと声で車座中央のお酒の瓶類やおつまみのお皿が脇に退けられました。

「畳に直は可哀想だから毛布を敷いて上げる。せっかくお風呂でキレイにしたんだし、ショーコちゃんの資料としての写真映えも良くなるだろうしね」

 例の桐箪笥に取りつかれた寺田さまが、真ん中くらいの抽斗から真っ赤な毛布を引きずり出されました。
 お座敷の広い場所でいったん広げられたそれが二つ折り、三つ折りされ、車座中央に敷かれます。
 畳一枚が三分の二くらい隠れるスペースです。

「四つん這いかな?それとも、まさかの仰向け?」

「うちが見たのは四つん這いだったけど…」

 中村さまと五十嵐さまの会話。

「あ、でも仰向けってスゴそうじゃない?いかにもセキララって感じになりそう」

 茶化すようにおっしゃったのは寺田さま。

「そうね。それでやってみましょう。直子?その毛布の上に仰向けで横になりなさい」

 すごく久しぶりにお聞きした気がする、お姉さまのご命令口調。

「は、はい…」

 その冷ややかな声音にゾクゾク感じながらお座布団から立ち上がった私。
 座っているみなさまから全裸を見上げられつつ、赤い毛布の真ん中辺りにお尻をつけ、そのまま背中を倒して寝そべりました。
 もちろん両脚はぴったりと閉じて真っ直ぐに伸ばし、両手も両脇につけた一直線状態。

 周りのみなさまが中腰になられたので、今度はみなさまから裸身を見下される形。
 なんだか生贄とか人体実験の被験者になった気分です。

「ほら、そんなふうにお行儀良く寝そべっていても、テーブルには成れないでしょう?」

 お姉さまの詰るようなご叱責。

「あら社長、そもそもお行儀の良い女の子は、こんなふうにみんなの前に素っ裸で寝そべったりは、しないものではなくて?」

 寺田さまがニクタラシイお芝居声でまぜっかえされます。

「両手のひらをたいらにして、両腕を高く上げるの。脚もね。足の裏も上向きでたいらになるように上げるのよ」

 苦笑いを浮かべられたお姉さまがしゃがみ込まれ、私の顔を覗き込んでいらっしゃいます。

「は、はい…」

 両手を高く差し伸べるのは簡単です、寝たまま虚空に両腕を突き上げればいいだけですし、肘を曲げれば高さだっていかようにも調節可能。
 問題は両脚でした。

 両脚をびったり閉じたままでも高く突き上げることは出来ますが、それでは腕に比べて高く上がり過ぎてしまうのです。
 高さを減らすためには膝を曲げなければなりませんし、膝を曲げようとすると自然と股も開きます。
 その上、足の裏を上向きにしなければならないのです。

 膝を曲げて高度を下げるたびに私の両腿の付け根がどんどん開いていきます。
 それにつられて腰は浮き、足の裏を意識するたびに両膝のあいだもどんどん広がっていきました。

「うわ、これは恥ずかしいねー」
「ひっくり返ったカエルって感じだね。何もかも全部おっぴろげー、で」
「何がスゴいって、この子今、自分からこのポーズになったんだよね」
「全面降伏、どうにでもして、って感じ」
「ほら、早くテーブル乗せてみよう」

 ご容赦の無い嘲りのお声が上から降り注ぎ、私の全身に羞恥の火照りが駆け巡ります。
 名塚先生以外のみなさまがお立ち上がりになられ、五十嵐さまが運んでこられたガラス板?を私の上にかぶせてきます。

 まず左手、すぐに右手。
 想像していたよりもずいぶんと軽い…あ、硬度のある透明なアクリル板なんだ…
 つづいて左足、右足。

「うーん、足のほうがちょっと高くてナナメってるよ」

 五十嵐さまのお声がしたと思ったら、足側の板がグイッと下に押されました。

「ああんっ!」

 押されると同時に私の両膝が更にグイッと割られ、股関節も更に開いてしまいます。

「あれ?なんか今、テーブルが啼かなかった?」

 寺田さまのクスクス笑い混じりなお芝居声。
 五十嵐さまは、あちこちアングルを変えられて、私の姿をカシャカシャ写真に撮っているみたい。

「まさかー、テーブルが啼くわけないじゃない。そんなことより、コップを戻してテーブルの具合を試してみませんこと?」

 中村さまもお芝居声でお応えになり、私が支えるアクリル板の上に、おつまみの大皿とみなさまの飲みかけのコップが戻されます。
 重そうな酒瓶類やアイスペールは戻されなかったのは、みなさまのお優しさなのでしょうか。

 コップ類が置かれても重さはさして変わりませんでしたが、みなさまがそれぞれのお座布団にお座り直され、至近距離から透明越しに見下される立場となり、被虐感がグンと増します。

「このテーブル、なんだか微妙にグラグラ揺れてる気がするわね」
「ワタシの目の前に、ねっとり濡れそぼった卑猥な穴があるんですけど」
「アタシのとこでは、眉根にシワ寄せて辛そうに火照った顔がアタシを恨めしげに見上げてるわよ」
「あら、テーブルの下のこのふたつのポッチは何かしら?すごく弄って欲しそうにそそり立っているけれど」

 みなさまお芝居口調で口々に私をいたぶるようなご感想を述べられています。
 そのあいだも五十嵐さまは、私の無様な痴態撮影に大忙し。

「はうんっ!」

 横向きな私の裸身を見下ろす位置に座られたお姉さまが、不意にアクリル板の下に手を伸ばされ、私の硬く尖立した右乳首を指先でピンッと弾かれました。
 途端に全身にビリビリっと電流が駆け抜け、テーブルが大きくグラリと揺れてしまいます。

「あっ!ヤバいっ!」

 あわててそれぞれのコップに手を伸ばされるみなさま。
 テーブルのアクリル板からあやうく滑り落ちそうになったおつまみの大皿は、名塚先生が間一髪で持ち上げられ、中身を周囲にぶちまけてしまうことを阻止してくださいました。

「なんだか危なっかしいテーブルね。とんだ不良品だわ」

 相変わらずのお芝居口調でおっしゃった中村さまが、マドラーの持ち手で私の濡れそぼった肉襞を楕円に沿うようにススーッと撫ぜました。

「あぁんっ!」

 今度は何も乗っていないアクリル板だけが大げさにガクンと跳ねました。

「まあ、こんな格好で支えつづけるのって空気椅子みたいなもので、ある意味拷問だから、数分で手も足もガクガク痙攣しちゃうわよ。そこにイタズラなんかされたら、ひとたまりもないでしょうね」

