2017年12月17日

三人のミストレス 14


 一階まで下りると、店内は少し照明を落としてガランとしていました。
 カウンターの真ん中にお姉さま。
 そのお隣にもうおひとかた、どなたかいらっしゃるみたい。
 お姉さまの目の前には、ほとんど空になったワイングラスが置いてあります。

「ああ、意外に早く復活したのね。直子、こっちへいらっしゃい」
 私に気づいてくださったお姉さまが、ご自分のお隣の空いている方のカウンター椅子を指さされます。

「あ、はい・・・」
 おずおずとストゥールに歩み寄り、丸い腰掛け部分にバスタオル越しのお尻を乗せます。
 回転式のストゥールだったので少し腰を捻ると、体全体がカウンター正面に向きました。

「はい、お疲れさま。ずいぶん可愛く喘ぎ放しだったから喉乾いたでしょ?これ、飲んで」
 カウンター越しにさーこママさまが、カクテルグラスに注がれた透明な飲み物を差し出してくださいます。

「あ、ありがとうございます・・・」
 うつむいてグラスを手に取り、一口唇を当てます。
 ん、甘い・・・冷たい、シュワシュワしている・・・でもお酒?、んっ、美味しい・・・
 結局一気に半分までゴクゴク飲んでしまいました。

 グラスをテーブルに戻すために再びうつむいたとき、大変なことに気がつきました。
 座るために腰を曲げているためバスタオルの裾がせり上がり、ツルツルな恥丘がスジの割れ始めまで、ストゥールの上で見事に露出していました。
 カウンターで隠れて、さーこママさまからは見えないでしょうけれど、お隣のお姉さまからなら丸見えなはず。

 はしたない・・・
 かといって隠そうとして裾を引っ張ったら、今度は乳首がポロンと、こんにちは、しちゃいそうだし・・・
 自分のからだがみるみる火照っていくのがわかりました。

「気を失っちゃったときはビックリしたけれど、すっかり血色も戻って、来たときより数段色っぽくなっているわよ」
 私の顔をじっと見つめていたさーこママさまが、今の私の下半身の状態を知ってか知らずか、火照っている私を冷やかしてきます。

「わたしも若い頃、たまに気絶していたわ。とくに膣でイカされると、だめなのよね。気持ち良すぎて頭の中が真っ白になって」
 さーこママさま、けっこうお飲みになられたのかな、目をトロンとされて、あけすけな告白。

「初めて気絶したのは、同性と初めてそういうことをしたときだったわ。学校出て最初に就職した会社の先輩」
「それから私も女性同士のえっちにハマっちゃったの。男はがさつだしめんどくさいし。男として気絶したことなんて一度もなかったわ」
 さーこママさまの瞳が、昔を懐かしむように細まります。

「それで気絶から覚めた後って、からだが全体がとても敏感になっていない?ちょっと触られてもヒクヒクしちゃう、全身性感帯、みたいな?」
 イタズラっぽく私の顔を覗き込んでくるさーこママさま。

「あの、えっと・・・」
 その通りなのですが、素直に、はい、とお答え出来ないのは、さーこママさまの背後、厨房の奥のほうに男性のかたらしいお背中が見えているからでした。

 おそらくあのかたが、ケンちゃん、さま。
 このお店のシェフをされていて、ゲイで露出症マゾで、私のことを羨ましがっている、とお聞きしていましたが、男性は男性です。
 同性だけの場で辱められているときとは異なる、男性に欲情を催されてしまったらどうしよう、という幾分怯えの入り混じったフクザツな羞じらいを感じていました。

「あれ?直子ちゃん、ケンちゃんのこと気にしているの?」
 私の視線の先に気がつかれたのか、さーこママさまの訝しむようなお尋ね。

「あ、いえ、あの・・・」
「さっき社長さんから聞いたわよ。直子ちゃん、男性全般が苦手なんですってね?」
「あ、え、は、はい・・・」

「大丈夫、安心して。ケンちゃんは、女性になんかまーったく興味無いの。どんなに可愛らしい子がどんなにえっちな格好したって、ちんちんピクともしないみたい。パートナーのダニエルだけに首ったけの超ラブラブだから」
 私の視線の先で包丁をトントンさせていたケンちゃんさまの右肩が、ピクンと動きました。

「それにね、妙にアタマ堅いとこがあって、わたしが夏だしってちょっと肌の露出多めな服を着てくると、それはレディとして品が無い、なんて怒るのよ。自分だって酔っ払ったら露出狂のクセにね」
 笑いながらおっしゃったさーこママさまのお声に、ケンちゃんさまの肩が今度は二回、ピクンピクン。

「店長?野菜切り終わったから、下ごしらえ始めますよ!」
 ケンちゃんさまの少し苛立ったようにぶっきらぼうな大声が聞こえ、はいはーい、とお答えしつつ奥の厨房へと戻られるさーこママさま。
 入れ違いにお隣のかたとご熱心におしゃべりされていたお姉さまが、こちらを向かれました。

