2015年5月17日

オートクチュールのはずなのに 04

 少し早く着いてしまったので、ビルの周辺をプラプラ。
 休日なので子供連れさんが多く、中高生らしき子たちのはしゃぐ声も目立ちます。
 アソコにローターを挿れている、という事実だけでムラムラ度MAXな私は、ワンピースの短い裾を気にしつつも努めてお澄まし顔で、沿道に並ぶアニメショップのワゴンを眺めたりしていました。

 お約束10分前から、待ち合わせ場所で待機。
 ホテルエントランスの柱に寄りかかって行き交う車を見張っていると、ホテルの利用客らしきアジア系の人たちの団体が何組か目の前を通り過ぎていきました。

 ガヤガヤとかまびすしい聞き慣れない言葉と共に、いくつもの視線が自分に注がれているのを感じます。
 日本人のそれと比べて、遠慮が無く不躾な、お野菜を品定めするような視線を、とくに私の剥き出しの太腿に感じます。
 あんなに短かいの着ちゃって、やっぱり日本人はふしだらだ、なんて思われちゃったかな。
 あの人たちが私のバッグやショーツの中身のことを知ったら、どんなお顔になるだろう、なんて、恥辱願望は募るばかり。

 そうこうしているうちに、見覚えのある青っぽい車を視界の右端に発見しました。
 いよいよです。
 お姉さまにお会いしたらまず、これから3日間、どうぞよろしくお願いいたします、とご挨拶して、リモコンローターのコントローラー、私とお姉さまは、それの形状が小型のイヤホン式音楽プレイヤーにそっくりだったので、シャッフル、と呼んでいました、をお渡しするつもりでした。

 すぐに動かしてくれるかな?
 でもきっと、なんだかんだで焦らされちゃって、なかなかスイッチを入れてもらえないのだろうな・・・
 なんてワクワクしている間に、その車が道の左端に寄って、ゆっくりとこちらへ近づいてきました。

 あれ?
 車が近づくにつれて、すでに助手席に誰かが乗っているのがわかりました。
 舗道側の窓を開けて、左手を小さく振りながら近づいてきます。
 ほのかさまでした。

「なんだかずいぶんお久しぶりな感じね?直子さん、お休み楽しんでいる?」
 お姉さまに促されて乗り込んだ後部座席に落ち着いたとき、ほのかさまが嬉しそうにお声をかけてくださいました。
「ちょっと早く着いたんでオフィス寄ったら、たまほのがこれから羽田行くって言うから、ついでだから送ることにしたのよ」
 お姉さまが前を向いたまま、教えてくださいます。

「空港バスで行くつもりだったのだけれど、チーフがタイミング良くいらっしゃったから助かりました。今夜は札幌でゆっくり泊まって、明日早朝、会場の設営からお手伝いです」
「雅と合流するのだったわね?」
「はい。元町のナハトさん主催のイベントです」
「ああ、あそこの社長さん、お話がくどいのよね、このあいだも・・・」
 運転席側で、お姉さまとほのかさまが楽しそうに談笑されています。

 お姉さまの車に乗り込んだときから、ふたりきりの辱めの時間が始まるはず、と期待していた私には肩透かしでしたが、お仕事ならば仕方ありません。
 気持ちを切り替えて、東京に来て初めての、空港へのドライブを楽しむことにしました。
 車内には、モーツアルトのピアノ曲が流れていました。

「それにしても驚いちゃった。直子さんてオフのときには、そういう服も着るのね?」
 お姉さまとの会話が一区切りしたらしいほのかさまが、振り返って私に話しかけてきました。
「えっ?あ、これは・・・」
 モジモジとワンピの裾をひっぱる私。
「カワイイじゃない?いつもの長めなスカートやジーンズ姿に慣れていたから、遠目で一瞬誰だかわからなかった。女の子全開、ピチピチ溌剌って感じね」
「いえ、あの、えっと、今日は暖かいし、たまにはこういうのもいいかなー、って・・・」
「うん。すごくいい。そんな姿を見せられちゃうと、やっぱりわたしは直子さんよりセンパイなんだなーって、つくづく思い知らされちゃう」
 冗談ぽくおっしゃる今日のほのかさまは、なんだかずいぶんテンション高めです。