 ご愉快そうに微笑まれた名塚先生、少し周囲をキョロキョロされた後、つづけられます。

「仰向けでテーブルにするのなら、肘と膝を縄で括っちゃって動けないように固定するのが安全ね。ほら、こんな具合に」

 名塚先生が傍らに散らばっていた書籍のうちの一冊をパラパラっとめくられ、広げたページをみなさまにお見せになられています。

「こんな感じに拘束しちゃえば、おっぱいや性器をちょっとくらいイタズラしても、プルプル震えて身悶えるくらいの芋虫みたいな反応しか出来ないから、安心して使えるでしょう?」
「ただし棒枷まで使ってここまでカッチリ拘束されちゃうとM女は辛いでしょうね。それこそ腹筋くらいしか動かせないもの」

 シラッと恐ろしことをおっしゃる名塚先生。
 みなさまも、なるほどねー、というご反応をされた後、私にもその写真を見せてくださいます。

 赤いボールギャグを噛まされた首輪全裸の金髪白人美人さんが、両腕両脚を左右それぞれ肘折と膝折に束ねた四本の支柱として縛り上げられ、棒枷で大股開きに固定された両膝とお顔の両側に突き出した両肘で大きなガラス板?を支えておられるお写真でした。
 
 ガラス板?の上には、大きなガラスの灰皿とブランデーの瓶、アイスペール、そして乗馬鞭が重そうに置かれ、その人間テーブルの直ぐ側に置かれた高級そうなソファーにセクシーなボンデージスーツ姿の黒人美人さんが優雅にブランデーグラスを傾けられていました。

 今の私よりも数倍無様に人間テーブル化されてしまった金髪美人さんのお姿にもゾクッと震えたのですが、間髪を入れずに該当書籍の該当写真ページを指し示される名塚先生の博識ぶりと言うかリファレンスの迅速さは、このかたの頭の中って、こういう知識とデータで溢れかえっておられるんだ、と別の意味でゾクゾクっと身震いしてしまいました。

「だから初心者なら、四つん這いでさせたほうが、お酒こぼされたりナッツばらまかれたりみたいな後々の手間がかからなくてよ」

 優雅におっしゃいつつ、ふわーっと可愛らしく欠伸をされた名塚先生。

「今日は久しぶりに長い時間お陽さまに当たったせいか、お酒がほどよく効いて、いい感じに眠くなっちゃった。明日は早いことだし、わたくしはこのへんでお先にやすませていただくわ。あとはよしなに、ね」

 名塚先生がンーーッと伸びをされたのが合図だったかのように寺田さまがスクっと立ち上がられ、別の間へつづく襖をスーッと開けられました。
 おふたりが襖の向こう側へお消えになると、今度は中村さまが立ち上がられ、私が支えていたアクリル板を外してくださいました。

「そういうことだから、ほら直子、今度は四つん這い」

 中村さまが、さも当然のようにおっしゃると、お姉さまがお応えになります。

「そうね。なんか中途半端にこれで終わっちゃうのもオチがつかないし。イガちゃんの参考資料のためにも四つん這いもやっておかなくちゃ」

「でも、先生がお隣でおやすみになるのなら、いつまでもここで騒ぐのは不味いんじゃない?」

 至極真っ当なご意見を述べられる五十嵐さま。

「それもそうね。ならササッと直子の四つん這いテーブルも写真に撮って、今夜はお開きということにしましょうか。ほら直子、さっさと四つん這いにおなりなさい」

 お姉さまに急き立てられ、アクリル板が消えてもずっと恥ずかし過ぎる格好をキープしつづけていた私はあわてて身を翻し、両手両膝を毛布について四つん這いになります。
 そこで襖が開き、寺田さまが戻っていらっしゃいました。

「お、今度は四つん這いね。こっちだとちょっと高めなテーブルになるんだ」

 寺田さまが嬉しそうに元の位置にお座りになられます。

「うん、そうなんだけれど、先生がお隣でおやすみになられているのに、あたしたちがまだ騒いでいるのもどうかな、と思って…」

 お姉さまがヒソヒソお声のご相談。

「先生がこんな時間におやすみになるのも珍しいのだけれど、本当に眠そうだったし、それだけ今日のあれやこれやが愉しくて充実満足されたのだと思う。お布団敷いたらコテンと目を閉じちゃったし」

 寺田さまが手酌でご自分のコップに白ワインを注ぎ足されます。
 ちなみに時刻は夜の10時半ちょっと過ぎです。

「でもまあ、明日が早いのはアタシも同じだしエミリーたちだってふたりだけでイチャイチャもしたいだろうし、今夜はこのへんでお開きにしようか。ショーコちゃん、直子にテーブルかぶせて」

 寺田さまからお声がけされ、五十嵐さまが四つん這いな私の背中に再びアクリル板を乗せてこられました。
 そのあいだに寺田さまが名塚先生の机上から何やら片手大のものを手にされます。

「ここでまたお酒のコップとか乗せてもつまんないし、せっかく人間テーブルがあるのだから最後のひと勝負をしましょう」

 寺田さまのお手の中に一組のトランプ。
 それをご器用にパラパラっとお切りになりながらおっしゃいます。

「最後の一発勝負。勝った人はレズ便器直子のからだを思う存分好きに出来る!」

 お得意気におっしゃったのですが、途端にブーイングの嵐。

「それって今の状態と同じじゃん」
「ぜんぜんご褒美じゃないしー」
「それってエミリーに恨まれそうでやだー」
「もっとスリリングなのがいいー」

 みなさま大人のかたですから、お隣でやすまれておられる名塚先生にご遠慮されてか、見た目かなり酔われていても大きなお声はなく、高校生の修学旅行の消灯後みたいなテンションで盛り上がられています。

「わかった、それじゃあこうしましょう。ご褒美ではなくて罰ゲーム。ビリの人は直子がして欲しいこと、性的なこと限定ね、を、この勝負の後ひとつ叶えてあげること。その代わり直子はゲーム中何をされても絶対テーブルを崩さないこと」
「もしも直子が堪え切れずにまたテーブルをぶちまけてしまったら、今夜は庭のジョセフィーヌの犬小屋で仲睦まじく一晩過ごす、ってことでどう?」

 私以外の満場一致で決まり、一発勝負のゲームは七並べ。
 名塚先生がおられた位置に寺田さま、私のお尻の位置に五十嵐さま、寺田さまの向かいにお姉さま、私の顔の位置に中村さまという布陣。
 もちろん五十嵐さまはゲームが始まるまで、私の四つん這いテーブル姿を様々なアングルでカシャカシャ写真に収められています。

「アタシ、七並べは得意なの。性格悪いから」
「うちの真ん前がお尻の穴だよ。でもこんなに酷いことされているのにドマゾのマンコってグジュグジュダラダラに濡れちゃうんだね、肛門も時々ヒクヒクしてるし」
「ほら、直子はあまり飲んでいないでしょ?ストロー刺してあげるから、お酒も愉しみな」
「さっきは飛び出てたポッチが今度はぶら下がってる。本当、弄りたくなる形と大きさなのよね」

