2014年9月14日

就職祝いは柘榴石 01

 その年の私は、卒業はしたもののお仕事が決まっていない、いわゆる、就職浪人、の身の上でした。
 希望だった幼稚園教諭免許は、なんとか取得出来たのですが、実習の過程でどんどん自信がなくなっていました。
 実習に伺った幼稚園の先生方もみなさまいい人たちでしたし、可愛い子供たちと遊ぶのもとても楽しかったのですが、ひとさまの大事な幼いお子様のお世話をする、というお仕事の責任の重大さに怖気づいてしまったのです。

 両親は、せっかく独り暮らしを始めたのだから、あと1、2年がんばって、自分がやりたいことをみつけてきなさい、と励ましてくれました。
 在学中に図書館司書の資格も取得出来たので、これから公務員試験のお勉強をして、どこかの公立図書館に入れたらな、と考えていました。
 なので、東京に来て3年目の私は、公務員試験の通信教育を受けつつ、何か他の資格、たとえばお料理とか薬剤師とか、にも挑戦してみよう、という、とても中途半端な状態で4月を迎えました。

 でも見方を変えれば、就職出来なかったからこそ、絵美お姉さまと出逢えた、とも言えます。
 もしも幼稚園などに就職が決まっていたら、3月中はその準備でてんてこまいで、絶対に、知らない街のランジェリーショップで破廉恥な冒険をしてみよう、なんていう心境にはならなかったでしょうから。

 絵美お姉さまと初めてのお泊りデートをした日の翌週、お約束通り火曜日にお姉さまからご連絡をいただき、その週末にまた、お姉さまとお逢い出来ることになりました。
 今度は、どんな展開になるのだろう?
 ふしだらな期待にドキドキしながら、指折り数えて当日を待ちました。

 4月の第一週目の金曜日、午後6時40分。
 待ちあわせ場所は、有名高層ビルの名前を冠したショッピングモール内のイタリアンレストランでした。
 
 例によって何を着ていくか迷いましたが、今回も無難に、ブラウス、スカート、ジャケットの学生風にしました。
 前回、最初は普通の格好だったのに、お姉さまのご命令によって、公の場所でどんどんみるみる恥ずかしい格好にさせられてしまった、あのめくるめく恥辱感が忘れられなくなっていました。
 それを再び期待しての選択でした。

 先週お借りしたニットワンピースは、クリーニングに出して、戻ってきたビニール袋ごとバッグに入れ、お姉さまにお返しするつもりです。
 少し早く着いたのでレストランの入口前で待っていると、濃茶のビジネススーツに身を包まれたお姉さまが、大きなバーキンを肩に提げて現われました。

 席に案内され、オーダーを決めてホッと一息。
 このあいだみたく個室ではない、普通にたくさんテーブルが並んだレストランなので、秘密のアソビは出来なそう。
 ウェイターさんが立ち去ると、お姉さまが私を見てニッて笑い、会話の口火を切りました。

「一昨日にね、百合草女史とシーナさんにお会いしてきたのよ」
「えっ?」
 予期せぬ告白になぜだか少し動揺しちゃう私。

「あ、百合草先生のお店に行かれたのですか?」
「ううん。いろいろお聞きしたかったから、水野先輩に頼んで無理言って、お店始まる前に時間作ってもらったの」
 水野先輩というのは、通称ミイコさまのことで、やよい先生とご一緒にお店をやられているパートナーの女性です。
「結局夜まで居て、お店でも軽く呑んできちゃったけれどね」
 お姉さまが小さく笑いました。
 
「でもなぜ急に、百合草先生のところへ・・・?」
「直子とあたしがつきあうことになりました、っていうご報告を一応ちゃんとしておこうと思ってね」
 そのお答えを聞いて、すっごく嬉しい気持ちになりました。
 お姉さま、私とのこと、本当に真面目に考えてくださっているんだな、って。

「ほら、直子にとって百合草女史って、紫のバラのひと、みたいな感じじゃない?シーナさんは、うーんと、月影先生かな?」
 わかるようなわからないようなたとえでしたが、そう言われてみればそんな気もします。
「だから、これからは直子を気安く誘わないでくださいね、っていう軽い威嚇も込めてね」
 冗談めかしておっしゃって、クスッと笑いました。

 そう言えば私が、やよい先生やシーナさまとの過去を告白したとき、お姉さまが、ジェラシー感じちゃう、なんて感想をおっしゃっていたっけ。
 嬉しさがどんどん膨らんじゃう私。

「おふたりともお元気そうでしたか?」
「そうね。ふたりとも直子のこと、とても気にかけているみたいよ。いろいろ褒めていたわ。昔のえっちなアソビのこと、たくさん聞いちゃった」
「ほとんどは、このあいだ直子が話してくれたのと同じだったわね。あたしたちがつきあうって聞いて、シーナさんは少し残念そうだったわ」
 そんなお話をされても、私はどんな顔をすればいいのでしょうか。
「私、百合草先生のお店、一度も伺ったこと無いんです。だから先生には、ずいぶんお会いしていないんです」
「ああ、ぜひ今度ふたりでいらっしゃい、っておっしゃっていたわよ」

 そこでお料理が運ばれてきて、しばらくはそれを美味しくいただきながら、私の昔のえっちなあれこれで、お姉さまからいろいろからかわれました。
 食後のリモンチェッロが運ばれてきたとき、お姉さまが少し真面目なお顔つきになり、私を見つめてきました。

「これを飲む前に、素面なうちに、今日の一番大事な話をしておくわね」
 わー美味しそう、ってグラスに口をつけようと持ち上げていた私は、あわててグラスをテーブルに戻しました。
「あ、はい」

「直子って、今年卒業したけれど、就職していないんだって?」
「はい、そうです・・・」
「あたしてっきり、まだ学生さんだと思っていたのよ。だからそういう発想、無かったのだけれど」
「直子は、今後のビジョンとかあるの?将来こういう仕事につきたい、とか」
「いえ、これといって・・・とりあえず公務員試験を目指そうかな、くらいしか、今のところ・・・」