「直子の淫乱マゾボディは、こんなんじゃまだまだ序の口よね?敏感になってやっと火が点いたってところでしょ?これから二次会で、もっと盛り上がるわよ?」
 さーこママさまと同じくらい瞳をトロンとさせた妙に艶めかしいお姉さまが、じっと私の剥き出しの恥丘を視つめておっしゃいました。
 って言うかお姉さま、お隣とおしゃべりしながらも私とさーこママさまとの会話もちゃんとお聞きになってくださっていたんだ。

「あの、えっと、他のみなさまはどうされたのですか?」
 お姉さまのお隣に座っていらっしゃるのは、絵理奈さまお付きのヘアメイクアーティストのしほりさまでした。
 しほりさまの更にお隣に里美さまがお座りになり、他のスタッフのみなさまのお姿はありません。
 ギャラリーに加わられたOLさんたちのお姿も、アルバイトのマツイさまのお姿も。

「みんなお開きになった途端に、そわそわと夜の街にくりだしていっちゃったわ。それぞれ、つがいで」
 可笑しそうに笑いながらおっしゃるお姉さま。

「直子があんまり気持ち良さそうにイキまくるものだから、みんなアテられちゃって、居ても立ってもいられなくなったんじゃない?」
 お姉さまがからかうように私の顔を覗き込んできます。

 つがいで、ということは、雅さまとほのかさま、リンコさまとミサさま、そして綾音さまと絵理奈さま、ということでしょう。
「それで、カップリングにあぶれたわたしたちが社長さん主催の二次会で、憂さ晴らしさせてもらうことになったってわけ」
 しほりさまがお道化た口調で、お姉さまのお言葉を引き継がれました。

「では、この4人で、これからどちらかに伺うのですね?」
 私もお姉さまとふたりきりになりたい気持ちもありましたが、お姉さまとしほりさまと里美さまという、エス度の高い珍しい組み合わせにワクワク潤んできてしまうのも事実でした。

 何よりも、どこへ連れて行かれるのかが気になります。
 絶対にただの飲み会などではなく、私を辱める場なのでしょうけれど。

「そう。うちの連中は今頃それぞれ、ふたりだけの世界で盛り上がっていることでしょうね。綾音たちは、気が向いたら顔を出すかもしれない、って言っていたけれど」
 お姉さまのお口ぶりでは、もう伺う場所も決まっているご様子。
 そこまで本当に私を、バスタオル一枚で連れて行くおつもりなのでしょうか?

「そう言えばパーティの最中に、マツイちゃんから面白いこと聞いちゃったんだ・・・」
 三席向こうのお席の里美さまがカウンターに身を乗り出して、私にそう告げたとき・・・

 カランコローン!
 背後から突然、軽やかな音色が鳴り響きました。
 お店の入口ドアのウェルカムチャイム。
 どなたかがお店に入ってこられたみたい。

 驚いて思わず振り向いてしまいました。
 照明を落としたドア前に立ち尽くす長身細身なシルエット。
 この熱帯夜に黒のパンツスーツとタイを締めた白ワイシャツをきっちり着込み、頭にはおまわりさんのようなカッチリしたツバのついた制帽まで。
 って、えっ!ひょっとして本物のおまわりさんっ!?

 ギクリと心臓が跳ね、あわてて顔を逸らし正面に向き直ります。
 お店二階の窓辺から私の痴態が目撃され、どなたかにツーホーされちゃったのかな?コーゼンワイセツ?タイホ?
 ドキドキが自分の耳に聞こえてきそうなほど。

「ワタナベさま、お迎えに上がりました」
 聞こえてきたのは少しアルト気味ながら紛れも無い女性のハキハキしたお声。

 あ、女性だったんだ・・・それで、お迎え、ということは、タクシーの運転手さんとかかな?・・・
 急激に膨らんだ恐怖が急激に萎み、盛大にホーッと胸を撫で下ろす私。

「あ、わざわざ悪かったわね。指定時間ぴったり。さすがね」
 隣で思いっ切りパニクっていた私のことなんてまったく気づいていなかったらしい、お姉さまののんきなお声。

「ママさ~ん、車が来たから、あたしたち、おいとまするねー。また近いうちに寄らせてもらうからー」
 厨房の奥のさーこママさまにお声を掛けられるお姉さま。

「あ、今日はありがとねー。直子ちゃんもみなさんも、また気軽に立ち寄ってねー」
 おっしゃりながらさーこママさまが、濡れた手をタオルで拭き拭き、近づいてこられました。

「とくに直子ちゃん、あなたはまた、ここで裸になってね。今度は、そういうの好きそうなお客さん、たくさん呼んでおくから。もちろん女性だけ。あなたも大勢に視られたほうがもっと嬉しいんでしょ?」
 ご冗談なのか本気なのか、私の両手を取ってブンブン振られるさーこママさま。