 みなさまコップ片手に口々にお好きなことをおっしゃいつつゲームのあいだ中、意味も無く私の乳首がつままれ、マゾマンコと肛門を弄くられ、パスを強いられるたびに八つ当たりでお尻や乳房やほっぺたをピシャっとはたかれ…
 それでもテーブルに並べられているカードを極力乱さないよう、名塚先生のご安眠のお邪魔をしないよう、身悶えと淫声を必死に堪え、目尻に涙を溜めて懸命に耐え忍ぶ私。

 私の体感時計では永遠にも感じる時間でしたが、実際は10分に満たないくらいだったと思います。
 着順は、寺田さま、五十嵐さま、中村さま。
 ビリはまさかのお姉さま。
 
 後で寺田さまがこっそり教えてくださったのですが、あのトランプには、お姉さま以外のお三かたはご存知なイカサマの仕掛けがあって、初めて来られたお客様をえっちな勝負に嵌めて愉しむのによく使われているそう。
 つまり、お姉さまは負けるべくして負けたわけで、あの勝負は私のために、みなさまからの歓迎の意味を込めた接待七並べだったのだそうです。


2022年5月8日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 18

 薄闇の中にボーッと浮かび上がるパソコンモニターの青白い光の向こうで、あるじさまがうつむきがちにキーボードを打たれています。
 私が縛り付けられた柱からはノートパソコンの天板の陰となるので、そのご表情までわかりませんが、キーボードを叩かれる音のリズミカルさで物語が着々と紡がれているのであろうことはわかります。

 電マの頭に取り付けられた軟体動物のような触手にマゾマンコをつらぬかれたまま、完全放置状態な私。
 左側からキーボードを叩かれるパタパタという微かな音。
 右側からはリーリーリーと軽やかに晩夏を告げる虫さんたちの声。
 そして本当に時折、思い出したように足下のボウルを打つ、ポタッという恥ずかしい水音…
 拷問具がいつ動き出すのか、ゾクゾク、ソワソワ、ムラムラ怯えている私。

 じっとしていると両乳首を苛むクリップの疼痛が、皮膚の内側で増大してきます。
 膣穴を圧迫するだけな異物感ももどかしい…

 ああんっ、あるじさま、早くスイッチを入れてくださらないかな…
 入れられた途端に恥ずかしい嬌声をあげてしまいそう…
 あっ、でも、ガラス戸まで開けっ放しだから、私の恥ずかしい淫ら声がお庭にまで響いちゃう…

 そんなことを考えつつ、あるじさまのほうを物欲しげに窺いながら5分くらい過ぎた後…
 股間にあてがわれた異物が突然、唸り始めました。

 ンヴゥーーーーーーーーーーーーーーーーーッ…

 低い唸り声と一緒に下腹部が振動に包まれます。
 それも、いきなり、立っていられないほどに激しく。

「はぁぅーっんっ!!」

 ひと声いなないてからは、もう制御不能。
 膣壁に満遍なくへばりついたグミのかたまりみたいな触手が、てんでばらばらにウネウネ震えて膣穴の奥底から全身を揺さぶってきます。
 恥丘を覆うゼリーのような凹凸に、腫れたクリトリスが高速で擦られています。

「あうっ、あんっ、あっ、はうっ、あんっ、あーっ…」

 急激に昂ぶる私。
 柱に縛り付けられているのでしゃがみ込む事も出来ず、前屈み気味になると乳房から二の腕を這う縄が一層素肌に食い込み、不自由なからだがクネクネ身悶えて乳首の鈴がでたらめにリンリン高鳴っています。

「あぁんっ、はぁんっ、ふぅんっ、ひぃっ、ふふぅっ、いいっ、いひぃっ…」

 吸う、吐く、の呼吸すべてが、淫らなヨガり声になってしまっています。
 股の裂け目から快感の粒々がどんどんジワジワ全身へと広がり、脳へとせり上がってきます。

「あんっ、いいっ、ふーんっ、あっ、あっ、あっ、だめっ…」

「いいっ、ああっ、あるじぃ、あるじぃさまぁっ、んーっ、いいっ、いってもぉ、イってもよろしぃっ、んっ…」

 いつものクセで、私を責め立ててくださるかたにお許しを乞う私。

「いっても、んんっ、ああんんっ、もうっ、イッてもよろしぃでしょーかあぁぁぁーッ!!!」

 あるじさまのほうへ顔を向けて必死の懇願をするも、あるじさまはお顔も上げてくださらず、だけどお許しの無いままあっさりイッてしまった私。
 からだ中がガクンガクン震えて体内に火花が駆け巡り頭の中は真っ白に…

 一瞬意識が飛んだ、と思う間も無く容赦無く股間を刺激してくる振動で現実に戻されます。
 より腫れ上がったクリトリスが、より敏感になって…

「あっ、あんっ、もうっ、またっ、いいっ、いいーっ、もうっ、あーーーッ!!!」

 全身を細かく痙攣させてイキ果てた、と思ったらまたすぐに…

「あ、あ、あんっ、いやっ、また、またっ、またっ、またぁーーーーッ!!!」

 イキ癖がついてしまったら、今度こそ完全に制御不能。
 だって電マさまはそ知らぬお顔で、決して許してくださらないから…
 ずっと激しく震えっ放しだから…

「あっ!またっ、あんっ!またイクっ!ごめんなさいっ!またイクゥゥゥゥーッ!!!」

「いやっ!もうっ!もうだめっ!あっ、あっ、あぁぁぁぁーーッ!!!」

 自分でもびっくりするほどの大きな淫声をあげてイキつづけます。
 だらしなく開いた口からはよだれダラダラ。
 足下から聞こえている音がピチャピチャに変わっています。

「いやーっ!許してッ!もうっ!ゆるしてくださいーーッ!だめっ!もうだめっ!ンンンンーーーッ!!!」

「あーっ!いやっ!もうっ!こわれちゃう!なおこのこわれちゃうっ!またっ!だめェーーーーッ!!!」

 絶え間なく襲い来るオーガズムの大波小波に翻弄されるだけの私。
 ギュッと目を瞑り、自分がどこにいるのかも忘れ、思いつくままの懇願を声にします。
 普段ならうっとり酔い痴れちゃう絶頂時の快感が、耐え忍ぶものに変わってきています。

「あうっ、あうっ、あうっ、あうっ、あうーっ、んんんんーーーッ!!!」

 なんで私は、こんなことをされなければいけないのだろう…
 気持ちいいのなんてとっくに通り越して、今の状態はまさしく拷問…

「あっ!いやっ!もうっ!許してッ!だめっ!あんッ、いやーーーーッ!!!」

 だけどこれは私が望んで飛び込んだ窮地。
 自分でからだを柱に縛り付け、何をされても抵抗出来ない状態にしたのは自分。
 そんないやらしいことばかり考えているマゾ牝には、罰が下って当然。

