2014年10月5日

就職祝いは柘榴石 04

「これは何?ああ、電動歯ブラシね。1、2、3・・・なんで6本もあるの!?」
「えっと、ほとんど私ので、あとのはシーナさまです」
「ふーん。何に使うのかは、だいたいわかるけれど、どうして6本も必要なのかしら?」
「あの、えっと、2本組み合わせて使ったり、あと、メーカーによって振動がけっこう違ったりもして・・・」

「へー、研究熱心だこと。でも今これ使ってどこか磨いたりしたら、きっと直子はすぐイッちゃうでしょうから、とりあえずパスね」
 色とりどりの電動歯ブラシを私の足元に並べるお姉さま。

「ホイッパー、ガラスのマドラー、栄養ドリンクの空き瓶。このへんは挿れて愉しむのよね?あっ、これ、懐かしい!」
 明るいお声と共にお姉さまがスーツケースから引っ張り出したのは、小さなカエルさんのおもちゃでした。
 ゴム製のけっこうリアルなカエルさんと、楕円形で手のひらサイズの空気ポンプが細くて長いチューブで繋がっていて、ポンプを押して空気を送ると、カエルさんの脚がビョーンと伸びて、ジャンプしたり泳いだりするおもちゃ。

「これもまさか、挿れちゃうの?」
 おっしゃりながら、お姉さまがポンプをプニプニ押すと、そのたびに緑色のカエルさんがピョンピョン跳ねました。
「あ、えっと、これはお友達にどこかのお土産ってもらって、可愛いからお風呂で遊んでいたとき、ふと思って、これを挿れたらどんな感じかなって、試したら・・・良くて」
 私とカエルさんを交互に見て、呆れたようなお顔をされるお姉さま。

「・・・アソコの中でモゾモゾ動いて、なんだか得体の知れない生き物に中を検査されているみたいな妄想が広がって、夢中でパフパフしちゃって・・・」
「ふーん。そんなにいいのなら、あとでやってあげるわ。これ、全部挿れてあげる」
 後日、私がおもちゃ屋さんなどを巡って買い足して全部で3匹となったカエルさんたちも、私の足元に並べられました。

「いろんな種類の筆に刷毛、メイクブラシ、ペットグッズのネコじゃらしまであるのね」
「使い捨てのゴム手袋、くっつく包帯。この大きな麻袋の中は何かしら?」
 お姉さまは、ひとつひとつ品物をスーツケースから取り出しては、私の足元に並べていきます。

「ああ、麻縄か。なんだかいい色に光って、年季が入っているわね。ちゃんとお手入れしているんだ?」
「はい・・・ミイコさまとシーナさまから教わって・・・」
「こっちの袋にはクリップ類が一杯。洗濯バサミは木製かステンレスなのね。あら、目玉クリップなんて、挟んだらかなり痛くない?」
 麻縄の束も洗濯バサミも、わざわざ袋から出して私の足元に置かれました。

 銀色のレジャーシートの上に、一見脈絡の無いさまざまな品物が、公園のフリーマーケットのお店みたく並びました。
 どれも最低一度は、私の肌や粘膜をいたぶったことのあるものたち。
 自分で集めた、自分を虐めるためのお道具をこうしてあからさまに目の前に並べられると、自分のどうしようもないヘンタイ性癖の歴史を赤裸々に突きつけられている気がして、ものすごく恥ずかしくなってきます。

「日用品系は、こんなところかしら」
 お姉さまは、スーツケースから取り出した30センチのプラスティック定規を右手で持ち、ご自分の左手のひらを軽くペチペチ叩いています。

「まだまだ面白そうなものがたくさん入っているけれど、このへんでちょっと、気分転換しましょうか」
 私の足元に並べたお道具たちをザザザっと、無造作に私の左側、お姉さまの足元のほうに押しやりました。
「充分にスペースを空けておかないと、体勢崩したとき、金属とかの上に倒れこんで怪我でもしたら危ないからね」
「・・・?」
 私は、キョトンとお姉さまを見ていました。

「直子?」
「はい?」
「四つん這いになりなさい」
「えっ!?」
「そこでまずひざまづいて、頭は鏡に向けて、お尻をカメラに向けて、四つん這いになりなさい」
「あ。えっと、はい・・・」
 お姉さまの豹変した冷たいお言葉に、背筋がソクソクッ。

 ご命令に従うには、まず回れ右をしなければいけません。
 棒枷で固定された両足をズルズル摺り足で、からだを180度回しました。
 鏡の中の自分と目が合い、私の全裸正面が映ります。
 それから、ゆっくりと両膝を曲げ始めました。

 この過程で私は、棒枷の、その残酷な威力に気がつきました。
 両足のあいだを約70センチ幅にも広げられたまま両膝を床に着いたら・・・
「ほら、さっさと床に這いつくばりなさいっ!」
 プラスティック定規でペチッと、背後のお姉さまにお尻を叩かれました。
「ひっ!あんっ!はいぃ!」
 膝を深く折るごとに、恥ずかしさが増していきます。

 和式のおトイレで用を足すときよりも数段大げさに両足を開いた状態で、その場にしゃがみ込む格好になりました。
 この段階ですでに、私の両腿の付け根部分は全開です。
 それから少し上体を前傾させ、両膝を床に着けます。
「ああんっ、いやぁんっ!」
 このあと、前屈みになってお尻を持ち上げたときの自分の格好がまざまざと脳裏に浮かび、激しい羞恥に思わず声が出てしまいました。

 四つん這い、と言っても、両手は手錠状態で背中に回されているので、上半身を両腕で支えることは出来ません。
 必然的に、上半身の支点となるのは頭。
 膝立ち姿勢から上体を前に傾けて、床に頭から飛び込んでいくのは、かなりの恐怖心を伴います。
 躊躇しているとお姉さまが、40センチ四方くらいに折りたたんだ白いバスタオルを、私の目の前に置いてくださいました。

「ほら、とりあえずここに頭を着けなさい」
 私の傍らにしゃがみ込んだお姉さまが、バスタオルを定規でツンツンつつきます。
「は、はいぃ」
 意を決した私は、その場で土下座するみたいに、バスタオルに正面から顔をうずめました。

