2014年12月21日

就職祝いは柘榴石 12

 気がついてから数秒間、自分がどこにいるのかわかりませんでした。
 開いた目にぼんやり映るものをよーく見ると、見慣れた我が家のリビングの天井ぽい。
 ということは、たぶんここはリビングのソファーの上。
 仰向けに寝かされ、からだにはバスタオルが掛けられていました。
 上半身を起こして辺りを見回すと、脇のソファーに、黒ビスチェボンデージ姿のお姉さまとシーナさまが並んで腰掛けていました。

「あ、おはよう。って言ってもまだ真夜中だけれど」
 お姉さまがクスクス笑いながら、たおやかな笑顔を向けてくださいます。
「すごいイキっぷりだったわね。潮まで吹いちゃって」
 シーナさまは呆れたような薄笑い。
「あ、あの、私・・・」
「気絶しちゃったのよ。あうあう喘いで潮吹いて、急にぐったりして動かなくなっちゃった」
 シーナさまが白ワインらしき飲み物をご自分の唇に運びつつ、教えてくれました。

「でも意外と早く復活したわね。10分ちょっとくらいよ、気絶していたのは」
 シーナさまのお言葉に耳を傾けつつバスタオルをはずし、ソファーに腰掛ける体勢になりました。
 
 首輪と手枷足枷はそのまま、棒枷とリードの鎖は、外されていました。
 からだも軽く洗われたみたいで、ベタベタが消えて、しっとり。
 濡れてしまった髪は、どなたかがタオルで束ねてくれたみたいです。
 縄の痕はまだバストにクッキリ残っているけれど、乳首もアソコも今はひっそり。
 お姉さまが冷えたスポーツドリンクのグラスを渡してくださり、私はそれを一気にゴクゴク飲み干しました。

「このまましばらく起きなかったら、今夜はとりあえず解散かな、ってエミリーと話していたのよ」
「どうする?今は日付が変わった夜中の12時過ぎ。わたしもエミリーも当面の予定は無いから、一晩中つきあうことも出来るけれど、直子さんの体力次第よね」
「一度解散して、明日の昼前くらいから再開っていう手もあるわ。夕方からわたしは出かけなければならないから、若干あわただしいけれど」
「直子さんに任せるわ。どうする?まだまだイキ足りない?もっと恥ずかしいことされたい?みじめな気持ちを味わいたい?徹底的に辱められたい?」

 シーナさまのお言葉責めに、しばしボーっとしていた私のムラムラが性懲りも無く息を吹き返し、ゾワゾワっと全身に広がり始めました。
 からだがムズムズするのは、被虐の血がさざめき始めたからでしょう。
「ほらエミリー、見てよ。わたしがちょっとイジワル言っただけで直子さん、肌が火照ってきて、みるみる乳首が尖っていくわよ?ホントに、どうしようもなくスケベな淫乱ドマゾなのよね、直子さんて」
 シーナさまに指をさされ、私も自分の乳首がゆっくり勃ち上がっていくさまを、じっと見つめてしまいました。

「・・・ぁ、はい。あの、私、まだ大丈夫です・・・お願いします」
 シーナさまが投げつけてくる嘲りのお言葉に、自分のヘンタイ性癖と貪欲なからだが、はしたなくて恥ずかしくてたまらないのですが、それ以上にアソコの奥から湧き出てくる欲望には抗えず、恥じ入りながら小さな声でお答えしました。

「それはつまり、もっとわたしたちに虐めて欲しいっていうこと?」
「はい・・・」
「さっきわたしたちの前であんなにあられもなく何回もイキまくったのに?」
「・・・はい・・・ごめんなさい・・・」
「どうして直子さんは、そんなにスキモノなのかしら?」
「・・・そ、それは、えっと・・・」
「その尖った乳首を見れば、直子さんの意思に反してからだが先に発情しちゃっていることは、わかるけれどね。どうせオマンコもまた、濡らしているんでしょう?」
「・・・は、はい・・・」
 さわらなくても、奥がキュンキュン疼いているので、濡れてきているのは明白でした。

