2010年12月5日

図書室で待ちぼうけ 06

「そうこうしているうちに二年生になって、パソコンでネットの面白さを知っちゃってからは、そっちのほうが断然楽しくなっちゃって」
「早く家に帰ってネット開きたくて、友達どころじゃなくなっちゃった」

「恥ずかしいひとりアソビしているのを誰かに見られて弱みを握られちゃうと・・・」
相原さんが急に声をひそめました。

「ありえないほど短いミニスカートをノーパンで穿かされたり、濡れると透けちゃう水着を着させられてプール授業を受けるように命令されたり」
「マネキン人形に混ざって裸で立っていることを命令されたり、アソコに何か入れたまま町を散歩させられたり」
「いろいろやらされて最後、裸で男子トイレに縛られたまま放置されて、セーヨクショリロシュツドレイニクベンキにさせられて、たくさんの男たちから精液を浴びせられちゃうの」

「ええーっ!?」
私は本気で驚いて、思わず大きな声が出てしまいました。
道行く買い物客おばさま何人かが、声に驚いて私たちのほうを注目しています。
私は、真っ赤になって身を縮こませます。

「ネットの読み物だと、たいていそういう結末」
相原さんは、可笑しそうに手で口を押さえて立ち止まり、真っ赤になった私を見つめました。
「ネットの読み物だと露出癖のある女性は、たいてい、どんなひどい命令をされてもイヤイヤながらも受け入れて、最後には、もっとやってー、ってなっちゃう、男にとってすごく都合のいい女、として描かれてるの。そういうのが男性一般の共通幻想なのかしら?なんだか単純」
再び歩き出しながら、相原さんは、まだ可笑しそうにクスクス笑っています。

「なんだー、ネットでのお話なの?私、現実のことかと思ってびっくりしちゃった・・・」
「ごめんごめん。森下さんて素直でカワイイ」
私は、少し拗ねたフリをして、頬を膨らませて、唇をとんがらかせます。

「でも二年のクラスでなら、森下さんと、あと森下さんたちのグループのちょっと背の小さい子・・・」
「しーちゃん?」
「そう。えーっと・・・藤原しのぶさん、だっけ?」
「そう」
「その二人とは、おしゃべりしてみたかった。わたし、静かめで可愛らしい女の子、大好きなの」
「そんなこと言ったら、相原さんこそ、そうじゃない?」
「・・・だから森下さんと仲のいい川上さんが羨ましかった」
相原さんは、私の言ったことにはコメントせず、お話をつづけます。
「だから川上さんとも、おしゃべりしてみたい気持ちもあった・・・」

「あ、でもわたし、レズとかそういう気は全然ないの。ただ同学年の男子はガキばっかりだし、まわりに心トキメクような大人の男性もいなくて、どっちかって言うとロクでもないのばっかりだから・・・それならカワイイ女の子のほうがいいや、っていう程度で・・・」
そこまで話したとき、私たちがお別れしなければならない交差点に着いてしまいました。

「森下さんは、今日、図書室当番だったんでしょ?」
「うん」
「その当番って、曜日で決まっているの?それとも何日おき、とか?」
「ううん。曜日。私は火曜日の担当」
「それなら、来週の火曜日の放課後に図書室に行けば、また森下さんに会えるの?」
「うん」
「また会いに行って、いい?まだわたしの話も途中だし」
「それはもちろん、いいけど・・・別に図書室じゃなくても、クラスのお教室も近いし、火曜日以外でも会おうと思えば会えるんじゃないかな?」
「ううん。だって森下さん、木曜日はバレエ教室でしょ?それで他の日は川上さんたちの誰かと一緒に帰るじゃない?」
「それはそうだけど・・・」
「わたし、そういう森下さんの日常は、壊したくないの。今のお友達は大事にして。だから、逆に言うと、火曜日の放課後だけ、わたしにくれない?森下さんの時間を。わたしは、それだけでいいから」
「・・・うん。わかった。相原さんがそれでいいなら・・・」
「ありがと。うれしい」

相原さんは、すっごく綺麗な笑顔を私にくれました。
それから、ススっと身を寄せてきて、私の耳に唇を寄せてきます。
「森下さん、今日のパンティはピンク。さっき向かい合って座ってたとき、チラっと見えちゃった。うふっ。カワイかった」
耳元に息を吹きかけられながら、つぶやくような声でそんなことを言われて、私はゾクゾクっと感じてしまい、みるみる顔が熱くなってしまいました。

