2020年10月11日

肌色休暇一日目~幕開け 13

 「女将さん、直子のからだ、凄い勢いでガン見してたね」

 おふたりをお見送り出してお部屋の中へと戻りつつ、お姉さまが嬉しそうにおっしゃいました。

「あの調子なら、館内で多少はっちゃけても、大目に見てくれそうじゃない?」
「たとえば廊下を四つん這いリードでメス犬プレイとか、庭でヌード撮影とか、ね?」
「ま、とりあえず散歩がてら、女将さんご自慢の野外露天風呂まで行ってみましょうか」
「タオル類は現地に用意してあるから手ぶらでいい、って言っていたわね」

 お姉さまが座卓の上に置きっ放しだった鍵入りの透明リストバンドを右手首に嵌められました。

「あとは小銭と部屋のカードキーか…直子のポシェット、借りるわよ」

 私のポシェットの中身が全部出され、代わりにお姉さまのスマホと小銭入れ、カードキーだけを入れてお姉さまが斜め掛けに提げられます。
 お淑やかな青色浴衣に白いハート型のポップなポシェット。
 一見ミスマッチなコーデなのに、お姉さまが提げるといっそうエレガントになるから不思議です。

 貴重品類はセーフボックスに入れ、座卓の上にはまだ充電中な私のスマホとリモコンローター本体だけが置き去り。
 カッパさまこけしは、私が締めている帯の結び目付近に無造作に挿され、私と行動を共にすることに。
 最後にお姉さまがハンディビデオカメラを剥き出してお持ちになられて準備完了。

「それじゃあ行きましょう」

 玄関にご用意いただいたお草履をそれぞれ履き、お部屋を出ます。
 玄関扉はカードキーなので、オートロックなのでしょう。

 よく磨き込まれて木目が綺麗な板張りのお廊下。
 灯籠を模した照明器具が淡く照らす中、お姉さまが先をお行きになりなり、時折私にレンズを向けてきます。

「ほどよくレトロで風情があって、いい旅館よね、ここ」

 ビデオカメラを下ろされたお姉さまが私と並び、やがて十字路。
 野外露天風呂、と記されたプレートの矢印が示す方向、一階へと下りる階段とは逆方向、つまり建物の奥へと向かうべく左へ折れます。

 すぐに右側の壁沿いに扉が見えたので、こちらも客間となっているのでしょう。
 高い天井には組木細工の模様が施され、相変わらず低く流れている艶っぽいジャズピアノの調べ。
 その静謐な雰囲気になぜだか官能がくすぐられ、秘めた願望をお姉さまに告げたくなりました。

「お姉さま?私、あのお部屋で…」

 先を行かれるお姉さまのお背中にそこまで言いかけたとき、クルッと振り向かれ、しっ、と唇に人差し指。
 右側の客間の扉を過ぎて少し進まれたところで立ち止まられ、板張りの壁にお顔の側面を寄せられています。
 どうやら聞き耳を立てていらっしゃるご様子。
 私も一緒に耳を澄ますと…

「…んんぅ、はぁぅ、んぅぅーんっ、はぁぁんっ…」

 せつなそうな女性のくぐもった息遣いが漏れ聞こえてきました。
 んっ、んっ、と男性の踏ん張るような低い唸り声とピタンピタンと肌と肌がぶつかるような音も。

「真っ最中みたいね」

 ご愉快そうなヒソヒソ声を私の耳元で囁くお姉さま。
 つまりこれって、今このお部屋の中で男女がイタしている生ライブ音、っていうこと?
 思考がフリーズし、カーッと全身が熱くなりました。

「…あっ、あんっ…くっぅ、いいっ、そ、そうよっ、ひぃぃんっ…」

 30秒くらいその場に佇んでから、お姉さまがスッと歩き始めました。
 いろいろ混乱して固まっていた私もあわてて後を追います。

 お廊下は行き止まりとなり、突端の扉上のプレートに矢印と共に、野外露天風呂。
 お姉さまがガチャリと内開きのドアを開けると、その先は屋外でした。

 立派な木枠の渡り廊下が、まだ奥へとつづいています。
 周りには、ポツンポツンと大きな岩肌、その合間をお廊下を覆うように草木が生い茂っていますが、お廊下はさほど汚れていないので日常的にお手入れされているのでしょう。
 二階から出たので5、6歩行くと一段降りる式の階段状となった木々のトンネル渡り廊下。
 10メートルくらい先までまっすぐつづいています。

「あの感じだとバックスタイルで奮闘中ってところかしらね。こんな時間からお盛んなこと」
「まあ、互いに合意の上のお愉しみなんだろうし、余計なお世話だけどさ」

 お姉さまが私にビデオカメラのレンズを向けつつおっしゃいました。
 さっき聞いた生々しい物音を思い出します。
 確かにありふれた男女の営みなのでしょうが、胸の奥がチリチリ騒ぐ私には、その光景をあまり想像したくないものでもありました。
 頭の中に浮かんできそうな絵面を振り払いたくて、無意識のうちに二度三度と首を振る私。

「そう言えば直子さっき、何か言いかけていたわね、何?」

 私の動揺にお気づかれたのでしょう、ビデオカメラを下ろして私の顔を覗き込み、話題を変えてくださるお姉さま。
 そのお優しさにホッと安堵し、何を言おうとしていたのかド忘れてしまう私。
 あれ、何だっけ?えっと…あ、そうだった…

「あの、私、今日泊まるお部屋の昔の日本のお座敷っぽい雰囲気が妙にツボに入ってしまって、以前にそういう写真やビデオを見たことがあったので…」
「それで、あのお部屋で、お姉さまに荒縄で、思いっ切り恥ずかしい格好で柱とかに縛り付けられてみたいな、なんて…」

 お姉さまに、というところをとくに強調して告白しました。

「呆れた。廊下歩きながらそんなこと考えていたんだ?アナタの頭の中って、えっちなことしか入っていないの?」

 心底呆れた、というご表情で眉間にシワを寄せられるお姉さま。
 でもすぐにシワは消えて、真面目なお顔に戻られます。

「でもごめん。それはちょっと無理。あたし、ここにロープとか拘束具とか直子の好物、持ってきていないんだ」

 そっけなくおっしゃったお姉さまが私の反応を探るみたいに束の間私を見つめた後、一転して今までで一番イタズラっ子のお顔に豹変されました。

「でも明日、別荘に着いたらそんなことを言ったの後悔するくらい、あれこれヤられちゃうはずだから、愉しみにしていなさい」
「言ってみれば、今日のふたりだけの温泉バカンスはアペリティフ、前菜なの。明日からがメインディッシュだと思って、今日は成り行き任せでまったり過ごしましょう」

 ご愉快さとイジワルさを一緒くたにされたお顔で、お姉さまがビデオカメラのレンズを向けてこられました。
 ヤられちゃう、とおっしゃったということは、別荘ではどなたか別のかたもいらっしゃる、ということなのでしょう。
 お姉さまとふたりきりでいられるのは、今日だけなのかな?
  少しの落胆と少しの期待。

 そうこうしているうちに渡り廊下が地面に接し、木々が途切れて少し開けた場所に出ました。
 正面にはキャンプ場のバンガローみたいな建物があり、脱衣所、というプレートが掛かっています。
 
 その右側には矢印の付いた立て看板に、野外露天風呂、という表記。
 おそらくそこまで連れて行ってくださるのでしょう、草木の刈り取られた地面にスノコ状の板が敷かれ、もう少し低いほうへとつづいています。

