2011年6月11日

しーちゃんのこと 10

ドキッ!
私は、しーちゃんの無邪気な言葉に内心、大いに動揺していました。
美術室で、みんなの前で全裸になっちゃうような人と私が、似ているって・・・

「でも、実際におしゃべりしてみたら、外見や顔は、そんなに似てなかったけどネ。背なんか、なおちゃんよりもっと高いし」
「でも、なんて言うのかなー、物腰?たたずまい?ちょっとした仕草?みたいのが、なおちゃんぽいかナー、って、あらためて思ったけど」
しーちゃんは、あくまで無邪気に言葉をつづけます。
お話を聞いた限り、ニノミヤ先輩っていう人は、確かに私と似た性癖、と言うか、嗜好を持っているみたいです。
しーちゃんには、そういうのがなんとなくな雰囲気でわかっちゃうのかなあ?
しーちゃんのお顔を上目遣いで盗み見ながら、なんだかすごくドキドキしてきてしまいました。

「ソファーとかを元通りにしたら、ニノミヤ先輩もやっと服を着始めたのネ」
しーちゃんがお話を、唐突に再開しました。
「ワタシ、ニノミヤ先輩が服を着るのを、突っ立ってボーッと見ていたの、それこそ放心状態で」
「そしたら三年の先輩がポンてワタシの肩たたいて、どうだった?って」
「びっくりしたでしょ?って聞くからワタシ、はい、とても、って」
「でもなんだかヒミツめいててワクワクもしない?とかいろいろ聞いてくるのを、ワタシ、ただ黙って首を縦にウンウン振って、うなずくだけだったヨ」

「ニノミヤ先輩がソファーに腰掛けてソックス履いてるのをまだボーッと眺めてたら、三年の先輩が、明日は課題勉強会だから、遅れないようにね、って、もう一度肩をたたかれたの」
「これは、今日はもうあなたは帰りなさい、っていう意味だな、と思って、空気読んで、ワタシはお先に失礼したのネ」
「ワタシがいなくなってから、きっと5人で、今のワタシの反応とかを話題にして盛り上がるんだろうなあ、なんてちょっと思ったけど、ワタシもかなり動揺していたし、気持ちを落ち着かせたくて、早く一人になりたかったから・・・」
しーちゃんは、コップのお水をゴクッと一口飲んで、じっと私を見つめてきました。

「お家に帰って、自分の部屋で、さっき部室でニノミヤ先輩がしたことを思い出していたら、なんだか無性に不安になってきちゃったのネ」
「ニノミヤ先輩は、別にイヤイヤやってるようでも、脅されてやらされてるようでもなかったから、イジメ、みたいなことではないんだと思うんだけど・・・」
「むしろ、裸を見られるのが嬉しい、みたいな雰囲気さえ、ワタシには感じられたんだけどサ・・・」
私の胸が、またドキンと波打ちます。

「もしも、もしもさあ、美術部にはそういう伝統って言うか、しきたりみたいのがあって、部員はみんな、一度は裸婦のモデルをやらなきゃいけない、みたいなルールがあったりしたら、ワタシ、イヤだなー、って思ってサ」
「みんなの前で一人だけ裸になるなんて、ワタシ絶対出来ないから・・・」
「すんごく不安になってきちゃって、そういうのがもしあるんだったら、美術部やめよう、とまで思い込んじゃってサ・・・」
しーちゃんが自嘲っぽく小さく笑いました。

「それで今日、勉強会の後に先輩にこっそり聞いてみたのネ」
「勉強会早めに終わったから、昨日その場にいた先輩、三年のトリゴエ先輩と二年のオガワ先輩を捕まえて、廊下の隅でヒソヒソと」
「トリゴエ先輩とオガワ先輩は、いっつも一緒にいるのネ。すんごく仲いい感じ」
「先輩たち、ワタシがせっかくヒソヒソと話してるのに、聞いた途端に盛大に笑い転げちゃってたヨ」
「美術部にそんなしきたりなんて全然無いし、もちろんニノミヤ先輩へのイジメとかでもなくって、あれはニノミヤ先輩がしたくってしてること、なんだって」
「でも、先輩たちがときどきそういうことをしてるのを知っているのは、ニノミヤ先輩を含めた昨日の5人の先輩たちと、昨日初参加のワタシだけだから、絶対他の部員には言わないように、って固く口止めされたヨ。とくに他の新入部員には絶対に、だってサ」
「ワタシ、ヒミツの悪い仲間に選ばれちゃったみたいだヨ?」
しーちゃんが嬉しそうに笑いました。

「なんでも、去年の部の合宿のとき、その5人グループで一緒にお風呂に入ったんだって。で、ニノミヤ先輩の裸がとてもキレイだったから、冗談半分本気半分でヌードモデルやってよ、って、当時二年生のトリゴエ先輩が熱心に口説いたら、その夜、合宿してたホテルのお部屋で、モジモジ恥ずかしがりながらも、脱いでモデルしてくれたんだって」
「合宿の部屋割もその5人だったから、その後もずっと、その5人だけがヒミツを共有してるんだって」

「ワタシが、ニノミヤ先輩、恥ずかしそうなのはもちろんなんだけど、何て言うか、嬉しそうな感じでもありましたよネ?って聞いたのネ」
「そしたらオガワ先輩が、しのぶちゃんでも気づいてたんだ、ってクスクス笑って、クリスはね・・・」
「あ、クリスっていうのはニノミヤ先輩の名前ネ。正確にはクリスティーナだかクリスティーヌだか。お父さんがイギリスだかフランス人だかで、ハーフなんだって」
「でもそんなにそれっぽい顔ではないんだけど。あ、もちろん、すんごく綺麗な顔であることは間違いないヨ」