「それじゃあ、また来週、火曜日の放課後に、ね。バイバーイ」
相原さんは右手を小さく振ってから、ちょうど青信号に変わった横断歩道を駅のほうに小走りに渡って行きました。

一人になって、お家までの帰り道。
私の頭の中は、盛大に混乱していました。
今日見た光景、相原さんの言葉、私の感情、からだに残る感触・・・
それらが私の中に無秩序にとっちらかっていて、どこから整理していいかわかりません。
この感情を大雑把に一言で言い表すなら、
相原さんってスゴイ!
なんですが・・・
とにかくお家に帰って、ごはんとかお風呂を済ませて、ゆっくり落ち着いてから考えることにしよう。
そう決めて、家路を急ぎました。

その日の夜。
お風呂に入って、パジャマに着替えて、あとは寝るだけの午後10時過ぎ。
ベッドの縁に腰掛けて、今日の出来事について考え始めました。

相原さんは、性格にエキセントリックなところが多少あるみたいですが、悪い人ではなさそうです。
気配りもしてくれるし、無理強いもしないし。

相原さんが今日やっていたことは、まさしく私がやってみたいけど怖くて出来ないことでした。
その現場を現実に見て、私がすごく羨ましく思ったことは、事実です。
でも、かと言って、私もやってみよう、とは、やっぱり思えませんでした。
現場を見てしまったからこそ、その怖さも肌でリアルに感じました。
いくら気持ちいいこととは言え、バレたときの両親やお友達への影響は、考えただけで身震いしてしまいます。
やっぱり、妄想の中だけでがまんしておこう。
そう思いました。

私が相原さんの行為を最初に見たときに感じた警戒心は、だいぶ薄れていました。
それどころか、相原さんのからだを見て、たくさんお話して、私の心の中に相原さんに対する好意さえ芽生えていました。
相原さんのからだは、本当にとてもキレイでした。
できることならさわってみたい・・・
でも相原さんは、レズっ気は無い、って言ってたっけ。
ひょっとしたら男性との経験がもうあるのかもしれません。
相原さんは、ネットをやってるからえっちな知識も私より全然詳しいみたいです。

ただ、相原さんがえっちなことをしているとき、ときどき私に投げかける、探るような目付き、が気になりました。
相原さんは、私に対して、同類の匂い、を感じているような気がしました。
でも、私は相原さんほどの勇気は持っていないので、同じフィールドに巻き込まれると私のほうが危ない、と感じました。
やっぱり、私のヘンな性癖に関しては、隠しておいたままのほうがいいかな・・・

あらためて、今日体験した出来事を思い出しているうちに、知らず知らず、私の手が自分のからだをまさぐり始めていました。

相原さんのからだ、キレイだったなあ・・・
相原さんも今日のこと思い出して、今頃オナニーしているんだろうなあ・・・
相原さんはショーツのこと、パンティって呼んでたなあ・・・
パンティって、なんだかすっごくえっちぽい響きだなあ・・・
私は、パジャマをゆっくり脱いでいきます。
私は、相原さんの気持ちになって、今日相原さんがしていたことを自分のからだで追体験することにしました。

図書室で全裸になっているところをみつけられてしまった私・・・
ノーブラ、ノーパンで学校の制服を着て、下校する私・・・
公園の桜の木の陰で下半身を露出して、アソコを自分の指で広げる私・・・
スベリ台の下でおっぱいをはだけて、両膝を180度開いて、さらに自分の手でアソコを広げて見せている私・・・

私は、妄想の会話を頭の中で繰り広げながら、大きな姿見の前で、実際にそういうポーズをとりながら、激しく指を動かしていました。
私が相原さんで、相原さんが私でした。
あれだけ刺激的な光景を見せつけられて、ずっとおあずけをさせられていたからだは、過剰なほど敏感になっていて、少しさわるだけで、ちょっとえっちなことを考えるだけで、気持ちのいい電流がピリピリとからだ中を駆け巡りました。

妄想を始めてすぐ、アソコを少しさわっただけで呆気ないほどカンタンにイってしまった私は、それから一時間近く、妄想の中で、何度も何度も、相原さんと一緒に気持ちの良い波に飲み込まれていきました。