「マゾだものね?正真正銘のド淫乱マゾだものね?いいわ。つきあってあげる。その代わり、絶対服従の覚悟は決めておきなさい」
「・・・はい」
 シーナさまの冷たいお声に、被虐メーターがビンビン反応しています。

「さっきの浣腸でお尻の穴もいい具合にほぐれているでしょうけれど、今度の責めはちょっとキツイかもね。きっと直子さんが初めて経験する快楽なはずだから」
 冷たい瞳なのに、心底愉快そうなシーナさま。
「それじゃあ、お仕置き部屋に移動しましょう。直子さんは、自分で棒枷とリードを取り付けて、あなたのミストレスに連れてきてもらいなさい。わたしは先に行っていろいろ準備しておくわ」
 シーナさまはそう言い残し、テーブルの上のワイングラスにもう一度ワインをなみなみと注いでから片手に持ち、それだけ持ってサンルームへと消えていきました。

「シーナさんて、本当に直子のこと気に入っているのね」
 サンルームへのドアが閉ざされた後、お姉さまがヒソヒソ声で耳打ちしてきました。
「直子が気絶していたとき、このまま終わっちゃうのがすごく名残惜しそうだったもの」
「そうだったのですか?」
「うん。明日の夕方からの予定、キャンセルしちゃおうか、とまで言っていたわよ」
 私の反応を探るみたいな、お姉さまの瞳。
 
 お姉さまの右手が私の頭に伸び、髪をまとめていたタオルを解いてくださいました。
 やさしくブラッシングしてくださるお姉さま。
 ああん、シアワセ・・・

「良い人に出会えて良かったわね、直子。そのおかげであたしも、普通では出来ないような体験させてもらっているし」
「これからでも、たまには直子のこと、貸してあげてもいい、くらいの気持ちにもなってきちゃったわ。でもたぶん、そういうのはシーナさん、断わるだろうとも思うけれど」
「お姉さま?」
 そのお言葉に、ちょっぴり不安になる私。

「そのくらい彼女が魅力的な人だな、って思ったっていうことよ。もちろんあたしだって、直子を手放す気はまったくないわよ?一緒にいてこんなに面白いヘンタイっ子なんて、そうざらにはいないもの」
 イタズラっぽく笑うお姉さまに、私も安堵のホッ。
「さあ、行くわよ直子。四つん這いになりなさい」
「はいっ、お姉さま」
 お姉さまに促され、棒枷を取り付けるために身を屈めました。

 棒枷は明らかに、さっきより長くなっていました。
 お浣腸のときまでは、左右の足のあいだの幅が70センチくらいだったのに、今は少なくとも、もう20センチ以上は広げられています。
「さっきシーナさんが、バーの伸縮ねじを弄っていたわね」
 お姉さまも気づかれたようで、バーに視線を落とされながら、そう教えてくださいました。

 これだけ両足を広げられたまま四つん這いになったら、お尻の割れスジも、もちろんアソコもさっき以上に全開となっちゃうことでしょう。
 その姿になった自分を想像して羞恥にわななきつつ、首輪にリードの留め金を嵌め、持ち手をお姉さまに手渡しました。
 そして、自らゆっくり、床に這いつくばりました。

 両足の泣き別れプラス20センチの威力は、思った以上に凄く、両膝もより開いているので、交互に膝を浮かせて進むという形になりません。
 腰のほうが沈んでしまうので、両腕の力だけで前進して、両膝はずっと床を擦る感じで移動することになりました。
 アソコもお尻もさっき以上に割れていて、粘膜が空気に容赦なく晒されているのがはっきりわかります。

「んふんんぅーんっ」
 あまりの自分の無様さに、いたたまれない羞恥の喘ぎが堪えきれずに洩れてしまいます。
 お姉さまにリードを引かれ、尖った乳首をユラユラさせて這うように従う自分の姿がガラスや鏡に映るのを見て、全身の細胞のひとつひとつまでがマゾ色に染まり、自分の意志とは反して盛大に悦んでいるのが、自分でわかりました。