「さっきチーフからお聞きしたのだけれど、チーフのお家のお掃除をお手伝いしに行くのでしょう?」
「あ、はい・・・」
「偉いのね」
「あ、いえ、どうせお休み中は、することなくてヒマですし・・・」
「休み前にあたしが、帰るの久しぶりで、最近ぜんぜん掃除していない、って言ったら、森下さんが押しかけ家政婦に立候補してくれたのよ。だからお言葉に甘えちゃおうかなー、ってね」
 運転しながら、お話に割り込んでくるお姉さま。

「帰ったらあたしは、ベッドに倒れこんで死んだように眠り込んで、ちょっとやそっとの物音じゃ起きないからね。そのあいだ森下さんがあれこれしてくれる、って言うから。もちろんご褒美も出すつもりよ。豪華なディナーとか、ね」
「へー。なんだか楽しそうですね?わたしも参加したかったかも」
「あら、たまほのには雅が待っているじゃない?美味しいものいっぱい食べてくるんでしょ?」
「そうですね。この時期の北海道だとアスパラと、やっぱり捕れたてのズワイガニかなあ」
「うわー。なんだか接待費の清算が心配になってくるわね」
「大丈夫ですよ。みやびさまによると、向こうでは一切ナハトさん持ちらしいですから」
「それを聞いて一安心。まあ、しっかりやってきてちょうだい」
 お姉さまとほのかさまの楽しそうなおしゃべり。

「そうそう森下さん?頼んだアレ、入れてきてくれた?」
 信号待ちで止まったとき、お姉さまがからだをねじって私のほうを向き、突然尋ねてきました。
「えっ?あの、えっと・・・」
 一瞬意味がわからず、でもすぐに思い当たって、急速にドキドキしてきます。

「ほら、休み中にメールでお願いしておいたじゃない?アレよ」
 お姉さまのお顔がイタズラっぽく蕩けています。
 間違いありません。
 お姉さまがお尋ねになっているアレは、私のアソコに埋まっている、アレ。
 でもこんな、ほのかさまもいらっしゃるときに聞いてくるなんて・・・
「あ、はい・・・挿れてきました・・・」
 正直にお答えした途端に、アソコの奥がヒクヒク蠢きました。

「そう、よかった。それでシャッフルは?」
「あ、はい。これです・・・」
 車に乗り込む前からずっと、左手に握り締めていたローターのコントローラーをおずおずと差し出すと、お姉さまはそのピンク色の小箱と私の顔を見比べるみたく交互に見てから意味ありげにニッて微笑み、さっと手に取ると同時に前へ向き直りました。
「ありがとう」
 ちょうど信号が変わって、スイーッと発進。

「アレって何ですか?」
 当然、今度はほのかさまが怪訝そうに、誰にとも無く尋ねてきます。
「うん。実は森下さんって、趣味が広くってね・・・」
 そう答えるお姉さま。
 お姉さまってば、ほのかさまに、いったい何を告げるおつもり・・・
 埋まっているローターを締め付けるみたく、中がキュンと疼きました。

「あたしが持っていないクラシックバレエのCDをたくさん持っているのよ。だから音楽プレイヤーに入れておいてくれるように頼んでいたの。それを今引き取ったわけ」
 しれっと大嘘をつくお姉さま。
 いえ、CDがたくさんあるのは事実ですけれど。
 ホッと小さくため息をつく私。

「ああ、それでシャッフルですか。わたしもあまり詳しくはないけれど、そういうの聞くのは大好きなんです。お部屋で小さく流していると、何て言うか、落ち着きますよね?」
「オフィスでもクラシック流しているでしょう?あれも最近マンネリだからね。もっとバリエーションを増やしたかったのよ。でもあれだってCD百枚分以上は入っているのよ」
「そうなのですか。直子さんはそれよりもっとお持ちなわけですね。わたしも頼んじゃおうかな?」
 お姉さまのお車は、いつの間にか高速道路に入っていて、快調に進んでいました。

「ねえ直子さん?バレエの曲っていうと、何が有名だったっけ?」
 ほのかさまがお顔をひねり、私のほうを向いて尋ねてきました。
「えっと、そうですね・・・」
 チャイコフスキーの、ってつづけようとしたとき、股間に小さく震動が伝わってきました。
「んっ!」
 思わず上半身がビクンと跳ねてしまい、ほのかさまも、んっ?というお顔をされました。

「首都高って道路の継ぎ目がガタガタして、相変わらず走り心地悪いわよね。早く何とかして欲しいものだわ」
 お姉さまが助け舟のつもりか、のんきなお声でそんなことをおっしゃいました。
「そうですか?わたしの車に比べたら静かなものですよ?さすが高級車はちがうなー、って思っていたところです」
 ほのかさまがそうお答えしてすぐに、お姉さまがおっしゃった道路の継ぎ目をタイヤが乗り越えたのか、車がガタンと今までに無く盛大に揺れて、おふたりで、あはは、って大笑いされていました。