図書室で待ちぼうけ 07

図書室で待ちぼうけ 05

おばさまたちの声が聞こえなくなるまで、私は息を殺してその場に固まっていました。
「ね、ねえ、相原さん?こんなことしてるとこ、誰かに見られちゃったら、きっと大変なことになっちゃうよ・・・」
私は、再び激しくなってきたどきどきに心とからだを翻弄されながら、小さな声で言いました。

「だいじょうぶ。わたし、運はいいほうだから」
相原さんは、全然気にしていない様子で桜の木から背中を離し、パッパッとスカートの裾を払いました。
「それよりも、暗くなってしまわないうちに、もう一回だけつきあって、ね?」
そう言うなり、再び私の手を取り、今度は象さんのスベリ台のほうに連れていかれました。

象さんのスベリ台は、クリーム色で全体に丸まっこいカワイらしい形で、お鼻のところがすべるところ、お尻のほうが階段になっていて、公園の入口のほうにお鼻を向けて建っています。
前肢から胴体を経て後肢までの部分が立体的なアーチ状に開いていて、大人でもからだを小さく屈めればスベリ台の下に潜り込めます。
相原さんに手を引かれ、そこに二人で潜り込みました。

スベリ台の下も全体がクリーム色、直径2メートルに満たないくらいのまあるいスペースになっていて、カーボンが何かで出来ているらしいドーム状の天井は、一番高いところで私たちの背ギリギリくらいの高さ、必然的に屈んだ体勢になっています。
足元にも天井と同じ面積だけ、まあるく赤茶色のレンガが敷き詰められて、すべるほうの側と階段のほうの側の壁から、子供が二人ずつくらい向き合って座れるようにベンチみたいな突起が出ています。
夕方なので、中はけっこう薄暗いですが、なんだか妙に居心地がいい空間です。
小さな子供なら、ちょっとしたカクレガ気分を味わえることでしょう。

「頭をぶつけないように気をつけて」
相原さんは、階段側の、そのベンチのような突起に腰を下ろしました。
「森下さんは、そっちのベンチに座ってて」
そこに座ってしまうと、ちょうどアーチ状になった側面の壁が私たちの姿を隠し、外からは足元くらいしか見えないようです。

相原さんは、いつのまにかブラウスのボタンを全部はずしていました。
ブレザーごとブラウスを左右に開いて、今度はおっぱいを対面に座っている私に見せつけてきます。
「見て。わたしのおっぱい、よーく見て。森下さん」
私の目をまっすぐ見つめながら、自分のおっぱいを左右の手で下から持ち上げています。
乳首がツンって尖っています。
私はまた、魅入られたようにじっと目を凝らしてしまいます。
心臓がどきどきどきどき波打ってきます。

相原さんは、はだけた胸をこちらに突き出したまま、じりじりと両膝を左右に開いていき、両膝がほぼ180度に開いたとき、両手でバサっとスカートをめくり上げました。
「ほら。ここももうこんなになっちゃってる・・・」
つぶやいた後、上にめくり上げたスカートの裾を自分の口にくわえてから、右手を右内腿に、左手を左内腿に置き、パックリと綴目が開いたアソコを更に自分の手で押し広げました。
薄暗がりの中でもヌラヌラぬめっているのがはっきりわかりました。
相原さんは、スカートの裾をくわえたまま、顎を上げて上を向き、何かに耐えるようにギュっと目をつぶっています。

公園の横の道を通ったのでしょう、バイクのエンジンの音が近づいて来たと思ったら遠ざかって行きました。
そう、ここはお外なんです。
誰もがいつでも入って来れる公園なんです。
私は、その音を聞いてビクっとしましたが、相原さんは微動だにしませんでした。

しばらくそうしてから、ふいに相原さんの口からスカートが離れました。
大きく広げられたアソコの上に、スカートが舞い降ります。
相原さんは顎を下げ、赤いハンカチで口元を拭いてから、私にトロンとした色っぽいまなざしを投げかけてきました。

「ねえ、森下さん。こっちに来て」
「となりに座って、わたしのからだ、さわってくれない?」
ビクンとして、私は思わず立ち上がりかけました。
でもすぐに思い直し、また腰を落として、うつむいて力無くイヤイヤをします。