 振動に蹂躙されつづけてどんよりした頭に、そんなとりとめのない悔恨が浮かびます。
 内腿やふくらはぎがビチョビチョに濡れている気がします。
 もう声を出すことにも疲れ果て、快楽の波と同じリズムの唸り声と鼻息を洩らすだけ。

「んーふぅッ!んーふぅッ!んーふぅッ!んーぐぅッ!んふぐぅーーーーッ!!!」

 頭の中が真っ白になり、意識がスーッと遠のいていきました。
 プツンと途切れる寸前に、自分の下半身だけが別の生き物のようにガクガク前後に揺れているのが見えました。

***

 鼻腔をくすぐる甘ったるい刺激臭を感じて目が覚めました。
 えっ?何っ?ここどこ?えっ?…
 目覚めたときのお約束な軽いパニックはすぐ終わり、私の眼前に名塚先生。

 私は背中を柱に預け、お尻を畳の上に置いて両脚を投げ出して、全裸で座っていました。
 バストの縄も股縄も乳首のクリップも股間の拷問具もメイドカチューシャも、全部外されています。
 更にピチピチレオタードも脱がされ、ツインテールも解かれて、私が身に着けているのはいつもの赤い首輪だけ。

「起きたな。さすがに若いマゾ牝は回復が早い」

 名塚先生、いえ、ご口調はまだあるじさまっぽいかな、が私の傍らにしゃがみ込まれ、私の鼻先に小さなグラスを突きつけていらっしゃいました。
 昼間にジョセフィーヌさまと広場にお散歩に行ったときにも嗅いだ果実系の甘い香り、ブランデーの香りです。
 ただ、あるじさまが持たれているグラスの中身は、水で薄めていない原液みたい。

「ほら、これをクイッと飲み干せばいくらかシャキっとするだろう」

 そうおっしゃてグラスの縁を私の唇にあてがってくださるあるじさま。
 グラスが傾き、口内から喉、胃の腑へとトロリとした液体が滑り落ちていきます。
 体内に入った途端にカッと燃えるように全身の細胞がザワついて、五感が戻った感じ。

 ただ、そのあまりに強烈な刺激にケホケホっとむせてしまった私に、すかさず別のお水の入ったグラスを渡してくださる、お優しいあるじさま。
 冷たいお水が喉を滑るに任せてゴクゴクゴク、ふぅーっと一息つくと同時に、からだがポカポカ火照り始めました。

「おまえは本当にいい声出してイクんだねえ。おかげでわたくしも捗って捗って、予定していたよりも随分先まで進んだよ」

 空になった私のグラスに、あるじさまが水差しからおかわりをついでくださいます。
 それもゴクゴク、一息で飲み干す私。

「あれだけ喘いでいたのだから、そりゃあ喉も渇くだろうねえ。小一時間くらいのあいだに二十回以上はイッてたんじゃないか?」

 あるじさまの呆れたようなお言葉が羞恥を呼び、それに伴う肌の火照りで両乳首に血液が集まり、皮膚感覚の敏感さまで舞い戻ってきます。
 私から少し離れられたあるじさまの右手が、スーッと私の右乳房を撫でました。

「ぁふぅーーんッ!」

 自分でもびっくりするくらい大きくていやらしい吐息が自分の口から零れます。

「おまえの縄を解いてやっていたときも、気を失っているようなのに今みたいにいやらしい息吐いて、クネクネ身悶えていたな。張形を抜いたときも、尻の穴までヒクヒク蠢いていた」

 そう言われてみれば目覚める寸前まで、何て言ったらいいのか、凄くマゾ牝好みな、もの凄くえっちに陵辱される夢を見ていたような気もします。

「ほら、もう立てるだろう?ちょっと立ち上がってイリカワに出てごらん」

「えっ?ど、どこにですか?」

「入側だよ。若い子にはわからないか。庭側の廊下のことだ」

 苦笑いされながらあるじさまが教えてくださいます。
 よろよろと立ち上がった私は、まだガラス戸を開け放したままなお庭側の板の間に、そっと足を踏み入れます。

 網戸から室内よりほんの少しだけ冷たい空気が全裸の素肌を撫ぜて、火照っているからだに気持ちいい。
 んーーっと背伸びをしてからふと足下を見ると、板の間に置かれた白いボウル。

「それがおまえの淫乱なおまんこから延々と垂れ流されたドスケベ汁だ。張形を抜くとき、潮も勢い良く溢れ出ていたがな。それに臭いから言って小便も少なからず混ざっているだろうな」

 直径60センチはあろうかというボウルの白い底を満遍なく、少し泡立って透明度も低めな粘性ぽい液体が、水深1~2センチくらい溜まっています。
 これ全部、私のマゾマンコから分泌されちゃったんだ…
 喩えようのない恥ずかしさがゾワゾワっと全身に駆け巡ります。

「おまえは本当にどうしようもないドマゾ牝なんだな。さっきあれだけイキ果てたクセに、こんなものを見てまたサカリ始めてマゾ臭さをプンプンさせている。辱めを受けたくて仕方ないんだろうねえ」

 心底呆れ果てたというお顔で裸の私をジロジロ眺められるあるじさま。
 その蔑まれたご様子に私のマゾセンサーがまた、性懲りもなくウズウズ。

「でもわたくしは明日、人と約束があるから午前中に寺田と出かけなくてはならない。原稿も進んだことだし、今夜は早めに眠ることにする。だからその前にわたくしの寝酒につきあってくれると嬉しい」

 あるじさまが名塚先生にお戻りつつあるみたい。

「片付けはわたくしがやっておくから、あなたは汗を流していらっしゃい。外風呂の場所は知っているわよね?」

 たおやかなご口調、どうやら完全にお戻りになられた名塚先生。

「あ、はい…」

「悪いけれど、その洗面器も一緒に持って行ってお風呂で綺麗に洗ってきてくださると助かるわ」

 そうおっしゃってニッコリ笑われます。
 ご本心なのか辱めなのか、どうにも量りかねてしまいます。

「そこにある履物、どれでも使ってちょうだい。なるべく早く戻ってきてくださると嬉しいわ」

 おっしゃりながら網戸をスルスルっと開けてくださった名塚先生に、あ、はいっ、とお返事し、自分の恥ずかしい液体が溜まったボウルを両手で持ち上げます。
 やだ、思っていたよりちょっと重い…ずいぶん出しちゃったんだ…
 考えた途端に恥ずかしさがぶり返します。

 お部屋の灯りでぼんやり見えるウッドデッキに並んだサンダルのうち、白っぽく目立つ一揃いをつっかけ、ウッドデッキに降り立ちます。
 両手で捧げ持つように自分の淫らな分泌液が溜まったボウルを持ち、タオルも着替えも持たずな素っ裸で。

 お空には満点のお星さまたち。
 闇の中にぼんやり、昼間吊るされた立木が見えます。
 あの辺りまで歩いて行って左側を見れば目隠しの木立、それ沿いに建物のほうへと寄ったところに、あのシースルーバスルームがあるはずです。

 脳内シミュレーションを終え芝生に降り立ったところで、右前方からワンッと一声。
 ほどなくタッタッタと近づく足音はジョセフィーヌさま。

「あんっ!」

 私の足下にまとわりつくように戯れつかれ、ときどき私の剥き出しのお尻をぺろりと舐めてこられます。
 両手で持っているボウルがグラリと傾き、危うく自分の恥ずかしい液体を自分のからだに浴びせそうになります。

「あぁんっ、ごめんね。今は遊んであげられないの…」

 内腿と内腿のあいだを狙ったように舌を伸ばしてこられるジョセフィーヌさまから逃げるように、早足で立木にたどり着くと、左斜め前方、暗闇の中でボーッと光を放つバスルームが視認できました。
 どなたかが電気を点けてくださったのかな…?
 