「着いたみたいね。いいじゃない、見渡す限り360度自然の岩と草木で、まだ現物は見えないけれど、これぞ露天風呂のあるべき姿、ってロケーション」

 お姉さまがご満足そうにおっしゃいました。

「でも一応入る前に、先に来ている人がいないかチェックしておきましょう。混浴だって言っていたし、先にオトコが入っていたりしたらいろいろメンドクサそーだから」

 お姉さまがお迷いの無いお足取りで脱衣所の脇を通り越され、露天風呂へつづくのであろうスノコの上を進まれます。
 もちろん私も後ろにつづきます。

 緩やかな下り坂が終わると、岩肌と樹木が目隠しフェンス状に囲んでいる場所に出ました。
 ジョボジョボという永続的な水音も聞こえてきます。
 ワクワクしながらフェンスの内側へ入ってみると…

 想像していたより広くて立派。
 大きな岩盤をいびつな楕円形にくり抜いたかのような、広大な楕円ドーナツ状の湯溜まりが目の前に広がっていました。

 広さは小中学校によくある25メートルプールくらい?
 湯溜まりの真ん中が岩場の大きめな島になっていて、木造の東屋が設えてあります。
 温泉の周りを木々が囲っているとは言え、湯溜まりの真上は青空なので、午後4時を回っていくらか和らいだ残暑の陽射しが湯溜まりの水面に燦々と降り注ぎキラキラ光っています。

 お姉さまと一緒に湯溜まりのすぐ縁まで進んでみます。
 水面はやや白く濁った感じで独特の匂いも強く、見るからに何かしらの効能がありそうな感じ。
 思わずお姉さまとお顔を見合わせ、お互いにニッコリ微笑み合いました。

「誰もいないし、入ってみようか」

 お姉さまがおっしゃると同時に、対面の東屋の陰からポチャンという水音が聞こえ、すぐに白い人影が現われました。
 
 東屋のある島の脇の湯船にまっすぐに立たれた人物。
 その曲線的なフォルムで女性だとわかります。
 お湯の深さは膝上、腿の半分くらいまでらしく、そのかたの両腿の付け根に小さく翳っている黒い茂みが、白濁したお湯とのコントラストで絶妙に目立っています。

 お姉さまとふたり、唖然として見つめる中、そのかたにつづいて東屋の陰からもうおひとかた、いえ、もうおひとりも加わり総勢お三かたの女性が湯船の中から、こちらを見つめてきました。
 やがて最初に現われた女性が右手を高々とお上げになり、左右にヒラヒラと腕を振り始めます。

「おーいっ!」

 こちらを呼ばれるお声とともに、大きめのおっぱいがユサユサ揺れています。

「なんか、呼んでるね」

 さすがのお姉さまも戸惑い気味に、私と見つめ合います。
 私たちがその場から動かないことに業を煮やしたのか、お三かたが横一列に並ばれ湯船の中をバシャバシャと、こちらへ近づいていらっしゃいました。

 どなたも一糸まとわぬスッポンポン。
 全員髪の毛はヘアバンドなどで上にまとめられ、三者三様のおっぱいをプルンプルン揺らしながら。
 真ん中のかたが一番背が低くて、左端のかたが一番背が高い。

 あれよという間に私たちの前に全裸の女性が三名、並ばれました。
 お近くで見ると、ご年齢も私たちとはそう変わらなそう。

「おたくら、さっき送迎バスでここに来たお客さんだよね?」

 最初にお姿を現わされた一番右側の女性がお声をかけてきました。
 お三かたの中では一番派手っぽく、髪を一番明るめな金髪に染められています。
 それなのに下のヘアーは漆黒なのが凄くアンバランス。

「うん、そうだけど…」
 
 お姉さまがお答えされたお声は、幾分ご警戒気味。

「おたくらってさ、エーブイギョーカイの人でしょ?」

 金髪の女性が消えかかった眉毛を上下させ、ご興味津々なお顔でつづけられました。
 私にこのご質問が向けられるのは本日二回目です。

「えっ!?違いますよ。あたしたちは東京から遊びに来たただのしがないOLです」

 お姉さまがそっけなく言い返すと、真ん中の一番背が小さな女性が初めてお口を開かれました。

「えーっ、だってそっちのカノジョ、凄い大胆にエロい格好してたじゃん。おっぱいはみ出そうなトップスに土手丸出しのボトムス、おまけに犬の首輪まで着けちゃってて」

 真ん中の女性は、髪は濃いめの茶系、全体的に小柄で瞳だけが大きく胸の膨らみも控えめ、ヘアーも薄め、お声も多少舌足らずで、小悪魔ロリータぽい雰囲気。
 とんがらかした唇に、容姿に反したお気の強さが感じられます。
 お三かたの好奇丸出しな視線が集中的に私へと注がれました。

「あー、それね。あれはこの子の趣味なの。あたしたちはそういう関係で、今日はこの温泉宿でえっちなアソビでも愉しもう、って思っているのよ」

 お姉さまはお三かたのご様子にご警戒をすっかり解かれたようで、打ち解けた口調になっています。
 私はと言えば、三名の全裸女性から相変わらずジロジロ注がれる視線に、浴衣を着ているのにドッキドキ。
 
 考えてみれば、私だけ裸で周りは着衣、という経験は何度もありましたが、その逆は初めてかも。
 あまりジーッと視るのも失礼だろうし、でもお三かたともお綺麗な裸なのでじっくり視ていたいし…
 
「なーんだ、アタシ絶対AV女優とマネージャーが先乗りで来て、撮影隊が後から合流して今夜にも撮影するんだろうって、ワクワクしてたのに…」
「だよね?さすが、きり乃さんの宿、って思ってた。うまくすれば今夜のエイギョウに結びつくかな、くらい期待してたんだ…」

 ロリータさんと金髪のかたがワイワイと内輪話をお始めになります。
 そのあいだも一番左端の女性、一番背が高く黒髪でおっぱいも一番大きくボンキュッボンな美人さん、は、お一言も発さずニコニコ笑顔で私たちを見つめられていました。

「大胆て言うなら、あなたたちだってずいぶん大胆じゃない?」

 お姉さまがお三かたに、イタズラっぽくお問いかけになります。
 ロリータさんと金髪さんのおしゃべりがピタッとやみました。

「ここって混浴なのでしょう?なのにあなたたちったら、タオル一枚も持たずに、こんな明るいうちから優雅にマッパで湯治アンド日光浴。もしスケベなおやじ軍団でも入ってきたら…」

「あ、それは大丈夫なんだなー」

 お姉さまのお言葉が終わる前に、金髪さんが遮ります。

「今日は団体のドタキャンがあったせいで、逗留してるのはうちら以外、昨日から連泊の女子会OL4人組とカップル二組だけなんだ」
「カップルの一組は大学生ぽい初々しい感じで、もう一組はどう見てもオンナのほうがかなり年上のワケ有りそうな組み合わせ」

「両方ともどう見ても、ヤリに来た、って感じだったから、今頃ふたりだけの世界にズッポリよ。無粋な邪魔が入りそうな露天風呂になんて顔出すワケない」
「つまりオトコはふたりっきゃいないってこと。それも両方ウブそうな若いヤツだから、入ってきたとしてもどうとでもなるし。ま、来ないだろーけど」

 ロリータさんと金髪さんが口々にご説明してくださいました。
 私はさっきのお廊下で聞いた物音を思い出します。

「へー、ずいぶん内部事情にお詳しいのね。あなたたちも連泊なの?」

 お姉さまのお尋ねに、初めて黒髪の女性がお口を開かれます。

「て言うかワタシたちは厳密に言うと宿泊客ではないの。今夜の宴会に呼ばれたコンパニオンなの。でも今朝方別のホテルからこっちへ移動中に、予定客のキャンセルを告げられて」
「明日もこの近くの別の旅館に呼ばれているって言ったら、そういうことなら今夜はここに泊まっていきなさい、って、女将さんが格安でお部屋を提供してくれたの」