「相原さん・・・もうやめよう・・・私、やっぱりこういうの、怖い・・・」
うつむいたまま小さな声で、やっと言いました。
「誰かに見られたら、大変だもん。相原さんが学校に来れなくなっちゃうよ。だから・・・」
泣きそうな声になっていました。
私は、この状況に心底びびっていました。
でも、乳首とアソコが正直に反応しているのも事実でした。

しばらく無言のときが過ぎました。
やがて、衣擦れのような音が聞こえてきたので、おそるおそる顔を上げてみます。
相原さんがゆっくりとブラウスのボタンを下からはめているところでした。

「森下さん、ごめんなさい。見てくれる人がいるの初めてだから、わたし、コーフンしすぎて、ついつい、調子に乗っちゃった・・・」
相原さんは、ブラウスのボタンを上から二番目まできっちりはめて、ブレザーの前をかき合わせてから私の顔を見て、本当にすまなそうに弱々しく笑いました。
儚げで、なぜだか切ない気持ちになる笑顔でした。
「わたしのこと、イヤになった?」
「ううん」
私は、顔を左右に小さく振った後、相原さんをまっすぐに見つめます。
「ステキだと思う」

「良かった。ありがと」
相原さんの顔がゆっくりと嬉しそうな顔に変わっていきます。
「それじゃあ、今日はもう遅いから、ここから出ましょ」
腰を屈めてスベリ台の下から出て行きます。
私も後を追いました。

「今までにも何回か、同じようなことしてるの。一人で」
再び住宅街の道に出て、並んでゆっくり歩きながら相原さんが話し始めました。
「もちろん、誰にも見つからないように、細心の注意を払ってる、つもり・・・」
「わたしの場合、誰でもいいからわたしの裸見てー、なんて気持ちはまったく無い。そういう露出狂じゃない、つもり」
「学校で言ったみたいに、誰かに見られちゃうかもしれない、っていうスリルが好きなの」
「でもやっぱり今日みたいに、見られてる、ってわかってると、コーフンの度合いが全然違うんだ、ね」

「だけど本当に、たとえば先生や他の生徒に目撃されちゃったら、学校でもウワサになっちゃうし、すっごくマズイことになっちゃうんじゃない?相原さんが・・・」
私は、真剣に心配して相原さんに問いかけます。
「うん。それはそうだと思うんだけど・・・わたし、あんまり深刻にそういう心配は、してなかった、かな?」
「わたし、結局、中学の二年間で友達、作らなかったから・・・」
「ううん。それは卑怯な言い方・・・友達、出来なかったから・・・」
「小学生の頃は、これでも人並みくらいには、お友達いたんだけどなあ」
相原さんが珍しく寂しそうな声で言います。
私は、何て言ったらいいかわからなくて、黙っていました。

「中一の最初の頃にね、同じクラスの男子と女子数人で、わたしの陰口してるの、偶然聞いちゃったことがあったんだ」
「あの相原って女子は、いつもなんだか人を小馬鹿にしたような顔してて、ツンとすましててナマイキだ、って」
「そんなこと言われてもさあ・・・わたしは生まれてからずっと、こんな顔なんだし・・・」
「でも、確かに気持ち的にそういう傾向があるのも本当。ガキっぽくてバカな男子とか、本当うんざりしてたもん。心の中で」
「そういうのが知らず知らず、顔に出ちゃってるんだろうなあ、って」
相原さんがクスっと笑います。

「私は、そんなこと無いと思う。相原さんの顔、すっごく綺麗だと思う」
私は、本心からそう思っています。
「うふっ。ありがと。森下さんがそう言ってくれるなら、わたし、他にはもう友達なんかいらない」
相原さんは冗談めかして、私に抱きついてきました。
ノーブラの胸の柔らかい感触が、私の二の腕に押し付けられます。
私は、うっとりしてしまいます。