 背中がお尻からの急降下斜面となり、背後のお姉さまに開ききったお尻を突き出す格好になります。
「顔は、モニターが見える方向に向けておきなさい。ほら、お尻はもっと高く上がるでしょ!?」
 タオルにうずめていた顔を右に向けると、左頬がタオルに沈みます。
 ふくらはぎと太腿が直角になるほど、グイッとお尻を上に突き上げました。
 両おっぱいの上部分のカーブが銀色のシートにベッタリ貼り付いて潰れ、両乳首がシートに擦れます。

「ふふ。すごい姿になったわね。直子が好きなカエルそっくり」
 お姉さまの愉しそうなお声。
 リモコンを弄っているのでしょう、右側のモニターに私のお尻がズームアップしてきました。

「いい眺めだこと。直子って、お尻の穴周辺にもまったくヘアが無いのね。ツルッツル綺麗で羨ましいわ」
 そんなに羨ましくもなさそうな、お姉さまのお芝居がかったお声。
 ドアップになった私の裸のお尻の前に、お姉さまの後頭部が邪魔するみたいに大きく映り込んでいるので、直接至近距離で、まじまじとそこを覗き込んでいらっしゃるのでしょう。

「お尻が左右に目一杯割れちゃっているから、アソコも割れて中の具まで覗けているわよ?」
 お姉さまがおしゃべりするたびに、その部分の皮膚にお姉さまの吐息がコソコソかかります。
 そのじれったい刺激と、あまりの屈辱恥辱感、それに相反するはずの恍惚感がごちゃ混ぜとなり、私の息もどんどん荒くなってしまいます。

「おツユがダラダラ垂れて、すごくいやらしい匂い。あら、お尻の穴がヒクヒク動いたけれど、直子、感じているの?こんな格好にされたのに?」
「はぁ、はぁ、はぁぃ・・・」
「こんなにみじめでみっともない格好なのに、そんな姿を視られて嬉しいんだ。何もかも丸見えで、クリットなんて、弾けて破裂しちゃいそうに膨れ上がっているわよ?」
「あぅぅっ、はぁ、はぁ、はぁぃ・・・」
「ふん!いやらしい子!」
 不意にモニターからお姉さまの後頭部が消えました。

 大きなモニター画面には、私のお尻を画面全体に捉えた白い肉塊のドアップ。
 お姉さまがおっしゃった通り、左右の尻たぶが見事に泣き別れになって、その中央に、周囲をシワシワで飾られた小さくて丸い穴と、その少し下に縦長の楕円形に広がったピンクの穴が、まるっきり無防備にさらけ出されていました。
 普通の女の子なら、絶対誰にも視られたくない、あまりにも屈辱的なアングル。

 そう考えた刹那、左の尻たぶに強い刺激が。
 パチンッ!
「あうっ!」
 お姉さまのプラスティック定規が私のお尻に振り下ろされた音でした。

「こんな格好にされたのに、悦んで愛液をダラダラ垂らすようないやらしい子には、お仕置きが必要よね?」
 パシンッ!
「あうっぅぅ、はぁぃぃ」
「だけど直子みたいなヘンタイだと、お仕置きもご褒美になっちゃうのよね?」
 パシンッ!
「うっぅぅ、はぁぃぃ」
「直子はお尻叩かれるの、大好きなんでしょ?」
 パシンッ!
「はうっぅぅ、はぁひぃぃ」
「マゾだものね?」
 パシンッ!
「はうっぅぅ、はひぃぃ」

「叩いたところがみるみる赤くなって、面白いわね、これ。もっと強いほうがいい?」
「はぁいぃ」
 バシッ!
「いたぁひぃぃっ」
「もっと強く?」
 バシンッ!
「はぁひぃぃ。もっとぅぅ」
 バシンッ!
「気持ちいいの?」
 バシンッ!
「はぁひぃぃ・・・」
「そろそろイキそう?」
 バシンッ!
「はぁひぃぃ!もっとぅ、もっとぅぅぅ!」
「じゃあやーめた」

 それきり、お姉さまの定規がお尻に降ってこなくなりました。
 また、焦らし責め。
 息をハァハァ荒くしながら、しばらくはお姉さまのイジワルさを呪っていた私でしたが、いつまでもつづく沈黙にだんだんと不安になってきました。
 
 床のタオルに左頬を押し着けた私の視界は、右側のモニターとその周辺しか見れません。
 お姉さまが私の背後や左側に居られると、そのお姿がモニターに映り込んだときしかお姿を確認出来ないのです。

「・・・お姉さま?」
 お尻への打擲が途絶えてしばらくすると、お姉さまの気配がまったくしなくなっていました。
 お姿も見えず、お声も聞こえず。
 苦労して顔を左側に向け、そちらも確認してみましたが、お姉さまのお姿はありません。
「・・・お姉さまぁ?」
 私が二度目に、大きな声でお姉さまを呼んだとき、私のお尻のほうから、微かな衣擦れの音が聞こえました。

 あ!
 きっとお姉さま、お洋服を脱いでいらっしゃるんだ!
 思い当たった途端に、不安が消し飛びました。

「直子のお尻叩いていたら、少し汗ばんじゃったから、リビングで服、脱いできたわ」
 私のお尻間近から、お久しぶりなお姉さまのお声が降ってきました。
 私は急いで、自分の顔をモニター側に向け直しました。
 でも、モニターには相変わらず、私のお尻のドアップしか映っていませんでした。

「うわー。お尻の左側だけ真っ赤っか。熱そう」
 お声と共に、モニターに再び、お姉さまの後頭部が侵入してきました。
 チラッと見えた白い肩先には、黒いブラジャーの紐らしきものが見えました。
「でも、叩かれて感じる、っていうのは本当のようね。ワレメが、以前にも増して濡れそぼって開き気味だもの」
 お姉さまの興味津々なお声が、吐息と共に私の皮膚を愛撫してきます。
「熱持って、なんだか痛々しいから、これで撫ぜてあげる」

 お声と同時に、赤くなった右の尻たぶに、こそばゆいものが当てられました。
「あふぅんっ!」
 モニターにチラッと映った感じでは、たぶんメイクブラシ。
 それも一番毛先が細くて柔らかい、私お気に入りのチークブラシのよう。