「だったらさ、うちで働いてみない?」
「うち、ってお姉さまの会社ですか?」
「そう」
「お仕事は、アパレル、でしたよね?」
「そう。デザイン主体だけれど、企画から製作、販売、いろいろやっているわ」
「私、そういう知識無いですし、センスもたぶん・・・」
「ううん、そういうのは関係ないの、あんまり。直子には、あたしの秘書的なお手伝いをして欲しいのよ」
「秘書、ですか?」

 お姉さまの秘書・・・
 秘書というお仕事の、なんとなくなイメージはあるのですが、具体的に何をするのかはぜんぜんわかりません。
 でも、漠然とカッコイイ感じだし、お姉さまといつでも一緒にいれそうだし・・・

「シーナさんが言い出したのよ。あの子、あ、つまり直子のことね、就職決まっていないから雇っちゃえば?って。そしたら女史も先輩も大賛成」
「あの子は、たぶん今までバイトもしたことないし、ああいう子だから就職するにもいろいろややこしいと思うのよね、って」
「男性ばかりの職場は絶対無理だろうし、お金にも困っていないから、放っておくとずっと働かなそうだし、って、これは全部シーナさんの発言だからね」
「だから、あたしが養ってあげるしかない、って、3人からさんざん売り込まれちゃった」
 お姉さまが嬉しそうにクスクス笑いながら、リモンチェッロのグラスに口をつけました。

「あたしのオフィスは、社員はあたしを含めて女性6名、全員男性不用のレズビアン。ペイはあまり出せないけれど、居心地は良いはずよ」
「コンセプトは、簡単に言うと、女性による女性のためのファッションブランド。だから、おつきあいしている会社もほとんど、女性主体なの」
「これがうちの会社概要資料ね。ひとりになってからゆっくり見て、じっくり考えてみて」
 オフィス・ダブルイー、というオシャレなレタリング文字が踊る厚めな白い封筒を手渡されました。

「ダブルイー、っていうのはWEではなくてEEって書いて、エレガントアンドエロティック。偶然あたしのイニシャルでもあるから、あたしが無理矢理社長にされっちゃったというワケ」
「ほんとですか!?」
「嘘みたいだけどほんと」
 お姉さまの色っぽい苦笑い。
「でも、私なんかでいいのですか?」
「私なんか、ってどういう意味?直子だから誘うんじゃない。何言ってるのよ?」
 少し怒ったようなお姉さまのお言葉がハートにズキュン!

「さあ、これで直子への勧誘はいったん終わりね。これからは、スールとしてのデートを楽しみましょう」
 ふたりのグラスをチンとして、私は封筒を自分のバッグにしまいました。
「これ飲んだら、今夜は直子の部屋へ行くからね。百合草女史やシーナさんにいろいろ教えられて、試してみたいことがたくさんあるの。いいわよね?」
 お姉さまのお顔が、えっちぽく笑っています。
「はい。それはもちろん」
 なんとなく予感がして、お部屋は綺麗にお掃除してきました。

「ところでお姉さま?お姉さまのオフィスって、この近くにあるのですよね?」
 お誘いに耳を傾けながら、ずっと気になっていたことを聞いてみました。
「どのあたりなのですか?」
「あれ?まだ教えていなかったけ?」
「はい。聞いていません」
「そうね、ここからだと、一階まで降りて少し歩いてからエレベーターに乗って1分くらいかしら」
「えっ?ひょっとして・・・」
「このビルの高層階、真ん中より少し上」

 うわー、こんな有名なビルのすごーく高いフロアでお仕事が出来るんだ。
 見晴らし良さそう。
「お外見えます?」
「もちろん。夜景とか、すっごく綺麗よ」
 私の中で、お姉さまの会社への就職は、完全に決まりました。

 それからお外へ出て、すっかり陽の落ちた薄暗い道を私が住むマンションへと、おしゃべりしながらぷらぷら歩き始めました。

「お姉さまの会社って、高校のときの服飾部のお友達が集まって作られた、っておっしゃっていましたよね?」
「そうよ。あたしと同学年のあとふたりが主要メンバー。デザイン部門と営業部門」
「それでその服飾部の頃、私みたいな人がいて、その人をよく虐めていたって、このあいだ・・・」
「ああ、アユミのことね。でも虐めていたんじゃないってば。悪ふざけみたいなもの。彼女だってキャッキャ悦んでいたもの」
「どんなことをされていたのですか?すごく知りたいです」

「よくある悪戯よ。授業中にこっそりパンツ脱げ、って命令したり、ノーブラで体育の授業受けさせたり」
「ああ」
「仲間にそういうオモチャが手に入る子がいたから、授業中にリモコンローターで虐めたりね」
「すごいですね」
「あら、直子だって、友達にそういう子がいたって言っていたじゃない?ヌードモデルさせたとか。美術部の子だっけ?」
 私の高校時代のお友達、しーちゃんとクリスさんのことです。
「はい。でもお姉さまたちのほうがもっとすごそう」
「アユミも美術部に貸し出したことあるわよ。ヌードデッサンのモデルとして」

「女子高はね、けっこうそういうの、えげつないよね。休み時間にトイレにこもってイかせ合ったりしていたもの」
「うわー。うちの学校では、そこまではなかったと思いますよ?たぶん」
「そうなの?まあ、あたしたちもノリの良さそうな子としかしなかったけれどね」

「服飾部ならではで言うと、スクール水着の裏地こっそり取っちゃったり、胸と腰周りだけメッシュのワンピース作って着せてみたり」
「服飾部だと、採寸や試着で着たり脱いだりを部室で頻繁にするから、肌を見せることには抵抗が薄れちゃうのよね、まわりみんな同性だし。うちの学校、教師もほとんど女だったし」
「でも、そんな中でひどく恥ずかしがる子がいると、一気に愉しくなっちゃうのよ。いろいろ悪戯考えて」

