2022年5月8日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 18

 薄闇の中にボーッと浮かび上がるパソコンモニターの青白い光の向こうで、あるじさまがうつむきがちにキーボードを打たれています。
 私が縛り付けられた柱からはノートパソコンの天板の陰となるので、そのご表情までわかりませんが、キーボードを叩かれる音のリズミカルさで物語が着々と紡がれているのであろうことはわかります。

 電マの頭に取り付けられた軟体動物のような触手にマゾマンコをつらぬかれたまま、完全放置状態な私。
 左側からキーボードを叩かれるパタパタという微かな音。
 右側からはリーリーリーと軽やかに晩夏を告げる虫さんたちの声。
 そして本当に時折、思い出したように足下のボウルを打つ、ポタッという恥ずかしい水音…
 拷問具がいつ動き出すのか、ゾクゾク、ソワソワ、ムラムラ怯えている私。

 じっとしていると両乳首を苛むクリップの疼痛が、皮膚の内側で増大してきます。
 膣穴を圧迫するだけな異物感ももどかしい…

 ああんっ、あるじさま、早くスイッチを入れてくださらないかな…
 入れられた途端に恥ずかしい嬌声をあげてしまいそう…
 あっ、でも、ガラス戸まで開けっ放しだから、私の恥ずかしい淫ら声がお庭にまで響いちゃう…

 そんなことを考えつつ、あるじさまのほうを物欲しげに窺いながら5分くらい過ぎた後…
 股間にあてがわれた異物が突然、唸り始めました。

 ンヴゥーーーーーーーーーーーーーーーーーッ…

 低い唸り声と一緒に下腹部が振動に包まれます。
 それも、いきなり、立っていられないほどに激しく。

「はぁぅーっんっ!!」

 ひと声いなないてからは、もう制御不能。
 膣壁に満遍なくへばりついたグミのかたまりみたいな触手が、てんでばらばらにウネウネ震えて膣穴の奥底から全身を揺さぶってきます。
 恥丘を覆うゼリーのような凹凸に、腫れたクリトリスが高速で擦られています。

「あうっ、あんっ、あっ、はうっ、あんっ、あーっ…」

 急激に昂ぶる私。
 柱に縛り付けられているのでしゃがみ込む事も出来ず、前屈み気味になると乳房から二の腕を這う縄が一層素肌に食い込み、不自由なからだがクネクネ身悶えて乳首の鈴がでたらめにリンリン高鳴っています。

「あぁんっ、はぁんっ、ふぅんっ、ひぃっ、ふふぅっ、いいっ、いひぃっ…」

 吸う、吐く、の呼吸すべてが、淫らなヨガり声になってしまっています。
 股の裂け目から快感の粒々がどんどんジワジワ全身へと広がり、脳へとせり上がってきます。

「あんっ、いいっ、ふーんっ、あっ、あっ、あっ、だめっ…」

「いいっ、ああっ、あるじぃ、あるじぃさまぁっ、んーっ、いいっ、いってもぉ、イってもよろしぃっ、んっ…」

 いつものクセで、私を責め立ててくださるかたにお許しを乞う私。

「いっても、んんっ、ああんんっ、もうっ、イッてもよろしぃでしょーかあぁぁぁーッ!!!」

 あるじさまのほうへ顔を向けて必死の懇願をするも、あるじさまはお顔も上げてくださらず、だけどお許しの無いままあっさりイッてしまった私。
 からだ中がガクンガクン震えて体内に火花が駆け巡り頭の中は真っ白に…

 一瞬意識が飛んだ、と思う間も無く容赦無く股間を刺激してくる振動で現実に戻されます。
 より腫れ上がったクリトリスが、より敏感になって…

「あっ、あんっ、もうっ、またっ、いいっ、いいーっ、もうっ、あーーーッ!!!」

 全身を細かく痙攣させてイキ果てた、と思ったらまたすぐに…

「あ、あ、あんっ、いやっ、また、またっ、またっ、またぁーーーーッ!!!」

 イキ癖がついてしまったら、今度こそ完全に制御不能。
 だって電マさまはそ知らぬお顔で、決して許してくださらないから…
 ずっと激しく震えっ放しだから…

「あっ!またっ、あんっ!またイクっ!ごめんなさいっ!またイクゥゥゥゥーッ!!!」

「いやっ!もうっ!もうだめっ!あっ、あっ、あぁぁぁぁーーッ!!!」

 自分でもびっくりするほどの大きな淫声をあげてイキつづけます。
 だらしなく開いた口からはよだれダラダラ。
 足下から聞こえている音がピチャピチャに変わっています。

「いやーっ!許してッ!もうっ!ゆるしてくださいーーッ!だめっ!もうだめっ!ンンンンーーーッ!!!」

「あーっ!いやっ!もうっ!こわれちゃう!なおこのこわれちゃうっ!またっ!だめェーーーーッ!!!」

 絶え間なく襲い来るオーガズムの大波小波に翻弄されるだけの私。
 ギュッと目を瞑り、自分がどこにいるのかも忘れ、思いつくままの懇願を声にします。
 普段ならうっとり酔い痴れちゃう絶頂時の快感が、耐え忍ぶものに変わってきています。

「あうっ、あうっ、あうっ、あうっ、あうーっ、んんんんーーーッ!!!」

 なんで私は、こんなことをされなければいけないのだろう…
 気持ちいいのなんてとっくに通り越して、今の状態はまさしく拷問…

「あっ!いやっ!もうっ!許してッ!だめっ!あんッ、いやーーーーッ!!!」

 だけどこれは私が望んで飛び込んだ窮地。
 自分でからだを柱に縛り付け、何をされても抵抗出来ない状態にしたのは自分。
 そんないやらしいことばかり考えているマゾ牝には、罰が下って当然。

 振動に蹂躙されつづけてどんよりした頭に、そんなとりとめのない悔恨が浮かびます。
 内腿やふくらはぎがビチョビチョに濡れている気がします。
 もう声を出すことにも疲れ果て、快楽の波と同じリズムの唸り声と鼻息を洩らすだけ。

「んーふぅッ!んーふぅッ!んーふぅッ!んーぐぅッ!んふぐぅーーーーッ!!!」

 頭の中が真っ白になり、意識がスーッと遠のいていきました。
 プツンと途切れる寸前に、自分の下半身だけが別の生き物のようにガクガク前後に揺れているのが見えました。

***

 鼻腔をくすぐる甘ったるい刺激臭を感じて目が覚めました。
 えっ?何っ?ここどこ?えっ?…
 目覚めたときのお約束な軽いパニックはすぐ終わり、私の眼前に名塚先生。

 私は背中を柱に預け、お尻を畳の上に置いて両脚を投げ出して、全裸で座っていました。
 バストの縄も股縄も乳首のクリップも股間の拷問具もメイドカチューシャも、全部外されています。
 更にピチピチレオタードも脱がされ、ツインテールも解かれて、私が身に着けているのはいつもの赤い首輪だけ。

「起きたな。さすがに若いマゾ牝は回復が早い」

 名塚先生、いえ、ご口調はまだあるじさまっぽいかな、が私の傍らにしゃがみ込まれ、私の鼻先に小さなグラスを突きつけていらっしゃいました。
 昼間にジョセフィーヌさまと広場にお散歩に行ったときにも嗅いだ果実系の甘い香り、ブランデーの香りです。
 ただ、あるじさまが持たれているグラスの中身は、水で薄めていない原液みたい。