 黒髪の女性のお声は落ち着いていて、他のおふたりよりも少しお年上みたい。

「へー、コンパニオンて宴会に呼ばれてお酌とかする人のことでしょ?ああ、それでさっきエイギョーがどうとか言っていたんだ」

 お姉さまのお言葉に金髪さんがお答えになります。

「うちらの場合はピンパニ、ピンクコンパニオンだけどね」
 
 そのお答えに俄然お身を乗り出されるお姉さま。
 好奇心満々なお顔でご質問攻め。

「それってお色気全開のコンパニオンのことでしょ?ねえねえ、具体的にどんなことするの?」
「うーんまあ、基本的にはセクシーな衣装でお酌して回ったり、あと野球拳とかツイスターゲームとか」
「乳揉まれたり、おサワリくらいは仕方ないかな、って感じ」

「全部脱いじゃったりするの?」
「ケースバイケースだけど、その場のノリだよね」
「うちなんかワザと後出しして負けて、先に脱いじゃうよ。明るい部屋でじじいのキタネー全裸なんぞ見たくもねーし、酔っぱらいじじいに下手に先に半勃ちチンコなんか出させたら、ヌケだのヤラせろだの、その後のフォローが超メンドクサそーじゃん」

「じゃあやっぱりその先も、ヌイたりヤっちゃったりもあるんだ?」
「表向きにはもちろんNGだけどね。ただ、旅館によってはわざわざ別室用意してるところもあったりはする。アタシはもちろん断わるけど」

「でも客がお金持ちだったら、チップもはずんでくれるんじゃない?」
「昔は凄かったみたいだけど最近は不景気でそうでもないのよ。どっちにせようちらのチームはウリはしないな」
「シヴォンヌ姉さんは前に特別料金で女体盛り、してたよね?」

 そんなふうにいささか品位に欠ける会話がしばらくつづきました。
 お三かたは思い思いに湯船におからだを沈められ、私たちは陸地の平らな岩に腰を落ち着けています。

「へー、あなたたちってチームなんだ?」
「そう。事務所から組めって言われて、たいていこの3人で営業してる。うちがカレンで、こっちの小柄なのがサラ、ナイスバディなのがシヴォンヌ姉さん」
「あっ、それって…」

 金髪さんのご紹介に思い当たる節があり、思わず声が出てしまいました。

「あ、カノジョわかるんだ?事務所が勝手につけた源氏名なんだけど、なんでも昔の外国のガールズグループのメンバーの名前らしい」
「これでもマシになったのよ。チーム組まされた当初なんて、うちがスー子でサラはラン子、姉さんがミキ子だったんだから」

 カレンさんのご説明に他のおふたりが苦笑されています。

「そっちのカノジョなんかエロ可愛いから、パニオンやれば一発で人気者になれるだろーね。うちの事務所、紹介しよっか?」

 カレンさんがからかうみたいにお湯の中から私を指さしてきました。
 ビクンと震えた私の肩に右手が置かれ、お姉さまが代わりにお答えくださいます。

「確かにこの子はエロいし、頭の中はいつもスケベなことで一杯なのだけれど、そのお話には乗れないの」
「なぜならこの子は男性嫌悪症で、女性からの辱めにしか性的興奮を覚えないどうしようもないヘンタイ娘だから」

 一斉に、あらま、というお三かたのお顔。
 お姉さまに促され、ふたりで岩から立ち上がりました。
 お姉さまの右手が私のウエストの帯に掛かります。

「今日ご一緒したのも何かのご縁でしょうから、みなさんのお暇潰しに、ここでちょっと虐めていただきなさい」

 お言葉と一緒に私の浴衣の帯がスルスルっと解けていきます。
 帯に挟んであったカッパさまこけしがスルスルッと滑り落ち、岩盤の地面に当たってコツンと小気味良い音を響かせました。

* 

2020年9月27日

肌色休暇一日目~幕開け 12

  一度イッたくらいじゃカッパさまは許してくださいませんでした。
 イッているのがわかっているのに、お姉さまに操られたカッパさまは、私のマゾマンコへの出挿りを止めてはくださいませんでした。
 たてつづけに二度、三度、結局合計4回もイカされてしまいました。

 はしたない声を抑えるのも困難になっていたので、最後のほうは手ぬぐいで猿轡をされ、それを噛み締めながらてイキ果てました。
 その時間、旅荘のお庭にいたかたなら間違いなく、私のあられもない喘ぎ声を耳にされたはずです。

「可愛かったわよ。呼吸が落ち着いたら、お部屋に戻りましょう」

 浴槽の縁に腕と顎を乗せ、息だけをハアハア荒げぐったりしている私の上半身を、お姉さまが背後からお優しく抱いてくださっています。
 まだドキドキ跳ねている私の胸を、お姉さまの両腕がやんわり包んでくださっています。
 背中に当たっているお姉さまの硬くなったニップルが心地よく、いつまでもこうしていたい気持ち。

 しばらくそうしているうちにドキドキも鎮まってきて、お姉さまに促されて浴槽を出ました。
 幾分弱まったかな、くらいの残暑の陽差しの中、紛れもない屋外で全裸のふたり。
 お姉さまが先にサクサクと全身の水滴をバスタオルで拭われ、それから私のからだも拭いてくださいました。

 バスタオルのザラついた感触が肌を擦るたび、ゾクゾクッと官能がぶり返します。
 やだっ、たてつづけのオーガズムで、最近よく陥るイキ癖の状態になっちゃったみたい…

「なに肌に触られるたびにビクンビクン感じているの?ひょっとしてもう、どMモードに入っちゃった?」

 お姉さまは私のイキ癖状態を、どMモードとお呼びになります。

「は、はい…なんだかメチャクチャにして欲しい気分です…」

 今の気持ちを正直に告げ、媚びるようにお姉さまを見てしまいます。

「まだ着いたばっかりじゃない?早過ぎ。それに、あたしとふたりきりでメチャクチャにされても、直子には刺激が足りないのではなくて?直子は、辱められる姿を誰かに視られてこそ乱れるヘンタイさんなのだから」

 お部屋への引き戸が開けられ、私の肩を抱いて室内へと押し込まれるお姉さま。
 お部屋に入ると引き戸をピシャリと閉められ、スタスタと冷蔵庫のほうへと向かわれました。

「ほら、これでも飲んで少し落ち着きなさい。まだ陽があるうちに、お庭や館内も散策してみたいじゃない?」

 冷蔵庫から取り出されたスポーツドリンクを手渡してくださいました。
 キャップを捻ってゴクゴクっと一口。
 
 ふーっ。
 冷たい液体が喉からお腹へと染み渡り、性的ではない心地良さ。
 少しだけ理性が戻り、あらためて室内を見回します。

 座卓の上では、私とお姉さまのスマホ、それにハンディビデオカメラが仲良く並んで充電中。
 電車のあいだ中、私の中に埋まっていたローターも、フェイスタオルの上に無造作に置かれています。
 その横に、私を存分に悦ばせてくださったカッパさまがお仲間入りして甲羅干し。
 箪笥のそばでは、お姉さまが全裸のままで、ご自分のバッグ内を物色中。