「ふぅん、んふふんっ、だめですぅぅぅ」
 熱を持ったお尻の敏感になっている皮膚をコショコショとくすぐられて、思わずお尻が大きく揺れてしまいます。
「おねだりしているみたいに腰振っちゃって、本当にスケベな子ね」
 なじるようなお姉さまのお言葉とは裏腹、ブラシの愛撫は止まらず、どんどんお尻の穴のほうに近づいてきます。
「いやんっ、くすぐったいですぅぅ」
 蜜がトロトロ、粘膜から滲み滴り落ちるのが、自分でも分かります。

「百合草女史とお会いしたとき、面白いこと、おっしゃっていたのよ」
 お姉さまは、私のお尻の穴の円周をなぞるようにブラシの毛先で撫ぜ回しながら、愉しげな口調でおっしゃいました。
「直子、女史やシーナさんに、ここはあんまり可愛がってもらえなかったんだって?」
 
 ここ、っていうお言葉と同時に撫ぜられたのは、お尻の穴。
 お姉さまのブラシが、今はもろに、私のお尻の穴を上から下から撫ぜつけていました。
「あふんっ、は、はい?」
 くすぐったさと恥ずかしさに身悶えしつつ、ご質問の意味がよくわからず、曖昧にお返事する私。

「あのふたりに、今までここにされたこと、思い出せる?」
 相変わらずピンポイントでそこをブラッシングされながら、再度のお尋ね。
「あぁん、えっと、百合草先生には、ぅふぅんっ、お浣腸と、あと、タンポンを挿れられたのは、憶えていますぅ」
「シーナさまには、そ、そう言われてみれば、ぁふうんっ、ゆ、指とか、ローター当てられたくらい、ですぅ、ううう、かな?」

「ふーん。自分では?」
「あ、えっと、自分だと、お浣腸と、指と、あと、マ、マドラーの先っちょを、ちょっ、ちょっとくらい、ですぅぅ」
「ふーん」
 お姉さまが操るブラシの毛先が、私のお尻の穴から離れました。

「おふたりがおっしゃるにはね、直子が将来、ステディなパートナーをみつけたときのために、ここだけは、そのまだ見ぬパートナーのために開発しないで、とっておいてあげよう、って決めていたのですって」
「えっ!」
「ほら、百合草女史は直子のヴァージン破っちゃったし、マゾ性を開花させちゃった張本人。シーナさんは、マゾの心得をどんどん教え込んで、直子のヘンタイ度を上げちゃったわけじゃない?」
「だけど、おふたりとも、直子を自分だけのパートナーに出来る立場ではないから。それぞれすでに本命がいるしね」

「だから、いつの日か直子にめでたく相手が出来たとき、ひとつくらい、その人の手で開発出来ることを残しておいてあげよう、って決めたんだって。それがここ」
 お姉さまのブラシが、もう一度私のお尻の穴をスルッと撫ぜました。
「あはんっ!」
「そしてあたしが、めでたく直子のパートナーとして認められたのよ、おふたりから」

「直子はもちろん、ここを弄くられるの、好きよね?」
「ぁあんっ、はいぃ」
「たとえキライって言われたって、あたしはヤル気マンマンよ?せっかくふたりが残してくれた未開発部分なのだもの」
 お姉さまが毛先を穴に強く押し付けて、やがて離れました。
「あはぁんっ!」
 微かなチクチクがもどかしい。

「あたしも、今まで誰かのここをイタズラしたのって、アユミにふざけて浣腸して紙オムツさせたくらいだったな」
「がまんしきれずに洩らしちゃったアユミの辛そうな顔を見たときは、すごくゾクゾクしたものだわ。あの情けない臭いにも、妙に興奮しちゃったし」
「それにここって、開発すればするほど、どんどん淫乱になっちゃうらしいじゃない?直子がそうなったとき、どんな顔を見せてくれるのかしら?」
 夢見るようなお姉さまの愉快そうなお声が、背中へ降りそそぎます。

「ねえ?直子はここのこと、いつも何て呼んでいるの?」
 お姉さまのブラシが、私のお尻の穴に戻りました。
「あんっ!えっと・・・お、お尻、の穴」
「他には?」
「ア、アナル・・・」
「他には?」
「ア、アヌス・・・」
「他には?」
「えっ、えっと、こ、肛門・・・」
「その呼び名の中で、どれが一番恥ずかしいと思う?」
「そ、それはやっぱり・・・えっと・・・こ、肛門がやっぱり・・・かな?」
「おーけー。それなら、こう宣言なさい」

 背後でお姉さまがカサカサ何かされる音がして、やがて一枚の紙片が私の目の前に差し出されました。
 レポート用紙大の紙に、細めの黒マジックの端整な文字で、短い文章が書かれています。
 紙片を置くときにチラッと見えたお姉さまのお姿は、上下黒の艶やかなランジェリー姿でした。

「大きな声で、ゆっくり、はっきり読むのよ?あたしたちスールのロマンティックな思い出として一生ビデオに残るのだから」
 お姉さまのお芝居がかったお声には、クスクス笑いが少し混じっていました。
「は、はいぃ!」
 
 お返事すると、カメラが更にズームアップしてきて、画面の中心が私のお尻の穴のアップになりました。
「あ!いっ、いやんっ!」
 直径10センチくらいにまで拡大された、自分のお尻の穴。
 恥ずかし過ぎて死にそうです。
「ほら、早く読むのっ!」
 パチンと平手で、高く突き上げたお尻をお姉さまにぶたれます。
「はいぃっ!」

「わ、私、も、森下直子の、のい、いやらしい、こ、この、こ、こう、もん、んっ、こ、肛門は、こ、これから一生、え、絵美お姉さま、ぁんっ、お姉さまだけの、もの、んっ、ものであることを、ち、誓いますぅぅぅぅ」
 
 自分で読んでいる文章の意味、その一字一句が私のマゾ性を激しくゆさぶり、お姉さまへの忠誠心が漲ります。
 同時に、被虐な血の昂ぶりで全身が滾り、イク寸前、息も絶え絶えにつづきを読み始めます。