「ほら、これをクイッと飲み干せばいくらかシャキっとするだろう」

 そうおっしゃてグラスの縁を私の唇にあてがってくださるあるじさま。
 グラスが傾き、口内から喉、胃の腑へとトロリとした液体が滑り落ちていきます。
 体内に入った途端にカッと燃えるように全身の細胞がザワついて、五感が戻った感じ。

 ただ、そのあまりに強烈な刺激にケホケホっとむせてしまった私に、すかさず別のお水の入ったグラスを渡してくださる、お優しいあるじさま。
 冷たいお水が喉を滑るに任せてゴクゴクゴク、ふぅーっと一息つくと同時に、からだがポカポカ火照り始めました。

「おまえは本当にいい声出してイクんだねえ。おかげでわたくしも捗って捗って、予定していたよりも随分先まで進んだよ」

 空になった私のグラスに、あるじさまが水差しからおかわりをついでくださいます。
 それもゴクゴク、一息で飲み干す私。

「あれだけ喘いでいたのだから、そりゃあ喉も渇くだろうねえ。小一時間くらいのあいだに二十回以上はイッてたんじゃないか?」

 あるじさまの呆れたようなお言葉が羞恥を呼び、それに伴う肌の火照りで両乳首に血液が集まり、皮膚感覚の敏感さまで舞い戻ってきます。
 私から少し離れられたあるじさまの右手が、スーッと私の右乳房を撫でました。

「ぁふぅーーんッ!」

 自分でもびっくりするくらい大きくていやらしい吐息が自分の口から零れます。

「おまえの縄を解いてやっていたときも、気を失っているようなのに今みたいにいやらしい息吐いて、クネクネ身悶えていたな。張形を抜いたときも、尻の穴までヒクヒク蠢いていた」

 そう言われてみれば目覚める寸前まで、何て言ったらいいのか、凄くマゾ牝好みな、もの凄くえっちに陵辱される夢を見ていたような気もします。

「ほら、もう立てるだろう?ちょっと立ち上がってイリカワに出てごらん」

「えっ?ど、どこにですか?」

「入側だよ。若い子にはわからないか。庭側の廊下のことだ」

 苦笑いされながらあるじさまが教えてくださいます。
 よろよろと立ち上がった私は、まだガラス戸を開け放したままなお庭側の板の間に、そっと足を踏み入れます。

 網戸から室内よりほんの少しだけ冷たい空気が全裸の素肌を撫ぜて、火照っているからだに気持ちいい。
 んーーっと背伸びをしてからふと足下を見ると、板の間に置かれた白いボウル。

「それがおまえの淫乱なおまんこから延々と垂れ流されたドスケベ汁だ。張形を抜くとき、潮も勢い良く溢れ出ていたがな。それに臭いから言って小便も少なからず混ざっているだろうな」

 直径60センチはあろうかというボウルの白い底を満遍なく、少し泡立って透明度も低めな粘性ぽい液体が、水深1~2センチくらい溜まっています。
 これ全部、私のマゾマンコから分泌されちゃったんだ…
 喩えようのない恥ずかしさがゾワゾワっと全身に駆け巡ります。

「おまえは本当にどうしようもないドマゾ牝なんだな。さっきあれだけイキ果てたクセに、こんなものを見てまたサカリ始めてマゾ臭さをプンプンさせている。辱めを受けたくて仕方ないんだろうねえ」

 心底呆れ果てたというお顔で裸の私をジロジロ眺められるあるじさま。
 その蔑まれたご様子に私のマゾセンサーがまた、性懲りもなくウズウズ。

「でもわたくしは明日、人と約束があるから午前中に寺田と出かけなくてはならない。原稿も進んだことだし、今夜は早めに眠ることにする。だからその前にわたくしの寝酒につきあってくれると嬉しい」

 あるじさまが名塚先生にお戻りつつあるみたい。

「片付けはわたくしがやっておくから、あなたは汗を流していらっしゃい。外風呂の場所は知っているわよね?」

 たおやかなご口調、どうやら完全にお戻りになられた名塚先生。

「あ、はい…」

「悪いけれど、その洗面器も一緒に持って行ってお風呂で綺麗に洗ってきてくださると助かるわ」

 そうおっしゃってニッコリ笑われます。
 ご本心なのか辱めなのか、どうにも量りかねてしまいます。

「そこにある履物、どれでも使ってちょうだい。なるべく早く戻ってきてくださると嬉しいわ」

 おっしゃりながら網戸をスルスルっと開けてくださった名塚先生に、あ、はいっ、とお返事し、自分の恥ずかしい液体が溜まったボウルを両手で持ち上げます。
 やだ、思っていたよりちょっと重い…ずいぶん出しちゃったんだ…
 考えた途端に恥ずかしさがぶり返します。

 お部屋の灯りでぼんやり見えるウッドデッキに並んだサンダルのうち、白っぽく目立つ一揃いをつっかけ、ウッドデッキに降り立ちます。
 両手で捧げ持つように自分の淫らな分泌液が溜まったボウルを持ち、タオルも着替えも持たずな素っ裸で。

 お空には満点のお星さまたち。
 闇の中にぼんやり、昼間吊るされた立木が見えます。
 あの辺りまで歩いて行って左側を見れば目隠しの木立、それ沿いに建物のほうへと寄ったところに、あのシースルーバスルームがあるはずです。

 脳内シミュレーションを終え芝生に降り立ったところで、右前方からワンッと一声。
 ほどなくタッタッタと近づく足音はジョセフィーヌさま。

「あんっ!」

 私の足下にまとわりつくように戯れつかれ、ときどき私の剥き出しのお尻をぺろりと舐めてこられます。
 両手で持っているボウルがグラリと傾き、危うく自分の恥ずかしい液体を自分のからだに浴びせそうになります。

「あぁんっ、ごめんね。今は遊んであげられないの…」

 内腿と内腿のあいだを狙ったように舌を伸ばしてこられるジョセフィーヌさまから逃げるように、早足で立木にたどり着くと、左斜め前方、暗闇の中でボーッと光を放つバスルームが視認できました。
 どなたかが電気を点けてくださったのかな…?
 
 これだけの立派なお屋敷ですから、各施設の電気のオンオフくらい邸内からコントロール出来るのだろうな、とさして不思議にも思わず、その灯りを目指して歩を進めました。
 ジョセフィーヌさまも私がバスルームに向かっていると気づかれたのでしょう、急におとなしくなられ、私の右側にぴったり寄り添いエスコートしてくださるようについてこられます。

 無事バスルームに着き、ボウルをいったん地面に置いて、横開きのガラス戸を開きます。
 再びボウルを持ち、私が中へ入ろうとすると、扉の手前一メートルくらいの芝生にちょこんと座られたジョセフィーヌさまが小さくワンッと吠えられ、名残惜しそうに見送ってくださいました。

 このバスルームを使わせていただくのは今日だけでもう三回目ですから、勝手知ったる他人のお家という感じでタオルやソープをお借りし、首輪を外してさっさと浴室へ。
 
 ぬるま湯シャワーを流しっぱにして、まずはボウルの洗浄。
 恥ずかしい液体を排水口に流してから、スポンジでボウルの底面をゴシゴシ。
 高い位置に固定したシャワーの真下で作業していますから、あっという間に私もびしょ濡れ。