いつも間にか、商店街の入口まで来ていました。
すれちがった買い物客らしいおばさまが、びっくりした顔で私たちのほうを振り返りました。


図書室で待ちぼうけ 06

2010年12月4日

図書室で待ちぼうけ 04

「それがすごくコーフン出来たんで、気に入っちゃって、それから、当てられそうな科目に絞って、ちょくちょくノーパン授業、受けてたの」
「でもどんどん寒くなる季節だったから・・・うちの学校の教室って、冬場は足元からけっこう冷えるじゃない?」
「下着一枚、着けていないだけでも、かなり違うの、寒さが・・・」
「だから、最初のコーフンが薄れてきちゃうと、だんだんやらなくなっちゃった」
「暖かくなるまで大人しくしてよう、って」
相原さんが小さく笑いました。

「三学期になって、ようやく暖かくなってきた頃に、新しいアソビを試してみたの・・・」
「寒い間に、いろいろ考えてて思いついたことなんだけど」
そこで相原さんは言葉を切り、ブラウスの布をコソっと押し上げている右の乳首のあたりに手をあてて、二度、三度、軽く撫ぜました。
目だけは、まっすぐ私を見ています。

「でも、誤解しないで。わたし、いっつもそんなえっちなことばっかり考えて発情してるわけじゃない」
相原さんは、顔を少し上げて目線を窓の外に移しました。
その物思いにふけるような気だるい表情は、大人っぽくてアンニュイな感じで、とっても綺麗です。
「なんだか無性に恥ずかしいことや、えっちなこと、したくなるサイクルがあるみたいなの、わたしって」
「生理の前後とか、性欲が強まる、ってよく言われるけど、わたしのはそれとは関係ないみたい。ある日突然、発情するの」
「一週間で終わるときもあるし、三週間くらいずっとつづいてることもある」
「と思うと、一ヶ月くらい、全然そんな気分にならないこともあるし・・・」

「もちろん、今のわたしは、その発情期の真っ只中!」
相原さんは、おどけるみたいな声でそう言うと、視線を私に戻し、またニコっと笑いました。

「それで、春先に思いついた新しいアソビっていうのは・・・」
「女子トイレの中で、」
相原さんがそこまで言ったとき、突然、教室内にチャイムの音が大きく響き渡りました。
しーんとした教室で、相原さんがお話してくれる静かな声に集中していた私は、その大きな音に驚いて盛大にビクっとしてしまいます。
「あ、もうそんな時間なんだ。最終下校時刻の予鈴。わたしたちもそろそろ引き上げたほうが良さそう」
「このあと、わりとすぐ、見回りの先生が来るから・・・」

「森下さんの家、確か市民プールのほうだったよね?」
「うん」
「わたしは駅のほうだから、商店街までは、一緒に帰れる、ね?」
相原さんと私は、それぞれ自分のスクールバッグを掴んで、肩を並べて三年一組の教室を出ました。

校庭を横切って学校の正門を出るまで、二人とも無言でした。
夕方の空は、まだ夕焼けが残っていて、ときたま気持ちのいい風が私たちの髪を少しだけ揺らします。
相原さんは、私のちょっと前を、何かを考え込むように少しうつむきながら、若干足早気味に歩いています。
私は、その背中を見ながら、ほんの一時間くらい前からの出来事を順番に思い出していました。

「森下さんは、よく本を読んでいるけど、最近は何読んだ?」
相原さんが歩調を緩めて私に並び、話しかけてきました。
住宅街に入ったところです。
ときたま買い物帰りらしきおばさまとすれ違う以外、ほとんど人は歩いていなくて、自動車が一台だけ、狭い道路を徐行しながら私たちを追い越していきました。
「うーんと、最近は・・・」
私は、今読みかけのミステリーの題名を告げて、それからしばらく読書談義になりました。

住宅街の真ん中あたり、路地を少し入ったところの一角に小さな公園があります。
象さんの形をした小さなスベリ台と木の3人掛け程度なベンチが二つしか置いてない小さな公園で、太くて大きな桜の木が一本、公園の端っこに生えていて、その他に、公園を囲む垣根のように、私には名前がわからない高さ二メートルくらいの樹木がまばらに植えてあります。
愛ちゃんたちと一緒に帰るときは、たまにここで、自販機で買ったジュースを飲みながらおしゃべりしていくこともあります。
「森下さん。ちょっと公園に寄ろう」
相原さんが突然、私の手を取って、公園へ向かう路地のほうに引っ張りました。