「一番傑作だったのは、制服のとそっくりな色合いでもっと軽くて薄い布地でスカート作って、風の強い日にアユミに穿かせて街に遊びに出たの」
「一緒に歩いていると、もう面白いくらい、アユミのスカートだけフワフワめくれちゃって、凄かったわよ」
「ちゃんと膝丈で、一見みんな同じスカートなのにね。道行く人も呆気にとられていたわ。ずっとついてくる男子とかいたし」
「卒業してから昔話したとき、アユミも、あれが一番恥ずかしかった、って言ってたな」
「でも彼女、そのわりには気に入ったらしくて、その後もよく好んで穿いていたのよ。下にTバックのパンツとか着けて」

「そのアユミさんていうかたは、お姉さまの会社には入らなかったのですか?」
「うん。彼女はその後、モデルになったの。いわゆるグラビアアイドルってやつ?けっこうその世界では有名みたい」
 お名前をお聞きしましたが、聞いたことあるような無いような。
「今でもDVD出してがんばっているわよ。やっぱり視られるのが好きなのよね。うちでたまにコスチュームのデザインもしているから、うちに入れば、そのうち会えると思うわ、アユミに」
「へー。まだおつきあいがあるのですね?」
「もちろん。だからぜんぜんイジメじゃないでしょ?」

「直子にもそのうち、いろいろ恥ずかしい衣装を作ってあげるわ。嬉しいでしょ?」
「・・・はい・・・愉しみです」

 そんなおしゃべりを楽しくしつつ、夜8時ちょっと過ぎに私のマンションに到着しました。


就職祝いは柘榴石 02


2014年9月7日

ランデブー 6:42 10

 押入れとエアコン以外は何も無い和室六畳間の中央に、二組のお布団が並べて敷いてありました。
「わぁ、なんだか旅行に来たみたい。旅館みたいですね」
「ここは本当に寝るためだけの部屋だからね。余計な物は置いてないの」
 おっしゃりながら、お姉さまがバスローブの紐を解き、スルスルッと脱ぎ捨てて裸になりました。

「裸になると、また何かしたくなっちゃうけれど、あたし、明日のために寝ておかないとまずいから、ごめん、電気消すね」
 お姉さまが枕元に置いてあったリモコンで電気を消し、お布団の上に座っていた私を抱き寄せてチュッと頬にキスをくださってから、ドアに近い側に敷いたほうのお布団に潜り込みました。
 残念だけれどわがままは言えないので、私も隣のお布団に潜り込みます。

「直子はあたしが出て行った後も、好きなだけ寝ていていいからね。明日はうちの会社もお休みだから、ここにも誰も来ないはず」
 暗闇の中、私のほうを向いているらしいお姉さまのハスキーなお声が聞こえてきました。

「冷蔵庫に冷凍ピラフとか、いろいろあるがら遠慮しないで自由に食べていいわよ。シャワーもご自由に」
「あ、はい」
「そうそう、この部屋はオートロックだから、いったん外に出たらもう入れないからね」
「もしもうっかり裸のまま廊下に出てドア閉じちゃったら、大変なことになっちゃうわよ?」
 おそらく、そうなったときの私を想像しながらおっしゃったのでしょう、クスクス笑い混じりなお声でした。

「たぶん来ないとは思うけれど、宅配便とか、他の誰が来ても出なくていいから。インターフォンにもね」
「あと、明日もし晴れていたら、掛け布団だけ、ベランダに干してくれると嬉しいかな、午前中いっぱいくらい」
「出来たらでいいわ。用事があって午後まで居られないなら、そのまま押入れにしまってくれればいいから」
「はい。別に明日は用事ありませんから」

「ンンーーーッ」
 お姉さまがお布団の中で伸びをされたよう。
「おっけ。それじゃあ、おやすみー」
「おやすみなさい」

 お姉さまのお布団が束の間ゴソゴソ動いて、やがてしんとなりました。
 私も目をつぶりましたが、頭の中で今日の出来事のおさらいが始まり、なかなか寝つけません。
 4、5分くらいそうしていたら、再びお姉さまのお布団がゴソゴソしだしました。

「直子?」
 ひっそり声で問いかけられます。
「はい」
「起きてたの?」
「はい、なかなか眠れなくて」
「あたしもよ。気が昂ぶっているのか目が冴えちゃって」

「お姉さまは、明日何時に起きるおつもりなのですか?」
「5時半のバスだから、4時半くらいには起きないとね」
「あらら。もうあんまり時間がないですね」
 おそらくもう深夜2時近くになっているはずです。

「直子?」
「はい?」
「こっちおいで」
「え?」
「もういいや。バスや飛行機の中でも眠れるし、この昂ぶりを鎮めるほうが建設的みたいだから」
 お姉さまがご自分の掛け布団の端を開き、私は喜んで滑り込みました。

 お姉さまのスベスベなお肌に密着して、横向きに抱き合いました。
 唇を重ね、お布団の下でおっぱい同士を密着させ、脚を絡めます。
 お姉さまのしなやかな右の太腿を私の両脚で挟み、お姉さまの右腿が私の股間をスリスリ、私の左腿がお姉さまの股間をスリスリ。
 いやらしい声が出そうになると、お姉さまの舌が塞いできます。
 粘膜を互いの腿に擦りつけるように腰を振って、ふたり、じわじわと高まっていきました。

 そのうち、お互い左腕だけで抱き合う形となり、右手は互いの秘部へ。
 互いの指が互いの粘膜を執拗に責め立てます。
 上半身をクネクネくねらせて乳首を弾き合うあいだも、唇はずっと重ねたまま。
 掛け布団はすっかりはだけたようで、真っ暗闇の中、上と下の唇を貪り合うクチュクチュという音と、ハアハア荒い息遣いだけが響きました。

「んんんぅーうっ!」
「うっうぅーんっ!」
 クチュクチュのピッチが上がり、互いの背中が弓反ります。
「んはぁーっ!!!」
「あふぅーっ!!!」
 ふたり、ほぼ同時にイって、抱き合ったまま、ぐったり。
 そして、ぐっすり。