 シャンプーとトリートメントをちゃちゃっと済ませて髪の毛を頭上にまとめてから、ゆっくりと熱いシャワーをからだに浴びます。
 ソープを泡立てて全身を撫ぜていると、リラックスと一緒にあらためて今日一日の出来事が思い出されます。

 私今日一日で、どれだけイッちゃったんだろう…
 広場で吊るされ、お庭で吊るされ、あるじさまに虐められて、寺田さま、中村さまから辱められ、ジョセフィーヌさまにももてあそばれて…

 あるじさまは、もう今夜はおやすみになられるとおっしゃっていたけれど、私はお姉さまとのお部屋に戻って一緒に寝られるのかな?
 それにしてもさっきの電マ責めは凄かったな、本当に壊れちゃうかと思った…でも、無慈悲な拷問っていう感じが凄くヨかった…
 あ、そうだ、明日の朝もほぼ裸で、ジョセフィーヌさまとお散歩に行かなければいけないんだった…

 反芻しているうちに性懲りもなくムラムラも芽吹き、思わず両手を所定の位置に滑らせたくなってしまうのですから、困ったものです。
 いけないいけないとシャワーを冷水にして自分を律し、ボウルを携えて脱衣所に戻ります。

 バスタオルで髪の水気を丹念に拭った後、フェイスタオルを頭に巻いてから全身を拭います。
 シャワーしながらその部分を揉むようにマッサージもしていたのですが、両方の二の腕外側にまだくっきりと縄目の痕が残っています。
 そんなにきつく縛っちゃっていたんだ…とその痛々しい凸凹を指でそっと撫ぜたり。

 首輪を嵌め終えて少し迷いましたがバスタオルは巻かずに籠に戻して、そのまま戻ることにします。
 白いボウルに液体はもう入っていないので縁を右手で持ち、全裸のまま芝生に出ました。
 ジョセフィーヌさまのお姿が見えないのは、おそらく待っているのもご退屈になられ、ご自分の寝床へと戻られたのでしょう。

 夜も更けてお星さまたちがたくさん一層キラキラ瞬き、虫さんたちの音も増えた気がします。
 木立のところまで戻ったところでボウルを芝生に置き、両手をお空に大きく広げてンーーッて深呼吸。
 暑くもなく寒くもなく、すべて剥き出しの素肌に当たるそよ風が心地いい。

 何も着ていない状態に慣れ過ぎちゃったかな…
 この旅行のおかげで私、裸族になっちゃいそう…
 あ、でも東京でもこの季節は、お家でもオフィスでもほとんど裸で過ごしてたっけか…

 そんなしょーもないことを思いながら、ウッドデッキまでたどり着くと、網戸越しのガラス戸の向こう側がなんだかお賑やかそうな状態になっていました。

 網戸を滑らせガラス戸をそっと開けると…

「あっ、帰ってきた」
「やだっあの子、お風呂からそのまま真っ裸で戻ってきたんだー」
「本当、根っからの見せたがり露出狂マゾ女なんだねー」
「これは明日の遠征も大いに期待できそうじゃん…」

 一斉にかまびすしい嬌声を浴びせかけられます。
 名塚先生は座卓を方向転換されここからはお背中しか見えませんが、右回りに寺田さま、五十嵐さま、お姉さま、中村さまが車座になって畳の上のお座布団にお座りになられ、その中央の空間には何本かのお酒類らしきボトルとおつまみらしき大皿。
 どうやらひと足お先にご宴会を始められていたみたいです。

 恐る恐る板の間に上がり、今更ですがおっぱいと股間をぎこちなく隠しつつ、開けっ放しの障子戸をくぐってお座敷へ。
 みなさまご就寝の準備なのでしょう、オシャレなスェットやジャージをお召しの中、またもやひとりだけ全裸なCFNF状態。
 五十嵐さまが小さなデジカメを私に向けられ、盛んにシャッターをお切りになられています。

「お風呂お疲れー。ほら、オナ子はここにお座りなさい」

 中村さまがからかうみたいにおっしゃって立ち上がられ、お姉さまの右横にお座布団で席を作ってくださいます。
 五十嵐さまとお姉さまに挟まれ、一メートルくらいの空間越しに名塚先生とほぼ差し向かいの位置です。

「お屋敷中に響き渡っていた直子のヨガり声がぷっつり止んだから、そろそろ救出の頃合いかなと思って先生を訪ねたのよ。あたしもイガちゃんもまだちゃんと先生にご挨拶していなかったしぃ」

 お姉さまがご説明くださいますが、少しだけ呂律が怪しいご様子。
 あらためてみなさまのお顔を見遣ると、どなたもほんのり桜色。

「それで来てみたら直子はお風呂に行ってて、先生がこの後少しナイトキャップにもつきあってもらうおつもりっておっしゃったから、それなら我々もご相伴、ってなったの」
「直子が戻ってくるの遅いから、今までの直子の恥ずかしいあれやこれやをサカナにしてたら、ずいぶん盛り上がちゃった」

 とても愉しそうなお姉さまのお顔にホッと安堵すると同時に、なぜだかマゾ的なドキドキも高鳴ってしまう私でした。


2022年4月24日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 17

 あるじさまの机上を片付け、自分の食器類も飲み物だけを残してお廊下のワゴンへと下げました。
 それから自分の座卓へ戻り、ペタンと正座座り。
 この姿で正座すると、薄いレオタ越しに麻縄四本分な幅の股縄がクイッと、裂けめと内腿に食い込んできます。
 ちょっとキツくし過ぎたかな…

「あるじさま、終わりました」

 一応お声がけしておこうと、あるじさまのお背中へ問いかけます。

「そう。なら箪笥から、今度は10メートルの縄を二束取り出して一本に結びなさい」
「結び終えたら、抽斗の仕切りの右側の包みの中からからひとつ取り出して箪笥を閉めなさい」
「取り出すときに選んでは駄目だよ。視線を移してパッと最初に目についたものを取り出すこと」

 相変わらず両手をパタパタとキーボード上に滑らせつつ、振り向きもせずにご命令くださるあるじさま。

「は、はい…かしこまりました…」

 あるじさまに縛られてしまうのかな…でも、こういう純和風なお部屋で縛られるのって、ずっと以前からの憧れだったな…
 マゾ性をビンビン反応させつつ、再び膝立ちで箪笥に向かいます。

 10メートルの札が付いた麻袋をふたつみつけて縄を取り出し、縄の両端をしっかり結びつけました。
 今している股縄と同じく、どちらの縄もかなり年季が入ってクタクタでツヤツヤ、そしてしなやかです。
 そうしてから、箪笥抽斗の右側に目を移し、最初に目についたもの…

 白状すると、ここで私はズルをしてしまいました。
 右側に収められているのは、20~30センチ四方くらいのカラフルな不織布ポーチたち。
 その中で一番目立っていたのは500mlのペットボトルくらいに大きく膨らんだオレンジ色のポーチでした。
 そして先ほど、この抽斗についてあるじさまがご説明くださったお言葉も、しっかり覚えていました。

 …その段には、おまえみたいなマゾ女が大好きな麻縄と張形類がしまってある…

 おそらくあるじさまは、私を蹂躙するお道具を自分で選ばせて、追い込みながら嘲笑われるおつもりなのでしょう。
 そのくらいの太さのものでシーナさまに虐められた経験もあるにはあるのですが、お姉さまのいらっしゃらないところであまり淫らに乱れたくないという気持ちもありました。
 それに私は、男性器を模した形の張型類、ディルドやバイブには嫌悪感のほうが勝ってしまいます。

