2021年8月21日

肌色休暇二日目~いけにえの賛美 06

  ボールギャグを噛ませられると口がずっと半開きとなってしまい、どうしても口腔内に唾液が溜まってきてしまいます。
 半開きの口ではうまく飲み込むことも出来ず、溢れ出た唾液はよだれとなって口外へ。

 お部屋にひとり取り残されてから体感で5分以上は経っていましたから、すでによだれは幾筋も私の顎を滑り落ちています。
 せっかく可愛いブラウスなのに、よだれなんて垂らして汚したくないな…
 そんなことを考えていたとき、ガタッと微かな物音が聞こえました。

 スーッと何かが滑る音は、引き戸が開いた音。
 パタッという音は引き戸を閉じた音。
 スッ、スッと畳を擦る音はどなたかがこちらへ近づいてこられる足音。
 視界を閉ざされているせいで、聴覚がとても敏感になっています。

 やがて漂ってきた甘いローズ系の香水の香り。
 嗅覚だけではなく空気の揺れ?ほのかな体温?みたいな体感で、私のそばにどなたかが居られるのがわかります。

 ほんの微かな衣擦れの音は、しゃがまれたのでしょうか、座られたのでしょうか。
 お姉さまのトランクケースが置いてあるはずのところ辺りから、ピラっと紙をめくるような音も聞こえます。

 音を頼りに見えないお相手のほうへと顔を向け、より多くの情報を得ようと耳をそばだてます。
 そんなことをしても私が手足を拘束されている以上、事態は改善しないでしょうことはわかっているのですが。

 再び衣擦れの音。
 直感的に、立ち上がられた、と感じました。

「ふうん。写真で見るより初々しい感じの子だね」

 女性のお声でした。
 それもアルトで落ち着いた感じの大人のお声。

 お声のトーンと言うかニュアンスに、他人、部下とか使用人とかを使い慣れているような感じがあって、そこがお姉さまの会社の早乙女部長さまに似ているような気もしました。
 部長さまよりももっと威厳と言うか貫禄のある感じ、なんて言うと部長さまに怒られてしまいそうですが。

 そんなことを考えていたらローズの香りがグッと近づいてきました。
 お声の主が私のからだに近づかれたのでしょう。

「おまえ、なんでここにいるんだい?」

 からかうような蔑むような、生理的に癇に障る声音。
 それより何よりいきなりの、おまえ、呼びにムッと眉根が曇ります。
 そんなこと、私のほうが知りたいですっ!

「むぐぅん、んぬぅぅぐぅ…」

 ボールギャグのおかげで言葉にならない反発を唸りに変えて投げ返します。

「ふふん、だいぶご立腹のようだね。おまえがなんでここにいるか教えて上げる。おまえは売られたのさ」

 女性のお声が多分にお芝居がかってきました。
 その分お声にグッと渋みが増し、おそらくご中年以上のお年を召しているかたのように思えます。

「あの渡辺って女社長がおまえに飽きて、わたくしに押し付けてきたのさ、好きにしていいって」
「女社長はさっさと東京に帰ってしまったよ。だからもうおまえはここで生活するしか生きる道は無いんだ」
「それでおまえは今日から性奴隷としての調教を受けることになる。おまえの両親が身代金を払ってこなければね」

 女性のおっしゃっているお言葉の意味がまったくわかりません。
 お姉さまが私に飽きた?お姉さまは東京へ戻られた?身代金?
 それに私はもうすでに着々とセイドレイ、レズベンキの道を歩んでいるのですけれど。

 おそらくこれもお姉さまが仕組まれたお芝居、ロールプレイングゲームなのでしょう。
 そう言えば先ほど、お金で売った、とか、あたしはいなくなる、とかしきりにお姉さまがおっしゃっていましたっけ。
 
 でも、それだったら今お相手してくださっているこのかたって、一体何の先生なのでしょう?
 偉い先生ともおっしゃっていましたが…

「むぐっ…」

 そのときスーッと左足ハイソックスのふくらはぎを撫ぜられて、思わず声が出てしまいました。
 経験上の感覚なのですが今、脚を撫ぜたのは人の手ではない気がします。
 おそらくですが乗馬鞭のベロの部分、オフィスで目隠しされてリンコさまミサさまに何度かやられた覚えがありました。
 そのベロが今はスカートの中まで潜り込み、私の内腿をスリスリ撫ぜさすっています。