「ど、どうぞ、どうぞっ、い、いつ、いつでも、ご、ご自由に、にっ こ、このこ、この肛門を、お、お使いください、くださいませぇぇぇ、ハァハァハァ・・・」
 
 まさしく私の本心が代弁された文章と、自分の肛門のドアップ画面を交互に見ながら、私の恥辱メーターは、振り切れたまましばらく戻りませんでした。


就職祝いは柘榴石 05


2014年9月28日

就職祝いは柘榴石 03


「この中のもの、全部使ったことあるのよね?」
「・・・はい」
「自分で買い揃えたの?」
「あ、いえ。日用品ぽいものはそうですけれど、オトナのオモチャ的なものはほとんど、シーナさまが置いていかれたものです」
「ふーん。これ全部試したら、一晩中かかりそうね。愉しみだわ」
 スーツケースから離れたお姉さまは、ソファーの上のご自分のバッグから何か取り出しました。

「これ敷いて。レジャーシート。直子んちの床を汚さないように一応持ってきたの。今日は直子に思う存分グズグズベトベトになってもらう予定だから」
 薄い笑みを浮かべたお姉さまから、銀色のレジャーシートを渡されました。
「ちなみに今後の直子の行動範囲は、あの固定カメラで追える範囲内ね。全編しっかり録画するつもりだから」
「あのカメラ、首は振れるのでしょ?」
「あ、はい、上下左右に」

 今現在カメラが映しているアングル、すなわち、鏡と化したマジックミラー窓の前、背後からのカメラが鏡に映る私をモニター画面の中央に映し出すような位置をまず確認して、シートを敷き始めました。
 シートは予想外にずいぶん大きくて、バルコニーに張り出したタイルの床全体を覆い、フローリングの室内まで、サンルームのほぼ全域をカバー出来ました。

 私がシートを敷いているあいだに、お姉さまはSDカードを録画装置にセット。
 つづいてソファーをベット状にしてから、監視カメラのリモコンと録画装置をしばらくいろいろ弄っていました。

 シートを敷き終わってお姉さまの傍らに戻ると、お姉さまは再びご自分のバッグから、今度は細長い金属の棒のようなものを何本が取り出されました。
 一本が30~40センチくらいの銀色に光る棒は、端がねじ式で連結出来るらしく、お姉さまが一本の棒をクルクル回して繋げると倍の長さの棒になりました。
 この棒にもいくつか銀色のリングが付いています。
 長い棒を2本作って、もう一度ご自分のバッグを覗き込むお姉さま。

「今日はバッグが重くて大変だったわ」
 苦笑いでおっしゃりながら、パンパンに膨れた巾着状の大きな布袋をバッグから取り出されました。
 巾着の紐を解き、中身をベッドの上に無造作にぶちまけました。
 ジャラジャラジャラ!
 巾着袋の中に詰まっていたのは、見るからに冷たそうな何本もの銀色の鎖でした。

 黒地の合皮ベッドの上にとぐろを巻いて、鈍く銀色に光るたくさんの鎖。
 アクセサリーで使われる鎖とは比べものにならない、自転車のチェーンくらいの太さの禍々しい鎖を見つめていると、からだがゾクゾク震えてきました。
 これからこの鎖で私は、両手両足を不自由に繋がれ、思い切りあられもない格好に拘束されて、散々いたぶられるんだ、大好きなお姉さまの手で・・・
 そう考えただけで、アソコのヒクヒクが止まりません。

「オシャレなバーキンにこんなもの入れて街中歩いてるのって、世界中であたしくらいでしょうね」
 お姉さまが自嘲気味にクスクス笑われました。
「でも今日は、直子がどのくらいマゾなのか、しっかり確かめたかったら、あたしなりにがんばって準備してきたのよ」
「さあ、ぼちぼち始めましょう。まずは直子にこの棒枷を付けてもらうわ。もっとそばにいらっしゃい」
 お姉さまが銀色の長い棒を手に持ち、私を手招きしました。

 ベッドに座るように指示され、鎖を少しどかして腰掛けました。
 鎖に触れたとき、そのひんやりとした感触にキュンキュン感じてしまいました。
「この棒枷を付け終わったとき、直子にとってのやさしいお姉さまは、いなくなるからね?」
 お姉さまのお顔から笑みが消えています。
「あたしの中のサディスティックな気持ちを総動員して、出来るだけサディストに成りきるつもりだから、覚悟してね」
 冷たい瞳でおっしゃりながら、腰掛けた私の足元にひざまづきました。

 私の左足首の足枷のリングにジョイントのようなものが繋がれ、5センチくらいの鎖のもう一方の端を、棒枷の左端のリングに繋がれました。
「足を大きく開いて」
 お姉さまのお言葉で左右の足の間隔を恐々少しずつ広げます。
「だめだめ、もっともっと」
 怒ったようなお言葉と共に、右足首が掴まれて、外側へ大きくグイッと広げられました。
「あっ、いやんっ!」
 両膝が大きく割れます。
 お姉さまはお構い無しに、右足首の足枷に棒の右端を繋ぎました。
 腰掛けている私の両足は、70センチくらいの幅に左右泣き別れになったまま棒枷で固定され、一生懸命内股にしても、まったくアソコが隠せない状態になっていました。

「立ちなさい」
 お姉さまに促され、ゆっくり立ち上がります。
 左右の足幅が固定されているので、すごく不自由でよろめきます。
 さっき強引に足幅を広げられたとき、腿の付け根の裂け目が割れてしまい、滴り出たはしたないヨダレが右の内腿をトロリと滑り落ちていきました。

「両手はどうしようかしら?」
 お姉さまの独り言。
「とりあえず後ろでいいか」
 5センチくらいの短い鎖を掴んだお姉さまに後ろ手にされ、左右の手枷を背中で繋がれました。

「おっけー。その格好でカメラの前に戻りなさい」
 軽く背中をこずかれ、よたよたと歩き始めます。
 両足が大きく広げられたままなので、歩きにくいことこの上ありません。
 遠く離れた右足と左足を床に摺るように、ちまちま前進するしかありません。
 膝を大きく上げてガニマタっぽく歩を進めれば、いくらかマシに歩けそうですが、その姿はひどくお下品そう。
 出来の悪いロボットのような摺り足でズルズルと、なんとか窓際までたどり着きました。