「あ、はい・・・今日は、いろいろありがとうございます、ごちそうさまでした・・・」
 そんなふうにしかお答え出来ず、ブンブン振られる両手の振動でバスタオルが落ちてしまわないかハラハラな私。

「さ、それじゃあ行きましょう。ママさんもケンちゃんも、またねー」
 お姉さまがストゥールを下り、さーこママさまの手から私の右手を奪い取ります。

「気をつけてね、あ、それと直子ちゃんは、月曜日にお洋服、取りに来なさいね」
 カウンターの中で手を振りながら、お見送りしてくださるさーこママさま。

 そのときにはケンちゃんさまもお顔をこちらにお向けになり、私たちを見送って丁寧にお辞儀してくださいました。
 初めてちゃんと見たケンちゃんさまのお顔は、欧米のロックミュージシャンさんにいそうな、口髭をお鼻の下にへの字に蓄えた凛々しいハンサムさんでした。

「新宿へ、ということですので、車は通りの向こう側に停めてあります。恐れ入りますが横断歩道を渡ってそちらまで移動してください」
 白手袋がお似合いな至極丁寧な運転手さまの先導で、お店のドア前にひとかたまりになった私たち。

 とうとう私は、バスタオル一枚に首輪とスニーカーという破廉恥な格好で、終末の夜のお外に出ることになりました。
 と言っても、道路の反対側に停めてあるらしいタクシーまで、という短かい距離らしいので、幾分か気が楽になりました。

 ドアを開けるとモワッと全身に押しかかってくる真夏の熱帯夜の熱気と喧騒。
 終末の夜の10時過ぎ。
 高層ビルから近いこの場所は地下鉄の駅からもほど近く、遊び足りないのか家路を急ぐのか、昼間ほどでは無いにしろ頻繁に人影が行き来しています。

 そんな中を、両肩はおろか胸の谷間までモロ出しなバスタオル一枚だけからだに巻きつけた姿で、お姉さまに手を引かれ歩いて行く私。
 微風ながらも夜風がタオル地の裾をユラユラ揺らし、ワレメを風が直に撫ぜていくのを感じます。

 さっき感じた気楽さはどこへやら、通勤で見慣れた街角に身を置いた途端、罪悪感と被虐感がゾワッと背筋を駆け上がってきました。
 私、こんな格好で夜のお外に・・・紛うことなきヘンタイ女だ・・・

 夜目なので真っ白なチューブトップ超ミニドレスに見えないこともなさそうですが、すれ違うかたたちの怪訝そうな視線が素肌に突き刺さります。
 なるべくお姉さまの背中に隠れたいのに、並んで歩こうと歩調を合わされるイジワルなお姉さま。
 里美さまとしほりさまは、運転手さまのすぐ後ろを、並んでズンズン先へ行ってしまわれます。

 お店から10メートルくらい先にある横断歩道。
 すでに信号待ちでOLさんらしきおふたりと若めな男性サラリーマンさん。
 その後ろに5人、横並びで着きました。

 対面にも信号待ちの男性がおふたり。
 私たちが待っている場所にはちょうど外灯が照っているので、対面からは一際明るく見えていることでしょう。
 事実、男性のうちのおひとりがこちらを小さく指差して、お隣のかたに何か耳打ちされているのが見えました。

 ああん、視られてる・・・バッチリ注目されちゃっている・・・
 たとえこれがバスタオルだと気づかれなくても、胸の谷間の大半を露出させ、絶対領域ギリギリの超ミニでからだを見せびらかしている、露出狂のスケベ女だって思われちゃっている・・・
 
 そう考えることは、居ても立ってもいられないほど恥ずかしいことなのですが、一方で異常なほどの性的昂ぶりも感じていました。
 じんわり全身汗ばんでしまうのは、暑さのせいだけではありません。

 横断歩道を車が何台か通り過ぎ、やっと信号が変わりました。
 OLさんたちが歩き始め、私たちもつづきます。
 赤信号でストップした車のヘッドライトが、左右から私を照らし出します。
 お姉さまは何もおっしゃらず、黙って私の手を引いています。

 対面から歩いてくる男性たちが不躾に、私の胸元や脚の付け根付近をガン見してくるのがわかります。
 車の中からも、私たちの移動速度とシンクロして幾つもの視線が動いているはずです。

 男性たちと擦れ違う瞬間に、バスタオルがハラリと外れたら、どうなっちゃうのだろう・・・
 そうしたい衝動が突然湧き上がってしまうほど、私の理性は息も絶え絶えになっていました。

 結局、お車にたどり着くまでに、のべ十数人の男女が私の視界を横切っていきました。
 露骨にガン見してくる人、チラチラと盗み見てくる人、すれ違ってすぐ振り返る人。
 伏し目がちに周囲を窺っていた私でさえ、それくらいわかったのですから、実際にはもっと大勢の人に注目されていたと思います。

 横断歩道を渡り切って少しお店側に戻ったところに、左右側面のライトをチカチカさせて駐車している大きめで真っ黒でピカピカな乗用車。
 自動車に詳しくない私が見ても、なんだか高級そう、と思えるほど風格のある形の立派な乗用車でした。

 ドアのところに小さく金色のエンブレムが描かれているので、これもタクシー?
 あ、こういうのって、ハイヤーって呼ぶのでしたっけ?