 これだけの立派なお屋敷ですから、各施設の電気のオンオフくらい邸内からコントロール出来るのだろうな、とさして不思議にも思わず、その灯りを目指して歩を進めました。
 ジョセフィーヌさまも私がバスルームに向かっていると気づかれたのでしょう、急におとなしくなられ、私の右側にぴったり寄り添いエスコートしてくださるようについてこられます。

 無事バスルームに着き、ボウルをいったん地面に置いて、横開きのガラス戸を開きます。
 再びボウルを持ち、私が中へ入ろうとすると、扉の手前一メートルくらいの芝生にちょこんと座られたジョセフィーヌさまが小さくワンッと吠えられ、名残惜しそうに見送ってくださいました。

 このバスルームを使わせていただくのは今日だけでもう三回目ですから、勝手知ったる他人のお家という感じでタオルやソープをお借りし、首輪を外してさっさと浴室へ。
 
 ぬるま湯シャワーを流しっぱにして、まずはボウルの洗浄。
 恥ずかしい液体を排水口に流してから、スポンジでボウルの底面をゴシゴシ。
 高い位置に固定したシャワーの真下で作業していますから、あっという間に私もびしょ濡れ。

 シャンプーとトリートメントをちゃちゃっと済ませて髪の毛を頭上にまとめてから、ゆっくりと熱いシャワーをからだに浴びます。
 ソープを泡立てて全身を撫ぜていると、リラックスと一緒にあらためて今日一日の出来事が思い出されます。

 私今日一日で、どれだけイッちゃったんだろう…
 広場で吊るされ、お庭で吊るされ、あるじさまに虐められて、寺田さま、中村さまから辱められ、ジョセフィーヌさまにももてあそばれて…

 あるじさまは、もう今夜はおやすみになられるとおっしゃっていたけれど、私はお姉さまとのお部屋に戻って一緒に寝られるのかな?
 それにしてもさっきの電マ責めは凄かったな、本当に壊れちゃうかと思った…でも、無慈悲な拷問っていう感じが凄くヨかった…
 あ、そうだ、明日の朝もほぼ裸で、ジョセフィーヌさまとお散歩に行かなければいけないんだった…

 反芻しているうちに性懲りもなくムラムラも芽吹き、思わず両手を所定の位置に滑らせたくなってしまうのですから、困ったものです。
 いけないいけないとシャワーを冷水にして自分を律し、ボウルを携えて脱衣所に戻ります。

 バスタオルで髪の水気を丹念に拭った後、フェイスタオルを頭に巻いてから全身を拭います。
 シャワーしながらその部分を揉むようにマッサージもしていたのですが、両方の二の腕外側にまだくっきりと縄目の痕が残っています。
 そんなにきつく縛っちゃっていたんだ…とその痛々しい凸凹を指でそっと撫ぜたり。

 首輪を嵌め終えて少し迷いましたがバスタオルは巻かずに籠に戻して、そのまま戻ることにします。
 白いボウルに液体はもう入っていないので縁を右手で持ち、全裸のまま芝生に出ました。
 ジョセフィーヌさまのお姿が見えないのは、おそらく待っているのもご退屈になられ、ご自分の寝床へと戻られたのでしょう。

 夜も更けてお星さまたちがたくさん一層キラキラ瞬き、虫さんたちの音も増えた気がします。
 木立のところまで戻ったところでボウルを芝生に置き、両手をお空に大きく広げてンーーッて深呼吸。
 暑くもなく寒くもなく、すべて剥き出しの素肌に当たるそよ風が心地いい。

 何も着ていない状態に慣れ過ぎちゃったかな…
 この旅行のおかげで私、裸族になっちゃいそう…
 あ、でも東京でもこの季節は、お家でもオフィスでもほとんど裸で過ごしてたっけか…

 そんなしょーもないことを思いながら、ウッドデッキまでたどり着くと、網戸越しのガラス戸の向こう側がなんだかお賑やかそうな状態になっていました。

 網戸を滑らせガラス戸をそっと開けると…

「あっ、帰ってきた」
「やだっあの子、お風呂からそのまま真っ裸で戻ってきたんだー」
「本当、根っからの見せたがり露出狂マゾ女なんだねー」
「これは明日の遠征も大いに期待できそうじゃん…」

 一斉にかまびすしい嬌声を浴びせかけられます。
 名塚先生は座卓を方向転換されここからはお背中しか見えませんが、右回りに寺田さま、五十嵐さま、お姉さま、中村さまが車座になって畳の上のお座布団にお座りになられ、その中央の空間には何本かのお酒類らしきボトルとおつまみらしき大皿。
 どうやらひと足お先にご宴会を始められていたみたいです。

 恐る恐る板の間に上がり、今更ですがおっぱいと股間をぎこちなく隠しつつ、開けっ放しの障子戸をくぐってお座敷へ。
 みなさまご就寝の準備なのでしょう、オシャレなスェットやジャージをお召しの中、またもやひとりだけ全裸なCFNF状態。
 五十嵐さまが小さなデジカメを私に向けられ、盛んにシャッターをお切りになられています。

「お風呂お疲れー。ほら、オナ子はここにお座りなさい」

 中村さまがからかうみたいにおっしゃって立ち上がられ、お姉さまの右横にお座布団で席を作ってくださいます。
 五十嵐さまとお姉さまに挟まれ、一メートルくらいの空間越しに名塚先生とほぼ差し向かいの位置です。

「お屋敷中に響き渡っていた直子のヨガり声がぷっつり止んだから、そろそろ救出の頃合いかなと思って先生を訪ねたのよ。あたしもイガちゃんもまだちゃんと先生にご挨拶していなかったしぃ」

 お姉さまがご説明くださいますが、少しだけ呂律が怪しいご様子。
 あらためてみなさまのお顔を見遣ると、どなたもほんのり桜色。

「それで来てみたら直子はお風呂に行ってて、先生がこの後少しナイトキャップにもつきあってもらうおつもりっておっしゃったから、それなら我々もご相伴、ってなったの」
「直子が戻ってくるの遅いから、今までの直子の恥ずかしいあれやこれやをサカナにしてたら、ずいぶん盛り上がちゃった」