 目覚めたとき、自分がどこに居るのか一瞬わかりませんでした。
 すぐに思い出して上半身を起こします。
 私は、最初に寝たほうのお布団に戻っていて、お隣のお布団はもぬけの殻。
 掛け布団だけ、きれいにたたまれていました。

 今何時なのだろう?
 薄暗い寝室を見渡しても、どこにも時計は無いみたい。
 お姉さまったら、目覚ましもかけず時計も無しで、ちゃんと起きて出かけられたんだ。
 さすがお姉さま、って感心しながらも、フワーッとあくびをひとつ。
 えいやっ、て立ち上がり、お隣のリビングへ。

 壁の丸い時計は、朝の9時を少し回っていました。
 ターコイズブルーのカーテンを開くと、もう一枚真っ白なレースカーテン。
 大きな窓から眩しい陽射しがパーッとリビング内に射し込んで、お外は快晴のようでした。

 昨夜までお姉さまの上着を着ていたワイヤートルソーが、私のジャケットだけまとっています。
 テーブルの上に、旅行用のような歯磨きセットと白い紙と外国ブランドのショッパーがひとつ、そして私のバッグが置いてありました。
 白い紙は、お姉さまからの置き手紙でした。

 直子へ
 おはよう。よく寝ているようなので起こさずに行きます。
 火曜日に戻る予定なので、戻ったら連絡します。次に会う日を決めましょう。
 ブラウス、スカート、ソックスは汚れているのでクリーニングに出しておきます。
 代わりの服を置いておくので、帰りはそれを着て。直子にはニットが似合うと思う。
 下着は無しよ。ドレイだから(笑)
 ハブラシも持って帰ってね。
 次に会う日が楽しみです。それではよい一日を

 そのお手紙を二度読み返してからたたんで自分のバッグにしまいました。
 それからショッパーの中身を取り出します。
 真っ白なニットワンピース!
 生地がふわふわ軽くって、ひょっとしてカシミア?
 ラウンドネックの七分袖で、すっごく可愛い!

 すぐにでも着てみたかったのですが、まずは朝のおつとめをしなければ。
 歯磨きセットを手に取り洗面所へ。
 
 鏡を覗いたら、それに気づいてしまい、途端に全身が火照ってしまいました。
 私の首筋や胸元、二の腕にうっすらと残る淡い内出血。
 お姉さまからのキスマーク。
 数えたら、鏡で見えるだけでも5つありました。
 もう、たとえようもないくらい幸せな気持ちです。

 歯を磨いてから顔を洗おうと前髪を上げたとき、おでこにも赤っぽい痕があるのに気がつきました。
 こちらのは、ルージュの痕のよう。
 淡いながらも、はっきり唇の形に残っています。
 きっとお姉さまがお部屋を出る直前に、私のおでこにチュっとしてくださったのでしょう。
そう考えたら、鏡の中で自分の顔がだらしなく緩み、えへへ、って笑ってしまいました。

 おでこのマークを消さないように注意深く顔を洗っていたら、良いアイデアが浮かびました。
 
 今日は別に予定も無いし、ゆっくりしていけます。
 それに、このお部屋にいる限り、着ける下着が無いので、必然的に全裸でいることになります。
 だったら、いつも自分の家で妄想と共に実行している全裸家政婦を、実際に、このお部屋でやってみたらどうだろう、って。
 
 昨日のお姉さまとのあれこれを思い出して余韻に浸りつつ、お姉さまへの感謝の気持ちを込めて、このお部屋を綺麗にお掃除してから帰るのです。
 お姉さまのお願い通り、お布団を干して、ついでにバスタオルとかもお洗濯して、自分で汚した床やソファーももう一度綺麗にして・・・
 そう決めたら、ワクワクムラムラしてきました。

 おトイレの後、とりあえずリビングに戻って、段取りを考えることにします。
 ソファーにバスタオルを敷いて腰掛け、あらためてお部屋を見渡しました。
 昨日まで来たこともなかったよそさまのお部屋で、ひとりこうして全裸で居ることに、そこはかとなく興奮してきます。
 なんで私は今こんなところで、裸ん坊なのだろう?
 誰も訪ねて来ないことがわかっているとは言え、絶対非常識です。
 不安感、背徳感、罪悪感、倒錯感・・・
 そういうのがないまぜになって、あそこがキュンキュン疼きます。
 
 だめだめ、そういうのはあと。
 お仕事が終わってから。

「全裸家政婦直子、絵美お姉さまのために、精一杯ご奉仕、がんばります!」
 マゾの服従ポーズになって、実際に口に出して言ってみて、自分で照れてしまいました。

 お布団やお洗濯ものは、お日様がある早いうちにお外に干さなければいけません。
 まずはお布団を干してしまいましょう。
 
 リビングの突き当たりのレースのカーテンが掛かった大きな窓。
 その向こう側がベランダのようです。
 あの窓を開けると、お外の様子がどうなっているのか?
 全裸家政婦にとっては、最初から難問でした。

 立ち上がって窓際へ。
 レースカーテンを開けると全面曇りガラスの窓。
 窓の鍵をはずしてから、向かって右側のターコイズブルーのカーテンに裸身をくるみ、窓をそっと開けてみました。
 もあーっとした街の喧騒音と共に、春の陽射しとそよ風がお部屋に舞い込んで来ます。
 いいお天気。

 カーテンの陰からお外を覗くと、一段低くなっているベランダ自体は意外に狭く、幅は畳一畳分くらい、細長いスペースでした。
 目隠しフェンスはコンクリート製ぽくて、隙間も無くかなり高め。
 ベランダの向こう側は青空で、見える範囲に建物は見えません。