 運転手さまがまず、後部座席を開けてくださり、しほりさま、私、里美さまの順に乗り込みました。
 助手席にお姉さま、最後に運転手さまが乗り込まれ、ブルルとエンジンがかかります。
 瞬く間にエアコンの冷気が車内に行き渡り、瞬く間に汗が引いて適温になりました。

 スーッと音も振動も無く、お車が走り始めます。
「それじゃあしほりさん、里美ちゃん、打ち合わせ通りやっちゃって」
 お姉さまがシートベルトをしながらおっしゃり、里美さまの右手がスルスルっと私のバスタオルに。

「あ、いやんっ!」
 完全に虚を突かれ、手遅れな抵抗空しくバサッとバスタオルを剥ぎ取られ、お車の後部座席でスッポンポン。
 あわてて右腕でおっぱいを庇い、シートに小さくうずくまります。

「ごめんなさいね、騒々しい上にはしたなくて」
 お姉さまが運転手さまに、嬉しそうにお詫びされています。

「大丈夫ですよ。わたくしそういうの、慣れていますから」
 朗らかにお答えになる運転手さま。
 それから運転手さまは首をちょっと左に向けて、後ろの私に語りかけるみたいに、こうおっしゃいました。

「安心してお嬢さん。この車の後部座席は窓三面にスモークフィルム貼ってあるから、外から中は覗けないの、とくに夜はね」
 ルームミラーに映った運転手さまの切れ長なおふたつの瞳が、私のからだをじっと見つめているのがわかります。

「ほら、運転手さんもそうおっしゃっているじゃない?直子、着替えをするから手をどけなさい」
 お姉さまのご命令口調。
 もちろん逆らえない私は、胸を庇う腕を外し、ピンと尖りきった両乳首を空気中に晒しました。

 お車は信号待ちで停車しています。
 大きめの交差点で、すぐ脇の歩道を夜10時過ぎにしては多めの老若男女が行き来されています。

「まあ、お綺麗なバストだこと。隠さなくても大丈夫ですよ。舗道の人たちからは、窓に顔をくっつけて覗き込みでもしない限り見えないですから」
 ご丁寧におっしゃってくださる運転手さまの口調に、そこはかとないイタズラっぽいニュアンス。
 少し間を置いて突然、後部座席左右の黒い窓がスーッと下がっていきました。

「あとはこんなふうに、こちらから窓を開けたりしませんとね」
 今度はあきらかなからかい口調でおっしゃった運転手さま。

 あっ、と思ったときには遅すぎました。
 両手で胸を庇おうと思ったときには、左右からしほりさまと里美さまにしっかり両手を押さえられていました。

 お車はまだ停車しています。
 開け放たれた窓からお外の熱気とざわめきがなだれ込んできています。

 私に出来ることと言えば、せめて顔だけは隠そうと、ただうなだれるだけ。
 近くでワッハッハと弾けたような笑い声が聞こえました。
 でも、お外を行き交う人たちに剥き出しのおっぱいが視られちゃっているのかどうか、確かめる勇気なんて私にあるわけがありません。

 やがて再びお車は音も無く滑り出し、同時に窓もスーッと上がってきて、車内に静寂が戻りました。

「運転手さんも、なかなかイタズラ好きなのね?」
 ご愉快そうなお姉さまのお声。
「ええ、ワタナベさまもご存知のように、あのかたたちで慣れておりますので」
 謎なことをおっしゃる運転手さま。

「あ、それとわたくし、本宮と申しますので、そうお申しつけください」
 運転手さまであるところの本宮さまがルームミラー越しに、私にも目礼をくださいました。


三人のミストレス 15


2017年12月10日

三人のミストレス 13

 数秒間の奇妙な静寂の後、ヒソヒソ小声で内緒話をされているようなさざ波が広がり、最後にドッと弾けたような笑いが起きました。
 そのあいだずっと私は目隠しのまま放ったらかしで、どんどん不安になってきていたとき、唐突にペシッとお尻を軽く叩かれ、すぐにお姉さまのお声がつづきました。

「マゾ子?ちょっとテーブルに両手を突いて、上半身を持ち上げてくれる?」
「あ、はい・・・」

 そのときの私は、テーブル上のタオルに顔面から突っ伏すように、両腕は使わず左頬だけで上半身を支えてお尻だけを高く突き上げた、スパンキングおねだりポーズ、のままでした。
 ご指示に従い両手をタオルに突き、両腕を伸ばして両肩を持ち上げます。