 鏡に映った自分の姿は、とてもみじめなものでした。
 赤い首輪の全裸の女。
 両足に巻きつけられた赤い足枷を繋ぐ、銀色の無機質な長い金属棒。
 70センチくらいのその棒の長さより狭く閉じることを禁じられた両足が、すごく不自然に床に踏ん張っています。
 
 両手はほとんど動かす余裕無く、背中で拘束。
 必然的に、胸を張るような格好になり、痛いほど尖りきったふたつの乳首を誇示するように、おっぱいを無防備に前へ突き出す姿勢です。
 裂け目からヨダレがポタポタ、銀色のシートを汚していました。

「これから直子のマゾっぷりをひとつひとつチェックして記録していくから、聞かれたことにはすべて、正直に答えること。いいわね?」
 お姉さまがリモコンで、カメラの角度やズームを調整しながら、投げつけるような口調でおっしゃいました。
 右脇に見えるモニターには、私の全身が綺麗に収まっていました。
 少し遠目ですが、足元に置かれたオモチャ箱と、鏡に映る正面からの姿もしっかり見えています。
 お姉さまったらいつの間に、カメラとモニターの操作方法を把握しちゃったみたいです。

「まずは、直子が言うところの日用品ぽいものから、使い方を説明してもらうことにするわ。カメラのほうを向きなさい」
 私の背後に来たお姉さまのご命令。
 振り返ろうとしますが、強制足幅固定の両足では、180度回転するのも一苦労です。
 お姉さまがリモコンを使い、モニターに生身の私の膝から上の全身が入るように調整されました。

 私のオモチャ箱の傍らにしゃがみ込んだお姉さまが、中からいくつかのお道具を手に取りました。
「トング類ばっかりいくつもあるわね?アイストングにパスタトング、パントング。こんなの何に使うの?」
「あ、はい・・・私、金属類の感触が好きで、こういうので挟まれたり、からだを弄られると気持ちいいんです」
「なるほどね。こんな感じ?」
 お姉さまがパントングで、私の右おっぱいの下乳をいきなりムギュッと掴んできました。
「あぁんっ!」

「手で揉まれるより。こういうので掴まれるほうがいいんだ?」
 パントングをグリグリ動かしながら、お姉さまが聞いてきます。
「あんっ!い、いえ、お姉さまならば手でももちろんいいのですが、あぁんっ、オ、オナニーのときは、こういう無機質なものに虐められるほうが、被虐感に萌えるというか・・・」
「ふーん。金属フェチの気もあるのね」
「あふんっ!」
 今度はパスタトングで左乳首をつままれました。
「もっと強いほうがいい?」
「ああんっ、はいぃ・・・」
 パスタトングの先で乳首を挟まれたまま、グイッと引っ張られました。
「あはぁぅっ!ぃやぁん!」

「マゾなら当然、先がもっとチクチクしてたほうがいいのよね?これみたいに」
 お姉さまがアイストングに持ち替えて、カチカチ鳴らします。
 そのアイストングの先っちょの細かいギザギザは、私の一番のお気に入りでした。

「はいぃ。それで乳首をつままれると、いつもジンジン感じちゃうんですぅ」
「へー、そうなの?」
 イジワルな笑みを浮かべたお姉さまが、右乳首にアイストングの開いた先っちょをあてがいました。 
 火照った乳房にひんやりした感触。
「ひぃっ!」

「これをどうして欲しい?」
「閉じてください、ギュって閉じてくださいぃ」
「こう?」
「ひいぃーーっ!」
 お姉さまがおもむろにトングの先を閉じました。
「コチコチの乳首にトゲトゲが喰い込んでいるわよ?痛くないの?」
「痛いですぅ。でも気持ちいいんですぅぅぅ」
「ヘンな子」
「ううぅぅぅーっ!」
 お姉さまが操るアイストングで、私の両乳首がしばらくもてあそばれました。
 開きっぱなしの私の股間から、悦びのヨダレがダラダラ垂れ滴り落ちました。

「もう一箇所、これで挟んで欲しい場所があるのでしょう?」
 執拗な乳首虐めで、私の両乳首は破裂寸前、凄い熱を持っていました。
 もう少しつづけられたら、それだけでイっていたと思います。
 絶妙なタイミングでお姉さまのアイストングが肌を離れました。

「はいぃ・・・挟んで欲しいですぅぅぅ」
 息を荒くしてお答えします
「どこ?」
「あの、ここ、ここです、ク、クリトリスです、クリトリスを挟んでください!」
 下半身をお姉さまに突き出すように背中を反らして、懇願しました。
「はしたない子ね。女の子はそんなお下品なこと、大きな声で言うものではなくてよ?」
 すごくイジワルなお顔の、すごく愉しそうなお姉さま。
「ごめんなさい。でも、でもぅ」
 ますます背中を反らして、アソコを突き出す私。

「だって、そのえっちなおマメをこれでつまんだら、直子、あっさりイッちゃうでしょう?」
「はい。イッちゃいます。イかせてぇ、イかせてくださいぃ」
「だめよ。まだ始めたばかりだもの。そんなのつまらないわ」
 お姉さまは身を屈め、私の足元近くに使ったトング類を並べて置いて、また立ち上がりました。

「それからね、これから直子は、あたしの許可無しに、勝手にイってはいけないことにしましょう」
 私の顔をまっすぐ見つめておっしゃいました。
「イキたいとき、イキそうなときは、必ずあたしに言って許しを請わければいけないの、イってもいいですか?って」
「そうだ!プライベートでもそうしようか?オナニーもあたしの許可制。直子がオナニーしたくなったら、あたしに連絡して許可をもらわなくちゃいけないの」
「でもまあ、あたしも四六時中相手はしていられないから、メールでいいわ。オナニーしたくなったらあたしにメールを送ること。これからオナニーします、って」
 本気なのか冗談なのか、お姉さまは蔑むような笑みを浮かべて私を見つめています。

「決まりね。いい?わかった?」
「は、はい」
 お姉さまとのおつきあいが順調につづけば、きっとひとりでオナニーする回数も減ることでしょう。
 私は深く考えず、喜んで同意しました。

「無機質な感覚が好きなのかあ。そう言われてみれば金属製の道具が多いわね」
 オモチャ箱のスーツケースを覗き込んでいたお姉さまが、また何かを手に取って立ち上がりました。
「ルレットにバターナイフ。これはまあ、使い方はわかるわ」
 右手に持ったバターナイフで、私の下半身の裂け目をペタペタッと撫ぜてきました。