 これなら裸のまま出ても大丈夫かな?
 でも、ここはお姉さまの会社のお部屋だし、万が一誰かに見られちゃって変な噂になったらご迷惑だし・・・
 目隠しフェンスが高めなことはわかったので、カーテンの陰から出て、その場にしゃがみました。
 片方の窓を全開にして、しゃがんだままベランダに降りてみます。
 両脇のお部屋のベランダとは上まできっちり目隠しされているので、しゃがんでいる分には、どこからも見られちゃう心配は無いみたい。

 お外側の目隠しフェンスは、1メートル3~40センチくらい?
 私が立ち上がったら、バストギリギリかな。
 ステンレスの物干し竿が、そのフェンスより高い位置に二段あるので、そこにお布団を掛けるとしたら、背伸びしなければ無理。
 だからやっぱり、最低バストだけは何かで隠さないと。
 バスタオルでも巻こうか・・・

 しゃがんだままフェンス際まで寄って、恐る恐る少しづつ腰を上げ、顔だけフェンスを超えるように外へ向けると、眼下に緑の木々が見えました。
 ベランダの対面は広めな公園のようです。
 子供たちのはしゃぐ声が聞こえてきます。
 中腰のまま急いでリビングに戻りました。

 全裸のままベランダに出て、お布団を干すのは無謀のようです。
 さあどうしましょう?
 考えながらも、私の下半身は今の冒険でヌルヌルでした。
 だって、しゃがんだままとは言え、全裸でよそのお家のベランダに出ちゃったのですから。
 お外の空気が、文字通り全身をやさしく包んで愛撫してくれたのですから。

 ああんっ、今すぐオナニーしたいぃ!
 だめよ!お仕事が終わってから!
 
 心の中のふたりの私の鬩ぎ合いは、お外が公園、と知ったとき、すでに答えを出していました。
 ベランダ下の景色を見て、公園、という言葉が浮かんだ瞬間、昨夜の裸ブレザーのスリル、恥ずかしさ、興奮をまざまざと思い出していました。

 この状況なら、こうするしかありません。
 寝室に戻り、掛け布団を2枚とも窓際に運びました。
 それから、お姉さまのトルソーに駆け寄り、自分のジャケットを取って素肌の上に羽織りました。
 ジャケットの裏地が素肌を包む感触で、昨夜の性的高揚が鮮やかに蘇ります。
 上のボタンひとつだけ留めて、窓際に戻りました。

 掛け布団を一枚持ってベランダへ。
 上半身は裸ブレザー、下半身は丸裸。
 ベランダとは言え立派にお外なのに、私ってば、なんていう格好。
 破裂しそうなドキドキを感じつつ、何食わぬ顔で背伸びしてお布団を物干しに掛けます。
 背伸びするとジャケットの胸元が浮いてたわみ、自分の胸元を見下ろすとたわんだVラインの中で、おっぱいが乳首まで丸見えになっていました。
 
 二段ある物干しの高いほうにお布団を掛けると、お布団がいっそう高い目隠しとなり、私の全身をすっぽり隠してしまうようです。
 ということは、干したお布団の裏側なら・・・
 淫らに歪む自分の顔を自覚しながら、まだ何も干していないほうのフェンスに寄って眼下の公園を見下ろしました。

 公園では何組かのママさんと小さい子供たちが甲高い声を上げて遊んでいました。
 フェンスに両手を乗せて公園を眺めながら自分の淫らさに酔っていると、こちらを見上げている女の子に気づきました。
 ずいぶん遠くだったけれど、目が合った気がしました。

「おねえーさーん、おはよーございまーすっ」
 5、6才くらいの可愛らしい女の子が私を見上げて手をぶんぶん振ってきました。
 傍らに居たママさんらしき人も、娘につられて私を見上げ、こちらに小さく会釈をしてから、ニコニコと女の子に何か語りかけています。
 私も会釈を返し、小さく手を振り返しました。
 それを見た女の子は、ますます喜んで手を振りつづけます。
 しばらく手を振り合っていたら、もうどうにもがまん出来なくなって、リビングに戻りました。

 もう一枚のお布団を、お外を見ないようにして大急ぎで干し終え、リビングに戻るなりジャケットのボタンをはずし、フローリングに寝転びました。

 なんてはしたない女なのよ、直子!
 裸ブレザーに下半身丸出しで、よそのお家のベランダに出て、いたいけな女の子にニコニコ手を振ったりして・・・
 こんなによく晴れた土曜日の午前中なのよ?普通の人は健全に親子で公園を楽しんでいるのよ?
 それなのに直子はえっちなことばっかり考えて、ヘンタイなことしか頭になくて、オマンコからおツユをだらだら垂らしながら嬉しそうに微笑んで・・・

 乳首とおマメをぎゅうぎゅう潰して自分を虐め、しばらくふしだらな快楽に耽ってしまいました。

 やっとムラムラが落ち着いてからは、真剣に全裸家政婦にいそしみました。
 昨夜ふたりが使ったバスタオルとシーツをお洗濯。
 干すときは、掛け布団2枚が目隠ししてくれているので、思い切って全裸のまま、ベランダに出ちゃいました。
 お布団をあげて仕舞って和室のお掃除。
 リビング全体の床とソファーをもう一度念入りに拭き掃除。
 おトイレとバスルームも水浸しになりながら入念に磨きました。

 気がつくともう午後2時近く。
 さすがにお腹が減ったので、お姉さまのお言葉に甘えて、冷凍ピラフとインスタントのスープをご馳走になりました。
 食休みはファッション雑誌をめくって、しばしまったり。

 3時前にベランダに出ると、バスタオルもシーツもポカポカに乾いていました。
 シーツは寝室の押入れへ、バスタオルは脱衣場の籠の中にしまいました。
 ここまでは全裸。
 あとはお布団です。
 これを取り込んだら、もう帰るだけ。
 なので、お姉さまがご用意してくださったニットワンピースを着てみることにしました。

 すっごくいい感じ。
 布地表面はスベスベで、とっても軽くて、素肌でもチクチクしなくて、それでいてあったかい。
 ただひとつ。
 サイズが小さいのか、もともとそういうデザインなのか・・・
 すっごくボディコンシャス。