 考えてみると、ベッドルームならともかく日中の普通の室内でふたりとも全裸、という状況も、あまり記憶にありません。
 こちらへ突き出されている形の良いお尻を眺めながら、温泉旅行に来ている、というありがたみを実感します。

 お隣の、おそらく寝室なのであろう畳のお部屋との襖が開け放たれ、太い木の立派な柱が一本剥き出しとなっています。
 途端に以前見たことのある純日本風な緊縛写真を思い出し、あの柱にあられもない姿で縛リ付けらてみれたい、と思ってしまいます。
 縄を掛ける梁もあるし、後ろ手縛りで片足だけ大きく吊り上げられて…

 目を瞑ってそんな妄想にふけってから目を開けたら、お姉さまはいつの間にか下着姿。
 それも上はスポーツブラみたいな形、下は男性用のボクサーショーツみたいないでたち。
 薄いベージュの布地でお姉さまの宝物が隠されしまいました。

「お姉さま?それって…」
「うん。温泉なら浴衣、と思って持ってきたのよ、和装用の下着。わかっていると思うけれど、直子の分は無いわよ」

 お姉さまがニヤニヤ笑いで近づいてこられました。

「本来着物とか浴衣って素肌の上に下着無しで直に着るものだしね。裸コート大好き人間の直子が浴衣の下に下着なんてありえないでしょ?」
「ちなみに直子が今日着ていた服一式、ワンピも下着も前結びシャツもデニムパンツも、今、洗濯してくれているから明日の朝まで返ってこないわ」

「えっ?いつの間に?」
「キサラギさんを呼んだのよ、直子を露天風呂に締め出した後に。チップ渡すの忘れちゃったから」
「袖の下って、着いた途端に渡しておかないと意味ないじゃない?」
「呼ぶ口実でランドリーサービスを頼んだの。直子がサカって汚したショーツとパンツは渡す前に洗面で軽く水洗いしておいたから安心なさい」

「だから、この宿に宿泊中、直子が着てもいい服はその浴衣一枚だけ。もしくは全裸ね」
「あたしが着終えたら直子に着付けしてあげるから、ちょっとそのまま待っていなさい」

 お姉さまがご自分で選ばれた紫色寄りの青い浴衣の入ったビニール袋を破り、取り出されます。
 その脇には私の水色浴衣のビニール袋。

 そそくさと袖を通されたお姉さまは、慣れたお手つきで前を合わせられ、手際よくウエストに帯を巻きつけます。
 温泉浴衣ですから幅広のちゃんとした帯ではなく、細い一本帯。
 それでも器用に巻きつけた帯に帯の端を何度かくぐらせ、ウエストの左前に羽を開いたトンボさんが上を向いてぶら下がるみたいな、綺麗な帯締め姿になられました。

「どう?」

 浴衣を着終えられ、ちょっとお胸を反らして気取られたポーズをお取りになるお姉さま。
 スレンダーなおからだのラインに沿って真っ直ぐに伸びる浴衣の生地。
 適度に開いた襟元、ほどよく覗く細い足首。
 落ち着いた青色もよくお似合いで、全体的にスラッとシャープで粋な浴衣美人さま。

「ス、ステキです、お姉さま!ステキ過ぎます」

 思わず上ずった声でのお返事になってしまいます。

「ありがと。直子にも着せてあげるから、こっちへいらっしゃい」

 水色浴衣のビニール袋をお手に取り、座卓から離れて引き戸前の広めなスペースに移動されるお姉さま。
 全裸の私も喜んでお姉さまの御許へ。
 ビニール袋を破って浴衣を取り出され広げられたお姉さまのお顔が束の間、おや?という具合に曇りました。

「あたしに背中向けて立っていて」

 ご指示通りに露天風呂のほうへ顔を向けて立ちます。
 ほどなく両肩にパサッと布地が掛かり前合わせが胸を覆ったので、そそくさと両腕を袖に通します。

「ああ、やっぱり…」

 お独り言のようなお姉さまのお声。
 私も羽織った瞬間に気がつきました。

 私が羽織っている水色浴衣、裾が余って床面まで落ちてしまっているんです。
 つまり丈が長過ぎる。
 お姉さまの浴衣姿を見て、同じサイズだったら私が着たらくるぶしまですっぽり隠れちゃうかな、なんて思ってはいたのですが、それどころではない余りよう。

「これじゃあ、おひきずりさんになっちゃうわね。明らかにサイズ違い。取り替えてもらわなくちゃダメね」

 後ろ襟が背後から引っ張られ、スルスルっと私のからだから去っていく水色浴衣。
 あっという間に全裸に逆戻り。
 お姉さまのほうへ振り向くと、水色浴衣の裏地側を丹念に調べられています。

「ほらやっぱり、TLって書いてある。キサラギさんに言って取り替えてもらいましょう」

 水色浴衣を素早く軽くたたんで座卓のビニールの上に置き、館内電話の受話器をお取りになるお姉さま。
 あの、えっとお姉さま?ということは私、キサラギさまを全裸のままお迎えしなくちゃ、ですか?
 しばらく鳴りを潜めていたマゾ性がキュンキュン戦慄き始めました。

「すぐ来てくれるって。よかったじゃない?キサラギさんにハダカ視てもらえて」

 受話器を置いたお姉さまがニヤニヤ笑いで近づいてこられます。
 ぶつかるほどの距離まで対面して、お姉さまの右手のひらが私の両腿の付け根を覆いました。
 声を出す暇もなく薬指だけが直角に立てられ、粘膜穴にズブリと差し込まれました。

「はぅんっ!」
「またこんなに濡らしちゃって。マゾマンコもずいぶん熱くなっているわよ?」

「キサラギさんが来る、って聞いただけで、こんなに興奮しちゃっているの?本当、浮気者なんだから」
「どうする?服従ポーズでお迎えする?それとも待受画像のポーズがいいかしら」
「でも直子は恥ずかしがりたいのよね?なんなら精一杯隠していてもいいわよ。それで直子が興奮出来るのなら」

 イジワルなお顔で膣穴をクチュクチュ虐めながらの、お姉さまからのお言葉責め。
 後頭部に両手を当てて、アウアウ喘ぐ私。
 そのとき、コンコン、と玄関扉をノックする音。
 
 お姉さまの右手がスッと下腹部から離れたとき、お姉さまの薬指と私の膣穴のあいだにか細い糸がススーっと引き、プツンと切れました。
 その指をご自分のお口でジュルルっと舐め取ったお姉さまが、はーいっ、どうぞぉ、と大きなお声でお応えされました。

「このたびはお手数をお掛けしてしまい、申し訳御座いません」

 平身低頭なご風情のキサラギさまが風呂敷包みを抱えて座卓前へ。
 あれ?背後にもうおひとかたいらっしゃる…

「ごめんなさいね。お見せする浴衣を選ぶとき、係の者がそのお色だけサイズを取り違えてしまったようですの」
「ここ最近は、ありがたいことに外国人のお客様も増えてまいりまして、背の高い女性の外国人様用に丈の長いサイズを導入してから、まだ日が浅いものでして…」

 キサラギさまにつづいてお部屋へ入ってこられたのは、レモンイエローの付け下げがエレガントな女将さまでした。
 女将さまはキサラギさまの斜め後ろにスッとお立ちになり、まっすぐに私を見つめています。

 私は玄関が開く音を聞いた瞬間に、ヴィーナスの誕生ポーズを取っていました。
 すなわち、右腕でバストを庇い、左手で股間を隠す羞じらいのポーズ。
 お部屋に人が訪れてくるのがわかっていたのに全裸で待っていたのですから、今更羞じらいも何もないのですが。