「あふんっ!」
「溢れ出たおツユがペタペタして蜂蜜みたいね。穴の中に戻してあげましょう」
 ワレメの縁に沿うように、無機質な金属の感触が私の粘膜をヌルヌル擦ってきます。
 腫れ上がったピンクの肉芽をギュッと押し潰されます。
「あっ、あっ、あー・・・」
 粘膜の中をなめらかにいたぶる硬い感触。
「いぃ、もっと、もっとぉ・・・」

「それで、ルレットは、こうよね?」
 お姉さまの左手に握られたルレットのギザギザ歯車が、私の右おっぱいに歯を食い込ませてグルグル走り回り始めました。
「いいっ、あっ、あぁんっ、いたぁいっ!」

「服飾部の頃、これでアユミのこと、よく虐めたものだわ。この感触ってマゾの子には、クセになるみたいね」
 刃先が乳首に乗り上げると、鼻先からおでこへツーンと、痛痒い快感が駆け抜けていきます。
「あんっ、はいぃ。よ、横浜で、スタジオのとき、ああんっ。お姉さまが用意してくださったお道具の中に、そ、それがあって・・・うぅんっ・・・」
「すっ、すごく、嬉しかったですぅ。お姉さまが、わ、私のこと、あんっ!わかってくださって、い、いるみたいで・・・あっ、あーっ!」
 バターナイフとルレットの絶え間ない陵辱に、私はたちまち、ぐんぐん昂ぶっていきました。

「お、お姉さまぁ・・・イ、イってもよろしい、うぅっ、よろしぃですかぁ?」
「だーめ。がまんしなさい」
 からかうようにおっしゃりながらも、手を止めないお姉さま。
「あうっ、イっちゃいますぅ、うっ、イかせてくださいぃぃ!」
「だーめ、まだよ」
「いぃ、いいぃ、イかせて、イかせてっ、あっ、もっと強くぅ、あぁぁぁぁっ・・・」
「だーーめ!」
 あともうちょっと、というところで、お姉さまの両手がススッと、私のからだから離れました。

「ハァハァハァハァ・・・」
 体内の昂ぶりが名残惜しそうに引いていくのがもどかしく、お姉さまをうらめしげに見つめました。
「そうそう。その顔。直子のその顔が見たかったのよ」
「欲求不満を募らせたそのふくれっ面。あたし直子のその顔が、一番ゾクゾクしちゃうの」

 とても愉しそうなお姉さまのニクタラシイお顔。
 何事も無かったみたいにルレットとバターナイフをシートの上のトング類の横に並べたお姉さまが、瞳を妖しく輝かせて、再びスーツケースを覗き込みました。


就職祝いは柘榴石 04


2014年9月23日

就職祝いは柘榴石 02

「へー、いいお部屋じゃない?」
 お姉さまをリビングにご案内して、私はお紅茶の用意。

「ずいぶんと落ち着いた感じなのね。直子のイメージだと、大きなクマさんのぬいぐるみとか、もっとメルヘンチックなお部屋を想像していたけれど」
 お姉さまは、リビング内をゆっくりと歩き回りながらスーツの上着を脱ぎ、テレビ周りやサイドボードの中を興味深げに眺めています。
「モノトーンにブラウンとグリーンが基調なのね?いいセンスだと思うわ」

「これは、地元にいた頃におじゃました、やよい先生、あ、いえ、百合草先生のお部屋の真似をしただけなんです」
 L字に並べたソファーの前のガラステーブルにティーカップを置いて、お姉さまの上着を預かりハンガーに吊るしました。
 
 上着を脱いだお姉さまは、シャープな白ブラウスと濃茶のタイトスカートにベージュのストッキング。
 ソファーに腰掛けると、膝上丈のタイトスカートから伸びたピカピカ光る美しいお膝とスラッとしたおみ足がすごくなまめかしい。
 そこばかりじーっと見入ってしまうほど。

「ふーん、百合草女史のねえ・・・」
 お姉さまがティカップに唇をつけてから、隣に座った私の顔を覗き込むように見つめてきました。

「こんなシックなお部屋で、いつもひとりで裸になって暮らしているんだ?全裸家政婦ごっこで」
「い、いつも、というわけではないですけれど・・・」
 お姉さまのいたずらっぽい瞳に悩ましく見つめられて、急激にドギマギしてしまいます。

「このお部屋に入ったら、裸にならなければいけないルールなのでしょう?ムラムラ期のときは」
「直子、このあいだ教えてくれたじゃない。今はどう?ムラムラしていないの?」
「あの、えっと・・・」
 お姉さまの隣でモジモジする私を、お姉さまが薄い笑みと共に見つめてきます。
 不意にお姉さまのお顔が動き、私の唇にチュッと軽くキスをくださいました。

「遠慮しなくいいのよ?ルール通りに裸におなりなさい。あたしは気にしないから」
「あ、は、はい・・・」
 これはお姉さまからのご命令、と理解した私は、ソファーに腰掛けたままブラウスのボタンをはずし始めました。

「百合草女史とシーナさんにお会いしたとき、直子のえっちな性癖をいろいろたくさん、詳しく教えてもらったのよ」
「どういう悪戯が好みか、とか、どんなことをされると悦ぶのか、とか」
 お姉さまは、私がブラウスのボタンをはずしていくのを至近距離でじーっと見つめながら、ささやくように語りかけてきます。
「直子って、えっちな妄想物語とかも、ずいぶん書いているのね。愉しく読ませてもらったわ。面白かった」
「テキストデータを全部もらったわ」

 えっ!そんなものまで見られちゃったの!?
 ハイソックスを脱ごうとしていた私の手が、思わず止まりました。
 恥ずかしさで全身の血液が逆流しそう。

「今日はその下着を着けていたのね?ちょっと立ってみてくれる?」
 お姉さまに促され、両方の靴下を脱いでから立ち上がりました。
 すべてのボタンがはずれたブラウスと、ホックとジッパーをはずしていたので、立ち上がった途端に足元に落ちたスカート。
 お姉さまも立ち上がり、私の両腕からブラウスを抜いてくださいました。
 ランジェリーだけの姿で、自然とマゾの服従ポーズになる私。