 とても愉しそうなお姉さまのお顔にホッと安堵すると同時に、なぜだかマゾ的なドキドキも高鳴ってしまう私でした。


2022年4月24日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 17

 あるじさまの机上を片付け、自分の食器類も飲み物だけを残してお廊下のワゴンへと下げました。
 それから自分の座卓へ戻り、ペタンと正座座り。
 この姿で正座すると、薄いレオタ越しに麻縄四本分な幅の股縄がクイッと、裂けめと内腿に食い込んできます。
 ちょっとキツくし過ぎたかな…

「あるじさま、終わりました」

 一応お声がけしておこうと、あるじさまのお背中へ問いかけます。

「そう。なら箪笥から、今度は10メートルの縄を二束取り出して一本に結びなさい」
「結び終えたら、抽斗の仕切りの右側の包みの中からからひとつ取り出して箪笥を閉めなさい」
「取り出すときに選んでは駄目だよ。視線を移してパッと最初に目についたものを取り出すこと」

 相変わらず両手をパタパタとキーボード上に滑らせつつ、振り向きもせずにご命令くださるあるじさま。

「は、はい…かしこまりました…」

 あるじさまに縛られてしまうのかな…でも、こういう純和風なお部屋で縛られるのって、ずっと以前からの憧れだったな…
 マゾ性をビンビン反応させつつ、再び膝立ちで箪笥に向かいます。

 10メートルの札が付いた麻袋をふたつみつけて縄を取り出し、縄の両端をしっかり結びつけました。
 今している股縄と同じく、どちらの縄もかなり年季が入ってクタクタでツヤツヤ、そしてしなやかです。
 そうしてから、箪笥抽斗の右側に目を移し、最初に目についたもの…

 白状すると、ここで私はズルをしてしまいました。
 右側に収められているのは、20~30センチ四方くらいのカラフルな不織布ポーチたち。
 その中で一番目立っていたのは500mlのペットボトルくらいに大きく膨らんだオレンジ色のポーチでした。
 そして先ほど、この抽斗についてあるじさまがご説明くださったお言葉も、しっかり覚えていました。

 …その段には、おまえみたいなマゾ女が大好きな麻縄と張形類がしまってある…

 おそらくあるじさまは、私を蹂躙するお道具を自分で選ばせて、追い込みながら嘲笑われるおつもりなのでしょう。
 そのくらいの太さのものでシーナさまに虐められた経験もあるにはあるのですが、お姉さまのいらっしゃらないところであまり淫らに乱れたくないという気持ちもありました。
 それに私は、男性器を模した形の張型類、ディルドやバイブには嫌悪感のほうが勝ってしまいます。

 そんな思いが一瞬のうちに脳内を駆け巡り、その大きく膨らんだポーチのふたつ横、制汗スプレーくらいの穏やかな膨らみを見せる緑色のポーチを咄嗟に手に取り、ガタンと抽斗を閉めました。

 結んだ麻縄と緑色の不織布ポーチを携えて再び膝立ち歩きで座卓に戻ります。
 正座してあるじさまへご報告。

「ご指示通り、いたしました…」

「そう。なら、そっちの襖とこっちの障子戸を開けると角が大きな柱になるから」

 キーボードから離れられたあるじさまの右手が、ご自身のご正面斜め右、正面お庭側の障子戸と右側の別の間とを区切っている襖が交わる一角を指さされます。
 確かにそこには、太くて四角い立派な木の柱が天井から床へと通っています。

「その柱に縄を結びつけて、自分が柱に磔になるように自縛しなさい。両手は後ろ手に固定して、身動き出来ないようにね」
「あと、お前が選んだオモチャは、ここに置いておきなさい」

 ご自身の文机の右端、さっきまで食器類が置いてあった空きスペースを指でトントンと叩かれたあるじさま。

「はい、承知いたしました」

 正座から、今度は完全に立ち上がり、ご指示通りに緑色の不織布ポーチを文机に置いた後、しずしずとお部屋の右隅へと移動。

 まず、正面側の障子戸を左側にスルスルッと滑らせます。
 少しの板の間の向こうに、漆黒に染まった大きなガラス窓。
 
 ピチピチレオタードに股縄だけ締めた私の恥ずかし過ぎる姿が、そのガラス窓にまるで鏡みたいに、クッキリと映り込んでいます。
 ツインテ頭の真っ白なメイドカチューシャと首に巻かれたペット用の赤い首輪が、この女はこの場で、明らかに蔑まれている最下層の存在だと雄弁に物語っています。

 つづけて右側のお部屋とのあいだを区切る襖を一枚、右側に滑らせます。
 右側のお部屋も畳敷きのようですが、電気が点いていないので薄暗く、中がどんな感じになっているのかはわかりません。

 そして、障子戸と襖が離れた一角が、30センチ四方くらいの太くて立派な濃茶の木柱と化しました。
 私を縛り付けて晒し者にするための磔柱…

 柱を用いての自縛は何度も経験済みでした。
 最初は高校生の頃、やよい先生、あ、いえ、今はやよいママさまのパートナーであるミイコさま自演のビデオで、そのノウハウを教わりました。

 その頃の自分の部屋には適した柱が無かったので、出窓の把手にロープを結んですぐさま実体験し、凄まじい快感を得ることが出来ました。
 独り暮らしになってからはシーナさまがレイアウトしてくださったお仕置き部屋で、お洗濯物用のポールやバレエレッスン用のバーに磔となり、ひとりで幾度も快楽を貪っていました。

 ただ、古いSM写真でよく見るような、こんなに雰囲気のあるレトロな和室で自縛したことはなかったので、もうそれだけでゾクゾク、ムラムラ…
 目の前のツヤツヤ黒光りする冷たい木柱の表面にそっと触れただけで、ヌルんと感じてしまっています。

 柱の位置は文机に向かわれたあるじさまの右斜め前方3~4メートルくらい。
 パソコン画面を見つめられているあるじさまがフッとお顔をお上げになれば、たやすく視界に入る位置。
 そう考えてあるじさまのほうを見ると、あるじさまがお顔を上げられ、私と視線がぶつかりました。

 その視線に促されるように、二つ折りにした麻縄を柱に巻き付け始めます。
 高さは私の胸の位置、ちょうど乳首の位置くらいがベスト。
 緩んで下がってしまわないように、キツキツの巻き結びでしっかり固定します。

 それから縄をピンと張りながら、自分の体に三回巻き付くくらいの長さを測りつつ、柱から離れます。
 あるじさまはキーを叩く両手を止められ、じっと私の行動を見つめていらっしゃいます。