「あらあら、直子さまは裸のまんまでしたのね。本当にごめんなさいねぇ」

 女将さまが薄い笑みを浮かべたお顔で私におっしゃいます。
 その視線が舐めるように、私の頭の天辺から爪先までを幾度か往復しました。
 股間を押さえている左手のひらの指先近辺が、ヌルっと潤みました。

「いいんですよ。バスでもご説明したように、この子はそういう子ですから」

 お姉さまがご愉快そうにフォローにならないフォロー。

「やはりトールサイズでした。Mサイズの保管ラックに何かの拍子でトールサイズが紛れ込んでしまったようです。申し訳ございません」
「わかりました。二度とこんな間違いが起こらないように、戻ったらすぐ、保管庫内の全色全サイズを点検し直してください」

 キサラギさまと女将さまの緊張をはらまれた遣り取りの後、キサラギさまがご持参された風呂敷包みを解かれました。
 中には同じ水色の浴衣が入ったビニール袋。

「念の為、MサイズとSサイズをお持ちしました」

 キサラギさまが座卓の上に並べられ、女将さまが私とお姉さまを交互に見遣ります。

「渡辺さま、のお姉さまがお召しになられているのは、Mサイズですよね?」
「あ、はい。たぶん…」

 女将さまに尋ねられ、お姉さまが自信なさげなお答え。
 キサラギさまがスタスタっとお姉さまへ歩み寄られます。

「失礼いたします。少し身を屈めていただいて、襟足をお見せいただけますか?」

 キサラギさまにおっしゃられ、お姉さまが少し前屈みになられて後ろ髪を上げて手で押さえ、お綺麗なうなじをキサラギさまに差し出します。
 お姉さまの後ろ襟に手を差し入れ、お姉さまの横からつま先立ちで襟足を覗き込まれるキサラギさま。
 やがて、Mサイズでした、というキサラギさまのお声が聞こえました。

「ごめんなさいね。浴衣の衣紋にサイズ表記が見えてしまうのは無粋ですから、タグの裏側に小さく書いてありますの。お召しになられていなければ、掛衿の裏にもあるのですけれど」
「それにしても、お姉さまの着こなしはお見事ですわ。どなたかに習われたのですか?」

 女将さまが嬉しそうにお姉さまへお尋ねになります。

「あ、いえ、あたしも一応アパレル関係を仕事にしていますので、和装も一通りのことは学校や独学で」
「ああ、服飾関係っておっしゃっていましたっけ。それにしても、帯はお綺麗な元禄結びですし、衣紋抜きもちゃんとお作りになられていて、さすがですわ」

「お褒めいただいてありがとうございます。この子の浴衣も、少しくらいの余りだったら、おはしょり作ればいけるかな、とも思ったのですが」
「いえいえ、浴衣帯でこの余分な長さでおはしょり作るのは、わたくしどもにも無理です。ご迷惑をお掛けしてしまって、本当に申し訳ございません」

 女将さまとお姉さまの、私にはチンプンカンプンな和装談義が終わり、再びみなさまの視線が私に集まります。

「お姉さまでこの着丈でしたら、直子さまにはSサイズのほうが可愛らしいでしょう。キサラギ、着付けして差し上げなさい」
「かしこまりました」

 女将さまのご指示でキサラギさまがビニール袋をお開けになり、水色浴衣をお広げになります。
 それを小脇に抱え私の背後へ回られるキサラギさま。
 私のすぐ目の前には、お姉さまと女将さまが並ばれて、私の裸身をじっと見つめています。

 純和風な木と畳のお座敷で、粋な和装のお綺麗な女性お三かたに囲まれた全裸の私。
 またもや以前見たSM緊縛写真の一コマが脳裏によみがえります。

「それではお嬢さま、着付けをさせていただきますので、両腕をだらんと左右に下げてお立ちください」

 いきなり、お嬢さま、と呼ばれて面食らったのも束の間、おっしゃられた内容はお言葉責めそのもの、自ら手をどけて、目の前の方々に何もかもをお見せなさい、という私へのご命令。
 ヴィーナスの誕生を禁じられてしまいました。
 目前のおふたかた、とくに女将さまのほうがググっとお顔を突き出されるようにお身を乗り出されてこられます。

 今の私は、普通の全裸ではありません。
 ふたつの乳首と股間の割れスジを、否が応にも視線を惹きつけたいみたいに日焼けさせられた全裸。
 広めの乳輪と尖りきった乳首、無毛の恥丘と割れスジ、腫れ上がった肉芽に嫌でも目がいってしまう、それらの部分だけをピンポイントに青白く焼け残した日焼け跡。
 
 首周りの首輪状の日焼け跡も含めて、この全裸では、どんな言い訳も出来ないのです。
 私が視られたがりのマゾ女であるという事実に対して。
 
 それらを遂に、私のヘンタイ性癖をご存知ではない第三者さまにお披露目しなくてはなりません。
 それもこんなにお綺麗でエレガントな若女将さま、きり乃さまの至近距離ご面前で。

 まずゆっくりと左腕を、両乳房から外します。
 女将さまのお口が、あらまあ、の形に動かれ、痛いほどの視線が精一杯背伸びする両乳首に注がれます。

 それから今度は、マゾマンコを覆っていた右手をそっと外しました。
 覆っているあいだ中、下腹部でどんどん高まる熱気を手のひらに感じていました。
 指先が離れたとき、糸が幾筋か引いた気がします。

 私は、お言いつけ通り両腕を左右にだらんと垂らし、生まれたままの姿で女将さまの前に立っています。
 女将さまの視線は吸い寄せられるように私の股間へと移り、じっと視つめられた後、傍らのお姉さまに何やらコソコソ耳打ちされています。
 ハイジニーナ、という単語が聞こえた気がします。
 
 破顔一笑、ご愉快そうな笑顔のお姉さま。
 私は恥ずかしくってたまりません。

 なのにキサラギさまは、なかなか浴衣を羽織らせてはくださいません。
 絶対ワザとです。
 私の肩越しから女将さまをご覧になり、女将さまがご満足されるまで、私の裸を晒し者にされるおつもりなのでしょう。

 実際には10数秒くらいだったでしょうか。
 私が両腕を垂らしてから、私には永遠にも感じられる恥辱の時間が過ぎた後、唐突に両肩に布の感触がありました。

 それからは あれよあれよ。
 キサラギさまにご操縦されて、右を向いたり左を向いたり、両腕を上げたりグルっと回ったり。
 あっという間にお姉さまと同じくらい綺麗に、浴衣を着せられていました。

 お姉さまは、と見ると、女将さまと何やらくだけたご様子でご談笑中。
 おふたりがときどき私のほうをチラ見されるのは、たぶん私の性癖について、お姉さまが面白おかしくご説明されているのでしょう。

「お姉さまとお揃いに、帯は元禄結びにしておきました。もし解いたら、いつでも呼んでくださいましね。もちろん、お姉さまに頼まれてもかまいませんが」

 キサラギさまがお優しくおっしゃってくださり、スタスタと座卓のほうへ戻られ、間違ったほうの水色浴衣をお綺麗な正座姿でたたみ始めます。

「あら、終わったのね。いいじゃない。やっぱりSサイズで正解ね。丈もぴったり、可愛らしいこと」

 女将さまが嬉しそうなお顔で私に近づいてこられます。
 今度の浴衣の丈はくるぶしの上、脛も少し見えちゃうくらい短いので、少し子供っぽいかな、とも思うのですが。

「やだ、直子ったら、浴衣着ても乳首の位置、ちゃんと丸わかりじゃない。本当に元気のいいド淫乱乳首だこと」

 お姉さまに呆れられたお顔でご指摘され、自分の胸元に目を落とすと…
 確かに左右のその位置に、水色の布地を突き破らんばかりに、尖りきった乳首が自己主張していました。
 瞬く間に全身がカーッと羞恥色に染まります。