 完全に私のからだのライン通りのシルエットなんです。
 丈は膝のちょっと上くらいなので、下半身はノーパンでも良いのですが、問題は上半身。
 バストのふくらみが、わたしのおっぱいの形通りに布に包まれ、その左右の先端にまさに、これ見よがし、と言う感じで、恥ずかしい突起がポチポチッと浮き出ていました。
 うわー、なんだかすごくえっちぃ。
 洗面所の鏡に映して、ひとり赤面してしまうほど。
 だけど、これはお姉さまのお見立て。
 そう考えたら、この姿が自分らしいのかな、とも思えてきました。

 その姿でベランダに出て、お布団を取り込みました。
 お外は少し陽が翳ってきていますが、公園内にはまだ、けっこう人がいました。
 みなさんベンチに座ってまったりされているご様子。
 取り込んだお布団を寝室の押入れにしまい、窓に鍵をかけてカーテンを2枚とも閉じました。

 さあ、そろそろおいとましましょう。
 ジャケットを羽織ってボタンを留めたらバストのポッチも隠れ、コーディネート的な色合いもおシャレ。
 昨夜の裸ブレザーノーパンミニスカに較べたら、ぜんぜんファッショナブル。
 
 このままショッピングモールにお買い物にでも行きたいような気もするけれど、やっぱり今日はまっすぐ帰ります。
 お姉さまとの昨日からのあれこれを反芻して、もう一度思い切り身悶えたい気分だから。
 戸締りをしっかり確認して、忘れ物をチェックして、お部屋の玄関ドアを出たのは、午後3時42分。

 そんなふうにして、私と絵美お姉さまとのおつきあいは、始まりました。


就職祝いは柘榴石 01

2014年8月31日

ランデブー 6:42 09

「あの、お姉さま、バスタオルか何かをお借り出来ますでしょうか?」
「いいけれど、なぜ?」
 
 私が自分の足元に視線を落とすと、つられてお姉さまも、同じ場所に目線を移されました。
 ニーハイソックスを脱がされてしまったため、内腿を滑り落ちるおツユを途中で堰き止めてくれるものがなくなり、床に恥ずかしい水溜りが出来ていました。

「このまま座ったら、ソファーを汚してしまいます」
「そんなこと気にしなくていいわ。そのソファー合皮だし、あとで拭き取れば大丈夫。それより早く、いやらしく悶える顔を見せて」
 
 お姉さまに促され、おずおずとソファーに腰掛けました。
 お尻の下がヌルッと滑ります。
 両手は後頭部で組んだまま、両膝をピッタリ閉じて、背もたれに背中を預けました。
 火照った素肌に、冷たいソファーが気持ちいい。

「両手、解いていいのよ。直子の好きなようにからだをまさぐって、好きなだけイキなさい」
 両手を腰に当てたお姉さまが私の真正面に立ち、ソファーに座った全裸の私を見下ろしていました。
「明るいままでいいわよね?視られたがりなのだから」
「あ、はい」
 お姉さまの瞳が妖しく輝いています。

 射抜くように見つめてくるお姉さまの瞳に視線を合わせ、ゆっくりと両手を後頭部から放し、体の前に持ってきます。
 居酒屋さんや街中での羞恥プレイで焦らしに焦らされた昂ぶりを、ついに慰めることが出来るのです。
 それも、大好きなお姉さまに間近で視られながら。
 すぐにイッちゃうだろうな・・・
 そう思いながら、自分のふたつの乳房を、左右それぞれの手でわしづかみました。

「はうんっ!」
 乳首に手のひらが触れた途端、からだがビクンと震え、閉じていた膝がだらしなく開き、恥ずかしい声がほとばしりました。
 ずっと長いあいだ物理的な刺激を渇望しながらもお預け状態だった私のからだは、全身が性感帯と化していました。
 
 乳首を指のあいだに逃がしてギュッと挟みつけながら、おっぱいをわしわしと揉みしだきます。
「あっ、あっ、あうっん!」
 おっぱいが歪むたびに下半身の奥がジーンと痺れ、粘膜から粘液がジワジワ滲み出てくるのがわかります。
「んっ、んっ、ぅうぅっん!!!」
 自分のからだが欲している淫らな刺激をお姉さまにもわかっていただけるように、すがるようにじっと見つめつつ、自分のおっぱいをいたぶりました。
 両方の乳首を指先で思い切り潰すように責めていたら、早くも頭の中で火花が炸裂しました。
 腰全体がクネクネ大きく悶えて、おっぱい虐めだけであっさりイってしまいました。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
 無我夢中でついつぶってしまった両目を開けると、お姉さまの視線とぶつかりました。
 お姉さまが形の良い唇の端を微かに上げて、小さな笑みをくださいます。
「はあんっ、お姉さまぁ・・・」
 その微笑にお応えしたくて、両膝を大きく広げました。
 両足をそれぞれソファーの上に乗せ、全開のアソコだけ前に突き出すような恥ずかしいM字です。
 
 直子のいやらしく濡れたオマンコ、中までじっくり視てください、お姉さま・・・
 お姉さまが大好き過ぎて、実際に声に出すことを躊躇してしまうヘンタイな科白を、心の中でつぶやきました。

 左手はおっぱいにそのまま、右手を裂け目へ。
 瞬く間にベットリ濡れる右手のひら。
 つづけてイキたい、何度でもイキたい。
 割れ始め付近でプックリ腫れている肉芽を、ギューッとつまみました。
「あうぅぅっ!!!」
 全身を電流がビリビリッとつらぬき、腰がソファーから大きく浮き上がりました。

「あっ、あっ、あぁっ・・・」
 親指と人差し指でおマメをつまんだまま、中指と薬指を曲げて穴へ潜り込ませました。
 そのまま膣壁をひっかくようにピストン運動。
 左腕でおっぱい全体を潰し、指先で右乳首を執拗に捻り回します。