 タオル地に押し付けられて潰されひしゃげていた左右のおっぱいが、空間が出来たために形を取り戻し、重力に引かれて乳首もろとも垂れ下がるのがわかります。
 両腕を完全に伸ばすと、両手両膝を支えとして背中が肩からお尻に向けて緩やかに下がっていく、正しくマゾペットらしい四つ足な四つん這い姿勢となりました。

「それじゃあ、はい、これ。これでマゾ子の、これみよがしにおっ勃ってる卑猥な乳首を挟んでやってください。はい、あなたも・・・」
「えーっ、こんなので挟んじゃっていいの?痛くないの?」
「それは痛いでしょうけれど、この子はそれが大好物なんですよ」

 お姉さまがお話されているのは、新たに見物人に加われたお店の常連OLさまたちでしょう。
 そして、お渡しになったものは?・・・

「ちょっと失礼しまーっす」
 お声と共に、四つん這い状態の垂れ下がったおっぱいを下から持ち上げられる感覚。

「やだーっ、やらかーいっ」
「んふぅぅ・・・」
 少し汗ばんだ手のひらが、感触を確かめるみたいにムニムニ動いています。

「やだっ、おっぱいはぷにぷにやわらかいのに、乳首だけすっごく硬い、それにでかいー」
 そのかたの手のひらの真ん中あたりで、私の勃起乳首が折れ曲がって擦れています。
「んんーっ・・・」

「これ、本当に挟んじゃっていいの?」
「別の手で乳首の根元、乳輪のほうまでつまんじゃって、クリップの先っちょを肌に押し付けるように、グイッと挟むといいですよ」

 お姉さまの的確なご助言。
 確かに挟まれる皮膚の量が分厚いほうが激痛にならず、少しくらい暴れても外れにくくなります。

「こう?かな・・・」
 ひんやりした何かが左乳首をまたいだ形で乳房の皮膚に押し付けられ、すぐに乳首の根元付近の側面を二方向から押し潰してきました。

「うわー、つまんだら根元までコリコリに硬いー。まさに勃起チクビ。本当に気持ちいいんだね、この子、こういうことされるのが」
 少し軽蔑のニュアンスも感じられる女性の弾んだお声。

「んんーーーっ!」
 手の感触が離れた途端、予想していた以上のキツイ締め付けが左乳首に残りました。

 これは、さっきみたいな木製洗濯バサミではなく、おそらくステンレスのワイヤーを折り曲げて作られたスティール製洗濯バサミ。
 挟む部分が皮膚に接する面積が少なく、その形状上バネも木製に比べて強力なので、私も被虐が強いときにしか使わない拷問具でした。

「それで、この紐をクイクイ引っ張って虐めてあげて」
 お姉さまのお声で、乳首が左側へグイッと引っ張られました。

「あぁぁん、いやぁぁーんっ」
 乳首に引っ張れて垂れ下がった左おっぱい全体が、その釣鐘型を強引に左側へと歪められているのがわかります。

「うわーっ、わたしもわたしもー」
 違うお声が聞こえて右おっぱいも持ち上げられた、と思ったら、当然のように、噛み付き、そして引っ張り。
「んんーっ、だめぇぇ・・・」

 今、私のふたつのおっぱいは、普通では考えられないくらい胸の真ん中から右と左に泣き別れしているはずです。
 乳首の根元にしっかり噛み付いたスチール製洗濯バサミは、引っ張ったくらいでは外れることも無く、おっぱいの脂肪塊がたゆんたゆんと震えています。

「最後のここは、あなたね。ここはヌルヌルしていてばっちいから、あたしがやってあげる」
 お姉さまのお声が、私の下半身のほうへと移動されています。

 やっぱりそこにも付けられちゃうんだ・・・ラビアなのか、それとも・・・でも、最後のここ、っておっしゃったから、やっぱりクリット・・・クリットをあんなにキツイ洗濯バサミで挟まれたら・・・おそらくその一瞬でスグ、イってしまいそう・・・
 そんなことを考えていると、おマメに何か筒状のものが、押し付けるようにかぶされる感覚。

 これは・・・
 どうやらスチール製洗濯バサミに噛み付かれる激痛は免れたようですが、ある意味、もっと絶望的な器具を取り付けられるようです。

 俗に、クリキャップ、と呼ばれる、クリトリスにかぶせて肉芽を吸引する陵辱お道具。
 普通のクリキャップは、全体がゴム製のスポイト式で空気の吸引によってクリットにくっつくのですが、スポイト部分が小さいので吸引が弱く密閉率も低いので、ちょっと引っ張るとすぐに外れてしまいます。

 でも、たぶん今付けられたのは、里美さまのネットショップで販売している海外製。
 透明なプラスティックの細いチューブ状になっていて、ピストン式で密閉されたクリットの周りの空気を、注射器にお薬を吸い込むときと同じ原理で吸引するタイプ。
 強く吸引されると筒の先がクリットの根元に食い込み、ちょっとやそっとではまず外れなくなるのです。