「まあまあ、色っぽくっていいじゃない?直子ちゃんも和服は素肌に着たいタイプなのよのね?わたくしもそうなの」

 女将さまが助け舟?を出してくださいます。
 さま、から、ちゃん付けに呼び方が変わったのは、打ち解けてくださった、と理解して良いのでしょうか。
 女将さまもキサラギさまも、到着した当初とはずいぶんご対応がくだけられた気がします。

「わたくしも和装のときは下着類は一切、身に着けないの。今だってそうよ。襦袢は着ているけれどね。そのほうが身が引き締まるの」
 
 女将さまがお胸を張るように、シナを作られたポーズを取られます。
 もちろん女将さまのニップルの位置はわかりません。

「そうそう直子ちゃん、早速差し上げたこけしも使ってくださったのね?どうだった?」

 女将さまの視線が座卓の上のローターのお隣のカッパさまを見遣り、ご興味津々なお顔で再び私に戻ります。

「あ、いえ、あの、えっと、あ、ありがとうございますっ」

 何てお答えしていいかわからず、しどろもどろな私。

「そう。あれよりも一回り太いのもあるのよ。お使いになられたい?」
「あ、いえ、あの、あれで結構です。あ、いえ、あれが、あれでちょうどいいです…」
「そう。お役に立てたようで、良かったわ」

 ひょっとしたら女将さまって、すごくえっちなかたなのかもしれません。

「とにかくこのたびは、余計なお手間をお取らせしてしまいまして、本当に申し訳ございませんでした。この後もどうぞ、ごゆっくりお寛ぎくださいませ」

 責任者のお顔に戻られた女将さまがキサラギさまともども深々とお辞儀され、お戻りのご準備。

「そう言えばおふたり、裏の野外露天風呂にはもうお入りになられました?」

 玄関口までおふたりをお見送りに出て、女将さまがこちらを振り返ってのお一言。
 お姉さまとふたり、フルフル首を左右に振ります。

「ぜひお入りになってくださいませ。手前味噌になりますが周りの景色が見事で広くて、本当に気持ち良いんですのよ。まだ4時過ぎですし、暗くなるまで間もありますし」
「まったりとお肌に絡みつくような泉質で、直子ちゃんのお気に召すこと間違いないの」
「他にお客様がいらっしゃなければビデオ撮影されても結構ですのよ。直子ちゃんのお綺麗過ぎるパイパンに、晩夏の緑がとても良く映えると思いますし、きっとあのこけしも悦びます」

 恥ずかし過ぎるご助言を残され、女将さまとキサラギさまがお部屋を出ていかれました。


2020年9月22日

肌色休暇一日目~幕開け 11

 スリッパに履き替え、キサラギさまのお背中に着いていきます。
 フロントと言うよりも、お帳場、と呼んだほうがしっくりくる、純和風な調度品で統一された板の間の広間。
 館内に低く流れているジャズピアノが微妙にミスマッチで却ってお洒落。
 その脇にある緩い傾斜で上へとつづく幅広な階段を、ゆっくりと上がられるキサラギさま。

 階段を上りきると、その先にも広めな廊下が奥へとつづいています。
 この旅館、正面からの見た目より、ずいぶん奥行きのある造りみたい。
 やがて十字に交差した廊下を左に折れ、少し歩いたところで立ち止まられました。

「こちらのお部屋でございます」

 お部屋の扉脇の柱に、如月、という木製プレートが掛かっています。
 外開きの扉を開けると小じんまりとした三和土。

「お部屋には裸足でお上がりください」

 スリッパを脱ぎ、玄関入ってすぐの障子を開くと…

「うわー、ひろーいっ」

 お姉さまと私、同時に声が上がりました。
 板の間と畳で分けられた純和風の広々としたお部屋。
 全体で20畳くらいあるのではないかしら。
 襖で隔てられてまた別の間もあるみたい。

「ここは角部屋になりますから、二面に窓があって採光も良く、存分に景色を楽しんでいただけると存じます」

 お綺麗な正座姿でお茶を淹れてくださりながら、キサラギさまがおっしゃいました。
 居間のほぼ中央に大きめな座卓、差し向かいに立派な座椅子が二脚。

「さ、お茶をどうぞ」

 キサラギさまに促され、お姉さまと私は座椅子へ。
 座卓の上には真っ白なお茶碗に淹れられた熱い緑茶と急須、そして丸くて薄茶色いお饅頭がふたつ。
 キサラギさまのご説明が始まりました。

「そちらの窓の向こう側がお部屋付きの露天風呂でございます。掛け流しですので24時間、いつでもご利用いただけます」
「お外は当旅荘の裏庭で、森を隔てて山並となっております。人目に付くご心配はまったくございません」
「シャンプーや石鹸を使われる場合は、恐れ入りますが内風呂か当館一階の大浴場をご利用ください」

「そこの扉の向こう側が洗面所、お手洗いと内風呂となっております。内風呂もお外に面したガラス張りですので、お外の景色を楽しみながらご入浴いただけます」
「お部屋を出て、先ほどお廊下を曲がったところをそのまま奥へとまっすぐしばらく進んでいただきますと、野外露天風呂となります」
「館内の大浴場は殿方とご婦人で分かれていますが、野外露天風呂は混浴となります。本日は殿方のご逗留は少ないですが、抵抗がおありであれば湯浴み着のご用意もありますので、お気軽にお使いください」

「大浴場、野外露天風呂ともに脱衣所に手ぬぐいとバスタオル、湯浴み着他を専用ロッカー内にご用意してありますので、手ぶらでお出かけされて結構です」
「各脱衣所にこのお部屋専用のロッカーがございます。この鍵が渡辺さまのロッカーとなりますので、恐れ入りますがこれだけは携帯してくださいませ。ご使用されたタオル類はロッカーへ戻さず、備え付けの籠にお捨て置きください」
「このお部屋専用ロッカーの番号は205、となります」

 腕時計のベルトのような、ビニール製らしき中に小さな鍵が収められた透明のリストバンドが座卓の上に置かれました。
 ほぼ同時に、コンコンと扉がノックされる音。
 キサラギさまが優雅にお立ちになり、玄関へと向かわれます。

 開け放された障子の向こうを注目していると、現われたのはキサラギさまとお揃いの作務衣を召した、キサラギさまより一回り以上お若そうな可愛らしい女性。
 大きな風呂敷包みをキサラギさまにお渡しになり少しのあいだ小声で会話され、淡い微笑みの会釈で去っていかれました。

 座卓前に戻られたキサラギさまが濃紺の風呂敷包みを開くと、中はなにやらカラフルな色合い。

「浴衣でございます。どうぞお好きなお色をお選びください」

 赤、青、黄、オレンジ、ピンク…
 ビニール袋に包まれた色とりどりの浴衣が座卓の上に並べられます。
 基本的に単色の生地に、白抜きの可愛らしいお花模様が散りばめられたデザイン。
 数えてみると8色ものバリエーション。

「あたし、これにする」

 お姉さまがその中でも一番渋い、紫色寄りの青い浴衣を手にされました。
 私も迷った末、お姉さまに倣って青色系の水色のものに。

「館内履きとしてお部屋玄関に草履もご用意しました。浴衣も草履もお発ちの際にはお持ち帰りになられて結構です」
「館内どこでも、どうぞ浴衣でお寛ぎください。お庭に出られる際は、下駄をご用意いたします。肌寒いようであれば、そちらの箪笥に半纏のご用意もございます」

