2017年7月2日

三人のミストレス 09

「二代目のアユミちゃんは、ずいぶんと見せたがり度がパワーアップしちゃったみたいね」
 人懐っこい笑顔を浮かべたさーこママさまが階段を上がり終え、ゆっくりと私たちのほうに近づいてこられます。

「それに、ずいぶんとマニアックなお仕置き?をさせられているじゃない」
 さーこママさまのお姿を見て、あわててテーブル上の空いたグラスやお皿のお片付けを始められる松井さま。

「ああ、ママさん。ひょっとして階下から、うるさい、って苦情出ちゃった?」
 雅さまが指で洗濯バサミのお口をパクパクさせながら、おもねるような笑顔でさーこママさまにお尋ねになりました。

「ううん。階下にはここの物音、そんなに聞こえてこないわよ。客足が一段落したから、みなさんの様子を見に来ただけ」
 さーこママさまが縄の食い込んだ私の股間にジーっと視線を張り付けつつ、ざっくばらんな口調で雅さまにお答えされました。

「金曜日はデートとか、カップルのお客さんが多いから、みんな自分たちだけの世界で盛り上がっていらっしゃるのよ」
 雅さまが差し出されたグラスを受け取り、白ワインをクイッと一口飲まれました。

「そうそう、さっきパチンパチンて手拍子みたいな音が聞こえたとき、カウンターに座ったOL三人組の常連さんが、なんだか今日二階、賑やかですね、なんて聞いてきたけれど」
「上は貸し切りで、何かおめでたいパーティみたいよ、って答えておいたわ・・・それの音だったのね」
 絵理奈さまが持たれているバラ鞭を指さされる、さーこママさま。

「うふふ。まさか彼女たちも、自分たちが飲んでいる同じ店の二階で、女の子が裸同然の格好になって、プッシーにロープを食い込ませて鞭打たれているなんて、思ってもみないでしょうね」
 さーこママさまのご愉快そうなお声に、みなさまの警戒心も一気に緩んだようで、場の雰囲気もリラックスした雑談ムードに戻りました。

「それにしてもあなた、大胆ね。よく、いつ誰が来るかもしれないこんなところで、そんなあられもない格好になれるわね?」
 さーこママさまのお問い掛けにお答えしようと思っても、舌に木製洗濯バサミをふたつ挟まれているので、ちゃんと言葉を発することが出来ません。

 もっとも口が利けたとしても、何てお答えすればいいのかわかりませんが。
 ちなみに今、私のからだに残っている洗濯バサミは、舌のふたつの他に、左右の乳首にひとつづつ、それとラビア左右にふたつづつの合計8個です。

「アユミちゃんのときは、せいぜい脱いでも下着姿までだったわよね?ここでファッションショー始めちゃって、知らないお客さんの前でも構わず生着替えしちゃって。もう2年前くらい?」
 さーこママさまがどなたに問うでもないご様子で、お話を振りました。

「あのときも二階だったけれど、貸し切りではなかったのよね。確かアユミのイメビ撮影にスタイリングやら雑用でみんなで付き添った帰りだったわ。確か季節もちょうど今くらいじゃなかったかしら」
 綾音さまが思い出されるように宙空に視線を漂わせ、おっしゃいました。

「そうそう。テンション上がっちゃったアユミが周り女性客ばかりなのをいいことに、撮影に使ったドレスとかランジェリーとか引っ張り出しちゃって」
 お姉さまもお懐かしそうに相槌を打たれます。

「あれ、ファッションショーって言うより、ほとんどストリップショーでしたよね。別のお客さんたちもノリ良くて、ちょっかい出しながらキャーキャー盛り上がってましたっけ」
 あ、里美さまもアユミさまのことをご存知で、その場に参加されているんだ。

「あのときは、ママもかなり酔っ払って絶好調だったから忘れちゃってるみたいだけど、アユミ、しっかり下着、脱いでたよ」
 雅さまが可笑しそうに異議を唱えました。

「下着姿のアユミをみんなで寄って集って弄ってその気にさせちゃった後、もっともっと、っておねだりするアユミに、それならお店のお手伝いしなさい、って命令したら」
 雅さまが私の顔を見つめつつ、つづけます。

「アユミったらサッと立ち上がって、傍らにあった銀盆持って、空いたお料理のお皿とか片付け始めたじゃん。ブラのホックが外れてて床に落ちたのも気にしないで、トップレスなのに、いかにも、出来るウェイトレス、気取りで」

「唯一穿いていた下着だって、ギリギリはみ出ちゃいそうな紐Tバックだったし」
「それで、そのまま銀盆持って階段を下りようとしたから、みんなであわてて止めたじゃん」
 雅さまのご説明に、大きくうなずかれたさーこママさま。