「それで、何が有名なのだっけ?」
 車が揺れたことでいったん前に向き直っていたほのかさまが、再び後部座席を向いてきました。
 私の股間のローターは、ずっと弱く震えつづけています。
 でも、最初の衝撃が去った後は、だんだん震えにも慣れてきて、お話を出来ないほどではありません。
 なるべく意識をそちらへ向けないように、平気なフリでお答えします。

「チャイコフスキーのくるみ割り人形とか、白鳥の湖、眠れる森の美女。プロコフィエフのロミオとジュリエット。メンデルスゾーンの真夏の夜の夢。あとミンクスのドン・キホーテとか・・・」
「へー。いくつかタイトルを聞いたことあるのもあるし、面白そう。お休みが明けたら、そういうCD、貸してくださる?ちょっとづつでいいから」
「はい。もちろんです。音楽だけではなくてバレエにもご興味があれば、DVDもお貸し出来ます」
「わー。それは楽しみ」
「でも、オフィスでバレエ音楽がかかるたびに、森下さんが突然踊り始めちゃったりしたら、経営者としては困りものよね」
 突然会話に横入りしてきたお姉さまのご冗談に、ほのかさまが笑いながら前に向き直りました。

 それと同時に、股間の震えが強くなりました。
 経験上の目盛りで言うと、最弱、弱、中、強、最強のうち、最弱から一気に中まで上がった感じです。
 私がひとりで焦らしオナニーをするときは、この、中、の感じで挿れたまま放置しつつ、ロープや洗濯バサミ、ルレットやローソクで、からだのあちこちを虐めるのがお気に入りでした。

 前を向いたほのかさまは、幸い今度はお姉さまと、お仕事関係のお取引先さまのお噂に夢中なご様子。
 私は後部座席でうつむいて、両膝をぴったり合わせたまま、股間への刺激に必死に耐えていました。
 とろとろとろとろ、弱火で炙られるように、官能が下半身に蓄積されていきます。

 こんな走行中の車の中で、会社の先輩であり私のヘンタイな性癖のことなんて露とも知らないはずのほのかさまの前で、あられもない姿を晒すわけにはいきません。
 でも、股間を震わす快感に意識を向けないようにしようとすればするほど、却ってそんな状況の被虐感が私のマゾ性を活性化させ、どんどん恥辱的妄想が膨らんでしまいます。
 
 イキたい・・・イっちゃいたい・・・
 今すぐワンピースに両手を突っ込んで、尖った乳首を捻り潰し、腫れ上がった肉芽に爪を立てれば、私は呆気なく自分の淫らではしたないイキ顔を、ほのかさまにご披露する事態となってしまうことでしょう。
 そんなの絶対ダメ・・・でもイキたい・・・

「さあ、高速降りたからそろそろよ。空いていてよかった。連休中のこの時間帯って案外スムースなのよね」
 お姉さまのお言葉が合図だったように、股間の震えがピタリと止まりました。
 えっ?
 ほのかさまの眼前で、がまんし切れずとうとう痴態を晒してしまい、侮蔑の視線を浴びせられる淫靡な妄想に耽っていた私は、拍子抜けして顔を上げました。

 窓の外には、道路とコンクリートと無機質な建物、そしてところどころの緑が織り成す、人工的で殺風景な景色が延々と広がっていました。
 未来都市的と言うか、廃墟っぽいと言うか、とにかく非日常的で不思議な空間。
 こんなところに、全裸でひとり放り出されちゃったら、私、どうなっちゃうだろう・・・
 結局、焦らされておあずけでした。
 もどかしいまま徐々に昂ぶりが引いていくのが、更にもどかしい感じ。
 早くお姉さまとふたりきりになりたい、と心の底から思ったとき、車が止まりました。

「ありがとうございました。助かりました」
 車を降りて空港入口まで、ほのかさまをお見送り。
「気をつけていってらっしゃい。雅にもよろしくね。休み明け、成果を期待しているわよ」
「はい。チーフも、そして直子さんも、お休みをゆっくり楽しんでください。あ、いえ、これは、わたしたちは仕事っていう皮肉とかじゃなくて」
 ほのかさまがイタズラっぽく可愛らしく、ペロッと舌先を出されました。