 残った浴衣を風呂敷にお戻しになられながら、キサラギさまの立て板に水のご説明。
 それから細長い紙の箱が座卓の上に、あらためて置かれます。

「これは女将から、ご逗留の記念として、ぜひお納めください、とのことです」

「へー、ありがとうございます。何かしら?」

 お姉さまが気さくなご様子で箱をお手に取り、パカッとかぶせ蓋を開けました。

「あ、こけし」

 箱の中に横たわっていたのは、木彫りでツヤツヤとした、お土産屋さんでよく見る形の素朴な民芸品、こけし。
 制汗スプレー位の長さ、太さで、頭は球形、胴は円柱状で少しだけくびれがついています。
 頭の天辺近くにまあるく切れ込みの段差が入っていて、お顔にはお鼻なのか嘴なのか小さな突起。

「これは…カッパさん?」

 思い浮かんだ言葉が思わず口をついてしまいました。

「はい。この辺りは川沿いですし河童にまつわる言い伝えがいくつもありますから、昔から当地の一般的なお土産品となっております」

 キサラギさまがお優しい笑顔で私を見つめつつ、穏やかにおっしゃいます。

「女将さんにありがとうございます、とお伝えください。このお気遣いはとくに、うちの直子が悦ぶと思います」

 お姉さまがご愉快そうに笑いながらおっしゃいました。

「はい。それでお夕食なのですが、何時頃がご希望でしょうか?」

 風呂敷をしっかり結わい終えたキサラギさまが、お姉さまにお尋ねになります。

「そうね、7時くらいかしらね」

「かしこまりました。それでは6時半よりご用意を始めさせていただきます」
「お食事は、そちらの小上がりのお座敷にご用意いたします。しばらく配膳のものが出入りしますが、お客さまはご不在になられていてもかまいません」

 窓際の一段高くなった畳敷きのスペースを指さされたキサラギさま。
 窓の外には陽射しに照らされた鮮やかな緑が広がっています。

「お布団はご夕食のお片付けを終え次第、そちらの襖の向こうの寝室にご用意いたします。それと…」

 ずっと明朗だったキサラギさまが珍しく口ごもられました。

「これは女将からたってのお願いなのですが、蝋燭のご使用とお手洗い以外での排泄行為だけは、ご勘弁願いたい、とのことです…」

 キサラギさまが私を見透かすみたいにじっと見つめつつ、薄い笑顔でおっしゃいました。
 私はそのお言葉の意味を瞬時に理解してしまい、居ても立っても居られないほどの羞恥が全身を駆け巡ります。

「わかりました。御旅荘のみなさまに余計なご迷惑はお掛けしないことを、お約束いたします」

 お姉さまがキリッとしたお顔つきに戻られ深々とお辞儀をされたので、私もあわてて頭を下げます。
 キサラギさまも正座でお辞儀。

「女将から万事申し付けられておりますので、どうぞごゆっくりお寛ぎ、ご自由にお愉しみくださいませ」
「恐れ入ります。よろしくお願いいたします」

 お姉さまとキサラギさまがもう一度交互にお辞儀され、キサラギさまだけ優雅に立ち上がれました。

「何かありましたら遠慮なくそこの館内電話で呼びつけてくださいませ。それでは失礼いたします」

 キサラギさまがもう一度深々とお辞儀され、しずしずとご退室されました。

「キサラギさんて、絵に描いたようにきちんとした仲居さんだわね」

 お部屋にふたりきりになった途端、お姉さまと私は同時に立ち上がりました。
 お部屋内の至るところが物珍しくてたまりません。

 床の間の何て書いてあるのかわからない掛け軸、白い百合と胡蝶蘭の生花。
 襖を開け、障子を開け、箪笥を開け、冷蔵庫を開け。
 貰われてきたネコさんが自分の新しい縄張りを確認するみたいに、ふたりそれぞれお部屋の気になるところをチェックしました。

「あの女将さんもお茶目よね。あのこけし、絶対そういう意味じゃない?」
「直子も見た途端に、挿れたい、って思ったのじゃなくて?女将さんに敬意を表して、ここに滞在中はマゾマンコにはあれしか挿れちゃいけないことにしましょう」

 一通りお部屋内を見て回った後、ふたりはお部屋付きの露天風呂へと出られる引き戸の大きな窓ガラスの前で合流しました。
 ベランダ状に突き出たスペースに、檜造りらしい四角く大きな湯船と木製のベンチが置かれています。

 私の背後に立たれたお姉さまの両腕が私に覆い被さるように私のお腹の前に来て、スルスルっと前結びシャツのリボンが解かれます。

「あん、いやんっ」

「何が、いやん、よ。あたしと会ってからずーっと乳首に血液集めっ放しのクセに」
「早く裸になりたくて仕方ないんでしょ?」

 お姉さまの手でスルスルっとシャツを脱がされ、おっぱい丸出し。
 両手で胸を庇った隙に無防備となった下半身のデニムがずり降ろされました。
 お姉さまの手首の時計を見ると、まだ午後3時を少し回ったくらい。

「ああ、これも挿れていたんだっけ。すっかり忘れて使うの忘れてた」

 膣穴から少しだけ覗いた紐状アンテナが引っ張られ、充分に濡れそぼっている膣穴をローター本体がヌプヌプっと抜け出していきます。
 抜かれたローターからポタポタ滴る私の欲情のシルシ。

「床を汚しちゃうから舐め取りなさい」

 アンテナからぶら下げられたローターを鼻先に突きつけられ、舌を伸ばして咥え込み、ジュブジュブしゃぶります。
 アンテナが引っ張られ、私の口腔から抜け出るローター。

「あふぅん」

 肩まで伸びた髪をまとめてひとくくりに後頭部まで押し上げられ、手際よくゴムで括られます。
 お姉さまの両手が露わとなったうなじへと伸び、首輪も外されました。

「今の直子は、何もしなくても天然の首輪をさせられているようなものだものね」

 首周りの白い日焼け跡をスーッと撫ぜられました。

「ほら、一番風呂は直子に譲るわ。汗まみれのからだと愛液まみれのマゾマンコを洗い流してきなさい」

 露天風呂への引き戸がガラガラっと開けられ、裸のお尻をピシャっと叩かれ背中を押され框を跨いで露天風呂の簀の子の上へ、すかさず引き戸がピシャリと閉ざされ、カチャッとご丁寧に鍵までお掛けになるお姉さま。

「ああん、お姉さまぁ…」

 全裸でベランダに締め出されてしまいました。
 たちまち心細くなりガラス越しにお姉さまのお姿を追ってしまいます。
 お姉さまは、しばらくご自分のバッグをゴソゴソされた後、キサラギさまが洗面所へ繋がるとおっしゃっていた扉を開くと、中へと消えていかれました。

 仕方なく空を見上げると相変わらずの青空。
 全裸でも少し暑く感じるくらいの残暑。
 時折吹く風が心地よく全裸を撫ぜてきます。

 恐る恐るベランダの突端まで近づいてみます。
 私のおヘソ位置くらいの高さで、粗い格子状の木の柵が空間を囲っています。
 見えるのは辺り一面の、緑、緑、緑。
 階下を見下ろすと、この旅荘がお山の中腹くらいに建っているのがよくわかります。

