2010年8月7日

グノシエンヌなトルコ石 39

気がつくと、雨は小降りになっていました。
空もまた、明るくなりつつあります。
濡れた地面に、木製の洗濯バサミが二つ、転がっています。

そうなると、ここに全裸でいることが急に怖くなってきました。
ここは、私の通っている学校の裏門前なんです。

「ユマさん、先生が、いない・・・」
私は不安になって、ユマさんの裸のからだに寄り添いながら聞きます。
「だいじょうぶよー。あの先生、またなんかイタズラ考えてるのよー」
ユマさんは、自分の髪を軽く絞りながら、あまり気にしていない様子です。

雨で全部メイクが流れてしまっているはずですが、ユマさんは相変わらずカワイイです。
くっきりした二重瞼とパッチリした大きな瞳もそのままです。
「ユマさんて、素顔でもカワイイんですね」
「あー。それって誉めてんのかビミョー。あれ?でも、でも、だから誉めてんのか。うれしいー」
ユマさんは、いつでもマイペースです。

ふと遠くに目をやると、遥か向こうに車のヘッドライトが光りました。
あの道を道なりに来ると、ここの前を通ることになるはずです。
「ちょっとマズイねー。車に戻ろうかー」
ユマさんはそう言うと、私の手を引いて門の前を離れ、道路に出ました。

当然、二人とも全裸です。
私は、つないでいる方じゃない手でどっちを隠すか、一瞬迷いましたが、アソコを隠すことにしました。
「今更隠してもしょうがないんじゃないー?」
て言いながら、ユマさんも前屈みになって茂みを隠しています。

20メートルくらい先に止まっているはずの赤い車が見当たりません。
「あれ?」
私たちは前屈みのまま立ち止まり、あたりを見回します。
さすがのユマさんも動揺しているのか、私の手をぎゅーっと握ってきます。

遠くに見えた車のヘッドライトは、私たちが向かおうとしている方向からやって来ます。
私たちは後ずさりして、また裏門の前のスペースに戻り、隠れる場所を探します。
でも、そんな場所、とりあえず無さそう。
私たちに気がつかず、車が通り過ぎて行ってしまってくれればいいのですが・・・
「塀を乗り越えて、学校の中に入っちゃおうかー?」
ユマさんがそう言ったときに、裏門のスペースを塞ぐように、やよい先生の赤い車が止まりました。

「あなたたち、ぜんぜん気がつかないんだから。あたしは車をバックさせて、あっちに移動してたのに」
やよい先生が運転席から助手席側の窓を開けて、大きな声で怒鳴りました。
やよい先生は、私たちが向かおうとしていた逆方向に車を移動していました。
「ちょっと振り向けばわかるのに、あなたたちぜんぜん気づかずに裸のお尻向けてへっぴり腰で震えてるから、笑わせてもらったわ。証拠写真もバッチリ撮ったわよ。さあ、はやく後ろの席に乗っちゃいなさい」
こちらへやって来る車のヘッドライトは、かなり近づいて来ていました。

ユマさんが助手席のドアを開けて、シートを倒して後部座席に乗り込みました。
つづいて私が乗り込もうとすると、その車はすぐそこまで近づいていました。
農家の人の軽トラックのようでした。
私は、思わずその場にしゃがみ込み、やよい先生の車の陰に隠れてやりすごしました。

やよい先生に後から聞いたら、その軽トラックに乗っていたのは60前後のおじさまで、運転手側の窓を開けて、やよい先生の車をまじまじと見ながら、ゆっくり通り過ぎて行ったそうです。

私が乗り込むと、やよい先生が乾いたバスタオルを投げてくれて、ゆっくりと車が走り出しました。
私とユマさんは、一枚のバスタオルを分け合って髪を拭い、それから順番にからだを丁寧に拭きました。
エアコンが調整されていて、びしょ濡れのからだでも寒くはありません。
雨は小降りになっていて、そろそろやみそうな感じです。
時計は4時過ぎを示していました。

「雨がひどいもんだから、車をバックさせて車の中からズームで写真撮っていたの」
「あなたたちのヘンタイ行為もいろいろアップで撮らせてもらったわよ。なお子がイった瞬間もね」
「どうだった?なお子、自分が通っている学校の前で全裸になって、イった気分は?」
「ユマも自分で自分のオマンコさすってたでしょう?」
「あなたたちって、なんだか姉妹みたいね。ヘンタイ姉妹」