「あら?直子さんてもしかして、乗り物苦手?なんだかお顔が熱っぽそうよ?とろんとしてる」
「えっ?あ、いえ、そんなことは・・・」
 私の下半身に蓄積された、発散されなかった快感の余韻は、まだまだ引ききってはいませんでした。
「本当だ。頬が火照って、汗ばんでいるわね。でも車酔いって、普通は蒼くならない?冷や汗とか」
 お姉さまもお芝居っぽくおっしゃって、わざとらしく心配そうなお顔。

「あの、いえ、これは、ちょっと車の中が暑かったのにウトウトしちゃったから、のぼせちゃったのかも・・・」
 わけのわからない言い訳をする私。
「そう?そんなに暑いとは思わなかったのだけれど。後部座席のほうが暑いのかしら?でも、車酔いでないのだったら、よかった」
 ほのかさまの無邪気な笑顔と、お姉さまの愉快そうな笑顔。

「それでは、いってまいります。ごきげんよう」
 白の麦わら風つば広帽子に真っ白なフリル半袖ワンピで真っ赤なカートを引きながら、ときどき振り向いて小さく手を振りつつ空港の奥へ消えていくほのかさまは、どこからどう見ても、これから高原へとバカンスに旅立つ深窓のご令嬢のお姿でした。

「さあ、あたしたちは我が家へ帰りましょう」
 お姉さまがやっと、私を正面から見つめてくださいました。

「あのぅ・・・」
「ん?何?」
 車まで戻る道すがら、どうしてもがまん出来ずにお尋ねしてしまいました。

「ほのかさまに、あんなことおっしゃって、良かったのですか?今日のお泊りのこと」
「えっ?だって本当のことだもの。ヘンに隠すより教えておいたほうがいいのよ。たまほのは、ちゃんと言葉の通りに受け取っているはずよ。家政婦だって、全裸のことまでは言わなかったでしょ?」
「そ、それに、シャッフルのことや、あんなイタズラまで・・・」
「直子もうまくごまかしたじゃない。どうだった?スリルあったでしょう?」
「はい。それはそうですけれど・・・」
 でもまだなんとなく、ほのかさまに本当の私を知られるのは、イヤと言うか、怖い気がしていました。

「それに、なんとなくだけれど、たまほのは、あたしと直子の関係を直感的にわかっているような気もするのよ。彼女、勘が鋭いから。だから彼女にバレたとしても、そんなに大騒ぎにはならないような気もしているの」
 お姉さまが運転席のドアを開けました。
 
「それに彼女は今日、舞い上がっていたから、あんまり他人事には関心が向かないとも思ったし」
「それは、間宮部長さまとのことですか?」
 そう言えばさっきほのかさま、間宮部長さまのことを、みやびさま、ってお呼びしていたっけ。
「うん。さあ、他人の話はこれでおしまい。これからはあたしたちの休日を存分に楽しみましょう」

 そして不意に、お姉さまが左手でワンピの裾をめくり、同時に右手のひらを私の股間にペたっとあてがいました。
「あっ!いやんっ!」
「うわっ。ビチャビチャじゃない?それにものすごく熱い」
 すぐに離した右手のひらをペロッと舐め、お姉さまが車に乗り込みました。
 私も助手席の側へ向かいます。

「のんのん。直子の今日の席はそこじゃないの。後部座席に乗りなさい」
「えっ!?なぜですか?」
「なぜって、直子が教えてくれたんじゃない。助手席だと、前の車のルームミラーが気になるって」
「えっと・・・」
「後部座席なら寝そべっちゃえば、おっぱい出そうが真っ裸になろうが、覗き込まれない限り、周りからは見えないってこと」
 ブルンとエンジンがかかります。

「高速道路なら覗き込んでくる歩行者もいないし、ここから飯田橋までだと少し迂回することになるから、さっきより長い時間、直子は愉しめるはずよ。約束通り、ずっとオナニーしていないのでしょ?」
「は、はい」
「だったらそのムラムラを、まずは車の中で発散しちゃいなさい。後ろに乗ったらまずブラジャーをはずすこと。いいわね?」
「はい・・・ああんっ!」

 いきなり股間のローターが最強で震え始めました。
「ああぁ・・・うぅぅ・・」
 反射的にしゃがみ込んだ私は、快感に耐えながらよろよろなんとか立ち上がり、後部座席のドアノブに手を掛けました。


オートクチュールのはずなのに 05


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