「このブルーの上下も、あたしが見立てたやつだったわよね。やっぱりすごく似合っている」
 フロントホックでストラップレスのブラと、両サイドを紐で結ぶ式のハイレグフルバックショーツ。
 ソファーの前で、両足は、やすめ、両手は後頭部で組んでいる私の全身を、お姉さまがまじまじと見つめてきます。

「それでね、あたし考えたのよ。あ、さっきの話のつづきね」
 お姉さまが前屈みになり、私の左腰のショーツの紐をスルスルっと解きました。
 アソコに密着していた狭めな布がアソコを離れ、ダランとだらしなく右内腿のほうに垂れ下がりました。

「あらあら、もう濡らしちゃっているの?ほんと、いやらしい子」
 アソコの裂け目から布の内側へとか細く透明な糸が伸びて、切れました。
 奥はもう、キュンキュン疼いています。

「百合草女史もシーナさんも、今までずいぶんエグイ悪戯を直子にしてきたじゃない?それに直子が書いた妄想物語もすごくえげつなかったし」
「だから、あたしが直子のマゾ気質を満足させて、女史やシーナさんを忘れさせて、あたしだけの直子にするためには、かなりいろいろがんばらなければいけないぞ、って」
 
 おっしゃりつつお姉さまの手で右腰の紐も解かれ、ショーツが足元にパサリと落ちました。
 これで下半身は剥き出し。
 お姉さまからの嬉しい、がんばる宣言、にゾクゾク感じてしまい、右内腿を歓喜の涙がダラダラ滑り落ちていきます。

「だから今夜は、あたしも未知の領域までチャレンジして、自分がどのくらいサディスティックになれるか、試してみようと思っているの」
「直子が妄想物語で書いているようなことは、して欲しいことなのよね?あたしにとっては、けっこうエグイと思っちゃうことばかりなのだけれど、直子はそのぐらいでは、音を上げないのよね?真性マゾだから」
「あ、えっと、は、はい・・・だ、大丈夫です・・・」

 お姉さまの手でフロントホックもはずされた私は、全裸になってゾクゾク震えています。
 乳首が痛々しいほどの超背伸び。
「あたしもかなりワクワクしているの。新しい自分に出会えそうな気がして」
 うふふ、と笑ったお姉さまの瞳に妖しい官能の炎がユラユラと揺れていました。
 Mだけがわかる、Sな舌なめずりの音と共に。

 私が脱ぎ捨てたブラウスや下着を全部綺麗にたたんで、お部屋の片隅に片付けてくださったお姉さま。
 つづいてご自分のバッグの中をがさごそされていました。

「手始めにこれ、着けてくれる?」
 お姉さまがテーブルの上に並べられたのは、レザーらしき質感の短いベルト状のものたちでした。
「あたし、ロープはうまく扱えないから、手っ取り早く拘束するなら、こういうの使ったほうが早いと思ってね」
「これが首輪。そっちが手枷でこっちが足枷ね」

 鈍い赤色をしたそれらは、それぞれに大小のリングがいくつかぶら下がっていて、見るからに禍々しい感じでした。
 きっとこのリングに鎖をあれこれ繋いで、あられもない格好で拘束されてしまうのでしょう。
 やよい先生もシーナさまもロープの達人で、拘束はもっぱらローブでしたから、こういう器具での拘束は逆に新鮮、ワクワクウズウズです。

「手枷と足枷着け終わったら言って。首輪はあたしが着けてあげる」
「は、はい・・・」
 
 その場でしゃがんで足枷から着け始めます。
 裏地がフワフワしているので、きつく締めても想像していたより痛くはありません。
 両足首に赤いレザーを巻きつけたら、立ち上がって両手首。
 左手を終えて右手に移ったとき、お姉さまが私の背後に立ち、おもむろに首輪を巻きつけてくださいました。

 首輪の裏地が首に触れた瞬間、背筋を被虐的な官能がゾクゾクっと駆け上がりました。
 シーナさまからいただいたチョーカーより倍も太い無骨な首輪。
 この首輪を着けたら、私は一生お姉さまのペット。
 痛くない?とお姉さまに聞かれつつ、ギュッと首を締め上げられるだけで、アソコの中がヒクヒク騒ぎました。

「この拘束具、知り合いに頼んで、一番いいものを選んでもらったのよ。そのスジでは最高級品なんだって」
 お姉さまに手を引かれ、姿見の前に連れていかれました。

 白いブラウスに濃茶のタイトスカートなクールビューティさまの隣に立つ、赤い首輪の全裸女。
 首、と名の付くすべての部位に鈍い赤色のレザーを巻きつけておどおどしている、みじめな裸の女。
 銀色のリングが鏡の中でキラキラ光っています。
「ふふ。だいぶドレイらしくなったじゃない?可愛いわよ」
 鏡の中の私の全身を、お姉さまが舐めるように見つめていました。

「さてと、次は直子のお仕置き部屋とやらを、見せてくれる?」

 お仕置き部屋というのは、我が家のサンルームのことです。
 バルコニーに温室のように張り出した、窓全面がマジックミラー張りの畳6畳分くらいのスペース。
 主にお洗濯物干しに活用しているスペースなのですが、シーナさまが頻繁に訪れるようになって、やがてこのお部屋がメインのプレイルームとなっていました。

 マジックミラーなので夜になると、窓が全面鏡と化すこと。
 お洗濯ものを干すために物干し用パイプやポールが設えてあるので、私を恥ずかしい格好で縛りつけるのに好都合なこと。
 窓脇のドアからすぐにバルコニー、つまりお外に出られること。
 バルコニー側のお隣は広い駐車場なので、近くに建物が無く、バルコニー内を覗かれる危険が少ないこと。
 バルコニーに張り出した部分の床はタイル敷きでお外に排水できるため、汚してもお掃除が楽なこと。
 トイレとバスルームに隣接していること。