 キサラギさまのお言葉通り、この露天風呂がまったく人目を寄せ付けない造りだとわかり、盛大な安堵感と少しの失望感。
 それと同時に凄い開放感に包まれました。

 掛け湯をして汗をざっと洗い流した後、ざぶんと湯船に浸かります。
 広い湯船で大きくからだを伸ばし、んーっと深呼吸。
 大自然の中で生まれたままの姿で、ちょうどいい温度のお湯に身を任せる快感。
 リラックスという状態の本当の意味を、生まれて初めて体感した気がします。

 湯船ギリギリまで満たされたお湯は、絶えず床へと溢れているのですが、湯船のお湯が一向に減らない不思議。
 温泉て本当に湧いて出ているんだな、って実感。
 お湯に肩まで浸かりすっかり寛いでいたら不意に、引き戸がガラガラっと開きました。

「あ、お姉さまっ!」

 湯船の中で息を呑む私。
 だって、お姉さまが裸で、こちらに向かって来るのですもの。
 胸の前に片腕で押さえた手拭いを前に垂らしただけの全裸のお姿で。

 私と同じようにお姉さまも、まずは周囲の状況をご確認されたかったのでしょう。
 ベランダを囲む木の柵まで歩まれてお外の景色を見渡されました。
 柵沿いを少し歩かれてご安心なさったのでしょう、前を覆っていた手拭いを外され、何もかも丸見えのお姿で湯船のほうへと戻ってこられます。

 こんな屋外の明るい陽射しの中で、お姉さまのオールヌードを拝見するのは初めてでした。
 お姉さまが湯船の縁にお立ちになり、私を見下ろしてきます。

 湯船からお姉さまを仰ぎ見る形となった私。
 照りつける陽射しにいっそう輝く白いお肌。
 やはり興奮されていらっしゃるのか、突起されたニップルが陽射しに影を作るほど。
 ショートヘアーが風にそよぎ、少し開いたスラッとしたおみ足のあいだから覗く亀裂。
 状況の新鮮さとも相俟って、そのお美しさは神々しいほど。

「外で裸になるっていうのも、開放感あって意外と気持ちいいものね」
「お湯加減はどう?窓から見ていたら直子、すっごく気持ち良さそうだった」

 お姉さまがしゃがみ込まれ、私の目の前に剥き出しのアソコ。
 思わず顔を近づけたくなってしまいます。
 お姉さまは桶でお湯を汲み、数回の掛け湯の後ザブンとお湯に入られました。

「あーーっ、気持ちいいっ!」

 両手両足を全開にして大の字でおからだを湯船に沈められるお姉さま。
 私は縁側に身を寄せて、お姉さまの一挙手一投足を見守ります。

「見上げると青い空って、すっごい開放感ね。シアワセーッ!」

 水中に沈んだ白い裸身、一箇所だけ翳りを作るお手入れされたヘアーが可憐な海藻みたいに揺れています。
 やがて満足されたのか、伸ばしきった手足をまとめられ、姿勢を変えられました。

「ほら、直子もこっちにいらっしゃい」

 湯船の真ん中あたりで膝立ちになられているのでしょう。
 形の良いバストを惜しげもなく陽射しに晒して、手招きされるお姉さま。

 飼い主に呼ばれたワンちゃんみたいに、バシャバシャお湯を掻き分けてお姉さまのお傍へ。
 すかさず顔を捕まえられ、唇が重なったと思ったら舌がねじ込まれ、熱いくちづけ。
 思わずお姉さまの細いウエストをギュッと抱き寄せてしまいます。

「ハア、ハア、これでお姉さまも野外露出デビューですね」

 蕩けるようなくちづけが離れ、なにか言わなくちゃ、と思い口をついたセリフがこれ。
 お姉さまは至近距離で私を見つめたまま、ニヤリと微笑まれます。

「何言ってるの?あたしはただ単に露天風呂を楽しんでいるだけよ?浴衣に着替える前に汗を流してサッパリしたいしね」
「誰かさんみたいに誰彼構わず裸を視てもらいたいようなヘンタイさんではありませんよーだ」
 
 からかうようにおっしゃったお姉さまの右手が私の下腹部に伸びてきます。
 無毛の割れ目を抉じ開けて侵入してきた二本の指。

「はうんっ!」
「呆れた。お湯の中だっていうのに直子のマゾマンコの中、相変わらずヌメっているじゃない?ひょっとしてあなたの愛液って油性なのじゃなくて?」

 軽口をたたかれるお姉さまのニクタラシイ笑顔。
 私も負けじとお姉さまのソコへ手を伸ばそうとすると、スイっとおからだが引かれました。

「あたしはいいの。まだそんな気にならないから。直子は電車以来イケてないから疼いちゃっているんでしょ?たっぷり可愛がってあげるからちょっと待ってなさい」

 いったん湯船から上がられ、引き戸のそばまで行かれると何かを拾い上げられ、再び戻っていらっしゃいました。

「ほら、せっかく女将さんがくださったのだから、早速使わせてもらいましょう。直子の温泉一発目オーガズムは、ご当地代表の河童こけしに犯されながら味わうの」

 お姉さまの右手に握られたカッパさんがお湯に潜り、お姉さまの左手が私の背中を引き寄せます。

「あたしにイタズラ出来ないように、両手は頭の後ろよ。直子はマゾなのだから」
「はうっ!」

 ラビアに何か当たったと思った途端、ズブリと何の抵抗もなくカッパさんの頭を飲み込んでしまう、私のふしだら過ぎる女性器。
 やがて水面がユラユラ波立ち始めたのは、水中でお姉さまの右手がストロークし始めたから。

「あ、あっ、あ、あんっ、あっ、あんっ、あんんっ…」

 カッパさまの頭が出し挿れされる同じタイミングで、はしたない淫声がほとばしってしまいます。

「そんな大きな声上げたら、他の宿泊客や仲居さんたちに聞こえちゃうわよ?直子のいやらしいヨガり声」
「んっ、んっ、んふっ、んふぅ、んふぅーんっ…」

 お姉さまに諌められ、必死で声をガマンします。
 カッパさまの頭のお皿の段差と嘴が、凄く効果的に膣壁を擦り上げてくださいます。
 お湯の中で人肌ぐらいに温まったカッパさまの木肌は今まで味わったことのない官能に誘ってくださいます。
 出し挿れされるたび膣内に、お湯も一緒に入ってきているからかもしれません。

「んふぅっ、んふぅっ、んふぅぅん、うふぅんっ、んふぅぅぅーっ…」

 湯船の水面がますます波立ち、お姉さまの右腕のピッチが上がりました。
 こけしの胴を握られたお姉さまの拳が、ラビアを打ち付けては引くをくりかえしています。
 そのたびに押し潰される私の腫れ上がりきった肉の芽。
 腟内がひっきりなしに痙攣しながら蠢いているのが自分でわかりました。

「あんっ、おっ、お姉さまっ、も、もうダメですっ、イッ、イッちゃいますぅ…」
「おねえさまぁ、イッてもよろしいでしょうかっ、イッてもよろしいでしょうかっ、イッてもよろしいでしょうかぁーっ…」

 バシャバシャ跳ねる水音。
 ざぶざぶ波立つ湯船の中で、マゾの服従ポーズでうねうね身悶えしながら懇願する私。

「そう。イキなさい。イッちゃいなさい。直子は河童に犯されて、自然の中であられもなくイッちゃいなさい」

 水面に見え隠れするお姉さまの美乳がプルプル揺れているのが見えました。
 襲いくる凄まじい快感に身を任せ、大きくのけぞると眼前いっぱいの青い空。
 
「んーーーーっ、あぁーーーーーっ!!!」

 その瞬間、頭の中でいくつもの星が弾け、やがて真っ白になりました。