 そんな思いが一瞬のうちに脳内を駆け巡り、その大きく膨らんだポーチのふたつ横、制汗スプレーくらいの穏やかな膨らみを見せる緑色のポーチを咄嗟に手に取り、ガタンと抽斗を閉めました。

 結んだ麻縄と緑色の不織布ポーチを携えて再び膝立ち歩きで座卓に戻ります。
 正座してあるじさまへご報告。

「ご指示通り、いたしました…」

「そう。なら、そっちの襖とこっちの障子戸を開けると角が大きな柱になるから」

 キーボードから離れられたあるじさまの右手が、ご自身のご正面斜め右、正面お庭側の障子戸と右側の別の間とを区切っている襖が交わる一角を指さされます。
 確かにそこには、太くて四角い立派な木の柱が天井から床へと通っています。

「その柱に縄を結びつけて、自分が柱に磔になるように自縛しなさい。両手は後ろ手に固定して、身動き出来ないようにね」
「あと、お前が選んだオモチャは、ここに置いておきなさい」

 ご自身の文机の右端、さっきまで食器類が置いてあった空きスペースを指でトントンと叩かれたあるじさま。

「はい、承知いたしました」

 正座から、今度は完全に立ち上がり、ご指示通りに緑色の不織布ポーチを文机に置いた後、しずしずとお部屋の右隅へと移動。

 まず、正面側の障子戸を左側にスルスルッと滑らせます。
 少しの板の間の向こうに、漆黒に染まった大きなガラス窓。
 
 ピチピチレオタードに股縄だけ締めた私の恥ずかし過ぎる姿が、そのガラス窓にまるで鏡みたいに、クッキリと映り込んでいます。
 ツインテ頭の真っ白なメイドカチューシャと首に巻かれたペット用の赤い首輪が、この女はこの場で、明らかに蔑まれている最下層の存在だと雄弁に物語っています。

 つづけて右側のお部屋とのあいだを区切る襖を一枚、右側に滑らせます。
 右側のお部屋も畳敷きのようですが、電気が点いていないので薄暗く、中がどんな感じになっているのかはわかりません。

 そして、障子戸と襖が離れた一角が、30センチ四方くらいの太くて立派な濃茶の木柱と化しました。
 私を縛り付けて晒し者にするための磔柱…

 柱を用いての自縛は何度も経験済みでした。
 最初は高校生の頃、やよい先生、あ、いえ、今はやよいママさまのパートナーであるミイコさま自演のビデオで、そのノウハウを教わりました。

 その頃の自分の部屋には適した柱が無かったので、出窓の把手にロープを結んですぐさま実体験し、凄まじい快感を得ることが出来ました。
 独り暮らしになってからはシーナさまがレイアウトしてくださったお仕置き部屋で、お洗濯物用のポールやバレエレッスン用のバーに磔となり、ひとりで幾度も快楽を貪っていました。

 ただ、古いSM写真でよく見るような、こんなに雰囲気のあるレトロな和室で自縛したことはなかったので、もうそれだけでゾクゾク、ムラムラ…
 目の前のツヤツヤ黒光りする冷たい木柱の表面にそっと触れただけで、ヌルんと感じてしまっています。

 柱の位置は文机に向かわれたあるじさまの右斜め前方3~4メートルくらい。
 パソコン画面を見つめられているあるじさまがフッとお顔をお上げになれば、たやすく視界に入る位置。
 そう考えてあるじさまのほうを見ると、あるじさまがお顔を上げられ、私と視線がぶつかりました。

 その視線に促されるように、二つ折りにした麻縄を柱に巻き付け始めます。
 高さは私の胸の位置、ちょうど乳首の位置くらいがベスト。
 緩んで下がってしまわないように、キツキツの巻き結びでしっかり固定します。

 それから縄をピンと張りながら、自分の体に三回巻き付くくらいの長さを測りつつ、柱から離れます。
 あるじさまはキーを叩く両手を止められ、じっと私の行動を見つめていらっしゃいます。

 位置が決まったら余った縄は右手首に巻きつけ、両手を後ろ手に組みます。
 背中から二の腕へ左回りにからだを回転させて、縄を胸に巻きつけていきます。

 最初のひと巻きはおっぱいの上部分、膨らみ始めの辺りを狙って二の腕ごと、肌に縄が食い込むくらい張り詰めさせたままからだを回します。
 ふた巻目は乳房の丸みの下部分を狙って、下乳の裏に潜り込ませて持ち上げるみたいな感じ。
 こうすることで、おっぱいが縄で上下から絞られるような縛り方になります。

 最後のひと巻はおっぱいの上。
 両乳首の下あたりを狙って脂肪に食い込ませるように這わせます。
 乳首周辺の皮膚が突っ張り、尖った乳首がより一層背伸びさせられ、恥ずかしいほどにそそり立つんです。

 こうして私は、あるじさまの斜め前方に横向きの形で、木柱に縛り付けられた格好になりました。
 極薄レオタード生地に食い込む三層の二重になった縄模様、柱に背中を預けて身動きできない私…

「はうぅん…」

 思わず被虐の溜め息が洩れてしまいます。

「ふうん、ずいぶん手慣れているじゃないか?」

 あるじさまの感心されたような、同じくらい呆れられているようなお声が聞こえました。

「一緒に来たあの女社長に仕込まれたのかい?」

 ゆらりと立ち上がられつつ、あるじさまのあざ笑うようなお声。
 ご口調が完全に昼間のときと同じ嗜虐色に染まっています。
 どうやらご自分の物語の中に入られて、お話の中のサディストなミストレスに同化されてしまったみたい。
 
 立ち上がられると同時にお手元のリモコンか何かを弄られたのでしょう、室内の照明が一段階、明るくなりました。

「あ、いえ、き、緊縛はほとんど独学で覚えました…わ、私…オナ子は子供の頃からそういうのが好きなので…あ、もちろんお姉さまも縛りはお上手ですが…」

 私もオナ子になって名塚先生のシナリオに身を委ねてみることに決めました。
 そしてこの際、自分の性癖を包み隠さず打ち明けてしまおう、ひょっとしたらそれが何かご執筆の手助けになるかもしれないし、なんて生意気なことも考えていました。

「ふん、とんだ深窓のご令嬢がいたものだ。おまえは本当に生まれついてのマゾ牝なんだな」

 私のすぐ側まで来られたあるじさまは、左手首に緑色のポーチの絞り紐を引っ掛けられ、両手を腰に当てられて、まじまじと私の姿をご覧になられています。

「おっぱいをそんなに潰しちゃって。それ、わざとだね。いやらしい乳首が悦び勇んでおっ勃っているのを見せびらかせたいのだろう?」

 あるじさまの両手が私の胸元に近づいてきます。
 と思う間もなく、レオタードの胸のV字生地があっさりと縄下をくぐり、下乳まで押し開かれます。
 かろうじで薄い布地に覆われていた両乳房とその先端が、明るくなった室内灯の下に露わとなりました。

「ほら、見てごらん?」

 あるじさまが薄暗いままのお庭側の板の間を指さされます。
 そこには実際より少し大きくなった私の影が映っていました。
 お部屋の照明に照らされて暗い板の間に落ちる影。