「あああ、いい、いい、いぃーのぅっ!」
 お姉さまのお顔を見上げながら、訴えるように喘ぎます。
「あ、あっ、イク、イク、イッちゃうぅぅぅ!!!」
 潜り込んでいる指が強くキュッと締め付けられました。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」 
 右手全体が濡れてふやけてふにゃふにゃ。
 そのヌルヌルの手で左おっぱいを掴み、交代に左手を股間へ。
 ソファーの上で膝立ちの四つん這いになり、お尻をお姉さまに向けました。
 このほうがオマンコの奥までよく視ていただけるし、お尻の穴だって視て欲しいから。

 今度は左手の指三本を潜り込ませ、粘膜をかきまわします。
 ヂュプヂュプヂュプヂュプ・・・
 卑猥な淫音が自分の股間から聞こえてきます。
 首を思い切り捻ってお姉さまに向けると、バチッと視線がぶつかりました。

「何回イッたの?」
 相変わらず両手を腰に当て、真剣なご表情で私を見守るお姉さま。
「ああんっ、えっと、3回か、4回か・・・」
 自分のアソコを嬲る手は止めず、喘ぎ喘ぎお答えします。
「すごいわね。いくらか落ち着いた?」
「い、いいえ、どんどんどんどん昂ぶっちゃって、どんどんどん気持ち良くなっちゃっていますぅ・・・」

 お姉さまに高く掲げたお尻をぶって欲しい、思いっきり強く、何度も何度もぶって欲しい・・・
 そんな願望も口に出せないまま、それでもグングンのぼりつめていきます。
「あっ、あっ、あぁぁーーっ!」
 お姉さまの視線、お姉さまのお声、お姉さまの香り、お姉さまの息遣い・・・
 それらをこんなに近くに感じながら、浅ましく恥ずかしい自慰姿をご披露出来るだけで、本当に夢のよう。
「あーっ、あんっ、あぅんっ、え、絵美お姉さま、だ、大好きですぅぅ・・・!!!」
 はしたなくも贅沢な願望は封印して、心の底から想っている本心を叫ぶように声にすると、クリトリスを擦る速度が猛烈に上がって、またまたイってしまいました。

「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
 四つん這いだとお姉さまのほうを向きにくいことに気づき、再びM字に戻りました。
 今度こそずーっとお姉さまを見つめながらイこう。
 そう決めて、再び右手を股間に滑らせました。

 お姉さまは私から目線をはずし、うつむいていました。
 両手がご自分のおへそのあたりでゴソゴソしています。
「ああんっ、お姉さまぁ?・・・」
 アソコをまさぐる手は止めず、こちらを向いて欲しくて語尾が上がりました。
「んっ?」
 気づいたお姉さまが上目遣いで私を見ました。

「あたしのことは気にしないで、つづけてて」
 おっしゃりながらお姉さまは、スーツのスラックスのベルトをはずし、ジッパーをジジジッと下げました。
「直子の凄いオナニー姿見ていたら、あたしもがまん出来なくなっちゃった」
 照れたようにおっしゃってから身を屈め、スラックスを脱ぎ捨てました。

 お姉さまがお洋服を脱いでいる!
 お姉さまが裸になる!?
 一瞬、何がおきているのかわからなくなり、軽いパニック状態。

 それまでの私は、私だけが裸になってお相手は着衣のまま辱められる、という羞恥マゾプレイばかりを経験していたので、今日も、それが当然と思い込んでいたようでした。
 ランジェリーショップのときもそうでしたし。
 でも今日は、お姉さまも裸になって、私のお相手をしてくださるおつもりなんだ!
 考えてみれば、おつきあいを始めたふたりが夜更けにお部屋でふたりきりなのですから、そうなるのはあたりまえのことなのですが、マゾプレイに馴れ過ぎていた私にはひどく新鮮でした。

 今夜はマゾプレイではなく、恋人同士。
 初めてお姉さまの裸が見れる。
 初めてお姉さまと裸で抱き合える。
 初めてお姉さまと一緒にイける。
 ワクワクが止まりません。

 お姉さまは、スラックスの下は生足で、品の良いパープル色の布地が小さめな下着を着けていらっしゃいました。
 レースっぽいキラキラした生地で、とてもローライズ。
 ああいうのをスキャンティって呼ぶのかな。
 薄い布地にうっすら翳りが透けているような気がします。

 ブラウスのボタンをはずし始めるお姉さま。
 スキャンティとお揃いなパープル色のお洒落な小さめブラが覗きました。
 キリッとしたビジネススーツの下に、あんなえっちぽい下着を着けていたんだ。
 それってひょっとして、私のため?
 心臓がドキドキ弾んでいます。

「ほら、手が止まっているわよ?」
 セクシー過ぎるランジェリー姿になった美し過ぎるお姉さまが、ゆっくりソファーに近づいてきました。
 私の目前で立ち止まり、右手を伸ばしてきます。
 この世の人とは思えないほどクールビューティ!
「立って」
 お姉さまの右手を右手で捕まえると、ゆっくり引っ張られました。
 よろけるように立ち上がった瞬間、お姉さまのしなやかな両腕が私の背中に絡みつきました。

「むぐぅ・・」
 強く抱きすくめられると同時に、お姉さまの唇が私の唇を塞ぎました。
 あのショッピングビルのエレベーターのときと同じように。
 お姉さまの甘い舌が私の口内に挿し込まれます。
「むぅう・・・」
 私も舌を伸ばして迎え入れ、ふたりの舌が激しく絡み合います。
 お姉さまの右手は私の裸のお尻を撫で回し、私はお姉さまの背中に回した手探りで、ブラのホックをはずしにかかります。