 このお道具をショップで扱うことになったとき私は、当然のようにモニターとして、勤務中装着したまま小一時間、通常業務に励むよう命じられました。
 極小紐ビキニの前を露骨に膨らませた私は、その格好でコピーを取ったりパソコンを叩いたり。

 最初のうちは私のおマメと筒の周囲に僅かな隙間があったのですが、吸引によっておマメがどんどん腫れてきてキツキツ状態に。
 装着しているあいだずっと、クリットがジンジンしっ放し、
 ムラムラモヤモヤして、ぜんぜんお仕事に身が入りませんでした。

 使い心地のモニターですからときどきリンコさまに、どんな状態になっているか紐ビキニをずり下げて、お見せしなければなりません。
 20分もすると、透明チューブの中でピンク色のおマメが、今まで見たことないくらい大きくパンパンに腫れ上がり、チューブを指で少し弾かれただけで、あうっ!、と心地良い電流が全身を駆け巡りました。

「今まで見た中で一番おっきく腫れ上がってるじゃん。まさに、クリトリス開発、って感じね。直子のクリ、これ以上感じやすくなっちゃったら、日常生活で普通に着衣でいても、パンツのクロッチが乾くとき、なくなっちゃうんじゃない?」
 イジワルくからかってくるリンコさま。

 結局、30分ほどで外されたのですが、外した後もおマメは腫れっ放し、ウズウズズキズキしっ放しで収まりがつかず、リンコさまに懇願しオナニーの許可を得て弄り倒し、数回イッてからでないと業務に戻れないほどでした。

 そんな悪魔の器具が私のクリットに取り付けられました。
 もちろんこれにも紐が括り付けてあるようで、どなたかの手がその紐をもてあそばれているよう。

「んーっ、いやぁーーっ!・・・」
 クリットを根本から、ちぎれんばかりに引っ張られ、切羽詰まった喘ぎ声がほとばしり出てしまいます。

「これで準備完了。雅ちゃん、やっちゃって」
 悪の組織の親玉みたくニヤニヤ笑い混じりなお姉さまのお芝居声。
「了解」

 雅さまのお返事と共に、私のマゾマンコに何か硬くて太いものがズブリと侵入してきました。
「あうぅぅっ!」
 喘ぎながらも、今挿入されたものは何だろう?と考えます。

 凄く硬くて、先っちょのところだけに段差があって、あとはまっすぐスベスベで、長さもけっこうありそうで・・・
 普通のディルドやオモチャの類ではないみたい。
 考えていたらお尻の穴にも、同じような質感のものがヌプっと挿し込まれました。

「んんーっ!」
 挿入された二本のものは、別に前後に動くでもなく振動するでもなく、私の粘膜内に収まっています。

「ほら、気持ち良くなりたかったら自分で気持ちいいところに当たるように、腰を動かして迎え入れなきゃだめでしょ?」
お姉さまが、私のお尻をパチンと叩いてアドバイス。
「は、はいぃぃ」

 お姉さまのお言葉に従い、突き出したお尻を自分で前後に動かし始めます。
 そのもののスベスベした質感が濡れそぼった膣壁をスムースに滑り、窮屈そうながらどこまでも奥まで侵入してきます。
 どうやらそのものを持たれているかたは、ご自分でそのものを動かすご意思は無く、その場に固定するように持たれているようです。

「ああー、いいぃぃーっ!かたいぃっ!」
 肛門に挿入されたものも私の腰の動きに合わせて腸壁を深く浅く滑っています。
 もちろんそのあいだ、ふたつの乳首とクリットに結ばれた紐で、腫れ上がった3つの肉芽は翻弄されっ放し。
 どきどきカツンコツンと陶器がぶつかり合うような音がして、その振動がマゾマンコとアヌスに響いてきます。

「ああんっ、いいっ、いいっ、いいーっ!」
 どんどん高まってきて腰を動かすスピードを上げると、カツンコツンの頻度も上がりました。
 尻たぶは左右から、素手なのか棒なのかで、バチバチ連打されています。

 テーブルに踏ん張っていた両腕はとっくに崩れ、顔面がタオルに埋まっていました。
 その分お尻だけ高く突きあがり、結局、マゾのお仕置きおねだりポーズ。
 それでも噛み付いて離れない洗濯バサミが引っ張られるたびに、弾けそうな乳首がタオル地にガサゴソ擦れています。

「あぁぁっ、いいですぅ、いぃぃですぅ、イッちゃいますぅ、え、絵理奈さまぁ、みなさまぁ、イ、イッても、イカせていただいてぇ、よろしぃ、よろしぃでしょーかー!!」
 切羽詰まった昂ぶりに、なりふり構っていられない本能からの哀願。

「あら、ずいぶん早いギブアップだこと。わかった、あんまり気持ちいいから、早くイッちゃって、すぐもう一回、ってことね?」
 すっかり暴君振りが板についたサディスト絵理奈さまの軽蔑しきったお声が、私の顔のところで聞こえました。