 お部屋の照明に向かって横向きですから、落ちる影も横向きになります。
 横顔、首と下っていくと次は胸…
 そこには、いささか垂れ気味でいびつに歪んだお椀型の突端に、ちょっと恥ずかしくなるくらい飛び出ている親指大な突起物の影が落ちていました。

 喩えて言うなら、ホテルやレストランで従業員さまを呼び出すための、金属製銀色なお椀型で突起をチンと押す、呼び出しベル。
 縄でひしゃげているためお椀型はいびつですが、手で押す突起部分にずいぶん存在感があって、縄で根本を潰されている分、余計に痛々しく精一杯背伸びしているようで…
 それが実物の150%くらい大げさに、ほら、おまえはそういう女だ、と見せつけるみたいに板の間の平面に黒く描かれていました。

「ぁあっ…いやぁんっ…」

 今すぐ縄を解いて逃げ出したいくらいの恥ずかしさと、同じくらいの気持ち良さに、またもや吐息を洩らしてしまう私。

「でもまあ、オナ子が手のかからない生粋のマゾ牝で良かったとも思っているよ。縄の縛り方やら口のきき方やら、いちいち調教しなくちゃならない手間がはぶけるから」

 ニンマリと笑われたあるじさまが緑色のポーチを開かれます。

「なるほど。オナ子がピンときたのはこれか。確か去年の同じ頃、元気のいいコスプレ娘たちが置いていった、何やらややこしいことを言っていたやつね。わたくしはまだ使ったことなけれど…」

 あるじさまが素に戻られたのか、取り出されたそれと一緒に入っていたのであろう小さな紙片を黙読し始められます。
 あるじさまがお手に取られたそれは、私の目にはどう見てもマッサージ機、いわゆる電マの形状。
 
 それも、ほんの一ヶ月ちょっと前、リンコさまの計略で年端もいかない男の子たちに言いなりオモチャにされたとき当てがわれ、結局先っぽを膣内にまで挿入されてしまった、絶妙な大きさの電マです。

「ふふん、単三電池3本で約70分稼働…マゾ虐め専用なのでコントロールはリモート…アタッチメント……」

 あるじさまがご確認されるように小さなお声をお出しになられ、もう一度紙片のメモをおさらいされているのが微かに聞こえます。
 私は、その電マが自分のマゾマンコに当てられる妄想を先走りしてしまい、ゾクゾク濡れてきています。

 使い方をご理解されたらしいあるじさまがもう一歩私に近づかれ、私の鼻先にその電マを突きつけてこられます。
 私の顔を覗き込まれる、そのまなざしは淫らに歪んでいらっしゃるのですが、お眼鏡越しの瞳の怜悧さに背筋がゾクリッ、マゾマンコがヌルリッ。

「わたくしはねえ、哀れなマゾ女の淫らな喘ぎ声が大好物なんだ。いやらしくヨガってあられなく達する声をBGMにしていると不思議に仕事が捗るのさ。だからオナ子もイイ気持ちになっていいから、下品な声を存分に聞かせなさい」

 低いお声で囁かれると同時に、あるじさまの左手のひらがいきなり私の股間にあてがわれました。

「はぁんっ!」

「ふん、ビショビショじゃないか?縄までグズグズに湿らせて、内腿をスケベ汁がダラダラ垂れちゃってるよ?」

 あるじさまは、私の無毛な恥丘の上を四本通る麻縄を二本づつに抉じ開けられ、その隙間から指を一本、私の秘裂に挿し込んでこられました。
 もちろん、そこを覆っていたレオタードのか細い布地などたやすくずらされ、潤みきった膣穴に直接指、たぶん中指が挿入されてきます。

「ああんっ!あっ、あーっ!」

「まだ指を一本挿れただけで動かしてもいないのに、そんなに身悶てしまうんだ?身動き出来なくされて、縄の感触にどんどん発情しているのだろう?本当にどうしようもなくいやらしいドマゾ牝だよ」

 少し屈まれ気味だったあるじさまが、左手はそのままにスクっとご姿勢を直され、私を正面から見つめてこられます。
 私が媚びるようにあるじさまのお顔を見つめ返すと、お眼鏡越しの瞳が微笑まれるようにスーッと細くなられ、同時に右手が一閃!

パンッパンッ!!

「あうっ!はぁーんっ!!!」

 強烈な往復ビンタが私の両頬に炸裂。
 頭の中で火花が散って真っ白になると同時に、マゾマンコの膣壁がギューッとあるじさまの指を締め付けたのが自分でわかりました。

「あらあら、おまえのスケベ汁でわたくしの手が手首までビシャビシャ。こんな調子じゃ、ちゃんと拷問始めたら畳と板の間がグショグショになってしまいそうだね」

 私の股間からあるじさまの左手がスッと外れました。
 明らかに粘性の液体でツヤツヤ濡れ光りしているその左手が、私の鼻先に無造作に突きつけられます。
 ヒリヒリ火照る両頬と軽く達してしまった快感の余韻で思考停止状態の私は、条件反射でその左手を口中に含み、自分の愛液をベロベロしゃぶり始めます。

「やれやれ、よだれまでポタポタ垂らして。後が面倒だから何かしら手を打っておいたほうがよさそうだ」

 私の口中からスッと手を引かれたあるじさまは、そのままスタスタと、さっきの桐箪笥のほうへと向かわれ、そこにしゃがみ込まれます。
 口中の人肌が消え、やっと思考が戻ってきた私は、あるじさまがおっしゃられた、ちゃんと拷問、というお言葉に今更ながらゾクッと身震いし、まだヒリヒリしている両頬と侵入者の去ってしまった膣壁が、もっと、もっと、とあるじさまのお背中に無言の訴えを投げかけています。

 一番下の抽斗から何やら大きな器のようなものを取り出されたあるじさまは、次にその上の抽斗を開かれ、しばらくガサゴソ物色されています。
 やがて、取り出された細々したものを、その大きな器に投げ込まれ、それを捧げ持たれるようにして戻ってこられました。

「わたくしにこんな余計な手間を取らせたんだ、それなりの代償は払ってもらうよ」

 あるじさまが持ってこられた器は、幼い頃、よく病院で見た記憶がある、おそらく消毒液が入っていたのであろう真っ白いホーローのボウルのようでした。
 円周の縁だけが赤く塗られたそのボウルは、よく見たものより深め大きめで直径が60センチくらいありそう。

 そのボウルが私の両足のあいだ、股下に置かれ、必然的に私の両足も60センチ以上に開かれます。
 ボウルの中に転がっているのは、短い鎖に大きめの鈴が付いた目玉クリップふたつと、何やら卑猥な形をしたシリコン製らしき突起物。
 あるじさまの両手でそれらが拾われ、ボウル底の真っ白い円が露わになります。

「これはオナ子を罰するために選んだのだけれど、こんなものでは少しの罰にもならないんだろうねえ。マゾ牝にとってはむしろご褒美か」

 イジワルくおっしゃり私の勃起右乳首を無造作につままれたあるじさま。
 幅広な銀色の目玉クリップに乳暈もろともしっかり挟まれました。

「はうっ!」

 バネが強いのでしょう、かなり強烈な噛まれ心地…
 身悶えると同時にチリンと鳴る涼やかな鈴の音…
 つづいて左乳首にも同様の苦痛が与えられ、鈴の音がチリンチリン…

「うん、いい声だ。オナ子が悦んでくれて、わたくしも嬉しいよ」

 鈴をぶら下げたおっぱいをペチンペチンとはたかれて、そのたびに鈴が、チリンチリン、私が、はうんっはうんっ…
 足下のボウルから、ポタッ、ポタッと私のはしたない液体がマゾマンコから滴ってボウルの底面を打っているのであろう水滴音が、恥ずかしいくらい大きく響いています。