 長く熱いくちづけの後からだを離すと、お姉さまのブラがスルスルッとふたりのあいだに落ちました。
「直子のからだ、すっごく熱くなっているのね。それにベトベト」
「お姉さまのからだ、ほんとにほんとに、すっごくお綺麗です」
 初めて見るお姉さまの生おっぱいは、少し小ぶりながら上向きにツンと尖った円錐形で、まさに美乳。
 淡いピンクな小さめ乳輪の中心に、感度の良さそうな小さめ乳首が精一杯背伸びをしていました。

 たまらず今度は、私からお姉さまにしがみつきます。
 私が勢い良く飛びついたために、お姉さまがバランスを崩してよろけ、ソファーの上にお姉さまを押し倒すような格好になってしまいました。
 仰向けになっても崩れない、お姉さまの美乳。
「あ、ごめんなさい、お姉さま」
 あわててからだを離す私。
「大丈夫よ。脱がせて」
 ソファーに腰掛け直したお姉さまが両脚をまっすぐに揃えて、私の前に突き出してきます。
 私は床にひざまづき、お姉さまの腰から慎重に、スキャンティを抜き取りました。

 お姉さまのソコには、細い逆三角形に美しく刈り揃えた小さな茂みがありました。
 スキャンティの内側がしっとり湿っています。
 お姉さまも感じていらっしゃるんだ。
 すっごくシアワセな気持ちになりました。

「隣に来て。ふたりで気持ち良くなりましょう」
 オールヌードのお姉さまがご自分の右隣をトントンと叩きました。
「はいっ」
 喜び勇んでピッタリ寄り添います。
「試着室のときから、ずっとこうしたいと思っていたのよ。あなたとふたりきりで」
 お姉さまが私の耳元でささやき、今度はやさしく唇が重なりました。

 お姉さまの右手が私の股間をまさぐり、負けずに私もお姉さまのソコへ指を侵入させます。
 ヘアがある人のをさわるのは、すっごく久しぶり。
 サワサワした感触が新鮮です。
 お姉さまの中も、すでに充分潤っていて、とっても熱くなっていました。

 それから長いあいだ、お姉さまと私は互いのからだを貪り合いました。
 唇を合わせ、乳房を揉みしだき、乳首をつまみ、肌を吸い、爪を立て、舌を這わせました。
 指でかきまわし、宝石を磨き、蜜を舐め合い、粘膜を擦りつけ合って、再び唇を合わせました。

 お姉さまのソコはやや上付きで、ラビア派手めで薔薇の花のようにとっても綺麗。
 クリちゃんは、私よりぜんぜん小さいけれど感度良好。
 ラブジュースも私より少ないながら、酸味ちょっぴりのしょっぱめで、大変美味でした。
 しなやかでしっとりとした素肌は、肌を合わせると吸いつくようで、いつまででも抱いていたい、抱かれていたいからだでした。

「あぁっ!いいわっ。そこ、そこよっ!」
「直子、上手よ!そこをもっと、もっとぉーーー!」
「ああん、お姉さま、イキますぅ、イっちゃいますうぅ」
「あっ、だめっ、いやっ、もっとっ、だめーーーっ!」

 貪欲に、何度も何度も求め合い、何度も何度もイカせ合いました。
 ソファーからフローリングの床の上へ、そして、ふたりのからだ中がヌルヌルのベトベトになると、お姉さまのご提案でバスルームに移動。
 泡まみれで抱き合いながら、お互いのからだをからだで洗いました。

 湯船の中で向き合い、互いの股間に伸ばした指で同時にイったあと、ようやくふたり、落ち着きを取り戻しました。
 湯船の中でギューッと抱き合い、お顔を寄せ合って、うふふ、って笑い合いました。
 バスルームから出て、パウダールームでからだを拭き合いながら、お姉さまが私の無毛な土手を指さしました。

「直子って、オナニー好きを自認するだけあって、すごく上手よね、ソコへの愛撫が」
「あたし、こんなに乱れたの、生まれて初めてよ。自分では、そういうのには淡白なほうだと思っていたのに」
「私も、縛ったり痛くしていないのに、こんなに何度も何度も気持ち良くなったの、初めてです」
「きっとお姉さまが素敵過ぎるんです。だからキスされるだけでもう、舞い上がってしまうんです」

「そっか、そう言えば直子って、ドMのヘンタイさんだったわね。抱き合ったらすっかり忘れちゃっていたわ」
 お姉さまが白いバスローブを羽織りながらおっしゃいました。
「それだったら、もっと虐めてもっと奉仕してもらえば良かったわ。直子のフィンガーテクに負けられない、って夢中になっちゃった」
 おどけておっしゃるお姉さま。
「おっしゃってくだされば、いつでも精一杯ご奉仕させていただきます。だって私はお姉さまという魅惑のカゴの中の小鳥、恋のドレイなのですから」
 私もおどけて返すと、お姉さまがあははと笑いました。

「ドレイだったら服はいらないわね。直子、自分の家ではほとんどいつも全裸って言っていたじゃない」
「あとはもう寝るだけだから、今夜はずっと裸でいてね。バスタオルも巻いちゃダメ」
「あたし直子の裸好きだから、ずっと視ていたいの」
「はい。もちろんです。ドレイ直子はいつでもお姉さまの仰せのままに・・・」
 いやん、あんなにイったのに、また疼いてきちゃう。

 リビングに戻ると、ソファー周辺が悲惨な有様でした。
「やだっ!もうこんな時間!?まいったなー。明日の朝早いのに」
 ホワイトボードの脇に掛けてある学校にあったような丸いアナログ時計を見ると、すでに深夜0時を大きく回っていました。

「お姉さまは先にお寝みください。床とソファーは私が綺麗にしておきますから。ほとんど私が汚したようなものですし」
「何言ってるの?こんなのふたりでやればあっという間の楽勝じゃない。あたしはソファーを拭くから、直子は床をお願いね」

 バスローブ一枚のお姉さまと全裸の私で拭き掃除開始。
 固く絞ったタオルを何度かゆすいで、10分くらいで後片付けが終わりました。
 髪を乾かし身繕いをして、寝室に入ったのは1時を過ぎた頃でした。


ランデブー 6:42 10