公園には誰もいませんでした。
相原さんは、私の手を握ったまま公園の中にズンズン入っていきます。
ベンチにでも座るのかなあ・・・
なんて思っていると、ベンチを通り越して、端っこの桜の木のところまで歩いて行きました。
桜の木は、もうとっくに花の季節は終わり、今はキレイな緑色の葉っぱばかりが、たくさんの枝から私たちの頭上を覆っています。
その下だけ、ちょっと薄暗い感じです。
相原さんは、そこで私の手を離し、公園の入口から死角になる、桜の木の裏側に回り込みました。

「森下さんもこっちに来て」
「そこに立ってくれる?」
バッグを自分の足元に置いて、桜の木に背中を預けて立っている相原さんの50センチくらい前の地面を指さします。
私は、言われた通り、相原さんの正面に立ちました。

「森下さん。見てて」
相原さんは、右手を自分のスカートの裾にそろそろと伸ばし、やがて裾を掴むと、またそろそろとスカートをまくり上げていきます。
相原さんの頬がみるみるうちに薄いピンクに染まっていきます。
うつむきがちの上目遣いで私をジーっと見つめながら、右腕だけが徐々に上がっていきます。

「えっ!?あ、相原さ・・・」
「ちょ、ちょっと・・・」
私は、思わず大きな声を出しそうになって、あわてて声をひそめ、まわりをキョロキョロしてしまいます。
さっき見た通り、公園には誰もいません。
視線を戻すと、相原さんの右腕は、自分の胸のところまで上がって止まっていました。
さっきまでスカートに覆われていた相原さんの下半身が剥き出しになって、私の視線の下のほうにありました。
ショーツを着けていない丸出しの白い下半身。
図書室で見たのと同じ、狭い陰毛に飾られたアソコ。
私の胸がどきどき騒ぎ始めます。
視線が下がると同時に、知らず知らずのうちに中腰になっていました。
目を逸らさなくちゃとも思うのですが、どうしても吸い寄せられるように、釘付けになってしまいます。

やがて、私の視界に相原さんの左手がそろそろと降りてきました。
手の甲をこちらに向けて、人差し指と中指を揃えて、あとの指は折り曲げていて、ジャンケンのチョキが閉じているような形です。
その指は、相原さんのアソコの上で止まり、ゆっくりとアソコに押し付けられた後、上半身を軽くのけぞらせる感じで腰全体がグイっと前に突き出されて、閉じていた指と指の間がだんだんと開かれ、本当のチョキの形になっていきました。
「森下さん、わたしの、わたしの中まで、見て・・・奥の、奥まで・・・見て」

指と指の間から、人間の粘膜質な部位特有のピンク色が覗いています。
全体に濡れそぼっていて、ヌラヌラ光っています。
今にも蜜が滴り落ちそうです。
指と指の付け根の真下に、少し皮をかぶりながらも充血してテラテラ光っている小さなお豆も見えます。
私は、瞬きもせず食い入るように見つめてしまいます。
「う、ふうんっ・・・」
相原さんが聞き逃してしまいそうなほど小さな声で、一声啼きました。

見ている前で、そのピンク色の粘膜部分から雫が一滴、ツーっと短い糸を引いてポタリと地面に落ちました。
私は、ハっと我に返って、あわてて腰を伸ばし、目線を相原さんの顔まで上げました。
相原さんは、唇を半開きにしてギューっと目をつぶり、薄っすらと汗ばんでバラ色に染まった顔全体を少し上に上げて、切なそうに眉根にシワを寄せた、見るからにえっちな、悩ましげな顔をしていました。
スカートの裾をつまんだまま胸の真ん中に押し当てている右手には、すごく力が入っているみたいで、つまんでいる指先の血の気が失せて白っぽくなっていました。

ふいに、遠くのほうで女性の話し声みたいなのが聞こえた気がしました。
途端に相原さんの右手指先が緩み、スカートの布がパサっと戻って、相原さんのアソコを隠しました。
同時に左手がブレザーの左ポケットに突っ込まれ、すぐに赤いハンカチを握って外に出てきて、その手で相原さんは自分の額のあたりを軽く拭きました。

話し声がどんどんこっちに近づいてきます。
相原さんは、何もなかったようにゆったりと木にもたれて、私を見てニッコリ笑います。
二人の年配なおばさまがにぎやかにお話をしながら、公園の前の道を通り過ぎ、やがて遠ざかっていきました。


図書室で待ちぼうけ 05