「あとは、これでおまえの愛液まみれのいやらしい穴を塞げば準備完了だ。たっぷり淫ら声を上げるがいい」

 マッサージ機の頭のところに、さきほどのシリコンぽい器具を被せられるあるじさま。
 電マの先っぽが突起状に長い出っ張りとなり、その側面にも狭いカバー状のシリコン部分が飛び出ている、奇妙な形状となりました。

 あるじさまの手によって再び私の股縄が抉じ開けられ、私のマゾマンコに電マが当てられます。
 いいえ、当てられるなんて生やさしいものではなく、突起部分はズブリと膣穴を奥深く貫き、側面のカバーは私の裂け目の割れ始め、すなわちクリトリス部分にピッタリ貼り付くように密着しています。
 そんな拷問具が股縄によって、私のマゾマンコに食い込むようにピッタリ固定されてしまいました。

「これでオナ子をイカすも焦らすも、わたくしの手の中にあるこのコントローラーの操作ひとつとなったわけだ。精一杯わたくしを愉しませて、わたくしに貢献することだな」

 私の目の前で仁王立ちされたあるじさまの右手が微かに動きました。
 途端に弱くプルプル震えだす股間の拷問具。

「はうんっ…」
 
 極緩い振動ではありますが、膣内を満たす柔らかい突起物が、無数の軟体動物が中で蠢いているように膣壁全体をくすぐってきます。
 クリトリスに貼り付いているカバーも、裏側に無数の柔らかい突起が施されているようで、膨らんだ肉芽の表面を絶妙なタッチでサワサワ刺激してくださっています。

「あんっ…あっ、あっ…んっ、あーんっ…」

 自ら施した縄による不自由の身を、早くも小さく捩らせ始める私。
 チリンチリン、ポタンポタンと恥ずかしいリズムが不規則に響き始めます。

「少し暗くして、もっと淫靡な雰囲気にしてあげようかね」

 あるじさまがお独り言のようにおっしゃり、別のリモコンで室内灯の明度を下げられ、一緒に低く流れていた音楽も鳴り止みました。
 お部屋の中は常夜灯と呼ばれる薄茶色より、少しだけ明るい感じ。
 あるじさまのノートパソコンのモニターの光だけがボーッと目立つくらいの薄闇です。

 それからあるじさまは、お庭側の障子戸をすべて開け放たられ、お庭とを隔てるガラス戸も一枚、ガラガラと開けられました。
 エアコンで暑くも寒くもない適温に保たれていた空間に、少しだけ冷たい空気が流れ込んできて、同時にリーンリーン、リーリーとお庭のあちこちから聞こえてくる虫の声。
 開いたガラス戸のもう一枚向こう、虫さんたちの侵入を防ぐ網戸に大きな蛾が二匹、お腹をこちらに向けてとまっているのが見えました。

 あるじさまがご自分の文机にお戻りになり、モニターの明かりにお顔だけがボーッと浮かび上がっています。
 あるじさまの一連の動きに気を取られているあいだに、私の股間の拷問具はいつの間にか動きを止めていました。


2022年3月27日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 16

 「あ、でもごめんなさいね。わたくし、食事中の顔を誰かに見られるのって苦手なの。だから、取り分けてこちらの机に持ってきてくださると嬉しいのだけれど」

 名塚先生が本当に申し訳なさそうにおっしゃいます。

「あ、はい。そういうことでしたら、もちろん喜んで」
 
 居住まいに品があり、かつフレンドリーな名塚先生のご様子にすっかり崇拝者と化した私は、寺田さまを前にされたジョセフィーヌさま並にシッポが振れています。

「わたくしはとりあえず、レバーペーストのとトーストしたハムチーズ、あとレーズン入のスコーンにベリージャムでいいわ。あとはあなたがお好きにお上がりなさい」

「かしこまりました。ご用意させていただきます」

 レバーペーストらしきものが挟んであるのは小ぶりのフランスパンでレタスがはみ出しているやつみたい。
 薄いイギリスパンをトーストしたハムチーズ、それにスコーンをそれぞれ三つづつ取皿に移し、ガラスのジャム入れにブルーベリージャムとバターをたっぷり入れてバターナイフを添えます。
 ティカップに注いだ冷たいミルクティと小さなビニール袋に入った使い捨てお手拭きを銀盆に乗せて、机上に空きスペースを作ってくださった名塚先生の文机へ。

「ありがとう」

 文机の脇で膝立ちであれこれやっている私の姿をご興味深げにジーッと眺めていらっしゃった名塚先生が、ニッコリ微笑まれます。
 すべてを机上にお乗せしてから、膝立ち歩きで座卓前に戻る私。

「あら、裸エプロンではないのね?それも寺田の指示かしら?」

 座卓の前に正座姿で落ち着いた私に、名塚先生からお声がかかります。
 昼間のときとは似ても似つかない、ごく普通のご中年女声の柔らかな声音です。

「あ、はい…」

 寺田さまたちがディスカッションされていた名塚先生のご嗜好に忖度された思惑をバラしてしまっていいものかわからないので、肯定するだけに留めました。

「そう…まあ、それはさておいて、いただきましょう。美味しそうなものばかり目の前に並べられて、わたくしもお腹が空いていたことを急に思い出しちゃった」

 一瞬、やれやれ、みたいなお顔になられ、すぐに照れ隠しのようにお道化たようなお顔を私に向けられ、お手拭きで両手を拭われる名塚先生。

「いただきます」
「いただきます」

 名塚先生の涼やかなお声に少し遅れて私の声も重なり、まずはティカップを唇に運びます。
 目の前の大皿には、取り分けたのにまだ三分の二くらいは埋まっているサンドイッチ類の群れ。
 タマゴサンド、ハムチーズキュウリ、BLT、何かフライが挟まったのなどなど。
 とても全部は食べ切れなさそう、と思いつつハムチーズキュウリをひとつ口に運ぶと…

   美味しい!
 パンはフワフワしっとりで、芥子バターがピリッと効いて、具材もどれもが新鮮で…
 ひとつ食べ終えると同時にふたつめに手が伸びていました。
 みっつめにBLTサンドを食べ終えて、そっと名塚先生のほうを盗み見ました。
 
 名塚先生は文机の正面、ラップトップパソコンのモニターを凝視されたまま、左手にサンドイッチを持たれ、右手は軽やかにキーボード上を跳ね回っておられます。
 ときどき何か思案されるように少し上をお向きになられ、そのときは右手の動きもピタリと止まります。
 どうやらお食事中もご執筆の手は止められないご様子。

 文机の左脇、すなわちサンドイッチのお皿が乗っていないほうには、何かの資料なのでしょう、積み重ねられた数冊の書籍。
 お顔は前に向けたまま時折右手がお皿に伸び、手探りでサンドイッチをつまみ取って左手に持ち替えられ、再びキーを叩き始める右手。
 ふたりとも沈黙したまま、しばし無言のお食事タイムがつづきます。
 