「それで、オガワ先輩が、クリスはね、露出症なんだよ。って。裸とか恥ずかしい格好を誰かに見られることが気持ちいいんだって」
「オガワ先輩とニノミヤ先輩は、同じ中学出身の幼馴染なのネ。それで、ニノミヤ先輩はちっちゃい頃からその傾向があったんだって」
「近所の子供たちとお医者さんごっこするときも決まって患者さん役だったし、小学校や中学校のときも、女子だけのお泊り会で王様ゲームとか、負けたら脱ぐのを賭けたゲームしたりして、みんなでクリスをよく裸にしてたんだ。って、オガワ先輩が言ってた」
「そのたんびにクリスったら、恥ずかしいくせになんだか嬉しそうなのよねー。それがまた可愛くってさー。って」
「クリスは、もちろんナイスプロポーションだから、それを見せびらかしたい、っていうナルシスも少し混じってるんだろうけど、それだけじゃないんだろうねー。あれ、絶対ビンビン感じちゃってると思う。なんだかちょっぴりうらやましいから、こっちもなんだかウズウズしちゃって、なおさらイジワルしたくなっちゃうんだよねー・・・って、オガワ先輩がしみじみ言ってた」

「ワタシは、恥ずかしいのは、やっぱり恥ずかしいだけで、気持ちいい、っていうのがよくわかんないんだけど、世の中にはそういう人もいるんだネ?」
しーちゃんが当惑したような、私に同意を求めるような、ビミョーなお顔をして私を見つめてきます。

今にして思えば、このときはチャンスでした。
「実は、私もニノミヤ先輩のその気持ちがわかるの。私にもそういう傾向があるの。しーちゃんに私の裸を見て欲しいの」
って、勇気を出して言えたら、私としーちゃんのお話も、また違った展開になっていたのかもしれません。

でも、その頃もまだ、私はしーちゃんに自分の性癖について、チラッともお話していませんでしたし、オナニーしていることさえもヒミツでした。
しーちゃんと仲良くなればなるほど、しーちゃんが時折見せてくれる性的なことに対する無垢な純粋さや無邪気さと、私がひた隠しにしている、すでに身につけてしまったヘンタイ性や歪んだ妄想癖とのギャップが絶望的に見えて、しーちゃんに対して、安易な性的アプローチがとれない理由となっていました。

さらに、放課後の美術室で全裸を晒すニノミヤ先輩のお話を聞いて、私の妄想回路が今やフル回転、緊急のムラムラモードに突入していました。
しーちゃんとどうこう、っていうのより、早くお家に帰って、今のお話を元に、自分なりの妄想展開で思いっきりオナニーしたい、っていう欲求が私の頭の中を埋め尽くしていました。

「露出症っていう趣味嗜好の人がいる、っていうのは私も何かで読んだことがあるよ・・・」
あたりさわりのない答えでごまかしました。
「ふーん。見ているワタシがすんごくドキドキしちゃうんだから、見せているほうは、ものすごーくコーフンしちゃうんだろうナー」
しーちゃんは、あくまで無邪気に夢見る目つきです。
「そんな話をしてたんで、今日は教室に戻るの、ちょっと遅れちゃったんだヨ。でも、なおちゃんに話せてなんだかスッキリした。部活、これからいろいろ楽しくなりそうだナー」
言いながら、しーちゃんが何気なく自分の腕時計を見て、ギョッとしたお顔になりました。
「もう、こんな時間だヨ。夕飯に遅れたら叱られちゃうヨー」
夢中でお話していて、ずいぶん時間が経っちゃったようです。
バタバタとあわただしく喫茶室を出て、駅前の交差点のところでお別れしました。
「バイバーイ。来週また、学校でネー」

夕食を終えて入浴も済ませ、バスタオル一枚のまま身繕いを終えた私は、ベッドの前に姿見を移動しました。
パソコンで裸のマハを検索し、そのポーズを頭の中に焼き付けます。
学校で使っている絵画用具セットの中から、絵筆を2本、太いのと細いのを取り出して枕元に置きました。
それから、バスタオルを取って裸になると、下着は着けず、素肌の上にじかに、高校の制服、ブラウスとスカートとネクタイとベストとソックスをいそいそ身に着けました。
おっと、お部屋の鍵も閉めておかなくちゃ。


しーちゃんのこと 11

2 件のコメント:

  1. こんにちは、なおこさん。
    6月に入って更新4回目ですよね。
    なんか早くない?
    やはり書きたいお話、好きなお話だったら進むリズムも早いのかな?
    ちょびエッチな気持が伝わってワクワクドキドキな展開です。
    もろエッチよりこんなタッチも大好きが、そろそろ素肌に制服を直接着るとなおちゃんのオイタが始まりそう。

    PCを前に楽しそうに指が踊ってる直子さんが目に浮かんできます。

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  2. あおいさま
    いつもコメントありがとうございます。

    このブログを始めたのもちょうど去年の今頃のことで、どうもこの季節になると、お話がスラスラ書けるモードに入れるみたいです(≧∀≦)ノ

    しーちゃんの次に予定しているお話のラフ案もどんどん浮かんでくるので、しーちゃんのお話を早く進めて、早く次に移りたい、っていうのもあるのかもしれません。もちろん、しーちゃんとのお話は書いててすっごく楽しいです。

    明日も更新するつもりですので、また遊びに来てくださいね(≧∀≦)ノ

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