「おっけー。直子さんはそこに、足の裏を鏡に向けて仰向けに寝てちょうだい」
 お仕置き部屋、ベランダに向いたマジックミラー側が一面鏡と化しているサンルーム、に入るとすぐに、シーナさまのご指示がありました。
 お浣腸の前、お姉さまとふたりで私のオモチャ箱の自虐お道具をひとつひとつ試していたときの私の定位置あたりがざっと片付けられ、大きなバスタオルが一枚敷かれています。
 つまり、その上に横になれということなのでしょう。
 四つん這いのままその場所まで近づきました。

「今回は、直子さんにも自分の目で、何をされているのか全部目撃してもらおうと思っているのね。なんてったって今夜のメインイベントなのだから」
「もちろん録画もするしモニターにも映すけれど、自分で肉眼で観察したほうが絶対、何十倍も恥ずかしさが増すと思うから」
 お言いつけ通り、鏡に両足の裏を向けて仰向け大の字に寝そべった私を見下ろして、シーナさまが冷たそうな笑みを浮かべました。
 そのお顔がどんどん近づいてきて、私の傍らにしゃがみ込みます。

「だから、ちょっと窮屈かもしれないけれど、屈辱的な体位になってもらうわよ。まず上半身を起こしてくれる?」
「は、はい・・・」
 お腹に力を入れて、腹筋の要領で上半身を起こしました。
 真正面の鏡の一番下に、私の大きく開いた両腿のあいだがぼんやりと映っています。

「そのままからだの力を抜いていてね」
 おっしゃりながらシーナさまは私の足のほうへ行き、足枷に繋がれている棒枷のバーが踵側にあったのを左右とも、足の甲側に移動させました。
 それから私の左腕を取りました。

「両膝を立ててくれると、やりやすいのだけれど」
「あ、はい」
 深く考えずご命令通りに、と膝を折り始めると、すぐに気づきました。
 こんな大開脚で両膝を立てたら、それはすなわち大開脚M字ポーズ。
 正面の鏡に、今度はクッキリと、私の恥ずかしい部位があからさまに映し出されました。
「あ、いやんっ」
 目を反らしても、濡れそぼったソコが室内灯にキラキラ反射していた画像が脳裏から離れません。

 そんな私におかまいなく、シーナさまは私の左腕を引っ張り、左手首の革手枷のナスカンを棒枷左端のリングに繋いでしまいました。
「あっ」
 同じように右手首は棒枷右端へ。

 左右の手足首をそれぞれひとつに括られたのと同じ状態となった今の私は、棒枷で強制的に開かれているその間隔のお下品さとも相俟って、さしずめ、世界一だらしない体育座り、みたいな格好になっていました。

「あら直子さん、両膝に力入れて内股にしちゃって、オマンコ全開を阻止しようなんて、らしくないわね?力抜いたほうがラクよ?」
 シーナさまのからかうお声が降ってきますが、やっぱり内股はやめられません。
 だって、鏡に映る自分の姿が、あまりに破廉恥過ぎるのですもの。

「でもね、直子さんの努力は無駄なの。あともうひと行程加えたら、直子さんはただのお肉の塊になっちゃうの。流行の言葉で言えば、そうね、ニクベンキっていうやつ?あ、でも直子さんは男性用ではないから、女性限定ニクガングかな」
 愉快そうなシーナさまに私はドキドキの頂点。
「このリード、外させてもらうわね?」
 お姉さまに向けたシーナさまのお声。
 私の首輪から鎖が外れました。