 位置が決まったら余った縄は右手首に巻きつけ、両手を後ろ手に組みます。
 背中から二の腕へ左回りにからだを回転させて、縄を胸に巻きつけていきます。

 最初のひと巻きはおっぱいの上部分、膨らみ始めの辺りを狙って二の腕ごと、肌に縄が食い込むくらい張り詰めさせたままからだを回します。
 ふた巻目は乳房の丸みの下部分を狙って、下乳の裏に潜り込ませて持ち上げるみたいな感じ。
 こうすることで、おっぱいが縄で上下から絞られるような縛り方になります。

 最後のひと巻はおっぱいの上。
 両乳首の下あたりを狙って脂肪に食い込ませるように這わせます。
 乳首周辺の皮膚が突っ張り、尖った乳首がより一層背伸びさせられ、恥ずかしいほどにそそり立つんです。

 こうして私は、あるじさまの斜め前方に横向きの形で、木柱に縛り付けられた格好になりました。
 極薄レオタード生地に食い込む三層の二重になった縄模様、柱に背中を預けて身動きできない私…

「はうぅん…」

 思わず被虐の溜め息が洩れてしまいます。

「ふうん、ずいぶん手慣れているじゃないか?」

 あるじさまの感心されたような、同じくらい呆れられているようなお声が聞こえました。

「一緒に来たあの女社長に仕込まれたのかい?」

 ゆらりと立ち上がられつつ、あるじさまのあざ笑うようなお声。
 ご口調が完全に昼間のときと同じ嗜虐色に染まっています。
 どうやらご自分の物語の中に入られて、お話の中のサディストなミストレスに同化されてしまったみたい。
 
 立ち上がられると同時にお手元のリモコンか何かを弄られたのでしょう、室内の照明が一段階、明るくなりました。

「あ、いえ、き、緊縛はほとんど独学で覚えました…わ、私…オナ子は子供の頃からそういうのが好きなので…あ、もちろんお姉さまも縛りはお上手ですが…」

 私もオナ子になって名塚先生のシナリオに身を委ねてみることに決めました。
 そしてこの際、自分の性癖を包み隠さず打ち明けてしまおう、ひょっとしたらそれが何かご執筆の手助けになるかもしれないし、なんて生意気なことも考えていました。

「ふん、とんだ深窓のご令嬢がいたものだ。おまえは本当に生まれついてのマゾ牝なんだな」

 私のすぐ側まで来られたあるじさまは、左手首に緑色のポーチの絞り紐を引っ掛けられ、両手を腰に当てられて、まじまじと私の姿をご覧になられています。

「おっぱいをそんなに潰しちゃって。それ、わざとだね。いやらしい乳首が悦び勇んでおっ勃っているのを見せびらかせたいのだろう?」

 あるじさまの両手が私の胸元に近づいてきます。
 と思う間もなく、レオタードの胸のV字生地があっさりと縄下をくぐり、下乳まで押し開かれます。
 かろうじで薄い布地に覆われていた両乳房とその先端が、明るくなった室内灯の下に露わとなりました。

「ほら、見てごらん?」

 あるじさまが薄暗いままのお庭側の板の間を指さされます。
 そこには実際より少し大きくなった私の影が映っていました。
 お部屋の照明に照らされて暗い板の間に落ちる影。

 お部屋の照明に向かって横向きですから、落ちる影も横向きになります。
 横顔、首と下っていくと次は胸…
 そこには、いささか垂れ気味でいびつに歪んだお椀型の突端に、ちょっと恥ずかしくなるくらい飛び出ている親指大な突起物の影が落ちていました。

 喩えて言うなら、ホテルやレストランで従業員さまを呼び出すための、金属製銀色なお椀型で突起をチンと押す、呼び出しベル。
 縄でひしゃげているためお椀型はいびつですが、手で押す突起部分にずいぶん存在感があって、縄で根本を潰されている分、余計に痛々しく精一杯背伸びしているようで…
 それが実物の150%くらい大げさに、ほら、おまえはそういう女だ、と見せつけるみたいに板の間の平面に黒く描かれていました。

「ぁあっ…いやぁんっ…」

 今すぐ縄を解いて逃げ出したいくらいの恥ずかしさと、同じくらいの気持ち良さに、またもや吐息を洩らしてしまう私。

「でもまあ、オナ子が手のかからない生粋のマゾ牝で良かったとも思っているよ。縄の縛り方やら口のきき方やら、いちいち調教しなくちゃならない手間がはぶけるから」

 ニンマリと笑われたあるじさまが緑色のポーチを開かれます。

「なるほど。オナ子がピンときたのはこれか。確か去年の同じ頃、元気のいいコスプレ娘たちが置いていった、何やらややこしいことを言っていたやつね。わたくしはまだ使ったことなけれど…」

 あるじさまが素に戻られたのか、取り出されたそれと一緒に入っていたのであろう小さな紙片を黙読し始められます。
 あるじさまがお手に取られたそれは、私の目にはどう見てもマッサージ機、いわゆる電マの形状。
 
 それも、ほんの一ヶ月ちょっと前、リンコさまの計略で年端もいかない男の子たちに言いなりオモチャにされたとき当てがわれ、結局先っぽを膣内にまで挿入されてしまった、絶妙な大きさの電マです。

「ふふん、単三電池3本で約70分稼働…マゾ虐め専用なのでコントロールはリモート…アタッチメント……」

 あるじさまがご確認されるように小さなお声をお出しになられ、もう一度紙片のメモをおさらいされているのが微かに聞こえます。
 私は、その電マが自分のマゾマンコに当てられる妄想を先走りしてしまい、ゾクゾク濡れてきています。

 使い方をご理解されたらしいあるじさまがもう一歩私に近づかれ、私の鼻先にその電マを突きつけてこられます。
 私の顔を覗き込まれる、そのまなざしは淫らに歪んでいらっしゃるのですが、お眼鏡越しの瞳の怜悧さに背筋がゾクリッ、マゾマンコがヌルリッ。

「わたくしはねえ、哀れなマゾ女の淫らな喘ぎ声が大好物なんだ。いやらしくヨガってあられなく達する声をBGMにしていると不思議に仕事が捗るのさ。だからオナ子もイイ気持ちになっていいから、下品な声を存分に聞かせなさい」

 低いお声で囁かれると同時に、あるじさまの左手のひらがいきなり私の股間にあてがわれました。

「はぁんっ!」

「ふん、ビショビショじゃないか?縄までグズグズに湿らせて、内腿をスケベ汁がダラダラ垂れちゃってるよ?」

 あるじさまは、私の無毛な恥丘の上を四本通る麻縄を二本づつに抉じ開けられ、その隙間から指を一本、私の秘裂に挿し込んでこられました。
 もちろん、そこを覆っていたレオタードのか細い布地などたやすくずらされ、潤みきった膣穴に直接指、たぶん中指が挿入されてきます。

「ああんっ!あっ、あーっ!」

「まだ指を一本挿れただけで動かしてもいないのに、そんなに身悶てしまうんだ?身動き出来なくされて、縄の感触にどんどん発情しているのだろう?本当にどうしようもなくいやらしいドマゾ牝だよ」

 少し屈まれ気味だったあるじさまが、左手はそのままにスクっとご姿勢を直され、私を正面から見つめてこられます。
 私が媚びるようにあるじさまのお顔を見つめ返すと、お眼鏡越しの瞳が微笑まれるようにスーッと細くなられ、同時に右手が一閃!