「んふむぅ…」

 腿の付け根付近まで近づいては到達せずに去っていく、そのもどかしい愛撫に図らずも鳴ってしまう私の喉奥。
 両膝もぷるぷる震えてしまっています。

「ふうん、感度はいいようだな。遊び甲斐がありそうだ」

 右内腿に貼り付いていたベロがスッと引かれ、私の下顎に密着しました。
 力を込められているのでもないのに、ベロから逃げるように自然と顎が上がってしまいます。

「でもまあ、感度が良かろうが悪かろうが関係ないの。ここに三日も居たらどんな女だって、真っ逆さまに堕ちちゃうから」
「深窓のご令嬢だろうが貞淑な人妻だろうが、なんなら自称ドSの女王気取りだって、三日もすれば鞭や縄を見ただけでハアハアよだれを垂らしまくるド淫乱マゾメス性奴隷に成り果てているから」

 顎のベロが去り、女性のお声も少し遠のきました。
 それからカチャカチャと何か金具をいじる音。
 お姉さまのトランクケースを開けられたのかもしれません。

「さて、次におまえのからだを見せてもらうのだけれど、わたくしが何を聞いても、むうむう答えるだけでは面白くないね」
「いいでしょう、おまえの口枷を取ってあげましょう。その代わり騒ぐんじゃないよ?もし騒いだら…」

 そのお言葉の後に、ヒュンッ、という細い棒が空を切るような鋭い音がしました。
 マゾであれば身震いした後に期待に胸が高鳴ってしまうような蠱惑的な音。
 これで女性が乗馬鞭をお持ちなことは確定したようです。

 女性は相変わらずお芝居っ気たっぷりなご口調なのですが、それが妙に緊迫感があり真に迫ってもいて、私もなんだか不安感が募ってきます。
 お姉さま、本当に私に飽きちゃったのかも、本当にずっとここで過ごさなくちゃならないのかも…
 あり得ないこととは思うのですが、それほどこの女性のお言葉の端々に根拠の無い信憑性を感じてしまっています。

 不意にローズの香りがグンと濃くなりました。
 女性が私の背後に立たれたようです。
 ローズの香りに混ざってシャンプーなのかコンディショナーなのか、少し違うフローラルな香りも漂ってきます。

 冷たい指が私の首の後ろに当たりモゾモゾ動いています。
 ボールギャグのストラップを外してくださっているのでしょう。
 やがて頬を締め付けていたストラップが緩み、口腔から球状の異物がスルッと抜けました。

 んぐう…
 口中がやっと自由になり、下顎に溜まっていた唾液を慌てて飲み込みました。
 はあはあはあ…
 それから喉の通りを確かめるみたいに荒い息を吐いて呼吸を整えます。

「あらあら、ブラウスによだれ、こんなに垂らしちゃって、みっともない女だね」

 心底嘲笑うようなニクタラシイお声。
 聞いた途端にプチンと頭の中で何かが切れました。

「あ、あの、あ、あなた、なに…」

 バチーンッ!

 大きな声で抗議しようと声を上ずらした途端に、右頬に強烈なビンタ。
 今までされた中で一番強い、遠慮会釈のない本気のビンタ。
 ある意味、生まれて初めてのショッキングな体験。