「ああ、思い出したっ。それでその後、二階のお客さんにだけ、その格好のままサーヴしてもらったんだっけ」
 雅さまからおかわりのワインを注いでもらいながら、懐かしむようなさーこママさまのお顔。

「シュールな光景だったわよね。着飾ったお客さんたちがテーブルを囲む中、ほとんど裸で歩き回るウェイトレスのアユミちゃん」
「なんだか外国映画のいかがわしいカジノの一場面みたい、って思ったのを思い出した。綺麗だったわよねぇ、アユミちゃんのおっぱい」
 おっしゃってから私の上半身に目線を移す、さーこママさま。

「あ、あなたのおっぱいも、もちろん、とっても魅力的よ」
 少しあわてたようにお言葉を繋げられたさーこママさまが、ジーっと私のバストを凝視してきます。
 そのはしたなく尖った頂点に、ふたつの木製洗濯バサミが噛み付いている、私の剥き出しおっぱい。

「直子ちゃん?でしたっけ。あなたはアユミちゃんとはまた別のタイプの、見せたがりやさんのようね?」
 ずり下げられたジーンズ、お腹に絡まるチュニック、はだけたボレロと視線が動き、再び洗濯バサミをぶら下げたおっぱいへと戻りました。

「アユミちゃんみたいに、私のセクシーなからだ視て、的な、開放的なお色気タイプじゃなくて、何て言うか、ねっとりしたえっちな羞じらいが素肌から滲み出ている感じ」
「それに、バストならともかく、プッシーまでこんなところで丸出しに出来ちゃう、ある意味の度胸は、たいしたものだわ」

「この子は、筋金入りのマゾヒストですからね。辱められれば辱められるほど快感が膨らんじゃう、どうしようもないヘンタイ社員なんです」
 お姉さまが冷たく言い放ち、ウンウンとうなずかれるみなさま。

「なるほどね、その首輪や洗濯バサミ見れば、虐められポジションなのは一目瞭然よね。さっきのオフィスでの裸マネキンごっこも、どうせこの人たちが面白がってやらされていたのでしょ?」

「違うよママ。全裸とかキワドイ格好とかは、ヘンタイナオちゃんだけに許されたオフィスでの制服なの。つまり、ママさんが視たナオちゃんの姿が、普段の我が社でのマゾっ娘ナオちゃんの普通の姿なんだよ」
 雅さまのわかったようなわからないようなご説明に、あははと大笑いされる酔っ払いのみなさま。

「あなたがアユミさん二代目って聞いて、でもなんとなくモデルさんぽくはないな、と思ったのよ。どちらかと言えば同じような背格好の・・・」
 おっしゃりながら私の横に立たれている絵理奈さまに視線を移動されたさーこママさま。
「こちらのゲストさんのほうが、モデルさんぽいオーラをお持ちよね」

「さすがママさん!人を見る目も確かだよね。こちらは絵理奈さんといって、まさにプロのファッションモデルなんですよ、うちともお仕事している」
 雅さまが営業のお仕事のときのようなお芝居口調で、さーこママさまを持ち上げられます。

「絵理奈さんとうちの直子のあいだで先月、とある一悶着がありまして、それで今日、絵理奈さんに思う存分、直子を虐めてもらおう、っていう会をセッティングしたんです」
 なんだか誤解されまくりそうなご説明で、お話をまとめにかかるお姉さま。

「そんな経緯だったの。だから絵理奈さんが鞭をお持ちになっているのね」
 おそらく誤解されたまま、ご納得顔のさーこママさま。

「ごめんなさいね、わたしがしゃしゃり出てきて、愉しいお仕置きを中断させてしまったみたいね。どうぞそのままおつづけになって」
 さーこママさまが絵理奈さまに向けてニッコリ微笑まれた後、お姉さまに視線を戻されました。

「わたしも見物させてもらっていいかしら?こういうの、キライじゃないのよ、ボンデージとかエスエムとか」
「どうぞどうぞ、ごゆっくり愉しんでください。見慣れたスタッフ以外のゲストの視線が多いほど、露出狂直子は悦んで、普段以上に濡らすはずですから」
 おっしゃりながら傍らの椅子をさーこママさまに勧められるお姉さま。

「そういうことなら松井ちゃんも、空いたお皿リフトに乗せたら、こっちにいらっしゃい。一緒に見物させてもらいなさいな。こういうの、めったに見れないから後学のために」
「あ、はいっ!」
 おやさしいさーこママさまのお言葉に、嬉しそうな松井さまのお返事。

「そう言えば、今までに下のお客様で、そこのおトイレを使ったかた、いらっしゃったのですか?」
 ほのかさまが、ふと気づいた、みたいに、さーこママさまにお尋ねになりました。