 そろそろ空腹も落ち着いてきたかな、と思いつつ、まだ手をつけていなかったスコーンにジャムを塗るべく私がバターナイフに手を伸ばしたとき…

「そう言えば森下さん?昼間はごめんなさいね?」

 名塚先生から唐突にお声がかかりました。
 それもなぜだか謝罪のニュアンス。

「えっ、あの、な、何がでしょうか?…」

 バターナイフまで届きかけていた手をあわてて引っ込め、スコーンもお皿に戻して名塚先生のほうへと向き直ります。
 名塚先生はいつの頃からか半身をこちらに向けられ、私のほうをずっとご覧になられていたみたい。

「わたくしって、お話のプロットを練り始めるとそれだけに夢中になっちゃって、登場人物に同化しちゃうところがあるから」
「書き始めたらもう、その世界に入り込んじゃうの」

 ティーカップを優雅に傾けつつ、私を淡い笑顔でじっと見据えてご説明くださる名塚先生。

「昼間のときも、誘拐してきた深窓のご令嬢を辱めるのが趣味な有閑マダムになりきっていたの。だからあなたを手加減無しに引っぱたいたりしちゃって」
「痛かったでしょう?本当にごめんなさいね」

 本当に申し訳無さそうに私を見遣る名塚先生。
 昼間とは完全に別人に思える、その品のある物腰に私のほうが恐縮してしまいます。

「あ、いえ、大丈夫です…あの、先生もお気づきだとは思いますけれど、私は、あの、そういう性癖、あ、いえ趣味を持つ、マ…じゃなくて、お、女…はしたない女ですから…」

 いただきます、と宣言してからつづいた沈黙に対する何て言うか、重苦しさ?からの開放感もあったのでしょう、有名な作家さまでいらっしゃる名塚先生にいろいろお聞きしたい、という好奇心が渦巻いていました。
 でも、名塚先生の優雅なオーラにあてられて、先生の前で、はしたない言葉は使いたくない、みたいな気持ちにもなっていました。

「私のほうこそ、先生があのご高名な小説家でいらっしゃるということを知らなくて、ずいぶんご無礼なことを言ったりしたりしてしまったと思います。本当にごめんなさい」

 名塚先生は曖昧な笑顔を私に向けたまま、先を促すように私を見つめています。

「私が大好きな、高校生の頃にすごく感銘を受けた小説を書かれたかただと知らなくて…」

 やよい先生と前後して出会った、私が大好きだった年上の素敵な女性が貸してくださった、今思えば生涯初めての本格的なレズビアン官能小説でした。

「あら、わたくしの作品、読んでいてくださったの?それは何だったのかしら?タイトル覚えていらっしゃる?」

 名塚先生が嬉しそうな笑顔で尋ねてくださいます。

「あ、はい、忘れるはずありません。鬼百合と姫小百合、っていうタイトルの文庫本で、全寮制の女子学園が舞台のお話でした」

 少し驚いたようなお顔になられる名塚先生。

「あらあら、それはまたずいぶん昔の作品ねえ。百合薔薇学園サーガは、わたくしの初めての少女向け文庫本描き下ろしシリーズだったの。もうン十年前ね」
「それまでSF寄りなお話ばかり書いていたのだけれど、ファンタジーに逃げないシスもの、今で言う百合ね、同性愛的な少女小説の学園ものを書いてみようと思って書いたの」

「最初の二、三冊までは普通の少女小説だったのよ。でもちょうどその頃、とある女性と初めて肌を合わせてね、それがとても刺激的だった…」
「そうしたらどういうわけかSF寄りからSM寄りになっていってしまったのよ」

 嬉しそうに、懐かしそうにお顔をほころばせて教えてくださる名塚先生。
 そのままのお顔で、こんなことをおっしゃいました。

「それにしてもあのタイトル、意外と人気あったのね。発表当時は確か賛否両論で、売上もあまり芳しくなかった記憶があるのよね…」
「それで、先週遊びに来られた人も同じようなことをおっしゃっていたのよ。あなたより一回りくらい年上の女性だったけれど」

 私の顔をまっすぐに見つめられる名塚先生、そしてつづけられます。

「その人もあなたと同じくらいマゾっ気撒き散らしていたの。ずいぶん前に一度結婚したこともあるらしいのだけれど結局すぐ離婚、その後は男性の前ではエスっ気全開でセックスなんて以ての外、でも同性相手だと虐めて欲しくて仕方ないんだって。それで、数日お相手してもらったの」

「そのM女さんは器用でね、ピアノが物凄くお上手なの。ここにいるあいだもお仲間にせがまれて、オールヌードの両乳首からクリップで重たそうなチェーンを垂らした奴隷姿で、ホールのピアノで見事な演奏を聞かせてくださったのよ。ラベルやドビュッシー、ストラヴィンスキーやラフマニノフまで」
「彼女のおかけでわたくし、今月入稿の小説誌の短編、一気に書き上げられちゃったもの」

 そこまでおっしゃって私にニコっと微笑みかけられた名塚先生は、お皿に残っていた最後のサンドイッチを右手でひょいっとつままれ、パクっとお口にしたかと思うとフイっとパソコンの画面に向き直られました。
 名塚先生の右手がしばらく口元に留まっていたと思うとすぐ、両手が凄い勢いでキーボードを叩き始めました。

「…そうなんですね…そのかたにはどんな……」

 会話をつづけたくて名塚先生のお背中に語りかけますが、先生には聞こえていないみたい…
 それきり再び沈黙の時間が訪れ、私は仕方なく何も付けないスコーンをモソモソと咀嚼します。

 スコーンを食べ終え、もうお腹いっぱいかなとトレイを見ると、まだサンドイッチが四、五片残っていました。
 これ、どうすればいいのかな?と思いつつ、振り向いてくださらない名塚先生のお背中に視線を遣ると、座椅子に座られたお尻の数十センチ後ろに見開きにされた肌色ばかりで少しピンク色が散りばめられた大きめなご本、写真集?
 
 そちらに焦点を合わせたら何やら横文字と、見開きの片側はベッドに磔姿で縛られた綺麗な西洋女性の写真、もう片側は紛れもなく、その女性のものであろう無毛の女性器をクスコで拡げられた無修正どアップの写真でした。
 おそらく外国のそういう写真集なのでしょう、それを見たとき、ああ、この先生は本当に、そういうお話を書くことをお仕事にされているのだな、とあらためて思いました。

 それから5分間くらいでしょうか、手持ち無沙汰の沈黙がつづきました。
 
 聞こえるのは名塚先生がキーボードを叩かれるカタカタという音と、相変わらず薄っすらと漂うように流れている女声の旋律。
 耳を澄まさなければ聞き取れないくらいの微かなお声が、雨の日と月曜日は気分が沈むの、って物憂げに歌っています。
 実家にいた頃、母に教えてもらって大好きになったその曲を聞き取ることに、自然と意識が集中していました。
 
「オナ子は、ジバクは出来るわよね?」

 不意に名塚先生からお声がかかりました。
 慌てて先生のほうを見遣ると、先生は相変わらずお背中を向けたまま、お顔もモニターに向かわれたまま。 

「オナ子?そこに居るのでしょ?返事は?」

 名塚先生の声音がお食事中のときとはまったく違っていました。
 ここに着いてすぐに、ここでいたぶられたときと同じ高圧的なご口調。

「あ、はい、先生。ナオ子、あ、いえ、オナ子はここにいますっ!」

 私も無駄に声が上ずってしまいます。

「何が先生だい?わたくしはおまえの何だったっけ?」

「あ、はい、ごめんなさいっ、あ、あるじさまっ!」

 名塚先生ったらどうやらまた、ご創作中の登場人物とご同化されてしまったみたい。
 本当に私を参考にしてご執筆くださっているんだ…
 なんだか嬉しくなってきました。

 今この瞬間から、私のお相手をしてくださるのは、官能小説家・名塚毬藻先生ではなくて、有閑マダムでサディストで容赦の無い本気ビンタをくださるあるじさま。
 そして私は慰み者にされるために誘拐されてきた、憐れな令嬢マゾ娘。
 すでに昼間の壮絶なご調教で完全服従状態、何もかも言いなり人形と化しているのです。