 などなどの理由でシーナさまが気に入って、いつしか私を虐めるときはいつも、このサンルームを使うようになっていたのでした。

 そしてシーナさまは、このスペースを、ご自分の好みに合うようにいろいろ改造されました。
 
 まずはパイプ式の簡易ソファーベッドを導入。
 それからインターフォンで使うような監視カメラを設置して、持ち込んだ大きなモニターでリアルタイムにお部屋の様子が映し出されるようにしました。
 もちろん録画も出来ます。
 カメラを何台か繋げて一度にモニターに映す装置まで置いてあります。
 さらに、本格的なバレエバー、バレエの練習のときに手でつかまる手摺りのこと、まで壁際に設えてしまいました。
 もちろん大家さんの許可をいただいて。
 私がバレエをやっていたことは、大家さんもご存知でしたので、お話はスムースだったそうです。

 こうしていつしかお仕置き部屋と呼ばれるようになったこのスペースで、私はシーナさまからさまざまなお仕置きを受けてきました。
 
 パイプとポールに磔のような格好で縛り付けられて全身を鞭打たれたり、タイルの上で蝋責めされたり、全裸のM字縛りでローターをアソコに挿れられたまま深夜のバルコニーに放置されたり、バレエバーに結び付けたコブつきロープで股間を嬲られたり、パイプベッドに大の字のままシーナさまの股間を舌だけでご奉仕したり・・・
 そんな恥ずかしいお仕置きの様子は、監視カメラやシーナさまの手持ちカメラで逐一記録され、シーナさまのライブラリーになっていました。

 サンルームに入って電気を全部点け、下がっていたブラインドをすべて上げました。
「うわー。ここは、すごいわね!」
 煌々と輝く光の中で窓ガラスがすべて鏡となり、着衣の美人さんと全裸に首輪のマゾ女を容赦無く映し出しました。

「こんな鏡張りの部屋でえっちなことしたら、かなり恥ずかしいわよね」
 おっしゃいつつ、窓横にあるバルコニーへの出口ドアを躊躇無く開いたお姉さま。
「見晴らしは広々としているんだ。これなら陽当たりいいわね。あ、ほんとだ、高層ビルがバッチリ見える」
 バルコニーに降りたお姉さまは、夜空を見上げているようです。

「直子、ちょっとこっち来てごらん。ほら、あのへんがあたしのオフィス」
「えっ?」
 全裸に首輪ですから一瞬、躊躇。
 でも、見られちゃう心配はほぼないことがわかっているので、意を決して、それでもやっぱり前屈み気味になって、バルコニーに降り立ちました。

「ほら、真ん中より少し上の左端のほう、電気の点いているフロアが縦に3つあるでしょう?その上の暗い窓があたしたちのオフィスよ」
「えっ?あ、あの、えっと・・・」
 
 お姉さまの背中から一歩下がった位置で、胸と股間を両腕で隠した中腰のまま、おずおずとお姉さまが指さす方向に目を向けました。
「シーナさんに教えてもらったのよ。直子んちのベランダからオフィスが見えるはずよ、って」
 遠くに見える高層ビルの一角に、ご指摘通りの箇所がありました。

「この感じなら、うちのオフィスからもここが覗けるかもね。オフィスの開業祝に天体望遠鏡いただいたのよ。とある業者さんから」
「高層ビルの窓からなら、きっと夜空が綺麗でしょうから、って。最初は面白がってみんなで覗いていたけれど、最近はぜんぜん使わずに埃かぶっているわ」
「今度ヒマなときに試してみるわね。あ、でも知ってる?天体望遠鏡って、景色が逆さまに見えるのよ・・・」
 
 ハイテンションでおしゃべりされていたお姉さまが、私のほうを振り向いた途端にお口をつぐみました。
 薄暗闇の中、今更のように私の全身をしげしげと見てきます。

「直子ってすごいのね。自分ちのベランダに、まっ裸で出ちゃうんだ?」
「あ、こ、これはその、よ、夜ですし、周りからは覗けない、って知っていますから・・・」
「だとしたって、ヘンタイよ。ここだってれっきとした外、パブリックプレイスなのよ?見上げた露出狂っぷりだわ」
「そ、それに、今はお姉さまと一緒ですから・・・い、いつもより大胆になれる、って言うか・・・」

 私の本心でした。
 お姉さまが一緒にいてくださるなら、どんどん大胆になれる気がしていました。
 それを聞いたお姉さまは、ニコッと笑って裸の私をその場でギュッと抱き寄せ、唇を重ねてくださいました。
「んぐっ」
 少しだけ舌を絡め合います。
 お外の風がやさしく私の素肌にまとわりついてきます。

「そう言ってくれると、なんだか嬉しいわ。あたし、直子にそんなに信頼されているのね」
 唇を離してから、お姉さまが照れたように微笑みました。
 それからちょっとイジワルなお顔になって、
「もしもあたしのオフィスからここを覗けるようだったら、そのときは直子に、ここでオナニーしてもらうからね」
「それをあたしは、遠く離れたオフィスの窓から望遠鏡で覗き見るの」
 冗談ぽくそんなふうにつづけて、私の手を引いてお部屋の中に戻りました。

「そうそう、直子って、えっちなオモチャ箱を隠し持っているのでしょう?宝箱だっけ?それも見せてよ」
 ソファーベッドに腰掛けたお姉さまが、そんなことをおっしゃりながら、手許にあったリモコンのボタンを何気なく押しました。

 壁際の大画面モニターに一瞬閃光が走り、モニターに窓際の一帯が、右斜め後ろからのアングルで映し出されました。

「なるほどね。鏡の前でえっちなことをしていると、鏡に映った正面からの姿が横のモニターにも大画面で映るっていうしかけなのね」
「あ、はい。何台かカメラを繋げられるので、モニター画面を4分割にしてそれぞれを全部一度に映すことも出来ます」
「ふーん。それは愉しそう。録画も出来る?」
「はい。SDカードで」
「あたしちょうど未使用のカード持っているわ。今夜の様子が残せるわね」
 お姉さまが再び、ご自分のバッグをがさごそし始めました。
 
 そのあいだに私はお姉さまのお言いつけ通り、寝室にしている自分の部屋から、海外旅行に使うような大きなスーツケースを運び出しました。
 この中には、私のからだを虐めるために、自分で買ったり、やよい先生やシーナさまからいただいたえっちなお道具がぎっしり詰まっています。

「うわー。これまたすごいわね!」
 スーツケースを開くと、お姉さまが感嘆のお声をあげられました。


就職祝いは柘榴石 03