「ゆり先生。アタシ、子猫ちゃんに告白されちゃったよー。大好きーってー」
ユマさんが私の三つ編みを直しながら、嬉しそうに言ってくれます。
「アタシ、子猫ちゃんのために歌書くよー。子猫ちゃん、もうカワイクって大好きだからー。それで絶対ヒットさせるー」
「わあ。嬉しいです。ユマさん、ありがとーっ」
私は、ユマさんに抱きついて、ユマさんの真似をしてブチューっと唇にキスしました。
「あらあら、仲がお良ろしくって結構だこと。ユマ、あたしが東京行ったら、なお子のことよろしくね。ときどきイジメテあげて。そうしてくれないとこの子、一人で何しでかすかわからないから」
「いえす、まーむ。よろこんでー」
車はまた、ターミナル駅のほうに向かっているようです。

「じゃあ、そろそろヘンタイなお子のSM合宿はおしまいね。からだを拭ったら、なお子の服に着替えて、素直で賢い通常なお子モードに戻りなさい」
「ユマもいつまでもHカップ、見せびらかせてないで、服を着て。あたしが縛りたくならないうちに」
やっぱりやよい先生も、このおっぱい見てると縛りたくなるんだあ。
私はクスっと笑います。
「えー。アタシはいいや。今更服着るのメンドクサイから、このレインコート借りるねー。それで家帰ったら今日のをオカズにしてまた悶えまくるのー」
ユマさんはそう言って、ブルーのレインコートに付いた水滴をバスタオルで拭い始めました。

私は、またちょっとだけ切なくなってきます。
どんなに楽しい時間にも、終わりはやって来てしまいます。
やよい先生やユマさんと、こんなに仲良くなれたのになあ。

「ほらあ、早く服を着なさい。もりしたなお子さん?」
やよい先生にうながされて、私はのろのろと自分のボストンバッグをひきずり出しました。

「アタシが着せてあげるー」
ユマさんが裸のまま、まずは私のブラジャーをやさしくおっぱいにあてがって、後ろのホックを留めてくれました。
「子猫ちゃんのおっぱい、尖った乳首、だーい好きー」
ユマさんがヘンなメロディで即興らしい歌を歌いながら、私の頬にキスします。
さすがに声楽科卒だけあって、よく通るソプラノな美声です。
次にショーツを穿かせてくれます。
「子猫ちゃんのオマンコ、おっきなクリちゃん、えっちなお尻も、だーい好きー」
今度はおでこにキスをくれます。
最後に、昨日着てきた濃いブルーのワンピースを頭からかぶりました。
ユマさんが背中のジッパーをジーーっと上げながら歌います。
「子猫ちゃんはヘンタイ、マゾっ子なおちゃん、そーんな子猫ちゃんがー、だーい好きーなーのー」
歌い終わると、私の唇をブチューっと塞ぎました。
この歌は、ぜったいヒットしないな、と私は思いました。

やがて車は、さっきのファミリーレストランの駐車場に到着しました。
「それじゃあ、ユマ、お疲れさまね。また来週連絡するから。片付け手伝ってね」
「あと、今日撮った写真とかは全部あたしのパソコンに送っておいたから。ユマのケータイの分もね。あとでCDに焼くか、USBメモリで渡してあげる。なお子にもね」
私とユマさんにケータイを返しながら、やよい先生が言います。
「だから、そのケータイの写真フォルダは今は空っぽよ。あーいう写真はいつまでも入れといちゃダメ。もしケータイ落したとき大騒ぎになっちゃうからね」

「なので、なお子のために健全な記念写真を撮っておきましょう」
やよい先生が車を降りながら言いました。
私も助手席側からお外に降り立ちます。
雨はすっかり上がって、西に傾いた陽射しが雲間から覗いています。
「わかったー。じゃあアタシ、シーナちゃん、呼んで来るー」
ブルーのレインコートを素肌に着ただけのユマさんが、ファミレスの入口に走って行きました。


グノシエンヌなトルコ石 40

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