「ふん、で、質問に答えなさい」

「あ、はいっ。ジ、ジバクですか?…ジバク出来るかとおっしゃられても…」

 私の頭の中では、自爆、という単語が渦巻いていて、爆発物をからだに巻いたゲリラさんの姿が浮かんでしまい、軽いパニック状態。

「ジバクはジバクだよ。自分で縛ると書いて自縛。それともおまえみたいな若いのにはセルフボンデージとか横文字のほうがいいのかい?」

「あ、いえ、はいっ、せ、セルフボンデージなら一通りのことは心得ています…ひ、菱縄縛り亀甲縛りとか後ろ手縛りとか…エ、M字開脚縛りだって自分で出来ます…」

 うろたえてしまい、自分でもかなり恥ずかしいことを口走っている自覚はありました。

「ふん、いやらしい女だね。それなら股縄なんて目を瞑っていても出来るね?」

 また一段階、名塚先生のお声が冷たくなりました。

「あ、は、はい…大丈夫です…」

 私の両腿の付け根がヒクヒク疼き、はしたないよだれがジュクジュク分泌されています。

「それならエプロン取って、その恥ずかしい肌着のまま、そこの箪笥の下から二段目を開けなさい。おまえみたいな淫乱マゾ娘が好きな道具がたくさん入っているから」

 お顔は正面を向かれたまま後ろ手に、お部屋の左壁際の立派な総桐箪笥を指さされる戸塚先生。
 私が初めてこのお部屋に通されたとき、寺田さまがその箪笥をガサゴソしておられたのを覚えています。

「は、はいっ」

 正座のまま両手を背中に回し、まずはエプロンの腰紐を外します。
 それから左右の肩紐をずらすと、ハラリと外れたメイドエプロン。

 その下にはピッタリと素肌に吸い付くように貼り付いたブルーグレイの薄い布地に包まれた私の肢体。
 おっぱいの丸みも乳首の位置も、裸でいるのと同じくらいクッキリとわかります。
 
 立ち上がろうと腰を上げた途端、ヌルっと食い込んでくる股間のVの字。
 その一帯の布地はあからさまに色濃く変色していて、それを着ている人物が紛れもなく発情していることを周囲に伝えてしまっています。

 お言いつけ通りの姿になってから、壁際板の間の箪笥へしずしずと向かいました。
 箪笥の目の前で腰を下ろすと、桐の香りがほのかにプーン。
 中腰になり下から二段目の抽斗の、銀製らしき重厚なふたつの取っ手を両手にそれぞれ握ります。

 んっ!
 力を込めてグイッと引っ張ると、最初は重そうな抵抗を感じたものの、大きさの割に建て付けが良いのでしょう、スルスルッと抽斗が飛び出しました。

 横幅一メートルくらいの抽斗の中は半分で仕切られていて、奥行き50センチくらいの片側には膨らんだ麻袋の束、もう片方には20センチ四方くらいのカラフルな不織布ケースが様々な形に膨らんで整然と並んでいました。

「その段には、おまえみたいなマゾ女が大好きな麻縄と張形類がしまってある。これまで数え切れないほどのマゾ女を虐げてきた道具たちだけれど、安心しな。使用後の手入れと殺菌はしっかり施してあるから」

 幾分お芝居がかった凄みのあるおっしゃりようにあるじさまのほうを見遣ると、あるじさまは未だモニターに向かれたまま。
 私はそのお背中をじっと見つめています。

「そこから7メートルと書いてある麻袋をひとつ手にして、中の縄を取り出しなさい。抽斗は閉めなくていいよ。まだ使うものもあるから」

「は、はい…」

 あるじさまのお背中に促されて抽斗の中身に目を戻すと、各麻袋の結い紐部分にプラスティックの札が付いていて7mとか10mとか書いてありました。
 7mの札の付いた袋をひとつつまみあげ、結い紐を解いて中身を取り出します。

 相当使い込まれている感じな浅黒い生成りの麻縄。
 油でまんべんなくテラテラに光っていて見た感じゾクっと凶々しいのですが、手にしてみると軽くてしっとりしなやか肌馴染み良さそうで…
 別の意味でゾクゾクっと感じてしまいました。

「その縄でまず、股縄をしなさい。三つ折りにして、四本の縄を並べておまえのマンコを包み込むような感じで」
「骨盤の上で一度しっかり結んで後々緩まないように。あと、余計なコブとか作らなくていいよ。食い込まない程度にギッチリ締めればいい」

「はい、わかりました…」

 あるじさまのご指示通り麻縄を持って立ち上がり、あるじさまのお背中のほうを向いて、おずおずと股縄縛りの準備を始めます。
 
 まずは紐のように食い込んでしまい、大陰唇が完全に左右にはみ出してしまっていたハイレグレオタの股部分を直しました。
 お漏らししてしまったように濡れそぼっているのに火照る熱を帯びたその部分、指先が触れるたびに糸を引く粘液、薄い布越しにクッキリいきり勃つはしたない肉の芽…
 自分のからだながら、恥ずかし過ぎて仕方ありません。
 
 股縄の縛り方は基本的にお褌の締め方と同じです。
 お言いつけどおり長い縄を真ん中からまずは二つ折り、さらにその真中を折ると二メートル弱な四本の縄の束となります。
 おヘソの下、骨盤の上辺りに回した縄の束をまずおヘソの下で一度縛って垂直に垂らし、股の間をくぐらせてからお尻の側で結ぶだけ。

 最後に余った縄をお尻の側で結ぶとき、いつもなら刺激を欲して食い込ませる感じに締め付けてしまうのですが、あるじさまは、包み込む感じ、とのご命令でした。
 グッと我慢して内股にピッタリ密着する感じにとどめます。

「締め終えたらわたくしの机周りの食器類を片付けなさい、オナ子の食べ残しもね。全部廊下に出しちゃって」

「はい…」

 裸同然レオタードの下半身に股縄だけ締めて、おずおずとあるじさまのお机へと近づきます。
 私のマゾマンコを覆う極薄生地の上には、ぴったり寄り添った四本の麻縄が通っています。
 一番外側左右の縄目が内腿なのか大陰唇なのかに擦れて、一歩踏み出すたびにもどかしい…
 それでもあるじさまの文机近くでひざまずき、食器を片付け始めました。

「あ、それはいいわ、そこに置いておいて」

 あるじさまのお飲みかけのティーカップに私が手を伸ばしたとき、あるじさまが振り向かれ、初めて私を視てくださいました。
 私の顔から始まって、首筋、胸の谷間、両乳首の突起、おヘソ、胴を絞る縄目、恥丘を這う縄、股間を覆う四本の縄を濡らす今にも滴りそうな雫…

 そこまで視線が下ろされて、もう一度私の顔に戻られたとき、あるじさまが凄く嗜虐的にお口の両端を歪められ、ニッコリ笑いかけてくださいました。