「たまほのちゃんのご質問は、今まで誰かが二階に上がってきたのか?っていう意味よね?」
「ああ、なるほど。誰か下のお客さんがトイレに上がってきて、この直子ちゃんを視ちゃったら、ひと騒動起こるんじゃないか、っていうことね?」
 
 おっしゃってから、さーこママさまは、しばし顎を少し上げて考えるポーズ。

「何人か上がったように思うけれど、戻ってきたときに驚いたり騒いでいたお客さんはいなかったわね」
 さーこママさまのお答えに、ホッとする私。

「でも、今いるお客さんは常連ばかりだし、下ネタも嫌いじゃない人ばかりだから、喜んでノッてきて、見物に加わると思うわよ」
 さーこママさまの屈託ない笑顔。

 階段を上がりきってすぐ左に折れればおトイレ、右へ一歩踏み出して柱の陰から覗き込むと、このお部屋が見渡せます。
 そのお部屋のほぼ中央で、両脚のあいだにロープを食い込ませ、窓辺に向かって後ろ手錠で立ち尽くしている私。

 周りをみなさまが取り囲んではいるものの、ロープと手錠と剥き出しのお尻とで、一見して異様な雰囲気には気づいちゃうことでしょう。
 見物人が増えるということは、それだけこの界隈、私の生活圏で私のヘンタイ性癖をご存知な人物が増え、日常生活で遭遇しちゃう確率も増えるということ・・・
 どうかこの綱渡りが終わるまで、どなたもおトイレに来られませんように、とお祈りせずにはいられません。
 
 散らばっていたみなさまの視線が、再び私に集中していました。

 私は、ライトグリーンの小山がちんまり乗った結び目のコブの前で、おあずけを食らっていました。
 イキ果てる寸前にまで昂ぶっていた全身の官能は、おあずけのあいだに幾分鎮まっていました。
 でも、みなさまの視線が自分に戻り、目前のコブを通過しなくてはいけない、と思った途端、尿意にも似た疼きが下半身から全身へ、ジワジワ広がり始めます。

「それじゃあ再開するわ。まだロープ半分しか来てないわよ?ママさんも松井さんもお仕事中断してわざわざ視てくださっているのだから、がんばりなさいっ!」
 最後の、なさいっ!、という絵理奈さまの励ましとともに、バラ鞭が左の尻たぶに思い切りよく振り下ろされました。

 パシンッ!
 強烈な一発。
 絵理奈さまも待ちくたびれてうずうずされていたのでしょう、以前にも増してノリノリなドSっぷり。

「ひゃぅっ!」
 洗濯バサミのおかげで機能しない口腔の代わりに、喉の奥から吐息だけでお返事し、鞭を入れられた競馬のお馬さんのように、右足を大きく踏み出します。
 食い込みっ放しのロープがラビアを擦りつつ、大きく出っ張ったコブがまず恥丘を撫で上げます。

「あの縄の上の緑色のは、なあに?」
 さーこママさまのお声。
「うふふ、ワサビです。ワタシのアイデア」
 雅さまのお答え。

「あらあらー、プッシーにワサビまで、なすりつけちゃうんだ?悪いけどうちのは長野産天然モノだから、相当効くわよー」
 呆れたようなお声のさーこママさま。

 恥丘を撫ぜ擦りワサビをなすり付けてくるコブは、すぐに腫れ上がったクリトリスを潰し、洗濯バサミを揺すりながらラビアを抉じ開け、膣口の粘膜の中へと潜り込みました。

「ちょっとそこでストップ」
 絵理奈さまがバラ鞭で軽くお尻を叩いてのご命令。
 ちょうどコブが膣内にめり込んでいる状態のときでした。

「そこで腰を前後に10回振りなさい。結び目にあなたのいやらしいマゾマンコを擦り付ける感じでね。前、後、で一回よ」
 実際に絵理奈さまが、腰を前に突き出し、すかさず今度はお尻を後ろに突き出し、の動作をやってみせてくださいました。

「うわー、絵理奈っちの腰使い、卑猥ぃ」
 すかさずまぜかえすリンコさま。
 みなさまの笑い声。

「ワサビの付いた結び目に来たら、必ずこのダンスを10回くりかえすこと。ロープとワサビの陵辱をたっぷり下の口で味わいなさい」
 完全にエスモードに入られた絵理奈さま、リンコさまのおちゃらけにもまったく動じません。

「ただし、イクのは禁止ね。いくら気持ち良くてもがまんしなさい。イキそうになったらわたしに言いなさい。思いっきり鞭をくれてあげるから」
 
 そうおっしゃった絵理奈さまを頼もしげに見て、ニンマリとお顔を緩めて私を窺い見るお姉さま。
 相変わらず冷静にビデオカメラのレンズを向けつづけているミサさま。
 綾音さまも絵理奈さまのお見事な女王様ぶりに、ご満悦そうに目を細めていらっしゃいます。