「いいわよ、イキなさい。ほら、自分の浅ましい臭いを胸の奥深くまで吸い込んで、自分の恥ずかし過ぎる性癖を思い知りながらイキなさいっ!」
 お言葉と共に何か臭ってきました。

 鼻先にくっつけられたゴム?らしき感触。
 その嗅ぎ覚えある、ツンと鼻につく動物じみた臭いで、すべてを理解しました。

「クサいでしょ?さっきまであんたのケツの穴を穿っていた、わたしのゴムグローブの指先の臭いよ」
「いやぁーーーっ!!」
「白いグローブの先っちょが、薄っすら黄ばんじゃってるわ。それにいかにも牝犬らしい下品で淫靡な臭い。紛れもなく淫乱なあんたの下品なからだの中の臭いなのよ?」
「ああーっ、だめぇーっ、赦してくださいぃ、嗅がさないでぇぇーっ!!」

 本当にイヤなのに、本当に恥ずかし過ぎて死ぬほどなのに、なぜだかクンクン鼻を鳴らして嗅いでしまう私。
「いや、だの、だめ、だの言うわりに、腰の動きは止まらないのね?ほら、イキなさいっ!」

「あーーーっ、ぬぅんんーーーーーっ!!!」
 イキなさいっ、というお言葉と同時に私の左右の鼻の穴に、私が汚したゴム手袋の指先をそれぞれ突っ込まれます。
 なんとも言えない、生理的には拒否反応を示すのに、どこか懐かしいような動物的と言うか有機肥料的な臭いが、鼻の穴から頭全体に充満します。

 その臭いと、乳首とクリットを引っ張れる痛み、お尻を叩かれる熱さ、ふたつの穴で抽送をくりかえす突起がくださる快感・・・
 すべてが混然一体化し、凄まじい快感がからだの奥底からこみ上げてきました。

「んっ、だめ、いやっ、もーーっ、こわれちゃうっ!こわれちゃうぅーーーっ!!!」
 自分で叫んだ言葉の通り、壊れたみたいに腰を振りつつ、全身が巨大な快感の渦に呑み込まれていきます。
 めくるめく絶頂感の中で、スーッと意識が遠のいていきました。

 ・・・目覚めって、いつも、ここはどこ?状態・・・

「あ、気がついた?よかった・・・」
 お声がフェードインで聞こえてきて、ゆっくり目を開けると、里美さまのお顔が真上に見えました。

「あ・・・里美、さま・・・あの、えっと、ここは・・・」
「こんなふうに直子を介抱するの、これで2回めね」
 イタズラっぽく笑われる里美さま。

 私は里美さまのひざ枕で、仰向けに寝そべっていました。
 素肌の上にバスタオルを一枚掛けられ、お部屋の片隅のベンチシートの上で。

「気絶しちゃったのよ。みんなで寄って集って責められて、壊れちゃうーって絶叫した後」
 里美さまのお言葉で、自分がどこにいるのか、気絶するまで何をされていたのか、全部思い出しました。

「直子が気持ち良さそうに気を失っちゃって寝息をたて始めたから、それでパーティはお開き。チーフが直子をお姫さま抱っこでここまで運んで、わたしが濡れタオルで寝ているあなたのからだ拭いて」
「あ、ありがとうございます・・・お手をわずらわせてしまって、ごめんなさい・・・」
 ゆっくりからだを起こしてみると、確かに全身の汗やよだれがキレイに拭い去られているみたい。

「いいのよ。性的な興奮で失神しちゃうのって、情報過多で脳が壊れちゃいそうになったときに自律神経がとる本能的な防衛反応だって言うじゃない?それほどまでのオーガズムだった、っていうことなのだから」
 里美さまのお言葉で、さっき味わっためくるめく快感がまざまざとよみがえりました。
 同時に乳首とクリットに残るヒリヒリする疼痛も。

「連続で中イキっぱ、だったみたいよね。ワインボトルに直子の愛液プラス潮がなみなみと溜まっていたわよ?」
「ワイン・・・ボトル?」
「そっか、直子は目隠しされていたから知らないんだ。あなた、女性器と肛門に空のワインボトルを突っ込まれて、それを自分で腰振って出し挿れしていたの」

 ときどき聞こえたコツンコツンという音は、その二本のボトルがぶつかっちゃった音だったんだ・・・
 硬くてスベスベしていたのも、根本のほうがどんどん太くなっているような感じだったのも、膣内に空気と液体を送り込まれているような気がしたのも、すべて合点がいきました。

「あ、それと最後は、お鼻の穴まで絵理奈さんの指で犯されていたんだっけ」
 ご愉快そうに付け加えられる里美さま。

 思わず自分のその姿を想像してしまいます。
 四つん這いのお尻に二本のワインボトルを突き立てられ、鼻の穴には自分のアヌスの臭いが染み込んだゴム手袋を突っ込まれ、乳首とクリットをリズミカルに引っ張られつつお尻を叩かれて喘いでいる自分の姿を。
 