パンッパンッ!!

「あうっ!はぁーんっ!!!」

 強烈な往復ビンタが私の両頬に炸裂。
 頭の中で火花が散って真っ白になると同時に、マゾマンコの膣壁がギューッとあるじさまの指を締め付けたのが自分でわかりました。

「あらあら、おまえのスケベ汁でわたくしの手が手首までビシャビシャ。こんな調子じゃ、ちゃんと拷問始めたら畳と板の間がグショグショになってしまいそうだね」

 私の股間からあるじさまの左手がスッと外れました。
 明らかに粘性の液体でツヤツヤ濡れ光りしているその左手が、私の鼻先に無造作に突きつけられます。
 ヒリヒリ火照る両頬と軽く達してしまった快感の余韻で思考停止状態の私は、条件反射でその左手を口中に含み、自分の愛液をベロベロしゃぶり始めます。

「やれやれ、よだれまでポタポタ垂らして。後が面倒だから何かしら手を打っておいたほうがよさそうだ」

 私の口中からスッと手を引かれたあるじさまは、そのままスタスタと、さっきの桐箪笥のほうへと向かわれ、そこにしゃがみ込まれます。
 口中の人肌が消え、やっと思考が戻ってきた私は、あるじさまがおっしゃられた、ちゃんと拷問、というお言葉に今更ながらゾクッと身震いし、まだヒリヒリしている両頬と侵入者の去ってしまった膣壁が、もっと、もっと、とあるじさまのお背中に無言の訴えを投げかけています。

 一番下の抽斗から何やら大きな器のようなものを取り出されたあるじさまは、次にその上の抽斗を開かれ、しばらくガサゴソ物色されています。
 やがて、取り出された細々したものを、その大きな器に投げ込まれ、それを捧げ持たれるようにして戻ってこられました。

「わたくしにこんな余計な手間を取らせたんだ、それなりの代償は払ってもらうよ」

 あるじさまが持ってこられた器は、幼い頃、よく病院で見た記憶がある、おそらく消毒液が入っていたのであろう真っ白いホーローのボウルのようでした。
 円周の縁だけが赤く塗られたそのボウルは、よく見たものより深め大きめで直径が60センチくらいありそう。

 そのボウルが私の両足のあいだ、股下に置かれ、必然的に私の両足も60センチ以上に開かれます。
 ボウルの中に転がっているのは、短い鎖に大きめの鈴が付いた目玉クリップふたつと、何やら卑猥な形をしたシリコン製らしき突起物。
 あるじさまの両手でそれらが拾われ、ボウル底の真っ白い円が露わになります。

「これはオナ子を罰するために選んだのだけれど、こんなものでは少しの罰にもならないんだろうねえ。マゾ牝にとってはむしろご褒美か」

 イジワルくおっしゃり私の勃起右乳首を無造作につままれたあるじさま。
 幅広な銀色の目玉クリップに乳暈もろともしっかり挟まれました。

「はうっ!」

 バネが強いのでしょう、かなり強烈な噛まれ心地…
 身悶えると同時にチリンと鳴る涼やかな鈴の音…
 つづいて左乳首にも同様の苦痛が与えられ、鈴の音がチリンチリン…

「うん、いい声だ。オナ子が悦んでくれて、わたくしも嬉しいよ」

 鈴をぶら下げたおっぱいをペチンペチンとはたかれて、そのたびに鈴が、チリンチリン、私が、はうんっはうんっ…
 足下のボウルから、ポタッ、ポタッと私のはしたない液体がマゾマンコから滴ってボウルの底面を打っているのであろう水滴音が、恥ずかしいくらい大きく響いています。

「あとは、これでおまえの愛液まみれのいやらしい穴を塞げば準備完了だ。たっぷり淫ら声を上げるがいい」

 マッサージ機の頭のところに、さきほどのシリコンぽい器具を被せられるあるじさま。
 電マの先っぽが突起状に長い出っ張りとなり、その側面にも狭いカバー状のシリコン部分が飛び出ている、奇妙な形状となりました。

 あるじさまの手によって再び私の股縄が抉じ開けられ、私のマゾマンコに電マが当てられます。
 いいえ、当てられるなんて生やさしいものではなく、突起部分はズブリと膣穴を奥深く貫き、側面のカバーは私の裂け目の割れ始め、すなわちクリトリス部分にピッタリ貼り付くように密着しています。
 そんな拷問具が股縄によって、私のマゾマンコに食い込むようにピッタリ固定されてしまいました。

「これでオナ子をイカすも焦らすも、わたくしの手の中にあるこのコントローラーの操作ひとつとなったわけだ。精一杯わたくしを愉しませて、わたくしに貢献することだな」

 私の目の前で仁王立ちされたあるじさまの右手が微かに動きました。
 途端に弱くプルプル震えだす股間の拷問具。

「はうんっ…」
 
 極緩い振動ではありますが、膣内を満たす柔らかい突起物が、無数の軟体動物が中で蠢いているように膣壁全体をくすぐってきます。
 クリトリスに貼り付いているカバーも、裏側に無数の柔らかい突起が施されているようで、膨らんだ肉芽の表面を絶妙なタッチでサワサワ刺激してくださっています。

「あんっ…あっ、あっ…んっ、あーんっ…」

 自ら施した縄による不自由の身を、早くも小さく捩らせ始める私。
 チリンチリン、ポタンポタンと恥ずかしいリズムが不規則に響き始めます。

「少し暗くして、もっと淫靡な雰囲気にしてあげようかね」

 あるじさまがお独り言のようにおっしゃり、別のリモコンで室内灯の明度を下げられ、一緒に低く流れていた音楽も鳴り止みました。
 お部屋の中は常夜灯と呼ばれる薄茶色より、少しだけ明るい感じ。
 あるじさまのノートパソコンのモニターの光だけがボーッと目立つくらいの薄闇です。

 それからあるじさまは、お庭側の障子戸をすべて開け放たられ、お庭とを隔てるガラス戸も一枚、ガラガラと開けられました。
 エアコンで暑くも寒くもない適温に保たれていた空間に、少しだけ冷たい空気が流れ込んできて、同時にリーンリーン、リーリーとお庭のあちこちから聞こえてくる虫の声。
 開いたガラス戸のもう一枚向こう、虫さんたちの侵入を防ぐ網戸に大きな蛾が二匹、お腹をこちらに向けてとまっているのが見えました。

 あるじさまがご自分の文机にお戻りになり、モニターの明かりにお顔だけがボーッと浮かび上がっています。
 あるじさまの一連の動きに気を取られているあいだに、私の股間の拷問具はいつの間にか動きを止めていました。