「んぐぅっ!」

 間髪を入れず私の首が冷たい手のひらで掴まれます。
 右側は親指、左側は残りの4本?
 いずれにしてもその指たちがジワジワと私の首を締め上げてきます。

「さっき騒ぐなって言ったよね?それともおまえ、頭悪いの?日本語わからないの?ここで死にたいの?」

 ドスの効いた女性のお声に恐怖が5割、反発が4割。
 残りの1割は…

 お相手が女性声ということが大きかったと思います。
 男性相手だったら死に物狂いで抵抗していたことでしょう。

「んぐっ、ご、ごめんなさいぃっ、ごめんなさいーっ…」

 締め付けられる喉を震わせ、必死に謝りました。
 予想外の展開に動揺して息を潜ませていたマゾ性が、ムックリ目を覚ましちゃったみたいです。

「うん。素直に謝れるのはいいことだ。その態度を忘れないように」

 ご満足そうなお声と共にローズの香りが遠のいて行き、女性が私から離れられたよう。

「それじゃあ、おまえのからだを見せてもらうことにする。おっとその前に、おまえの名前は?」

 再び顎の下に乗馬鞭のベロをあてがわれつつのご質問。

「は、は、はいっ…んもっ、もりしたな…」

 バチンッ!
 私が言い終わるか終わらないうちに、今度は左頬に強烈ビンタ。

「いいわ、どうせ性奴隷に成り果てる身なんだから名前なんかどうでも。あ、でも呼びつけるときに必要だから、わたくしがおまえに奴隷ネームを付けてあげましょう」

 ますますお芝居がかられる女性のご口調が弾んでいます。

「そうね…おまえは…なお…おな…おなこ、そう、オナ子よっ!うん、ぴったり!だってそういうからだつきしているもの」

 ますますお声を弾ませる女性。
 私も言われた瞬間にドキンと心臓が弾みました。

 確かに私はオナニー大好き人間ですから、ぴったりと言えばぴったり。
 本名と微妙にかぶっているところもポイント高め。
 全人格を否定され、みっともない名前で呼ばれるセイドレイ。
 確かに私にうってつけな名前だ、と思ってしまう私のマゾ性…

「それじゃあオナ子のからだを見せてもらうことにしようか」

 再度ローズの香りが強くなり、女性がズイッと私に近づいた気配。
 私の開いた両膝のあいだに女性のお御足があるみたいで、少し自由に出来る両膝で挟むと女性の布越しのお膝上辺りの太腿に当たるみたい。
 ということは、それほど身長は高くない?

 そんなことを考えているあいだに、ブラウスの襟元に手が掛かる気配がしました。
 えっ!?ボタンを外すのではないの?一気に押し開いちゃうつもり?可愛いブラウスなのに…

 思う間もなくブチブチっとボタンが弾け飛ぶ音。
 一緒にビリっという音も聞こえたので、どこか破けちゃったかも知れません。
 ああん、もったいない…
 さらけ出されたお腹に外気を直接感じます。

「あら、色気のないブラジャーね。白の綿ブラ?今どき中学生だってもっと色っぽいブラ着けてるよ?」
「でもまあしょうがないか。契約書によるとさる財閥の深窓のご令嬢様なそうだから。そうやって躾けられちゃったんだね」
「これからおまえの知らないオトナの世界を嫌と言うほど叩き込んであげるから、愉しみにしていなさい」

 お姉さまってば、私をどんなふうにプレゼンされたのでしょうか?
 でもどんなに取り繕っても、ブラを外されたら私の性癖はモロバレなのですけれど。

 引き千切られたブラウスはそのままに、いったんローズの香りが遠のきました。
 と思ったらすぐに戻ってこられ、左頬に冷たい金属のような感触を当てられました。
 えっ!?と思わず顔を動かそうとすると…

「おっと、無闇に動かないほうが身の為だよ?ナイフだから。ヘンに動くとその可愛い顔にザックリと…」

 お芝居声でしたが、確かに頬に当てられたのは金属の感触。
 ゾクゾクっと背筋が痺れ、数ミリも動けなくなってしまいます。

「奴隷に下着は無用だからね、このナイフでおまえのブラジャーを役立たずに切り刻んであげるから」

 頬に当たっていた金属が今度は左肩に当たっています。
 肩紐を切ってしまうおつもりなのでしょう。
 でも、このブラジャーは私の数少ない私物、このブラを切り刻まれてしまったら、私は東京に戻るまで着るべき下着が皆無となってしまうのです。

 旅行の前にお姉さまがおっしゃった、失くしたり破られもいい下着、という意味がわかりました。
 それがわかっても、今どうすればいいのかはわからないのですが。

「ごめんなさい、わかりました…ブラジャーは自分で脱ぎますから、どうか切ったりしないでください…」

 回らない頭でなんとかそこまで告げたとき、再び右頬に強烈なビンタがバチーンっ!
 ぶたれた頬がヒリヒリ火照って、なんだか気持ちいい…

「何がわかったんだい?オナ子?おまえはまだ自分の立ち場がわかっていないようだね?奴隷がわたくしに、でも、だの、だって、だの、どうか、だの意見する権利はないんだ」

 来そう、と思ったら案の定、私の左頬にビンタ。
 私、なんだか女性からのビンタを心待ちにしているみたい。
 私が、あうっ、と呻くと同時にブラジャーの左紐の締付けが緩みました。

 左乳首が外気に晒されている感覚がありますが、それよりも気になったこと。
 ブラのストラップを切られたとき、ナイフで切られた、と言うより、裁ちバサミか何かでジョキンと切られた感じがしたこと。
 左肩にナイフの背の部分がずっと当たっていて、その上からもう一枚、別の刃が下りてきたような感触。