 その姿、絶対ミサさまが撮影されているでしょうから、後で私も見せられることになるでしょう・・・
 あまりの恥ずかしさに、全身がカーッと熱くなってきます。

「あ、肌に赤みが差してきたわね。チーフのブランデーが効いたかな?」
「ブランデー?」
「わたしがあなたのからだを拭き終わった後、チーフがあなたにブランデーを一口、飲ませたの。気付け薬代わりに、口移しで」

 口の中に残るほのかな甘味は、それだったのか。
 お姉さまが口移しで飲ませてくださったとお聞きして、嬉しさと気恥ずかしさにますます火照ってしまう私。

「あ、それで、えっと、他のみなさまは?」
 照れ隠しで話題を変えようと里美さまから目を逸らし、お部屋内を見渡しました。

 お料理のお皿やグラスもすっかり片付けられ、何事も無かったかのように整然と並ぶ椅子とテーブル。
 私の体液が盛大に汚したであろう床やテーブルもすっかり綺麗に拭き清められ、至って普通なレストランの一室。
 ついさっきまで繰り広げられていた乱痴気騒ぎがまるで幻だったかのよう。

「だから直子が気絶して、パーティもお開きになったの。撤収時間も迫っていたしね。チーフは階下で待っていてくれているわよ」
「直子は、みんながここをすっかり後片付けして、三々五々散っていくあいだ、気持ち良さそうに寝ていたの。そうね、時間にして10分弱ってところかしら」

 なぜだか嬉しそうにおっしゃった里美さまがお言葉をつづけます。
「わたしたちもそろそろ行きましょう。立てる?」

「あ、はい・・・」
 両足を床に下ろし、ゆっくりと立ち上がります。
 立ちくらむかな、と思ったけれど大丈夫でした。

「肌の血色もすっかり元に戻ったようだし、大丈夫そうね。じゃあ下に行きましょう。愛しのお姉さまがお待ちかねよ」
「あ、はい、って、あのえっと、私のお洋服は・・・」
 里美さまに背中を軽く押され、胸の前でバスタオルをギュッと握りしめながらうろたえる私。

「あのとんでもないローライズジーンズなら、直子が愛液でベトベトにしちゃって、ママさんにクリーニングを頼んだじゃない。ついでにワサビで汚れたチューブトップも」
 少しイジワルっぽく笑われる里美さま。

「あの袖だけボレロもチーフが回収しちゃったから、直子が身に着けていい私物は、あの靴だけね」
 里美さまが指さされた方向を見ると、階下へと下りる階段の手前に、お姉さまとおそろいな私のスニーカーが置かれています。

「靴だけ履いて、さすがに全裸はマズイから、からだにはそのバスタオルだけ巻いて階下に連れてきて、っていうのが、あなたのお姉さまからのご依頼よ。これから二次会で、どこかに連れて行ってくださるみたい」
「えっ?それでしたら私、裸にバスタオル巻いただけの姿で、お外に出ることになるのでしょうか?」
「当然そうなるわね」
 愉しそうに微笑まれる里美さま。

 いくら夜とは言え、素肌にバスタオル一枚で真夏の週末の繁華街に出るなんて・・・
 おまけにタオルもスニーカーも真っ白で夜目に目立つし、首にも別の意味で目立っちゃう赤い首輪しているし。
 お姉さまとご一緒なのは嬉しいし心強いけれど、それにしたって・・・

 心のなかでグズグズ愚痴りながらも、お姉さまからのご命令、私に許された唯一の着衣を素肌にしっかり巻きつけます。
 でも、このバスタオルの、幅がまた微妙でした。

 おっぱいをすっぽり隠そうとすると丈が足らず、恥丘まで丸出しに。
 なので、スジがどうにか隠せるくらいまでずり落とすと今度は上が乳首ギリギリ、胸の谷間はモロ出し状態。
 社会通念的にはワレメ丸出しのほうがマズイので、後者を採用しました。

 右腋の下でタオル地を折り返し、しっかり留めたつもりですが、かなり頼りない。
 ちょっと引っ張られたらハラリと解けてスッポンポン、ていう感じ。

 こうなると、いくら破廉恥な仕様と言えど、来るときに着てきたローライズシーンズやチュニックが恋しくなります。
 このバスタオルよりもチューブトップのチュニックのほうが数倍、安心感がありました。
 あの短か過ぎるボレロだって、今着せていただけたなら、見せびらかすみたいに露出しているおっぱいの谷間くらいは隠すことが出来たでしょうに・・・

「さあ、もう10時過ぎちゃったわよ?早く下に行きましょう」
 里美さまに促され、階段の手前でスニーカーを履きました。
 上半身ほとんど裸同然なのに、外出のために靴を履くという行為、それ自体がヘンタイ過ぎます。

 階段をおずおずと下りながら、タオル地に擦れる乳首と肉の芽が性懲りも無く勃ち上がってくるのを感じていました。


三人のミストレス 14