「ほら、やりなさい」
 パシンとお尻に鞭をいただき、ぎこちなく腰を振り始めます。

 コブと縄の凸凹が両腿付け根の裂けめを満遍なく陵辱してきます。
 自分の溢れるばかりのおツユで、ゴツゴツザラザラなはずなのに、なめらかに滑るコブの、その乱暴な摩擦が気持ちいい。
 ロープと愛液と粘膜とが奏でる、クチュクチュクチュという卑猥な摩擦音が聞こえています。

 ワサビの洗礼は、擦り付けた当初はさして何も感じなかったのですが、腰を振ってコブを味わっているうちにジンジンと感じてきました。
 無数の細かい針に刺されたような、痛みと痒さがごちゃまぜになったようなもどかしい刺激が、クリトリスとラビアと粘膜から、やがて腰全体へとせり上がってきました。

 熱いような冷たいような、スースーするお薬を塗ったときみたいだけれど、それより何倍も強くてフクザツにヒリヒリする刺激。
 口から食べたとき鼻の奥にツーンと抜けていく、あの涙が滲んじゃうような痛みに似た刺激が、粘膜全体に行き渡る感じ。
 マゾマンコが奥から熱く疼き、どんどん高まってしまいます。

「みるみるうちにエロい顔になっていくわね」
「腰の振り方、どんどん早くなってない?まさしく、サカっちゃっているケモノね」
「あのまま放っといたら、勝手にイッちゃうんじゃない?」
 頭の中が白くなってきて、もはやどなたのお声かも聞き分けられません。

「いつまで腰振っているのよっ!」
 パシンッとお尻を鞭打たれ、一気に目の前が真っ白に。
「んーっ!!・・・んふぅ、ふぅ、ふぁー、ふぅーん・・・」
 内緒ですけれど、小さくイッちゃいました。

「腰振りダンスは10回でいいって言ったでしょ?さっさと進みなさい」
 絵理奈さまから、急き立てるようにお尻にバラ鞭を振るわれます。
「まさか、イッちゃったりしてないでしょうね?」
 よろよろ歩を進めながら、ブンブン左右に首を振る私。
 顎を汚しているヨダレが小さく飛び散ります。

 何も乗せていないコブをひとつ超え、次のワサビ付きコブへ。
 ワサビの刺激は長続きはしないようで、最初の腰振りの途中で消えていました。
 それを自覚した途端、より強いワサビの刺激を欲している自分がいました。

 次のコブには、さっきよりたくさんワサビが乗っています。
 まさに悦び勇んで、という感じで浅ましくその上に跨り、鞭をいただく前に腰を動かし始めていました。
「んふぅー、んっ、んっ、んーーっ・・・」

「直子のオマンコ、愛液、ダラダラー」
「それも白く濁ってネットリしてて、完全に本気汁になっちゃったね」
「直子が跨ってきたロープが、ナメクジの這った痕みたいにヌラヌラ光ってる」
「えっちなおツユでお店の床を汚さないように、っていう配慮で、あんなふうにジーパンを半脱ぎにさせて床まで垂れないようにしてくれたのね?さすが、ミャビちゃんの会社って気配り上手じゃない」

 最後に聞こえてきたのは、さーこママさまのお言葉でしょう。
 でもそんなことは、もうどうでもよくなっていました。
 私はグングン高まり、自分の腰の動きを止められません。

 そんなふうにして、内緒で小さくイッては、絵理奈さまの鞭で腰振りを止められながらよたよたとロープを進み、やがて、吊り下げられたロールパンまであと1メートルくらいのところまでたどり着きました。

 目前の大きな素通しガラス窓からは、街路を照らす外灯の光と、眼下の夜道を行く人影が肉眼でも判別出来るくらいに見えていました。
 夜になってガラス窓は、明るい室内を映し出す鏡のようにもなっています。
 私の正面の窓ガラスに、今の私の姿が映り込んていました。

 赤い首輪にはだけた胸元、剥き出しのおっぱい。
 膝までずり下げたジーンズで丸出しの下腹部。
 乳首とラビアに揺れる洗濯バサミ、無毛な陰裂に食い込んだ麻縄のコブ。
 舌にも洗濯バサミを挟まれ半開き、よだれまみれの口元。
 なのに、悦楽に酔い痴れたように眉間に深くシワを寄せた、淫らな煩悶顔

 お洒落なレストランの窓辺で性的な見世物にされ、イキ果てる寸前まで欲情している淫猥マゾ女の姿。

 その姿はお外の夜陰からも、まるでスポットライトに照らし出されるようにハッキリと見えてしまっていることでしょう。


三人のミストレス 10


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