「ちょっと何?その乳首。おまえ、わたくしにこんな酷いことをされているのに感じちゃってるの?ビンビンにおっ勃てているじゃないか」
「それに何、その日焼け跡。どんな水着着てどこで焼けば、そんな卑猥な日焼け跡になるんだい?」
「おまえ、そういう女なの?虐められて悦ぶマゾ女?あの女社長にとんだ紛い物つかまされたってわけ?」

 演技なのかご本心なのか、おおげさにお嘆きになる女性。
 そのあいだに当然のように、右のブラ紐もジョキンと切り離されます。
 ブラジャーの残骸が虚しくお腹へと落ち、宙を突く両乳首が外気に晒されています。

「ちょっと、見ているほうが痛々しいくらい乳首がイキリ立っているじゃない?オナ子?興奮しているでしょう?」

「いえ、そんなんじゃないんです…自分でも何が何だかわからなくて…でもからだが熱くなってしまっているんです…」

 女性の癇に障るようなことを言えばビンタが貰えると思った私の、精一杯の大根演技。
 だけどちゃんと右頬にビンタをいただけました。
 ヒリヒリ火照る両頬が、やっぱり気持ちいい…

「そういう女なら話は早いけどさ。しのごの言ったってマンコを見ればおまえの本性は隠せないのだから」

 語気荒くおっしゃった女性の手が私のスカートにかかり、一気にまくり上げられます。

「うわ、何これ?ソファーにネットリ水溜りが出来てるじゃない?おまえ、何考えてるの?」
「手足の自由奪われて、さんざんビンタ食らって、口汚く罵られてこのザマかい?オナ子は正真正銘のドマゾみたいだな?」

 一段と冷ややかになられたお声と共にスカートのホックが外され、一気に摺り下げられます。
 でも私は大股開き状態ですからウエスト部分が膝で引っ掛かり、力任せになおも引っ張られたようでビリビリッという音が。
 スカートだった布片が脛のところに中途半端にへばりついた状態。

「パンツも綿パンかい?小賢しいね。おまえの本性はもうバレてるんだよっ」

 左腿に金属が当てられジョキンという音。
 腰周りを締め付けていたゴムの感覚が消えました。

「おまえ、陰毛はどうした?」

 約立たずとなったショーツが乱暴に摺り下げられます。
 おそらくマゾマンコからたくさんのか細い糸が布地裏へと引いては切れていると思います。

「そ、それは…」

 どうお答えすれば、どう嘘をつけば女性からまたビンタがいただけるだろう、と考えますが、良いお答えが浮かびません。

「ふん、おおかた女社長の戯れで丸坊主にされちまったんだろうよ。それでパイパンマンコにハート型の日焼け跡って、とんだ傷物のお下がりを押し付けられたってわけだ。剃毛はわたくしの大好物だと知っているだろうに」

 少し気落ちされたような沈んだお声がなんだか可愛らしく思えます。
 そんなことを考えているあいだに右膝の辺りに纏わり付いていたショーツの感覚が消えていました。

「オナ子のスケベ汁は一段とかぐわしいね、マゾメスの臭いがプンプン。それに何このパンツ、クロッチのあて布がわざわざ剥がしてあるじゃないか。そんなにまでしてパイパンマンコをアピールしたいのかい?」

 女性が私のショーツを手に取られているみたい。
 汚れたショーツにお鼻を近づけてクンクン嗅がれているお姿を想像すると、いたたまれない恥ずかしさとみじめさにゾクゾク興奮してしまいます。
 
 はい、私は、はしたなく浅ましいマゾメスセイドレイレズベンキなんです、どうか、こんなどうしようもないオナ子に罰を、ビンタを、鞭をお与えください…
 そんなふうに口に出して懇願したくてたまりません。

「おまえほどのドマゾなら、外に素っ裸で放り出されるのも大好きなんだろう?そのいやらしい裸を誰かに視てもらいたくて仕方ないんだろう?」

 鞭のベロで剥き出しの秘裂をベロンと逆撫でされながらのご質問。

「んふーっ!は、はい…直子は、あ、いえ、オナ子は露出狂ドレイです…お外で恥ずかしい格好で辱められるのが大好きなんです…ご、ごめんなさい…」

 目隠しのせいかマゾ性への没入感が凄まじく、そんな恥ずかし過ぎる台詞がスラスラっと口をついてしまいます。

「ふん。ならお望み通りにしてやる。外で、太陽の下で何もかもさらけ出して、失神するまで悶え苦しむがいい。言っておくが、おまえから望んだのだからな?後で後悔しても遅いぞ」

 冷え切ったお言葉にゾクゾクっと震える私のマゾ性。
 ローズの香りがすぐ傍まで近づいて来ていました。


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