 外されたリードの代わりに、もっと極端に短い、たぶん20センチ、いえ15センチにも満たない鎖が、赤い首輪の正面にぶら下げられました。
「ちょっと失礼」
 両手足首泣き別れで括られた棒枷のバーが、私の顔のほうに引っ張られました。
 両足が宙に浮き、起こしていた上半身が倒れ、背中がバスタオルに着きました。
 大開脚のお尻が突き出すように浮き上がり、鏡の高い位置に私の秘部が映っています。
 同時に、今度は肩寄りの背中が押されて浮き上がり、首輪の鎖を引っ張られて顔が棒枷のほうへ近づきました。
 えっ!?何?何?
 気がつくと、首輪からの短い鎖が棒枷中央にあるリングにカチンと繋がれていました。

 えーーーっ!?
 何この格好!
「直子さんてからだ柔らかいから、本当ラクね。どんな格好にもさせられる」
 シーナさまののんきそうなお声が聞こえてきますが、私は、それどころではありません。

 私の今の格好は、開脚前転の回転途中で固まった感じ。
 棒枷と首輪が10数センチくらいで繋がっているので、からだ全体を丸めたまま、お尻を高く突き上げている姿勢です。
 確かにこの格好だと、両膝に力を込めたところで大きく開いた両腿の付け根には何の影響も無く、ほぼ全開のままとなってしまいます。
 
 すぐ目の前に自分の下腹部があります。
 自分のアソコが至近距離の視界内で、パックリ大きくお口を空けています。
 もう少しでお尻の穴まで見えそう。
 視線を少し上に上げれば、大きく開いた両脚のあいだから覗く自分の情けない顔が、鏡に映っているのが見えます。
 お下品なのを承知でわかりやすく言うなら、大開脚まんぐり返し、の状態で拘束されてしまったのです。

「すっごく直子さんらしい格好になったわ。ヘンタイ見せたがりマゾそのもの、って感じ。まさに、お似合い、って言葉がピッタリ」
「どう?これなら自分でお尻にどんなイタズラをされているか、鏡見ないでもわかるでしょう?」
「あぁうぅぅ」
 シーナさまの得意そうなお声をニクタラシクも思えないほど、私はショックにうちひしがれていました。
 鏡に映った自分の姿が、あまりにもみじめで卑猥過ぎるのです。

 普通の女性なら、視られたら一番か二番めに恥ずかしいと思うであろう箇所を両方とも開けっぴろげにして、転がされている肉の塊。
 その格好で放置されているだけでも、全身が羞恥で染まってしまいそうな、女性、いえ人間以前の妙にいやらしい物体。
 そして、恥ずかし過ぎるその部分にどんなイタズラをされても、まったく抵抗出来ない無力感。
 おまけに、そのイタズラをすべて自分の肉眼で、目撃だけは出来ると言う屈辱感。
 この姿は、確かにシーナさまのおっしゃるとおり、肉のオモチャ、つまりニクガングそのものだと思い知りました。

 ただ、一方では、まったく別なことも考えていました。
 それは、こんなに完全に恥辱的かつ絶望的な拘束姿には、独り遊びでは絶対になれないな、ということ。
 独り遊びでも、なるだけならなれるかもしれませんが、拘束を外すことはひとりでは絶対に出来ないでしょう。
 シーナさまがいて、お姉さまがいらっしゃるからこそ、安心してこんな格好になれるんだ、って気づいたのです。
 その意味であらためて、お姉さまとスールになれて、おつきあいが始まって本当に良かったな、と考えていたことは、事実でした。
 
 不自由な視界にお姉さまの姿を探しました。
 お姉さまは私の右脇で、私のまんぐり拘束姿をまじまじと見下ろしていらっしゃいました。
 視線が私のお尻から顔へと何度も往復していました。
 その瞳は好奇心で爛々と輝き、お顔は興奮で紅潮され、さらに艶っぽさを増してすっごくお綺麗でした。

 互いの視線が重なったとき、お姉さまがニッと微笑み、視ているこっちが恥ずかしくなるほどいやらしいけれど、でもカワイイわよ、って小声でささやくように、おっしゃってくださいました。
 それを聞いた私は、一生この姿でもいい、って思うほど、嬉しさと恥ずかしさでキュンキュン高まっていきました。


就職祝いは柘榴石 13

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